2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

32、教育

「世界最低水準の教育予算の引き上げ・重すぎる教育費負担の軽減」「ゆきすぎた競争主義からの脱却」「〝上からのしめつけ〟をやめ子どもの権利と教育の自主性を保障する」――この立場から教育を立て直します

2014年11月


 子どもたちの学びを支えるため、日本共産党は「世界最低水準の教育予算の引き上げ・重すぎる教育費負担の軽減」「ゆきすぎた競争主義からの脱却」「〝上か らのしめつけ〟をやめ子どもの権利と教育の自主性を保障する」という立場から、教育を立て直します。そのために、憲法と子どもの権利条約の精神を教育に生 かします。

 ところが安倍政権はどうでしょうか。教育予算をきり縮め、ついには予算をにぎる財務省が「40人学級にもどせ」「大学の学費を 値上げしろ」と言いはじめました。その一方で「お金はださずに口はだす」と言わんばかりに「平和教育はやめろ」「もっと競争を」と教育への介入をつよめて います。それは、「海外で戦争をする国」「弱肉強食の経済社会」という支配層の国策に従う人づくりのためです。

 日本共産党は、こうした危険な動きに正面から対決し、すべての子どもたちが人間として大切にされ、豊かに成長・発達できるような教育をめざします。

▼「40人学級にもどせ」などとんでもない。少人数学級に踏み切る一点での共同をひろげ、実現させます

 今年10月、予算編成をすすめる財務省が「35人学級は効果がない。来年から40人学級に戻せ」と言いだしました。大多数の教育関係者、国民が反対の声をあげています。少人数学級をすすめるのか、元に戻すのか、選挙の大きな争点です。

安倍政権が暴走

  35人学級は2011年に小1で実現、2012年に小2(※)に広がりました。ところがその直後にうまれた安倍政権が、それ以上の学年への35人学級の拡 大をとめてしまいました。そしてついに財務省が「40人学級にもどせ」と言いだしたのです。とんでもない暴走です。選挙と世論で変えるしかありません。 (※小2は法律化されず予算上の措置のみで実施)

少人数学級推進の一点で共同を広げ法案を成立させます

  少人数の方が子どもをていねいにみられることは明らかです。文部科学省さえ、少人数学級の良さを認めています。日本共産党は少人数学級推進の一点で共同を ひろげ、他党とも協力し、少人数学級推進の法律を制定するため全力をつくします。同時に、高校に少人数学級をひろげます。

 

▼ブラック化している学生奨学金の改革を急ぎます

  2012年、共産党が長年要求してきた国際人権規約「高校と大学の段階的無償化」条項への留保の撤回が実現しました。ところが「世界一の高学費」の大学は そのまま放置されています。とくに奨学金は欧米では返済なしの給付制が主流ですが、日本では有利子が大半です。そのため、「将来返せるか不安」「返済する ために仕方なくブラック企業に勤める」「返済が困難でも脅しで取り立てられる」など深刻な実態がひろがっています。①「奨学金」というならすべて無利子に する、②収入が少ない人への返済の減免制度など返済に困ったときのセーフティネットをつくる、③先進国にはすべてある返済不要の給付制奨学金を創設するの 三つの転換で、奨学金を安心して借りられる制度にします。(教育費負担軽減策の全体はこちらへ)

 

▼いじめも体罰もない学校を

いじめのない学校と社会を…… 私たちは、一昨年11月28日に、「『いじめ』のない学校と社会を――日本共産党の提案」を発表し、各地で懇談・対話を重ね、いじめや体罰問題のシンポジ ウムを開いてきました。被害者や関係者の声を正面から受け止め、①目の前のいじめからかけがえのない子どもの命と心身を守りきるとりくみ、②根本的な対策 として、いじめの深刻化を教育や社会の問題ととらえ、その改革をすすめるとりくみを進めます。
詳しくはこちらを→(いじめ問題に関わる法制化についての日本共産党の見解 2013年6月3日)
(「いじめ」のない学校と社会を 日本共産党の提案 2012年11月28日)

 

学校から体罰をなくします…… 肉体的な苦痛や恐怖で子どもを服従させることは、成長途上の子どもたちの体だけでなく、心に複雑で深い傷を残します。法律で明確に禁じられているにもかか わらず、少なくない学校で教員による体罰・暴力がいまだにあることは、日本の教育の重大な欠陥です。ところが自民党など政界の一部には、体罰・暴力を容認 する潮流があります。自民党の国会議員は文部科学大臣政務官として、体罰による自殺事件があった大阪にわざわざ出かけ、「ありうる体罰とそうじゃない体罰 の線引きが必要」と発言し、大きな問題となりました。日本共産党はこうした風潮を許さず、なぜ体罰がいけないのか、多くの人々と根本から考えあい、学校か ら体罰・暴力をなくすために全力をつくします。

 

▼競争主義としめつけの「安倍教育再生」から子どもと教育を守ります

学力形成に有害な全国学力テストを廃止します…… 全国学力テストがはじまってから各地で学校が平均点競争に走らされ、「平均点を上げるため先生が正解を教える」「ドリルばかりでほんらいの授業がおろそか になる」など問題が噴出しています。学力形成に有害な全国学力テストを廃止し、学力の全国的調査は抽出調査とします。面白く分かる自主的な授業づくり、学 習のおくれがちな子どもへのケアを手厚くするなどほんらいの学力形成をすすめます。

