全国都道府県委員長会議への問題提起
小池晃書記局長の幹部会報告
2024年8月3日
この会議の主題は、大会決定・2中総決定実践の到達点をふまえ、8月、9月の活動を意思統一することにあります。
どう活動の飛躍をはかり、党大会で決めた2年後までの目標にふさわしい運動――"目標水準"をどう突破するか。討論で深めあい、ともに探究する会議にしたいと思います。
8月・9月の位置づけ――文字通り党の命運がかかった重大な意義をもつ期間
まず7月末までの党づくりの到達点について報告します。
7月、全党が猛暑、豪雨のなかで奮闘し、党員拡大では党大会後最大の648人となりました。読者拡大では、日刊紙で350人、日曜版で467人、電子版で67人の前進をかちとりました。日刊紙・日曜版ともの前進は大会後初めてです。また7月に日刊紙・日曜版の前進をかちとったのは6年ぶり、日曜版で料金改定を実施した月に増勢となったのは、51年ぶりのことです。全党のみなさんの大奮闘に心から敬意と感謝を申し上げます。
同時に、全国的到達点は、党員拡大は、2中総後も現勢の後退が続いており、"目標水準"には、7月の3倍から4倍の運動が必要となります。青年・学生、労働者、真ん中世代の入党も、6月、7月と増加傾向にはありますが、"目標水準"の運動には、青年・学生で4倍~5倍、30代~50代も含めた到達でいえば、7倍~8倍の飛躍が必要となっています。
機関紙拡大は、7月は前進したものの、党大会時からは大きく後退しています。現状は、「赤旗」の発行が危機にひんしているという局面が続いています。
こうした到達を踏まえ、8月、9月をどう位置づけるか。次の二つの意味で、8、9月の活動が、文字通り党の命運がかかった重大な意義をもつことを訴えます。
大会決定をやりぬけるかどうかの分かれ道
第一に、この8、9月は、党大会決定をやりぬけるかどうかの分かれ道だということです。第29回党大会では、今大会期の私たちの最大の任務として、「新たな大会期を党づくりの後退から前進への歴史的転換を果たす大会期にしよう」と確認しました。2中総では、7月末を期限に、党員拡大でも、読者拡大でも、大会が決めた目標をやりぬく水準の運動をつくろうという決意を固めあいました。
7月は、全党の大奮闘で前進の端緒をつくりましたが、なお"目標水準"の運動には到達していません。現状の延長線上では、大会が決めた目標――「後退から前進への歴史的転換」はやりぬくことはできません。何としても9月末までに、"目標水準"の運動に引き上げることは、大会決定に対する全党の重大な責任です。
「命運がかかっている」といいましたが、これは、党が追いつめられているということではありません。わが党は、苦労はありますが、全党の奮闘で全体として飛躍に転じる条件をつくりだしつつあります。みんなの力で党勢拡大運動を飛躍に転じさせる「歴史的チャンス」をつくってきているのです。
政治的・理論的な条件はどうか。自民党政治の行き詰まりは深刻です。総裁選の騒ぎのなかからも裏金問題にたいする反省は一言も聞こえてきません。経済も外交も行き詰まり、打開の方策も示すことができません。それに対して党大会決定と田村智子委員長の記念講演が明らかにしているように、わが党は日本を変える全面的な対案をもっています。資本主義システムへの問いかけと社会主義への注目が広がるなかで、志位和夫議長の一連の講演で明らかにしたように、「共産主義と自由」をめぐる理論的解明が、党づくりの力を発揮しつつあります。政治的・理論的に攻勢をかけているということに確信をもつ必要があります。
さらに党建設でも飛躍に転ずる条件をつくってきています。2中総の「手紙」の「返事」を読むと、「何としてもここで党をつくらなければ」という熱い思いがひしひしと伝わってきます。党員拡大で、毎月500人前後、7月は600人を超えるところまで持ってきています。「大運動」などの集中的なとりくみの期間でもないなかで、ここまではもってきています。読者拡大では、値上げの月という難しい条件のなかで前進したというのは大きな成果です。大幡基夫機関紙活動局長、小木曽陽司赤旗編集局長の訴えで、「かけがえのない役割を果たしている『しんぶん赤旗』を守ろう」という全党の気持ちが一つになってきています。党建設でも、これからの奮闘いかんでは飛躍に転じる条件をつくってきています。
