お詫び:音声ブラウザ用簡易ページは現在機能しません。このまま、通常のページをご覧ください。

日本共産党

  • 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

ENGLISH PAGE

赤旗

日本共産党第28回大会 第一決議(政治任務)

2020.1.18 採択

<音声(mp3)>

全体版

分割版 第1章第2章第3章第4章


第1章 日本の政治を変える二つの大仕事――共闘の発展と日本共産党の躍進を

(1)市民と野党の共闘の到達点と、共闘を前進させながら党を躍進させる課題について
(2)日本共産党の躍進で、市民と野党の共闘を発展させ、新しい政治への道をひらこう

第2章 戦後最悪の安倍政治を終わらせ、野党連合政権を実現しよう

(1)日本社会を根底から破壊する、戦後最悪の安倍政権を倒して、新しい政治を
  • (1)憲法と立憲主義の破壊――「戦争する国」に向かう暴走政治
  • (2)戦後最悪の大増税を押し付け、暮らしと経済を根こそぎ破壊
  • (3)大国に追随し、覇権主義にモノが言えない屈従外交
  • (4)侵略戦争と植民地支配を美化する歴史逆行と排外主義
  • (5)強権とウソと偽りと忖度の、究極のモラル破壊の政治
  • (6)安倍政権の最悪の補完勢力としての「維新の会」
(2)市民と野党の共闘が直面する課題――いまこそ政権問題での前向きの合意を
  • (1)市民と野党の共闘はどこまで来たか――4年間の共闘を通じて築いてきた到達
  • (2)いまなぜ野党連合政権か――連合政権に向けた話し合いを呼びかける
(3)野党間の政策的な合意はどこまで来たか――野党連合政権がめざす政治転換の方向
  • (1)「市民連合」との政策合意、野党共同提出の法案などで一致している政策課題
  • (2)安倍政治からの転換の三つの方向にそって、野党連合政権をつくろう
  • (3)政策上の不一致点に政権としてどう対応するか
(4)草の根からの国民の世論とたたかいで、野党連合政権への道をひらこう

第3章 内外情勢の激動と日本共産党の役割――党躍進で日本と世界の進路をひらこう

(1)日本の政治の二つのゆがみ「アメリカいいなり」「財界中心」と歴史逆行をただす
  • (1)安保法制廃止とともに、「アメリカいいなり政治」の根本にある日米安保条約を廃棄する
  • (2)日本経済の長期低迷と、貧困と格差の拡大――根底にある財界中心の政治をただす
  • (3)侵略戦争と植民地支配に反対した政党の躍進は、アジア諸国との真の友好の道を開く
(2)「統一戦線」で政治を変える立場を貫く党の躍進は、共闘発展の推進力に
(3)日本共産党の躍進は、21世紀の世界の平和と進歩への貢献となる
  • (1)世界で進む平和の地域協力の流れ――「北東アジア平和協力構想」の実現を
  • (2)核兵器禁止条約に署名・批准する政府をつくろう
  • (3)ジェンダー平等社会の実現を――財界、「靖国派」の抵抗を打ち破る力を持つ党を
(4)資本主義を乗りこえる展望を語り広げよう
  • (1)世界的規模でも、各国ごとにも、貧富の格差拡大が深刻になっている
  • (2)人類の未来にとって死活的な地球的規模での気候変動
  • (3)資本主義を乗りこえる展望を持つ党の役割を正面から訴えよう

第4章 総選挙方針――「市民と野党の共闘勝利」と「日本共産党躍進」の二大目標を一体に

(1)来たるべき総選挙の「二大目標」を一体的に取り組み、達成しよう
  • (1)共闘の時代に党躍進をかちとるカギは、「積極的支持者」を増やす日常活動の強化
  • (2)あらゆる分野で、国民のたたかいを発展させる中で「二大目標」に挑戦する
  • (3)「比例を軸に」をつらぬき、「850万票、15%以上」の実現を
  • (4)小選挙区では、野党共闘の勝利と、日本共産党議席の大幅増をめざす
  • (5)あらゆる選挙で、女性議員を増やすことに力を注ぐ
(2)地方選挙の取り組みを日常的に強化し、草の根から野党共闘の前進と党躍進の流れを
  • (1)安倍自公政治による地方こわしを許さず、住民の命と暮らしを守る
  • (2)地方議員第1党の奪回に向けた取り組み強化、草の根から市民と野党の共闘を広げる
  • (3)地方議員の活動と成長を支え、地方議員(団)の日常活動を強める
(3)新しい情勢にふさわしく、選挙方針を抜本的に発展させよう
  • (1)批判とともに希望を語る政治論戦
  • (2)あらゆる活動で「双方向」をつらぬく
  • (3)選挙の「担い手」を広げ、みんなが立ち上がる選挙にする
  • (4)新しい情勢にふさわしく後援会活動を発展させる
  • (5)幅広い団体との協力共同の取り組みを発展させる
  • (6)若い世代が、生き生きと力を発揮できる選挙に
  • (7)熟達した選挙指導の発展・継承を
(4)全党が力をあわせ未踏の道を開拓し、勝利をつかもう


第1章 日本の政治を変える二つの大仕事――共闘の発展と日本共産党の躍進を

(1)市民と野党の共闘の到達点と、共闘を前進させながら党を躍進させる課題について

 安倍自公政権とその補完勢力に、市民と野党の共闘が対決し、安倍政権を終わらせて野党連合政権への道を開く、日本の政治の新しい時代が到来している。

 前党大会後、2017年の総選挙では、党は共闘を破壊する突然の逆流に直面した。しかしそれを、全国の草の根での市民の取り組みと力を合わせて乗りこえ、共闘を守ることができた。この結果は、その後の国会での野党共闘の発展に大きく寄与することになった。

 19年の参院選では、全国すべての1人区で野党統一候補がたたかい、10選挙区で自民党との一騎打ちに勝利した。これは、自民・公明・維新など改憲勢力の参議院での議席を、改憲発議に必要な3分の2割れに追い込み、自民党を参議院での単独過半数から大きく割り込ませる上で、決定的な力となった。

 日本共産党自身は、17年総選挙では悔しい後退を喫したが、19年参院選では比例代表の得票数・得票率ともに押し返し、次の総選挙で躍進をかちとるうえでの重要な足掛かりをつくることができた。

 わが党にとって、市民と野党の共闘を前進させながら、いかにして日本共産党自身の躍進をはかるかは、きわめて重要な課題である。そのためには、党の積極的支持者を増やす日常的な活動の強化と、党の自力を強くするための独自の努力が必要であり、さらなる努力と探求を強めることは、いささかもゆるがせにできないわが党の最大の任務である。

(2)日本共産党の躍進で、市民と野党の共闘を発展させ、新しい政治への道をひらこう

 今大会期は、二つの大仕事に取り組み、その目標を成しとげる。

 一つは、4年間の取り組みの到達と成果の上にたって、市民と野党の共闘を野党連合政権を実現する共闘へと、質的に大きく発展させることである。

 いま一つは、次期総選挙で「850万票、15%以上」を実現し、日本共産党そのものの躍進をかちとることである。

 日本共産党を国政選挙でも地方選挙でも躍進させることは、共闘を発展させ、野党連合政権を実現するための決定的な保障となる。

 同時に、党を躍進させることは、党綱領が示した民主的改革を実現し、日本政治のゆがみを根本からただす最大の力となる。

 共闘の発展と党の躍進は一体に取り組まなければならないが、わけても、党を躍進させることは、わが党が担う独自の任務であり、どんな情勢のもとでも、いついかなる時も成しとげなければならない、わが党の独自の国民に対する責任である。

