「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年4月24日(火)

橋下「改革」の危険 4年の実態に見る

市長になっても 全世代への負担増

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 「大阪維新の会は日本の統治機構を変え、決定できる民主主義を実践していく」。橋下徹大阪市長は維新政治塾の開講式(3月24日)でこうのべ、国政進出でも「改革者」ポーズをとっています。しかし、その「改革」の果てにある日本の姿は、橋下氏が府知事、市長として主導した大阪府・市政の4年余の実態からみえてきます。


くらし・福祉総攻撃 障害者団体補助0円

知事時代 「大阪府は破産会社」と脅す

 「大阪府は破産会社」「(府職員は)破産会社の従業員」。2008年2月、府知事に就任した橋下氏はこんな大ウソで府民施策への攻撃を始めました。

 橋下氏は「夕張市と同じ」としましたが、大阪府が北海道夕張市のような「財政再生団体」でも、それよりはましな「財政健全化団体」でもないことは当初から明らかでした。にもかかわらず、橋下氏は、これを最大の宣伝材料に使い、同年6月には「大阪維新プログラム案(財政再建プログラム案)」を発表。人件費345億円の削減のみならず、私学助成の大幅削減、高齢者・乳幼児・障害者・ひとり親の4医療費助成の削減、市町村補助金のカットを打ち出しました。府民の反対署名は300万人を超えました。

 このとき、橋下氏は“障害者施策は削れない”とテレビの前で涙まで流し、「『障害者・命・治安』に配慮」(「朝日」)と報じた新聞もありました。しかし、実際には障害者8団体の団体補助をゼロにするなど障害者にも冷たいものでした。

 4医療費助成の削減は府民世論で現在も食い止めているものの、10年8月の「府財政構造改革プラン」でも、府営住宅の当面1万戸削減方針など暮らしにかかわる施策の削減が打ち出されています。

 中小企業予算も「大企業に頑張ってもらって海外にも競争力が持てるようになってもらわなければ、中小企業にお金をばらまいても意味がない」(10年3月)という発想で大幅カット。07年度と10年度を比べると中小企業振興費が5億円から2億円へ。商業振興費は17億1000万円から3億7000万円へ実に5分の1に減りました。

 府民施策の切り捨てをすすめた結果、橋下府政の3年9カ月で大阪の貧困と格差はいっそう拡大しました。

 07年に5・3%だった大阪の完全失業率は10年で6・9%になり、全国(3・9%↓5・1%)以上のスピードで上昇。全国の企業倒産件数に占める大阪の割合も14・6%(2059件)から15・6%(2073件)へ。10年段階の大阪の非正規雇用労働者比率は全国が34・5%だったのに対して、44・5%に達しました。

住民向け施策 104事業ばっさり

 橋下市長は今、大阪市で「市の行政サービスはぜいたく三昧(ざんまい)の状況」などといって、3年間で548億円を削減し、104事業もの住民施策の切り捨てに着手しています。5日に公表した市改革プロジェクトチームの「改革」試案です。財政を口実にした知事時代と同じ手法です。

 最大の特徴は、敬老パスの有料化から学童保育の補助金廃止まですべての世代に襲いかかることです。

 無料の敬老パスは、通院や社会参加の活動、買い物などにお金の心配なく出かけられ、高齢者の生活を支えてきました。それを半額自己負担にし、どこでも100円で行ける福祉バスの運営補助の大幅削減をうちだしています。地域振興会が担ってきたお年寄りへの食事サービスや「老人憩の家」事業への補助金廃止など、地域のコミュニティーをささえてきたきめ細かな事業も切り捨ての対象です。

 子育て世代に対しては、市民税非課税世帯からの保育料徴収、市独自の保育料軽減措置の廃止、約2000人の児童の放課後の生活の場である学童保育の運営補助廃止なども含まれています。

 新婚家賃補助の廃止、障害者が健康維持のために安心してトレーニングやリハビリができ、スポーツに親しむ場となっている長居障害者スポーツセンターの廃止など、若い世代や障害者にも大ナタをふるっています。

 ある地域振興町会長は、「橋下さんに反対ではなかったがこれでは地域の輪が壊れてしまう」と怒ります。

公約破り へっちゃら

区民センター34も9カ所へ/敬老パス「維持」も有料化へ

 「試案」では、市民・区民が利用する公共施設の廃止・統廃合も打ち出しています。

 総合生涯学習センター(4カ所)、男女共同参画センター(クレオ大阪、5カ所)などは全廃です。

 区民センターは、34カ所から9カ所へ、屋内プールやスポーツセンターは24カ所から9カ所へ、子育てプラザは24カ所から18カ所へと一挙に削減。廃止後の施設は民間への売却などを盛り込んでいます。

