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日本共産党

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➡2021総選挙政策一覧

総選挙政策
なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく

2021年10月11日 日本共産党


目次


自公政権を終わりにして、政権交代で、命を守る政治を

■岸田政権が引き継ぐ、安倍・菅政治は、日本の政治をとことんダメにしました

 岸田内閣は、政治の中身でも、「安倍カラー」一色の人事でも、9年間の安倍・菅政治の負の遺産を丸ごと引き継ぐ、安倍・菅直系政権です。安倍・菅自公政権の9年間は、日本の政治に何をもたらしたでしょうか。

 第一に、憲法を無視し、憲法に基づく政治という立憲主義を土台から壊しました。歴代の自民党政府が国民に説明してきた、「現憲法下では集団的自衛権は行使できない」という憲法解釈を、一内閣の閣議決定で百八十度変更し、憲法違反の安保法制を強行しました。憲法規範を踏み破った政治は、歯止めがなくなり、共謀罪法、特定秘密保護法など次々に違憲立法を強行しました。憲法の規定に基づく国会議員からの臨時国会開会要求さえも無視するところまで、憲法違反、議会制民主主義破壊の政治はエスカレートしています。

 第二に、「聞く耳」を持たない強権政治が横行しています。県民投票や選挙で繰り返し示された辺野古新基地建設ノーという沖縄県民の意思を踏みにじって、新基地建設を強行しています。国民多数の反対の世論を無視して、原発の再稼働を進めています。日本学術会議への違憲・違法な人事介入を行いながら「理由」さえ一切説明しません。辺野古新基地建設も、原発再稼働も、学術会議会員任命拒否も、そのまま引き継ぐ岸田政権には、国民の声を「聞く耳」は持ち合わせていないと断ぜざるを得ません。

 第三に、貧富の格差を大きく広げました。アベノミクスの9年間で、大富豪は資産額を6兆円から24兆円へと4倍にも増やしましたが、労働者の実質賃金は年間22万円も減りました。子どもの貧困をはじめ、多くの国民にとって貧困が「身近な」ものになったのも、この9年間ではなかったでしょうか。

 第四に、政治モラルの堕落と崩壊が極端なものになりました。森友・加計問題や桜を見る会では、政権のトップが国政を私物化した疑惑の真相解明を妨害するために、現場の公務員に公文書を改ざんさせ、名簿をシュレッダーにかけ、高級官僚が国会で虚偽答弁を繰り返すなど、政権ぐるみで隠ぺいしてきました。政権の腐敗は、忖度(そんたく)政治を生み出し、高級官僚の腐敗など行政機能の劣化も引き起こしています。

 岸田首相は、就任会見で「安倍政治、菅政治とどこが違うのか」という質問に、何一つ具体的に答えることはできませんでした。自民党内の「政権たらい回し」では、政治は1ミリも変わらないことを自民党総裁選と岸田内閣の誕生が示しています。政治を変えるには政権交代しかありません。

■日本共産党は、自公政権の「負の遺産」を清算し、新しい政治をつくるために力をつくします

○野党の共通政策は、自公政治を根本から変える道筋を示しています

 9月8日、市民連合と野党4党(共産、立民、社民、れいわ)は、総選挙で自公政権を倒し、命を守る新しい政権の実現をめざす野党共通政策(別項)に合意しました。日本の政治を大きく変える道筋を示した歴史的な合意です。

 20項目にわたる共通政策では、「安保法制...の違憲部分の廃止」と立憲主義の回復という市民と野党の共闘の原点を明記したうえで、外交政策でも、「核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する」、「沖縄辺野古での新基地建設を中止する」など、大きな転換の方向を示しています。

 新自由主義からの転換も明確です。「従来の医療費削減政策を転換」、「医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ」、「最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善」、「消費税減税を行い、富裕層の負担を強化する」など、格差と貧困をなくし、暮らしを支える政治の中身が示されています。

 さらに、「地球環境を守るエネルギー転換」として、「石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する」ことや、「ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現」もかかげ、「選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させる」、「性暴力根絶に向けた法整備を進める」と約束しています。

 「森友・加計問題、桜を見る会疑惑などの真相究明」、「日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命」も行います。

 どれも岸田・自公政権には絶対に実行できない政策であり、自公政治からのチェンジの要となる政策となっています。

○日本共産党と立憲民主党は、政権協力で合意しました

 共通政策を実現するために、9月30日に日本共産党は、立憲民主党と党首会談を行い、政権協力で合意しました。次の総選挙において自公政権を倒し、新しい政治を実現すること、新政権で、「市民連合と合意した政策」を推進するために協力すること、そのために、日本共産党は、合意した政策を実現する範囲での「限定的な閣外からの協力」を行うなどの合意です。日本共産党は、新政権ができれば、共通政策を実行するために、新政権を支え、協力していきます。

 これまでの国政選挙でも、野党は共通政策で合意してきましたが、今回の総選挙で、この共通政策と一体に、政権協力の合意が確認されたことは、日本の政治史の中でも画期的なことです。

○日本共産党は、自公政治にかわる新しい日本をどうつくるかのビジョンを訴えていきます

 今度の総選挙にあたり、日本共産党は政権交代で野党共通政策を実現できるように全力をあげます。同時に、日本共産党ならではの政策として四つのチェンジ――自公政治にかわる新しい日本のビジョンを訴えます。

①弱肉強食の新自由主義を終わらせ、国民の命と暮らしを何よりも大切にする政治へのチェンジ

②気候危機を打開し、地球を守る政治へのチェンジ

③ジェンダー平等の日本へのチェンジ

④憲法9条を生かした平和外交へのチェンジ

 日本共産党の躍進と新しい政権をつくることで、この四つのチェンジを実現することができます。

■政権交代へチャレンジする総選挙です――日本共産党へのご支持・ご支援を心からお願いします

 政権協力の合意をえて、総選挙をたたかうのは、日本共産党の99年の歴史でも初めてです。そして、6年間の市民と野党の共闘の大きな成果です。もちろん、この合意はスタートにすぎません。

 政権交代を実現するためには、ぶれずに、誠実に、市民と野党の共闘をすすめてきた日本共産党の躍進が必要です。比例代表で大躍進させてください。

 総選挙で政権交代を実現し、新政権がつくられたときに、政策合意を実現にうつし、揺るがずに前進するためには、強大な日本共産党国会議員団が必要です。合意した20項目の政策は、辺野古新基地建設中止の一つをとっても、実行しようとすれば、野党になった自民党などからの激しい妨害もあるでしょう。その時に、新政権を全力で支え、政策を実行していく、日本共産党国会議員団をもっともっと強く、大きくしていただくことが、どうしても必要です。

 日本共産党の国会議員の大多数は比例代表選出です。"比例は日本共産党"を広く大きく広げていただき、市民と野党の共闘勝利と日本共産党の躍進で、政権交代を実現しましょう。

コロナ対策――経済・社会活動を再開しながら、命を守るために

 9月以降、新規感染者の減少が顕著になっており、経済・社会活動の再開も重要な課題になっています。同時に、このまま終息に向かうとは誰も考えておらず、再び、感染爆発と医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策が求められています。

■感染爆発・医療崩壊に無反省な岸田首相――科学無視、自己責任押し付けという自公政権の致命的欠陥をただしたコロナ対策を

 自公政権のコロナ対応には致命的欠陥があります。

 第一は、科学無視です。「PCR検査を広げると医療崩壊がおきる」という内部文書までつくって検査を抑制し、「Go Toキャンペーンをやっても大丈夫」と感染を広げ、オリンピック・パラリンピックを強行しました。科学を無視し、専門家・科学者の意見を軽視して、感染爆発を招いたのです。

