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日本共産党

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赤旗

第10回中央委員会総会

田村副委員長の討論の結語

2023年11月14日

 討論の結語を行います。2日間で45人の方が発言をされ、文書での発言も寄せられました。大変熱心な議論となったと思います。全国のリアルタイムの視聴は3万2502人、ユーチューブの再生は3万7000回、都道府県委員会からの報告では28・5%の支部から視聴があったと報告されています。

 大会決議案は、その全体が大きく歓迎されています。「決議案は一言で言って、『21世紀の共産党宣言』に値すると思った」という感想が寄せられたことも、本日の発言で紹介されました。感想や受け止めの特徴として3点述べたいと思います。

改定綱領の生命力が確信に

 一つは、改定綱領の生命力が、大きな確信になっていることです。第28回党大会で、綱領の一部改定をして本当によかったという実感は、すべての発言に共通していたのではないでしょうか。世界の平和秩序に対する大逆流が起こるもとで、改定綱領と党の「外交ビジョン」の方向こそが世界の本流だ、日本共産党は平和の流れを前に進めようとかけがえのない役割を果たしている。このことが、「アメリカいいなり」、アメリカの顔色をうかがう日本政府、自民党政治との対比でもいよいよ明らかとなり、多くの市民の平和の願いにこたえるのが、日本共産党の綱領路線だと、全党の誇りと確信が広がっています。

 ジェンダー平等を、世界の前向きの流れに太く位置づけ、日本の民主的改革の柱とした。この一部改定が、女性、若い世代、国民の要求と関心、熱意に応えていることが語られました。この4年間、党が市民とともに実際に政治を動かしていること、党の自己改革の努力を行ってきたことも発言の中で熱く語られました。ジェンダー平等、個人の尊厳、この分野で党がさらに魅力的な組織になり、若い世代が人生かけて入党する政党になろうということも深められました。

 文書発言の中で、「女性の世界史的復権」について深めたいという要望がありました。これは、エンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』の中で、人類史のはじめは男女平等の社会であり、女性が男性と平等の、あるいは高い尊敬をはらわれる地位を占めていた。しかし、男性が従事する生産活動の発展にともない、私有財産がうまれるなか、「母権制」から「父権制」の社会へと変わっていったと明らかにされています。これをエンゲルスは「女性の世界史的敗北」と表現しました。その後、女性が抑圧される時代が延々と続いてきた。今、完全なる男女平等を求める巨大なうねりが起きています。この歴史的な大激動をさして、決議案では「女性の世界史的復権」ともいうべき時代という特徴づけを行いました。

強く大きな党をつくる根源的意義をつかむ

 二つ目に、第3章11項の「多数者革命と日本共産党の役割」が、"なぜ「130%の党」づくりなのか、深いところからつかむことができた""強く大きな党をつくることの根源的な意義がつかめた"など、強く大きな党づくりへの意欲を高める力となっています。

 また、"国民多数を結集することとの関係で、民主集中制がいかに大切かを深くつかめた""民主集中制の組織原則が日本共産党の魅力なのだ"という確信も広がっています。決議案を議論することが、「党勢拡大・世代的継承の大運動」の取り組みを飛躍させる力になるということが、この総会でも確認できたのではないでしょうか。

 今後、この項の議論を深めるうえで、決議案が述べている「国民の自覚と成長を推進する」ということについて、若干述べておきたいと思います。

 社会の発展のためには、その主体となる国民の多数者が、自らの置かれている客観的立場を自覚する。自分たちを苦しめる根源と、それを解決するには何が必要かを理解し、日本の進むべき道を自覚する。そうした国民的な自覚が成長することが必要です。

 この自覚と成長は、自然には進みません。国民は、支配勢力とメディアが流す情報を日々、圧倒的に受け取っています。そういう情報にさらされている。そこからは変革の展望は見えてきません。変革の展望への自覚を妨げる、自覚を眠り込ませるような状況におかれています。また、妨害、攻撃、困難にも常にさらされます。こうした国民全体の現実におかれた状況を見れば、日本共産党が、どんな困難にも負けない不屈性、科学の力で先ざきを見通す先見性を発揮して奮闘し、国民全体の自覚と成長を推進することなしに統一戦線に国民多数を結集することはできない。このことは明らかではないでしょうか。