国定道徳の押しつけでなく、市民道徳の教育を…… 安倍首相は愛国心教育を強調し、「道徳の教科化」をすすめようとしています。しかしそれは、教科書検定などを通じて国に都合のいい愛国心などを押しつけよ うというものです。しかも文科大臣は戦前「お国のために血を流せ」と教えた教育勅語を「しごくまっとう」と礼賛している人物です。私たちはこのような国定 道徳の押しつけに反対し、すべての人に人間の尊厳があるという民主主義を土台にし、子ども自身の選択による価値観形成を大切にする市民道徳の教育を提案し ます。愛国心も戦前の偏狭な愛国心の問題を伝えてこそ、世界の人々と共生できるものとなりえます。憲法や子どもの権利条約などの学習、身の回りの問題をみ んなで解決していくクラス討論や学校行事などの自治活動、すべての授業や生活で子どもが人間として大切にされ体罰などがきびしく批判されること、そうした 教育全体をとおした道徳教育を尊重します。「道徳の時間」はそれらの一つとして位置づけてこそ有効なものになります。

侵略戦争を美化する教育の押しつけを許しません…… 安倍首相は「日本軍慰安婦などなかった」「日本の戦争は自存自衛とアジア解放が目的」などが持論の、国際的には通用しない特異な右翼的立場の政治家です。 閣僚の多くも同様で、ヘイトスピーチの「在特会」と閣僚との親しい関係などの問題もおきました。こうした特異な立場に基づく教科書や教育現場への圧力を許 さず、侵略戦争と植民地支配の歴史的な事実と反省を子どもに伝える教育を大切にします。そうした教育こそ、日本の子どもの人間的な誠実さや真の誇りをはぐ くみ、世界・アジアの人々と肩を並べて生きていく子どもが育ちます。

 

▼不登校の子どもの学びと自立を温かく支援します

  不登校の子どもが11万人を超えているのは、日本の学校がいぜんとして息苦しい場となっていることを示しています。競争主義や管理的な社会や教育制度にこ そ問題があるわけで、不登校を本人や家庭の責任ととらえることはまちがいです。むしろ子どもが安心して過ごせる代替え的(オルタナティブ)な場が必要に なっています。安心できる応答的な人間関係、創造的に学べる教育が保障されることが大切です。そうした場は、学校教育にもよい影響を与えます。

  「不登校ゼロ作戦」など学校復帰を前提とした、子どもや親をおいつめる施策をやめさせ、学校以外の学びの場をきちんと認めます。相談しやすい窓口を拡充す るとともに、親の会、フリースクールなどの支援団体や家庭への公的支援をつよめます。子どもの「最善の利益」の立場から、学校復帰より一人ひとりの子ども の学びと人間的自立を優先させ、そのための様々な場での教育にたいし、学校と同等の公的支援をめざします。

 

▼教職員の「超多忙化」「非正規化」の解決へ力をつくします

朝 7時から夜9時、10時まで働き、土日も仕事。しかも一番やりたい授業準備や子どもとむきあう時間がとれない――教員の54%が過労死ライン、31%が過 労死警戒ラインで働いています(全教調査)。国際調査でも日本の教員の勤務時間は最長です。さらに全教員の16.5%をしめている臨時教員は担任などの仕 事をしているにもかかわらず、低賃金で来年の契約があるかどうか分かりません。先生たちのこうした状態は、子どものことを考えても一刻も早く解決すべき深 刻な問題です。

「超多忙化」の解決へ……①「授業時数の確保」のかけ声で国基準以上に過度に増やしすぎ た授業時数を減らし、採点など教育に必要な時間を勤務時間内に確保する、②授業準備や子どもと向き合うことに力が注げるよう、報告書類やおしつけられた不 要不急の仕事などを思い切って省いたり、簡略化できるようにする、③子ども対応や地域行事などによる超過勤務の回復措置など労働安全の法令を守らせ徹底す る、④部活動について土日どちらかを休みとするなど過熱化をおさえるルールを確立することを提案します。これらは現行制度のもとでも教育委員会などがやる 気になれば直ちに実現できることです。抜本改革として、教職員の定数増、超過勤務手当制度の創設をおこないます。

臨時教員の待遇改善・正規化へ…… 臨時教員が暮らしていけるだけの給与に引き上げます。病休・有休取得、職員会議の参加などでの差別を禁止します。臨時教員急増をまねいた「定数崩し」の制 度(※)を見直した臨時教員比率の上限を設定し正規化をすすめます。また自公政権が定数改善計画を廃止しことで、都道府県や政令市が正規採用の見通しをも てなくなっています。計画を策定し、正規採用がすすみやすくします。(※小泉政権時に行われた正規教員給与の予算を臨時教員に使えるようにした規制緩和)

 

▼さまざまな教育条件の整備(少人数学級はこちら)

  日本の教育予算の水準(GDP比3.6%)はOECD諸国最下位で、OECD平均(5%)の7割にも達していません。そのため日本はヨーロッパとくらべ教 育条件が大きく立ち遅れています。財界が「もっと教育予算を削れ」と圧力をかけ、歴代の政権がその言いなりになってきた結果です。いま圧倒的多数の教育関 係者は一致して教育予算の増額を求めています。教育予算をOECD平均の5%に引き上げ、日本の教育条件を抜本的に拡充します。