 これらの前提になっているのが大阪市を廃止する「大阪都構想」。まだ正式な区割り案も示されていないのに、現在の24区を8〜9の「特別自治区」に再編することがすでに決まったことかのように位置づけられています。

 しかし、橋下・「維新の会」は昨年のダブル選で「大阪市をつぶすことはありません」「24区、24色の鮮やかな大阪市に変えます!」「敬老パス制度を維持します」「大阪都構想は市民の皆様の生活を良くするための手段です」と公約していました。ビラには「だまされないで下さい!」とまで書かれていたのですから、これほどの市民だましはありません。

 「試案」がもたらすのは「24色の多色豊かな大阪市」(橋下氏)どころか、福祉バス運営費補助削減なども含め地域コミュニティーつぶしそのものです。

 敬老パスも「維持」(「物事の状態をそのまま保ちつづけること」『大辞泉』)といいながら、半額負担を強います。これでは民主党の「消費税増税はしない」という公約の裏切りと変わりません。

 「敬老パスを週2、3回通院に使っています。選挙で橋下さんに入れたけど、高齢者をいじめるなんてがっかり」「年寄りが気軽に出歩けるのも(福祉)バスのおかげ。公約違反のだまし討ちや」。市民から怒りの声が噴出しています。

交響楽や文楽補助金カット 「楽団員は営業やれ」

「音楽技術がすばらしいなら、しっかりと営業(活動を)すべきだ」

 橋下市長は17日におこなわれた市政改革PT試案の公開討論で、13年度に「廃止」とされた市音楽団についてこうのべました。

 市音楽団は国内唯一の自治体直営の吹奏楽団。選抜高校野球の入場行進の演奏指導をしていることで有名です。市民向けイベントに出るだけでなく、市内の中学・高校のブラスバンド部に演奏指導に出かけ、高い評価を得ています。それをばっさり廃止し、団員も免職にしようというのが橋下市長の考え。

 吹奏楽団だけではありません。世界的な指揮者・故朝比奈隆氏が結成し、半世紀以上指揮してきた大阪フィルハーモニー交響楽団や人間国宝を抱えた文楽協会への補助金も25%カット。橋下氏は全額カットを狙っています。

 知事時代には、児童文学の「図書館の図書館」として国際的評価を得ていた府立国際児童文学館を廃止(府立中央図書館へ移転)、府が創設した大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)への補助金廃止などを強行しました。

 歴史や文化があってこそ、住みたいと思える街になるはず。橋下氏の文化切り捨て政策は、府民・市民への攻撃でもあります。

教育

競争あおり管理・統制強める

■学力テスト公表めぐり「クソ教育委員会」発言

 橋下氏は教育でも競争をあおり、管理と統制を強めています。

 2008年9月、大阪府が全国いっせい学力テストの結果が2年連続低位だったことをうけ「このざまはなんだ」と激怒。「教育非常事態宣言」を行い、「ダメ教師は排除する」と述べました。

 成績アップに必死にさせるとして市町村教育委員会に学力テスト結果の公表を要請。府教委や市町村教委が「過度な競争と序列化を招く」との懸念から消極姿勢を示すと、「クソ教育委員会」「暴走している関東軍」とののしり、開示・非開示によって「予算に差をつける」と“どう喝”。最終的には一部をのぞいて公表に踏み切りました。都道府県が市町村別に結果を公表したのは全国で初めてです。

 橋下氏は、人格の完成をめざす教育の営みを「教育は訓練」「2万%強制」とゆがめ、「国際社会はし烈な競争。日本の子どもたちにしっかり競争してもらう」(10年3月、日本共産党の代表質問への答弁)と、競争教育の推進をあらわにしました。

 教育予算は橋下氏在任中の3年間で962億円削減し、非正規雇用の教員が2835人急増し、1万0917人に達しています。

 府が独自に配置していた府立高校の350人の非常勤職員の首切りを強行し(09年度)、「開かずの図書館」や実習・実験が減る事態が生まれています。「その一方、コンクールなどで成果をあげた学校には1000万円単位でポンとお金を出し、超エリート校(10校)には特別に予算をつける。お金がほしかったら『成果』を出せというゆがみをうんでいます」(志摩毅府高教委員長)

■君が代条例は審議3時間 “守らないとクビだ”

