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日本共産党

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赤旗

第28回党大会(1.14~1.18)

綱領一部改定案についての中央委員会報告

2020年1月14日 幹部会委員長 志位和夫

 代議員、評議員のみなさん、全国のみなさん。

 私は、中央委員会を代表して、綱領一部改定案についての報告を行います。

 昨年11月の第8回中央委員会総会以来、綱領一部改定案と二つの大会決議案について、2カ月半にわたって活発な全党討論が行われてきました。

 支部総会、地区党会議、都道府県党会議の討論の状況について、7回にわたって各都道府県から報告が寄せられました。一人ひとりの党員の個別の意見についても、討論誌への応募意見が214通にのぼったのをはじめ、全体で約1800件の意見・提案・感想が中央委員会に寄せられています。全党のみなさんが、非常に真剣かつ活発な討論によって、8中総の提案を深めていただいたことに対し、心からの敬意と感謝を申し上げるものです。(拍手)

 大会諸議案に対して、討論で寄せられた修正・補強意見については、大会の討論での意見もふまえて、一つひとつを吟味し、大会討論が終わった時点で、修正・補強した諸議案を提出することとします。

 綱領一部改定案に対して、全国的な討論では、賛成と歓迎が大きな流れとなっています。一部改定案の逐条的な意味については、すでに8中総での提案報告で詳しくのべました。それを前提にしつつ、全党討論および情勢の進展をふまえて重点的に報告を行います。

一、綱領一部改定の意義――世界情勢論にとどまらず綱領全体の生命力を豊かに発展させた

 まず報告したいのは、今回の綱領一部改定の意義についてであります。

 一部改定案に対して、全党討論で、「一部改定というが大きな改定だ」「綱領路線の大きな発展を感じる」などの感想が多数寄せられています。

 今回の綱領一部改定は、綱領第三章・世界情勢論を中心に行い、それとの関係で第五章・未来社会論の一部を改定するものですが、それは、綱領全体にかかわる重要な意義をもつものとなっています。3点ほどのべたいと思います。

綱領が照らし出す日本変革の道こそが、世界の本流にたったものであることを明らかに

 第一に、一部改定案が、21世紀の世界の大局的な発展方向を明らかにしたことは、日本における社会変革の事業を世界的視野にたって前進させるうえで、大きな力となるものであります。

 8中総の提案報告でものべたように、一部改定案の根本的立場は、20世紀に進行した人類史の巨大な変化の分析――とりわけ植民地体制の崩壊という「世界の構造変化」をふまえて、21世紀の世界の発展的な展望を捉えるという立場を、徹底的におしすすめたところにあります。その根本には、「人民のたたかいが歴史をつくる」というわが党がよってたつ世界観――科学的社会主義、史的唯物論の立場があります。

 世界の動きは、その時々の断面だけをみると、さまざまな苦難の連続であるようにも見えます。しかし、人類は、1世紀という単位でみると、曲折や逆行をはらみながらも、巨大な進歩の歩みを刻んでいます。

 世界の大局的な流れにてらして、何が本流であり、何が逆流なのか。このことを捉えることは、わが党綱領が照らし出す日本変革の道こそが、世界の本流にたったものであることを明らかにし、私たちの事業を世界史的確信をもってすすめるうえでの、大きな力になると考えるものです。

日本のたたかいを、世界の流れの中に位置づけて発展させ、国際連帯を強める力に

 第二に、「グローバル化」のもとで、日本のたたかいは世界のたたかいと直接に結びついています。

 一部改定案に新たに明記した「核兵器のない世界」をめざすたたかい、平和の地域協力の流れの発展、ジェンダー平等をふくめた国際的な人権保障の発展、貧富の格差の是正、地球的規模での気候変動の抑制、あらゆる覇権主義に反対し平和の国際秩序を求めるたたかいなどは、そのどれもが世界の大問題であるとともに、日本国民が強い関心を寄せている日本自身の大問題でもあります。

 これらの諸問題を、21世紀の世界の大局的な流れ、世界資本主義の諸矛盾のなかに大きく位置づけ、その解決の展望を明らかにした一部改定案に対して、党内外から新鮮な共感が広がっています。それは、日本国民の関心と模索にこたえ、日本のたたかいを、世界の流れの中に位置づけて発展させ、国際連帯を強めるうえで大きな力となるでしょう。

中国に対する認識の見直しは、綱領全体の組み立ての見直しにつながった

 第三に、一部改定案は、中国に対する認識を現状にあわせて見直し、「社会主義をめざす新しい探究が開始」された国とみなす根拠はなくなったとして、綱領から該当の部分を削除することを提案していますが、この改定は、綱領全体の組み立てにかかわる見直しを求めるものとなりました。

 この改定にともなって、「二つの体制が共存する時代」――資本主義体制と社会主義をめざす体制が共存する時代という、従来の世界情勢論をあらため、世界の資本主義の矛盾を正面からとらえ、そのなかに未来社会への展望を見いだすという組み立てとしました。

 また、この改定にともなって、日本における社会主義的変革の世界的意義について、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」という命題を太く押し出す組み立てとしました。

 3点をのべましたが、こうして、今回の綱領の一部改定案は、世界情勢論にとどまらず、綱領全体の生命力を一段と豊かに発展させる画期的意義をもつものとなったと確信するものであります。(拍手)

二、「社会主義をめざす新しい探究が開始......」の削除について

 次に、中国に対する綱領上の規定の見直しについて報告します。

 8中総の提案報告では、今日の中国の国際政治における動向について、新しい大国主義・覇権主義の誤りをいっそう深刻にする行動をとっていると指摘し、その問題点を次の四つの角度から踏み込んで具体的に明らかにしました。

 第一に、核兵器廃絶に逆行する変質がいっそう深刻になっていること、第二に、東シナ海と南シナ海での覇権主義的行動が深刻化していること、第三に、国際会議での民主的運営をふみにじる横暴なふるまい、日中両党で確認された原則に背く行動について、是正する態度がとられなかったこと、第四に、香港やウイグル自治区などで人権侵害が深刻化していることであります。

 提案報告では、これらの問題点を具体的に指摘し、「以上のべた中国の行動は、どれも、社会主義の原則や理念と両立しえないもの」と批判しました。そして、中国について、わが党が、「『社会主義をめざす新しい探究が開始』された国と判断する根拠は、もはやなくなった」として、該当部分を綱領から削除することを提案しました。

 この提案に対して、全党討論で、「これで雲が晴れたようにすっきりした」などの強い歓迎の声が寄せられています。また、この綱領改定については、この間、メディアからも大きな関心が寄せられています。

8中総以降の動きにかかわって――二つの問題について

 中国の個々の問題点について繰り返すことはしませんが、8中総以降の動きにかかわって二つの問題についてのべておきたいと思います。

東シナ海における覇権主義的行動のエスカレート

 一つは、東シナ海における中国の覇権主義的な行動がエスカレートしていることであります。2019年の1年間で、中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵犯を含む接続水域入域は、のべ隻数で1097隻を数え、前年の1・8倍、過去最多に達しました。尖閣周辺に公船を出動させている中国海警局の管轄が、2018年、国家海洋局から中国人民武装警察部隊に移され、中国共産党中央軍事委員会の指導下に入り、装備が強化され、準軍事組織とされたことも重大であります。