学校の一方的統廃合に反対します…… 政府は、教育予算削減のために学校統廃合の推進を打ちだしました。しかし、小規模な学校は子ども一人ひとりに目が行き届くなどの優れた面があります。そう した条件をこわし、子どもの通学を困難にし、地域の教育力を弱める、子どもの集中でマンモス化するなど子どもの学習権を後退させ、地域の文化、コミュニ ティの拠点を奪う、学校の一方的統廃合に反対します。安倍政権のすすめる「小中一貫校」構想は、学校統廃合をすすめ教育予算を抑制することがねらいです。 しかも小学校高学年の自覚などこれまであった子どもの成長に有益なものが失われる、学校がマンモス化する、中学の管理・テストのしくみが小学校に拡大する など多くの問題をかかえています。まともな教育効果の見通しのもないまま、経済効率のための「小中一貫校」に反対します。

特別支援教育・障害児教育を拡充します…… 特別支援学校や特別支援学級などに在籍する子どもたちが急増しているにもかかわらず、それに必要な条件整備が図られていないため、各地で「教室をカーテン で仕切って二学級が使う」「できるだけ音を出さない音楽」「できるだけ体を動かさない体育」など小中学校では考えられないような事態がおきています。設置 基準を設け、こうした劣悪な条件を改善するために全力をあげます。

 特別支援学校は特別支援教育体制への移行により、小中学校での教育にも一定の役割をはたすことになりました。ところがそれに伴う増員がなく、多くの矛盾がうまれています。教員定数を増やすとともに、小規模分散の地域密着型をめざします。

  特別支援学級は子どもたちの障害の複雑化に対応するため、教員を増員します。通級指導教室の編制基準をもうけ、必要な教員を配置します。通学の保障をすす めます。医療・福祉など専門機関とのネットワーク、巡回相談など地域全体の支援体制をつよめます。「子どもの最大限の発達」や「社会への完全かつ効果的な 参加」を目標とするインクルーシブ教育(国連の障害者権利条約)の立場から、日本の教育制度がインクルーシブ教育にふさわしいものとなるよう、国民的な合 意形成をはかり、改善を進めます。(詳しくは、「障害のある子どもたちの教育条件を改善するための緊急提案」をご参照ください)

学校耐震化、防災拠点としての整備をすすめる…… 東日本大震災はあらためて、学校の防災拠点としての重要性を明らかにしました。しかし少なくない学校で避難所・防災拠点として必要な水や燃料、毛布などの 整備が十分ではありません。国の制度を確立し、整備を進めます。学校の耐震化はある程度進みましたが、いまだに約1割の学校が対策を講じられていないと考 えられ、一刻も早い対策が求められています。また、地震の際には天井材、内外装材、照明器具、窓ガラスなどの非構造部材にも被害が生じ、子どもらへの重大 事故につながりかねません。ところが、非構造部材の対策を行っている学校は全体で3割程度にとどまっています(2012年4月1日現在)。耐震化の遅れの 背景には、地方財政の逼迫があります。国の予算を増額し、全ての耐震調査・耐震化工事への補助率と補助単価をひきあげるなど、保育園や幼稚園も含めて遅れ た耐震化を確実に進めるようにします。

公立図書館を充実させます。

生活圏域に図書館を設 置し、司書の配置、資料費の増額を図り、知る権利の保障と生活、生業に資する運営を行えるよう整備します。図書館サービスと機能の変質につながる指定管理 者制度導入、利用者に接する業務への委託に反対します。図書館未設置の市町村を無くすためにも、凍結となっている国の補助金復活など財政措置をさせます。

学校図書館に学校司書を配置します。

学 校図書館に専任・専門・正規の学校司書を配置できるよう国の財政措置を充実させます。学校図書館は、子どもたちに豊かな読書、調べる楽しみ、知る喜びをあ たえ、教師には豊かな授業展開のための情報や資料を提供します。「はだしのゲン」の排除など特定のイデオロギーに基づく動きや、読書を強制するような政治 的介入は許しません。

学校給食を拡充します……安全で豊かな学校給食のために、給食の安全性や質の確保 の上で問題の多い民間委託を見直し、地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校給食費の未払いをすべて保護 者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。

保健室を充実させます……学校の保健室は、医師、カウンセラーなどの専門家と連携して、子どもの心身を支える、多様でかけがえのない役割を果たしています。養護教諭の複数配置をすすめるなど拡充をすすめます。

学童保育などの拡充をすすめます…… 共働き家庭やひとり親家庭が増えるなかで、小学生の放課後の生活と安全を保障する学童保育の役割はいっそう大きくなっています。この間、政府は学童保育の 増設をすすめましたが、2012年度の待機児童は5年ぶりに増加に転じ7251人、厚生労働省の「放課後児童クラブ運営指針」が示す上限の71人を超える 過密な施設も増加し1251施設となりました。また、全体の一割弱の市町村が学童保育を実施していません。学童保育はまだまだ不足しています。希望する子 どもが全員入所できるよう施設整備費を大幅にふやし、学童保育の新・増設をすすめます。その際、数を確保するだけでなく、子どもたちに負担を強いる大規模 化を解消し、適正規模化(40人)をすすめます。

 必要な子どもがすべて学童保育に通うことができるように、高学年や特別支援学校の子どもが学童保育の対象であることを明確化します。保育料の減免を制度化し必要な財政措置を行います。

  厚生労働省は「放課後児童クラブ運営指針」を定め、適正な規模を示しましたが、施設の広さや職員の配置がきわめて不十分です。「遊びと生活の場」にふさわ しく、専任の常勤職員の複数配置、施設の広さや設備など、安心して生活できる設置・運営基準を法的拘束力のある基準として定めます。障害児の人数、障害の 程度によって必要な指導員の配置が行えるよう加配の基準を定めます。

