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2012年2月21日(火)

橋下「思想調査」 ここが問題

確定判決から見て違憲性は明らかだ

川崎・購読調査裁判弁護団・弁護士 堀浩介さん

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 違憲・違法の行為だと大問題になっている橋下徹大阪市長の「思想調査」について、昨年秋に判決が確定した川崎市職員機関紙購読調査裁判について同裁判弁護団の堀浩介弁護士に聞きました。


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 川崎市の職員6人の方々とともにたたかった同市による政党機関紙購読アンケート調査事件の裁判は、昨年9月29日に東京高裁で判決が言い渡されました。その確定した判決に照らしても、今回の大阪市のアンケート調査の違憲・違法性は明らかであると確信しています。

 川崎市では、2003年3月に、指定主査以上の全職員を対象に、公務として、政党機関紙購読に関するアンケート調査が実施されました。そのアンケートでは、政党機関紙(事実上「しんぶん赤旗」)を対象に、市議会議員(事実上「日本共産党市議会議員」)から、購読の勧誘を受けたか、勧誘を受けた職員について、その結果として実際に政党機関紙を購読したのかを問いました。

 アンケート調査自体は匿名で行われ、また、市当局によって、任意の調査であり、回答は強制されないと告知され、アンケート用紙上にもその旨が記載されていました。しかし、原告らと弁護団は、このアンケートが阿部孝夫同市長の市議会における答弁により実施されたこと、アンケート用紙が業務時間中、職場単位に、各職場の職制上の上長から配布されたこと、原告ら各自の職場における「しんぶん赤旗」の購読状況、ずさんな回収方法に照らして、匿名性が担保されていないこと、各原告らにとって、回答に対する強制的な要素を含んでいたことを明らかにしました。

 高裁判決は、政党機関紙を購読したかという質問について、直ちに思想及び良心の自由の侵害とはならないとしながら、「思想及び良心の自由の保障との関係で限界に近い領域にあることは否定できず」と断じました。

 また、高裁判決は、アンケートの強制性に関する私たちの主張は退けましたが、その一方で、ずさんな回収方法により、匿名性が侵害される可能性があったことについては、具体的な権利侵害の発生があったとまでは言えないが、アンケート調査として瑕(か)疵(し)があったことを認めました。

 その上で、高裁判決は、アンケート調査が市長とその対抗勢力の政治的な対立に市職員を巻き込む形で行われたと断じ、アンケートの実施は不適切であったと結論づけました。

 今回の大阪市の調査は、東京高裁の判決から見れば、橋下市長が、その政治的な思惑から、業務命令としてのアンケート調査という形で市職員を巻き込み、市職員に対して、回答者の名前を示させて、思想及び良心の自由を正面から侵害する質問を発し、回答しない者に対する処分を告知して、回答を強制している点で、違憲・違法な調査であることは火を見るよりも明らかです。


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