 全党の総力をあげて、党躍進の流れを切り開こう。


第2章 戦後最悪の安倍政治を終わらせ、野党連合政権を実現しよう

(1)日本社会を根底から破壊する、戦後最悪の安倍政権を倒して、新しい政治を

 安倍政権がこの7年間でやってきたことは、憲法と平和、暮らしと経済、民主主義と人権などあらゆる分野で、戦後どの内閣もやってこなかった史上最悪の暴政の連続だった。戦後最悪のこの内閣をこれ以上延命させてはならない。

(1)憲法と立憲主義の破壊――「戦争する国」に向かう暴走政治

 安倍政権は、戦後70年にわたって自民党政権が「憲法上できない」としてきた集団的自衛権の行使を、一内閣の閣議決定で可能にし(2014年7月)、安保法制=戦争法を強行した(15年9月)。まさに「憲法破壊のクーデター」である。

 立憲主義を破壊した政治のもと、権力行使に抑制がなくなり、数を頼んだ暴走が横行するようになった。特定秘密保護法(13年)、盗聴法の適用拡大(16年)、共謀罪法(組織的犯罪処罰法改正、17年)の強行など、国民の目と耳と口をふさぎ、自由と権利を侵害し、モノ言えぬ監視社会への動きを加速させてきた。

 日米安保体制を地球規模の軍事同盟に変質させた日米新ガイドライン(15年)と安保法制=戦争法のもとで、「戦争する国」づくりがすすんでいる。

 安倍政権が2018年12月、閣議決定した新「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」は、日米同盟をいっそう強化するとともに、「従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化する」とした。20年度の軍事費は、政府予算案で8年連続増額、過去最高の5兆3千億円となった。とくに、「いずも」型護衛艦を最新鋭戦闘機F35Bが発着艦できる空母に改修することや、敵基地攻撃能力の保有をめざして長距離巡航ミサイルを導入したことは、「専守防衛」をたてまえとしてきた従来の政府の立場をもくつがえし、自衛隊を海外で実際に武力行使する軍隊へと大きく変貌させるきわめて重大なものである。

 安倍政権の「戦争する国づくり」の策動は、憲法9条の「改定」を最大の目標としている。先の参院選で改憲勢力は、発議に必要な3分の2の議席を失った。「期限ありきの早急な改憲には賛成できない」というのが、参院選で主権者・国民が示した民意にほかならない。それにもかかわらず、安倍晋三首相は「2020年までの改憲」に執念を燃やしている。憲法9条に自衛隊を明記し、海外での戦闘に無制限に参加させる自民党改憲案を準備し、発議を虎視眈々(こしたんたん)とねらっている。

 憲法99条で「憲法尊重擁護義務」を課されている首相が、国民が望んでもいない改憲の旗を振ること自体が、立憲主義を乱暴に破壊するものである。

 憲法9条改定によって、戦後日本の、「海外の戦争で一人も殺さない、殺されない」というあり方を根本から変え、日本を「米国と肩を並べて戦争できる国」にする暴挙を、決して許してはならない。

(2)戦後最悪の大増税を押し付け、暮らしと経済を根こそぎ破壊 

 安倍政権は、国民の暮らしの悪化も、景気と経済を壊すこともかえりみず、2度にわたり消費税の大増税を強行した。合計13兆円という大増税は、歴代自民党政権でも最大規模であり、安倍政権は戦後最悪の増税政権となった。

 経済の6割近くを支えている家計への負担増は、消費不況と国内需要の低迷に悩む日本経済にとって致命的な打撃となる。消費税増税は、地域経済を担っている中小企業をさらに疲弊させる一方、史上最高の利益を上げ、巨額の内部留保をかかえている大企業には負担を求めない。日本社会で深刻となっている貧困と格差に追い打ちをかける。経済政策としても最悪だと言わねばならない。

 安倍政権は、「消費税は社会保障のため」と言いながら、年金も医療も介護も生活保護も改悪の連続で、7年間で合計4・3兆円もの負担増と給付削減が行われた。

 口では「賃上げ」を言いながら、労働法制の改悪による雇用破壊を重ねた。消費税増税を含む物価上昇が、わずかな賃上げも吹き飛ばし、第2次安倍内閣が発足してから実質賃金を年間18万円も低下させた。

 消費大増税と社会保障の連続改悪、そして、雇用破壊と賃金の減少――まさに暮らしと経済を根こそぎ破壊してきたのが安倍政治である。

(3)大国に追随し、覇権主義にモノが言えない屈従外交 

 安倍外交は、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を売り物にしているが、大国に追随し、覇権主義にモノが言えない屈従外交があらわになっている。

 安倍首相のトランプ大統領に対する「言いなり」ぶりは際立っている。憲法を踏みにじる軍事面での対米追随にくわえ、米国製兵器の「爆買い」、日米貿易交渉にみられるような食料主権と経済主権の放棄など、これまでのどの自民党政権と比べても、その対米従属ぶりは異常で深刻なものとなっている。

 対ロ領土交渉で、安倍政権は、これまで政府がまがりなりにも掲げてきた「4島返還」の方針さえ投げ捨て、事実上の「2島決着」の立場を打ち出し、それが破綻するなかで、国益を深刻な形で毀損(きそん)した。もともと自民党政府の対ロ領土交渉は、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじった不公正を正すという原則的立場をもたない重大な弱点をもつものだが、安倍政権のもとでこの弱点と矛盾が噴き出している。

 対中外交では、昨年来の日中首脳会談などで、双方が「正常な発展の軌道」に戻ったと評価しているが、中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵入は、その後も激増し、常態化している。安倍政権は、こうした中国の横暴な振る舞いについて、正面から抗議し、是正を求めることをしていない。他方、閣僚の靖国神社参拝が続き、内外の批判を招いている。歴史問題に誠実な態度をとるとともに、「言うべきことを言う」という姿勢をつらぬいてこそ、真の日中の友好関係を築くことができることを強調しなければならない。

(4)侵略戦争と植民地支配を美化する歴史逆行と排外主義 

 安倍政権は、歴代自民党政権のもとで、まがりなりにも表明されてきた一連の到達点をも踏みにじって、歴史を改ざんし、侵略戦争と植民地支配を美化する歴史逆行の政治をすすめてきた。

 その象徴が、2015年8月に発表された「戦後70周年の安倍談話」だった。この談話は、朝鮮半島への植民地化を進めた日露戦争を礼賛するなど、1995年の「村山談話」で表明された「植民地支配と侵略」への反省を事実上投げ捨てるものとなった。

 その背景には、改憲右翼団体「日本会議」との深刻な一体化がある。第4次安倍再改造内閣の閣僚20人のうちの安倍首相を含む12人が、「日本会議」と一心同体の「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)の幹部である。

 今日、日韓関係が最悪となっているが、その根本的原因は、安倍政権が、「徴用工」問題でも、日本軍「慰安婦」問題でも、過去、日本が犯した植民地犯罪に真剣に向き合おうとせず、被害者の方々の名誉と尊厳を回復する責任を投げ捨てていることにある。

(5)強権とウソと偽りと忖度の、究極のモラル破壊の政治

 安倍政権の政治姿勢の特徴は、強権、ウソと偽り、忖度(そんたく)にある。

 国民多数が反対する法案の強行採決は、安倍政権下で日常茶飯事になった。沖縄県との話し合いを拒否し、法律を無視した辺野古新基地建設を強行するなど、地方自治と民主主義を根底から踏みにじり沖縄の民意を一顧だにしない強権姿勢が、際立っている。