 指導員の半数は、年収150万円未満で、非正規が多く、三年で半数が 退職せざるをえず、不安定で働き続けられない劣悪な条件におかれています。専任・常勤・複数の指導員配置や、労働条件の改善のため運営費補助の抜本的な引 き上げをおこなうとともに、研修の充実をはかります。学童保育指導員の公的資格(学童保育指導員(仮称))を創設します。

 20人以下の学 童でも常勤職員を複数配置できるようにするとともに、10人以下の小規模学童への支援を行います。これらにふさわしく国の予算の抜本的な増額・拡充を図り ます。「放課後子どもプラン」で学童保育をなくすのでなく、学童保育、放課後子ども教室をそれぞれ拡充します。

外国人教育、夜間中学開設を推進します…… 日本に居住する外国人登録者は200万人を超え、新たに結婚する20組のうち1組は外国籍の人との結婚といわれています。内外人平等を保障した国際人権規 約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子 どもの教育を保障します。子どもの生活のためにも、外国人の賃金未払いや劣悪な労働条件の改善、福祉・医療を受けやすくするとともに、地域での共生をすす めます。

 夜間中学は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった多くの人、不登校の子ども、障がい者、中国帰国者・在日外国 人らにとってかけがえのない義務教育の場となっています。ところが全国にわずか31校しかなく、06年には日弁連からも夜間中学増設の意見書が提出され、 14年には夜間中学増設に向け超党派の議員連盟も結成されました。今ある中学校の二部授業として夜間中学の開設を全都道府県ですすめます。

社会教育、文化、スポーツ施策を拡充します……2007 年、改悪教育基本法の具体化として、社会教育関連法の改悪がおこなわれました。とりわけ、社会教育の自由、自律性が損なわれる危険は重大であり、そうした ことのないようとりくみをつよめます。同時に、公民館の増設や専門家の増員など社会教育施設の拡充をはかります。児童館、公園、スポーツ施設などの増設、 拡充をすすめます。子どもの安全や文化環境を貧しくする民間委託に反対します。スポーツ・文化活動への公的援助をつよめます。学校などで芸術鑑賞教室など の予算を拡充します。青少年に有害なサッカーくじの廃止を求めます。

「ひきこもり」の青年の相談・支援をつよめます…… ひきこもりが今日のように数十万人にも広がった背景には、競争的な教育や不安定雇用の拡大など「弱肉強食の社会」が、人々に挫折感を与え、かつそこからの 快復を支える人と人とのつながりを希薄にしてきたことがあります。安定雇用や社会保障を拡充し、「だれでも安心して生きられる」社会への転換をはかりま す。ひきこもりとその家族を支える児童相談所、保健所、医療機関などの専門機関を拡充するとともに、支援団体への助成をふやし、経験・知識を生かします。

 

▼教育費負担の軽減・無償化をすすめます学生奨学金はこちら

  子どもを持つ上での不安のトップはどの世代も、「経済的負担の増加」です(内閣府調査)。なかでも教育費の負担は重く、高校入学から大学卒業にまでかかる 費用は子ども一人当たり平均1056万円、子どもにかかる教育費用は年収の4割となり過去最高です。年収200〜400万円の世帯では6割に達します(日 本政策金融公庫調査、2013年)。

 わが国の憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障し、教育基本法は「すべて国民は…経済的地位…によって、教育上差別されない」(第4条)としています。この精神にてらしてあまりに異常な状態といわなければなりません。

国際人権規約を生かした学費無償化のプログラムをつくります…… 日本共産党はこの事態を打開するため、「高校と大学等を段階的に無償化する」という、国際人権規約を認めることを強く主張してきました。国民の皆さんの運 動とあいまって、2012年、政府は無償化条項を承認しました(「留保の撤回」)。ところがその後、無償化の具体化が検討されていません。高校、大学、専 門学校の無償化の目標をいつ達成するかはっきりさせ、それにむけて段階的に無償化をすすめるプログラムを策定します。

高校就学支援金の所得制限をなくし、かんたん・安心の制度にします…… 安倍政権は、はじまったばかりの高校就学支援金に所得制限を導入して制度を後退させました。全員がいったん授業料を払い、必要な人は申請によって公立高校 授業料に相当する就学支援金を受けるという複雑な仕組みとなり、申請手続きが煩雑で申請をあきらめる、一時的な授業料負担に困るなど、さまざまな矛盾がう まれています。所得制限をなくし、諸手続きを一度ですむ簡単なものにします。公私間格差是正へ私立高校生への支援金制度の拡充をすすめます(くわしくはこちら)。年限制限など不合理な制度を是正します。(「学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さない 日本共産党の緊急提案」)

―― 高校奨学給付金が2014年から始まりました。長年の国民の世論と運動の成果であり、日本共産党の主張が実ったものです。いっそうの拡充をはかり、第一子 の増額、通学費分の支給、支給対象の拡大などをおこないます。不登校の同年齢期の子どもも、高校と同等の支援をめざし、公的支援を強めます。義務教育の学 齢も同様の措置をとります。

――国の「修学支援基金」(*注)の延長をおこないます。政府は国の「修学支援基金」制度を今年度で終了すると しています。県独自の学費補助の半額を支援している制度です。制度がなくなれば、県の補助がおおきく後退しかねません。みなさんと力をあわせ、国の「修学 支援基金」制度を延長させます。(*2009年リーマンショックで創られ、2011年東日本大震災で3年延長された基金。来年度以降の計画がなく、今年度 で終了予定。全国知事会も延長・拡充をもとめている。)

