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日本共産党

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赤旗

全国都道府県委員長会議

内田裕福岡県委員長の特別発言

2023年8月2日

 福岡県の7月度の到達は、党員81人拡大、「赤旗」は日刊紙19、日曜版42の前進です。党員拡大で大会現勢回復をめざしましたが、回復・突破まで192人だったので残念ながら届きませんでした。しかし1カ月間の党員拡大が80人を超えたのは、2017年7月以来、ちょうど6年ぶりとなります。もちろん今大会期では最高の入党決意数です。

 福岡県には12の地区委員会がありますが、この7月、すべての地区が入党者を迎えました。全地区入党は今年に入ってはじめてです。また読者拡大でも1地区を除いて日刊紙と日曜版ともに前進しました。党勢拡大で全地区の運動になってきたと実感しています。

負けてなるものかと自分に言い聞かせ

 福岡県党は、さきの統一地方選挙で県議が空白となり、深刻な結果となりました。梅雨時、毎年のように水害が起こります。今年も久留米市を中心に深刻な被害が発生しています。いつもだと国会議員とともに県議が真っ先に被災地にかけつけていたのですが、その県議がいなくなり、県議空白となった痛手を日々痛感させられています。

 麻生太郎自民党副総裁は、地元の直方市選出の県議が県議会議長になった就任祝いのパーティーに参加して、「今度の統一地方選挙で一ついいことがあった。それは共産党の県議がいなくなったことだ」と述べたそうです。「共産党さえいなくなれば、あとはどうとでもなる」という支配層にとっては、いちばんよかったことかもしれませんが、国民、県民にとっては大きな痛手でした。

 こうした痛手、苦難とたたかいながらの大運動の取り組みです。なかなか苦労の多い日々ですが、「負けてなるものか」と自分に言い聞かせ、県常任委員会全体としてもお互いに励まし合いながらなんとか必死につきすすんできました。

 党員拡大で具体的な教訓の中心点については、先ほどの小池書記局長の報告と、この間の2回の幹部会での志位委員長の発言や討論のまとめ、山下副委員長の問題提起で紹介されているとおりですが、自分なりにこの1カ月を振り返ってみて3点に整理しています。

第1の教訓――党機関での徹底した政治討議

 一番の教訓は、県や地区の常任委員会など、党機関での8中総にもとづく徹底した政治討議を行ったことです。何といってもこれがすべての土台です。

 福岡西部地区の常任委員会で、宮本百合子の「自信のあるなし」を議論したことがたいへん話題となりましたが、宮本百合子を討議したことが中心点だったわけではありません。福岡西部地区での政治討議の一番のポイントは、支配勢力が、党の綱領・規約、さらに党幹部という、いわば党の心臓部に切り込んできているときに、これを党勢拡大ではね返すのだという断固たる提起を地区委員長がやったこと、まさに党づくりの実践に結びつけて政治討議をやったところにあります。

 私は、その地区常任委員会の討議に参加していましたからまざまざと覚えているのですが、田中美由紀地区委員長、若き地区委員長なのですが、彼女の断固たる提起、わが党の心臓部への攻撃が行われているときに、それに対して130%の党づくりで応えていく、そのためには毎月8割の支部が入党者を迎えること、毎月37人の党員拡大が求められているのだ、みなさんよろしいですかと、鬼気迫る提起がされました。

 緊迫した雰囲気といいますか、ピーンと張りつめた状況のなかで、1人のベテランの常任委員が苦しそうに手をあげて「いいですか」と発言を求めたんです。そして「自信ありません。そんな数やったことないです。とても自信ありません」と発言しました。「そんなのできませんよ」という軽い発言ではけっしてありませんでした。田中地区委員長の提起を受け止めて真剣に考えての発言でした。

 すると別のベテランの常任委員がさっと手をあげて、「自信がないといわれましたが、宮本百合子が自信についてこう語っています」と「自信のあるなし」の話を始めました。これはすごい議論になってきたなと私は議論に聞き入りました。その後の議論の進行については、7月10日の幹部会での志位委員長の発言でくわしく紹介されました。大事なことは、地区委員長の断固たる提起あっての議論だったということです。

 この深く、実践と結んだ政治討議を出発点に、福岡西部地区の党員拡大での躍進が始まりました。

 8中総が提起した政治対決の弁証法の立場に立ち、逆風を逆手にとって前進を切り開き、革命政党として成長していくという実践と結んだ真剣な政治討議、これが第1の教訓です。