 これは、「経済再生プラン」、「外交ビジョン」、「気候危機打開2030戦略」、あるいは「ジェンダー平等社会の実現を」という政策、こうした政策を国民に届ける。対話する。ともにたたかおうとよびかける。入党をすすめる。「しんぶん赤旗」を読んでもらう。これらすべてが国民の自覚と成長を推進する活動そのものだということも強調したいと思います。

「人間の自由」とのかかわりで社会主義の魅力を語ろう

 三つ目に、綱領の未来社会論、社会主義・共産主義をめざすことが党の魅力だという強い確信、共感が寄せられていることです。

 討論のなかで、1970年代、革新への期待というなかには、社会主義への期待もあっただろうと、のちに生まれた世代の方からの発言がありました。これは、私もまったく同じ世代で、70年代の高揚を経験していませんが、いま党で頑張っていらっしゃる主力の世代のところは、まさにこの70年代の社会主義への期待があっての入党、党活動だったということをお聞きします。

 80年代に入党した愛知県の石山淳一書記長から、アフガニスタン侵略、ソルジェニツィン問題、物不足で行列ができているソ連のどこに社会主義の魅力があるのかと疑問があった。そのとき、「遅れた段階からの革命だったからだ」と理解していた。しかし、今日、中国をみれば、人権抑圧、覇権主義、独裁体制で、社会主義は自分たちに害をおよぼす体制だと若い世代が受けとめている。「中国の覇権主義や人権侵害は社会主義ではない」というだけでは、社会主義に魅力を見いだすことができない。こういう発言でありました。

 決議案は、まさに社会主義の魅力はどこにあるか、「人間の自由」とのかかわりで社会主義の魅力を三つの角度から明らかにし、ここにこそ社会主義、共産主義の最大の目的があり、特質があると強調しました。

 一つは、利潤第一主義からの自由です。搾取・抑圧からの自由、貧富の格差、恐慌や不況、気候など環境破壊からの自由です。

 同時に、未来社会における自由はここにとどまらない。二つ目に位置付けたのは、「人間の自由で全面的な発展」です。

 そして三つ目に、発達した資本主義国における社会変革は、「人間の自由」という点でも計り知れない可能性をもたらすことを明らかにしました。

 こうした決議案第4章が、若い世代にとって日本共産党の根源的な魅力になるという確信が、青年・学生のなかに党をつくっていくという決意とともに、討論で語られました。

決議案の修正箇所について

 ここで、決議案の修正箇所で、主な記述の変更点について報告いたします。

 大きく充実をさせたのは維新の会についての記述です。大阪の山中智子市議団長からの発言で、重要な提起がされました。意見を踏まえて補強し、とくに大阪で行っている地方自治破壊、議員定数の削減、異常な競争教育、学校統廃合など、維新が自民党以上の危険な姿をあらわしているということ、同時にそれに対するたたかいで、維新も批判にさらされているということを記述しました。

 次に国民運動のところで、団体名をいくつか紹介をして、自覚的民主勢力の役割について触れているところですが、自覚的民主勢力には、大変大事な役割を担っている団体はさらにたくさんありますので、「労働者、業者、医療、農漁民、女性、青年などの各層・各分野における自覚的民主勢力」と記述を改めました。

 次に、総選挙の方針のところです。次の大会期では、2025年の参議院選挙を迎えることになります。すでに記述している東京都議選との連続選挙にもなります。選挙では、当面何よりも総選挙での躍進を正面に据えて奮闘しますが、この部分の最後に、2025年参議院選挙についても簡潔に記述を加えました。

 その他、特に第2章の「自民党政治のゆきづまりと日本共産党の任務」に関わって多くの意見が出されました。第2章は全面的な政策集というものではないため、すべてを盛り込むことはできませんが、いくつかの点で補強をしています。米軍機の空中給油訓練の危険性、地域経済の疲弊、校則についての意見表明権、長時間労働を背景にした教員不足の問題、包括的性教育の推進など、記述を補強しています。

