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日本共産党

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赤旗

全国都道府県委員長会議

志位委員長の報告


 九日、党本部で開かれた全国都道府県委員長会議への、志位和夫委員長の報告(大要)を紹介します。


写真

(写真)報告する志位和夫委員長=9日、党本部

 お集まりのみなさん、おはようございます。CS通信をご覧の全国のみなさん、おはようございます。

 いっせい地方選挙の前半戦の投票日まで一カ月となりました。選挙勝利をめざし、日夜をわかたず奮闘されている全党のみなさんに、心からの敬意をこめつつ、報告をおこないます。


一、三中総決定にもとづく活動の到達点について

 まず三中総決定にもとづく活動の到達点について報告します。

三中総が提起した二つの課題の到達点

 この二カ月間、三中総の提起と、「こんどこそ勝ちたい」という全党のみなさんの思いがしっかりとかみあい、響きあって、全党に、新たな活力が高まり、前進の流れがつくりだされています。三中総決定が、前半戦投票日の一カ月前の三月八日までに、やりとげようと提起した二つの課題の到達点は、以下の通りであります。

 ――選挙戦の勝利に必要な草の根の宣伝・組織活動については、対話・支持拡大は、83・6%の支部がとりくみ、この二カ月間で対話数・支持拡大数とも二倍以上になりました。支部主催の演説会・小集会・懇談会は、50・7%の支部でとりくまれ、累計で約四十万四千人が参加しました。後援会員は、過去最高の三百七万人に到達しました。

 ――党勢拡大については、読者拡大では、二カ月連続して前進し、全党的に一万五千人の新たな読者を増やしました。二月は、一カ月で一万人をこえる読者を増やしましたが、これは二〇〇四年の「大運動」いらいの読者増であります。党員拡大でも、二カ月で千五百人をこす入党決意者があり、十二月以来、三カ月連続で前進の流れをつくっています。

選挙勝利にむけた臨戦態勢の土台が築かれた
――積極的な変化を全党の確信に

 三中総後の全党のみなさんの奮闘によって、つぎのような積極的な変化が生まれていることに、全党が確信をもつことが大切であります。

 第一は、「支部が主役」の選挙戦が前進を開始し、選挙勝利にむけた諸課題が、多面的・総合的に、発展しつつあることであります。

 貧困打開・生活防衛の運動をという三中総決定のよびかけにこたえて、住民要求にもとづくとりくみが、実に多彩におこなわれています。要求にもとづく署名活動、アンケート活動、生活相談・労働相談、自治体交渉など、「国民の命綱」としての活動が多面的にとりくまれ、それは党への信頼を高め、また党の活力を高めています。

 支部主催の演説会・小集会・懇談会は、全党で半数をこえる支部がとりくみ、過去の選挙で到達した最高の峰をこえて広がり、たいへん大きな威力を発揮しています。この活動をつうじて、身近な問題で党を語りあうとりくみが豊かに広がり、要求実現と共産党候補の支援に住民がたちあがっています。地域、職場、学園に責任をもつ支部としての自覚が高まり、諸課題を前進させる結節点となっています。「共産党はがんばっている」「私たちの声をとりあげている」などと話題になり、町に党の風を吹かせています。そして、支部を単位にしたさまざまな集会のとりくみは、各県単位でとりくまれている大規模な演説会を成功させる土台ともなっています。

 わが党は、昨年の党大会以来、二中総、昨年十一月の幹部会、三中総と、一貫して「支部が主役」の自覚的な党づくりをすすめてきましたが、その努力が、選挙にむけた諸課題の前進にむすびつきつつあることは、たいへんに重要であります。

 第二は、中間地方選挙で前進の流れがつくられていることであります。三中総後に実施された四十二の選挙で、日本共産党は六十九人が立候補し、六十四人が当選しました。自民十四人、公明四十一人、民主三人、社民五人ですから、第一党であります。わが党は得票を前回比で114・5%と伸ばし、議席占有率も2・07ポイント伸ばして8・34%となりました。二月におこなわれた中間地方選挙では、一カ月をつうじて立候補者の全員当選をかちとりました。また、岩手県の陸前高田市での党員市長の再選、長野県・御代田町での党員町長の誕生をかちとりました。

 自民党の従来の支持基盤が大規模に崩れ、民主党も自治体における存在意義をしめせないもとで、暮らしをまもるために献身する日本共産党と、保守層をふくめた広範な住民との共同が、さまざまな形で広がるなかで、これらの前進がかちとられていることが重要であります。長野県・御代田町では、「解同」(部落解放同盟)いいなりの不公正な同和行政に多額の税金を注ぎ込み、その一方で、県内一高い国保料をとりたてるという異常な事態に、正面からたちむかう日本共産党議員の姿が、幅広い保守の人々をふくめて多くの住民の信頼を集めて勝利をかちとりました。これらの結果は、わが党が、奮闘いかんでは前進できる新たな客観的条件が生まれていることをしめしています。

 第三は、党勢拡大で、党員拡大でも、読者拡大でも、後退から連続前進に転じたということであります。この連続前進が、党勢拡大のみに力を集中しての活動ではなく、「支部を主役」にした選挙勝利をめざす課題に総合的にとりくみながらの前進であることが、重要であります。党大会後、私たちは、「支部が主役」の活動の発展にいっかんして力を注ぎつつ、そのなかで党勢拡大での前進をはかる努力を重ねてきましたが、その努力が選挙を前にしてようやく実りつつある。ここが大切な点であります。

