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2011年11月9日(水)

ニカラグア大統領選

オルテガ氏 大差で再選

国会議席 3分の2へ

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 【メキシコ市=菅原啓】ニカラグアの中央選管は7日、6日投票の大統領選でオルテガ現大統領の当選が確定したと発表しました。

 左派政党・サンディニスタ民族解放戦線党(FSLN)を率いるオルテガ氏は開票率86%の段階で、得票率約63%を獲得し、次点の右派野党・独立自由党(PLI)のガデア候補の約31%に大きな差をつけています。オルテガ氏は第1回投票での勝利に必要な得票率40%を確保し、当選確定となりました。

 同時実施の国会議員選(92議席)でも、与党FSLNは20議席以上増やし、全議席の3分の2を制する勢いです。

 オルテガ氏はFSLNの指導者として、1979年、長期にわたるソモサ独裁打倒の革命を成功に導き、84年の大統領選で初当選。90年の選挙では野党連合候補に敗れましたが、06年選挙で返り咲きました。

 ニカラグアの憲法では、現職大統領の再選は禁じられていますが、オルテガ大統領は、この規定は、国民の政治参加の権利を制限するものだとして反対を表明。憲法裁判所が、「憲法が保障する法の下の平等に反する」とこの再選禁止規定を違憲として認定したことから、オルテガ氏の立候補と再選が可能となりました。

 ガデア候補は、今回の選挙中に、与党支持者による暴力や与党が牛耳る選管のもとで、不正が行われたとして、敗北を認めていません。

 国際選挙監視団の中からも、投票所への入場が阻まれ、必要な活動が妨害されたなどの声が上がっています。これに対して、選管側は、選挙はおおむね平穏に実施されたと報告。監視団を派遣した米州機構(OAS)のインスルサ事務総長も7日、選挙結果について「ニカラグアは民主主義と平和を前進させた」とのべ、オルテガ大統領に祝意を伝えました。


解説

社会政策重視に支持

 ニカラグア大統領選で、現職のオルテガ氏が大差で勝利したのは、この政権の進めてきた社会政策重視の政治が多くの国民から支持された結果です。

 オルテガ大統領が率いるサンディニスタ民族解放戦線党(FSLN)は1980年代に政権にあった時代にも、識字率の向上、教育や医療の充実などさまざまな成果を挙げていました。しかし、90年以降の親米右派政権の時代には、新自由主義政策によって、国民生活関連の予算は次々削減されていきました。

 サモラ・スペイン駐在ニカラグア大使は、オルテガ氏が再度政権についた07年当時の荒れ果てた公立病院の状況について、「患者は新聞紙を敷いた上で手術を受けていた」と述懐しています(スペイン紙パイス4日付)。

 オルテガ大統領は、ベネズエラなどの支援を受け、公立病院の再建や医療の無料化にとりくみ、この分野での政策を「180度転換」(サモラ氏)しました。

 こうした社会政策面での成果は、FSLN支持者の枠を超えて国民の多数を占める貧困層に広がりました。世論調査会社の幹部は、45%を占める無党派層の多くがFSLN支持に流れたと分析しています。

 一方、野党側の政権攻撃は、オルテガ氏の立候補資格の正当性に向けられました。同国の憲法は、現職大統領の再選を禁じています(147条)が、結局、憲法裁判所は、オルテガ氏に関してこの規定を適用しないとの異例の判断を下しました。野党側は、そもそも憲法裁判事がオルテガ大統領に指名された与党支持者で占められていることを挙げて、憲法裁判所の判断そのものを受け入れていません。

 また、今回の選挙の中では、野党支持者や政権に批判的な人物が投票に必要な選挙登録証の発行を拒否されたという事例も数多く報じられています。 (メキシコ市=菅原啓)


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