党大会成功へのうねりをどうつくりだすか――「二つの全党運動」をよびかける

 第29回党大会まであと63日間です。一日一日、党大会成功にむけて「大運動」の飛躍をつくりだすために、「二つの全党運動」をよびかけます。

 一つは、決議案の全党討論で、全党の英知を結集して大会決議案を練り上げることです。いま一つは、「大運動」の目標達成を、全党運動でやり遂げるということです。この二つを一体的、相乗的に進めることが大切です。

 最終盤の活動の方針は、小池晃推進本部長の「訴え」で明瞭ですが、全党運動をつくりだす「三つのカギ」に徹することをあらためてよびかけます。

 第一のカギは、大会決議案を大運動の政治的推進力とすることです。10中総を視聴した党員からの熱い感想が、すでに大会決議案の力を示しています。大会決議案のブランケット判は、17日、金曜日に日刊紙便で全党員分が届きます。都道府県、地区、支部で、全党員に一人残らず届け切りましょう。そして、支部での討議を直ちに開始しましょう。全党討論を進めるためにも指導的同志のみなさんは、今日から1週間後、23日までに読了し、大会決議案を熱く語って、全党討論を推進することをよびかけます。

 第二のカギは、「第二の手紙」で、支部と党員の「踏み切り」を励ます、ここに徹するということです。討論のなかでも、「第二の手紙」が支部を変えている、支部にこそ力がある、という経験がいくつも紹介されました。決議案の読了、討議のなかでも、「第二の手紙」で全支部・全党員が党勢拡大に立ち上がるという運動を止めない、さらに強化することを重ねて訴えます。世代的継承を握って離さず、青年・学生問題での「特別決議」を合わせて重視しましょう。

 第三のカギ、全党運動にするための党機関のイニシアチブについて、10中総の討論で、党員拡大数で前党大会水準を突破した福岡県党の活動に照らして、自己分析的な発言が多数ありました。

 内田裕県委員長の発言では、県常任委員会が、地区、支部の団結をつくる。この政治的激励、思想的援助を、1日もゆるむことなく継続していることが強調されました。10月11日の県委員会総会で入党決意者がゼロの4地区の地区委員長と特別の会議を持って、「130%の党」づくりは、一つの地区でもこの運動から抜け落とさせてしまったら実現は極めて困難だと丁寧に話をして、4人の地区委員長が心から納得をして、この会議後に入党者を次々と迎えた。

 また、思想的援助について、真島省三県副委員長が、自らあきらめそうになる思想と日々たたかっている、自分を奮い立たせていると発言されました。10月20日の小池晃「大運動」推進本部長の訴え――"目標をあきらめれば日本の平和の危機、国民の危機に私たちの責任が果たせません。もとから変える党、人間の自由で全面的な発展をめざす党の使命を果たせない"という訴えを「座右の銘」として、奮い立たせているという発言は、私たち一人ひとりの党大会に向かう中央役員としての決意を奮い立たせるものだったと思います。

 「三つのカギ」を握って離さず、大会現勢の回復・突破を期日を決めてやり切って、「130%の党」づくりを揺るがずめざしていこうではありませんか。

三つの歴史的意義を全党のものに

 最後に、志位委員長があいさつで述べた党大会の「三つの意義」を全党の決意にしていくことをよびかけます。

 第一に、改定綱領の生命力を明らかにし、綱領に基づく世界論、日本改革論、未来社会論をさらに豊かに発展させる。

 第二に、自民党政治と国民の矛盾が極限に達しているもとで、政治のゆがみを「もとから変える」、日本共産党の反転攻勢の狼煙(のろし)をあげる。

 第三に、党勢の後退傾向にピリオドを打ち、新しい上げ潮に転ずる歴史的大会にする。討論でも、「三つの意義」を地区や支部、みんなの決意にすることが、大会に向かう活動を全党運動にするために重要だということが語られました。

 「三つの意義」をつかんで、第29回党大会を、「わが地区」の党大会、「わが支部」の党大会にしていこうではありませんか。

 中央役員のみなさん、党大会成功の先頭に、私たち一人ひとりが立っていく。一日一日、その気概の火が大きく燃え盛っていく、そういう一日一日の活動を積み重ね、必ず第29回党大会の成功をかちとることをよびかけまして、結語といたします。

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