第2の教訓――入党対象者をどうとらえるか

 政治討議を力に大運動を全支部の運動にしていくうえで、次にクリアしなければならない問題が、入党対象者をはっきりさせることです。だれに働きかけるのかがはっきりしなければ党員拡大はすすまない。対象者をどうとらえるか、ここが第2の教訓です。

 福岡西部地区の政治討議とそれを力にした党員拡大での前進は、大きな衝撃をもって受け止められました。とくに他の地区委員長の同志たちは、「自分は西部地区委員長のように迫っていたか」「自分の指導はどうだったのか」などみんな考えさせられました。

 門司・小倉地区では、西部地区に学んで、地区常任委員会で繰り返し8中総の政治論を討議し、深めました。そしてその議論から宇土博史地区委員長は、一つの結論を引き出しました。それは次の点であります。

 「支部に入って『対象者を出してくれ』というのをやめることにしよう。支配勢力との間で切るか切られるかの激しいたたかいをやっているもとで、読者や後援会員、支持者は、みんな入党対象者だからだ。人を選んでいるときではない。この立場に立つならば、党員拡大の対象者がなくなることはないし、必ず飛躍できる」ということでした。

 その提起を受け止めた支部で、読者や支持者への総訪問が次々と始まりました。今月、入党を働きかけた支部は門司・小倉地区は56・6%に達し、働きかけ数は220人となっています。入党決意も17人で全県トップを走っています。

 今度は、この門小地区の議論、つまり入党対象者を全読者、全支持者に広げていく議論が、県内各地区に大きな影響を与えています。

 門小地区は、政治討議について西部地区から学んだのですが、この対象者についての門小地区の議論の発展が、逆に西部地区に大きな影響を与えました。西部地区でも、読者や統一地方選挙での協力者はすべて入党対象者であり、片っ端からあたろうとの方針が提起され、働きかけが一気に広がり、56・5%の支部が足を踏み出しました。西区と糸島市の二つのブロックでは100%の支部が働きかけを開始しました。8人拡大したところで足踏みをしていた党員拡大も、支部を基礎に思い切って対象者を広げたことで、門小地区に次ぐ15人の入党決意となりました。福岡県では、地区がお互いに学び合いながらすすんでいるという感じです。

第3の教訓――県委員長の指導の貫徹

 もちろん拡大運動は順調に淡々とすすんできたわけではありません。どの地区もそろってすすんだかといえば決してそうではありません。7月17日の小池書記局長を招いた演説会で8人増えましたが、翌日は1人、翌々日は県全体で入党決意ゼロとなりました。また、7月入党ゼロの地区も24日の幹部会時点で、12地区中4地区も残っていました。

 入党者がゼロとなったとき、私は、それは地区の責任、ましてや支部の責任ではない。県常任委員会の問題だ。とりわけ県委員長である私自身の問題だと気づきました。ここがその後のさらなる前進にとって決定的でした。

 小池演説会の翌々日に入党決意ゼロとなったとき、緊急の県常任委員会を開きました。私は、「演説会後、党員拡大がひろがるどころかしぼんで、県全体の入党がゼロとなったのは、県委員長である私が指導を貫徹できていないことが最大の問題だ。しかしそれは党機関としての県常任委員会全体の問題でもある。みなさん方、一人ひとりがそれぞれどう考えるか、率直に出してくれ」と提起しました。それぞれ常任委員から、自分の地区指導、援助がどうだったのか、何が不十分だったのか、自己分析的発言がなされました。入党ゼロが続いても「そういうこともある」にとどまっていたことなど反省、自己分析的発言が次々と出されました。

 全支部の党員拡大運動としていくうえで、党機関の構え、とりわけ、長がどういう姿勢でイニシアチブを発揮するのか、この点が第3の教訓です。

党機関のイニシアチブをどう発揮

 党機関のイニシアチブはどういう点で発揮されなければならないのか。

 例えば、県常任委員会で、すべての支部が入党の働きかけに足を踏み出す問題をめぐって繰り返し議論してきました。入党するかどうかは相手が決めることだが、働きかけを行うかどうかは支部が決めることであり、党機関が援助を強化すれば必ずできることだと議論しました。機関がやる気にさえなればできることを、県常任委員会として貫徹してきたか、ここを深く議論しました。支部が足を踏み出せているかどうか、結局は、県常任委員会が指導を貫徹できているかどうかの問題です。

 県常任委員会でしっかり議論したうえで、分担して地区委員長とも相談し、すべての支部が入党の働きかけに踏み出すこと、ここに党機関が執念をもって支部の援助にあたること、これを徹底して強調しました。地区常任委員会でも相当の議論が行われ、支部でも足を踏み出すことの討議がすすみました。