 三中総決定では、「選挙に向けて党勢拡大で上げ潮をつくることは、党に活力と自信をもたらすとともに、みずからの力で『風』をおこして勝利をつかむ最大の力となります」「党勢拡大で前進の勢いをつくれるかどうかは、党の活力の最大のバロメーターにもなります」とのべました。三中総以降の党勢拡大の前進は、わが党への国民の注目と期待とともに、党に新たな活力がわきおこりつつあることをしめすものであります。

 この間、こうした積極的な変化をつくってきた、何よりの力は三中総決定です。文字どおりの年頭からの三中総、それに続く全国都道府県・地区委員長会議の開催によって、党中央と全党のみなさんの心が一つになり、心一つに奮闘してきたことによって、党に明るい活力が広がり、多くの党組織、支部と党員のなかに、「今度はがんばれば勝てる」「がんばって勝とう」という意気込み、機運が生まれました。

 そして、この二カ月間のとりくみを通じて、全党に選挙勝利にむけた真剣な政治的構えが生まれ、臨戦態勢をつくる土台が築かれました。ここに三中総以後の運動の最大の成果があります。このことに確信をもって、本番のたたかいにのぞみたいと思います。

到達点をリアルに直視し、すべての活動で飛躍をつくろう

 同時に、到達点と目標との距離は大きいものがあることもリアルに直視することが大切です。三中総以降つくってきた積極的な変化を、どうやって選挙の勝利にむすびつけるか。つぎの点で、現在の活動の水準を抜本的に引き上げたいと思います。

 一つは、選挙勝利をめざす宣伝・組織活動を、文字どおり全有権者を対象にした活動に発展させることです。対話と支持拡大は、四年前の同日時点の到達点よりも前進しているとはいえ、目標にてらしての支持拡大の到達点は22・8%です。現状は、全有権者を対象にしたダイナミックな宣伝・組織活動に発展させるにはいたっておらず、その飛躍が強く求められます。

 二つ目は、文字どおりの全支部、全党員の参加する選挙戦としてたたかうことです。三中総決定の読了率は28・3%、支部討議率は82・2%です。この読了や討議のスピードは、いつもの中央委員会決定よりもかなり早いものがあります。三中総決定は、読み、討論すれば、元気になり、どこでも積極的な変化がおこっています。しかし、それがまだ多数の党員のものになっていないことも事実です。この現状を前向きに打開することをはじめ、党のもつすべての力をくみつくす努力を一段と強めることが必要であります。

 三つ目は、一部に重大な遅れが存在しており、それを前向きに打開することが求められているということです。たとえば、県議選対ごとに支持拡大の到達点を見た場合、四年前の最終到達点をすでにこえて前進している選挙区もある一方で、四年前の同日時点と比較しても支持拡大が遅れている県議選対が28・1%あります。党全体に勢いをつくりだしたとしても、個別の弱点が放置されたままでは、議席数で後退することになりかねないことを、率直に指摘しなければなりません。

 三中総以降つくりだしてきた積極的な変化に確信をもちつつ、到達点をリアルに直視し、前向きに打開をはかる大奮闘が必要であります。大会以来の努力、三中総決定以来の努力を、残る一カ月の大奮闘で、何としても選挙戦での勝利という結果にむすびつけるためにがんばりぬこうではありませんか。

二、政党状況の特徴と、日本共産党の役割について

 つぎに政党状況の特徴と、日本共産党の役割について報告します。

 三中総決定の一つの重要な核心は、国政と地方政治における政党状況を解明し、そのもとでの日本共産党の値打ちを明らかにしたことにありました。ここでの解明が的確だったことは、その後の情勢の進展でも鮮やかに浮き彫りになっています。

安倍・自公政権
――矛盾と行き詰まりのもとで、反動的打開の動き

 まず安倍・自公政権についてであります。三中総決定は、安倍・自公政権の、「史上最悪のタカ派・改憲内閣」としての危険性とともに、その「『脆(もろ)さ』と『弱さ』」を指摘しました。

 今年に入ってからの安倍政権の特徴は、あらゆる問題で国民との矛盾を深め、支持率の低落がつづくなかで、危機とゆきづまりの打開と政権の延命のために、その反動的地金(じがね)をむきだしにしているところにあります。

貧困対策の貧困と、最低限の政治モラルの欠如

 多くの国民がいま心を痛めている貧困と格差の深刻な広がりについて、安倍内閣は、貧困と格差の広がりという事実すらみとめない冷酷な態度に終始しています。わが党は衆参の予算委員会質疑で、「子どもの貧困」「国保証の取り上げ」など、国民のなかで広がっている貧困の具体的な事実をしめして、政治の責任をただしました。しかし、政府から返ってきたのは、貧困の事実と実態すらみとめないという心無い答弁でした。

 安倍内閣は、「成長戦略」、最近では「成長底上げ戦略」といいかえたようですが、そう称して「大企業さえ成長すれば、いずれは家計におこぼれがまわる」という、すでに破たんが証明ずみの大企業中心主義の政策に固執しています。国民の苦難にたいする無感覚と無責任――「貧困対策の貧困」が、この内閣にたいする国民の失望を急速に広げている根本にあります。

 さらに、柳沢厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言、伊吹文部科学大臣、松岡農林水産大臣などの「事務所費」問題など、閣僚の資格にかかわる政治モラルの問題が、つぎつぎと露呈しましたが、首相は、それらの閣僚の責任を不問にふし、閣僚席への居座りをつづけさせています。安倍内閣は、教育基本法改悪のさい、さんざん「規範意識」を説教しました。しかしこの内閣は、最低限の政治モラルさえ欠いている。このことにも、国民の批判が集中しています。