 2018年に、日中両国関係について、「正常な発展の軌道に戻すことができた」と喧伝(けんでん)しながら、その翌年の2019年に、領海侵犯などを激増・常態化させることは、きわめて不誠実な態度といわなければなりません。

 中国側にどんな言い分があろうとも、日本が実効支配している地域に対して、力によって現状変更を迫る行動を常態化させ、実効支配を弱め、自国領と認めさせようという行動は、国連憲章などが義務づけた紛争の平和的解決の諸原則に反する覇権主義的な行動そのものだといわなければなりません。日本共産党は、中国のこうした行動に強く抗議し、その是正を求めるものであります。(拍手)

香港における人権侵害――人権問題は内政問題でなく国際問題

 いま一つは、香港における人権侵害の深刻化であります。自由と民主主義を求める香港市民の活動に対する香港警察による弾圧が強まるもとで、日本共産党は、昨年、11月14日、弾圧の即時中止を求める「声明」を発表し、中国政府に伝達しました。

 この問題について、「香港警察の暴力もひどいが、デモ参加者の暴力もひどい。どっちもどっちだ」という議論がありますが、わが党はそうした立場にたちません。わが党も、デモ参加者が暴力を自制し、平和的方法で意見を表明することが大切だと主張してきました。同時に、殺傷性の高い銃器を使用した香港警察による弾圧はそれとは次元を異にするものであり、事態の推移と事実にてらすならば、今日の深刻な事態を招いた責任が、香港政府および中国政府の側にあることは明瞭です。とくに弾圧が、中国の最高指導部の承認と指示のもとに行われていることは、きわめて重大であります。

 中国は、この問題についての国際的な批判を、「内政干渉」として一顧だにしない姿勢をとっています。しかし、一部改定案にも明記したように、今日の世界においては、さまざまな国際的な人権保障の基準がつくられ、「人権を擁護し発展させることは国際的な課題」となっています。

 そして中国自身、1948年の世界人権宣言を支持し、1966年に国連総会で採択された国際人権規約のうち「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に署名し、1993年にウィーンで開催された世界人権会議が採択したウィーン宣言――すべての人権と基本的自由を「助長し保護する」ことは、「体制のいかんを問わず、国家の義務である」と明記した宣言に賛成しています。中国は、自らも賛成したこれらの国際的な人権保障の取り決めを真剣に履行することが強く求められているのであります。

 香港で昨年11月に実施された区議会議員選挙では、民主派が8割以上の議席をしめて勝利し、自由と民主主義を求める香港市民の意思を示しました。しかし、その後も、当局による市民の運動に対する弾圧は続けられています。

 日本共産党は、中国指導部に対し、香港およびウイグル自治区などにおける人権弾圧の中止を重ねて強く求めるものであります。(拍手)

全党討論で出された疑問、質問について

 一部改定案が提案した中国に対する綱領上の規定の見直しについて、全党討論で出された疑問、質問にかかわって、いくつかの点をのべておきたいと思います。

「賛成だがもっと早ければ」――十分に慎重に事実にそくしてくだした結論

 「一部改定案の提案に賛成だが、もっと早ければよかった」という声が寄せられています。

 これに対しては、中国の問題点の指摘は、突然に言い出したことではなく、とくに2008~09年以降、中国にさまざまな問題点があらわれてきたさいに、日本共産党が節々でそれを率直に指摘してきたということを強調したいと思います。

 2008年にチベット問題をめぐって騒乱・暴動の拡大と、それに対する制圧行動によって犠牲者が拡大することが強く懸念される事態が起こったさい、わが党は、胡錦濤主席(当時)に書簡で、続いて来日した楊潔篪外相(当時)との会談で、対話による平和的解決を要請しました。

 2010年、中国の著作家・劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞したさい、中国政府がそれに強く抗議し、中国における人権問題に国際的注目が寄せられるという事態が起こったことをふまえて、わが党は、中国が自らも賛成した国際的人権保障の一連の取り決めを守ることを強く望むという表明を行いました。

 2013年、尖閣諸島をめぐる紛争が激化するもとで、わが党は、中国の公船による領海侵犯などに対して、今日の世界で紛争解決の手段としてけっして許されるものではないとして、厳しく自制することを求めました。

 2014年、第26回党大会で、わが党は、中国の前途について、「覇権主義や大国主義が再現される危険もありうるだろう。そうした大きな誤りを犯すなら、社会主義への道から決定的に踏み外す危険すらあるだろう」と警告しましたが、これは当時の中国の行動に対する私たちの深刻な憂慮を踏まえたものでした。

 さらに、2017年、第27回党大会で、わが党は、一連の具体的事実をあげて、中国に「新しい大国主義・覇権主義」があらわれていることを厳しく批判しました。ただしこのさいにも、問題点の一つとして、2016年のアジア政党国際会議(ICAPP)総会での中国共産党代表団の覇権主義的態度を批判しましたが、それをただちに中国共産党中央委員会の問題だと決めつける態度をとらず、先方に回答を求め、次の党大会まで待つという態度をとったことは、8中総での提案報告でものべた通りです。

 今回の党大会での一部改定案での提案は、この10年余、十分に慎重に中国の動向をみきわめ、節々で率直かつ節度をもって態度表明を行いつつ、動かしがたい事実と私たちの実体験にそくしてくだした結論であることを強調したいと思うのであります。(拍手)

「中国はどういう経済体制とみているか」――内政問題であり判断を公にしない

 全党討論のなかで、「中国について『社会主義をめざす新しい探究が開始された国』とみなす根拠がなくなったというのであれば、いったいどういう経済体制と見ているのか」という質問が出されています。

 これに対しては、どんな経済体制をとるかは、その国の自主的権利に属する問題であり、基本的に内政問題だということを指摘しなければなりません。個々の研究者・個人がその見解をのべることはもちろん自由ですが、政党として特定の判断を表明すれば、内政問題への干渉になりうる問題となります。したがって、日本共産党として、内部的には研究を行っていますが、現時点で、経済体制についての判断・評価を公にするという態度はとりません。内政不干渉という原則を厳格に守ってこそ、中国の大国主義・覇権主義に対する批判が道理あるものになるということを強調したいと思います。

 8中総の提案報告でものべたように、わが党が中国を見る際の最大の基準としてきたのは、「指導勢力が社会主義の事業に対して真剣さ、誠実さをもっているかどうか」であり、そのことを対外的な関係で評価するという態度をとってきました。指導勢力が、社会主義の事業に対して「真剣さ、誠実さ」をもっていれば、さまざまな困難をのりこえて、前にすすむことができるでしょう。それがなくなってしまったら、前にすすむ保障はなくなってしまうでしょう。このことを対外的な関係――私たちが指導勢力と接して直接判断するか、対外路線を分析して判断する。こういう態度を貫いてきましたが、私たちは、それが節度ある合理的態度だと確信するものであります。

「なぜこうした誤りが起こったか」――中国自身が自戒していた歴史的条件

 全党討論のなかでは、「中国でなぜこうした誤りが起こったか」という質問も寄せられました。

 私は、8中総での結語で、直接的原因として指導勢力の責任を指摘しつつ、より根本的な問題として、「中国のおかれた歴史的条件」について次のような指摘を行いました。

 一つは、「自由と民主主義の諸制度が存在しないもとで、革命戦争という議会的でない道で革命が起こったこと、革命後もソ連式の『一党制』が導入されるとともに、自由と民主主義を発展させる課題が位置づけられなかった」ことです。