同時に、"目標水準"には到達できていない。すなわち、(1)党員拡大で、毎月2万人以上に働きかけ、2千人以上の党員を迎える。(2)読者拡大で、毎月1200人以上の日刊紙読者、6000人以上の日曜版読者を増やす。(3)党員拡大の6~7割を青年・学生、労働者、真ん中世代で迎える――この"目標水準"にどう引き上げていくか。全党の奮闘で飛躍に転じる条件をつくってきたことに確信をもちながら、どうやってこの条件を運動の水準の抜本的引き上げにつなげていくか。
従来の延長線上のとりくみでは、せっかく飛躍に転じる条件をつくってきながら、それを現実の飛躍――後退から前進につなげることはできません。それでは「歴史的チャンス」をのがすことになってしまいます。そういう意味で私たちは大きな岐路にたっています。何としてもみんなの力でつくってきた「歴史的チャンス」を現実の飛躍につなげる仕事を、8月、9月にやりぬこう。こういう決意を込めて「党の命運がかかった重大な意義をもつ」と、8月、9月の活動を位置づけたのです。
"目標水準"の運動をつくることは、選挙戦を勝ち抜くうえで絶対不可欠
第二に、今後の政治日程を考えた時、8、9月に"目標水準"の運動をつくることは、総選挙、来年の都議選と参院選など、選挙戦を勝ち抜くうえで絶対不可欠だということです。
10月以降は、解散・総選挙がいつあってもおかしくない時期になってきます。そして総選挙がどうなろうと、都議選は8カ月後、参院選は9カ月後と迫ってきます。10月以降は、活動のギアチェンジが求められることになってくるでしょう。
そうした政治日程を考えるならば、8月、9月に党づくりで"目標水準"の突破をはかり、党勢の大きな上げ潮をつくりだすことは、選挙の勝敗に直結することになります。この8月、9月は党建設に思う存分力を集中して突破する。それができる大事な時期になります。それができれば、10月以降どんな情勢が展開したとしても、選挙で勝てる最大の保障がつくられることになります。
最優先の準備である候補者決定を急ぎ、総選挙独自の準備は着実に進めましょう。同時に、選挙勝利の最大の保障は、現時点では党づくりであり、8月、9月は、党建設・世代的継承を正面にすえて奮闘することを訴えたいのです。
この8月、9月に、"目標水準"の運動をなんとしても実現する。その構えを本当に腹に落ちるところまで徹底的に議論しましょう。"目標水準"に運動を引き上げていくために何が必要か、すぐれた教訓を交流するとともに、活動の弱点に大胆なメスを入れ、現状打開の方策をみんなで見いだしていくための率直な討論を訴えます。
どうやって"目標水準"を突破するか――六つの問題提起
どうやって"目標水準"を突破するか、具体的な活動では、以下の諸点を討論で深めていただきたいと思います。
都道府県委員長からのアンケートをふまえ、六つの問題提起を行います。
(1)党大会決定の生命力と全党徹底の課題
第一に、党大会決定の生命力を確信にして、全党徹底をどうすすめるのか、です。
党大会決定の徹底は、届け72%、読了34%、討議・具体化84・8%。近年の決定の徹底の水準から抜け出せていません。読了で5割を突破した地区もありますが、10%、20%台という党組織もあります。
党大会決定の徹底の意義が、どれだけ党機関、支部の指導的同志のところで自覚になっているでしょうか。大会決定の生命力をあらためてつかみ、その読了、討議・実践を政治的・思想的に強い党をつくる党建設上の中心課題としてすえることが大事ではないでしょうか。
2月の都道府県委員長会議では、志位議長が「五つの理論的・政治的突破点」を述べましたが、それはその後の情勢と党活動でも、生命力をいかんなく発揮しています。
世界論・外交論では、党大会での「外交ビジョン」の発展方向の提起を具体化し、「東アジア平和構築への提言」になりました。これが世界各国との懇談でも賛同をよび、国内のさまざまな識者、運動団体との連帯を広げています。7月24日のシンポジウム「いま東アジアの『平和の準備』をどう進めるか」では、「平和をつくる主体は何か」がそれぞれのパネリストから深められました。8月末には志位議長が、「今こそ外交」をテーマに開催されるベルリンでの国際会議に参加します。
自民党政治の行き詰まりと党の政治任務は、通常国会の論戦でも、金権腐敗、経済無策、戦争国家づくり、人権後進国という四つの柱で、自民党が解決の意思も力もないことがいよいよ明瞭になり、党の抜本的対案が光りました。