改憲手続き法案の強行を許さない国民的運動をよびかける

 こうしたもとで、安倍内閣が、内閣の延命のために、政治局面のいわばタカ派的打開、反動的打開をはかる動きを強めていることに、きびしい警戒を払うことが必要です。

 安倍首相の号令のもとで、与党は、改憲手続き法案の強行を最優先の課題とし、こともあろうに五月三日の憲法記念日までに成立させることを公然と打ち出し、月内にも衆院通過を狙うなど、改憲手続き法案をめぐるたたかいは重大な局面を迎えています。

 改憲手続き法案の狙いが、憲法九条改定と地続き・一体のものであるということ、その内容も、国民の少数の賛成でも改憲案が承認される、公務員・教育者の自由な意見表明を規制する、改憲派が巨額の金の力で有料CMを独占し世論誘導をおこなう危険があるなど、憲法改定を通しやすくする不公正・非民主的な仕組みが数多く盛り込まれていることを広く国民に明らかにすることが大切であります。

 憲法改悪反対のたたかいをさらに発展させることと一体に、改憲手続き法案の強行を許さない国民的運動を急速に広げることを、心からよびかけるものであります。

「従軍慰安婦」問題――歴史をゆがめる言動をただちにやめよ

 歴史問題をめぐって生まれている逆流も重大であります。三中総決定は、安倍首相が「村山談話」「河野談話」を認めると言明した以上、「みずからの公式の言明を行動で裏切ってはならない」と指摘し、とくに政権中枢の「靖国」派も参加してすすめられている「従軍慰安婦」問題での「河野談話」見直しの逆流に強い警告を鳴らしました。その後の事態の進展は、この指摘の重大さを裏付けるものとなりました。

 米国下院外交委員会で、「従軍慰安婦」問題について、日本政府に明確な謝罪を求める決議案が提起されたことにたいし、麻生外務大臣が「客観的な事実にまったく基づいていない」と非難したのにつづき、安倍首相自身も「慰安婦の強制連行を裏付ける証拠はなかった」などと歴史の事実をゆがめた発言を繰り返していることに、内外からのきびしい批判が広がっています。

 「従軍慰安婦」問題とは、日本が植民地としたり軍事占領した地域から、おびただしい数の女性を動員して、日本軍が戦場に設置した「慰安所」に閉じ込め、性行為を強要したという問題であります。この非人間的な所業の全体が、大掛かりな国家と軍による強制なしに不可能なことは明らかであって、それを裏付ける無数の証拠も存在します。そのことを、自民党政府でさえ認めざるをえなくなり、「慰安婦」の多くが「その意に反して集められ」――強制的に徴募され、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と認定し、謝罪したのが「河野談話」でありました。

 わが党は、安倍首相に、「慰安婦の強制連行を裏付ける証拠はなかった」などという、みずから継承を言明した「河野談話」を事実上否定する発言を撤回し、こうした歴史の事実をゆがめる言動をただちにやめることを、強く求めるものであります。そして日中・日韓首脳会談で合意された、歴史認識の基本を共有する仕事に真剣にとりくむことを、強く求めるものです。

 国民との矛盾の広がりを、反動的に打開しようという安倍内閣の姿勢は、国民との矛盾をいっそう広げることにならざるをえません。「自民党政治の三つの異常」を根本からただす日本共産党の役割は、いよいよ重要であります。

民主党
――国民への無責任と不誠実な態度がきびしく問われている

 三中総決定は、「二大政党づくり」の動きを本格的におしかえして、自民党政治を大本から変える力をのばすことを提起し、「今日の民主党をどうみるか」についても、自由党との合流以来の三年余の動きを検証して、この政党の特質を、「もう一つの自民党」、「自民党政治の『三つの異常』を共有する政党であり、政治の基本でどちらかが『よりまし』とはいえない」とのべました。

 今年に入ってからの民主党の動向の特徴は、「対立軸路線」と称して、あらゆる問題で自民党との「対決」を演出していることにあります。しかしそれは、自民党と悪政を競い合ってきたこれまでのみずからの態度への反省もなければ、是正もないままでのものです。それでは、「対決」は選挙目当てのポーズにすぎず、この党の国民への無責任と不誠実、政党としての道義がきびしく問われていることを、指摘しなければなりません。

「格差是正」をいうなら過去の行動をどう説明するのか

 民主党は、この国会を「格差是正国会」にするとし、さかんに安倍内閣批判をおこなっています。しかし、それらはすべて貧困と格差を拡大する悪法に、自民・公明とともに賛成してきたみずからにはねかえってくる批判にほかなりません。

 たとえば衆議院の代表質問で、民主党の代表は「非正規の著しい増加の主因は、たび重なる派遣法制の改悪であります」とのべました。しかし、それならば派遣労働を原則自由化した法改悪や、有期雇用拡大の法改悪に賛成してきたことをどう説明するのか。また民主党は代表質問で、「介護保険法改正で、現場は危機的な状況に陥っています」とものべました。しかし、それならばわずか一年半前の介護保険法改悪に「これは介護保険本来の姿に戻ろうとするものだ」と賛成したことをどう説明するのか。さらに民主党は「格差是正法案」のなかで母子家庭への「児童扶養手当削減の中止」をいい出しましたが、それなら母子家庭の命綱を半分に減らす法改悪に賛成したことをどう説明するのか。どの問題でも国民への説明はありません。

 自民・公明と一体に、貧困と格差を拡大する悪政を推進しておきながら、その反省もなしに、選挙が近づくと「対決」と「批判」を繰り返す。これは政党としてきわめて無責任な態度であり、国民にたいして不誠実な態度といわなければなりません。

