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2012年4月16日(月)

再稼働の「脅し」でなく
電力不足回避の対策を

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 政府は、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を「電力不足がさけられない」などとして「必要」と判断しました。しかし、福島原発事故のあとで、いま政府が行うべきは、事故原因の徹底究明であり、それなしの再稼働押し付けは論外です。電力供給についていうなら、電力不足を避ける対策を国民とともに探求することこそ必要です。事故原因の究明もない一方、電力不足の対策に真剣に向き合ってきたかは疑問だらけです。

 経済産業省が13日の4大臣会合に提出した資料では、電力使用を削減する見返りに電気料金の割引などをする需給調整契約の拡大などの省エネ誘導策は今後の取り組みとして、先送りしています。資料で示された、今夏の原発が再稼働しない場合の関西電力管内の電力需給見通しは、9日に関電が提出した試算に、若干の注文をつけて供給力をわずかに積み増ししただけ。たった4日間で修正したものでした。

専門家の意見

 関電の「需給見通し」について専門家からは、省エネ誘導策や他の電力会社からの電気の融通、揚水発電の効果的活用などが考慮されておらず、関電が主張する電力不足は解決できるとする意見が多く出されています。民主党内の議論でも疑問や異論が噴出しています。菅直人前首相でさえ「足りない、足りないと言うのは、需要者側ではなく、供給側(電力会社)だ」(12日の「脱原発ロードマップを考える会」の会合)と述べるほどです。

 「需給見通し」の、関西電力管内の需要(見通し)は、昨年の事故以降の東電管内のような電力使用制限令などの節電努力を計算に含めていません。東電管内では昨年夏(8月)、電力の最大需要(ピーク)比でマイナス18%の節電実績をあげています。仮に関西でこれだけの節電ができるとなると、関電がいう供給力(見通し)2525万〜2631万キロワットに対してピークは2538万キロワット。よほど猛暑にならなければ電力不足は起きないことになります。

 しかも、電力不足があるとしても、それはあくまでピーク時だけ。関西電力が公表している昨年夏(8月)の需要実績とことしの供給力(見通し)を比べると、ピーク時に需要が上回るのは、1カ月のうち5日間19時間、猛暑の場合でも13日間71時間にすぎません。

再稼働ありき

 枝野幸男経済産業相は13日の記者会見で「楽観論に軽々にくみしない」「日本産業の屋台骨を揺るがす可能性が大変大きい」と国民を脅しました。しかし、いま浮き彫りになっているのは、あれだけの悲惨な事故のあとでも原発の安全神話の楽観論にくみし、再稼働ありきで国民を危険にさらす無責任な政府の姿です。政府は、需給調整契約の拡大など先送りした省エネ対策や供給力の積み増しの検証などを早急に進めるべきです。(藤川良太)


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