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2011年11月5日(土)

主張

消費税「国際公約」

日本国民は首相の眼中にない

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 フランス・カンヌの20カ国・地域(G20)首脳会議で、野田佳彦首相は2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる方針を表明しました。

 庶民増税に執着する首相は以前から“ミスター増税”と呼ばれています。しかし、首相就任以来、消費税率10%への増税について、その必要性や暮らしへの影響など、首相の口から国民に対しては何の説明もありません。

 国民には何ら具体的に語らず、国際会議で一方的に消費税率10%を「公約」する―。日本国民が眼中にないやり方です。

語るべきは失政の教訓

 金融・経済危機への対応でヨーロッパとアメリカは財政赤字を拡大し、歳出削減や国民への負担増など財政危機への対応で景気悪化と失業問題に苦しんでいます。経済が立ち直らない限り財政危機を打開する道も見いだせない困難な局面です。

 日本も苦い経験をしています。20年前のバブル経済の崩壊後の対応と財政再建の失敗の経験です。

 政府はバブル崩壊後、アメリカと財界の要求に従って大型公共事業に湯水のように税金をつぎ込みました。さらに大企業・大銀行への減税や公的資金投入で財政赤字を積み上げた揚げ句に「財政危機」を宣言し、消費税増税、医療費値上げなど国民負担増路線に突き進みました。その結果、日本経済は大不況に陥り、財政赤字をいっそう膨らませています。

 暮らしを痛めつける財政再建策は内需を冷え込ませ、税収を減らして赤字を拡大する―。いま世界に伝えるべきなのは日本の痛切な大失政の経験と教訓です。

 民主党は野党時代には、かつての失政を批判したこともありました。2009年に政権に就いたときの総選挙では消費税を増税しないと国民に公約もしていました。その公約を完全に裏切って、しかも国民の頭越しに消費税10%への増税を「国際公約」したことは、本末転倒の極みです。

 首相は1週間前の所信表明演説で、歳出削減と経済成長による増収の努力を尽くして「足らざる部分について、初めて『歳入改革の道』がある」とのべています。

 米軍「思いやり」予算など軍事費を温存し、政党助成金すら減らそうとしないでムダの削減に努力をしたとはとても言えません。それどころか、大金持ちに奉仕する証券優遇税制を継続し、一部の大企業を潤す新たな法人税減税を強行しようとするなどムダを広げています。

 最低賃金の大幅引き上げを怠り、労働者派遣法の改正も先送りし、社会保障は削減路線を続けています。内需拡大に完全に逆行し、経済成長による増収の努力など“どこ吹く風”です。

暮らし最優先への転換

 暮らしを破壊する消費税増税は、経済と財政の悪化の悪循環の繰り返しへの道です。

 財政危機の打開は、経済の立て直しと一体で取り組んでこそ初めて解決の道が開かれます。その最大のカギは、大企業応援から暮らし最優先の経済・財政政策への転換にあります。

 野田首相の発言はあまりにも軽く、何より国民に対する誠意が感じられません。これでは国際会議でも重きを置かれるはずはなく、軽んじられるだけではないでしょうか。


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