地方政治――「オール与党」の一員が「野党ポーズ」をとるひきょうな姿勢

 この矛盾は、地方政治ではいっそう顕著になります。いっせい地方選挙を前にして、民主党は、各地で「野党ポーズ」を前面に打ち出す選挙戦を展開しています。しかし、地方政治の実態は、多くの場合、自民・公明・民主は、首長の提案に何でも賛成する文字どおりの与党であり、「オール与党」の一員である民主党が、「野党ポーズ」をとるのは、文字どおり国民を欺く卑劣な態度といわなければなりません。

 「オール与党」の一員でありながら「野党ポーズ」をとろうという矛盾は、いっせい地方選挙での十三の知事選にもあらわれています。民主党は「相乗り禁止」などとして、対立候補擁立をめざしてきましたが、十三の知事選のうち自民・公明と、民主が、それぞれの推薦候補ないし事実上の支援候補をたてて、ともかくも「対立」するのは、五都道県にとどまり、残る八県では民主党は「オール与党」の相乗りにくわわるか、候補擁立の見送りとなっています。

 自公と民主が「対立」選挙となる都道県でも、民主党がこれまで「オール与党」の一員として現知事を支えてきた矛盾が噴出しています。たとえば、東京都では、開会中の二月議会で、民主党がにわかに石原知事との「対決」姿勢をとり、知事提出の来年度予算案に反対しました。民主党は代表質問で、石原知事を、「公私の境目を見失い、周囲に太鼓持ちを置く裸の王様」とまで批判しましたが、知事から答弁で、「ならば今までなぜ都が提案した提案に民主党はすべて賛成してきたのか」と反論されて、返す言葉がありませんでした。民主党は知事側近の豪華海外旅行についても「追及」しましたが、「民主党議員も南米のイグアスの滝に行っているではないか」と、知事から切りかえされてしまいました。そういう矛盾が噴き出すわけです。

 福岡県では、民主党は独自候補をたてましたが、この四年間で知事提案のすべてに賛成し、独自候補を擁立した後も、知事提案の来年度予算案に賛成しています。現県政について、代表質問で「大きな失敗はなく、総合的に判断すると、わが会派の評価は及第点に達しております」とお墨付きの評価までしています。それならばなぜ候補者を擁立するのか。違いは一体どこにあるのか。まったくしめせないでいます。

 三中総決定では、安倍・自公政権の実態があまりにひどいために、「藁(わら)をもつかむ」思いで、民主党に期待をたくそうとする人たちもいる、そういう人たちにも納得してもらえるように、民主党の実態をいわば「情報提供型」で広く有権者に明らかにし、「この藁はつかめば水に沈んでしまう藁だ」ということを明らかにしていく活動の重要性を強調しました。

 この間の「しんぶん赤旗」での「情報提供」もおおいに活用して、国政でも、地方政治でも、政党配置の真実の姿を広い有権者につたえ、「自民か、民主か」の偽りの対決をうちやぶり、「二大政党づくり」の動きをおしかえすたたかいに、意気高くのぞむことをよびかけるものです。

「いまこそ必要 たしかな野党」
――日本共産党の役割をおおいに訴えよう

 こうした政党状況とのかかわりでも、「たしかな野党」としての日本共産党の役割は、この間の情勢の進展のなかでもいよいよ鮮明になっています。大会決定は、「たしかな野党」の三つの仕事として、(一)間違った政治に反対する、(二)国民の要求実現のために奮闘する、(三)世界の舞台で野党外交を展開する――をあげましたが、今年に入っても、そのどの分野でも、わが党は重要な役割を発揮しています。政党ポスターのコピー「いまこそ必要 たしかな野党」、まさにいまこそ、わが党が国民にとって必要とされているということを、おおいに訴えてたたかいたいと思います。

間違った政治に反対する――「貧困と格差」「政治とカネ」「憲法と平和」

 第一に、間違った政治に反対するという点では、わが党は、「貧困と格差」「政治とカネ」「憲法と平和」という国政の三つの重大問題で、正面から悪政の根源をつく追及をおこなってきました。

 わが党は、貧困と格差の打開では、国民の切実な実態・要求から出発しながら、「逆立ち」税財政、人間らしい労働のルールの破壊という、この社会矛盾を生み出す根源をつき、根本的転換を求める論陣を、国会でも「しんぶん赤旗」でも張ってきました。

 わが党は、政府予算案の抜本組み替えと「貧困と格差打開の五つの緊急要求」、最低賃金を抜本的に引き上げ全国一律の制度とする提案、深刻な医師不足を打開し「医療崩壊」から地域をまもる提案、国保証とりあげをやめさせ高すぎる国保料を引き下げる提案など、一連の政策提言をおこなってきましたが、これらはすべて異常な大企業中心主義をただすという綱領の立場に立脚したものであり、そういう党ならではの政策的提言であります。

 「事務所費」問題の先駆的追及、石原都知事の都政私物化の告発、「解同」の無法と不正の告発など、わが党が提起した問題が、世論を動かし、マスメディアでも大きくとりあげられるなど、「どんなタブーも恐れない」というわが党の真骨頂を発揮した奮闘も重要であります。

国民の要求実現に奮闘する――労働のルールを守るたたかいでも現実政治を動かす

 第二に、国民の要求実現のために奮闘するという点では、三中総のよびかけにこたえて、全国の草の根で、貧困打開と生活防衛のとりくみがつよめられました。全国どこでも日本共産党が「困ったときの命綱」としての働きをしていることが、私たちが全国各地にうかがっても強く実感されます。