 2011年春の府議選で過半数を獲得した橋下氏率いる「大阪維新の会」が真っ先に行ったのは、憲法に保障された思想・良心の自由を踏みにじる「君が代」起立強制条例案の提出でした。選挙公約にもなかったものです。審議はわずか3時間ほど。主要会派がすべて反対するなか、事実上、「維新」の単独で採決を強行しました。橋下氏は「議論の余地などまったくない」と、「維新」の暴挙を当然視しました。

 「ルールを守らない、不起立を続ける教員は懲戒免職にする条例をつくる」という橋下氏の意向をうけて「維新の会」が次に出してきたのが「教育基本条例案」「職員基本条例案」でした。両条例案は、教育に政治が介入し、厳罰化で教育の内容と職員を首長が支配・統制するもの。昨秋のダブル選後に就任した「維新の会」幹事長の松井一郎知事がこの2月府議会に一部修正して提案し、「維新」、公明、自民の賛成で可決されました。

 こうしたなかで今春、“異変”が起こっています。教員採用試験合格者のうち13・4%、308人の辞退者がでたのです。ここ5年間では最高です。「毎日」は、「府議会で3月に『教育行政基本条例』と『府立学校条例』が成立したことも影響したとみられる」と報じています。橋下流「教育改革」の矛盾が広がっています。

■私学助成削減 「いやなら日本から出て行け」

 「私学助成を削らないで」と訴える高校生に向かって、進学が公立になるか私立になるかは本人の自己責任だと突き放し、「それがいやなら、日本から出て行くしかない」と暴言を吐いた橋下知事(08年10月当時)。08年度は私学助成の削減、09年度には私立高校生をもつ親に対する授業料軽減措置の縮小を強行しました。

 ところが、民主党政権になって公立高校の授業料無償化が実施されると、一転、私立高校授業料の無償化に踏み出しました。これは、私立高校生の保護者に年収に応じた支援補助金を給付することにしたもの。

 一方で、私学助成の総額は大きく減ったまま。私立高校無償化も、公私間の競争促進が狙いだということを橋下氏は隠しません。「学校に切磋琢磨(せっさたくま)してもらい、生徒が集まらない学校は退場してもらう」という橋下流競争主義持ち込みの一環です。

 橋下氏は、私学への運営補助金を生徒数に応じて出す制度に変更、7対3の公私の受け入れ比率も弾力化しました。

 これを受け、私学無償化2年目の11年度は生徒が私学に流れ、府立高校(全日制)の4割弱の49校で定員割れとなる事態が発生。3月に制定された府立学校条例で、3年連続定員割れの府立高校は統廃合の対象とされました。

 ある府立高校では生徒集めのために約50の中学校を年3回訪問するなど、公立私立ともに生徒獲得競争がし烈になっています。

主な市民サービスカットの内容

事業名 削減額 実施年度

○敬老パス事業(3案)見直し
(1)JR・私鉄に拡大、50%負担、上限2万円。
(2)市営交通限定、50%負担、上限なし。
(3)市営交通限定、年1千円〜2万円負担、上限なし。


50億円
48億円
14億円

13年度
○上下水道料金福祉措置廃止 39億6600万円 13年度
○新婚世帯向け家賃補助新規募集停止(18年度終了) 22億6300万円 12年度
○国民健康保険料軽減見直し
一般会計からの任意繰入の見直し、市独自の3割軽減廃止、出産一時金の引き下げ。
20億6700万円 13年度
○保育料の軽減措置見直し
前年度分の市民税非課税世帯からも保育料を徴収する。保育料を全体として1億5千万円程度引き上げ
1億5000万円 13年度
○学童保育事業補助金廃止 3億4600万円 13年度
〇老人憩いの家運営費助成廃止 1億6300万円 13年度
○コミュニティー系バス運営費補助削減 10億7300万円 13年度
○大阪フィルハーモニー協会、文楽協会補助金削減 1億6200万円 12年度
○区民センターの統廃合(34→9カ所) 3億8800万円 14年度
○男女共同参画センター廃止 4億7600万円 14年度
○市民交流センター廃止 10億5300万円 14年度
○屋内プール統廃合(24→9カ所) 12億2300万円 14年度
○障害者スポーツセンター統廃合(2→1カ所) 3億5100万円 16年度

府民財産売り払い

売り飛ばし狙いWTC移転強行

 橋下氏は「世界と勝負できる大阪をつくる」と豪語。「小泉・竹中路線をさらにもっと推し進めることが今の日本には必要」(10年6月8日)と述べ、民営化と民間開放など新自由主義的「経済改革」を進めてきました。しかし、その路線はいま大きな破綻に直面しています。

