2012年4月22日(日)
エジプト 数十万人デモ
民政移管を速やかに
大統領選まで1カ月 30政党・組織が共同
【カイロ=小泉大介】昨年初めに起きた「革命」後の民主化プロセスの“集大成”ともいえる大統領選挙を約1カ月後に控えたエジプトで20日、現在も実権を握る軍最高評議会が選挙後に速やかに民政移管するよう求める超党派のデモが各地で行われました。参加者は数十万人にふくれあがり、「われわれの手で革命を成就させよう」などの声を上げました。
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首都カイロのタハリール広場。「革命」の主要舞台となった同広場に、市内各地からデモ行進をしながら次々に人々が集結しました。中には、スエズ運河北端のポートサイドから3日間かけて到着した人々もいました。
大群衆の中で何度も拳を突き上げていたのは、装飾デザイナーの女性、ラミアー・ソッカリさん(25)。昨年11月の軍政反対デモに参加した弟が治安部隊の弾圧で命を落としたといいます。
「弟は亡くなる間際に私に、軍政反対、前政権指導部の復権反対のためにデモを続けてほしいといいました。私は今日、この弟のメッセージをみんなに伝えるためにこの広場に来ました。私たちは自由と権利実現のため、革命を続けなければなりません」
今回のデモの中心となったのは、「革命」を主導した青年らをはじめとする約30の政党・組織で、ムスリム同胞団などイスラム主義勢力も加わりました。リベラル・左派勢力とイスラム主義勢力との間では、イスラム主義勢力側が憲法制定委員会の委員の7割を独占しようとしたことなどをめぐり「対立」が表面化していますが、軍政の早期終了という点では方向性は一致しています。
幅広いデモ参加者を象徴するように、そこにはサッカーの元エジプト代表チームのゴールキーパー、ナデル・サイードさん(40)の姿もありました。
「私が参加したのは、革命に託した国民の願いがいまだ実現していないからです。私たちにはパン、自由、社会的正義が必要ですが、まだ手の届かないところにあります。その障害は軍最高評議会であり、もしこれからも国民に背を向けるようなことがあれば、さらなるたたかいを目の当たりにすることになるでしょう」