 人間らしい労働のルールをつくるたたかいで、国民運動との共同の力によって、現実政治を動かす二つの重要な成果をあげたことも特筆すべきであります。

 一つは、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案を、今国会では「提出断念」においこんだことであります。わが党は、財界がこの野望をもちだした直後から、「残業代取り上げ法案」という本質を暴露・告発しつづけてきました。それが世論となり、マスメディアを動かし、労働運動もこぞって反対するなかでの見送りとなりました。これは重要な成果ですが、同時にたたかいはこれからが大切であり、断念においこむまで力をつくしたいと思います。

 いま一つは、「偽装請負」問題の追及です。職場のたたかいと連帯しての連続的な国会論戦によって、昨年九月、厚生労働省にこの無法の是正の通達を出させ、さらに今年三月、請負から派遣への置き換えをみとめず直接雇用をはかる通達を出させました。これらを力に直接雇用をかちとるたたかいが全国各地の職場で前進していることはたいへん重要であります。

野党外交を発展させる――日本共産党の歴史と綱領は世界のどこでも通じる

 第三は、世界の舞台で野党外交を発展させるという活動です。昨年九月の韓国・パキスタン訪問につづく、今年一月のベトナム訪問は、両党の首脳会談で、世界とアジアの平和秩序のための協力、理論交流のとりくみの推進について合意するなど、重要な成果をおさめました。

 いま日本政府とベトナム政府の政府間関係は、良好な状況にあります。そのもとで、両党関係を発展させることが「両国の友好関係をより豊かにする」ことを確認し、ベトナム侵略戦争に反対する国際連帯のたたかい以来の四十一年間にわたる両党の友好と協力の関係を、二十一世紀の今日にふさわしく発展させることで合意したことは重要であります。

 この間の一連の野党外交の進展は、世界が平和と進歩の方向に大きく変化しつつあることを実感させるものとなりました。また、日本共産党の歴史と綱領が、世界のどこでも通じることをしめすものとなりました。その成果も全党の確信にし、選挙をたたかう力にしていただきたいと思います。

三、必ず勝利をかちとるために、残る1カ月、何が必要か

 つぎに選挙戦勝利をかちとるために、残る一カ月、何が必要かについて報告します。

宣伝・組織活動を、全有権者を対象にした活動に発展させる

写真

(写真)党本部でひらかれた、全国都道府県委員長会議=9日

 前半戦の投票日まで残り一カ月となりました。三中総以来つくりだしてきた積極的な変化を、選挙勝利という結果にかならず実らせなければなりません。そのために何が必要か。方針の基本点は、三中総決定でつくされています。報告では、三中総以後の活動の到達点をふまえて、「支部が主役」の選挙戦の飛躍をつくるために、つぎの四つの点を強調したいと思います。

 第一は、選挙勝利をめざす宣伝・組織活動を、「全国は一つ」の見地で、全有権者を対象にした活動に発展させることであります。

無党派層の急増――「政治を変えたい」という思いにこたえた働きかけを

 各種世論調査にあらわれているように、いま都市部でも農村部でも、無党派層が急増していることに注目する必要があります。この流れは、安倍内閣の支持率の連続的な低下、民主党も支持率をのばしていないことを考えるなら、貧困と格差の広がりや憲法と平和の危機のもとで、自民党にも民主党にも期待をたくせず、進路を模索する人々が広がっていることのあらわれとみられます。それは全体として「現在の政治の流れを変えたい」という願いをもち、政治変革につながりうる積極的な流れであります。この流れとわが党との共同がすすめばどんな変化が起こるかということは、まだ部分的ですが、さきに紹介した各地の中間地方選挙の経験にもしめされています。

 同時に、そうした広い人々のなかでは、共産党への誤解や、共産党を支持することへのちゅうちょも多くみられることをよくとらえる必要があります。そういう方々との対話が広がったところでは、福祉の問題や暮らしの問題での要求実現で一致しても、「やっぱり党名を変えたほうがいい」、「北朝鮮をみると共産主義は信用できないのではないか」などの声も出されます。選挙が本番に入るにつれて、「二大政党の選択」を有権者におしつけるキャンペーンや反共攻撃が強まることも予想しなくてはなりません。

 こうしたなかで、いま進路を模索しつつある無党派層、他党支持層もふくめ、視野を思い切って全有権者に広げ、党の政策を語り、党の路線や歴史をふくめ党そのものを語るとりくみを飛躍的につよめ、自力で党躍進の「風」をおこすことが、選挙に勝つうえで決定的に重要であることを強調したいと思います。

 いくつかの具体的課題についてのべます。

大量宣伝――日本共産党の元気いっぱいの姿を広く有権者にしめそう

 まず大量宣伝ですが、このとりくみは、選挙戦のあらゆる活動を前進させる土台であり、目に見え、音に聞こえる宣伝を、抜本的に強化しましょう。ポスターは、全国各地で作成した合計百七十万枚を一枚残らずはりきること、あわせて新たに中央で作成した「いまこそ必要 たしかな野党」をはじめとする五十万枚の政党ポスターをはりきることを、特別の作戦をたててやりきりましょう。宣伝カーとハンドマイク宣伝をはじめ、音の宣伝は告示日までが勝負であり、すべての支部が候補者といっしょに国民のなかに打って出ることが大切であります。こうして日本共産党の元気いっぱいの姿を広く有権者にしめそうではありませんか。

対話・支持拡大――大飛躍をかちとるために試されずみの手だてを

 対話・支持拡大は、三中総以来の努力で、一定の前進がはかられていますが、大飛躍が必要です。大飛躍をつくりだし、一日も早く支持拡大目標を突破しましょう。そのさい、「全国、全県、行政区は一つ」の立場で、党と後援会の全体が燃えに燃えるなかで、すべての選挙区を押し上げ、その目標を達成していくという見地が大切であります。