――安倍政権は、朝鮮学校への就学支援金を支給しないことを決定しました。しかし、内外人平等の国際人権規約などに照らしても、支給することは当然のことで、撤回すべきです。国際条約に基づき朝鮮学校など外国人学校に無償化措置を適用します。

乳 幼児教育の負担軽減を進めます……乳幼児は人格の土台をつくる大切な時期です。ところが、日本の乳幼児教育の予算はOECD諸国の平均の半分しかなく、保 育園の不足、保育園の民営化など量質ともに貧弱で、負担の重さに若い保護者は改善をつよく求めています。すべての乳幼児が豊かな保育がうけられる体制を整 えるとともに、無償化をめざして、保育料、幼稚園授業料の軽減を進めます。

義務教育段階の家計負担の解消を進めます……義務教育無償の原則にもかかわらず、無償の対象は授業料や教科書代などに限られ、制服代、ドリル代、修学旅行積み立てなど義務教育段階の家計負担はあまりに重すぎます。義務教育にふさわしく家計負担の解消をめざし、段階的に負担の引き下げを進めます。

就学援助を拡充します…… 就学援助はすべての子どもに義務教育をきちんと保障するための命綱です。ところが、「子どもの貧困」が広がり就学援助を強めなければならない時に、自公政 権が就学援助の国庫負担制度を廃止し、各地で就学援助の縮小がはじまっています。国庫負担制度をもとに戻し、対象を少なくとも生活保護基準×1.5倍とな るように引き上げ、支給額も実態にみあってひきあげ、利用しやすい制度にします。教育扶助の額も同様に引き上げます。学校給食費の未払いをすべて保護者の 責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。

大学の「世界一の高学費」を軽減します…… 国公立大学の授業料標準額を段階的に引き下げ、私立大学には国立との差額を補てんするための国庫助成や私立大学生への直接助成をおこないます。国公私立の 区別なく、年収400万円以下の世帯への学費免除を実施する制度をつくります。高等専門学校については、高校相当部分、高等教育相当部分それぞれの時期に 即して無償化・負担軽減をおこないます。

各種学校・専門学校の負担軽減に着手します……高卒後なんらかの教育機関に進学する割合は70%に達しています。そのなかでも各種学校・専門学校の学費は年間100万円、200万円とかかるのに公的助成がありません。北欧などでは専門学校も無償です。国の責任で公的助成に着手します。

▼私立学校の豊かな発展をささえます

私学は、憲法が保障する公教育のひとつ。建学の精神で独自の教育理念をもとめる国民の権利にこたえる大切な役割があります。憲法を生かす日本共産党は、私学応援の立場で一貫しています。

もっと安心の就学支援金をきずきます…… 私立高校は入学金、施設整備費の重い負担があることに鑑み、就学支援金をひきあげ、実質負担をすでに一部の自治体で到達しているように、年収250万円以 下でゼロ、年収800万円で10万円程度にするようにします。私学は公教育であり、ヨーロッパでは無償・低額です。全員の授業料部分の実質無償化(おおむ ね平均額36万円支給)、入学金と施設整備費の年収500万円未満世帯の全額無償化、奨学給付金の拡充などをすすめ、無償化に接近させます。

私学助成ふやし教育条件の向上と経営の安定をはかります……生徒一人当たりの財政支出が公立の約三分の一という公私間格差を是正します。当面、経常費1/2助成の早期実現、校舎などへの助成の実現をはかります

予算の誘導で専任教員をふやします……私立高校では非常勤講師、常勤講師の割合が36.8%にも達しています。講師は仕事は同じなのに低賃金で、いつクビになるかわからない不安にさらされています。専任化を誘導する予算の創設で、若手の「使い捨て」を止めます。

私学の自主性を守ります…… 「私学の自由」は、国民の教育の自由を保障する上できわめて大切なものです。2007年に自公政権が強行した「教育三法」改悪は、私学にたいする権力統制 に道をひらく危険があります。日本共産党の国会質問にたいして、政府は「私学の建学の精神尊重」を認めるとともに、教員評価・学校評価を私学助成の交付要 件にすることを「考えていない」と答弁しました。こうしたことをふまえ、私学の自主性を守るために全力をあげます。

 

▼上からのしめつけをやめ、子どもの権利と教育の自由と自主性を保障します

  先生が子どもの声に耳を傾け、保護者ともコミュニケーションをとりながら、創意工夫しながら教育をすすめる――このことは人間的な教育にとって不可欠な条 件です。ところが、長年の自民党型の「教育政策」は、こうした教育の自主性を敵視し、教育を政治の言いなりになるように、上意下達の学校運営を押し付けて きました。しかも東京や大阪では、教育への政治的介入が露骨なかたちですすめられ、「君が代」の口元チェックなど人間性を疑うようなことまでおきていま す。私たちは、こうした教育への統制をやめ、子どもの権利と教育の自由と自主性を大切にします。

子どもをしめつけず人間として大切にする学校を……学校は何よりも子どもたちの成長・発達のためにあるものです。ところが行き過ぎた決まりごとや校則、「許容度ゼロ」の容赦ない生徒管理で、子どもをしめつける学校がひろがっています。そうした傾向を克服し、子どもの権利の保障を学校運営の中心にすえます。