 いま一つは、「中国社会に大国主義の歴史があるということです。近代以前、中国は、東アジアの超大国として、周辺の諸民族と朝貢関係を結び、従属下においてきた歴史をもっています。......そういう歴史をもつ国だけに、大国主義・覇権主義に陥らないようにするためには、指導勢力が強い自制と理性を発揮することが不可欠」になるということです。

 実は、この二つの歴史的問題点については、中国の党自身がそれを強く自戒していた決定が残されています。

 自由と民主主義の問題にかかわっては、1981年、中国共産党が「文化大革命」を総括した中央委員会総会の決定(「建国以来の党の若干の歴史的問題についての決議」、中国共産党第11期中央委員会第6回総会)で、「中国は封建制の歴史の非常に長い国である。......長期にわたる封建的専制主義の、思想・政治面における害毒は、やはり簡単に一掃しうるものではなかった」との反省をのべています。「封建的専制主義の...害毒」と反省をのべたのです。しかし、この決議を主導した鄧小平自身が、その後、1989年、天安門での弾圧を行いました。中国の現状を見るとき、中国自身が自戒していた歴史的弱点があらわれていると見ざるをえません。

 大国主義の問題についても、1956年、中国共産党は、「人民日報」に掲載された論文(「再びプロレタリアート独裁の歴史的経験について」)で、「われわれ中国人は、わが国が漢、唐、明、清の四代とも大帝国だったことを特に心に留めておく必要がある。......大国主義の傾向は、もし極力これを防ぎ留めなかったなら、必ず重大な危険となるであろう」と自戒していました。しかし、この自戒にもかかわらず、その後、1960年代後半、毛沢東が発動した「文化大革命」の時期に覇権主義の誤りが噴き出し、今日、新しい形で覇権主義の誤りがあらわれています。

 今日、中国であらわれている諸問題の根底に、中国の党自身が自戒していた歴史的条件が横たわっていることを、指摘しなければなりません。

「今後の中国の政権党との関係は」――関係は維持し、可能な協力の努力は続ける

 全党討論のなかで、「今後の日本共産党と中国共産党との関係をどう考えるか」という質問もありました。

 党間の関係というのは、双方の意思で決まるものですが、わが党としては、日本の政党と中国の政権党との関係として、今後も関係を維持するという立場をとります。

 第26回党大会で提唱した「北東アジア平和協力構想」など、この地域の平和と安定のための緊急の課題での協力のための努力は続けていきます。

 以上が全党討論で出された主な疑問、質問に対する中央委員会としての見解であります。

今回の綱領改定の意義、中国とどう向き合うかについて

 ここで、今回の綱領改定の意義、中国にどう向き合うかの姿勢の根本についてのべておきたいと思います。

今回の綱領一部改定の意義――半世紀余のたたかいの歴史的経験を踏まえたもの

 日本共産党が行ってきた、「社会主義」を名乗る国の大国主義・覇権主義との闘争は、半世紀を超える歴史があります。そのなかに今回の綱領一部改定案を位置づけてみると、ここには新しい踏み込みがあることを強調したいと思います。

 わが党は、1960年代以降、ソ連と中国という「社会主義」を名乗る二つの国からの激しい覇権主義的な干渉攻撃を受け、それを断固として拒否し、自主独立の路線を守り発展させてきました。ソ連によるチェコスロバキアやアフガニスタン侵略などを厳しく批判するたたかいを展開しました。中国指導部による「文化大革命」や「天安門事件」などの民主主義抑圧の暴圧に対しても、もっとも厳しい批判を行ってきました。同時に、それらの批判はどれも、「社会主義国」の中に生まれた大国主義・覇権主義との闘争、専制主義への批判としてとりくんだものでした。

 それに対して、今回の綱領一部改定案は、中国にあらわれた大国主義・覇権主義、人権侵害を深く分析し、「社会主義をめざす新しい探究が開始」された国とみなす根拠はもはやないという判断を行いました。そうした判断をしたのは、「社会主義」を名乗る国の大国主義・覇権主義との闘争を始めて以降、今回が初めてのことであり、ここには新しい歴史的な踏み込みがあります。

 そして、そうした新しい踏み込みを可能にした根本には、「社会主義」を名乗る国の大国主義・覇権主義との半世紀余にわたる闘争の歴史があるということを強調したいと思います。今回の判断は、自主独立の党としてのたたかいの歴史的経験と蓄積を踏まえたものであるということを、勇気と理性をもってこのたたかいにとりくんだ先輩の同志たちへの敬意をこめて、報告しておきたいと思います。(拍手)

 この一部改定案は、日本共産党に対する誤解・偏見をとりのぞくうえで大きな力を発揮するでしょう。中国の党は、「社会主義」「共産党」を名乗っていますが、その大国主義・覇権主義、人権侵害の行動は、「社会主義」とは無縁であり、「共産党」の名に値しません(拍手)。このことを綱領上も誤解の余地なく明瞭にすることは、日本共産党のめざす社会主義・共産主義の魅力を語り広げるうえでも、霧が晴れたような見晴らしを保障するでしょう。

 このとりくみは、それにとどまらず、世界の平和と進歩の事業にとって大義あるとりくみであります。すでに世界第2の経済力をもち、やがて世界一になろうという中国にあらわれた大国主義・覇権主義は、世界にとって、もはや座視するわけにはいかない重大性をもっています。にもかかわらず、その誤りに対する国際的な批判が全体として弱い。とくに日本政府はまったく弱く、追従的です。そのなかで、日本共産党が「道理に立った冷静な批判」を行うことは、覇権主義への手痛い打撃となり、国際的な貢献になるものと確信するものであります。(拍手)

中国とどう向き合うか――三つの点について

 この問題の最後に、今後、中国とどう向き合うかについて報告します。

 わが党は、中国にあらわれた誤りについて厳しい批判をつらぬきますが、そのさい次の三つの姿勢を堅持します。

 第一に、中国の「脅威」を利用して、軍事力増強をはかる動きには断固として反対します(拍手)。それは軍事対軍事の危険な悪循環をもたらすだけでしょう。わが党は、事実と道理に立って言うべきことを言う冷静な外交努力によって、問題を解決すべきだという立場を、揺るがずつらぬきます。

 第二に、日本共産党は、中国指導部の誤った行動を批判しますが、「反中国」の排外主義をあおりたてること、過去の侵略戦争を美化する歴史修正主義には厳しく反対をつらぬきます(拍手)。自国の過去の誤りに真摯(しんし)に向き合ってこそ、未来に向けた真の友情をつくることができる。このことは、わが党の対アジア外交の揺るがぬ大方針であります。(拍手)

 第三に、中国はわが国にとって最も重要な隣国の一つであり、わが党の批判は、日中両国、両国民の本当の友好を願ってのものであります。節度をもって言うべきことを言ってこそ、両国、両国民の真の友好関係を築くことができる。これが私たちの確信であります。

 日本共産党は、以上の三つの姿勢を貫くことを、この機会に表明するものであります。(拍手)

三、21世紀の世界をどうとらえるか(1)
    ――「世界の構造変化」が生きた力を発揮

 次に21世紀の世界をどうとらえるかについて報告します。

 一部改定案は、21世紀の世界をどうとらえるかについて二つの角度――第一に、「世界の構造変化」が平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめているという角度、第二に、世界資本主義の諸矛盾から世界を捉えるという角度から解明しました。