 第二は、コロナ対策にまで、自己責任を押し付けたことです。その最悪なものが「原則自宅療養」という方針です。医療界をはじめ多くの批判に一部手直しをしましたが、この方針は撤回されず、自宅で治療も受けられず亡くなる例が相次ぎました。

 岸田首相には、誤ったコロナ対応で感染を爆発させ、医療崩壊で、多くの犠牲者を出したことへの反省も総括もありません。"経済をまわしながら、感染を抑える"というのなら、この致命的欠陥をただすことが不可欠です。

■3本柱(①ワクチンと一体で大規模検査、②医療・保健所への支援、③まともな補償)でコロナ対策の抜本的強化を

○ワクチンと一体で大規模検査を――大規模・頻回・無料=いつでも、誰でも、無料で

 日本でも世界でも、ワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です。

 ところが自公政権は、「ワクチン一本やり」で、大規模検査を軽視し続けています。この1カ月間をみても、日本の人口当たりのPCR検査数は、イギリスの23分の1、フランスの9分の1、アメリカの8分の1です。

――「いつでも、誰でも、無料で」という大規模・頻回・無料のPCR検査を行います。

――職場、学校、保育所、幼稚園、家庭などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように、国が思い切った補助を行います。

○緊急時に備えられる医療・保健所の体制を強化する支援を

 コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、臨時の医療体制を整備することは、「第6波」への備えとして急務です。

 そのためにも、医療機関を財政的に支えることは政治の責任です。実際に起きていることは、現場で必死にがんばっている医療従事者のボーナス・賃金のカットであり、「コロナ倒産」が起きるような医療機関の経営悪化です。自公政権の20年間に診療報酬は10%、給付費で4兆円分削減され、医療現場は、人員も体制も資機材もギリギリの状態になっていました。そこにコロナ危機が発生し、2020年度の日本の医療機関の医業収入は1・5兆円のマイナスとなりました。しかし、それを支援する政府の補助は0・8兆円にすぎず、コロナ危機のもとでの医療現場の財政悪化という深刻な事態を招いたのです。

 保健所の機能マヒも絶対に起こしてはなりません。自公政権による保健所統廃合で、保健所は半分に減らされていました。そこにコロナ危機で膨大な業務量が押し寄せ、感染者をつかむことも、必要なサポートをすることもできなくなったのです。保健所体制の緊急の強化も、いま、やっておかねばなりません。

――医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を行います。

――保健所の体制も、臨時採用や他部署からの派遣などの緊急増員を確保しつつ、増やした職員を定員化するなど、正規の職員増もすすめていきます。

○コロナ危機で傷んだ暮らしと営業への補償と支援を

 緊急事態宣言は4回になるのに、持続化給付金・家賃支援給付金も、国民への特別給付金も1回だけです。コロナ危機で、仕事や所得が減少し、生活が困窮している人も少なくありません。また、いわゆる中間層にもボーナスや賃金の減少が広がり、教育費負担や住宅ローンの重い負担もあり、"コロナによる生活悪化"が起きています。

 事業者は、さらに深刻で、売り上げの大幅減少や借入金の増大など、コロナ危機のもとで体力が落ち込み、"再建"が困難な事態も広がっています。

 コロナ危機で傷んだ暮らしと営業の深刻な実態を放置するなら、コロナ危機後の経済危機に陥ってしまいます。

――コロナ危機で収入が減った家計への支援として、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を5兆~6兆円規模で支給し、国民の暮らしを支えます。いわゆる中間層(年収1000万円未満程度)を含め幅広く対象にします。生活が困窮している低所得者には手厚い支給をします。

――中小企業、個人事業主、フリーランスに持続化給付金・家賃支援給付金を再支給するとともに、コロナ危機が終焉(しゅうえん)するまで継続します。雇用調整助成金のコロナ特例も継続します。



四つのチェンジで自公政権にかわる新しい政治を

1、日本共産党の新経済提言――コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を

■弱肉強食の新自由主義を終わらせ、命と暮らしを大切にする政治に
――アベノミクスと決別し、トリクルダウンからボトムアップへの転換を

○貧困と格差拡大のアベノミクス継承を明言する岸田首相

 岸田首相は、「新しい資本主義」とか「成長と分配の好循環」などと言っていますが、その中身は、アベノミクスそのものです。

 アベノミクスで起きたのは、貧富の格差の劇的な拡大です。安倍・菅政権のもとで、大企業は利益を増やし、内部留保は133兆円も増加し467兆円(2020年度末)もの巨額になりました。それにもかかわらず法人税は減税(28%から23・2%)されました。「異次元の金融緩和」と公的資金による株価つり上げによって、大富豪の資産は、6兆円から24兆円へと4倍にも膨れ上がりました。ところが、所得1億円を超えると逆に税負担率が下がる富裕層優遇の税制はそのままです。

 その一方で、2度の消費税増税が家計に重くのしかかり、働く人の平均実質賃金は22万円も減りました。9年前、安倍元首相は、「賃金を上げる」と言って政権につき、アベノミクスを打ち上げましたが、働く人の賃金は下がったのです。富裕層や大企業が利益を増やせば、庶民にも滴り落ちてくる、という「トリクルダウン」は起きず、アベノミクスは失敗したのです。

○家計応援の政治でボトムアップ=底上げに切り替える

 家計応援の政治に切り替えて、経済のボトムアップ=底上げをはかる、この道でこそ、コロナ危機から日本経済を立て直すこともできます。

 最低賃金を中小企業への十分な支援とセットで時給1500円に引き上げます。「使い捨て」の働かせ方をなくし、非正規から正社員への道をつくります。大学・短大・専門学校の学費を半分にし、給付奨学金を充実させ、入学金制度を廃止します。給食費の無償化など、憲法で無償と決められながら義務教育に残された負担をなくします。富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税は5%に減税します。医療をはじめ社会保障の切り捨てをやめ拡充に転換します。

 非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和、社会保障の削減、高すぎる学費、そして消費税の増税......これをそのままにして、「新自由主義の弊害」などいっても「口先だけ」です。国民に冷たく、富裕層にあたたかい、中小企業に厳しく、大企業は守る――新自由主義の政治は、もう終わりにして、命と暮らしを何よりも大切にする政治に切り替えましょう。政権交代で、アベノミクスから家計重視の経済政策へ転換しようではありませんか。

(1)医療、介護、保育、障害者福祉など、ケアをささえる政治に

■医療崩壊を再び起こさない――「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」を提案します

 なぜ、医療崩壊が起きたのでしょうか。自公政権は、この20年もの間、社会保障予算の「自然増」を、毎年、数値目標を決めて削減し続けました。そのもとで感染症病床が半分になってしまうなど医療体制は弱体化し、保健所も半分に減らされました。

 医療崩壊と保健所の機能マヒを再び起こしてはならない――これはコロナ危機の痛苦の経験を踏まえた政治の重い責任です。何でも自己責任の新自由主義の政治から転換し、医療、介護、障害者福祉、保育など、ケアを支える政治に転換させましょう。

自公政権のもとで、日本の医療・公衆衛生に何が起きたのか

●医師数の抑制、病床削減、病院の統廃合を長期間、系統的に続けた

 日本の医師数はOECD加盟36カ国中32位(人口当たり)。病院数はピーク時から1796減、感染症病床は半分に。ICU(集中治療室)も、日本はイタリアの半分以下、ドイツの6分の1。