 すべての支部が得票目標、支持拡大目標とその突破期日を明確にして自覚的とりくみを加速するとともに、対話の資料や対話スポット例など対話を促進のための資材をみんなに渡すこと、党員や後援会員の結びつき名簿・支持者台帳・各種名簿をそろえること、臨時電話の確保など、これを飛躍させるために必要な試されずみの手だてをとりましょう。三百七万人をこえた後援会員に、後援会ニュースを届け、「支持を広げてください」と協力をお願いする活動にとりくみましょう。

党勢拡大――宣伝・対話と一体に目標に正面から挑み、上げ潮のなかで選挙を

 党勢拡大は、「しんぶん赤旗」読者の前回時比突破と、すべての支部で新しい党員をむかえて選挙をたたかうという方針を堅持して、さらにダイナミックな前進をはかりたいと思います。

 この間、佐賀県でおこなわれた党演説会には、多数の初参加の方もふくめて千二百人の人々が参加してくださいましたが、アンケートで「しんぶん赤旗」を購読しますというところにマルをしてくれた人が十五人、入党しますというところにマルをしてくれた人が四人もいました。

 これは一例ですけれども、広い有権者のなかで党を語る選挙戦は、独自の追求の努力をはかるならば、党勢拡大でも飛躍をおこす絶好のチャンスであります。大量宣伝の強化、支持拡大目標の突破と一体に、読者拡大でも党員拡大でも目標に正面から挑み、党勢拡大の上げ潮のなかで選挙をたたかうために力をつくそうではありませんか。

支部演説会――すべての支部で開催し、さらに二度、三度とひらこう

 これらの活動を飛躍させる結節点として、すでに最高規模に広がってきている支部主催の演説会・小集会・懇談会を、さらに広げに広げ、文字どおりすべての支部が開き、一度開いた支部も、二度、三度と開き、党を語り、支持を広げるとりくみもおおいに重視していきたいと思います。

全支部、全党員の参加する選挙戦としてたたかう

 第二は、こういう活動をやりきるうえでも、文字どおりの全支部、全党員の参加する選挙戦としてたたかうことであります。

最大のカギは三中総決定の全支部、全党員への徹底

 その最大のカギは、三中総決定の全支部、全党員への徹底です。これまでに三中総決定を全支部が討議した地区委員会が十四地区、半数以上の党員が読了した地区が三地区生まれています。いずれも見違えるような活力が生まれ、諸課題の推進が末広がりにはかられています。一刻も早く全支部討議をやりとげ、少なくとも過半数以上の党員の読了に挑戦しようではありませんか。

 そのためには、党機関と支部が、選挙をたたかう方針である三中総決定を繰り返し討議することが大切です。この決定が生きた情勢の進展のなかで、また選挙戦の活動を前進させるうえで、どんな生命力を発揮しているかを生き生きとつかみ、みんなが読む気になるように、決定の値打ちを自分の言葉で語るようにしたいと思います。すべての党員にもれなく決定文書を届け、働きかけをやりきる仕事を、特別の体制もとってすすめましょう。

 三中総決定の全党員への徹底は、これからが大事なところであります。読了率で三割弱という到達点ですが、一刻も早く多数の党員のものにするための努力をおおいに強めたいと思います。

職場支部と労働者党員が選挙勝利のけん引車として奮闘を

 すべての職場支部と労働者党員が、歴史的な選挙戦で勝利をかちとる「けん引車」として奮闘することも、特別に重視したいと思います。この間、三中総決定と「職場問題学習・交流講座」を力に、全国各地で、職場支部がこれまでになく元気で、奮闘する姿が広がっています。

 すべての職場支部と労働者党員が、職場のすべての労働者を視野にいれて働きかけるとともに、近隣の職場や同じ産業で働く労働者、また全国に広がるさまざまな結びつきを最大限に生かし、さらに居住地での結びつきも生かして、「全国は一つ」の見地で労働者魂を発揮して大奮闘することをよびかけるものであります。

 職場支部と労働者党員が選挙にたちあがる土台となるのは、職場支部での支部会議をしっかりもつことにあります。地域での活動に参加する場合でも、それぞれの党員がばらばらにとりくむのでなく、支部会議で職場支部としての方針をもち、居住支部とよく相談しながらとりくむことが必要です。「講座」以来、この分野では新たに前進の流れが生まれています。その流れを、中断させず、選挙戦のなかでこそ花開かせるという見地でのぞもうではありませんか。

分野別後援会の活動をさらに発展させよう

 労働者、女性、業者、農民、医療、宗教者、学者・文化人、青年・学生など、分野別後援会の活動をさらに発展させることにも力を入れたいと思います。タテ線の後援会活動は、この間の各層、各分野の国民的たたかいの高揚を反映して、どの戦線でも非常に活発になってきています。この高揚を、選挙戦での勝利と前進に結びつけることが大切です。この分野での活動を発展させることは、党支部の活動やとりくみを激励し、全党員のたちあがりをつくるうえでも、きわめて重要な意義をもつものであります。

すべての支部が選挙本番にふさわしい臨戦態勢の確立を

 すべての支部が選挙本番にふさわしい臨戦態勢をすみやかに確立することをよびかけます。その最大のカギは、週一回の支部会議の開催にあります。同時に、たまり場やセンターなど、日々の活動を推進する態勢も確立することが大切です。

 「選挙に勝ちたい」と思っていない支部や党員はいません。この間の全党的な経験は、困難をかかえた支部でも、「選挙に勝ちたい」という思いはどこでも共通しており、支部会議を開くまではかなり力がいるけれども、いったん開けば討論をつうじて元気になり、選挙勝利にたちあがり、活動参加がかならず広がることをしめしています。