 まず一部改定案は、綱領第九節で、「二〇世紀の世界の構造変化」のもとで21世紀に起こった前向きの変化について、核兵器廃絶、平和の地域協力の流れ、国際的な人権保障の三つの具体的問題について明らかにしています。

 この解明と提起に、新鮮な共感が多く寄せられています。全党討論、その後の情勢を踏まえて、二つの点にしぼって報告します。

「核兵器のない世界」にかかわって――ローマ教皇の来日と発言

 一つは、「核兵器のない世界」にかかわる動きであります。

 昨年11月、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が来日し、長崎と広島で行った発言は、国内外に多大な感動と共感を広げました。

ローマ教皇の長崎と広島での発言を強く歓迎する

 フランシスコ教皇の発言は、核兵器廃絶にむけた強い決意がみなぎるものであり、歴代の教皇とくらべてももっとも踏み込んだ内容となったと評されています。

 ローマ教皇は、「核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか」と、核抑止力論を正面から否定しました。「人道的および環境の観点から、核兵器の使用がもたらす壊滅的な破壊を考えなくてはなりません」と、核兵器の非人道性、環境破壊を厳しく告発しました。「核兵器禁止条約を含め、核軍縮と核不拡散に関する主要な国際的な法的原則に則(のっと)り、たゆむことなく、迅速に行動し、訴えていきます」と、核兵器禁止条約の発効への不退転の決意を語りました。

 そして、ローマ教皇は、「この理想を実現するには、すべての人の参加が必要です。個々人、宗教団体、市民社会、核兵器保有国も非保有国も、軍隊も民間も、国際機関もそうです」とのべ、すべての国ぐにと市民社会の共同こそが、「核兵器のない世界」という理想をもたらす力だと訴えました。

 ローマ教皇の発言は、世界の多くの国ぐに、市民社会、被爆国・日本の反核平和運動、そして日本共産党の立場と全面的に共鳴するものであり、私は、強く歓迎したいと思います。(拍手)

「世界の構造変化」がローマ教皇の発言にも反映している

 この発言の背景にあるものは何でしょうか。

 世界のカトリック信者は約13億人とされていますが、バチカン市国が明らかにしているデータから算出しますと、そのうち6割以上が核兵器禁止条約に賛成した国に住んでいることが明らかになります。8中総の提案報告で、「核兵器禁止条約は、『世界の構造変化』のもとで、一握りの大国から、世界の多数の国ぐにと市民社会に、国際政治の主役が交代したことを、最も象徴的に示す歴史的出来事となりました」とのべましたが、「世界の構造変化」がローマ教皇の発言にも反映しているといえるのではないでしょうか。

 バチカンは、核兵器禁止条約を真っ先に批准した国となりました。私は、2017年、核兵器禁止条約の国連会議に参加したさいの、バチカン代表との心がこもった交流を思い出します。同年7月、核兵器禁止条約が採択されたさい、バチカンの国連首席代表と懇談し、条約成立をともに祝福しあいました。私が、「核兵器禁止条約の前文に、市民的良心の担い手として、被爆者などとならんで、宗教指導者と国会議員が明記されました。ともに手を携えてすすみましょう」とのべますと、バチカン代表は「その通りです。そうしていきましょう」と応じ、今後の協力で意気投合しました。バチカン代表が、「日本の共産党がこの平和の至高の課題にとりくんでいることが印象的です」「今後、イスラムなど世界のさまざまな宗教との共同を追求したい」と語っていたことも深く印象に残っています。

 宗教・宗派の違いをこえて、世界の宗教者とも広く手を携え、この人類的課題の実現のために力をつくそうではありませんか。(拍手)

核兵器禁止条約にサインする政府をつくろう

 こうした新しい動きが起こっているときに、唯一の戦争被爆国である日本政府がとっている態度はどうでしょうか。

 ローマ教皇が被爆地において、核抑止力論の否定と核兵器禁止条約を訴えたことは、米国の「核の傘」に頼り、核兵器禁止条約に背を向けながら、ポーズだけの「平和」を唱える日本政府の立場に対する痛烈な批判でもありました。しかし、この発言を受けての日本政府の反応は、「核抑止力は安全保障の基礎」だとして、核兵器禁止条約に背を向ける従来の態度を繰り返すだけの情けないものでした。

 日本政府が、2019年の国連総会に提出した核兵器問題の決議案は、核兵器禁止条約への言及は一切なく、核兵器廃絶を「究極の目標」として永久に先送りし、これまでのNPT(核不拡散条約)再検討会議で合意された一連の積極的内容を反故(ほご)にして米国など核保有国への異常なまでの追随姿勢をあらわにし、世界から厳しい批判を受けました。

 ローマ教皇は、訪日後、バチカンのサンピエトロ広場で行われた恒例の一般謁見(えっけん)で、世界中から集まった信徒を前にして、日本訪問についてこう語りました。

 「原爆の消えることのない傷を負う日本は、全世界のためにいのちと平和の基本的権利を告げ知らせる役割を担っている」

 これは世界の多くの人々の声でもあります。党大会として訴えようではありませんか。日本政府は、核兵器禁止条約にサインせよ(拍手)。そしてみなさん、サインしなければ、政府を代えようではありませんか(拍手)。私たちの手でサインする政府をつくろうではありませんか。(拍手)

ジェンダー平等について――全党討論をふまえて

 いま一つは、ジェンダー平等についてであります。

 一部改定案は、21世紀の新しい希望ある動きの一つとして、国際的な人権保障の新たな発展、ジェンダー平等を求める国際的潮流の発展を明記しました。さらに、日本の民主的改革の課題として、「ジェンダー平等社会をつくる」「性的指向と性自認を理由とする差別をなくす」と明記しました。この提案には、全体として強い歓迎の声が寄せられています。

 全党討論をふまえて、いくつかの点をのべておきたいと思います。

ジェンダーとは何か、男女平等と違うのか

 全党討論のなかで、「そもそもジェンダーとは何か。男女平等と違うのか」という質問が寄せられています。

 ジェンダーとは、社会が構成員に対して押し付ける「女らしさ、男らしさ」、「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担などを指し、一般には「社会的・文化的につくられた性差」と定義されていますが、それは決して自然にできたものではなく、人々の意識だけの問題でもありません。時々の支配階級が、人民を支配・抑圧するために、政治的につくり、歴史的に押し付けてきたものにほかなりません。

 たとえば職場で、「女は妊娠・出産があるから正規で雇われないのは仕方ない」、「男は会社につくし、妻子を養って一人前」といった規範を押し付けることで、女性も男性も過酷な搾取のもとに縛り付けてきたのがジェンダー差別であります。ジェンダー平等社会を求めるたたかいは、ジェンダーを利用して差別や分断を持ち込み、人民を支配・抑圧する政治を変えるたたかいであることをまず強調したいと思います。(拍手)

 「男女平等」は引き続き達成すべき重要な課題ですが、法律や制度のうえで一見「男女平等」となったように見える社会においても、女性の社会的地位は低いままであり、根深い差別が残っています。多くの女性が非正規で働き、政治参加が遅れ、自由を阻害され、暴力にさらされ、その力を発揮することができていません。その大本にあるのがジェンダー差別であります。

 ジェンダー平等社会をめざすとは、あらゆる分野で真の「男女平等」を求めるとともに、さらにすすんで、「男性も、女性も、多様な性をもつ人々も、差別なく、平等に、尊厳をもち、自らの力を存分に発揮できるようになる社会をめざす」ということであると、考えるものです。

