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2011年12月19日(月)

朝鮮王朝儀軌の返還

文化財は元の国に

生かされたユネスコ条約の精神

韓国還収委「日本共産党と連帯」

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 朝鮮王朝(1392年〜1910年)の国家行事を記録した「朝鮮王朝儀軌(ぎき)」が89年ぶりに韓国に返還され、13、16の両日、ソウル市と東北部・江原道で記念式典が行われました。日本の国会議員の中で式典に招待されたのは日本共産党の笠井亮衆院議員だけでした。(ソウル=中村圭吾)


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(写真)五台山史庫に運ばれる儀軌=16日、江原道平昌郡(中村圭吾撮影)

 27人の歴代王を祭る王家の宗教施設「宗廟(そうびょう)」で13日に行われた「告由祭」。祖先に国家の重大事を報告するこの祭礼は、行われること自体が稀(まれ)で、外国人が招かれた例はないといいます。

 笠井氏は、儀軌の返還運動に取り組んできた民間団体「朝鮮王室儀軌還収委員会」の人たちと式典会場で再会。金宜正(キムウィジョン)共同議長らと抱擁を交わしました。金議長は式典でのあいさつで、笠井氏を功労者として紹介。「あまりに一生懸命だったので、前世はこちらの人だったのかもしれません」と語り、会場の笑いを誘いました。

 韓国政府主催の公式行事で日本共産党の国会議員が紹介されるのは初めてのことです。

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 同日、笠井氏は、還収委が開いた「座談会」に出席。日本共産党がこの問題に積極的に取り組んだ理由を問われ、こう語りました。「国際ルールに従って文化遺産を元ある所に戻す、そして歴史問題を清算することは、日本人がやらなければならない課題です。みずからの問題でした」

 日本共産党が儀軌の問題を知るきっかけとなったのは、2006年12月に韓国国会が全会一致で採択した国会決議でした。決議は、儀軌について「朝鮮王室の正統性を受け継いだ韓国と韓民族のアイデンティティーに深くかかわる記録遺産・文化遺産」だと強調。「貴重な文化財は元ある国に戻す」というユネスコ(国連教育科学文化機関)条約の精神に基づき、韓国に返すように求めていました。

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(写真)(上)李総裁と握手する笠井氏(左)=13日、ソウル市(山内聡・笠井議員秘書撮影)

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(写真)(下)式典に出席した笠井氏を抱きしめる金議長=13日、ソウル市(中村圭吾撮影)

 報道を通じて、このことを知った緒方靖夫参院議員(当時)は07年5月、参議院で儀軌について質問。これを契機に、還収委との交流が始まりました。

 韓国には南北分断の下で、反共主義が根強く残っており、還収委内でも、日本共産党との交流については議論がありました。この間の経緯について、還収委の慧門(ヘムン)事務局長は「問題を提起した議員が日本共産党であるのがいささか複雑であったが、日本共産党と連帯すべきだという方向で意見がまとまった」(『儀軌 取り戻した朝鮮の宝物』)と振り返りました。

 07年7月には、日本共産党の紹介で、還収委と外務省の面談が実現。緒方、笠井両氏は、日韓両国の与野党国会議員、政府間でこの問題の共通認識を広げるため奔走しました。

 日本政府は、「韓国併合」100年にあたる昨年8月、植民地支配を謝罪する菅直人首相談話を発表し、儀軌など朝鮮半島由来の図書を引き渡す方針を表明。両国の協定が結ばれ、今年12月6日、儀軌など1205冊の返還が完了しました。

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 朝鮮王朝時代から儀軌を保管していた江原道平昌郡にある月精寺の「五台山史庫」では16日、氷点下20度近い厳寒の中、記念式典が行われ、儀軌が89年ぶりに、故郷の土を踏みました。

 式典に出席し、韓国メディアに囲まれた笠井氏は、2007年8月に緒方氏と五台山を訪問したことなどを紹介。「4年前に住職と交わした『次は儀軌とともに再び来ます』という約束を果たすことができ、本当にうれしい」と語りました。

 儀軌の返還問題を通じて、日本共産党と韓国との交流の幅も広がりました。

 笠井氏は14日、朝鮮王朝第26代国王・高宗のひ孫の李源(イウォン)王室文化院総裁と会談。笠井氏は、1895年に日本の公使の指示のもとで暗殺された明成(ミョンソン)皇后(閔妃(みんぴ))の生家を訪問したことなどに触れながら、李総裁と日韓関係の将来などについて話し合いました。

 李総裁は明成皇后の血縁者としての複雑な思いを語る一方、「和解、協力を進めたいという国民の思いは、日本も韓国も変わらない」と強調。日本共産党の歴史と路線についての笠井氏の話をうなずきながら聞いていた李総裁は、「心を開いて話ができる方、日本のために働いておられる方だと感じました」と感想を語りました。

 16日に月精寺での歓迎行事で笠井氏は、「今回のことが、日韓両国民の真の友好を深め、相互理解を促進し、歴史問題の清算、両国の関係発展につながることを確信しています」と述べ、大きな拍手を受けました。


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