●全国の保健所は半分に

 保健所は852カ所から469カ所に(1992⇒2020年度)。

●感染症予算は、アメリカの72分の1、中国の35分の1

 「平時の感染症関連予算」は、米国5300億円、中国2600億円に対し、日本は74億円。

"コロナ後"も医療削減――医療崩壊を反省しない自公政権

●公立・公的病院の削減・統廃合を推進

●75歳以上の医療費の窓口負担を来年10月から値上げ

――感染症病床、救急・救命体制への国の予算を2倍にするとともに、ICU病床への支援を新設して2倍にします。

――公立・公的病院の削減・統廃合を中止します。

――医師の削減計画を中止し、「臨時増員措置」を継続します。

――来年の診療報酬改定で、看護師の配置基準と労働条件の改善、新感染症に対応した診療報酬体系などを抜本的に充実させます。

――保健所予算を2倍にして、保健所数も、職員数も大きく増やします。

――国立感染症研究所・地方衛生研究所の予算を拡充し、研究予算を10倍にします。

――感染症に対応する、政府から独立した科学者の専門機関(感染症科学者会議・仮称)を新たにつくります。

■ケア労働の待遇改善、社会保障の拡充を行います

――国が基準を定めている、介護・福祉・保育職員の賃金を引き上げ、配置基準の見直し、雇用の正規化、長時間労働の是正など、ケア労働の待遇を改善します。

――マクロ経済スライドを撤廃し、「減らない年金、頼れる年金」を実現します。最低保障年金制度をめざします。

――介護保険料・利用料の減免、保険給付の拡充、特養ホームなど介護施設の増設により、必要な介護が受けられる制度にします。

――障害者福祉・医療の「応益負担」を撤廃し、無料にします。

――公費を1兆円投入し、「人頭税」のような「均等割」「平等割」をなくして国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。

■生活に困っている人への支援を抜本的に強化します

――生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にします。生活保護費削減を復元し、支給水準を生存権保障にふさわしく引き上げます。保護申請の門前払いや扶養照会をやめます。

――「住居確保給付金」「生活福祉資金特例貸し付け」の支援の延長・拡大、給付への切り替えなどの支援を強化します。困窮者が住居を失わないための施策を拡充します。

――フードバンク、子ども食堂など民間の食料支援の取り組みに公的な支援を行います。

(2)働く人の「使い捨て」をやめさせ、8時間働けばふつうに暮らせる社会に

コロナ危機で、非正規雇用の労働者、とくに女性と若者に大きな犠牲

●コロナ前と比べて、非正規労働者は月平均で92万人減少し、そのうち58万人は女性

●「休業者」は、昨年4月には306万人、5月には432万人も増加。その6割以上が非正規。女性も6割以上(「休業者」...月の就労がゼロ~10日以下、総務省労働力調査)

○非正規から正社員への流れをつくるとともに、格差を是正する均等待遇をすすめます

――非正規雇用への置き換えをすすめた1990年代以来の労働法制の規制緩和を根本的にあらため、非正規から正社員への流れをつくります。

――シフト制労働者の権利を守るために、労働契約に賃金の最低保障額や休業手当の支給を明記するなどのルールをつくります。ギグワークなどの無権利な働かせ方を広げる規制緩和に反対し、権利保護のルールをつくります。

――労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくります。

――パート・有期雇用労働者均等待遇法の制定など、正社員との均等待遇をはかるとともに、解雇・雇い止めを規制します。

――中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化しながら、最低賃金を1500円に引き上げます。全国一律最賃制を確立します。

○長時間労働をなくし、労働者の権利が守られる社会にします

――残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保します。高度プロフェッショナル制度を廃止します。

――退職強要を許さず、解雇規制法をつくります。

(3)お金の心配なく、学び、子育てできる社会に

日本の教育への公的支出は先進国最低水準

OECD(経済協力開発機構)加盟国で比較可能な38カ国中37位(2020年9月、OECD発表)

○高い学費の値下げと本格的な給付奨学金制度をつくり、誰もがお金の心配なく学べるようにします

――大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等教育の無償化をめざします。入学金制度をなくします。

――「自宅4万円、自宅外8万円」の給付奨学金を75万人(現在の奨学金利用者の半数)が利用できる制度をつくり、拡充していきます。すべての奨学金を無利子にします。奨学金返済が困難になった場合の減免制度をつくります。

――学生支援緊急給付金の継続的な実施、休学や卒業延期した学生の学費補助など、コロナ対応の支援を抜本的に強化します。

○子育て、教育の負担を軽減し、家計を応援するとともに、貧困から子どもを守り教育の機会を保障します

――私立高校の負担の軽減をすすめ、高校教育の無償化をすすめます。

――「義務教育は無償」を定めた憲法26条にそくして、学校給食の無償化をすすめます。義務教育で残されている教育費負担をなくします。

――認可保育所を30万人分増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消します。

――児童手当の18歳までの支給、児童扶養手当、就学援助の額と対象の拡大など、子育て世帯に向けた継続的・恒常的な現金給付を拡充します。

(4)コロナ危機で困難に直面している中小企業、農林水産業を支援し、地域経済を立て直す

コロナ倒産・廃業が急増

●中小企業の休廃業・解散は、2020年には5万件と14・6%増

●「廃業を検討」......飲食店、宿泊業は3割以上、中小企業全体でも12社に1社にあたる8%にのぼる

●コロナ前と比べて売上高は、中小企業の67・8%で減少。宿泊業や飲食業では4割超の企業が「半減以下」(東京商工リサーチ調べ)

