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2012年3月18日(日)

主張

がれき「広域処理」

政府は責任をもった方策を

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 東日本大震災により、ぼう大な災害がれきが発生しました。岩手県で約476万トン、宮城県で約1569万トンとなっており、それまで両県で年間に排出されてきた一般廃棄物の10倍、20倍にあたる量です。

 災害がれきは、いまも山積み状態となっており、岩手県、宮城県の被災地の復興の大きな障害となっています。

放射能への対策こそ

 災害がれきをできるだけすみやかに処理することは、被災地の復興にとって最重要の課題であることは言うまでもありません。

 ぼう大ながれき処理を被災地だけで行うことは困難です。政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、被災県以外の協力を得て、「広域処理」をすすめることが必要です。政府は、その方策を責任をもってすすめていくべきです。

 多くの国民が被災県のがれき処理を望んでいますが、ほとんどすすんでいない状況にあります。最大の障害は、政府が放射性物質への対策を真剣に行っていないことにあります。

 福島原発事故による放射性物質の拡散は、東日本の広範な地域に及び、それは被災県も例外ではありません。政府は、被災県以外の自治体にがれき処理を要請し、4月6日までに検討結果を求めています。「広域処理」を受け入れ先の住民の合意を得てすすめていくうえで、いま必要なことは、政府が、がれきに放射性物質が含まれることへの対策を真剣に講じることです。

 政府は、がれきのうち、特別に管理が必要な指定廃棄物は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計で1キログラム当たり8000ベクレル以上のものと定めています。これを超えるものは、国が処理することになっていますが、これ以下のものは、放射性物質が含まれていても、指定廃棄物とされないため、一般廃棄物と同様の扱いとされ、まともな対策が講じられていません。

 そのため、がれきの処理にあたって、焼却のさいの排気によって放射性物質が拡散するのではないか、飛灰の処理をどうするのか、あるいは、廃棄物や焼却灰の埋め立て処分場周辺の放射線量が高くなることや、雨水・地下水などでもれださないかなどの心配が出されています。こうした懸念や不安にきちんとこたえなければなりません。

 現在の8000ベクレル/キログラムという基準は、昨年6月の段階で原子力安全委員会が「当面の考え方」として示したものに準拠して審議されただけのものです。これは、政府の試算でも廃棄物の処理に携わる作業者に年間1ミリシーベルト近い被ばくを容認するものです。住民の健康と安全を守る立場で、放射性物質で汚染された廃棄物の基準と、放射線防護対策を抜本的に見直し、強化する必要があります。

基準と対策抜本見直しを

 「広域処理」にあたっては、政府が、こうした基準や対策を抜本的に見直して、住民の納得を得るとともに、受け入れ自治体にたいして、財政面を含む全面的支援を行う必要があります。

 東日本大震災と原発事故という未曽有の被災からの復興をすすめるために、政府が本腰を入れて取り組むことを強く求めます。


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