7月13日の田村委員長の記念講演は、大会決定にもとづいて、「歴史的チャンス」の情勢を生き生きと全面的に明らかにし、熱い感動をもって受け止められました。全党がこれを力にしていくことを強く訴えます。
多数者革命と日本共産党論は、党大会を、民主集中制や党指導部への攻撃をはねかえして成功させ、この攻撃を打ち破る力を発揮しました。この間の東京都知事選でも、蓮舫候補への攻撃と、わが党への攻撃が激しく行われ、自民党政治と小池都政への批判の受け皿づくりの策動もあらわれました。「政治対決の弁証法」の見地で情勢を深くとらえて、党の役割を発揮することが重要になっています。
「自由な時間」と未来社会論で、若い世代に熱い注目をよんだ4月27日の志位議長のオンラインゼミ、6月25日の「『自由に処分できる時間』と未来社会論」の解明も、大会決定の具体化としてとりくまれたものです。
党大会決定が、大会後半年余りの間にどういう生命力を発揮しているのか。その政治的・理論的中身を党機関とその長がよくつかみ、繰り返し議論し、この決定の面白さ、威力を、生きた言葉で支部と党員に伝え、「この決定をみんなの血肉にしよう」という政治指導がしっかりやられているか。ここが討論で深めてほしい中心点です。
大会決定の全党徹底――決して割り引かずに全党徹底を貫いて、政治的・思想的に強い党をつくる夏にしていこうではありませんか。
(2)「手紙」と「返事」のとりくみをどう強化し、どう生かすか
第二に、「手紙」と「返事」です。県委員長のアンケートでは、「手紙」の「返事」への手ごたえが多く語られています。「手紙」と「返事」にもとづく双方向・循環型のとりくみをどう強め、どう生かすか、討論で深めあいたいと思います。
「わが党にとって歴史的な分かれ道となる2年間」という「手紙」の問いかけは、"わが支部のこと"として深く受け止められ、"党の灯を守ろう""次の世代に歴史をつなごう"と党づくりに真剣にむきあい、足を踏み出す力になっています。「返事」の特徴として、昨年の「手紙」にたいする「返事」では、「130%なんてできるのか」というところからの議論から始まっていましたが、今回は党大会目標に正面からむきあい、具体的活動に踏み出している返事が増えています。また、昨年は「返事」が出せなかったけれども、「今度は出そう」と「返事」を出し、現状打開に踏み出し始めている支部もあります。中央としても、返事をうけとり、ここにこそ全党運動のカギがあると強く感じています。
奈良県からは、この間新たな党員を迎え、支部会議の開催を月1回から2~3回に増やし、毎月のように入党を働きかけるようになった天理中支部の経験が報告されています。変化の出発点は、2中総の「手紙」の「返事」を書いたことでした。支部長が、「学習を中心にした支部会議が本当に楽しい、もう一度党に入り直したような気持ち」と述べているとのことです。
同時に、配達・集金活動や支部会議の開催自体が困難に陥っているという支部からの悲痛な悩みも少なくありません。党機関への要望もあります。この面でも支部の悩みにこたえて解決していく糸口にしていく必要があります。とくに、「支部に来てほしい」という声が多くあります。そのためにどう機関の強化をはかるかが大きな課題です。
兵庫県からは、「返事」で、党勢拡大について「頭ではわかっていても足が出ず、議論も深まりません」と戸惑いを書いていた尼崎市の武庫西北支部に対して、「返事」を読んだ市議が入党の働きかけの援助をして、ミニ「集い」を開き、党創立記念日に入党したとの経験が報告されています。寄せられた悩みにこたえることは、とても大事な努力だと思います。
こうした経験もふまえ、二つの点を討論で深めましょう。
一つは、返事を党づくりの前進に実らせるための党機関の具体的援助が行われているかということです。すなわち、(1)「返事」を集団的に党機関で討議し、支部への指導・援助の具体的内容を決めること、(2)「手紙」で提起した「三つの活動」の努力の全体を評価し推進すること、(3)党勢拡大の「踏み切り」を励ます党機関の実践的援助をつくすことなどがやられているでしょうか。地区の常任委員会で、毎回四つ~五つの支部の「返事」を読み合わせして、集団的に指導・援助の方向を議論しているという地区もあります。去年の1回目の返事と、今回の2回目の返事の要約がわかるよう資料を作成し、支部への援助に生かしているという地区もあります。こうした努力に学び、返事を前進の力にする具体的援助を行いましょう。
