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日本共産党

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赤旗

➡各分野の目次

1 労働・雇用

賃上げ、ブラック企業、解雇規制、「サービス残業」、派遣法、パート・有期、男女格差、最低賃金、失業保険、労働行政

2019年6月

8時間働けばふつうにくらせる社会を実現するために、本物の働き方改革を進めます

 労働基準法など8本の法律を一括改定した「働き方関連法」が2019年4月から、一部を除いて施行されています。野党と広範な団体・市民の反対を押し切って、強行された法律です。労働時間規制を完全になくしてしまう「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)を導入し、過労死水準の残業を合法化するなど、「働かせ方」大改悪法です。

 日本共産党はこの間、ブラック企業規制法案や派遣労働者保護法案、パート・有期労働者均等待遇法案、「サービス残業」根絶法案、長時間労働解消緊急提案などさまざまな立法・政策提案をおこなってきました。安倍政権の雇用・労働・賃金政策を根本から転換し、長時間労働と過労死の根絶と、まともな賃上げによって、「8時間働けばふつうにくらせる社会」を実現するために全力をあげます。「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)、「人たるに値する生活」(労働基準法第1条)を実現します。

 (なお、労働基本権回復など、公務員労働者については各分野の政策、41「公務員制度改革」の項を参照してください)。

異常な長時間労働を解消し、過労死を根絶します

高度プロフェッショナル制度を廃止し、企画業務型裁量労働制の廃止をはじめ裁量労働制を抜本的に見直します

 「働き方関連法」に盛り込まれている「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)は、労働時間規制を全面的に適用除外にする制度です。週休2日にあたる年間104日さえ休めば、24時間労働を48日間連続させても違法にならず、過労死を促進・合法化する制度です。8時間労働制を根底からくつがえすこの制度を廃止します。

 実際に働いた時間と関係なく事前に定めた時間を働いたものとみなす「みなし労働時間制」は、世界にほとんど例をみない異常な制度です。この制度を認めるILO条約は存在しません。

 裁量労働制は、「みなし労働時間制」を採用しているために、実労働時間の把握が困難であり、長時間労働の温床になっています。とりわけ企画業務型裁量労働制は、事実上、違法な営業職や一般職にも広がっています。野村不動産では違法に企画業務型裁量労働制が適用されていた営業職の労働者が過労自殺しています。こうしたなか、三菱電機は2018年3月、「長時間労働の抑制・健康確保等の観点から労働時間をより厳正に管理する」ために企画業務型裁量労働制を廃止しました。

 ホワイトカラーを際限のない長時間労働に追いやる企画業務型裁量労働制を廃止します。専門業務型裁量労働制については、真に専門的な業務に限定し、その要件と運用を厳格化します。事業場外みなし労働時間制についても、その要件と運用を厳格化します。

残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保します

 「働き方関連法」は、残業の上限を「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」とし、過労死水準の残業時間を法的に容認しています。過労死を促進・合法化するものです。

 残業時間の上限基準としては、週15時間、月45時間、年360時間が定められています(労働省告示154号)。これに法的拘束力をもたせます。この上限時間を労働基準法に明記し、例外なくすべての労働者に適用します。残業時間の青天井を容認する三六協定の特別条項を廃止します。

 割増賃金が残業抑制という本来の役割を発揮できるように、1日2時間、週8時間を超える残業の割増率を50%にします。また、3日連続で残業させたら4日目からの割増率を50%にします。

 法定休日について、労働基準法は、4週間をとおして4日の休日をあたえる4週・4休制となっているために、最大48日連続勤務を可能にしています。このために休日を与えない違法な連続出勤が表面化しにくい状態を生んでいます。連続出勤を規制し、毎週休めるようにするために、7日ごとに1日の法定休日を保障します。

 EU(ヨーロッパ連合)は、一日の労働が終わり、次の労働がはじまるまでのあいだに連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保することを法制化しています。勤務間インターバル規制は、一日の労働時間規制にもつながる重要な制度です。この制度は、世界45カ国で導入されています。労働基準法に連続11時間の勤務間インターバルを明記します。例外は、必要最小限にとどめます。

ただ働き残業(「サービス残業」)をなくすために、実労働時間を正確に把握・記録し、「サービス残業」が発覚したら残業代を2倍にします

 長時間労働是正の土台は、実労働時間の正確な把握と記録です。各事業場ごとに労働時間管理台帳を作成し、管理職を含めた全労働者の実労働時間を正確に把握・記録することを使用者に義務づけます。職場から労働時間をチェックすることによって、長時間・ただ働き残業をなくし、「追いつめられている」労働者を救済することができるように、本人はもとより、本人の同意があれば職場の労働者や家族・友人も、労働時間管理台帳と賃金台帳を閲覧できるようにします。労働時間管理台帳を作成・記録・保存をしない事業主に対する罰則を設けます。

 労働基準法に違反するただ働き残業(「サービス残業」)が後を絶ちません。企業に罰則を科すとともに、「サービス残業」が発覚したら、労働者に支払う残業代を2倍にします。「サービス残業」が企業にとって「割に合わない」ものにすることで、長時間労働の抑止力とします。

「名ばかり管理職」を規制します

 一般的に、管理職には残業代が支給されないといわれています。しかし、厚生労働省の「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」と題する通達文書は、「『管理監督者』であっても、労働基準法により保護される労働者に変わりはなく、労働時間の規定が適用されないからといって、何時間働いても構わないということではなく、健康を害するような長時間労働をさせてはなりません」と明記しています。「管理監督者」の定義については、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。『管理監督者』に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断します」と指摘しています。

 このように「管理監督者」の範囲は、きびしく制限されています。裁判例をみても、ファミリーレストランなどの「店長」や飲食店の「マネージャー」、学習塾の「営業課長」が「管理監督者」に相当しないと判断した例があります。労働実態を示して、厚労省のこの文書を厳格に適用するとりくみを強めます。

有給休暇取得を促進します

 2001年に5割を切った有給休暇の取得率は、現在も5割弱で推移しており、2020年までに70%に引き上げるという政府目標にも程遠い状況です。ヨーロッパでは、有給休暇は最低でも4労働週(週5日労働の場合は20日、週6日労働の場合は24日)が保障されており、しかも100%取得が常識になっています。

 日本共産党は、年次有給休暇を最低20日(現行は10日)とし、一定日数の連続取得と完全消化を保障させます。傷病や家族の看護の心配によって年休取得を控えることのないように、有給の傷病・看護休暇を創設します。

ブラック企業、ブラックバイトをなくします

 日本共産党は、若者をはじめ働く人を過酷な労働に追い込み、モノのように「使い捨て」「使いつぶす」ブラック企業を国政の大問題として訴え、2013年の参議院選挙での前進で獲得した議案提案権を活用して、ブラック企業規制法案を国会に提出しました。法案提出後、厚生労働省は、5000をこえる事業所に調査に入り、82%の事業所が法令違反を犯していたことを明らかにし、是正指導・勧告をおこないました。さらに、法令違反を繰り返す企業の名前を公表するようになり、公表された企業名は468社です。

 また、「固定残業代」のような求人票の誇大・虚偽記載について実態を調査し、未払い賃金が10億円にのぼるとの調査結果を発表して是正指導をおこなうとともに、関係団体に対して誇大・虚偽の求人広告を掲載しないよう要請しました。2015年9月には、ハローワークがブラック企業の新卒求人を拒否することや、募集・採用や労働時間など職場情報の開示を企業に義務化することを定めた青少年雇用促進法が全会一致で可決、成立しています。ブラック企業規制法案の提出と国会質疑など日本共産党は、このように行政を動かしてきました。日本共産党は、ブラック企業規制法案の成立にひきつづき全力をあげます。ブラック企業規制の要点は、以下のとおりです。

「サービス残業」を根絶します

 「サービス残業」が発覚したら不払い残業代を2倍にして労働者に支払わせ、「ただ働き」を根絶します。

 日本共産党は、1976年以来、300回をこえる国会質問で、「サービス残業」は企業犯罪だと追及し、2000年には「サービス残業根絶法案」を国会に提出しました。これが行政を動かし、厚生労働省は2001年、「サービス残業」根絶のために企業が責任をもって時間管理を強化することなどを内容とする「サービス残業」根絶通達を発出しました(現在は、ガイドラインになっています)。

 また、日本共産党は2014年に、残業代を一部しか支払わない「固定残業代」の問題を、2016年には出退勤前後の15~30分の労働時間を切り捨てて賃金を払わない実態を国会で追及するなど、「サービス残業」を生み出す手法を告発し、是正を進めてきました。これらのとりくみを通じて、厚労省が調査を始めた01年以降の17年間で、総額2976億円の未払い残業代を支払わせています。

企業情報を公開させます

 労働条件などの情報公開にかかわって、採用数と離職数を企業に公表させます(多数の離職者を生んでいることがブラック企業の特徴です)。賃金の内訳を明記させ、「固定残業代」のような誇大宣伝や虚偽記載をやめさせます。さらには、求職者からの求めに応じて企業情報を開示することを企業に義務づけます。

ハラスメントを禁止します

 電通の高橋まつりさんの、過労死基準をこえる長時間労働は、パワハラと一体でした。わが国には、パワハラなどのハラスメントを禁止する法律が存在せず、セクハラとパワハラについてわずかに措置義務を企業に課しているだけです。

 ILO(国際労働機関)は2019年6月、ハラスメントを包括的に禁止する条約と勧告を圧倒的多数の賛成で採択しました。第三者からのハラスメントを含め、労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する法律の制定を各国政府に求めています。保護する対象者は、雇用されている労働者だけでなく、請負や委託などの契約の形態にかかわらず働いている人、インターンや訓練中・実習中の人、雇用が終了した人、ボランティア、求職者、求人への応募者、使用者としての義務・責任を果たしている個人としています。さらに、規制する場所を、労働がおこなわれる「職場」に限定せず、「往復の通勤時」や「休憩や食事をとっている場所」「労働に関連する移動あるいは旅行、訓練、イベントあるいは社会活動がおこなわれているあいだ」「使用者が提供する宿泊施設」「ICT(情報通信技術)の利用を含め、労働に関連するコミュニケーション」なども対象にしています。日本政府がこの条約を批准し、ハラスメント禁止を明記する法改正をおこなうよう求めていきます。

 ブラックな働かせ方は学生アルバイトにも広がっており、学生生活の障害となっています。日本共産党は、2014年6月2日、「ブラックバイトから学生生活を守ろう」という提言を発表しています。

 くわしくはこちらをご覧ください。→(各分野の政策 14「若い世代」

退職強要をやめさせ、解雇規制法をつくります

 東芝・日立・ルネサスなどによる「電機リストラ」は、48万人という大規模な人減らしに発展し、非人道的な手法で労働者が追いつめられています。しかし、職場からのたたかいと日本共産党の国会論戦によって、少なくない成果を勝ちとっています。半導体メーカーのルネサスでは、片道2時間30分もかかる遠隔地に強制配転させられた2人の女性が元の職場に復帰しました。日立超LSIでは「追い出し部屋」を撤廃させました。ソニーでも「追い出し部屋」が撤廃されています。日本IBMでは終業時刻間際に労働者を会議室に呼び出し、解雇通告を読み上げ、そのまま会社から閉め出す「ロックアウト解雇」がおこなわれました。これに対し、労働者が勇気をもってたたかいに立ち上がり、原告11人全員が和解し、うち3人が職場復帰を果たすという画期的な成果を勝ちとりました。同社の賃金減額に対しても裁判で勝利しています。資生堂アンフィニ争議とシャノアール争議が勝利和解しました。日本共産党は、ひきつづき労働者のたたかいを支援していきます。

 自公連立政権が2003年に、労働基準法を改悪して「解雇自由条項」を盛り込もうとしたとき、日本共産党は、労働者・労働組合と協力してこれをやめさせ、解雇を規制する条項をはじめて盛り込ませました(この条項はその後、労働契約法に移行)。さらに、「解雇規制・雇用人権法」を発表し、労働者の人権をまもり、ヨーロッパ並みの労働契約のルールの確立を提案しました。具体的内容は、最高裁の判例などで確立している「整理解雇4要件」(①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務、③人選の合理性、④解雇手続きの妥当性)を法律に明記するとともに、裁判などで解雇を争っているあいだは雇用を継続する、解雇無効になった場合は職場に復帰するという就労権を保障しています。

 政府が導入しようとする「解雇の金銭解決」制度に断固反対します。

 希望退職・転籍についても、本人同意・取消権、労働組合の関与などのルールを確立します。ハラスメントを禁止し、人権侵害をきびしく取り締まります。労働基準監督署が、退職強要などを日常的に監視し、取り締まるようにします。会社分割・企業譲渡における雇用と労働条件のルールをつくります。55歳一律転籍など、年齢による雇用契約の不利益変更や採用制限を禁止します。事業所の閉鎖、移転、縮小の際に自治体と協議する仕組み(リストラ・アセスメント制度)をつくります。投資ファンド(資金運用組織)による企業買収、会社資産の売却が野放しになっていることにより、労働者が安易に解雇されるなど、深刻な事態が広がっています。ファンドが被買収企業の労働条件を実質的に決定している場合には、労働者・労働組合との協議・交渉を義務づけるなど、法的規制をおこないます。

 高年齢者雇用安定法は、定年を65歳にするか希望者全員を65歳まで継続雇用することを義務づけています。雇用延長措置をとる企業(300人以上)は、ほぼ100%になっています。しかし、「心身の故障」「勤務不良」などの場合、継続雇用をしなくてもよいという抜け道が残されており、希望者全員が継続雇用されない状況が生まれています。また、雇用延長しても賃金が定年時の5割未満が11・7%、5~6割未満が23・3%、6~7割未満が22・6%になっています。アメリカやヨーロッパのように、年齢を理由とする雇用・賃金などの労働条件への差別を禁止します。高齢者雇用延長制度については、法律の趣旨にもとづき希望者全員を採用させるとともに、年齢による賃金などの労働条件差別をやめさせます。退職金の後払いである企業年金の一方的な切り下げを許さず、受給権を守ります。

 シルバー人材センターを利用した低賃金で劣悪な雇用の拡大に反対し、賃金や労働条件、労働災害補償など改善を図ります。

労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働者保護法をつくります

 安倍政権による労働者派遣法の大改悪(2015年9月)は、これまで派遣労働の大原則だった「常用雇用の代替禁止」「臨時的・一時的業務に限定」を根底から投げ捨てる大改悪でした。

 直接雇用は、世界で当たり前の原則であり、戦後の日本の労働法制が根幹としてきた原則です。ところが、自民党政権は、1985年の労働者派遣法制定以降、99年に対象業務を原則自由化し、2003年には派遣労働を製造業にまで広げ、正社員を大量に派遣労働者に置き換えてきました。2008年秋のリーマン・ショック時には、大量の派遣労働者が職を奪われ、同時に住まいまで失うという深刻な事態が全国に広がりました。他国に例を見ない派遣労働者「使い捨て」の横行が社会問題になり、世論と運動の力で派遣法の部分的改正もおこなわれました。

 ところが、安倍政権の強行した改悪労働者派遣法は、派遣労働を臨時的・一時的業務に限定する担保措置だった原則1年・最大3年の期間制限を廃止し、人さえ入れ替えれば同じ業務であってもいつまでも派遣労働者を使えるようにするものです。派遣労働の受け入れを延長する場合は、派遣先企業が職場の過半数労働組合等から意見聴取するだけで可能となり、実効的な歯止めとなっていません。派遣先への直接雇用についても企業に「依頼」するだけです。まさに「生涯ハケン」「正社員ゼロ」に道を開く大改悪です。さらに、今回の改悪は、派遣先が違法派遣をおこなった場合に労働者に雇用契約を申し込んだものとみなす「みなし」規定が事実上発動されないような仕組みを導入しました。

 この大改悪に対して、ナショナルセンターの所属の違いをこえて労働組合が弁護士、学者、市民が共同して世論と運動を広げ、日本共産党の国会論戦の中で「直接雇用が基本」という初の政府答弁を引き出し、附帯決議にもその原則を明記させたのは重要な成果です。

 日本共産党は、違法な「派遣切り」、「非正規切り」とたたかう労働者・労働組合と力をあわせて、大企業の違法派遣の実態を告発し、国会でくり返し質問し、労働者派遣法の抜本改正を求めてきました。他党に先駆けて、2008年4月に「派遣労働者保護法案」を提案しました。同法案は、派遣労働を臨時的・一時的業務に厳格に制限しています。製造業派遣や日雇い派遣を全面的に禁止し、「使い捨て」労働をなくします。派遣受け入れ期間の上限を1年とし、違法があった場合は派遣先に期間の定めなく直接雇用されたものとみなし、正社員化をすすめます。派遣先の正社員との均等待遇、グループ内派遣の制限をおこない、常用代替を規制します。

非正規社員から正社員への流れをつくるとともに、非正規社員への均等待遇をすすめます

 派遣労働者、契約社員やパート、期間社員などの非正規労働者は、正規労働者の6割弱という低賃金に加えて、短期・細切れの雇用契約の更新をくり返し、つねに雇用不安をかかえて働いています。派遣先企業が、直接雇用に切り替えても、数カ月の契約をくり返し、いつでも「雇い止め」自由の「期間工」とされるケースが後をたちません。労働基準法では原則として3年をこえる有期雇用契約が締結できないことになっていることから、「最長2年11カ月契約」と称して、違法・脱法をくり返しているケースも後をたちません。現行法では、契約途中の解雇は厳しく規制されており、また、契約更新の「ある」「なし」や更新する際の基準について明示しなければならず、反復更新を重ねていれば、「解雇権濫用法理」が類推適用されます。現行法を厳しく守らせ、労働者を泣き寝入りさせることを許しません。

 また、2013年4月から、改定労働契約法が全面施行され、同じ使用者のもとでの雇用契約が5年をこえる場合、無期雇用契約に転換する制度が施行されています。施行から5年目をむかえる2018年4月から無期転換が始まっています。ところが、労働条件は従前の有期契約のときと同じでよいとされ、しかも5年を前にした「雇い止め」を防止する措置がありません。そのために、雇用契約が5年になる以前に、「雇い止め」にする動きが、大学や研究機関などで多発しています。この脱法行為に対して労働者・労働組合がたたかいに立ち上がり、日本共産党の国会論戦と結合することによって少なくない職場で無期転換を勝ちとっています。ところが、日立は、無期転換した労働者を解雇するという違法行為をおこなっています。経団連会長企業の日立のこの重大な違法行為を断じて許しません。日本共産党は、正社員化を促進するという労働契約法改定の趣旨にもとづき、こうした「雇い止め」をやめさせるために、全力をあげます。

 ヨーロッパでは、有期雇用は臨時的・一時的業務と合理的理由のある場合に限定され、正社員との均等待遇を保障しています。ILOは2015年総会で、非正規労働から正規雇用への転換を促進する勧告(204号)を採択しています。日本共産党は、正社員が当たり前の社会をめざして、有期雇用については、臨時的・一時的業務、合理的な理由がある場合に限定し、安倍政権の名ばかり「同一労働同一賃金」でなく、同一価値労働同一賃金をはじめ、有給休暇などの労働条件について正社員との均等待遇を実現します。同一価値労働同一賃金と均等待遇の原則を労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などに明記する法改正をおこないます。有期雇用労働者に対する不合理な労働条件を禁止した労働契約法第20条を厳しく守らせます。

 本来、労働者として企業の指揮・命令を受けて仕事をしているのに「個人請負」契約にして、社会保険加入など労働者としての権利を奪う脱法行為(「名ばかり個人事業主」)が増えています。また近年、フリーランスで働く労働者が増え、法的保護のない状態で長時間労働や低賃金、無権利に苦しんでいます。違法・脱法行為をきびしく取り締まり、ILOの「雇用関係に関する勧告」(198号)を活用して、請負や委託、フリーランスで働く労働者を保護します。「多様な就業形態の普及」の名で、個人請負など無権利・低収入の「非雇用型」の働き方の拡大をすすめる安倍「働き方改革」に反対します。

ジェンダー平等を促進し、同一価値労働同一賃金を実現します

 女性の2人に1人が、パートや有期契約、派遣などの非正規雇用のもとに置かれています。長時間・過密労働のなかで、育児休業どころか、結婚や出産しても働きつづけられる女性は3割にすぎません。

 「転勤できない」「業務がちがう」ことなどを表向きの理由とした男女間の昇給・昇格差別の結果、男性の正社員にくらべて、女性の正社員の賃金は7割、女性の非正規の賃金は4割という大きな格差が生まれています。派遣労働者でも、女性の時給は男性の9割です。雇用形態による差別がそのまま男女間格差に直結し、退職金や年金支給の低さなどにも大きな影響を与えています。

 わが国も批准しているILO条約「同一価値労働・同一報酬」(100号)にもとづき格差を是正します。同一価値労働同一賃金と均等待遇の原則を、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などに明記します。

 労働時間を短縮し、男女賃金格差を是正するとりくみは、本当の意味でのワーク・ライフ・バランスを実現するとともに、男女ともに仕事も家庭生活も両立できる社会、「8時間働けばふつうにくらせる社会」にする上でも重要です。

 日本共産党は、労働条件の均等待遇と正社員への道の拡大をめざし、「パート・有期労働者均等待遇法」を提案しています。賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、労働者がパート・有期労働者であることを理由とする差別的取り扱いを禁止します。正社員を募集するときは、パート・有期労働者に応募の機会を優先的に与えるようにします。短期雇用契約をくり返している場合は、期間の定めのない雇用契約とみなすという判例を法制化します。合理的理由のない「短期・反復雇用」「契約社員」は不公正な契約として規制し、正社員に移行させます。正社員が育児・介護などの理由のために一定期間パートタイム労働者として働いた後、再び正社員にもどれるようにします。均等待遇に違反している企業に対して、罰則を設けることも含めきびしく取り締まります。

 1985年に男女雇用機会均等法が制定されてから34年が経過しました。しかし、日本のジェンダー平等ランキングは、149カ国中110位(2018年)と世界でも最下位の部類に甘んじています。雇用機会均等法は、「間接差別の禁止」について、「募集・採用にあたって身長・体重・体力を要件にすること」「転居を伴う転勤を採用・昇進の要件にすること」「昇進にあたり転勤の経験があることを要件とすること」の3例の限定的な列挙にとどめています。条件をつけずに「間接差別」の禁止を明記すべきです。雇用形態による差別や低賃金の業務に女性の比率が高くなっていることなどについて、実効性ある是正措置をとります。 (詳しくは各分野の政策 「6、女性」の項を参照してください)

まともな賃上げを実現します

 「先進国」のなかで賃金が下がっている国は、日本だけです。1997年と2018年の21年間の賃金を比較すると、イギリスは93%増えています。アメリカは82%、フランスは69%、ドイツは59%増えています。お隣の韓国も167%も増えています。日本は、マイナス8%です。

 暮らしと経済を立て直すには、賃上げと安定した雇用の拡大が必要です。大企業が溜め込んでいる442兆円の内部留保のほんの一部を使うだけで、賃上げや正社員化を実現し、新たな雇用をつくることができます。また、大企業による下請け・納入単価の強引な切り下げを規制することで、下請け・関連の中小企業にも賃上げの条件が生まれます。

 国民の所得が増え、中小企業を含む企業経営全体が改善していけば、税収も社会保険料収入も増えます。人間らしく働けるルールの確立で、こうした健全な経済成長への好循環をつくりだすことができます。

最低賃金1500円をめざし、全国一律最低賃金制を確立します。中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化します

 貧困と格差が広がるなかで、年収200万円以下の労働者が1085万人(2017年)にのぼっています。安倍政権は、最低賃金を毎年3%引き上げ、できるだけ早期に、全国加重平均で1000円をめざすと言っています。しかし、最低の鹿児島(761円)が1000円に到達するのは、10年後の2028年です。また、地域間格差は、時給で224円、年収で43万200円(1800時間で計算)へとさらに拡大しています。格差是正を目的とする最低賃金制のもとで格差が拡大するという異常な事態になっています。

 働く貧困層をなくすには、労働者全体の賃金の底上げとなる最低賃金の大幅引き上げが必要です。最低賃金の地域間格差を是正し、世界で当たり前の全国一律最低賃金制を創設します。最低賃金は「ただちに全国どこでも時給1000円」に引き上げ、「すみやかに1500円」をめざします。1500円を実現すれば、8時間働いて、残業なし・週休2日で、月25万円になります。最低限の要求として当然です。

 最低賃金の引き上げにあたって、中小企業へ支援を抜本的に強化します。米国では、5年間(2007~2009年)で最低賃金を41%引き上げ、540万人分の賃上げをおこなったとき、8800億円の中小企業支援(減税)を実施しました。フランスでは、3年間(2003~2005年)で最低賃金を11・4%引き上げた際に、中小企業の社会保険料事業主負担を2兆2800億円軽減しています。2019年には2兆6000億円の軽減がおこなわれます。

 日本の中小企業支援策は、「業務改善助成金」しか存在しません。事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性を向上させるために設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などをおこなった際に、その費用の一部を助成するという制度です。制度がはじまった2011年度の予算額は38・9億円でした。しかし2019年度予算は6・9億円。5分の1へと減額され、中小企業1社あたりわずか200円の助成にしかなりません。

 中小企業が最低賃金を支払えるように賃上げに本格的な支援をおこないます。年7000億円の国費を投入し、社会保険料事業主負担を減免します。この措置によって、1000人未満のすべての企業で1000円を実現することができます。この措置を3年程度続ければ、1500円に接近することができます。同時に、大企業の下請けいじめなどをきびしく規制します。

公契約法・条例を制定します

 国や自治体と受注する事業者との間で結ばれる契約(公契約)に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定める法律や条例(公契約法・条例)を制定します。「官製ワーキング・プア」をなくすために、国や自治体の臨時・非常勤職員の賃金を引き上げます。また、自治体が誘致する企業について、正社員化の度合いや均等待遇の実施状況などを重要な判断基準とさせます。

失業者の生活と職業訓練を保障し、安定した仕事、公的仕事への道を開きます

 労働者は、失業すればとたんに収入が途絶え、貯蓄だけが頼りになります。派遣労働者などの非正規労働者は、貯蓄もできないような劣悪な労働条件で働かされ、解雇されると同時に寮から追い出されてホームレスになっています。ILOは、日本では失業手当を受給できない失業者の割合が77%にものぼり、「先進国」中最悪の水準にあると指摘しています。失業者が安心して仕事を探せるように、雇用保険制度の抜本的拡充が不可欠です。失業給付期間を、現在の90日~330日から180日~540日程度に延長します。給付水準の引き上げ、受給資格の取得に要する加入期間の短縮、退職理由による失業給付の差別をなくし、支給開始までの7日間の待機期間と3カ月の給付制限期間をなくすなど抜本的に拡充します。

 安定した仕事につく機会を広げるために、専門学校なども活用して職業訓練制度を抜本的に拡充します。フランスでは、職業訓練への資金提供を企業に義務づけています。ドイツには、企業が職業訓練生を一定の報酬を支払って受け入れ、終了後は正社員として採用するという制度があります。低賃金で貯えもなく、企業内での教育訓練の機会もない「ワーキング・プア」やフリーターの職業訓練を重視し、有給の職業訓練制度や訓練貸付制度を創設し、訓練期間中の生活援助を抜本的に強化します。全国の地域職業訓練センターの廃止を中止し、希望するすべての失業者に職業訓練の機会を提供します。

 「ワーキング・プア」や失業者に、公共・公営住宅の建設や借り上げ、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの生活支援を強め、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設します。

 政府の不十分な雇用創出制度を抜本的に拡充するとともに、国と自治体の責任で、効果のある公的就労事業を確立します。国と自治体の協力による臨時のつなぎ就労の場を確保させます。また、保育、介護・福祉、医療、環境、防災、教育など、国民のくらしに不可欠な分野が慢性的な人手不足状態にあります。この分野で雇用を増やし、職業訓練と結びつけて、人間らしい賃金・労働条件を確保・改善するのは、国と自治体の重要な責任です。

 働く者が連帯してみずから受け皿をつくり、仕事をつくりだす「労働者協同組合」について、労働者性を担保した根拠法を制定します。

 新卒者の就職難を打開します。日本共産党は、2010年4月21日、「新卒者の就職難打開へ――社会への第一歩を応援する政治に いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯な取り組みを」という新卒者の就職難に関する政策を発表しています。

国と地方の労働行政を強化します

 人間らしく働けるルールを確立するために、国の労働行政の強化が不可欠です。労働基準監督署の体制強化や相談窓口の拡充などをはかります。労働基準監督行政の民間委託を許しません。労働監督官数は、ILO基準(「先進国」の場合、1万人の労働者ごとに1人の監督官を配置する)にそって、政府の責任で2倍以上に増やします。

 職業訓練の充実や再就職支援、労働者の権利と雇用主の義務を知らせる広報・啓蒙活動を強化します。そのために、ハローワークの窓口担当者が臨時・非正規という現状を是正し、ハローワークの体制を抜本的に拡充します。中央と地方の労働委員会の民主化と機能の強化、被害者救済のための個別労働紛争解決制度の拡充をすすめます。「ワークルール教育推進法」を制定し、学校・職場・地域などで労働者の権利をしっかり教えるようにします。

 

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