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2012年1月19日(木)

主張

衆院比例定数削減

増税強行に形(なり)ふり構わぬ暴論

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 民主党が衆院議員の定数について、「1票の格差」是正を理由に小選挙区の定数を「0増5減」するとともに、「社会保障・税一体改革」の実現に絡めて、比例定数を80削減することを決めました。

 民主党の樽床伸二「政治改革」本部長は「議員定数削減なくして社会保障・税一体改革なし」を党の方針として確認したとしています。国民に社会保障改悪と消費税増税の「一体改悪」を押し付けるために、選挙制度のゆがみをいっそう激しくする比例定数の削減を強行するのは根本的に間違いです。消費税増税に絡めた比例定数削減はまさに形(なり)ふり構わぬ暴論です。

民意の反映妨げる削減

 現在の衆院の選挙制度は、1選挙区から1人の議員を選ぶ全国300の小選挙区と、全国11のブロックごとに各党の得票に応じて議席を配分する比例代表の並立制です。小選挙区は大政党に有利で、議席に結びつかない「死に票」が多い、非民主的な選挙制度です。選挙区が細分されるため「1票の格差」も大きくなりやすく、最高裁でも「違憲状態」と批判されるなど、問題は明らかです。

 これに対し、比例代表は「死に票」がなく、投票がすべて議席に結びつき、現行制度では国民の意思が議席に正しく反映される、唯一の制度です。

 1994年に現在の選挙制度が導入された際、すべての議席を小選挙区で選ぶ単純小選挙区制の導入に反対の声が巻き上がり、比例代表と組み合わせることになったのも、小選挙区だけでは民意と議席とのゆがみが大きくなりすぎるからです。比例代表の定数を削減すればゆがみはさらに大きくなります。

 比例定数の削減は、民主党などの年来の主張です。本音は選挙制度をより小選挙区制に近づけ、大政党に有利にするためです。しかも今回、民主党は「社会保障・税一体改革」に絡めて、議員定数の削減や公務員給与の削減を「実施した上で」(閣議決定した「改革素案」)、消費税を増税するという方針を打ち出してきました。絶対に許すことはできません。

 野田佳彦首相は、消費税増税に「政治生命をかける」といい、議員定数削減は「通常国会中に結論を出す」と明言しています。削減法案を成立させるということです。民意をゆがめる比例定数削減を、国民が圧倒的に反対している消費税増税のテコにするのは、国民を二重三重に踏みにじるものです。

 比例定数が80削減されれば、衆院は全体の議席の4分の3近くを小選挙区で選ぶことになり、大政党の支配がいっそう進むことになります。消費税増税反対や環太平洋連携協定(TPP)参加反対の声も国会に届きにくくなります。憲法改悪も、大政党が賛成して強行されかねません。

増税も定数削減も許さぬ

 もともと比例定数の削減が不当なのに、それを消費税増税の前提とするのはまさに異常きわまるやりかたです。選挙制度を改めるなら民意の反映を妨げる現行制度のゆがみの是正こそ必要であり、そのためには比例代表は削減ではなく拡大すべきです。

 通常国会を前に、民主党は「与野党協議」を持ち出してきました。比例定数削減も消費税増税も断念させるため、国民の世論と運動を広げることが急務です。


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