もう一つは、文字通り、全支部に「返事」を寄せてもらうための援助です。「手紙」の討議は80・5%、読了党員35%、返事を出した支部は42%であり、この運動は道半ばとなっています。6月の「全支部援助集中期間」では、全支部と連絡をとり、返事の相談にのり、実践に踏み出す援助をつくすことを訴えました。この「集中期間」は一定の成果をあげましたが、この8、9月は文字通り、一刻も早く全支部と連絡をとり、必ずすべての支部が「返事」を寄せるところまで運動を前進させましょう。
(3)党勢拡大の独自追求をどうすすめるか
第三に、党勢拡大の独自追求をどうすすめるかです。
党員拡大では、2中総後、まだ目標水準には至っていませんが、「入党懇談会」「集い」で党勢拡大の飛躍をはかれるようになってきたことの確信が、県委員長アンケートでも多く語られています。地区主催の「集い」が支部の党勢拡大、とりわけ党員拡大の「踏み切り」を励ます大きな力になっています。
同時に、7月もまだ4分の1の地区は入党者を迎えられていません。この点では、全支部運動にするためにも、まず全地区の運動にしていく。全地区が党員拡大で地区主催の入党懇談会・「集い」を開催し、1度開いたところも2度3度行って、入党の働きかけのイニシアチブを発揮していくことを、8月、9月も貫くことが大事ではないでしょうか。
それには、都道府県委員会が、地区の実情をよくつかみ、援助することが不可欠です。全地区運動にしていくために、どこで困っているか、何を打開する必要があるのか。また、地区主催の入党懇談会、「集い」を通じて、支部が党員拡大に踏み切るには、事前の支部のとりくみをはじめ、どういう努力が必要になっているか。討論でだしあいましょう。
読者拡大でも、7月、「赤旗」の発行を守ろうと奮闘してきましたが、支部と党員の運動にしていく点では、苦労があることが報告されています。支部の運動にしていくという点で何が課題になっているか。2年後までの目標とともに毎月必ず前進していくことを支部の自覚的なとりくみにしていくために課題と突破点、学ぶべき経験もだしあって議論しましょう。
とくにどう広く働きかける行動にしていくかが大事だと考えます。日刊紙でいえば、すべての日曜版読者に日刊紙の見本紙を届けて、購読を訴えながら、入党の働きかけも一体ですすめて、「日刊紙購読を訴える対象に困らなくなった」という経験も生まれています。入党の働きかけの際には、必ず日刊紙の購読を訴えましょう。
日曜版でいえば、総選挙も視野にいれ、支持者、後援会、運動のつながりなどに広くあたる、さらに党員、読者のみなさんに見本紙を届けて、つながりで読者を広げてもらう作戦も必要です。福岡県のある支部では、団地の棟ごとに見本紙を374軒に配布し、158人と対話でき、後援会ニュースの読者が42人、「しんぶん赤旗」日曜版読者が5人増えたとのことでした。
また、大会決定の徹底を通じて、多数者革命における「しんぶん赤旗」中心の党活動の意義をくりかえし議論し、担い手を増やして配達・集金活動の困難を打開することと一体に読者拡大の前進をはかることなども大切です。
この間各県にも個別に提起しているように、「赤旗」の発行を守る全党のとりくみを、拡大とともに編集体制強化の面でも強めることを再度訴えます。全党の力で「赤旗」の編集体制をつくるため、緊急募集への協力をよびかけます。
(4)世代的継承をどう党づくりの中軸にすえるか
第四に、世代的継承をどう党づくりの中軸にすえるかです。
この間、青年・学生、労働者・職場での系統的な専門部会議、経験交流会では必要な意思統一を行い、努力を強めてきました。同時に、青年・学生、労働者、真ん中世代の党勢拡大の目標を全党が自覚化し、党づくりの中軸にふさわしく全党あげてとりくむという点では、率直に言ってまだこれからです。大会で決めた目標は、全国的に毎月2万人に入党を働きかけ、2000人の党員を迎える目標のうちの6~7割――すなわち、1200人~1400人の青年・学生、労働者、真ん中世代で迎えようという目標です。これを本当にやろうと思えば、党機関も支部もこの世代に働きかけることを文字通り中軸にすえる必要があります。