 2015年、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)は、2030年までに達成すべき17の目標を掲げましたが、その5番目の目標に「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と少女のエンパワーメントを図る」ことを掲げるとともに、すべての目標に「ジェンダーの視点」をすえることが強調され、「ジェンダー平等」はあらゆる問題を前向きに解決するうえで欠かせない課題と位置づけられました。

 ジェンダー、ジェンダー平等という概念は、私たちの視野を広げ、より幅広い方々とともに、性による差別や分断のない社会、誰もが尊厳をもって自分らしく生きることのできる社会をめざす運動の力になるものであり、そういう認識にたって、今回、綱領一部改定案に盛り込むことにいたしました。(拍手)

日本の著しい遅れの原因はどこにあるのか

 この問題で、日本は著しい遅れにあります。世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、2019年、日本は、153カ国中121位となり、これまでで最低となりました。その原因はどこにあるか。

 一つは、財界・大企業が、口では「男女平等」を言いながら、実際の行動では、利益最優先の立場からジェンダー差別を利用していることであります。女性には「安上がりの労働力」と「家族的責任」を押し付け、男性には「企業戦士たれ」と「長時間労働・単身赴任」を押し付けています。日本経団連の会長と18人の副会長は全員が男性です。19人の全員が男性とは、異常な光景ではないでしょうか。ILO(国際労働機関)総会でハラスメント禁止条約が圧倒的多数で採択されても、日本経団連は棄権をしました。日本は「ルールなき資本主義」の国といわれますが、その最悪のあらわれの一つがジェンダー差別の押し付けにあることを、厳しく指摘しなくてはなりません。(拍手)

 いま一つは、戦前の男尊女卑、個人の国家への従属を当然視する勢力が、戦後政治の中枢を占め、とりわけ安倍政権で逆行が著しくなっていることであります。日本の歴史で女性差別の構造が国家体制として強固に押し付けられたのは明治期でした。絶対主義的天皇制国家を底辺で支える「家制度」に女性差別ががっちりと組み込まれました。明治期につくられた差別の構造は、戦後も引き継がれ、さらに、戦前の日本への回帰をめざす安倍政権のもとで、男尊女卑の言動が横行し、日本軍「慰安婦」問題で歴史の真実が否定されるなど、権力者がジェンダー差別をふりまいていることは許すわけにはいきません。(拍手)

 ジェンダー平等の上に利潤追求を置いて恥じるところのない財界・大企業の無分別と節度のなさ、明治時代の男尊女卑の価値観をいまだに押し付ける政治――この二つのジェンダー差別のゆがみをただすたたかいにとりくもうではありませんか。(拍手)

日本共産党としてどういう姿勢でのぞむか――学び、自己改革する努力を

 日本共産党としてこの問題にどういう姿勢でとりくむか。このことが、全党討論で活発に議論されていることは重要であります。

 まず何よりも強調したいのは、党が、ジェンダー平等を求める多様な運動――性暴力根絶をめざすフラワーデモ、就活セクハラやブラック校則を変えるたたかい、性的マイノリティーへの差別をなくし尊厳を求める運動などに、「ともにある」(=#WithYou)の姿勢で参加し、立ち上がっている人々の声を耳を澄ませてよく聞き、切実な要求実現のためにともに力をつくすことであります。ジェンダー平等を妨げている政治を変えるたたかいにともにとりくむことであります。

 同時に、戦前・戦後、女性解放のためにたたかってきた党の先駆的歴史に誇りをもちつつ、学び、自己改革する努力が必要であります。私たち自身も、ジェンダーに基づく差別意識や偏見に無関係ではありません。私たち一人ひとりが、無意識に内面化している人権意識のゆがみと向き合い、世界の到達、さまざまな運動の到達に学び、勇気をふりしぼって声をあげている人々に学び、自己改革のための努力を行おうではありませんか。

 党自身がジェンダー平等を実践してこそ、ジェンダー平等社会の実現に貢献することができます。そのためにお互いに努力することを、心から訴えたいと思います。(拍手)

四、21世紀の世界をどうとらえるか(2)
    ――世界資本主義の諸矛盾

 続いて、一部改定案は、綱領第一〇節で、世界資本主義の諸矛盾という角度から、21世紀の世界の姿を明らかにしています。この問題にかかわって報告します。

貧富の格差拡大と地球規模の気候変動――どういう姿勢で立ち向かうか

 一部改定案は、冒頭に、「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」の七つのあらわれについてのべたうえで、「貧富の格差の世界的規模での空前の拡大」、「地球的規模でさまざまな災厄をもたらしつつある気候変動」の二つを、世界的な矛盾の焦点として特記しました。そして、この二つの大問題について、「資本主義体制が二一世紀に生き残る資格を問う問題となっており、その是正・抑制を求める諸国民のたたかいは、人類の未来にとって死活的意義をもつ」とのべました。

貧富の格差が空前の広がりを示すもと、「社会主義」の新たな形での「復権」が

 この二つの大問題は、人類の死活にかかわる緊急の課題であり、資本主義の枠内でもその是正・抑制を求める最大のとりくみが強く求められます。

 同時に、これらの問題にとりくんでいる人々のなかから、「資本主義の限界」が語られ、「利潤第一の経済システムそのものを変える必要がある」などの声が広く起こっていることは注目すべきであります。

 アメリカでは、貧富の格差が空前の広がりを示すもとで、「社会主義」を掲げるさまざまな運動が広がっています。「1%のためでなく、99%のための政治」を掲げ、社会保障の拡大を求め、富裕層への課税など経済的不平等をただすことを訴えています。私たちがいま日本でめざしている方向とも共通性をもった運動であります。

 そうしたもと、最近、大手世論調査会社「ピューリサーチ」が実施した世論調査(2019年4~5月に調査)では、若い「ミレニアル世代」――23~38歳の半数が社会主義を肯定的に見ているとの結果が明らかになりました。

 別の大手世論調査会社「ハリス」が実施した世論調査(2019年4月)では、社会主義への支持が拡大しているという調査結果が明らかになりました。それによれば、アメリカ人の10人に4人、18歳~54歳の女性の55%が、資本主義の国よりも社会主義の国での生活を好むと表明しています。この結果を伝えたメディアは、「社会主義は特に女性の間で、そのソ連時代の汚名を消している」と報じました。

 ソ連崩壊から30年近くたった今日、世界資本主義の矛盾がむき出しの形で噴き出しています。そうしたもと、世界最大の資本主義国・アメリカで「社会主義」の新たな形での「復権」が起こっていることは、注目すべき出来事ではないでしょうか。(拍手)

地球規模の気候変動――非常事態に人類は直面している

 昨年12月に開催されたCOP25(国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議)は、温室効果ガス削減目標の引き上げを促す決議には合意したものの、「パリ協定」の運用ルールの決定が先送りにされ、世界の人々を失望させる結果となりました。

 地球規模の気候変動をめぐって、もはや問題の先送りは許されない非常事態――文字通りの「気候危機」に人類は直面しています。

 昨年12月に発表された国連環境計画(UNEP)報告では、現在各国から出されている目標通りに削減したとしても、世界の平均気温は産業革命前に比べて、今世紀中に3・2度上昇し、現在の排出ペースが続けば3・2~3・9度上昇すると予測され、地球は破局的事態に陥ります。

 「パリ協定」で掲げる「1・5度以内」に抑制する目標を実現するためには、削減目標の緊急の大幅引き上げが必要であります。そのためには、2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にしなければなりません。あと30年です。人間でいえば1世代の間に、それを成し遂げなければなりません。そして、それを成し遂げるには、あと数年のとりくみが正念場となっています。グテレス国連事務総長が「気候危機」というほど、事態は切迫しているのであります。

この日本から、世界に連帯して、気候変動の抑制をもとめる緊急の行動を

 こうしたなか、世界的規模で、気候変動の抑制を求める運動が広がっています。

 昨年9月末に行われた「グローバル気候マーチ」には、185カ国で、760万人の市民が参加し、2003年のイラク戦争反対の世界的デモの参加者数を超え、史上最大規模となりました。若者たちが「私たちの将来を燃やさないで」とたちあがっています。17歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは、「一番危険なのは行動しないことではなく、政治家や企業家が行動しているように見せかけること」だと指摘し、「私たちは、大量絶滅の始まりにいる」と訴え、世界の若者の共感を広げています。

 グレタさんに対して、トランプ米大統領は、彼女が米タイム誌の「今年の人」に選ばれたことを、「全くばかばかしい。......落ち着け、グレタ、落ち着け!」とコメントし、ブラジルのボルソナロ大統領は「小娘」呼ばわりし、ロシアのプーチン大統領は「現代の世界が複雑で多様であることを誰もグレタさんに教えていない」といい、小泉進次郎環境大臣は「おとなたちに対する糾弾に終わってしまっては、私はそれも、未来はないと思っている」と批判しました。「ばかばかしい」のはどちらか、「現代の世界」を理解していないのはどちらか、「未来はない」のはどちらか。あまりにも明瞭ではありませんか(拍手)。若者の真剣な訴えを聞く力をもたない政治家に、恥を知るべきだと、私は強く言いたいと思います。(拍手)

 日本でも、台風・豪雨災害の大規模化、猛暑によるコメ生産への打撃、海水温上昇による不漁など、気候変動の深刻な影響があらわれています。ドイツのシンクタンク「ジャーマンウォッチ」は、地球温暖化の影響が指摘される豪雨や熱波など気象災害の影響が大きかった国のランキングを発表しましたが、2018年は日本がワースト1位となりました。にもかかわらず、日本政府は、石炭火力発電所を増設・輸出し、削減目標の上乗せを拒み、環境NGOから何度も「化石賞」を受賞するという恥ずべき姿をさらしています。

 日本でも、「グローバル気候マーチ」に連帯した若者たちの運動がはじまっています。世界の運動に連帯し、この日本から気候変動抑止のための緊急の行動を大きく発展させようではありませんか。(拍手)

気候変動の打開の道は「社会主義の理想を現代に適合させること」(米有力誌)

 いま注目すべきは、こうした運動にとりくんでいる人々のなかから、「いまのシステムで解決策がないならば、システムそのものを変えるべきだ」という主張が起こっていることであります。

 アメリカの有力外交誌『フォーリン・アフェアーズ』(2020年1―2月号)は、「資本主義の未来」を特集しましたが、その論文の一つは、次のように主張しています。

 「資本主義は危機にある。......経済成長を何よりも優先する経済モデルが必要とする大量消費と化石燃料の大量使用が大きな要因となり、気候変動は今や人類生存の将来を危機にさらしている。......人々の生活の質をぼろぼろにした経済崩壊と同様、環境の悪化は資本主義の危機に根がある。そのどちらの課題も、オルタナティブな経済モデル――社会主義の理想を現代に適合させることにより真の改革への渇望にこたえるようなモデル――を採用することで、対応できる」

 アメリカの有力外交誌が、気候変動の打開の道は、「社会主義の理想を現代に適合させること」にあるとする論文を掲載したことは、注目すべきことではないでしょうか。「利潤第一主義」――利潤追求を地球環境の上におき、生産のための生産につきすすみ、エネルギーの果てしない浪費を行う資本主義というシステムそのものが、いま問われているのであります。

 みなさん、貧富の格差の問題でも、気候変動の問題でも、資本主義の枠内で解決のための最大の努力を行いながら、資本主義をのりこえた社会主義によって問題の根本的な解決の展望が開かれることを、大いに語っていこうではありませんか。(拍手)

帝国主義と覇権主義――一部改定案と現代の世界について

 続いて、一部改定案では、資本主義世界の政治的諸矛盾についてのべています。

 一部改定案は、アメリカの帝国主義的侵略性を二つの角度から特徴づけています。第一は、「国連をも無視して他国にたいする先制攻撃戦略をもち、それを実行するなど、軍事的覇権主義に固執していること」、第二は、「地球的規模で軍事基地をはりめぐらし、世界のどこにたいしても介入、攻撃する態勢を取り続けている」ことであります。

 そして、綱領は、「いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている」と告発しています。

トランプ政権のもと帝国主義の特徴はどうあらわれているか

 全党討論の中で、トランプ政権のもとで、帝国主義の特徴が具体的にどういう形であらわれているかという質問が寄せられました。

 「アメリカ・ファースト」を掲げて大統領選挙に勝利したトランプ大統領のこの3年間の外交には、国連をはじめとする多国間の枠組みを自国の行動の制約とみなしてないがしろにする立場が貫かれています。アメリカは、パリ協定から離脱し、イラン核合意から離脱し、ユネスコから離脱しました。通商問題でもアメリカが主導してきた多国間自由貿易に背を向け、力を背景とした2国間交渉でアメリカの利益を確保しようとしています。

 これらの動きから、トランプ政権が、米国が築いてきたあらゆる国際秩序から撤退しようとしているのではという見方があらわれています。しかし、実態は、決してそのようなものではありません。「アメリカ・ファースト」で自国の利益を独善的に追求しつつ、先制攻撃戦略など軍事的覇権主義にしがみつき、地球的規模での軍事基地網は決して手放さない――よりあからさまな帝国主義の政策にしがみついているのが、トランプ政権の立場にほかなりません。

 こうしたアメリカの帝国主義的侵略性が端的にあらわれたのが、今年1月3日、トランプ大統領の指示によって行われた、イラン革命防衛隊幹部の空爆による殺害であります。どんな理由をつけても、主権国家の要人を空爆によって殺害する権利は、世界のどの国にも与えられていません。それは国連憲章に違反した無法な先制攻撃そのものであります。そして、米国とイランの緊張激化は、2018年5月、トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことが出発点だったことは明瞭であります。

 軍事衝突から戦争に発展する危険は依然として続いています。情勢を打開する方法は、外交的解決の道に立ち戻る以外にありません。日本共産党は、すべての関係者に自制を強く求めるとともに、トランプ政権に対して、イランへの「最大限の圧力」路線を中止し、核合意に復帰することを強く求めます。安倍政権に対して、中東沖への自衛隊派兵という無謀で危険な動きを、ただちに中止することを強く求めるものであります。(拍手)

 アメリカの先制攻撃戦略は、すでに深刻な大破綻に直面しています。2001年、アメリカが、「対テロ戦争」の名でアフガニスタンへの先制攻撃の戦争を開始してから18年が経過しましたが、アフガニスタンでは今なおテロや戦闘が続き、市民の犠牲者は4万人を超えています。アメリカ・ブラウン大学ワトソン国際公共問題研究所員の調査によれば、米国は、現在、6大陸の80カ国で対テロ作戦を展開しています。40カ国の海外米軍基地が動員され、14カ国で米軍が実戦作戦に関与し、7カ国で米軍が直接、空爆およびドローン攻撃を実施しています。先制攻撃から始まった「対テロ戦争」は終結していないだけでなく、世界中の国の40%以上に広がっているのであります。これは、テロは戦争ではなくせないことを、動かせない事実をもって証明しているではありませんか。

 トランプ大統領は、日本、韓国、NATO(北大西洋条約機構)加盟国など、「同盟国」に対して、「負担のあり方が不公平だ」と不満をつのらせ、負担増を要求していますが、これは決して軍事同盟から撤退するものでなく、「同盟国」により大きな負担増を強要しながら、あくまで軍事同盟網を強化していく立場からのものにほかなりません。

 こうしてトランプ大統領のもと、アメリカ帝国主義の侵略性は、「アメリカ・ファースト」という自国中心主義とあわさって、きわめて危険な姿を示しています。日本共産党は、その軍事的覇権主義、とりわけ日本をより深い従属と収奪のもとに置こうという企てに、断固として反対してたたかうものであります。(拍手)

アメリカと他の大国との覇権争い――どんな国であれ覇権主義を許さない

 一部改定案では、「アメリカと他の台頭する大国との覇権争いが激化し、世界と地域に新たな緊張をつくりだしていることは、重大である」と新たに明記しました。

 覇権主義という点で、アメリカ帝国主義が世界にとっての最大の脅威であることを踏まえつつ、中国、ロシアなどの覇権主義が強まり、「覇権争い」の激化があらわれていることを直視する必要があります。

 米国と、中国、ロシアは、核兵器禁止条約への敵対では協力しながら、激しい核軍拡競争を宇宙にまで拡大しています。インド太平洋地域での米国と中国の覇権争いは、アジアに新たな緊張をもたらしています。NATOの東方への拡張、ロシアの覇権主義の台頭が、ヨーロッパに新たな緊張をもたらしています。

 こうした全体を視野に入れて、一部改定案は、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、独立と主権を侵害する覇権主義的な国際秩序かの選択が、問われている」と強調し、「どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず、平和の国際秩序を築く」ことを明記しました。

 覇権主義に決して未来はないことは、すでに人類の歴史によって繰り返し審判がくだっていることです。日本共産党は、相手がアメリカであれ、旧ソ連であれ、中国であれ、あらゆる覇権主義と正面からたたかいつづけた自主独立の党として、覇権主義に反対し、平和の国際秩序を築くために、全力をあげて奮闘するものです。(拍手)

社会主義への前進は、世界史の不可避的な発展方向

 こうして21世紀における世界資本主義の経済的・政治的諸矛盾の深まりは、人類がこの体制をのりこえて社会主義にすすむ必然性を示すものとなっています。綱領の第三章・世界情勢論の結びにのべられている次の規定は、世界資本主義の現実を踏まえた結論として、いよいよその重みを増しています。

 「世界史の進行には、多くの波乱や曲折、ときには一時的な、あるいはかなり長期にわたる逆行もあるが、帝国主義・資本主義を乗り越え、社会主義に前進することは、大局的には歴史の不可避的な発展方向である」

 世界資本主義の諸矛盾の深まりのもと、社会主義への前進は大局的には不可避である――こうした展望と確信をもって、奮闘しようではありませんか。(拍手)

五、発達した資本主義国での社会主義的変革の世界的意義について

 次にすすみます。

 一部改定案は、中国に対する綱領上の規定の見直し、ロシア革命以降の1世紀の世界史の経験を踏まえ、綱領第五章・未来社会論の最後の節を見直し、発達した資本主義国における社会主義的変革の世界的意義について明らかにしました。

 全党討論をふまえて、いくつかの点をのべておきたいと思います。

「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」という規定について

 まず、一部改定案が、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」と規定したことについてであります。

 この提起に対して、全体として強い歓迎、新たな決意が寄せられています。

 同時に、討論のなかで、「大道とは少し言いすぎではないか」、「途上国で頑張っている共産主義者が悲しむのではないか」などの意見も寄せられました。これらの意見は、そのほとんどが討論を通じて解決されていますが、報告でも解明しておきたいと思います。

なぜ「大道」とのべたか――未来社会を建設するために必要な前提がすでに成熟

 なぜ「大道」とのべたか。

 一部改定案では、「大道」という言葉を、読んで字のごとく「大きな広い道」という意味で使いました。『広辞苑』を引いても、「大道」とは一義的には「幅の広い道路」という意味とされています。二義的には「正しい道」という意味もありますが、そういう意味で使ったのではありません。一般的・普遍的な道という意味で使いました。

 一部改定案がのべているように――そしてこのことはマルクスが繰り返しのべたことでしたが――、資本主義の高度な発展そのものが、その胎内に、未来社会にすすむさまざまな客観的条件、および主体的条件をつくりだします。

 一部改定案では、その要素を五つの点――「資本主義のもとでつくりだされた高度な生産力」、「経済を社会的に規制・管理するしくみ」、「国民の生活と権利を守るルール」、「自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験」、「人間の豊かな個性」で列挙いたしました。

 すなわち、発達した資本主義国において、社会主義的変革に踏み出した場合には、社会主義・共産主義を建設するために必要な前提がすでに豊かな形で成熟しています。それらの前提をすべて生かし、生産手段の社会化を土台に、発展的に継承して新しい社会を建設することができます。そこには、これまで人類が全く経験したことのない「豊かで壮大な可能性」が存在します。一部改定案で「大道」と特徴づけたのは、そういう意味にほかならないということを、まず強調したいと思います。(拍手)

資本主義の発達が遅れた国における社会主義的変革の困難性について

 8中総の提案報告でものべたように、それは決して途上国・新興国など、資本主義の発展の遅れた国ぐににおける社会主義的変革の可能性を否定するものではありません。資本主義の矛盾があるかぎり、どんな発展段階にある国であっても、社会主義的変革が起こる可能性は存在します。

 また、植民地体制の崩壊によって独立をかちとった途上国・新興国、それらの国ぐににおける社会変革の事業が、21世紀の世界の平和と進歩のために果たしている巨大な役割について、一部改定案が、「二〇世紀に起こった世界の構造変化」が「二一世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている」として、人類の前途にとっての大きな希望を見いだしていることを、あらためて強調しておきたいと思います。

 同時に、社会主義的変革という角度から見るならば、資本主義の発展が遅れた国ぐににおける社会主義的変革には、きわめて大きな困難がともなうことは、ロシア革命以後、1世紀におよぶ歴史が証明しています。

 中国革命の出発点における立ち遅れについては、さきほどのべたように、民主主義の未成熟という点でも、大国主義の歴史という点でも、深刻な問題点が存在したことは、中国の党自身が自戒していたことでした。ロシア革命も、その出発点において、生産力の立ち遅れだけでなく、住民の識字率が約3割にすぎないといった文明・文化の立ち遅れなど、社会主義を建設するうえでの大きな困難が存在していたことは、この革命の先頭にたったレーニン自身が繰り返し語ったことでした。

 これらの国ぐにでは、革命の出発点では、さきほどあげた五つの要素――社会主義を建設するために必要な前提は、どれも存在しないか未成熟でした。それらの国ぐにでは革命を行った後に、社会主義を建設するために必要な前提として、これらの諸要素をつくりだす必要がありました。ところが、ロシアにしても、中国にしても、民主主義の制度をつくりだすことをはじめ、そうしたとりくみが十分になされませんでした。それらが前途に大きな困難をもたらしたのであります。

一つの世界史的な「割り切り」をおこなった

 一部改定案で、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」との命題を押し出したのは、資本主義の高度な発達のなかで未来社会にすすむ諸要素が豊かな形でつくりだされるという理論的展望、およびロシア革命以後の資本主義からの離脱の道に踏み出した国ぐにの歴史的経験を踏まえたものであります。

 そして、8中総の結語で、「一つの世界史的な『割り切り』をした」と特徴づけたのは、以上の全体を踏まえたものであります。

 もちろん、わが党は、この立場を世界の革命運動に押し付けるつもりは毛頭ありません。あくまでも、日本の社会変革に責任を負う党として、人類未到の道に挑戦するという日本共産党自身の開拓者としての主体的な決意の表明として、一部改定案にこの命題を書き込んだということを、強調しておきたいと思います。

今のたたかいは未来社会へと地続きでつながっている

 全党討論では、8中総の結語で、今の私たちのたたかいについて、「未来社会にすすむ諸要素を豊かにするたたかいであり、これらのたたかいは未来社会へと地続きでつながっています」、「今の私たちのたたかいは、そのすべてが未来社会を根本的に準備する」と強調したことに、「ロマンを感じた」、「未来社会のイメージがつかめた」など、強い共感と確信の声が返ってきています。

 報告で、この問題に関連してのべておきたいのは、資本主義の高度な発展がその胎内につくりだす未来社会に進む諸条件――一部改定案でのべた五つの要素のなかには、資本主義の発展が必然的につくりだす要素もありますが、人民のたたかいによって初めて現実のものになる要素もあるということです。

資本主義の発展が必然的につくりだす要素

 「高度な生産力」は、資本主義の発展が必然的につくりだし、より高度な社会を築く土台となります。そのことはマルクスが、『資本論』で、「社会的労働の生産諸力の発展は、資本の歴史的任務であり、歴史的存在理由である。まさにそれによって、資本は無意識のうちにより高度な生産形態の物質的諸条件をつくりだす」などと繰り返し強調したことでありました。

 「経済を社会的に規制・管理するしくみ」も、資本主義の発展のなかで必然的につくりだされます。8中総の提案報告のなかで紹介したように、マルクスは、『資本論』で、資本主義が生みだす「もっとも人為的で発達した産物」として銀行制度・信用制度をあげ、これらが社会主義的変革をすすめるさいに「有力な梃子(てこ)として役立つ」ことは間違いないとのべましたが、こうした「経済を社会的に規制・管理するしくみ」も資本主義の発展が必然的に生みだすものにほかなりません。

人民のたたかいによって初めて現実のものとなる要素

 同時に、人民のたたかいによって初めて現実のものとなる要素もあります。

 「国民の生活と権利を守るルール」は、世界においても、日本においても、人民のたたかいによってつくりだされてきたものです。労働時間の短縮をとっても、19世紀中頃のイギリスで、世界で初めて労働時間を10時間に規制する工場立法がつくられましたが、これはマルクスが労働者階級による「半世紀にわたる内乱」の成果とよんだように、長期にわたる人民のたたかいがかちとった偉大な進歩でした。いま、私たちは、人間らしい雇用、暮らしを支える社会保障など、さまざまな分野で「国民の生活と権利を守るルール」をつくるたたかいに取り組んでいますが、これらの一つひとつも国民のたたかいによって初めて現実のものとなり、そのすべてが未来社会に発展的に引き継がれるものであります。

 「自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験」も、人民のたたかいによってつくりだされ、豊かにされてきたものです。日本国憲法で定められた自由と民主主義の諸制度は、戦前の日本における自由と民主主義を求める不屈の先駆的なたたかいが実ったものであり、世界の人民の世論と運動を反映したものでした。戦後、憲法のこれらの先駆的理念を掘り崩そうという勢力と、それを生かそうという勢力との激しいたたかいが続けられてきましたが、いま、日本国民が、自由と民主主義を自らの血肉とし、豊かに発展させるたたかいを積み重ねることは、それらの成果を、未来社会に確実に引き継ぎ、豊かに花開かせる最大の保障となるものであります。

 一部改定案は、マルクスの『資本論』の草稿での解明を踏まえて、資本主義のなかでつくりだされ、未来社会に発展的に引き継がれる要素として、「人間の豊かな個性」をあげましたが、個性の発展も資本主義社会のもとで自動的に進行するものではありません。すべての人が生まれながらにして平等であるという民主主義の感覚、個人の尊厳は不可侵だという人権の感覚、国民こそが国の主人公だという主権者意識、性による差別や偏見のない社会を求めるジェンダー平等の感覚――こうしたものは、人間に最初から備わっているものではありません。そのどれもが人民のたたかいによって、歴史的に形成されてきたものであり、形成されつつあるものであります。

 今のたたかいは、そのすべてが未来社会へと地続きでつながっており、未来社会を根本的に準備する――こういう大志とロマンのなかに現在の私たちのたたかいを位置づけて、奮闘しようではありませんか。(拍手)

発達した資本主義国における社会主義的変革の「特別の困難性」とは

 報告の最後に、一部改定案が、発達した資本主義国における社会主義的変革について、「豊かで壮大な可能性」とともに、「特別の困難性」をもつ事業だと言及した意味についてのべておきたいと思います。全党討論のなかでは、「資本主義の発達の遅れた国での社会主義的変革も困難であり、発達した資本主義国での社会主義的変革も困難となると、両方とも困難ということか」という質問もありました。

 ここでいう「特別の困難性」とは、発達した資本主義国において、多数者革命を「開始する」ことの困難性――日本の場合で言えば、国民の多数の合意のもとにまず民主主義革命を実現し、さらに国民の多数の合意で社会主義的変革にすすむうえでの困難性ということであります。

 8中総の提案報告でのべたように、「発達した資本主義国では、支配勢力が、巨大な経済力と結びついた支配の緻密な網の目を、都市でも農村でも張り巡らして」います。「なかでも支配勢力が、巨大メディアの大部分をその統括下に置き、国民の精神生活に多大な影響力を及ぼしていることは、私たちの事業を前進させるうえで特別に困難な条件」となっています。こうした「特別の困難性」を打ち破るには、日常不断に多数者を結集する粘り強い活動にとりくむこと、わけても強大な日本共産党を建設し、この党が一翼を占める統一戦線を実現することが、絶対に不可欠であります。

 そして、多数者革命を「開始する」ことは困難であっても、民主主義革命を実現し、社会主義的変革の道に踏み出すならば、その先にははかりしれない「豊かで壮大な可能性」が存在する――これが日本における私たちの社会変革の事業の展望であります。

 いま私たちがとりくんでいる市民と野党の共闘、日本共産党の躍進、強く大きな党づくりの事業は、そのどれもが日常不断の粘り強いとりくみ――忍耐力、不屈さが求められる仕事であります。しかし、それこそが、「特別の困難性」を突破して、未来社会における「豊かで壮大な可能性」を現実のものにする最もロマンある仕事だということを胸に刻んで奮闘しようではありませんか。(拍手)

 以上で、綱領一部改定についての報告を終わります。(大きな拍手)

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