⎯⎯ 学校の安全対策をすすめます。「学校災害給付」件数は年間200万件に増加し、学校での事故や犯罪から子ども、教職員らの生命を守る仕事は急務です。とこ ろが国の施策は、通達を出すだけの「通達行政」「手引き行政」の枠をでず、学校安全対策はきわめて不十分で「指導死」などの悲しい事件がつづいています。 「安全配慮義務」を明記するなど、子どもの「安全に教育を受ける権利」を保障する「学校安全法」「学校安全条例」の制定を支持するとともに、不審者対応を 含めた安全対策のための専門職員配置や施設の改善をすすめ、住民の自主的なとりくみを支援します。

保護者・子ども・教職員の話し合いで運営する「参加と共同の学校」…… 教職員、子ども、保護者らが話し合って教育を創造していく「参加と共同の学校」をめざします。職員会議の形骸化をあらため、教育方針についての合意形成の 場として位置づけます。学校評議員制度や地域運営学校は教員や生徒の参加を保障し、改善します。行政の決めた数値目標に教育を従属させてゆがめる 「PDCAサイクル」などの押しつけに反対します。

⎯⎯「日の丸・君が代」の強制に反対します。憲法19条(思想、良心、内心の自由)に違 反する、「日の丸・君が代」の強制に反対します。入学式・卒業式は、子どもにとって最善のものにするため、教職 員、子ども、保護者で話し合って行なえるようにします。その際に「君が代」斉唱がある場合でも、アメリカのように、斉唱を拒否する自由が生徒にも教職員に もあることを明確にして、内心の自由を守ります。

授業の自主性創造性を守り、不当な介入から守ります……教育は子どもも教員も自由な雰囲気のもとにあってこそ花開きます。とくに授業は自主性と創造性が保障されてこそ、子どもが感動する生き生きとしたものになります。それを台無しにする不当な介入から教育を守ります。

⎯⎯ 学習指導要領の強制性のない「大綱的基準」とします。現在の指導要領は国の強い関与のもとで一部の考えだけでつくられ、過密カリキュラムで「落ちこぼし」 をふやす、内容的にも科学性や系統性に欠けるなど多くの問題をかかえています。にもかかわらず「法的強制力」があるとされ、スピード授業、創造性のない画 一的な授業をしいる原因となっています。学習指導要領の内容を、研究者や教職員、保護者など国民参加で抜本的に見直すとともに、その強制性をあらため、戦 後直後のように「試案」と明示し、子どもの状況や学校・地域の実情に即した教育課程を自主的につくれるようにします。子どもをふるいわけ、人間として傷つ ける危険のつよい習熟度別学習の強制に反対します。

⎯⎯教科書制度を改善します。教科書の検閲的な検定は教科書を魅力のないものにしていま す。しかも安倍政権になってから「社会科教科書は閣議決定の内容を書け」などと教科書を政府言いなりのものにしようとさえしています。こうした動きに歯止 めをかけ、教科書・教育の自主性を守ります。同時に、検定制度そのものをやめ、教科書は、専門家や教員、保護者らからなる第三者機関が検討し、認証するよ うな認証制度とし、開かれた討論を通じて教科書が真理真実に即し、魅力あるものになるようにします。教科書採択は、教育委員会が独断で決めるのでなく、当 該の教員や保護者らの意向を反映して採択が行われるようにします。

⎯⎯性教育への介入に反対します。性教育は、子どもを人間として大切にし ようと、専門家や保護者らの努力ですすめられてきました。ところが、自民党や民主党などの国会・地方議員が、性教育の実践をゆがめて描き、一方的な攻撃を おこない、行政が教材を奪う、不当な処分をするなどの事態がひきおこされました。これらの政治介入は、違法な「教育への不当な支配」だと判決が下りました が、政治勢力による、マスメディアも動員した性教育バッシングを行うなかで、現場の柔軟なとりくみが萎縮させられています。こうした政治的介入をゆるさ ず、子どもたちに科学と人権をベースに、体や心の仕組みや発達、性のちがいや多様性などを伝え、自己肯定感情をはぐくむ、自主的な性教育を尊重します。

教員をしめつける不当な制度をなくし、教員がのびのび力を発揮できるようにする…… 教員は自主性、自律性が保障されてこそ、教育の専門職として責任をもって仕事をすることができます。このことは「ILOユネスコ・教員の地位に関する勧 告」にも明記された世界のルールです。教員を教育の専門家として尊重し、学校運営のみならず教育政策の決定でも重要な役割を果たせるようにします。

⎯⎯パワハラのない協力しあえる職場に。教員をしめつける政策で、少なくない学校で管理職にモノが言いづらくなり、上からきめられたことをこなす教育がひろがり、そのなかでパワハラも増えています。民主的な学校運営をすすめ、協力しあえる明るい職場をつくります。

⎯⎯ 「教員免許更新制」を廃止します。「教員免許更新制」は、教員の身分を不安定にして、政府言いなりの「物言わぬ教師」づくりをすすめるものです。お金がか かる上に、大量の教員の「講習」が義務づけられるのに講習の開設義務が誰にもない、講習中の代替要員もないなど制度的にも破綻しています。同制度はきっぱ り廃止にします。

⎯⎯教員の研修を改善します。新任の先生を長時間子どもから引き離す、官製の「初任者研修」を抜本的に見直します。

⎯⎯主幹制、主幹教諭制度を見直します。教員の専門職性を弱め、教員組織を上意下達のピラミッド型組織に変質させる管理職によるパワーハラスメントの予防、対策をつよめます。教員採用、管理職昇任を公正なものにします。