大会報告では全党で世代的継承を位置づけるための三つのよびかけを行いましたが、この方針の本格的実践が求められています。
京都・北地区は、今大会期、2人の青年・学生、7人の労働者、真ん中世代を迎え、党員拡大の5割がこの世代になっていますが、要求運動で結びつき、学習を通じて党への信頼を高めて入党していることが特徴です。地域支部が学費署名、中学校給食の実現を求める署名などで新興住宅街をまわって後援会ニュースの読者を増やし、繰り返し対話を重ねて入党に至った人や、選挙ボランティアで結び付いて「赤旗」を購読し、入党に至った人もいます。この地区では、青年・学生でも、綱領や「共産主義と自由」のオンラインゼミの学習を通じて民青同盟員が入党しています。
全党で若い世代の要求にもとづく「車の両輪」の活動をどう強め、若い世代との結びつきや信頼関係をどうつくっていくか、「共産主義と自由」の「大運動」で最も鋭い反応がある若い世代の結集をどうすすめていくかなど、ぜひ努力や課題をだしあいたいと思います。
民青への援助では、迎えた新しい同盟員の定着への苦労が率直に報告されています。民青の班活動の確立、要求運動や学習の援助をどう強めていくか、青年・学生党員の拡大を前進させるために何が必要かが、大切な課題になっています。
労働者・職場での党づくりでは、大会決定が提起した、党が国民運動に参加する際の「四つの原則」をどう党づくりに生かすかが重要です。
この問題で議論で深めてほしいのは、この課題を各専門部だけの課題にすることなく、党機関の長を先頭に、文字通りの全党のとりくみにしていくことにあります。各専門部が系統的な奮闘で事態を打開しつあるのは大きな前進ですが、それを全党運動にしていくことは、党機関の長の責任です。この点を突っ込んで議論しようではありませんか。
(5)「『共産主義と自由』を学び、語りあう大運動」をどうすすめるか
第五に、「『共産主義と自由』を学び、語りあう大運動」をどうすすめるか。県委員長のアンケートでは、「ここから突破していける希望が見えた」との報告も寄せられている一方で、ほとんどこの問題に触れていない県もありました。
まず党機関が、この「大運動」の「戦略的課題」の位置づけを深くつかむことが必要ではないでしょうか。志位議長は、『Q&A共産主義と自由』の発刊記者会見で、その意義づけを語りましたが、この理論問題の重要な意義を、二重にとらえる必要があります。
一つは、「共産主義と自由」についての真実を明らかにしていることです。『Q&A共産主義と自由』は、党大会決定にもとづいて、マルクスの未来社会論の一番の輝き―「人間の自由」、「人間の自由で全面的な発展」に光をあて、発掘し、発展させたものとなっています。「共産主義には自由がない」というイメージを百八十度変え、共産主義こそ「人間の自由」が花開く社会なのだということを全面的に明らかにしています。
もう一つは、「自由に処分できる時間」が人間と社会の発展にとって持つ意義を、より普遍的に明らかにしていることです。マルクスは、資本主義的な搾取によって「モノ」や「カネ」だけでなく「自由に処分できる時間」が奪われていることを解明し、「自由な時間」こそ「人間の発達の場」であり、人間と社会にとっての「真の富」であると語っています。労働時間を短縮し、「自由な時間」を拡大していくことの意義は、未来社会になってはじめて問題になることではなく、人類社会全体に言えることであり、今の私たちの課題でもあります。長時間労働によって「過労死」が生まれる。高すぎる学費のもと学生が深夜バイトに追われる。働く女性の労働時間と家事時間は10時間を超え、睡眠時間が世界でも最も短いなど、日本が現在直面している課題です。ですから、これは今のたたかいの指針にもしていく必要があります。それは「人間らしく生きたい」との願いにこたえるメッセージになっています。
そしてこれらが、党建設で後退から前進に転じる決定的な力になることは間違いありません。県委員長自身の受け止めもふくめて討論で深めましょう。
では「大運動」をどうすすめるか。いくつか開拓的なとりくみがはじまっています。まず党機関の学習です。全県・全地区の委員長・常任委員が講師・チューターを積極的に引き受けて学習会を開く、支部の学習の柱として『Q&A』の本の読み合わせを行うなど、始まっている実践をぜひ交流しましょう。党機関、指導的同志は『前衛』9月号「『自由な時間』と未来社会論――マルクスの探究の足跡をたどる」とセットで学習することをよびかけます。