○まともな補償をすみやかに行い、コロナ危機の中で必死にがんばっている中小企業・小規模事業者を応援する政治に切り替えます

――持続化給付金、家賃支援給付金の再度支給とともに、協力金、支援金などの拡充と迅速化を行います。事業者の立場にたった、ていねいな対応と相談体制を確立します。

――コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくります。

――文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化します。

○多様な中小企業の維持・発展を底支えし、地域経済の疲弊に歯止めをかけます

――中小企業予算を1兆円規模に増額します。

――中小企業憲章と小規模企業振興基本法を生かし、「競争と淘汰(とうた)」から、すべての中小企業・小規模企業を対象にする中小企業政策に転換します。

――大企業の中小企業に対する優越的地位の乱用をやめさせ、公正な取引を保障するルールをつくります。

――コンビニ本部による「もうけ本位」の"搾取システム"を改め、24時間営業の見直し、ドミナント(集中的)出店の規制など、コンビニオーナーの営業と健康を守ります。

○米価の大暴落を止め、農林水産業を守る

――所得補償・価格保障など家族経営をはじめ農業経営を支援するとともに、無制限な輸入に歯止めをかけ、過去最低まで低下した食料自給率を引き上げます。

――緊急の米価大暴落対策として、政府による米の緊急買い入れを実施し、過剰在庫を市場から隔離します。海外産のミニマム・アクセス米の買い入れを中止します。

――輸入材依存を是正し、木材自給率を高めるために、国内材の公的事業での使用拡大、民間の利用拡大への支援など、林業の再生に力を入れます。

――魚価の低迷や、海水温の上昇、海流の変化などによる不漁で経営困難に陥っている漁業者への魚価の補償、経営支援を行います。

(5)税金の不公平をただす――消費税減税、富裕層・大企業への優遇をなくす

"コロナ直前"の消費税増税で、コロナ危機でも税収が2・4兆円も増えた

●2020年度の税収――2・4兆円増。消費税10%増税の結果、大不況でも消費税収だけで3・2兆円も増収。国民は"コロナ危機と増税"のダブルパンチ

●大企業の税の実質負担率は中小企業より低い。所得1億円を超えると税負担率が下がる

○消費税率を5%に引き下げ、インボイス制度の導入を中止します

――消費税率を、自公政権が2度にわたって引き上げる前の5%に引き下げます。

――コロナ危機で納税困難に陥っている事業者に消費税を減免します。

――政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止します。

○大企業と富裕層に応分の負担を求めます

――租税特別措置や連結納税など、大企業優遇税制を廃止・縮小します。

――法人税率を、中小企業を除いて安倍政権以前の28%に戻します。

――富裕層の株取引への税率を欧米並みの水準に引き上げます。

――所得税・住民税の最高税率を現行の55%から65%に引き上げます。

――富裕層の資産に毎年低率で課税する富裕税や、為替取引額に応じて低率の課税を行うなど、新たな税制を創設します。

(6)気候危機打開と一体に、災害に強い社会をつくる

――被災者生活再建支援法の支援金を300万円から500万円に引き上げるとともに、対象を「一部損壊」まで広げます。

――乱開発を規制し、盛り土の崩壊やがけ崩れ、堤防決壊、液状化被害などの危険箇所の点検と対策を実施します。災害に強いまちづくりをすすめます。

――ダムに偏重した治水対策を転換し、河道や堤防の整備、浸水時に対応した土地利用計画の樹立など、流域住民の参加と合意による流域の一体的な管理をすすめます。

【提言実行のための財源――緊急の対応は国債で、恒久施策は税財政の民主的改革で】

 この提言を実行するための財源は、次の考え方でつくります。

①コロナ危機への対応など、緊急かつ臨時的に必要となる対策は、この提言では20兆円をこえる規模となりますが、あくまで臨時的・一時的な支出であり、その財源は、国債の増発によって賄います。

②消費税減税や社会保障の拡充、教育費負担の軽減など、コロナ収束後も恒常的に必要となる施策の財源は、恒久的な財源を確保する必要があります。この提言では19兆円程度になります。大企業優遇税制の見直し、法人税率を中小企業を除いて安倍政権以前の水準(28%)にもどすことで8兆円、富裕層への税負担の見直しで約3兆円、富裕税や為替取引税の創設で約3兆円、軍事費や大型開発の浪費の削減などで約5兆円――あわせて19兆円を確保します。

2、地球の未来を守る政治への転換――気候危機を打開する日本共産党の2030戦略

(1)気候危機は非常事態

 異常な豪雨、台風、熱波、干ばつ、森林火災、海面上昇など、すでに気候危機の被害は、世界でも、日本でも、きわめて深刻になっています。

 国連IPCC「1・5度特別報告書」は、2030年までに大気中への温室効果ガス(その大半はCO2)の排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1・5度までに抑え込むことができないとしています。

 すでに世界の平均気温は1・1~1・2度上昇しており、10年足らずの間に、全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。

(2)「口先だけ」の自公政権――四つの問題点

 自公政権は、ようやく「2050年カーボンゼロ」と言い出しましたが、中身をみれば「口先だけ」というほかないものです。

①2030年までの温室効果ガス削減目標が低すぎる

 いちばん肝心な2030年度までの削減目標は2010年度比で42%と、IPCCが示した「世界平均での削減目標45%」さえ下回っています。EU―55%、イギリス―68%、アメリカ―50~52%など、先進国の50~60%削減に比べてもあまりにも低すぎます。

②石炭火力にしがみつき、新増設と輸出をすすめている

 国連は、石炭火力からの計画的な撤退を強く要請し、イギリス―2024年、フランス―2022年、ドイツ―2038年、アメリカ―2035年など、多くの国々が石炭火力からの撤退年限を表明していますが、自公政権は、石炭火力からの撤退を表明しません。それどころか、国内で9件の大規模な石炭火力の建設をすすめ、石炭火力輸出も推進しています。

③最悪の環境破壊をもたらす原発に依存

 原発は、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こし、使用済み核燃料は数万年先まで環境を脅かし続けます。原発に固執するエネルギー政策は、危険な「老朽原発の延命」をしても、近い将来の新増設が必須となりますが、新しい原発をつくれる場所などありません。電力供給の面でも破たんする無責任な政策です。

④実用化のめども立っていない「新技術」を前提にする無責任

 新技術の開発は必要ですが、それを前提にすればCO2削減の先送りになるだけです。政府は、石炭火力で排出されるCO2を回収し地下に貯留する技術(CCS)、火力の燃料にアンモニアを使う、水素の利用技術などを、今後開発してCO2の排出を減らすとしていますが、どれも実現するかどうか定かではないものばかりです。

(3)省エネと再エネで、2030年までに50~60%削減――日本共産党の提案

 日本共産党は、2030年度までに、CO2を50%~60%削減する(2010年度比)ことを目標とすることを提案します。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、CO2の50%~60%の削減は可能です。さらに2050年にむけて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。

 省エネルギーは、CO2排出を減らすうえで決定的です。日本は、GDP当たりのエネルギー消費量でみて、80年代までは、「世界の先進」と言える取り組みをしてきましたが、バブル崩壊後は消費量が増え、大きく立ち遅れています。逆に言えば、省エネにまともに取り組めば、CO2排出を大きく削減できる可能性があります。

 再生可能エネルギーの可能性もきわめて大きく、政府の試算でも、日本における再生可能エネルギーの潜在量は、現在の国内の電力需要の5倍です。しかし、日本の発電量における再生可能エネルギーの比率は22%(2020年)です。ドイツ48%、スペイン44%、イギリス43%、などと比較しても大きく立ち遅れています。再エネへの大転換が必要です。

(4)脱炭素、省エネ・再エネをすすめる社会システムの大改革を

 削減目標を達成するためには、電力、産業、運輸、都市、住宅など社会のあらゆる分野での大改革が必要です。

○電力分野――電力消費の削減、再エネの両面で大改革をすすめます

 日本全体のCO2排出量の約4割を発電が占めています。2030年までに、電力消費を20~30%削減する、石炭火力・原発の発電をゼロにする、電力の50%を再生可能エネルギーでまかなう、という大改革をすすめます。

――再生可能エネルギー電力の優先利用原則を確立し、送電網・供給体制を整備します。

――再エネは地域のエネルギーであり、地域と住民の力に依拠した開発をすすめます。

――再エネ導入の最大の障害になっている、メガソーラー・大型風力などによる乱開発を規制します。

○産業分野――省エネと脱化石燃料の社会的責任を果たす規制と支援を行います

 産業分野でのCO2排出は電力に次いで大きく、全体の25%を占めています。

――CO2削減目標を業界・企業の「自主目標」まかせでなく、国との「協定」にして国民への公約にします。

――中小企業の「省エネ投資」を支援します。

――脱炭素と結びついた農業・林業の振興をはかります。

○運輸交通分野――交通政策の全面的転換、自動車からのCO2排出を削減・ゼロに

――交通政策を脱炭素の観点から全面的に転換し、鉄道、路線バスなどの公共交通を重視します。

――電気自動車などを普及し、2050年までに自動車からCO2排出をゼロにします

○都市・住宅――断熱・省エネのまちづくりをすすめます

○自治体のゼロエミッション(排出ゼロ)をすすめます

(5)脱炭素と貧困・格差是正を2本柱にした経済・社会改革で、持続可能な成長を

 脱炭素化、省エネと再エネの推進は、生活水準の悪化や耐乏生活を強いるものでも、経済の悪化や停滞をもたらすものでもありません。それどころか、新しい雇用を創出し、地域経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っています。大規模な省エネ・再エネによって、2030年までに、年間254万人の新たな雇用が増え、GDPを205兆円押し上げるという研究グループの試算もあります。