 それまで入党決意ゼロだった若松地区では、一気に64・7%の支部が働きかけに踏み出し、一気に4人の入党決意を勝ちとりました。県全体でも36・8%の支部が働きかけに踏み出しました。これが701人の入党の働きかけをつくり出し、81人の入党決意に実りました。党機関の指導、その長のイニシアチブの発揮というとき、指導の貫徹、徹底し抜くかどうか、ここが問われると思います。それでもまだ3分の1の支部の立ち上がり。3分の1の力で80人を超える入党決意を勝ちとったのですから、これが100%になったら3倍の推進力になると考えています。この点がこれから8月度の勝負どころだと思います。さらにこだわって全地区の運動から全支部の運動へと発展させるまで貫徹したいと思います。

 困難に突き当たったときこそ、党機関の援助が重要になります。とくに県委員会の果たす役割が重要だとあらためて考えているところです。

 福岡中央・南地区と京築地区の二つの地区がさいごまで入党決意ゼロで残っていました。地区委員長をはじめ、地区指導部は必死の努力を続けてるんですがなかなか実りませんでした。京築地区は中間選挙をたたかうなかでの「大運動」ということでも苦労していました。いよいよ月末、県の伊勢田良子書記長が29日に京築地区に、31日中南地区に出向いて、地区の担当者といっしょに支部を激励し、いっしょに行動し、入党者を迎えることができました。「地区が問題だ」「支部が問題だ」と言っていたらおそらくゼロ地区を残したまま終わっていたと思います。「ここにいたってもゼロ地区を残しているのは、地区委員会の問題ではない。県常任委員会の指導の貫徹力の問題だ」と考えたからこそ突破できたと考えています。

大きな変化は地区段階でも

 党機関の構え、イニシアチブの発揮で全体が大きく変化していった経験は、地区段階でも生まれました。

 八幡・戸畑・遠賀地区は、小池演説会まで入党決意はゼロ、演説会当日にやっと1人迎えることができた。八戸遠の山田博敏地区委員長は、「西部地区や門小地区のように飛躍が起きない。何が足りないのか」と相当に悩んでいました。結集党員が3人でなかなか困難も抱えていた馬場山支部で「集い」が開かれたとき、山田地区委員長は「支部が一生懸命努力して設定した『集い』だ。増えずに終わらせてはならない」と考え、自ら「集い」に出向きました。そして何とか支部の努力を入党に実らせたいとの気持ちをこめて、志位委員長の呼びかけにそって、自分の言葉で入党を呼びかけました。この言葉が対象者の心に届き、3人が一気に入党申込書を書き始め、地区委員長自身が驚いたそうであります。苦労していた支部が3人から6人へと実質倍加しました。この経験が地区内に衝撃をあたえました。それをきっかけに八戸遠地区は入党の働きかけが強まり、2日間で10人を党に迎えるという大変化が起こりました。

 党機関の構え、イニシアチブとは、一般的に「がんばろう」と決意することではありません。ましてや支部や党組織に「あれが足りない」「これはどうなっているのか」とチェックすること、点検することでもありません。支部や党組織がぶつかっている問題に、適切なタイミングで的確な助言を与えること、さらに足を運んでいっしょにその問題を打開するための討論に加わり、政治を語りながらいっしょに行動して具体的問題の具体的打開をはかることではないでしょうか。

壁を打ち破る努力は政治的団結も強くした

 福岡の経験といっても、まずは党員拡大で一定の前進ができただけです。大会現勢回復という最初のハードルもまだ越えることはできていません。81人の入党者のうち、青年は2人、真ん中世代は17人で、世代的継承もまだまだこれからです。ましてや読者拡大は何とか前進にとどまっており、「大運動」にふさわしい取り組みにはほど遠い状況であります。8中総決定の徹底では、全国平均に及んでいません。課題は山積であります。

 しかし、7月活動を通じて、「大運動」をすすめるために県委員長として何ができるのかずいぶん考えさせられました。県常任委員会にも率直に提起して議論してきました。さまざまな壁にぶつかりながらも、力を合わせて打ち破っていく努力を重ねるなかで、県常任委員会の政治的団結も相当に強化された気がします。

 7月活動の教訓を力にして、8月こそ、まずは党員拡大で大会現勢を必ず回復・突破して130%への道を絶対に切り開きたいと思います。みなさん、ともにがんばりましょう。

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