宣伝・対話の挑戦もはじまっています。プラスター、ポスター、チラシ、シール投票対話で総選挙候補を先頭に、大学門前宣伝や労働者へのお帰りなさい宣伝、職場、学園での対話、労働団体、文化人・知識人との懇談にとりくむなど、開拓的とりくみをすすめましょう。
『Q&A』の注文は、地区で300部、500部というところもあれば、10部、20部のところもあります。率直に言って10部、20部では「大運動」になりません。書籍の抜本的な普及をよびかけます。
党機関とその長が、この問題で、自ら学習の先頭に立ち、このとりくみの戦略的な重要性を深くつかんでいるかどうかで、とりくみに大きな差が生まれています。機関とその長の理論に対する敏感性、積極性が問われています。議論で深めていただきたいと思います。
(6)党機関の指導力量の向上と体制強化をどうはかるか
第六は、党機関の指導力量の向上と体制強化をどうはかるか。
まず冒頭のべた8月、9月の位置づけ、"目標水準"の運動をなんとしても実現すること。今度こそ決めたことはやりぬくこと。党機関とその長が、決意を固めあえるかどうかがカギになります。
この点は、昨日の幹部会でも議論になりました。提起にはみんな賛成する。一応やろうとはなる。でも実践と結果に責任をもつということになっていない。結局"増か減か"ということで決意したはずの"目標水準"は、だんだんあいまいになっていく。こういう現状があることが自己分析的に討論されました。そこには自分自身の弱点があったのではないか、自分自身にあきらめがあったのではないかという率直な議論も行われました。
何よりも、こうした党機関とその長の決意が、本当に固まるまでの徹底した議論が大事だということを訴えます。
党機関の体制が弱まり、「手紙」と「返事」を生かした支部への援助でも、党機関のイニシアチブでも、なかなか思うように果たせない悩みも多く寄せられました。同時に、若い地区役員、女性役員を増やし、綱領や科学的社会主義の学習会を系統的に開いて地区機関の継承・強化に力を注いでいる地区や、地区委員会総会だけでなく毎月行政区ごとの地区役員の会議を開き、「返事」と支部指導の経験、悩みを交流する場をもっている地区など、党大会決定の機関活動強化の「三つのスローガン」((1)双方向・循環型で支部を援助する党機関になろう、(2)政治的・思想的に強い党機関になろう、(3)若い世代、女性役員が生き生き活動し成長する党機関になろう)にもとづく努力で、機関役員の団結と成長がはかられている経験も生まれています。どう党機関の指導力量の向上をはかるか、どう体制強化をはかるか、この点も、討論で深めあいたいと思います。
中央としても、支部を直接援助する地区役員の役割を学習・交流する「全国地区役員講座」を9月7日(土)に開くことを予定しています。山下副委員長を講師にした党建設論の学習、支部指導や地区役員の役割についての経験交流を考えています。中間機関の指導力量の向上のために、全役員の参加をよびかけます。
以上、8、9月の位置づけと、どうやって"目標水準"を突破するか、六つの問題提起を行いました。率直で徹底した議論をよびかけて、報告をおわります。
日本共産党が3日、オンラインで開いた全国都道府県委員長会議で、小池晃書記局長(大会・2中総決定推進本部長)が行った討論のまとめは次の通りです。
小池晃書記局長のまとめ
お疲れ様でした。たいへん大事な充実した討論が行われたと思います。
8月、9月の位置づけが正面から受け止められた
まず正面から受け止められたのが、8月、9月の位置づけです。この8月、9月、大会決定を実行するという点でも、今後の政治戦に勝利するという点でも決定的に重要だ、党の命運がかかった重大な時期だという位置づけです。
しかもその「命運」というのは、われわれが追い詰められているわけではない。われわれのたたかいで切り開いてきた。政治的、理論的な攻勢をかけてきた。そして党建設でも後退から前進に転じるために奮闘してきた。この両者はまさに大会決定の実践の中で、大会決定を力にして切り開いてきたものです。