 気候危機打開に進むには、政治を根本から変える必要があります。石炭火力利益共同体、原発利益共同体の抵抗を排除するためには、財界いいなりの政治を変えねばなりません。とくに、目先の利益拡大と株主利益の最大化を最優先にして、気候も、環境も、人間社会も、「後は野となれ山となれ」という新自由主義の政治を終わらせることが必要です。気候危機の打開は、貧困と格差の是正と一体に――「公正な移行」として推進してこそ、達成することができます。

3、ジェンダー平等社会の実現、多様性と個人の尊厳を大切にする政治への転換

(1)ジェンダー平等の日本へ、いまこそ政治の転換を

■男女賃金格差の是正をはじめ、働く場でのジェンダー平等を進めます

○男女の賃金格差を政治の責任で是正します

大きな男女の賃金格差――"生涯賃金で1億円"もの格差

●正社員でも、女性の賃金は男性の7割(厚生労働省・賃金構造基本統計調査)

●非正規を含む平均給与は、男性―532万円、女性―293万円 (国税庁・民間給与実態統計調査)

●40年勤続だと生涯賃金では1億円近い格差に。年金でも大きな男女格差に

《国連からの勧告》

○性別賃金格差を縮小するため、取り組みを強化すること

――企業に男女別平均賃金の公表、格差是正計画の策定・公表を義務づけます。国は、その是正計画が実行されるように指導・監督を行うとともに、男女賃金格差の実態を把握、分析し、国としての是正の行動計画を策定します。

――女性が多く働く介護・福祉・保育などケア労働の賃金を引き上げます。労働条件の改善、配置基準の見直しを国の責任で行うとともに、雇用の正規化、長時間労働の是正にとりくみます。

――労働基準法をはじめとする関係法令に、間接差別の禁止、同一価値労働同一賃金の原則を明記し、差別の是正を労働行政が指導できるようにします。

○家族的責任と働くことを両立できる労働のルールをつくります

――家族的責任を持つ労働者は、男女を問わず、単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止し、看護休暇や育児介護休業制度を拡充します。残業は本人同意を原則とします。これらの措置が、昇給昇格において不利益な評価とされることを禁止します。

○ハラスメントを明確に禁止し、なくします

●セクハラに対する刑事罰、民事救済の規定を持つ法律がない国は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本、チリ、ハンガリーの3カ国だけ(世界銀行調査)

●ILO(国際労働機関)は2019年、「労働の世界における暴力とハラスメント禁止条約」(190号条約)を採択。日本経団連は、就活生など雇用関係にない人が保護の対象となることに異を唱え、棄権

《国連からの勧告》

○職場でのセクシュアルハラスメントを防止するため、禁止規定と適切な制裁措置を盛り込んだ法整備を行うこと

――ハラスメント禁止規定をもつ法整備を行います。働く場での暴力とハラスメントを広く禁じたILO190号条約を批准します。

――ハラスメントの加害者の範囲を、使用者や上司、職場の労働者にとどめず、顧客、取引先、患者など第三者も含めるとともに、被害者の範囲も就活生やフリーランスを含め、国際水準並みに広く定義します。

――被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関を設置します。

――お茶くみやメガネ禁止、パンプスやミニスカートの制服などが、女性のみに課されている職場での慣行をなくす規定を盛り込んだ法律を制定します。

■選択的夫婦別姓、LGBT平等法を実現し、同性婚を認め、多様性が尊重される社会を

●法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけ

●結婚時に女性が改姓する例が96%

●同性婚を認める国・地域は約30。日本でも同性カップルを認証するパートナーシップ制度を導入する自治体が約120に広がり、総人口の40%をカバー

●同性婚「認めるべき」が86%(18~29歳)(朝日新聞世論調査)

《国連からの勧告》

○女性が婚姻前の姓を保持できるよう夫婦の氏の選択に関する法規定を改正すること

――選択的夫婦別姓制度をいますぐ導入します。

――同性婚を認める民法改正を行います。

――LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的マイノリティーの権利保障と理解促進を図ります。

■「痴漢ゼロ」の実現、女性に対するあらゆる暴力を根絶します

●コロナ禍のもと女性への暴力が増大。DV被害相談は前年の1・6倍、性暴力被害ワンストップ支援センターへの相談は前年の1・2倍に。

○「痴漢ゼロ」を政治の重要な課題に位置づけます

――痴漢被害の実態を調査し、相談窓口の充実、加害根絶のための啓発や加害者更生を推進します。そのために内閣府に担当部局を設け、警察庁や民間事業者とも連携しながら政府あげて取り組むことを求めます。

○刑法・DV防止法を改正し、被害者支援を強めます

《国連からの勧告》

○強姦(ごうかん)の定義を拡張するとともに、性犯罪の職権による起訴を確保するための刑法の改正を促進すること

○配偶者強姦が明示的に犯罪化されていないこと、性交同意年齢が13歳のままであることを懸念する

――暴行脅迫要件の撤廃、同意要件の新設、地位関係利用型の犯罪化、公訴時効の廃止、性交同意年齢の引き上げなど、刑法性犯罪規定の改正を行います。

――性的な写真のアップ、誹謗(ひぼう)中傷など、「オンライン上の暴力被害」をなくすために、通報と削除の仕組みの強化、被害者のケアの体制をつくります。

――DV防止法を改正し、緊急保護命令の導入や保護対象の拡大、加害者更生プログラムの整備などを進めます。

――性暴力被害ワンストップ支援センターへの予算拡充、アクセスしやすい相談窓口、シェルターの拡充など、性暴力、DV・虐待被害者支援を緊急に強めます。

○日本が責任を負う戦時性暴力=「慰安婦」問題の解決を進めます

《国連からの勧告》

○指導者や公職にある者が「慰安婦」問題に対する責任を過小評価し、被害者を再び傷つけるような発言はやめること

○被害者の救済の権利を認め、十分かつ効果的な救済及び賠償を提供すること

○「慰安婦」問題を教科書に適切に組み込み、歴史の事実を子どもたちや社会に客観的に伝えること

――日本政府に、日本軍「慰安婦」に対する加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任をはたさせます。「軍の関与と強制」を認め、歴史研究や歴史教育を通じて「同じ過ちを決して繰り返さない」とした「河野談話」にそい、子どもたちに歴史の事実を語り継いでいきます。

■リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点にたった政治を

 リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権です。

リプロ(性と生殖)に関する日本の遅れ

●教育の遅れ――「寝た子を起こすな」などの性教育に対するバッシングが2000年代に自民党によって行われた影響が尾を引き、公教育での性教育がきわめて不十分

●避妊の遅れ――女性に選択権がある多様な避妊法が十分に普及しておらず、緊急避妊薬も入手しづらい

●中絶の遅れ――女性の心身を傷つける掻爬(そうは)法が中絶手術の主流となっており、70カ国以上で承認されている経口中絶薬が未承認

●法律の遅れ――刑法の堕胎罪、中絶に配偶者の同意を要件とする母体保護法など、女性差別的な法律が残っている

《国連からの勧告》

○思春期の女子および男子を対象とした性と生殖に関する教育が学校の必修カリキュラムの一部として一貫して実施されることを確保すること

○刑法の堕胎罪をなくすこと

○母体保護法を改正し、配偶者の同意要件をなくすこと

――子どもの年齢・発達に即した、科学的な「包括的性教育」を公教育に導入します。

――避妊も中絶も、女性の大切な権利です。避妊薬と緊急避妊薬を安価で入手しやすくします。中絶薬を早期に認可し、中絶医療を国際水準まで高めます。

――明治期から残る刑法の自己堕胎罪や、母体保護法の配偶者同意要件を廃止します。

――生理用品の恒久的な無償配布、学校など公的施設のトイレへの設置を進めます。

――職場や学校などでも生理に関する知識や理解を深め、女性が過ごしやすい環境を整えます。

――安全な妊娠・出産のための周産期医療体制を充実させます。国の制度に位置づけられた産後ケアセンターを充実させます。

■意思決定の場に女性を増やし、あらゆる政策にジェンダーの視点を貫く「ジェンダー主流化」を進めます

――「2030年までに政策・意思決定の構成を男女半々に」の目標をかかげ、積極的差別是正措置を活用した実効性ある本気の取り組みを進めます。

――政治分野における男女共同参画推進法の立法趣旨に沿い、パリテ(男女議員同数化)に取り組みます。比例代表制中心の選挙制度に変え、高すぎる供託金を引き下げます。

――女性差別撤廃条約を実効あるものにするため、「調査制度」と「個人通報制度」を定めた選択議定書を、早期に批准します。

(2)外国人の人権を尊重し、多様性を認めながら共生する社会に

 国籍や民族の違いを理由に、人権が制約されたり、差別されたりすることがあってはなりません。多様性を認めあいながら共生する社会をつくります。

○入管・難民行政を抜本的に改革します

 スリランカ人女性ウィシュマさんが名古屋出入国管理局収容施設で亡くなった事件は、大きな社会問題になりました。全国の入管収容施設での死亡事件は1997年から、これまでに21人にのぼり、国連機関からも再三にわたって司法による事前審査のない身体拘束や期間上限のない長期収容の是正を勧告されています。

 日本の難民認定は、1万375人の申請に対して認定は44人、認定率0・4%(2019年)にすぎず、欧米先進国(独―6万3456人、仏―1万8868人、米―9108人・2020年)に比して極端に少ないのです。

――ウィシュマさん死亡事件の真相解明のために、情報・真実の公開、入管関係者から独立した第三者による検証を行います。

――収容期間の上限、身体拘束に際しての司法の関与など入管法を抜本改正します。

――難民認定を、国連難民高等弁務官事務所のガイドラインに基づき、難民の実情に即したものに改めます。難民認定行政を、入管庁、外務省から切り離し、独立性を持った行政機関が行うようにします。

――日本で育った子どもをはじめ、長期に日本で暮らしている非正規滞在者の地位を安定化するために、在留特別許可の要件緩和・明確化などをすすめます。

○技能実習制度を廃止し、外国人労働者の権利を守ります

 政府・財界は、外国人を「安価な労働力」、「雇用の調整弁」として利用し、そのもとで外国人に対する人権侵害が横行しています。

――憲法と労働基準法などに基づいて、外国人の基本的人権、労働者としての権利を守ります。

――技能実習制度は廃止します。外国人を雇用の調整弁にする改定入管法を抜本改正し、家族の帯同をはじめ人権を守ります。

――ワンストップ相談センターの整備、日本語教育の拡充など、真の共生社会の実現に向けた取り組みをすすめます。

○ヘイトスピーチ解消法も力に、ヘイトスピーチを社会から根絶していく取り組みをすすめます

(3)先住民族としてのアイヌの権利を守ります

 アイヌを「先住民族」と規定したアイヌ新法は、「民族の誇りを持って生活できる環境整備」や、差別や権利利益の侵害の禁止を明記していますが、生活の実態は深刻であり、貧困の連鎖も、差別も解消されていません。

――新法も力に、アイヌ民族の生活向上と権利保障をすすめます。

――同化政策をはじめ民族の権利を侵害してきたことに対して、国としての謝罪と国民への周知が必要です。

(4)子どもの尊厳を大切に支える教育へ

 子ども一人ひとりを大事にしたい。そんな国民の願いが、40年ぶりに小学校全体の学級規模の縮小(35人学級)を実現させました。日本共産党は、子ども一人ひとりの尊厳を支える立場から、国民の意見に耳を傾けながら、教育の諸課題にとりくみます。

■コロナ危機のもとでも子どもをしっかり支える学校をつくる

 学校は昨年の一律休校など政府の誤った対応もあり、行事がない、対人関係がつくれない、家庭環境により学力や経験の格差が広がるなど、多くの困難をかかえています。うつ症状の広がりなど子どもの強いストレスも指摘されています。コロナ危機のもとでも子どもをしっかり支える学校をつくることは、日本の教育の喫緊の課題です。

○手厚い教育......緊急に教職員をふやし、来年度から少人数学級を加速させる

 もともと日本の教職員は少なすぎ、長時間労働が社会問題になっていました。そこに、消毒や検温、オンライン併用授業、コロナ由来の子どものケアなどが加わり、負担は限界です。ところが政府は、来年度の教員定数を777人減らそうとしています。

――コロナ下の子どもを支えるため、数万~十万人規模の教職員の緊急増を行います。私学も私学助成増額で対応します。

――来年度以降、この緊急の増員も生かし、関係者の意見も踏まえ、小中高のすべてで、将来は20人前後の学級となるよう、少人数学級化を加速させます。

○柔軟な教育......学習指導要領の押し付けをやめ、子どもの実態に応じた教育をすすめる

 自公政権の学習指導要領押し付けのなかで、授業時間の確保を優先し、行事や休みを削るといった対応が各地で広がり、新たなストレスを子どもに与えてしまいました。子ども第一の対応を学校に保障します。

――学習指導要領の押し付けをやめ、子どもたちの実態に応じた柔軟な教育ができるようにし、授業で枝葉末節にこだわらず重要な事項を深く学べ、行事などの自主的活動や遊びも保障します。

――コロナのもとで、登校を見合わせたい、休校でも学校に受け入れてほしいなどのさまざまな子どもに柔軟に対応します。オンラインは、災害時の対応として、出席扱いできるようにします。

○科学的な感染対策

 科学的な感染対策を重視し、"リスクが少ない運動場の使用をやめる""クラスで陽性者が出ても1人も検査しない"などのちぐはぐな対応を改善します。

――教育委員会だけで感染対策の助言を学校に行うのは無理があり、小児科医師会などの科学的知見を教育にとりいれるため、医療・教育の連携の体制を都道府県等でつくります。

――陽性者が出た場合、濃厚接触者だけでなく、学級全体などでPCR検査ができるようにします。検査キットを教職員・子どもに配布するなど、定期的な検査ができるようにします。

――子どもたちとの新型コロナウイルスや感染のしくみについてのさまざまな学習と対話を重視し、子どもたちが納得して合理的な感染対策を選び、「部活動もこうやって続けよう」など、創意工夫して学校生活を送れるようにします。

○学校の民主的運営 上意下達の教育行政を改める

 上意下達の教育行政や学校運営は、コロナ下の対応を硬直化させ混乱をうみ、教職員・保護者・子どもらの気持ちも傷つけます。職員会議での合意形成を重視し、子どもの意見表明や保護者とのコミュニケーションを大切にする学校の民主的運営を奨励します。

■「安倍教育再生」の負の遺産をとりのぞき、教育の自主性を保障し、豊かな教育条件を整える

 自公政権は教育基本法改悪を前後して、学校にそれまで以上の競争と管理を持ち込みました。全国学力テストは各地で平均点競争を引き起こし、ドリルやテストが繰り返されるようになりました。政権がゼロトレランス(寛容度ゼロ)を推奨するもとで、子どもの行動に対する細かいルールがふえています。子どもの個性や多様性に反した教育施策が続くもとで、不登校の割合が7年間で1・7倍になっています。

