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2012年3月26日(月)

耐性試験 土台揺らぐ

“大飯”再稼働「妥当」でも…

活断層連動の考慮不十分

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 関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機のストレステスト(耐性試験)の1次評価について、経済産業省原子力安全・保安院の「妥当」という評価を原子力安全委員会が了承したのを受けて、政府、電力会社は再稼働に向けた動きを強めています。しかし、原発の耐震評価の土台となる想定される地震による最大の揺れ、基準地震動の評価が複数の原子炉で見直される可能性があります。


■方針見直し

 保安院は、東北地方太平洋沖地震を受けて地震・津波に関する意見聴取会を設置。そこでの専門家からの指摘で、これまで5キロ以上離れた活断層の連動は考えなくてよいとされていた方針を見直し、各電力会社などに活断層の連動に関して再度検討するよう指示しました。複数の活断層が同時に動く連動が起きれば、これまでの想定を上回る揺れが発生する可能性もあります。

 電力会社などは2月、保安院に検討結果を報告。大飯原発をはじめ廃止措置が進められている新型転換炉「ふげん」を含めて15基の原発が集中する福井県の若狭地域について、関西電力、日本原子力発電、日本原子力研究開発機構が、新たに連動を考慮するものはないと回答していました。しかし、報告を受けた意見聴取会では、電力会社などの説明に「根拠が不十分」などの意見が相次いでいます。

 問題となっているのは、敦賀原発の敷地を通過する浦底断層自体の長さや南方の断層との連動の評価。大飯原発近くの海底を通るFO―B断層、FO―A断層と陸の熊川断層との連動、美浜原発や「もんじゅ」近くを通る海底断層と南方の断層との連動をめぐる評価などです。専門家からは、「これだけ活断層が複雑にあると、連動しないという方が無理」などと指摘されました。

 関西電力は、大飯原発近くの二つの海底断層と熊川断層が連動した場合についての解析結果を報告しています。

 それによると大飯原発で基準地震動を上回る揺れが生じますが、ストレステストで示した基準地震動の1・8倍の余裕内におさまるとしています。しかし、詳しい計算内容が示されていないため、保安院は再報告するよう求めました。

 日本原電は、東海第2原発(茨城県東海村)近くの2カ所で活断層の「連動の可能性は否定できない」と報告しました。新たに調査・検討を実施するとしています。

■北海道でも

 北海道電力の泊原発(北海道泊村)では、保安院の指示以前に断層の連動の評価が問題になっていました。

 同原発敷地沖の約40キロ西にある断層群などの連動性が指摘されたことから、北電は8日、海底の活断層の長さを98キロとして考慮、また南方陸域の断層(約66キロ)と連動した場合の地震動も評価する方針を明らかにしました。

 当初、北電は断層の連動の可能性が指摘されると、連動を考慮し81キロにわたって評価するという方針を示していました。しかし、専門家からさらに南へ延長する可能性が指摘され、90キロに延長。この方針についても、専門家から不十分とされていました。

 このほかの電力各社は、新たに活断層の連動を考慮する必要はないなどとする報告を行っていました。しかし、北陸電力志賀原発や東京電力柏崎刈羽原発近くの活断層などについて、意見聴取会で、複数の専門家から連動の可能性を考慮する必要があるとする声が相次ぎました。保安院は、28日に開かれる次回会合を受けて、これらについての評価をまとめます。

 (松沼環)

図

(写真)(図は保安院に提出された資料から作成)


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