 強権政治と表裏一体に、ウソと偽りの政治が横行している。情報の隠ぺい、統計偽装などを、これほどまでにくりかえす内閣もなかった。そもそも、公文書の改ざん、官僚による虚偽答弁が大手を振ってまかり通るようになったきっかけは、安倍首相本人の森友・加計疑惑だった。

 安倍政権が、巨大メディアに直接・間接の介入をおこない、報道の自由、言論の自由を侵害していることも、日本の民主主義にとってきわめて重大である。

 軍学共同の推進や、芸術・文化に介入するなど、学問・研究の自由、表現の自由への侵害を強めていることも看過できない。

 こうした中で、安倍政権が強権的に進めた大学入試への英語民間試験や国語・数学の記述式問題の導入は、高校生をはじめとした国民のたたかいと野党の結束した共闘が導入見送りに追い込んだ。教育現場の声を無視して「教育再生実行会議」の方針を押しつけた、今回の「入試改革」の根本からの見直しが必要である。

 教育基本法改悪を契機に「競争と管理」の教育がいよいよ強まり、ブラック校則や体罰、職場での深刻なパワハラをはじめ、子どもの人権も、教職員の人権も守られない深刻な事態が広がっている。

 安倍政権のもと、日本社会のモラル崩壊が進んでいる。首相を守るために、政権に忖度し、都合の悪いことは政権ぐるみで隠ぺいし、改ざんし、虚偽の答弁を繰り返す。ウソと偽りの政治は、終わりにしなければならない。

(6)安倍政権の最悪の補完勢力としての「維新の会」

 こうした安倍政権の暴走を支えているのが「日本維新の会」である。

 「維新の会」は、安倍首相の改憲策動のお先棒をかつぐ「突撃隊」の役割をはたし、野党共闘を攻撃することにも躍起になっている。「都構想」の名で大阪市の廃止・分割をねらう再住民投票をすすめ、カジノの解禁・導入でも先兵としての役割を発揮している。全国で大問題になっている国民健康保険料(税)の連続・大幅値上げを大阪で先取りして進めたのも維新である。「維新の会」は、「改革者」の仮面をかぶった、安倍政権の最悪の「別動隊」であり、安倍政権の補完勢力にほかならない。

 安倍政権が7年間続くもとで、いま、日本国憲法の平和主義、立憲主義、民主主義は重大な危機にひんしている。日本経済と国民の暮らしも、日本の外交も、深刻な行きづまりに直面している。この危機を打開するために、政治的立場の違いを乗りこえて、野党が結束し、自民・公明と補完勢力を少数に追いこみ、安倍政権を倒し、新しい野党連合政権をつくることが切実に求められている。

(2)市民と野党の共闘が直面する課題――いまこそ政権問題での前向きの合意を

(1)市民と野党の共闘はどこまで来たか――4年間の共闘を通じて築いてきた到達

 第27回党大会決定は、市民と野党の共闘について三つの課題――(1)豊かで魅力ある共通公約をつくる、(2)相互推薦・相互支援の共闘を実現する、(3)政権問題で前向きの合意をつくる――を提起した。その後の3年間、市民と野党の共闘は、さまざまな困難と曲折を経ながらも、以下の諸点で大きな成果をあげ、新しい到達を築いてきた。

 第一に、1人区での共闘が、相互に支援しあう共闘へと大きく前進したことである。2016年の参議院選挙では、わが党が擁立した候補者が野党統一候補になった選挙区は香川1県だったが、19年の参院選では、徳島・高知、鳥取・島根、福井の3選挙区5県へと広がった。全国各地でも、野党各党の国会議員が、市民のみなさんと肩を並べて候補者を応援する光景が当たり前のものとなった。

 第二に、1人区だけでなく、複数定数区でも市民との共闘が発展し、日本共産党の前進・勝利へと実を結ぶ経験がつくりだされたことである。多くの無党派市民や保守の人びとが複数区でもマイクを握り、共闘にいっかんして誠実に取り組むわが党候補を、心を込めて応援する姿が全国に広がった。

 第三に、野党間の政策的な一致点が大きく広がったことである。5野党・会派は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(以下、『市民連合』)」と13項目の「共通政策」を確認し、安保法制、憲法、消費税、沖縄、原発など、国政の基本問題で共通の旗を立てて、選挙をたたかった。政策的な一致点は、3年前の参院選、総選挙と比べても大きく前進した。

 第四に、共闘を進める基本姿勢について、共闘に取り組む中でお互いの理解が深まったことである。「多様性の中の統一」――お互いに違いを認め合い、リスペクト(尊敬)しあって、国民の切実な願いに即して一致点で協力するという、もっとも民主主義的な協力・共闘の姿を、市民と野党の共闘はつくりだしてきた。

(2)いまなぜ野党連合政権か――連合政権に向けた話し合いを呼びかける 

 4年間の共闘の成果と到達を踏まえて、市民と野党の共闘を、さらにどう発展させていくか。今後の共闘の発展にとって最大の課題は、野党連合政権の合意――政権問題での前向きの合意をつくることである。

 参院選の結果を踏まえて、日本共産党は、2019年8月8日、党創立97周年記念講演で、参議院選挙をともにたたかった野党各党に、野党連合政権に向けた話し合いを開始することを呼びかけた。

 わが党は、4年前に「国民連合政府」を提唱していらい、野党が政権問題で前向きの合意をつくることを主張しつづけてきた。同時にこの間、政権合意がないもとでも、この問題を横において選挙協力をすすめてきた。しかし、市民と野党の共闘を本当に力あるものにするためには、いよいよこの課題を避けて通ることができなくなっている。野党が力強い政権構想を示すことを、国民と日本社会が求めている。

 第一に、安倍政権に代わる野党としての政権構想を国民に提示し、「本気で政治を変える」メッセージを届けてこそ、国民に「一票で政治や暮らしを変えることができる」という希望を広げることができる。これまで投票に行かなかった多くの人々にも投票所に足を運んでもらうことができるだろう。

 第二に、野党としての政権構想を示すことは、安倍自公政権による野党共闘攻撃に対する断固たる回答となる。参院選で安倍首相は、たびたび以前の民主党政権をもちだし、「あの時代に逆戻りさせてはならない」とくりかえした。しかし、いま市民と野党の共闘がめざしているのは、かつての民主党政権の復活ではない。「市民連合」との13項目の政策合意が示すように、かつての民主党政権の限界を乗りこえ、国政の基本問題で自民党政治を切り替える新しい政治である。

 野党連合政権にむけた協議では、以下の三つの点が大切になると考える。

 一つは、政権をともにする政治的合意であり、その意志を確認することである。

 二つ目は、「市民連合」とかわした13項目の政策合意を土台に、連合政権が実行する共通の政策を練り上げることである。そのさい、連合政権として各党の政策の不一致点にどう対応するかの合意も必要になる。

 三つ目は、小選挙区における選挙協力の合意である。

 市民と野党の共闘を、野党連合政権をめざす共闘へと発展させることは、国民に対して野党が共同で負っている重大な責任である。日本共産党は、その責任の一翼を担って、全力で奮闘する。

(3)野党間の政策的な合意はどこまで来たか――野党連合政権がめざす政治転換の方向

(1)「市民連合」との政策合意、野党共同提出の法案などで一致している政策課題 

 参院選に向けて、5野党・会派が「市民連合」と確認した13項目の政策合意は、これまでの野党間の合意を踏まえ、さらに発展させるものとなった。

 ――安保法制廃止と立憲主義回復という、共闘の「一丁目一番地」がすえられた。

 ――安倍政権の憲法「改定」、とくに9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないことを明記した。

 ――沖縄の辺野古新基地建設の中止、日米地位協定改定など、外交問題でも新しい踏み込みが共通の政策となった。

 ――原発問題でも、現状での再稼働を認めず、再生可能エネルギーへの転換をはかり、原発ゼロを実現するという、新しい一致点が明記された。

 ――消費税問題は、これまで野党間で確認できなかったが、10%への増税中止、「所得、資産、法人」の税制の公平化という方向性が確認された。

 ――最低賃金1500円、8時間働けば暮らせるルール、生活を底上げする経済、社会保障政策、貧困・格差を解消する方向が打ち出された。

 ――LGBTs(性的少数者)の差別解消、女性差別撤廃、選択的夫婦別姓、議員間男女同数化の実現などが明記された。

 「市民連合」との政策合意以外にも、野党は各政策分野で合意を積み重ねてきた。国会での共同の取り組みや選挙公約などを通じて、野党が一致している課題は少なくない。以下はその主なものである。

 ――農業では、種子法復活法案などを共同で国会に提出し、安倍政権のTPP(環太平洋連携協定)や、日米FTA(自由貿易協定)交渉にも反対して共同でたたかってきた。

 ――被災者生活再建支援法改正を共同で国会に提出し、支援金の上限を、現行の300万円から500万円にひきあげるなど、被災者や被災自治体の最も切実な願いにこたえることを求めてきた。

 ――気候変動にきちんと向き合うため、野党各党は、「2050年CO2排出ゼロ」を掲げるなど、先進国としての責任と役割を果たすことを求めている。

 ――核兵器禁止条約を批准することを、一致して求めている。

 「市民連合」との政策合意をはじめ、野党間で一致しているこれらの政策課題は、全体として、野党連合政権の土台となりうるものである。その内容は、国民の切実な要求を踏まえ、市民連合の協力を得て、一歩一歩積み重ねて築いた、きわめて重要な到達である。

(2)安倍政治からの転換の三つの方向にそって、野党連合政権をつくろう

 私たちは、これまでに築いてきた野党間の政策的合意の内容は、安倍政治からの転換の方向を、次の三つの点で示すものとなっていると考える。

 第一に、憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する。

 第二に、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる。

 第三に、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く。

 この方向にこそ、安倍政治にかわる、新しい希望ある政治への道がある。

 日本共産党は、これまでともに共闘を担ってきた多くの市民のみなさんと、国会内外で共闘してきた他の野党のみなさんに、この三つの方向にそって安倍政治を根本から転換する野党連合政権を実現することを、心から呼びかけるものである。

(3)政策上の不一致点に政権としてどう対応するか

 野党連合政権をめざすうえで、政策上の不一致点に政権としてどう対応するのかも、重要な課題である。

 安倍首相は参議院選挙中の党首討論で、くりかえし「自衛隊は違憲だという共産党とどうして政権が組めるのか」と野党共闘攻撃を行った。

 しかし、いま政治に問われているのは、自衛隊や日米安保条約そのものの是非ではない。安保法制=戦争法によって、憲法9条を踏み破った自衛隊の海外での武力行使――「海外で戦争する国」を許していいのかであり、そのために、野党は自衛隊や安保条約に対する態度の違いを乗りこえて共闘している。安倍自公政権や補完勢力による見当違いの共闘攻撃は、自らがくりかえした憲法破壊の所業を覆い隠すものでしかない。

 日本共産党は、自衛隊や安保条約について独自の見解をもっている。自衛隊は憲法9条に明確に違反しており、日米安保条約をなくしてこそ、日本は本当の独立国といえる国になると考えている。

 しかし、こうした日本共産党の見解を政権に持ち込むことはしない。野党連合政権の安全保障に関する共通課題は「集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回と安保法制の廃止」であり、それを実行すれば、この法制を強行する前の憲法解釈・法制度・条約上の取り決めがあらわれてくる。したがって、政権としては安保法制強行以前の憲法解釈・法制度・条約上の取り決めで対応することになる。

 これまで築いた到達点に立ち、さらに互いに知恵と力を出し合い、互いに違いは認め合い、一致点を広げ、市民と野党の共闘を前に進めよう。政策合意をさらに豊かで魅力的なものにし、野党連合政権の実現へ道をひらこう。

(4)草の根からの国民の世論とたたかいで、野党連合政権への道をひらこう

 市民と野党の共闘を発展させ、野党連合政権への道を開く最大の力は、全国の草の根からの国民の世論とたたかいである。

 暮らしと経済、民主主義など、すでに野党共通の政策となっている諸課題で、国民の共同のたたかいにとりくむ。

 とりわけ、安倍9条改憲の発議を許さない一点でのたたかいを、全国で広げに広げよう。

 また、野党連合政権をすすめるためには、労働組合の果たす役割はきわめて大きい。これまでの行きがかりを乗りこえ、労働組合運動の大原則である"一致する要求で団結する"という立場で、労働組合運動が積極的な役割を果たすことを期待する。

 4年前、私たちが共闘に踏み出すうえで、背中を押してくれたのは、「野党は共闘」という市民の声だった。「野党は共闘」から、「野党は連合政権」へと、共闘の発展を求める世論と運動を、全国各地から広げていただくことを、心から訴える。


第3章 内外情勢の激動と日本共産党の役割――党躍進で日本と世界の進路をひらこう

 いま、内外情勢の激動のもとで、日本共産党の果たすべき役割はいよいよ大きくなっている。

 日本では、自民党政治の異常な「アメリカいいなり」「財界中心」という二つのゆがみと国民との矛盾がますます深刻になっている。このもとで、戦後かつてない市民と野党の共闘が発展し、党綱領の民主的改革が現実の政治課題となりつつある。

 世界では、核兵器禁止条約の成立をはじめ、20世紀に起こった「世界の構造変化」が平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている。今回の党大会で行った綱領一部改定は、科学的社会主義の立場にたって世界情勢論を発展させるとともに、どんな大国であれ覇権主義・大国主義を許さず、平和と社会進歩のために力をつくすわが党の役割を鮮明にするものとなっている。

 日本共産党ならではの役割をあらゆる分野で発揮し、来たるべき総選挙で躍進をかちとって、日本と世界の進路を切りひらこう。

(1)日本の政治の二つのゆがみ「アメリカいいなり」「財界中心」と歴史逆行をただす

 内政でも外交でも、日本社会に危機をもたらしている安倍政権を一刻も早く倒し、野党連合政権への道をひらくことは、私たちが直面する緊急の課題である。

 同時に、日本社会を根底から破壊する安倍政権の暴走の根底には、「アメリカいいなり」「財界中心」という二つのゆがみ、「歴史逆行」という古い自民党政治の行き詰まりが、いよいよ深刻になっているという大問題がある。

 こうした情勢のもと、わが党には、(1)直面する緊急の政治課題で共同のたたかいを発展させ、市民と野党の共闘を発展させるとともに、(2)自民党政治のゆがみをただす根本的改革の展望を明らかにし国民の多数派をつくっていくという「二重の役割」を果たすことが求められている。

(1)安保法制廃止とともに、「アメリカいいなり政治」の根本にある日米安保条約を廃棄する

 日本共産党は、野党共闘の共通の課題である安保法制廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、辺野古新基地建設の中止、日米地位協定の抜本改定のために、国民的共同を広げ最大の力をつくしていく。

 同時に、これらの課題を本気でやりとげようとすれば、「日米同盟絶対」の立場では対応できなくなる。「アメリカいいなり政治」の根本にある日米安保条約をどうするかという問題にぶつからざるをえなくなる。

 2020年は、1960年に国民的規模の反対闘争を押し切って日米安保条約が改定されてから60年目にあたる。この条約を背骨とした「異常なアメリカいいなり政治」は、あらゆる分野で行き詰まりを深め、国民との矛盾が噴出している。

 日本には戦後74年を経たいまも、日米安保条約のもとで、沖縄をはじめ全国に131もの米軍基地が置かれている。相次ぐ米兵犯罪やオスプレイ配備強行、無法な空母艦載機などによるNLP(夜間離着陸訓練)や超低空飛行訓練、米軍機の騒音被害、航空機・艦船による環境汚染などで、全国各地で住民の命と暮らしが日常的に脅かされている。

 こうした害悪を取り除くための、緊急の一致点にもとづく共同を発展させながら、異常な対米従属の根本にある日米安保条約を国民多数の合意によって廃棄し、独立・平和・中立の日本をつくり、米国とは対等・平等の立場にもとづく「日米友好条約」を結ぶことにこそ日本の未来があることを大いに訴えてたたかう。

 この立場に確固として立つ日本共産党が躍進することが、逆流をはねのけて野党共闘を前進させるためにも、日本の政治の根本的転換にとっても最大の力になる。

(2)日本経済の長期低迷と、貧困と格差の拡大――根底にある財界中心の政治をただす

 日本経済の長期低迷と貧困と格差の広がりに対して、市民と野党の共闘は「格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる」という方向を共有し、安倍政権と対決している。消費税増税ではなく、大企業や富裕層に応分の負担を求めることも、野党の間で広い一致点になってきた。

 同時に、ここでもそれらの課題を本気でやろうとすれば「財界中心の政治」というゆがみにぶつからざるをえない。

 自民党政治は、財界の要求にこたえて消費税増税と大企業への減税をくりかえし、雇用の規制緩和による非正規労働化を後押しした。大企業の経営さえ支援すれば、いずれ家計にまわるという「トリクルダウン」にしがみつき、そこから一歩も抜け出すことはなかった。「経済財政諮問会議」をはじめ、財界代表を政権運営の中枢に組み入れ、財界の要求を重要な政策決定にストレートに反映させてきた。

 このような財界中心のゆがんだ政治を根本的に転換すること――とくに綱領が示す「国民の暮らしと権利を守るルールある経済社会」を築くことが、日本経済が長期停滞から脱するためにも、広がる貧困と格差を是正するためにも、どうしても必要である。

 税制の面で、消費税こそは、「財界中心の政治」の最悪のあらわれである。消費税導入から31年間、消費税収は397兆円だが、同時期に法人3税の税収は298兆円減り、所得税・住民税の税収も275兆円減った。消費税の目的は、「社会保障のため」でも、「財政再建のため」でもない。「弱者から吸い上げ大企業や富裕層を潤す」――これこそが消費税の正体であることが、すっかり明らかとなった。消費税導入と度重なる増税は、国民の暮らしと景気、中小企業の営業を壊し、日本を「経済成長できない国」にしてしまった大きな要因の一つになった。

 日本共産党は、31年間の歴史でその悪税ぶりが証明された消費税を廃止することを目標に掲げるとともに、緊急に5%に減税することを強く求めてたたかう。「5%への減税」が広く国民・野党の共通の要求となるように奮闘する。

 「8時間働けばふつうに暮らせる社会」、「暮らしを支える社会保障の充実」、「お金の心配なく学び、子育てができる社会」を築くために力をつくす。中小企業や農林水産業を本格的に支援する政治への転換をはかる。

 日本共産党は、国民の暮らしのための財源は、「消費税に頼らない別の道」――富裕層や大企業に応分の負担を求める税財政改革などでまかなうことを、責任をもって具体的に提案している。その際、日本共産党は、赤字国債の乱発と日本銀行による直接引き受けなど、野放図な借金を消費税減税などの財源にすることには賛同できない。

 日本共産党の躍進は、野党が共通して掲げる「格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治」を実現する最大の力になるとともに、「財界中心」の政治から抜け出し、経済民主主義を実現するという抜本的改革の方向を国民的な流れに発展させ、暮らしと日本経済の危機を打開することに大きく貢献するものとなる。

(3)侵略戦争と植民地支配に反対した政党の躍進は、アジア諸国との真の友好の道を開く

 侵略戦争と植民地支配への反省を投げ捨てた安倍政権の歴史逆行の政治は、アジアの近隣諸国との関係をはじめ、世界各国との真の友好を阻む重大な障壁となっている。

 日本共産党は、結党当初から一貫して侵略戦争と植民地支配に、文字通り命がけで反対を貫いた歴史をもつ党として、歴史を偽造する逆流を大本から断ち切るために、理性の論陣をはり、行動している党である。

 この党の躍進こそ、日本政治から、この邪悪な逆流を一掃し、日本とアジア諸国との真の友好の道を開く、最も確かな力である。

(2)「統一戦線」で政治を変える立場を貫く党の躍進は、共闘発展の推進力に

 今日の市民と野党の共闘の時代を開いた力は、直接には、安保法制に反対するたたかいをはじめとする新しい市民運動の発展だったが、その根底には、1980年の「社公合意」のもとでも、日本共産党と無党派や保守の人びととの、国政革新をめざす草の根での共同のたたかいがあり、そのために粘り強く力をつくしてきた革新懇運動の存在があった。

 この4年間、共闘が重大な岐路に直面したさいにも、深刻な困難にぶつかったときにも、日本共産党は揺るがず共闘の発展に力をつくしてきた。日本共産党がこうした役割を断固としてつらぬくことができたのは、現在から未来にいたる社会発展のあらゆる段階で、統一戦線の力――政治的立場の違いを超えた連帯と団結の力で政治を変えることを、党の綱領に明記しているからにほかならない。

 いついかなる時にも、政治的・思想的立場の違いを超えて、切実な一致点での共同を何よりも大切にする日本共産党を躍進させることこそ、市民と野党の共闘を発展させ、野党連合政権の実現に道を開く、最大の保障である。

(3)日本共産党の躍進は、21世紀の世界の平和と進歩への貢献となる

 20世紀の植民地体制の崩壊によって起こった「世界の構造変化」は、21世紀の今日、平和の地域協力、核兵器廃絶、人権保障などの人類的な諸課題で、生きた力を発揮している。日本共産党の躍進は、21世紀の世界の平和と進歩への貢献となる。

(1)世界で進む平和の地域協力の流れ――「北東アジア平和協力構想」の実現を

 東南アジアやラテンアメリカで、平和の地域協力の流れが発展している。とりわけ、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、紛争の平和的解決を掲げた条約を土台に、平和の地域共同体として発展していることは重要である。

 日本共産党は、第26回党大会で「北東アジア平和協力構想」を提唱し、その実現のために、国際社会・関係各国に働きかけてきた。わが党のこの提唱は、朝鮮半島をめぐる情勢が曲折をはらみつつも前向きに変化するもとで、いよいよ重要性をましている。

(2)核兵器禁止条約に署名・批准する政府をつくろう

 2017年7月、国連で、圧倒的多数の賛成で核兵器禁止条約が採択されるという画期的出来事が起こった。「ノーモア・ヒロシマ、ナガサキ」という被爆者の声、核兵器廃絶を求める世界と日本の声が、国際政治を大きく動かした。

 核兵器禁止条約は、核兵器の使用と威嚇を違法化し、核兵器に悪の烙印(らくいん)を押すものである。そこには、戦後、日本の原水爆禁止運動と日本共産党が掲げてきた、核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護の内容が全面的に盛り込まれている。

 日本共産党は、2017年3月と7月の2度にわたり国連会議に代表団を派遣し、被爆国の政党として会議で演説を行うとともに、38の国・機関に要請を重ねた。核保有国と日本などの同盟国が固執する「核抑止力論」を徹底して批判してきた。

 核兵器禁止条約の実現に貢献してきた日本共産党を躍進させ、禁止条約に署名し、批准する政府をつくろうではないか。

(3)ジェンダー平等社会の実現を――財界、「靖国派」の抵抗を打ち破る力を持つ党を

 「世界の構造変化」は、国際的な人権保障も発展させた。途上国が国際社会で有力な地位を占めるようになるもとで、貧困、差別、暴力など、途上国の人権問題に光が当たり、それが先進国も含めた新しい人権保障の発展を促進している。「ジェンダー(社会的・文化的性差)平等」の概念は、こうした人権保障の発展の中から生まれたものである。

 ところが日本は、世界でも恥ずべき「ジェンダー平等後進国」になっている。ジェンダーギャップ指数(2019年)は153カ国中121位で、G7の中では最下位である。その背景には、財界が利潤第一主義をこの課題の上に置いていることと、戦前の男尊女卑や個人の国家への従属を美化する「靖国派」が、政治の中枢を握っているという問題がある。

 いまジェンダー差別をなくそうと多彩な運動が広がっている。声をあげた人を孤立させず、当事者の声をよく聞き、切実な要求実現へ、ともに力を尽くそう。

 ジェンダー平等を妨げている政治を転換し、男女賃金格差の是正、選択的夫婦別姓制度の導入、政策・意思決定分野への男女平等の参加、性と生殖に関する健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の保障などをすすめる。

 日本共産党は、戦前から男女同権をかかげ、戦後も賃金格差や職場での差別をなくすために、市民とともにたたかってきた。世界でも際立つ「ジェンダー平等後進国」から抜け出すためにも、財界、「靖国派」の抵抗を打ち破る力を持つ日本共産党を躍進させることが決定的に重要である。

(4)資本主義を乗りこえる展望を語り広げよう

 貧富の格差の全世界での拡大、地球的規模でさまざまな災厄をもたらしつつある気候変動など、資本主義体制が21世紀に生き残る資格があるのかが、いま鋭く問われている。

(1)世界的規模でも、各国ごとにも、貧富の格差拡大が深刻になっている

 世界的規模での格差拡大が大問題になっている。格差は、発達した資本主義国の内部でも拡大している。労働者の暮らしと権利を守るルールが比較的整備されている国も、決して例外ではない。

 OECD諸国の人口の上位所得者層10%の富裕層の所得は、下位10%の貧困層の所得の9・5倍に達した(1980年代には7倍)。各国の上位10%の手にわたる国民所得の割合は、日本25・0%、フランス24・0%、ドイツ23・2%にのぼっている(2017年 OECD所得分配データベースから)。

(2)人類の未来にとって死活的な地球的規模での気候変動

 気候変動の抑制・是正を求め、世界中で若者が声をあげはじめている。

 「パリ協定」は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度より十分低く抑え、1・5度に抑制する努力目標を設定した。1・5度の上昇でも、地球環境に深刻な事態をもたらすとされているが、現在の各国の温室効果ガス削減目標を合計すると、21世紀末には約3度の気温上昇が起こると予測され、一層の削減強化が切実に求められている。こうしたなかで開かれた19年9月の「国連気候行動サミット」では、先進国を中心に65カ国が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを表明した。

 ところが安倍政権は、実質排出ゼロの期限を示さないばかりか、22基もの石炭火力発電新設計画を見直すこともせず、「成長戦略」と称して輸出まで進めるなど、その逆行ぶりは際立っている。米国のトランプ政権とともに、気候変動に対する無責任さは許しがたいものである。

(3)資本主義を乗りこえる展望を持つ党の役割を正面から訴えよう

 これらの課題は、資本主義の枠内でも緊急の最大限の対策が求められているが、巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の経済システムの本質的な矛盾そのものが問われる性格の問題である。

 日本共産党は、資本主義を乗りこえた未来社会の展望を綱領で示している党として、格差拡大や気候変動などの人類的課題について、緊急の解決策とともに、根本的な打開の方向を示すことができる。

 この党を躍進させることこそが、人類的課題の解決にとっても大きな意義をもつことを正面から訴え、前進・躍進をかちとろう。


第4章 総選挙方針――「市民と野党の共闘勝利」と「日本共産党躍進」の二大目標を一体に

(1)来たるべき総選挙の「二大目標」を一体的に取り組み、達成しよう

 来たるべき国政選挙は、政策とともに政権が問われる総選挙である。日本共産党は、「二大目標」――(1)市民と野党の共闘の勝利で、野党連合政権に道を開くこと、(2)「850万票、15%以上」を得票目標に、日本共産党の躍進をかちとることをかかげ、この二つを一体のものとして取り組む。

(1)共闘の時代に党躍進をかちとるカギは、「積極的支持者」を増やす日常活動の強化

 市民と野党の共闘をすすめながら、党の躍進をかちとるカギは、党の自力をつけることとともに、党への積極的支持者を増やすことである。

 共闘の時代の選挙戦では、「他に入れるところがないから共産党」という「消極的支持」にとどまらず、日本共産党の綱領、理念、歴史を丸ごと理解してもらい、「共産党だから支持する」という積極的な支持者をうまずたゆまず増やしていくことが躍進のカギをにぎる。そのための日常的活動を抜本的に強化していく。

 党の積極的支持者を増やすうえで、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を全国津々浦々で開くことはきわめて重要な活動となる。一人ひとりの党員は、みんな党との出会いのドラマを持ち、党への熱い思いを語ることができる。生きた言葉で、自らの思いを重ね、「共産党をまるごと語る」一大運動に取り組む。

(2)あらゆる分野で、国民のたたかいを発展させる中で「二大目標」に挑戦する

 国民の切実な要求にもとづく国民的運動を、あらゆる分野で発展させることは、「二大目標」を実現するうえでも、暮らしと家計を応援し、日本の民主主義を守り発展させるうえでも、最大の力となる。

 消費税の5%への減税、社会保障の拡充などを国民は切実に求めている。改憲発議を止めるたたかいも力強く進んでいる。「#MeToo」運動やフラワーデモなど、性差別や性暴力の根絶を求める新たな運動も全国に広がっている。

 東京電力福島第1原発事故からの復旧・復興はなお途上にある。関西電力の「原発マネー」還流疑惑にも国民の怒りが広がっている。原発再稼働反対、原発ゼロの日本をという世論と運動をさらに広げる。

 農林漁業と農山漁村は歴史的な危機に直面し、先進諸国で最低の食料自給率は、37%と過去最低を更新した(2018年)。歴代自民党政権が、農林水産物の輸入自由化を次々に広げ、価格保障・所得補償を大幅に削減・廃止するなど、農業つぶしの政治をすすめてきた結果である。なかでも安倍政権は、TPPや日欧EPA、日米貿易協定など、空前の規模の輸入自由化を次々に強行した。国連が2019年からを「家族農業の10年」とするなど、国際的には持続可能な世界(SDGs)に向け、農政の転換が大きな流れになりつつある。わが国も農政を大本から転換し、農業を国の基幹的生産部門に位置づけ、大小多様な家族経営が安心して農業に励めるようにする、食の安全・安心を確保するなど、農林漁業と農山村の再生に全力をつくす。

 台風、地震をはじめ相次ぐ自然災害が深刻な被害をもたらしている。災害から国民の命と暮らしを守ることは国政の最重要課題の一つであり、政治の責任が問われている。不幸にして大きな災害にあっても、生活と生業(なりわい)の再建に希望が持てる社会にするために、被災者の救援、住宅の再建、農林漁業・中小企業への直接支援など、国の被災者支援の抜本的強化を求める。大型開発から防災・老朽化対策への公共事業の転換、河川改修の推進、乱開発の規制、消防態勢など自治体の防災力を強化し、災害に強いまちづくりをすすめる。

 あらゆる分野で国民的運動を発展させながら、「二大目標」の達成へ全力をあげよう。

(3)「比例を軸に」をつらぬき、「850万票、15%以上」の実現を

 総選挙の比例代表選挙では、全国11の比例ブロックのすべてで議席獲得、議席増をかちとることを目標とする。政治目標にみあう比例候補を早期に決定していく。

 その際、「比例を軸に」して、「自らの選挙」として、あらゆる選挙戦の主舞台としてたたかうことが重要である。政党選択を争う比例代表選挙で、日本共産党に投票する支持者が広がれば広がるほど、比例代表選挙はもちろん、野党共闘でたたかう小選挙区での勝利の道もひらかれる。過去のどの選挙でもなかった位置づけで、「比例を軸に」を、文字通り中心にすえてたたかう。

 すべての支部、党機関が「850万票、15%以上」にむけた得票目標、支持拡大目標をもち、それを実現する「政策と計画」、「総合計画」で選挙活動の「四つの原点」を具体化し、日常活動を抜本的に強化する。

 すすんだ党組織では20%から30%以上の得票率をめざすとともに、すべての党組織が一刻もはやく「10%以上の得票率」を実現し、15%以上をめざす。すべての都道府県、自治体、行政区が「10%以上」を獲得することは、綱領実現へ全国的な政党間の政治的力関係を変えていく土台となる。

 大志ある目標を決め、たえずそれにてらして到達点を自覚して活動していく。

(4)小選挙区では、野党共闘の勝利と、日本共産党議席の大幅増をめざす

 小選挙区では、野党の選挙協力を成功させ、党議席の大幅増をめざす。

 そのために、党本部間で、野党連合政権への三つの合意をつくる努力に全力をあげる。都道府県・地区・支部でも、市民と野党のみなさんと懇談し、野党連合政権の合意への機運をつくりだす。

 政権問題でどれだけの合意が達成できるかは、選挙協力の度合いを左右することになる。選挙協力にあたっては、連合政権をつくる――政権をともにすることを合意するのが本来のあり方であり、そうしてこそ最大の力を発揮することができる。

 小選挙区候補者の擁立は、連合政権の合意をつくる努力と一体に、地方と中央がよく相談してすすめていく。

(5)あらゆる選挙で、女性議員を増やすことに力を注ぐ

 日本共産党が、地方議会における女性議員第1党となっていることは、私たちの誇りとするところである。この到達に安住することなく、国政選挙でも地方選挙でも、あらゆる選挙で女性候補の比率をたかめ、女性議員を増やすことに力を注ぐ。

(2)地方選挙の取り組みを日常的に強化し、草の根から野党共闘の前進と党躍進の流れを

(1)安倍自公政治による地方こわしを許さず、住民の命と暮らしを守る

 安倍政権は、「国際競争力の強化」をかかげ、地方自治体に、大型開発を押し付けるとともに、「広域連携」「集約化」と称して中心市街地への開発と立地の集中、公共施設の統廃合・縮小などをすすめさせている。住民の反対の声を無視して、カジノ誘致も強行しようとしている。これからの数年間は、国民健康保険料(税)の連続値上げと介護保険料引き上げ・サービス縮小などの改悪もねらわれている。厚生労働省は、全国の公立・公的病院424カ所を名指しで統廃合することなどを求めた。

 こうしたもとで、住民や関係団体と力を合わせて命と暮らしを守る先頭に立って奮闘しているわが党の地方議員(団)の役割はますます重要になっている。

 党は、国民健康保険料(税)の均等割の廃止・縮小などによる引き下げ、介護保険の負担軽減と介護サービスの拡充、障害者福祉の充実、高齢者などの交通手段の確保、公立・公的病院の統廃合押し付けを許さず地域医療を守ることなどを求めてたたかう。

 子育て支援での、子ども医療費、保育と学童保育、学校給食、学校のエアコン設置などのこの間の前進をふまえ、引き続き関係団体と協力し、さらに拡充させる。

 公的責任を放棄した行政サービスの民営化や住民の意向を無視した学校、公共施設の統廃合・縮小に反対するとともに、不要不急の大規模事業をやめ、防災・減災、老朽化対策に真剣に取り組むことを求める。

 市町村をこえた「圏域」を新たに法制化する、自治体の変質・再改編の動きに反対し、地方自治の拡充をめざす。

(2)地方議員第1党の奪回に向けた取り組み強化、草の根から市民と野党の共闘を広げる

 日本共産党の地方議員数は前党大会時2809人から2662人(12月末現在)に後退し、自民党の3500人台、公明党の2900人台についで第3党である。議席占有率は8・4%から8・12%となった。

 地方選挙の目標としては、中間地方選挙で確実に勝利を積み重ねながら、2023年の統一地方選挙に向けて、現有議席の確保とともに議席増に挑戦し、地方議員第1党の奪回をめざす。また「議席占有率」、「議案提案権」、「空白克服」の三つの目標を都道府県ごとに具体化し、必ず前進をかちとる。議案提案権を持つ議会は46・6%だが、住民要求を実現していくうえで特別な意義をもっており、さらに増やしていく。

 一つひとつの選挙戦の勝利のためには、早くから候補者を決め、候補者を先頭にした日常的な選挙準備に計画的・系統的に取り組むことが不可欠である。

 この間、岩手、埼玉県知事選挙で、野党共闘の枠組みでの選挙が実現し、自公推薦候補を打ち破って勝利するなど、国政選挙で始まった市民と野党の共闘の流れが、地方政治にも広がりつつある。都道府県議会・政令市議会・県庁所在地市議会などでは、ひきつづき「オール与党」自治体が多数だが、一定の変化も起こっている。個々の政策課題での協力・共同にとどまらず、これまで事実上の「オール与党」であった自治体でも、首長選挙での共闘・共同を追求する新たな動きも生まれている。国政での野党共闘をさらに発展させる努力と一体に、草の根から市民と野党の共闘を広げる。

(3)地方議員の活動と成長を支え、地方議員(団)の日常活動を強める

 前大会は、「学習をはじめ若い世代の議員の成長を励ます取り組みを思い切って強める」ことなど、地方議員の成長に力を注ぐことを提起した。若い世代や新人の地方議員が未経験のなかで、苦労しながら議員活動をすすめていることをふまえ、党機関と党支部は、温かいヒューマニズムとリスペクトの立場で、議員を支え成長への援助を続ける。

 党議員団の確立・会議の定例開催の取り組みは、なお十分とはいえない。すべての地方議員が日常的に党議員の誇りと同志的連帯感、市民道徳と社会的道義をまもって活動できるよう、党機関の指導と援助を強める。

 中央委員会が2018年に開催した「地方議員研修交流講座」は歓迎され、都道府県段階でも地方議員の学習と交流の取り組みが強められた。ひきつづき「研修交流講座」の開催をはじめ、こうした努力の継続と定着をはかる。

 地方議員の議席を増やしていくうえでも、地方議員(団)の日常活動の改善・向上は欠かせない。党支部・党機関とも協力して、公約を軸に議会内外で福祉と暮らし、防災、安全をまもる住民要求実現や生活相談の活動をすすめる。その活動や成果を地域民報や議会報告、街頭・駅頭宣伝で系統的に広く有権者に知らせる。

(3)新しい情勢にふさわしく、選挙方針を抜本的に発展させよう

 前大会は、「市民と野党の共闘の発展という新しい情勢にふさわしく選挙方針を発展」させ、「野党共闘の前進と党躍進の一体的追求」「市民・国民とともにたたかう壮大な選挙戦」「結びつき・つながりを生かして選挙勝利に結実させる『選挙革命』の活動」「インターネット、SNSを駆使した双方向での宣伝・組織活動」など、選挙方針を5点提起した。

 とりわけ、党員と党組織のもつあらゆる結びつき・マイ名簿を生かして対話・支持拡大に取り組むことは、「選挙革命」の中心をなすものであり、新しい情勢のもとで、全党員の運動にするうえでますます重要性を増している。全有権者を視野に入れた日常的、系統的な宣伝活動にも力を注ぐ。

 これらの諸点を引き続き選挙方針の基本にすえるとともに、この間の選挙戦の教訓から次の諸点を抜本的に発展させる。

(1)批判とともに希望を語る政治論戦

 国民の中には、安倍政治に対する深い不安やいきどおりがあるが、「それではどうしたらよいのか」という展望が見えない閉塞(へいそく)感もある。そういう時に、本質を突く批判はもちろん必要だが、安倍政治を終わらせ、新しい政治をつくる現実的な道はどこにあるのかをしめし、国民の切実な願いにこたえる、日本共産党の対案を語ることが大切である。明日への希望を語る活動を、総選挙に向けて日常不断に強めていく。

(2)あらゆる活動で「双方向」をつらぬく

 あらゆる宣伝・組織活動の根本姿勢に「双方向」をつらぬく。「街頭トーク」「シール投票」「アンケート」活動など、有権者と直接語り合い、要求や声を聴く宣伝活動での工夫・改善や、宣伝物作成にJCPサポーターや、市民運動のみなさんの協力を得るなど、双方向でともに力をあわせてたたかう選挙にしていく。双方向型で語り合う「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、党活動の日常的な推進軸に位置づけ、すべての支部が気軽に、繰り返し、多彩な形態で開催する。

(3)選挙の「担い手」を広げ、みんなが立ち上がる選挙にする 

 選挙の「担い手」を思いきって広げて、全党員とともに、「支持者みんなが立ち上がる選挙」にしていく。インターネット、SNSも駆使し、JCPサポーターの拡大、強化を全党で取り組み、地域や職場での結びつきを強めていく。

(4)新しい情勢にふさわしく後援会活動を発展させる

 新しい情勢にふさわしく、日本共産党後援会を広範な人々が参加しやすい活動へと発展させる。日本共産党後援会は「比例を軸に」、党の決めた候補者の当選のために、党と支持者が協力して選挙戦をたたかう基本組織であり、その活動は「選挙活動の日常化」の要をなす。同時に、前党大会がよびかけた「日本共産党後援会の活動を、いまわが党に新しい注目を寄せ、応援しようという人々が、参加しやすい活動へと思い切って改善し、その発展・強化をはかる」にそくした努力と工夫が行われている。

 この間、市民との共闘を通じて、わが党の候補者を自発的に応援する人たちが広がっている。わが党の候補者が野党統一候補になり、幅広い市民とともに必勝をめざす取り組みも起こっている。こうした情勢のもとで、「比例を軸に」をつらぬき、「日本共産党後援会」としての活動を選挙戦の基本としつつ、必要に応じて、党議員・候補の個人後援会をさまざまな名称、形態でつくり、幅広い方々と力をあわせる活動にも取り組むこととする。

 すべての支部が、地方議員とも協力して、対応する後援会を確立・日常化し、後援会ニュースや季節の行事などを通じた、心かよう結びつきをつよめていく。職場と分野別の後援会を確立し、日常活動をつよめ、支持者みんなが立ち上がる選挙にしていく。

(5)幅広い団体との協力共同の取り組みを発展させる

 自民党の強固な支持基盤とされてきた農業や中小企業団体などで、劇的な変化があらわれ、わが党の候補者を推薦・支持する動きも起こっている。

 労働組合運動の分野でも、特定政党の支持義務づけが大きく破綻・崩壊しつつある一方で、労働組合がそれぞれの地域の統一候補と「政策協定」を確認し、推薦・支持・支援する動きが起こっている。同時に、党の躍進を果たしていくうえでは、職場での思想信条の自由、政治活動、選挙活動・後援会活動の自由を保障し、党独自の後援会活動を活性化させることも重要になっている。

 総選挙に向けて、中央でも地方でも、一致する要求にもとづく諸団体、労働組合との協力共同について積極的に探求、推進していく。

(6)若い世代が、生き生きと力を発揮できる選挙に

 若い世代、民青同盟とともにたたかう選挙にしていく。参議院選挙では、自発的に党の選挙事務所を訪問する高校生、学生や、JCPサポーターとして選挙に協力する若者の姿が全国で広がった。

 若い世代の中で生まれている「高い学費やブラックな働かせ方をなくしたい」「気候変動を食いとめたい」といった切実な思いにこたえるために、いっそうの努力が必要である。批判とともに希望を語る政治論戦、双方向の宣伝・組織方針、インターネットやSNSの活用など、新たな選挙方針を実践することは、若い世代が生き生きと力を発揮するために欠かせないものとなる。若い世代の声に耳を傾け、選挙活動の自己改革をさらにすすめていく。

(7)熟達した選挙指導の発展・継承を

 党機関の熟達した選挙指導の発展・継承をはかり、取り組みを早くから計画的にすすめる。野党共闘の前進と日本共産党躍進を一体的に追求して勝利していくうえでも、「支部が主役」の選挙活動を推進するうえでも、党機関が選挙指導に習熟し、その蓄積を引き継いでいくことが急がれる。非常勤役員の協力や選挙態勢の確立、強化をすすめていく。

 中央としても、その点での努力を強める。

(4)全党が力をあわせ未踏の道を開拓し、勝利をつかもう

 一部改定された綱領が示すように、発達した資本主義国での社会変革の事業において、日本共産党が果たすべき世界的な役割はきわめて大きい。

 また、いま私たちが取り組んでいる保守も含む市民と野党の共闘によって、反動政権を倒し、新しい政治をつくる試みは、世界で他に例をみないユニークなものである。

 全党が力をあわせ、この未踏の道を開拓し、成功をかちとろう。

 2年半後には、日本共産党は、党創立100周年を迎える。それまでには、総選挙とともに参議院選挙が行われる。市民と野党の共闘の勝利と日本共産党の躍進で、野党連合政権への道を開く歴史的な選挙にしていこう。

 どんな情勢のもとでも勝利がつかめる力をもつ党をつくりあげよう。党創立100周年に向けて、自民党政治に代わる新しい政治への扉を開く、素晴らしい勝利をつかもう。

党紹介