――教員免許更新制、全国一斉学力テスト(悉皆〈しっかい〉)、ゼロトレランス(寛容度ゼロ)、教員評価制度、職員会議の形骸化など自公政権が教育に押し付けた「負の遺産」をとりのぞき、子どもを大切にする教育の自主性をとりもどします。「従軍慰安婦」など教科書記述への政府の不当な介入をやめます。

――教育予算をOECD水準に引き上げ、教育費負担の軽減、少人数学級、私学助成の増額、特別支援学校の過大過密の解消、特別支援学級の規模引き下げ、教職員の多忙化を解消するための定数増、残業代ゼロ制度の廃止、学校統廃合の押し付けの中止、不登校の子どもへの支援などにとりくみます。ICTを自己目的化せず、子どもの発達や健康を中心にすえ、どう利用するかは個々の教員の判断を尊重するようにします。通信費や高校生のタブレットの公費負担をすすめます。図書館の拡充など社会教育の条件整備にとりくみ、民主的な運営を保障します。

――子どもの権利の擁護を、学校と教育行政の最重要事項として位置づけます。いじめへの不適切な対応、体罰や暴言、いわゆる「指導死」、子どもへの性犯罪などに、関係者の意見も踏まえ、厳しく対応します。子どもの権利条約の内容を子ども、教職員、保護者に周知します。

――改悪された教育基本法を、憲法と子どもの権利条約の立場から改めるための国民的な検討に着手します。教育委員会が子どものために政治から独立して職権が行えるよう、制度の見直しにとりくみます。

■校則を子どもの尊厳と基本的人権の視点から抜本的に見直す

 「下着や靴下の色は白」「ツーブロック禁止」などの校則のあり方が社会問題となっています。子どもの尊厳と基本的人権にかかわる問題であり、教育に必要な子どもと教職員の信頼関係を損なうことも憂慮されます。

 日本共産党は今年、校則アンケートを実施し、中高生・保護者・教職員・市民約3000人の声を聞きました。中高生は、頭髪や服装などを細かく指定する校則について「監視されているようで窮屈」と訴えています。回答した保護者・教職員・市民の九十数%が校則の見直しに賛成でした。今こそ、校則の抜本的な見直しに踏み切る時ではないでしょうか。

○子どもの尊厳と基本的人権の尊重を、校則に関する国の基本姿勢とする

 子どもの権利条約は「学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」(28条2)と定めており、欧米の校則には基本的人権に属する服装や頭髪への規制がほとんどありません。

 ところが、文部科学省の生徒指導に関する基本文書『生徒指導提要』は、校則や学校の規律に関して、子どもの尊厳や人権には一言もふれていません。校則を「社会規範の遵守」と位置づけ、校内規律に関する指導の基本を「規範意識の醸成」としています。これでは人権を著しく制限する校則でも、"規範だから遵守させよ"と言っているようなものです。『生徒指導提要』も改め、子どもの尊厳と基本的人権の尊重を、校則に関する国の基本姿勢とします。

○教職員と子ども、保護者の話し合いで見直しをすすめる

 校則は子どもの人権にかかわる性格を有すると同時に、教育活動の一環です。各学校での具体的な見直しを、憲法や子どもの権利条約もふまえて、教職員・子ども・保護者が話し合ってすすめることを大切にします。

4、憲法9条を生かした外交への転換で、平和な日本とアジアをつくる

(1)自民党の9条改憲のたくらみに終止符を打つ

 自民党は、自衛隊の憲法9条への明記や緊急事態条項の新設など、「戦争する国」づくりのための「改憲4項目」を党の正式の方針としており、現在もその立場を変えずに推進しています。

 いま必要なことは、憲法を変えることではなく、憲法9条を生かした外交で平和な日本とアジアをつくることです。この間、「2020年までに9条改憲を実現する」という安倍元首相の野望を、国民の世論と運動が包囲し阻んできました。この成果に確信をもって、総選挙で、改憲勢力を少数派に追い込み、憲法9条改憲のたくらみに文字通りの終止符を打とうではありませんか。

――自民党改憲案に反対し、断念に追い込みます。

――日本国憲法の前文を含む全条項を厳格に守り、平和的・民主的条項の完全実施を求めます。

(2)核兵器禁止条約に参加する政府をつくる

 核兵器禁止条約が今年1月に発効し、人類の歴史で初めて核兵器を違法とする国際法が確立しました。国内では、世論調査で7割を超える国民が同条約への参加を求め、地方議会による条約参加の意見書は600を超えています。

 ところが、日本政府は、唯一の戦争被爆国でありながら、条約の署名・批准に冷たく背を向けています。岸田新首相は「広島出身」をさかんに宣伝し、核廃絶に前向きのイメージづくりをしていますが、肝心の核兵器禁止条約については、「核抑止」の立場にしがみつき、従来の政府の姿勢となんら変わりません。「核兵器のない世界」をめざす大きな流れのなかで日本政府の姿勢が厳しく問われています。

――核兵器禁止条約に署名・批准する政府をつくります。

(3)「異常なアメリカいいなり」の政治をただす

 「異常なアメリカいいなり」の政治をただすことは、9条を生かした平和な日本をつくることと一体の問題であり、日本共産党はそのために全力をあげます。

■安保法制を廃止し、大軍拡から軍縮への転換を

 アメリカが起こす戦争に、世界中で、切れ目なく、自衛隊が参戦する道を開く、憲法違反の安保法制=戦争法が強行されて6年になります。「米軍防護」や日米共同演習がエスカレートし、日米軍事一体化が急速にすすんでおり、米国の戦争に自衛隊が参加・加担する危険が現実に高まっています。

「米中対立」が激化するなか、米国のバイデン政権は、「自由で開かれたインド太平洋」の名のもとに、軍事的対応と同盟国の役割分担の強化で対抗しようとしています。自公政権が、これに追随し、台湾海峡をめぐる問題に関して安保法制を発動する可能性に言及しているのは大問題です。

 4月の日米首脳会談は、「インド太平洋地域、そして世界全体の平和と安全の礎となった日米同盟を新たにする」と強調するとともに、日本の軍事力強化を誓約しました。2022年度軍事費の概算要求は5兆4797億円と、8年連続の過去最高額になっています。「いずも」型護衛艦にステルス戦闘機F35Bを搭載するための「空母化」や長距離巡航ミサイルの導入などは、「専守防衛」の建前さえかなぐり捨てるものです。しかもこの大軍拡は、アメリカいいなりにF35をはじめ米国製高額兵器を「爆買い」するものとなっています。

――自衛隊を海外で戦争させる安保法制を廃止します。

――F35など米国製兵器の「爆買い」や「空母化」などの大軍拡をやめ、軍縮へ転換します。

■沖縄新基地建設を中止し、日米地位協定を抜本改定する

 自公政権は、県知事選挙や県民投票で明確に示された沖縄県民の意思を一顧だにせず、新基地建設を強行しています。しかも戦没者の遺骨の眠る土砂を使って埋め立てをしようとしています。こんな死者を冒とくする行為は絶対に許すわけにはいきません。超軟弱地盤の問題はきわめて深刻で、新基地建設は、政治的にも技術的にも完全に行き詰まっています。

 沖縄の基地問題を解決する方法は明瞭です。自公政権を倒すことです。本土と沖縄の連帯、市民と野党の共闘で、自公政権を倒し、辺野古基地断念、普天間基地撤去を掲げた「沖縄建白書」を実行する新しい政権をつくることです。

――沖縄県民の民意を無視した辺野古新基地建設を中止します。

――普天間基地の無条件撤去を求めます。

――基地のない平和で豊かな沖縄をつくります。

 在日米軍の横暴がエスカレートし、全国各地でオスプレイなど米軍機による低空飛行訓練の被害が激増しています。ところが、自公政権は全国で多発する在日米軍の無法にまともに抗議一つしようとしません。

 日米地位協定は、全国知事会も改定を求めるなど、国政の熱い焦点になっています。米軍に国内法が適用されない、米軍基地への立ち入り権がない、訓練・演習の規制ができない、航空機事故の際の捜索権を行使しないなど、米軍の特権を許した日米地位協定は1960年の締結以来、一度も改定されていません。主権国家とはいえない異常なことです。

――危険なオスプレイは、沖縄からも本土からもただちに撤去することを求めます。

――住民の安全と暮らしに深刻な被害をもたらす低空飛行を中止させます。

――日米地位協定を抜本改定します。

■安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の日米関係を築く

 日本共産党は、国民多数の合意で、対米従属の根本にある日米安保条約を廃棄し、その代わりに対等・平等の立場で日米友好条約を締結し、本当の独立国といえる日本をつくることを、日本改革の根本にすえている政党です。

 この党を伸ばすことこそ、「異常なアメリカいいなり」をただす最大の力になりなす。

――国民多数の合意で、日米安保条約を廃棄し、対等・平等の立場にたった日米友好条約を結び、本当の独立国といえる日本をつくります。

(4)いまこそ憲法9条を生かした平和外交を

■「米中対立」――地域の平和協力へ包括的枠組みをつくる

 「米中対立」の激化のもと、日本の針路が問われています。この問題で、最も抑制すべきことは、軍事対軍事の対立のエスカレートです。

 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義的行動と、香港や新疆ウイグル自治区などでの人権侵害は断じて許されません。しかし、この問題では、国際法にもとづく冷静な外交的批判が何よりも重要です。軍事に軍事で対応するならば、軍拡競争の悪循環を招き、破滅的な衝突と戦争を引き起こしかねません。

 これまで自公政権は、米国言いなりに対中軍事包囲網づくりを強化する一方、中国に対し外交の場で覇権主義の誤りを正面から批判することは避けるという、最悪の対応に終始してきました。この政治を根本から転換しなければなりません。

 推進すべき道は、国連憲章と国際法という共通のルールにもとづく、平和的手段による問題解決と平和的共存です。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は、中国との間で、南シナ海の紛争回避を目的に「行動規範」を策定するために努力するなど、この道を粘り強く追求しています。

 日本共産党は、ASEANの経験に学んで「北東アジア平和協力構想」(別項)――北東アジアにもASEANのような平和の地域協力の枠組みをつくることを提唱しています。ASEANがすでに構築している平和の地域協力の枠組みを、アジア・太平洋・インド洋に拡大していくことこそ、未来ある道ではないでしょうか。

 中国に対しては、中国包囲の軍事的なブロックをつくるという排他的アプローチではなく、中国も包み込む形で地域的な平和秩序をつくっていく包括的なアプローチが大切です。

 いま求められているのは、地域と世界の平和に貢献する、憲法9条を生かした外交です。

――「北東アジア平和協力構想」を推進するとともに、平和の地域協力の枠組みをアジア・太平洋・インド洋に拡大し、地域と世界の平和に貢献します。

北東アジア平和協力構想

①紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する
②北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる
③領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ
④日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台になる

■中国の覇権主義、人権侵害――国際法にもとづく冷静な外交的批判を

 中国が、東シナ海、南シナ海での力を背景にした現状変更の動きなど、覇権主義の行動を強めていることは、重大です。香港、新疆ウイグル自治区などでの人権侵害も国際問題となっています。日本共産党は、これらに対して、国連憲章と国際法にもとづく冷静な外交的批判をつくしてきました。

――東シナ海、南シナ海などでの中国の覇権主義的行動に強く反対し、その中止を求めます。

――歴史的にも国際法上も日本の領土である尖閣諸島周辺での中国公船の覇権主義的行動に対しては、外交的対応とともに、文民警察である海上保安庁による対応に徹することが重要です。一方、自衛隊の投入は、中国に軍事対応に踏み出す格好の口実を与え、軍事対軍事の危険な悪循環に陥ることになり、行うべきではありません。中国側の体制増強や尖閣周辺での行動のエスカレーションに対応して、海上保安庁の人員、船舶、装備など、対応能力の充実をはかることを求めます。

――台湾問題の解決は、台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきであり、あくまでも平和的な話し合いで行われるべきです。中国が軍事的圧力・威嚇を強化していることに、日本共産党は強く反対します。

――日本共産党は、中国にあらわれた誤りについて厳しい批判をつらぬきますが、そのさい次の三つの姿勢を堅持します。

1、中国の「脅威」を利用して軍事力増強をはかる動きには断固として反対します。

2、日本共産党は、中国指導部の誤った行動は批判しますが、「反中国」の排外主義をあおり立てること、過去の侵略戦争を美化する歴史修正主義には厳しく反対します。

3、中国は、最も重要な隣国の一つであり、日本共産党が、中国の覇権主義、人権侵害を批判するのは、日中両国、両国民の真の友好を願う立場からのものです。

■北朝鮮問題――日朝平壌宣言にもとづき核、拉致、過去の清算などを対話によって解決する

 北朝鮮が新型長距離巡航ミサイルや弾道ミサイル発射をくりかえし、軍事対応を強化していることは、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和構築に逆行するもので、絶対に許すことはできません。北朝鮮は、日本を含む東アジアと世界の平和と安全への脅威となる核開発と関連活動を中止し、放棄すべきです。そのために国際社会は北朝鮮に対し、結束して強く働きかけるべきです。

――米韓両国政府が現時点で有効と確認している「シンガポール共同声明」と「板門店宣言」(いずれも2018年)を基礎として、日本も参加する実現可能な多国間協議の実現に力を尽くします。

――北朝鮮問題の解決の唯一の道は、日朝平壌宣言(2002年)にもとづき、核、拉致、過去の清算など、諸懸案を包括的に解決するために「対話による平和的解決」に知恵と力を尽くすこと、これ以外にありません。

■歴史問題――過去の侵略戦争と植民地支配の反省を土台にして

 日韓関係を改善していくためには、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省が不可欠の土台になります。「問題は解決済み」といって相手を門前払いする態度では関係改善はありえません。日本による植民地支配の被害者の名誉と尊厳をいかに回復するかという立場に立って、真摯(しんし)な対話・協議を行うことこそが必要です。

――日本軍「慰安婦」問題や「徴用工」問題で、日本政府が、侵略戦争と植民地支配への反省を土台にして被害者の尊厳と名誉を回復する措置をとることを強く求めます。

 日本共産党は、総選挙政策として、「コロナ危機を乗り越え 暮らしに希望と安心を――新経済提言」(9月22日)、「気候危機を打開する 2030戦略」(9月1日)、「ジェンダー平等の日本へ いまこそ政治の転換を」(10月1日)を発表しています。ホームページに掲載されていますので、参照していただければ幸いです。

野党共通政策

 新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽(いんぺい)し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。

 市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。

1 憲法に基づく政治の回復

・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。

・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。

・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。

・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。

2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化

・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。

・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。

・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。

3 格差と貧困を是正する

・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。

・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。

・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。

4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行

・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。

・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。

・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。

・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。

5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現

・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。

・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。

・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。

6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する

・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。

・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。

・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。

政策