議席を獲得するために必要な手だてをとりきる

 第三は、かならず議席を獲得すべき選挙区で、議席を獲得するために必要な手だてをとりきることであります。

情勢判断と必要な手だてを――都道府県委員会とその長の責任で

 選挙戦への突入を目前にして、それぞれの選挙区での情勢判断と、それにもとづいて勝利に必要な手だてをとることは、党機関の責任としてやりぬかねばならない重要な仕事です。これを個別選対まかせにするのではなく、都道府県委員会とその長の責任でおこなうことを、とくに強調したいと思います。情勢判断は、「四つの基準」にもとづいて正確に全面的におこなうことが重要でありますが、とくに二つの見地を強調しておきたいと思います。

 一つは、党と候補者が、他のどの党にもまけない政治的気迫と構えを確立し、どの党をも上回る規模の選挙戦を展開し、激戦に競り勝っていくことであります。全国の都道府県委員長の報告を読みますと、選挙戦は、合併にともなう選挙区の変更や定数の増減などが大規模におこなわれるもとで、空前の激戦といってもいい激しいたたかいになっています。しかも、どこでも日本共産党を落とすためのシフトが敷かれています。多数乱立のなかでの共産党落としのシフトもあれば、「一人はみだし」など、「オール与党」となっている他党が候補者をしぼって共産党落としのシフトを共同で敷いているところもあります。公明党などが先兵になった反共攻撃も強まっています。それらをはね返して躍進をかちとるために、戦闘的な気概を発揮してたたかいぬこうではありませんか。

 いま一つは、みずからきめた得票目標を達成することに執念をもち、それにふさわしい宣伝・組織活動をやりきるために、知恵と力をつくすことであります。この点で私は、「議席確保とともに得票増を」ということをとくに強調したいと思います。知らず知らずのうちに得票目標が棚上げにされ、「何とか最下位でも滑り込めればよい」という低い志に陥ってしまったら、ほんらい確保できる議席も失うことになりかねません。得票目標をやりぬくために、やるべきことをすべてやりきる――この見地で議席確保とともに得票増をこの選挙でかならずかちとろうではありませんか。

立ち遅れは絶対になりゆきまかせにせず、打開の手だてをただちにとる

 かならず議席を確保すべき選挙区で、一部に深刻な立ち遅れが生まれていることに、私は注意を喚起したいと思います。この間、党中央選挙闘争本部として、選挙活動の指標が極端に遅れているいくつかの選挙区に激励・点検に入りましたが、そのなかで判明した深刻な立ち遅れについて、これはそれぞれ、その後改善がはかられつつありますけれども、率直に紹介しておきたいと思います。

 たとえばある県では、県議・政令市の現職区・回復区で、自民、公明、民主、社民も加わっての共産党落としの反共シフトが露骨に敷かれ、ほとんどの選挙区が「一人はみだし」、「二人はみだし」、そういうシフトになっている。二人区では公明党が候補者を出さず、共産党落としの票回しをおこなうことが必至の状況がつくられている。しかし選挙戦のそういう現状の分析が正面からなされず、「前回得票の一・五倍が必要」という得票目標の政治的意味を正面から党機関としてもつかみ、全党に提起する、この仕事がされていない。こういう現状がありました。つまり、目の前で進んでいる選挙の厳しさ激しさを、リアルにつかめていないという現状がありました。

 ある県の現職区では、合併で定数が二つ増える。同時に合併によって有権者も増えますから、安定当選ラインも大きく引きあがります。党現職候補の当選のために、ここでは前回の一・五倍の得票が必要だと目標を立てて活動していました。ところが実際の選挙の指標が大幅に遅れている。どうして遅れているのかということで話し合ってみますと、問題点が出てきました。この現職の候補者は、ある市と町が合併したわけですけれども、出身地は町なのです。当選しているのは市の方で当選しているわけです。そういうなかで、旧市内では「現職の共産党候補は出身地である合併した旧町で得票が増える」と前回のような迫力が薄れていた。他方、現職の出身地である合併した旧町では「現職は旧市内でも当選したのだから、この町からは地元の県議を」と相手陣営から意図的に流されていた。両々あいまってどっちも力が入らない。「大丈夫」論が広がっていたという問題がありました。

 遅れの原因は、それぞれあると思います。ただ強調したいのは、絶対に成り行きまかせにしてはならないということです。なぜ遅れているのか、その打開に何が必要かを、党機関が手のひらの上に乗せてつかんで、困難があっても打開のために、手だてをただちにとる。現状を直視するリアリズムと、それを打開する戦闘性が、党機関とその長に強く求められます。

 選挙のとりくみがどうだったかは、一カ月後には有権者の審判という形でいやおうなしに明らかになるわけです。明らかになったあとで、悔し涙を流すことは絶対にしない。どんな困難があっても、問題点があったら、いまそれを打開して、かならず勝利という結果にむすびつけようではありませんか。

機関の指導体制を強化しながら選挙戦をたたかう

 第四に、これらのすべてをやりぬくためには、機関の指導体制を強化しながら、選挙戦をたたかうことが不可欠であります。

 三中総決定が提起したように、選挙戦の勝利のためには、党機関が、「支部が主役」の選挙戦にすべての支部がたちあがるための指導とともに、党機関として選挙勝利のために独自にとりくむ仕事をやりきる――この二重の責任を果たす必要があります。