7月の到達を見ますと、本当に全党が大奮闘して、"目標水準"に照らして党員拡大では宮城県は達成した。19県が4割を超えるところまで来ています。4割を超えているわけですから、7月の2倍強の取り組みがあれば"目標水準"に到達するわけです。「しんぶん赤旗」日刊紙では、3県が"目標水準"を達成し、15道府県が8割以上の到達になっています。日曜版では、達成したのは1県ですが、12道府県が8割を超える水準まで到達しています。まさに決して手の届かない目標ではない、"目標水準"ははるかかなたの目標ではない、もうひと頑張り、ふた頑張りのところまできたんだということが、大変重要ではないかと思います。
達成したところは、さらに前進させましょう。達成に近づいているところは一刻も早くこれを達成しましょう。届いていないところは、引き上げていきましょう。お互いに力を合わせて進めていこうではありませんか。
六つの問題提起――全体が全支部・全党員運動をつくる大事な課題
では"目標水準"をやりぬくのに何が必要か。討論の中で、みなさんが語ったように全支部、全党員の決起ができるかどうかにかかっているということだと思います。
愛知の石山淳一県委員長が、「入党を働きかける支部が5割、読者拡大で成果を上げる支部が5割、6割、こういう支部の立ち上がりをつくらなければ目標水準はつくれないと痛感した。支部の立ち上がりを広げ、"目標水準"への活動に引き上げていくための発展方向を、今日は六つの問題提起として示されたと受け止めた」と発言されましたが、非常に大事な受け止めだと思います。六つの問題提起は、冒頭詳しく報告したので、その一つひとつについてまとめでは述べません。六つのうちのどれかをやればいいのではなく、どれもやっていくことが、全党運動をつくりだす大事な課題だということを強調したいと思います。
長野の鮎沢聡県委員長は、「六つの問題提起は共通して、どの項目も機関の長の構え、責任、積極性が問われている」と述べました。その通りだと思います。ぜひ、心ひとつにこの六つの問題提起にそくして議論を徹底的に行い、実行していくことをよびかけます。
長の決意をみんなが語った会議に
今日の討論の中で大事だと思ったのは、やはり「長の決意」ということです。
北海道の千葉隆道委員長は、率直な自己分析に基づいて発言されました。6月の総括の中で、「月末の数日間だけは必死になる、そういう党勢拡大運動は党の現状からくるのではなく、あるいは自然にそういう現象が起こるのではなく、道委員会、私自身と、道常任委員会からつくりだしているのではないかということを考えた」。非常に率直な自己検討だったと思います。
福岡の内田裕県委員長は、読者拡大で、「連続前進へのこだわりという点では長の執念が決定的だと思う」「長があきらめれば、あっという間に大幅後退となる。『しんぶん赤旗』発行の危機とは、結局は党のあきらめが生み出した危機ではないのかと自己分析した」。その反省の上に立って指導にあたり、連続前進を続けているという発言でした。
こういう決意を今日はみなさんが語った会議になったのではないか。
愛媛の林紀子県委員長が「活を入れられた」と発言されましたが、私自身が自分に活を入れながら報告をいたしました。まさに中央も決意が問われていると思います。この大会決定・2中総決定実践の推進本部の責任者である私自身の決意が問われていると受け止めています。今日の議論を通じても"目標水準"をどう達成するのか、本当に豊かな経験が語られて、私たちも大変学ばされました。ぜひ知恵を出し合って、そして力を合わせて、必ずこの8月、9月、"目標水準"を実現しようではありませんか。
8月前半が勝負になる
最後になりますが、8月の前半が勝負だ、ダッシュしなければならないということも、こもごも語られました。8月の前半、3連休となる12日までにどれだけやるのか。党員、日刊紙、日曜版と、それぞれ"目標水準"との関係でよく議論して節目標を立てて、必ず8月前半、これをやりぬこうではありませんか。急いで議論しましょう。徹底的に議論しましょう。率直に議論しましょう。そして腹をかためて、8月12日までダッシュしましょう。
そしてお盆は休まなければなりません。「自由に処分できる時間」を満喫していただいて、そしてまたお盆明けは、「自由に処分できる時間」のためにたたかっていく。そのために全力をあげることをよびかけて、会議のまとめといたします。ともに頑張りましょう。