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2011年12月7日(水)

格差是正 富裕層増税で

過去30年で差最高 OECDが提言

フランス・イタリア・スペイン 各国で課税強化

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 経済協力開発機構(OECD)は5日、加盟国での貧富の格差が過去30年間で最高に達したとして、これを是正するために富裕層への増税をすべきだと各国政府に提言しました。


 報告書によると、加盟国全体で上位10%の平均所得は、下位10%の9倍に達しており、伝統的に貧富の格差が小さかったドイツやデンマーク、スウェーデンでも1980年代の5倍から、現在は6倍に広がりました。日本の上位10%の平均所得は下位10%の10倍で、90年代の8倍より広がりました。

 また、OECD加盟国での富裕層が所得全体に占める割合は、80年代から2010年の30年間で上昇。米国では上位1%の富裕層の占める割合が、79年の8%から10年には17%に増大しました。

 報告書は「所得に占める最富裕層の割合の増加は、この集団が、より大きな租税能力を持っていることを示している」と指摘。「富裕層に公正な比率の税を負担させるために、所得再配分における租税の役割を再検討すべきだ」と提言しています。

 OECDのアンヘラ・グリア事務総長は声明で、「格差拡大はけっして必然ではない」と語り、富裕層への増税で格差是正は可能になるとの認識を示しました。

財務省が資料作成

 財務省が、諸外国の富裕層に対する課税強化措置に関する資料をまとめています。

 この資料は、同省が政府税制調査会全体会合に提出した「金融・経済危機を背景とした欧米諸国における議論」とする資料。この中で、諸外国の富裕層に対する課税強化措置を列挙しています。

 フランスは、8月に発表した財政赤字削減計画の中で、利子や配当などの資本所得に関わる社会保障関連諸税を2011年分から12・3%を13・5%へ増税。イタリアは、30万ユーロ(約3120万円)を超える所得に対して、3%の所得付加税(11年〜13年の時限措置)を導入。スペインは、「富裕税の復活に関する勅令法」(11年9月成立)で、70万ユーロを超える資産に対して0・2〜2・5%の富裕税(11年、12年の時限措置)を復活させることを盛り込みました。


欧米の富豪ら「我々に課税を」

 財務省の資料は、欧米の富豪らが「我々に課税を」と主張していることを紹介しています。

 アメリカの著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏は、手記で「超高所得者層への甘やかしの停止」(米紙ニューヨーク・タイムズ8月14日付)を主張。フランスのリリアン・ベタンクール氏(化粧品会社、ロレアル創業者の娘)ら16人の富豪は、週刊誌『ヌーベル・オプセルバトゥール』で、「我々に課税せよ」と嘆願しています。イタリアのルカ・ディ・モンテツェモロ氏(自動車メーカー、フェラーリ社長)は、「高所得者層に要請を行うべきだ」(英紙ガーディアン8月29日付)と述べています。


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