 そして、そのためには、(1)県・地区の指導機関は、選挙戦のなかでも、機関としての必要な指導体制は絶対に崩さないこと、同時に、(2)個別選対など選挙に必要な体制は、非常勤の党員の力を結集してつくりあげること――この二つの原則をにぎって具体化をはかる必要があります。

 そのための努力は全国でずいぶん進められていると思います。しかし、まだまだ党の潜在力はくみつくされていないと思います。何としても選挙にかちぬこうという構えを確立してこそ、機関の指導体制を強化するための知恵が生まれ、条件が見えてきます。まだまだくみつくせていない潜在的な力も見えてきます。この立場で、機関の指導体制を絶えず強化しながら、激戦をかちぬこうではありませんか。

四、東京都知事選挙について

 最後に、東京都知事選挙について、全国の選挙にも影響をあたえる重大な政治戦となるので、この選挙をたたかう党としての基本的立場についてのべておきたいと思います。

 第一に重要なことは、石原知事への批判を、それを支えてきた自民・公明・民主・ネットなど「オール与党」への批判と一体におこなうことであります。

 石原知事がすすめてきた福祉切り捨て、巨大開発推進、憲法と民主主義否定、都政私物化などの暴政は、知事ひとりでやったことではありません。都議会の「オール与党」が支え、知事を賛美・激励し、議会としてのチェック機能を放棄するなかで、おこなわれたものであります。「オール与党」は、この暴政に共同責任をおっており、そのことへの反省抜きに、選挙目当てに「野党ポーズ」をとることは、都民を欺く行為であるといわなければなりません。

 第二に、石原都政の罪悪のなかでも最大のものは、福祉切り捨て、巨大開発推進という「逆立ち」都政をおしすすめ、革新都政時代に都民が築いた福祉の施策を根こそぎ破壊したことにあります。この「逆立ち」都政を大本から変える立場、政策、資格をもつのは、政党では日本共産党だけであり、候補者では無党派の方々と日本共産党が共同で推薦している吉田万三氏しかないことを、堂々と訴えてたたかいぬくことが大切であります。

 石原知事の都政私物化の実態を、国民の前に明らかにするうえで、日本共産党都議団と「しんぶん赤旗」の果たした役割は絶大なものがありましたが、わが党がこの仕事をなしえたのも、石原都政による福祉切り捨て、巨大開発推進の「逆立ち」都政を根本的にただすことを主張しつづけてきた唯一の野党だからであります。

 また、知事の都政私物化への都民の怒りは、「都民への福祉は、盲導犬のエサ代などわずかな額のものまで切り捨てながら、ガラパゴスに豪遊旅行とはけしからん」というように、福祉切り捨てへの怒りと一体のものとして広がっているという点が重要であります。

 ですから、都政を改革できるかどうかの最大のモノサシは、大型開発を優先し、福祉・医療・暮らしを冷酷に切り捨てた「逆立ち」都政をただせるかどうかにあります。そのことを正面から主張しているのは、候補者のなかでも日本共産党が推薦する吉田万三氏だけであります。

 この点で、前宮城県知事の浅野氏は、三期十二年の宮城県知事としての「実績」が問われます。その「実績」をみるならば、冷酷な福祉切り捨てと、大型開発優先の「逆立ち」県政を、自民・公明・民主・社民の「オール与党」に支えられておこなったという点では、石原知事とまったく同じ流れのなかにいる人物であることは明瞭であります。

 東京都政と宮城県政を並べて比較してみますと、たとえば介護保険導入を口実に、介護手当をはじめ経済給付的独自施策をのきなみ打ち切りをすすめたこと、医療費助成、保育園助成、特別養護老人ホーム助成など、都・県独自の加算補助の削減・見直しをすすめてきたこと、都立・県立の福祉・教育施設の廃止・民間移譲をすすめてきたこと、「施設から在宅へ」といううたい文句で介護施設整備をおざなりにし、介護保険施設の整備が全国最低水準にあること、国民健康保険証の無慈悲な取り上げを進めてきたことなど、両知事がおこなってきた福祉切り捨ては、ほとんどうり二つであります。

 浅野氏が石原都政について、「一期目はよかった」、「輝かしい業績をあげてきた」、「基本的にはだいたい継承すべきものだ」といっているのは、リップサービスではありません。まさに根拠があっていっているのであります。宮城県で「逆立ち」県政をおこなってきた人物が、東京都で「逆立ち」都政をおこなってきた「オール与党」の一部にかつがれて、都政を変えることがどうしてできるでありましょうか。

 浅野氏が、石原都政を大本から変える立場をもちえない人物であること、福祉切り捨て、大型開発優先の「逆立ち」政治を推進した知事という基本点では「よりまし」ともいえない人物であることを、事実にそくして明らかにしていくことが重要であります。

 東京都知事選挙の勝利のために、全国からの支援を心からお願いするものであります。

党大会後の1年2カ月の努力のすべてを選挙勝利に実らせよう

 三中総決定では、報告のむすびに、党大会から一年の党活動をふりかえり、各分野の国民運動の広がり、「支部が主役」の党づくりの前進、野党外交の新たな発展などをあげて、「党大会後の努力のすべてを選挙勝利に実らせよう」とよびかけました。

 それから二カ月。三中総決定に導かれて、全党の奮闘によって選挙勝利にむけた積極的な変化がつくりだされ、いま党は元気で明るく展望をもって前進しつつあります。前進から飛躍へと活動の水準を抜本的に引き上げて、党大会後のすべての努力を、目前にせまった選挙勝利にかならず実らせようではありませんか。

 私たちもみなさんとともに、あらゆる知恵と力をつくして、この選挙をたたかいぬく決意を最後に申し上げ、報告といたします。

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