 その象徴が大阪湾ベイエリアにそびえる西日本一の超高層ビル。大阪府咲洲(さきしま)庁舎(旧WTCビル)。橋下知事(当時)が庁舎の全面移転をかかげて大阪市などから85億円で買い取ったものの、いまや無駄の象徴と化しています。

 府議会では、耐震性や人工島に建つ立地条件から「防災拠点になり得ない」(日本共産党府議団)として09年3月と10月の2度、移転条例案を否決。橋下氏との全面対決を恐れる自民、公明、民主3党の一部議員が“寝返り”し、別提案のビル購入案が可決されました(同9月府議会)。このとき、自民党内の移転支持議員が「自民党・大阪維新の会」を結成、「大阪維新の会」の前身となりました。

 府の試算では現庁舎(中央区)との併用で今後30年間にかかる府費は約1200億円。部局の移転費用を含む96億円の返還を橋下氏に求める住民訴訟が起きています。

 咲洲地区を「関西の宝石箱」(橋下氏)といっていたにもかかわらず、第二庁舎として移転後に同地区に進出した大企業はゼロ。経済団体も来ず、庁舎ビルからテナントの撤退も相次ぎ、空室率は52%です。

 橋下氏は府職員約2000人の移動を強行。東日本大震災で大阪は震度3だったにもかかわらず、庁舎は360カ所も破損、エレベーターロープのからまりで5時間にわたり職員が閉じ込められる事態となりました。日本列島を襲った3日の暴風雨の際も「ふわふわと揺れ」(職員)、エレベーターが6基停止。職員から不安の声がいっそう強まっています。

 もともとWTC移転は大阪城に近い現庁舎の民間売却構想が発端。日本共産党府議団の調べでは、橋下氏は就任後すぐの3月1日、不動産鑑定士に庁舎と駐車場などの府庁の敷地の鑑定を依頼。同月末にまとめられた「報告書」には売却額とともに大口投資家や外資、ファンド、ゼネコンなどの需要が見込めるとしていました。

 「橋下氏は一等地を外資やファンドなどに売り飛ばすつもりだった」(日本共産党の宮原威府議団長)のです。

 橋下氏と「維新の会」はWTC移転の大失敗になんの反省もなく、ダブル選後に設置した府市統合本部で大阪市の財産の切り売りや民営化をすすめています。

浄水場の売却で再開発を狙うが

 水道の「経営統合」と称し狙われているのが柴島(くにじま)浄水場の売却です。市水道局が新大阪の東にもっている約46ヘクタールの土地(甲子園球場の12倍)を再開発のために売り飛ばそうというもの。

 しかし、採算性は全くありません。売って入るのは約700億円。出ていくのは、施設の撤去に約400億円。配管付け替えの設備投資に約3300億円。約3000億円のマイナスです。

 誰のために、どのような方向で進めているのか。特別顧問や特別参与のメンバーをみれば一目瞭然です。

 特別顧問の中心には、大手コンサルティング会社「マッキンゼー」の共同経営者だった上山信一慶応義塾大教授や堺屋太一元経済企画庁長官など「四天王」と呼ばれる極端な新自由主義者…。他の特別顧問や特別参与にも財界・大企業やグローバル資本の“代弁者”が目立ちます。

市営地下鉄は黒字でも民営化

 市民の財産である黒字の市営地下鉄も民営化が既定路線に。橋下氏は4月から市交通局長に京福電鉄(京都市)前副社長の藤本昌信氏を据え、民営化に導くよう指示しています。

 市営地下鉄の民営化を協議するプロジェクトチームには、4月4日付で特別参与に委嘱された関西の私鉄5社の幹部ら12人がずらり。南海電鉄の事業戦略部長をはじめ阪急、阪神、京阪、近鉄と各社の現職の部課長らが名を連ねています。

 これには関西財界からも「経済界が提言していた民営化がやっと実現に近づいた」(大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭)と歓迎されていることが報じられています。(「産経」)


各氏の氏名・肩書一覧 野村修也・弁護士(特別顧問の任期は9日まで延長され、現在は退任)、堺屋太一・元経済企画庁長官、上山信一・慶応大学教授、原英史・政策工房社長(元渡辺喜美行政改革相補佐官)、古賀茂明・元公務員制度改革推進本部事務局、高橋洋一・嘉悦大教授(元財務官僚、竹中元経財相補佐官)、北岡伸一・政策研究大学院大学教授(元東大教授、元国連大使)、石原慎太郎・東京都知事、竹中平蔵・元経済財政政策担当相(元総務相)、藤本昌信・前京福電鉄副社長