⎯⎯ 「教員評価」制度を見直します。現在の「教員評価」制度は、教員の目を子どもではなく管理職や行政に向けさせるだけです。また行政が教員の優劣をきめ給与 に差をつければ、教員どうしの協力や連携がこわされ、子どもの教育が劣化します。教員評価というなら、教員の努力を励ます、教育活動へのていねいな評価で あるべきです。そのためにも、子ども、保護者、同僚、専門家などの関与や、評価者と評価される者と双方向的な関係を大切にすべきです。

⎯⎯ 子どもを傷つける教員には、子どもの成長する権利を保障する立場から毅然と対処するとともに、問題をかかえる教員の人間的な立ち直りを促す支援を重視し、 そのための人員配置などの支援策をとります。「不適格教員」のレッテル貼りや「草むしり」「密室に座らせ続ける」などの「指導力改善研修」は、教員を追い つめるものであり、改善をもとめます。

教育委員会を住民自治の教育機関として改革します……教育委員会 はほんらい教育の自主性を保障するため、一般行政から独立した権限をもち、その意思決定は官僚でなく住民の代表である教育委員の手に委ねられているもので す。しかしその制度は形骸化し、国の言いなりに学校をしめつけたり、大津市のいじめ自殺の隠ぺいなど「組織防衛」に走るなど、子ども不在の実態がひろがっ ています。(1)教育委員たちが保護者、子ども、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する、(2)会議の公開、教育委 員の待遇改善や支援、教育への見識や専門性をもつ人物の確保など、教育委員会の役割が実際に果たせる体制をつくる、(3)政治的介入から教育の自由と自主 性を守る、(4)憲法と子どもの権利条約の立場にたって行政を行う、(5)教育委員の公選制などの抜本的な改革を国民的合意の下ですすめるという五つの方 向で改革をすすめます。(2014年の教育委員会制度改悪法案についての政策はこちら)(PDF)

 

▼競争の教育から連帯の教育に

 日本は高校入試が基本的にある、大学入試も大学の学部ごとに一点を競う形であるなど、欧米にはないような競争的な教育制度があります。国連の子どもの権利委員会からは「高度に競争的な教育制度が子どもの発達をゆがめている」と繰り返し改善が求められてきました。

  競争主義の教育は、子どもの人間形成に欠かせない遊びや休息をうばい、人間関係をとりむすぶ力もうばいます。また点数のための勉強で「何のために学ぶの か」という大切なものを失います。落ちこぼされた子どもたちは、力があるにもかかわらず劣等感をかかえます。「できる」子どもにしても、歪んだ優越感をも ち、早く「答え」を出すことの訓練で、深くものを考える力が伸びなくなります。

 こうした競争の教育に未来はありません。日本共産党は、競争の教育を是正し、子どもたちが連帯して助け合いながら、自分たちの人間性と知的能力をともに伸ばす方向に転換します

  世界では、教育における競争を抑えるために、高校入試はおこなわない、大学入試も一点差で決まるような競争的なものにしないなど、様々な工夫があります。 国連・子どもの権利委員会も日本政府に「高度に競争的な教育制度」が、子どもたちにストレスを与え発達に障害をもたらしていることを厳しく指摘し、その改 善をもとめています。

大学と高校の入試制度の抜本的見直しに着手します……高校学区の拡大などにより、 偏差値による高校の輪切りなど「選別の教育」はますます強まっています。そのことが子どもや青年をどれほど傷つけているか知れません。ヨーロッパでは基本 的に高校入試を課さないなど、過度な競争から子どもの成長を守るしくみがあります。高校、大学の入試制度を抜本的に改革するための専門家、国民の検討の場 をもうけ、改革に着手します。

 日本の大学入試は、大学ごと学部学科ごとに入試選抜がおこなわれるという世界に例のないような競争的な制度 となっています。多くの大学が利用しているセンター入試は、短時間で多数の選択問題をこなしてその点で合否が決まる、受験科目が少なくてすめばそれ以外の 科目は早くから勉強しなくなるなど、高校生たちの学習を歪める方向に作用しています。安倍政権の教育再生実行会議が、センター試験廃止の方向を打ち出した 背景には、こうした制度の行きづまりがあります。しかし、それにかわって高校生を点数で小刻みテストや英語検定を課すのでは、基本的な問題は先送りしたま ま、〝猫の目〟のように入試を替えて、高校生や教育現場を混乱させるだけです。ヨーロッパ諸国の大学入試にある、論述式の資格試験方式なども参考にしなが ら、〝ゆきすぎた競争主義からの脱却〟という立場にたった抜本改革が必要です。大学入試のあり方は、大学以下の教育のあり方を大きく規定します。日本の教 育をどういう方向に向けていくのか、ひろく国民的な議論をへて、そうした抜本改革を進めます。

小中学校の選択制を見直します…… 小中学校の学校選択制は、学校に競争原理を導入するという目的で導入されました。しかし導入した地域では、一方の学校に生徒が集中してマンモス校化する一 方で入学者ゼロの学校をつくる、学校間競争に振り回されて「点数競争」など教育が歪む、地域の結びつきが弱まり教育力が低下する、など深刻な矛盾をもたら しています。選択制を見直し、子どものための弾力的で民主的な学区域制度とします。

学校予算の差別化に反対します……この間の「一貫校」構想、スーパーハイスクールなどは一部の「エリート」のための教育に公立学校予算を重点的につぎこむもので、教育格差を助長しかねません。教育予算の格差をつけた配分に反対し、すべての学校の教育条件の向上を重視します。

 

 ▼東日本大震災被災地の教育の復興、放射能・原発に関する教育

 東日本大地震から二年以上が経過しましたが、被災地では教育上の解決すべき問題が今なお数多く残されています。現在進行中の福島第一原発事故による災害、放射能汚染への対応も不十分で、子どもの被曝への心配もやみません。

 子どもは復興の希望です。その子どもたちの成長や安全が保障されていない現状を放置してはなりません。日本共産党国会議員団が現地調査にもとづき震災の直後におこなった「東日本大震災――学校教育についての申し入れ」をふまえ、以下のことに全力でとりくみます。

地元の要望にもとづく学校再建・教育条件整備を全額国の負担ですすめます…… 大規模な被害をうけた学校の再建はこれからです。現地の要望は、安全な高台に移して安心な学校を建てたい、いまの校地に盛土をして校舎をより高い位置に建 て直したいなど様々です。ところが国の支援が不十分なもとで、自治体によっては震災に乗じて学校の統廃合を一方的に進める動きもおきています。未曾有の津 波で地域全体が大きく破壊された中での復旧であり、地元住民の要望にもとづく学校再建を全額国の負担ですすめます。私立学校や専修学校・各種学校の再建や 修繕も公立学校と同様の措置をとるようにします。

「給付型奨学金」の創設などにより被災者の教育費や生活の心配をなくします…… 震災により保護者の生活基盤が破壊されたことは、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえています。復興の大原則として生 活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学 校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクールソーシャルワーカーを中 学校区に最低一名以上配置するなど教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子ども への支援の体制を拡充します。

福島をはじめ被災地の教職員定数をふやします……子どもの心のケア、生活 の心配、学習の遅れなど、被災地の学校は多くの課題がある一方、教職員自身も被災し困難をかかえています。子どもたちをていねいに育てられるよう、被災地 の教職員定数の増員をすすめます。とくに原発事故により福島県では多数の子どもが他県に避難し、また、避難しなくとも被曝を心配しながら教育活動を続けな ければならないなど、きわめて困難な状態が続いています。ところが国の教員配置に関する措置は、震災前の教職員数の維持にとどまるなど、たいへん不十分で す。困難な状況に対応したいっそうの手厚い条件整備をすすめます。

線量調査、除染など被曝低減対策、健康調査をすすめます…… 原発事故による被曝から健康を守る原則は、「これ以下なら絶対に大丈夫という値はない」という考え方(「しきい値なし」)にたち、被曝量を可能な限り下げ ることです。とくに子どもは大人より感受性が高いわけですから、被曝量をより低く抑える必要があります。ところが国は、子どもの被曝限度を「事故収束後の 復旧期」の最大値である「年間20ミリシーベルト」とし、当初は被曝量を下げるための校庭の表土削除すら「必要ない」として保護者らの激しい怒りを呼びま した。こうした対応をあらため、被曝低減対策、健康調査、学校給食の安全対策、線量の高い地域の子ども・保護者が、無償で各地の「林間学校」等公的施設で 休暇をとれるような措置をすすめます。

原発推進教育を中止し、原発と被曝についての科学的な教育を保障します…… 自公政権は2002年から、原子力発電所立地を目的とするエネルギー特別会計によって偏った原発推進教育をすすめていました。すでに「原発安全神話」が書 かれた副教材「わくわく原子力ランド」等はわが党の追及で「見直し」となりましたが、それにかわって発行された副教材は、原発事故についての反省もなく、 放射能や被曝の過小評価を子どもに与えるような内容となっています。こうした原発推進教育の影響を一掃して、原発や被曝に関する科学的な教育が自主的にと りくめるようにします。

 

▼憲法の平和・人権・民主の原理にそった教育をすすめます

 憲法 は、国民の教育を受ける権利を定めています。教育は何より子どものためにあるもので、子どもたちの学習し成長する権利にこたえ、それを満たすためのもので す。戦前のように〝教育は国家のためにある〟として時の権力の都合で教育を左右することは、平和・人権・民主主義の憲法の精神に相容れません。

 ところが、自民党は「戦後教育は間違いで、戦前の教育を再生しよう」「子どもの権利など認めてはならない」など極右的な主張を教育に持ち込もうとしています。

 私たちはこうした動きに断固として反対し、憲法や子どもの権利条約の精神を生かした教育をすすめます。

子どもの権利条約を教育に生かします…… 子どもの権利条約は、日本政府も批准しており、その精神と各条項を、政府、自治体ともに遵守することは当然のことです。「意見表明権」「余暇・休息、遊 び、文化の権利」など子どもの権利を学校などあらゆる教育の場で生かし、それに反する制度や法令を見直します。同条約を学校その他の場で子どもに教えると ともに、教職員や行政関係者をはじめとする大人全体に条約の普及をはかります。子どもに関する施策への子どもの意見反映をすすめます。

憲法と子どもの権利条約に基づいて、教育基本法を改めます…… 教育への国家的統制を進める改悪教育基本法(2006年)を、憲法と子どもの権利条約に基づいて再改正するための国民的討論を進める場を設けます。そのな かで、戦前の教育を反省し、教育の目的を「人格の完成」にすえた、戦後初期の教育基本法(1947年)の精神を受け継ぎ、発展させることを重視します。

 

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