独裁・恐怖政治

◆思想調査 一般国民標的に

  「市長の業務命令」「正確な回答がなされない場合には処分の対象」―。「市長 橋下徹」直筆署名入り文書を添付して始まったのが「労使関係に関する職員のアンケート調査」。2月9日のことでした。

 質問は22項目。回答は市役所のコンピューターネットワークを使用してのものが大半で、順に答えないと次の質問項目に進めない仕掛けを施して質問全部に答えさせる念の入れようでした。

 質問内容は個人の思想信条にかかわるもののオンパレード。▽労組参加の有無▽特定の政治家を応援する活動(街頭演説を聞くことも含む)への参加の有無▽自主的参加か誘われてのものか―など。

 「誘った人」の名前や「誘われた場所・時間帯」を問う項目もあります。「誘った人」は「組合以外の者」も対象で、市職員からは「役所に出入りする民間業者や、近所の人の氏名まで書くのか」といった声があがりました。これはもう、一般国民を標的にした「思想調査」以外の何物でもありません。

 日弁連会長など各界からの批判が相次ぎ、調査責任者の野村修也特別顧問は4月6日、回収データを未開封のまま廃棄しました。それでもなお、橋下市長は謝罪を拒否しています。

◆捏造リスト 開き直りの答弁

 就任後から一貫して橋下市長は内部告発を奨励し、「目安箱」なる市長直結の告発文書受付制度まで始めました。(4月12日現在で190通)

 こうした“密告”奨励は「捏造(ねつぞう)リスト」騒動を引き起こします。「大阪維新の会」の杉村幸太郎市議は2月6日、昨年の大阪市長選における市交通局職員の“選挙関与リスト”を公表、「(リストは)交通局と組合が組織ぐるみで市長選に関与していたことを裏付けるもの」などと労組攻撃に利用しました。発表直後の同9日に、「思想調査」が橋下市長によって指示されました。

 「捏造リスト」は交通局の嘱託職員(3月27日解職)によって作成されたもの。市交通局の調査により3月26日、捏造が確認されました。

 ところが橋下市長は同日、「議員が議会で取り上げるのは当然」と杉村市議をかばい、4月2日の記者会見で議員の責任を質問されると、「それを言うなら、委員会を全部非公開にしていいのか。そうすれば何も表にはでない」と開き直りました。

◆公務員攻撃 「顔色うかがえ」

 「職員が民意を語ることは許しません」。橋下市長は就任後の初の施政方針演説(昨年12月28日)でこう言い放ちました。年が明けた年頭会見(1月4日)には、市長選に関与した職員がいたとして「本当なら身分を失うところだ。仕事があるだけありがたいと思え」と攻撃をエスカレートさせました。

 府につづき、市でも教育・職員基本2条例制定をめざす橋下市長は2条例案を議会に提出。職員条例案の審議では、「(市役所で)市長の顔色をうかがわないで誰の顔色をうかがうのか」と答弁。

 2日の市新規職員発令式では、「みなさんは国民に命令する立場に立つんです」「命令を出すなんて公権力をもったみなさんしかできない」などとのべました。

 公務員を「全体の奉仕者」から国民への「命令者」へ、その「命令者」を「首長の下僕」にする―公務員攻撃をエスカレートさせる一方で、最悪の公務員づくりに走っているのです。

◆「君が代」強制 口元をチェック

 橋下氏は府市ともに「日の丸・君が代強制条例」を制定し、強制を強めています。

 府立和泉高校の卒業式で、橋下市長が府知事時代に年齢制限を大幅に下げて公募採用した友人の校長が、君が代斉唱時に「口パク」チェック(歌っている口元の調査)をしたことがニュースになりました。

 不起立の教員が出た学校では、校長が保護者に「説明会」を開くまでに。父母や生徒まで「君が代」が強制される重苦しい雰囲気がつくられています。

 「口パク」チェックにとどまらず橋下市長は「君が代」を歌う姿勢まで問題視するようになっています。

 「先生たちは手を前に組んで休めの姿勢でうたっていた。なかには花粉症なのかマスクをした人もいた。これはちがう」(3月24日、維新政治塾開講式でのあいさつ)

 4月2日の発令式でも、橋下市長は「君が代斉唱の時は手は横、気をつけ」と語りました。

 (この特集は、豊田栄光、藤原直、大阪府・小浜明代が担当しました)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって