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日本共産党

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赤旗

2001年7月1日しんぶん赤旗

全国都道府県委員長会議での

志位委員長の報告


 六月二十九日開かれた全国都道府県委員長会議での志位和夫委員長がおこなった報告とまとめは次のとおりです。


 みなさん、ごくろうさまです。参議院選挙のたたかいについて報告します。

参議院選挙の方針はすでに二中総決定で明らかにされています。都議選の結果については、不破議長の報告で詳しく解明されました。私は、それを前提にして、いまの取り組みの現状をふまえて、三つの問題にしぼって報告をします。

「政党選択を土台に」、「比例を軸に」をつらぬいて

 第一は、参議院選挙は、比例代表選挙と選挙区選挙の二つの選挙があるわけですけれども、この二つの選挙のどちらでも、「政党選択を土台に」という方針を堅持して躍進をめざすということが、重要になっているということです。

選挙戦の全体の様相が、政治の流れを争い、政党選択を争うたたかいに

 選挙戦の様相自体が、政治の流れを争い、政党選択を争うたたかいになっています。それぞれの政党が、それぞれの政党なりに、政党選択を前面に押し出して選挙戦にのぞもうとしています

 自民党は、森政権の時期には、自民党を隠して、個人のたたかいを前面に出しながら何とかしのごうという作戦だったわけですが、いまはうって変わって、「小泉人気」と結びつけて、まさに自民党という党を前面に押し出す選挙戦略をとっています。

 民主党も、小泉・自民党との違いを出すのに腐心しながらも、「民主党こそ構造改革の元祖だ」とか、「自民党では構造改革はできない」など、「構造改革」の競いあいの中でなんとか流れをつくりだそうという戦略です。

 もちろん、非拘束式名簿の比例選挙に改変されたもとで、業界・団体ぐるみ選挙と結びつけた個人名投票で競わせるという動きもあります。また、タレントを担ぎだして、大量得票を狙うという動きもあります。しかし、そういう動きも、その党なりの党押し出しと結びつけておこなっている。どの党も政党を前面に売り込んで、その選択を争う、流れを争う、そういう選挙戦の様相になっていることは明りょうです。

 ですから、わが党がそのなかで、「政党選択を土台に」という党大会でも確認した方針を堅持し、「自共対決」を浮き彫りにし、日本共産党そのものの値打ちを光らせる活動を、選挙戦全体の活動の土台におくということが、いよいよ重要になっているということを、まず強調したいのです。

比例代表選挙の重要性――全国すべての得票が必ず議席にむすびつく

 そのうえで、とりわけ比例代表選挙での躍進を勝ち取る重要性を強調したいと思います。全国すべての得票が必ず議席に結びつくというのは比例代表選挙です。それぞれの選挙区選挙のたたかいは重要ですけれども、比例代表選挙での日本共産党支持の大波を起こしてこそ、選挙区選挙での勝利の道も開ける。この点を銘記してたたかいたいと思います。

 ここで、大会決定で確認した参議院選挙の目標を、あらためて全党の共通の決意にする必要があると思います。

 大会決定では参議院選挙について、「改選議席(比例五、選挙区三)を絶対に確保し、最高の峰(比例八、選挙区七)をこえることをめざす」、ということを確認しました。そして、比例代表選挙については、第一次発表分の九人について、「全員の勝利をめざしてとりくむ」ということを確認しました。

 この党大会で確認した目標に、全党が本気で挑戦することを、投票日までちょうど一カ月に迫ったこの時点で、あらためて共通の決意、共通の構えにしたいと思います。

 都道府県がそれぞれ自主的に決めた得票目標を本気でやりぬけば、九人全員勝利は達成できます。得票目標の達成に、本気で正面から挑戦することが、今度の選挙戦の基本中の基本だということを、あらためて今日ここで確認しておきたいと思います。

 非拘束名簿式に改悪された比例代表選挙でのたたかいの基本については、すでに一月の全国都道府県委員長会議で方針の確認をいたしました。すなわち「比例代表選挙は、政党そのものを選択する選挙です。日本共産党と書いて投票してください」。こう訴えようということを確認しました。この方針は、最後まで揺るがずつらぬくことにしたいと思います。九人全員が入れば、党内の順位がどうであろうと、みんな参議院に送り出すことができるわけです。

 「政党選択を土台に」、そして二つの選挙はそれぞれが大事ですけれども、得票が必ず議席に結びつく比例代表選挙の重要性をしっかり握ってたたかいぬくということを、冒頭に強調したいと思います。

情勢判断と対策も比例代表選挙を中心にすえて

 この点に関連して、中央のとった措置として是正をしておきたい問題があります。六月十七日付で、「参議院選挙の情勢判断と対策について」という報告をみなさんに求めました。これは、指導部内でもよく調整されないで執行されたという経過があったわけですが、報告項目が選挙区中心の情勢判断と対策を求める、ととられる不正確なものになっていました。ですから、これはここで是正をしておきたいと思います。

 情勢判断と対策を考えるさいにも、選挙区選挙中心では正確になりません。選挙区選挙というのは、政党の組み合わせも限られてくるケースが多いわけですし、論戦も全方位のものになりません。比例代表選挙での日本共産党の躍進を中心にすえた情勢判断と対策をとるということを、最後まで堅持して取り組むことが大切であります。

「後退から前進に転じる」たたかいに正面から挑戦しよう

 第二は、こんどの選挙はどういう選挙かという問題です。こんどの参議院選挙の位置づけをあらためて明確にしておきたいと思います。一言でいいまして、党大会決定がのべているように、「総選挙での後退から前進に転じる」という「容易ではない課題」に挑戦する選挙が、こんどの選挙であります。

参院選から総選挙――主要政党の得票の推移と私たちの教訓

 それを考えるうえで、一九九八年の参議院選挙と昨年の総選挙の主要政党の得票の推移を、もう一回頭に入れて、こんどの選挙をたたかう必要があります。

 一九九八年の参議院選挙と二〇〇〇年の総選挙とくらべまして、日本共産党は八百二十万票から六百七十二万票に後退しました。

 自民党は、千四百十三万票から千六百九十四万票にやや伸ばしました。それでも得票率は三割を下回っていますから、この二つの選挙では低落傾向はまぬがれていないというのが結果でした。

 民主党は、千二百二十一万票から千五百七万票に、かなりの前進をとげました。

 公明党は、七百七十五万票から七百七十六万票とまったくの横ばいです。

 自由党は、五百二十一万票から六百五十九万票と、わが党と肩を並べるところまでの位置をしめました。

 社民党も四百三十七万票から五百六十万票へと、これも一時の崩壊状況から、一定のたてなおしをはかりました。

 これが前回の結果です。わが党は残念ながら後退した。自民党はやや伸ばしたけれど低落傾向。民主党は躍進をした。自由党、社民党は一定の前進をとげた。

 そういう全体のなかで、日本共産党についていえば、「反共戦略」と「民主の風」――この二つに押し返されて、総選挙では残念な後退をしたというのが前回の結果でした。

 この結果については、去年の六中総決定と党大会決定のなかで、私たちはかなり突っ込んだ総括をおこないました。そして、この二つの問題について、一つは、「反共同盟による攻撃の危険性を正面からとらえ、正面から立ち向かい、正面から撃破しよう」ということを諸決定で確認しました。いま一つ、野党間の関係では、「適切な野党批判があってこそ、わが党の値打ちを光らせることができる」、このことを前回の総選挙の重要な教訓として確認しました。そして、つぎの機会には必ず教訓を生かして前進をかちとることを共通の決意としたのが、去年の選挙総括でした。

小泉政権との対決、反共打破、野党批判――打開できることを都議選はしめした

 この二つの分野でのたたかいの重要性は、ことしの情勢の展開のなかで、いよいよ大事になってきました。

 そういうなかで四月に全国都道府県委員長会議を開いて、反共攻撃を攻勢的にうち破ることと、野党のなかでわが党を光らせるという問題を、前進の要(かなめ)をなす問題として提起しました。その後、取り組みが全体として活気ある前進を始めました。

 さらに、小泉内閣の誕生という新しい情勢が生じ、それと正面からたたかうことが重要になるという新しい問題が加わりました。

 その全体を受けて、二中総決定では、新たな情勢を分析し、方針を確認しました。すなわち、小泉政権との正面からのたたかい、反共戦略の攻勢的打破、野党のなかでわが党の値打ちを光らせること、この三つの分野でのたたかいをやりぬこうではないか、ということを確認したのが二中総の決定でした。

 三つの分野でのたたかいを求められるということは、いまわが党が直面している情勢の複雑さと困難さからくるものです。これを突破することは、並大抵ではない大奮闘が必要であります。

 しかし、この情勢は、わが党の奮闘いかんでは前向きに打開することができます。そのことを第一歩ではありますが証明したのが、都議選のたたかいでした。

 議長の報告が明らかにしたように、議席では残念な後退をしたけれども、得票率で総選挙での比例票からの前進をかちとったことは、きわめて重要な反転攻勢の第一歩であります。

 小泉政権とのきっぱりとした対決姿勢をつらぬくこと、反共攻撃への攻勢的な反撃をつらぬくこと、野党のなかでの日本共産党を光らせる取り組みをすすめること、石原都政への正確な態度をつらぬくこと、それらのたたかいを正確に展開するなら、後退から前進に転ずることが可能であるという足がかりをつかんだ。そのことを証明したのが、都議選の大事な教訓であります。

 これはほんとうに大事な転換点になり得る、歴史的な意義をもつたたかいでした。この歴史的たたかいをがんばりぬいた東京の党組織と支持者のみなさんの大奮闘、そして全国のみなさんの応援に、あらためて心からの感謝と敬意を申しあげたいと思います。

小泉・自民党を恐れない――国民におしつけられる「痛み」とはどういうものか

 参議院選挙を展望して、その教訓からいくつかの点を強調したいと思いますが、第一は、小泉・自民党を恐れないということです。

 「小泉人気」というのは、「政治を変えたい」という願いと結びついた流れだということは二中総でも指摘したとおりで、これは私たちの働きかけがないならば自民党への支持になって流れ込むという傾向になるわけですけれども、私たちの働きかけ、声が届くならば、どんどん変化する、これも共通した経験だと思います。

 都議選というのは、小泉政治との最初の対決だったわけですけれども、都民要求をふまえ、日本共産党の改革の提案をふまえて、きっぱりとした対決姿勢をとったことの意義はきわめて大きなものがあると思います。私たちがそういう姿勢をとったことが、いましだいに効果を発揮しつつあります。

 私たちは、小泉内閣によって、国民にたいへんな「痛み」が押しつけられるということを告発してきたわけですけれども、この「痛み」という問題が、ようやく最近テレビでも、新聞でも、週刊誌などでも、とりあげられるようになってきた。たいへんなことになるのではないかという、不安と警戒を広げつつあります。

 私は、午前中の議員団総会で、小泉内閣による「痛み」ということを告発するさいに、三つの大事な角度があるとのべました。

 第一は、押しつけられようとしている痛みの大きさが、国民にとうてい耐えられるようなものではないということです。二十万から三十万という中小企業の倒産。百万人という規模の失業。必要な医療や介護の抑制をもたらす負担増。消費税の増税。どれをとっても、押しつけられようとしている痛みは、耐えられる限界をはるかに超えている。すでに十年以上も不況の痛みに苦しめられてきた国民のなかで、「これ以上何を耐えろというのか」という気持ちが広がってきつつあります。

 第二は、では痛みに耐えたら明日の展望はあるのかといったら、これがまったくないというのが重大な点です。「骨太方針」とよばれる「構造改革の基本方針」というものを政府が決めましたけれども、この最大の弱点は、景気対策がいっさい書いていないということです。景気を悪くする対策はあっても、景気をよくする対策はまったくない。みずからも月例経済報告のなかで「景気の悪化」ということを認めながら、景気をよくする処方せんをいっさい示せないというところに、「小泉改革」なるものの致命的な弱点があらわれている。自民党政治の致命的なゆきづまりがあらわれています。

 第三に、「痛み」を押しつけられるのは国民だけで、大銀行や大企業には歯止めがない甘やかし政策が続けられる。たとえば大銀行の不良債権を処理して、自己資本が足らなくなったら、公的資金を注入して補ってやる。あるいは大銀行のもっている株を買い取る機構をつくって、減税をやって、ここにも公的資金を入れてやる。いたれりつくせりです。小泉政権は、「こんなたいへんな時だから痛みをひとしく分かちあおう」というのですが、ひとしく分かちあうどころの話じゃない。国民にはものすごい痛みを押しつけるけれども、大銀行・大企業にはいたれりつくせりの大甘の政治をやる。これが本質だということが明りょうになってきました。

 ですから、たとえば経済問題でも、そういう政治にたいして、日本共産党が主張しているように、需要を増やす対策をやる。需要の中でも六割を占めている家計を応援する対策をやる。そのための三つの緊急提言の値打ちが「小泉改革」との対比で本当に鮮やかに浮き彫りにできる条件がいま広がっていると思います。

対米追随外交――集団的自衛権、「ミサイル防衛」などの危険な動き

 外交問題ではどうか。小泉首相の好きな言葉で「聖域なき改革」というのがありますが、対米追随外交のあり方は絶対手をつけない「聖域中の聖域」にされています。

 明日から日米首脳会談がやられようとしています。昨日、党首会談がありまして、私は、集団的自衛権の問題、「ミサイル防衛」の問題、日米経済関係の問題、京都議定書の問題などで、米国追随ではない、きっぱりした自主的な立場をとるべきだということをのべました。しかし、どの問題についても首相の答えは、安保体制を絶対化した追随外交を続けるという枠から一歩も出ないものでした。

 しかも、この対米追随外交というのは、党首討論や党首会談などで論戦した私の実感でも、やってるご本人がよく理解しないままに追随しているという特徴がある。たとえば、「集団的自衛権の研究」というが、党首討論でいったい何を研究するかと聞いてみてもさだかではない。さらにつめてみると、「後方地域の定義を変える」などという重大な発言が出てくるんですけれども、どうも言葉だけがどんどん先走る。

 それからたとえば、「ミサイル防衛」という問題についても、いまアメリカはこれまでのTMD(戦域ミサイル防衛)とNMD(米本土ミサイル防衛)を一体化して、新たな「ミサイル防衛」システムをつくろうとしているわけで、そうなってくると、いままで日本はTMDの研究を「専守防衛のための研究」だといってきたが、アメリカの核戦略の中に組み入れられてしまって、その言い訳が通用しなくなっているわけです。昨日の党首会談でここを聞いてみても、答えは出てこなくて、「日本とアメリカの政府には立場の違いがあります」というふうなことをいわざるをえなくなってくる。よく理解しないまま本当に危険な対米追随の道を進んでいるというのが、いまの特徴だと思います。

 そういう対米追随外交が、侵略戦争への無反省と結びついている。一体となってタカ派路線を形成しているということもこの政権の大きな弱点であります。

 そういうタカ派路線との対比でも、日米安保条約の廃棄を展望しながら、その前にも道理ある自主・自立の外交でアジアと世界に働きかけてきた日本共産党の外交路線の値打ち、あるいは憲法の九条改悪に反対し、九条を生かした国づくりをめざすというわが党の一貫した立場の値打ち、これらが本当に光るものになってきます。

 ですから、小泉・自民党との対決を、私たちが恐れずに正面から最後までやりきるなら、国民世論をどんどん変えられる。そのたしかな手ごたえを都議選でもつかんだわけですから、これを参議院選挙ではさらに壮大な規模で展開したいと思います。

民主党などとの競争――都議選の教訓をつかんで、しっかりと生かす

 第二は、奮闘いかんでは民主党との競争にもうち勝てるということです。これも都議選の重要な教訓です。ここをしっかりつかんで参議院選挙に生かす必要があります。

 いま民主党のとっている政治路線というのは、野党としての政策的足場を欠いたものです。マスコミなどで、これまでの「小泉応援路線」から「対決路線」に民主党が転じたなどとされていますけれども、いっている中身をみると、「自民党では構造改革が不徹底になる」、「自民党では構造改革は実際にやれない」、「構造改革だったら民主党におまかせを」という、「構造改革」の名による国民生活への「痛み」をもっといっそうはなはだしい形で押しつけるという立場のものであって、これを「対決」といいかえてみても、「構造改革」の競いあいという本質は変わらないわけです。「対決」といっても、その足場がないのです。

 この点にかかわって、新しい動きを報告しておきますと、民主党の最大の支持団体というのは連合であるわけですけれども、連合も労働組合ですからどうしても「小泉改革」への批判を強めざるをえないという状況があります。笹森事務局長なども、「小泉改革」について、「『お前ら本当に死ね』という危険な政権だ」という言い方で、かなり激烈な批判をしました。そういう連合の路線と民主党のとっている路線との間にたいへんな矛盾が生まれて、特定政党支持が空洞化し、破たんするという状況が、あちこちでいま生まれています。これも本当に深刻な矛盾です。

 民主党は、「風を失った」といわれる状況がありますが、まだまだ力をもっている党ですから、けっしてあなどることはできませんけれども、奮闘いかんで競争にうち勝てる。その一歩をつかんだわけですから、ここでも自信をもって野党のなかで日本共産党を光らせるために、おおいに野党間でも批判と論争をすすめていきたいと思います。

 ここで一言のべておきたいのは、自由党、社民党との論戦も軽視せず、よく目配りするということが大事だということです。これらの諸党は都議選の議席ではゼロだったわけですけれども、前回の総選挙ではわが党にせまる比例代表での得票をえています。

 実際にとっている路線というのは、自由党は、より「右」の立場からの「対決」です。社民党は、憲法改悪阻止での一致点は、わが党との間にあって、これは重視すべきですけれども、「構造改革」など経済論では対決の足場がさだかでない。

 そういう諸党との論戦でも、私たちの立場を大きくしめすならば、本当の意味での政治を改革する党は日本共産党だということが明りょうになってくるわけで、全体を見て論戦をおこなっていきたいと思います。

公明党・創価学会の反共攻撃――正面から反撃すれば打破できる

 第三に、公明党・創価学会の反共攻撃ですけれども、これもたたかいいかんでは打破できるという経験を大奮闘でつくってくれたのが、都党組織のがんばりでした。

 彼らの攻撃はもともと道理をもたないだけに、正面からの反撃には弱い。理をつくして、しかも正面からしっかり構えて、うち破るということになると、これは引っ込む。弱いという特徴があります。

 都議選でも彼らが全都的な配布をくわだてていた反共謀略ビラを、かなりのところでは未然にうち破ったことの意義は、非常に大きなものがあると思います。この攻勢的構えに全党が学んで、参議院選挙ではもっと大規模に彼らが攻撃をしてくるのは必至だと思いますが、これを本格的にうち破るたたかいを展開したいと思います。

 都議選では、公明党・創価学会は、日本共産党おいおとしのための民主党などへの投票組織もやりました。これを参議院選挙でもいくつかの選挙区でやる可能性は、よく念頭において、それに負けない奮闘をしたいと思います。ただ、そういう姑息(こそく)な戦術が通用しないのは、全国一区の比例代表選挙です。ここでは、票移動ということはありえないわけで、まさに政党のまるごとの力量がためされるのが比例代表選挙です。ですから、この舞台で堂々と反共勢力をうち破るということを、今度の選挙のなかでしっかり眼目にすえて、必ず前進を勝ち取りたいと思います。

 今度の選挙は、「後退から前進に転じる」ことをめざす歴史的なたたかいになりますけれども、都議選での歴史的なたたかいの教訓を生かし、全党が底力を発揮するなら、参議院選挙で前進に転ずることは可能です。ここにしっかりと確信をもってがんばりぬこうではありませんか。

どう活動の規模と速度の飛躍をかちとるか

 第三に、それではどう活動の規模と速度の大飛躍をつくりだすかという問題であります。

 さきほど言ったように、今度の選挙は、わが党が躍進できる条件が一方でありますけれども、情勢の複雑さと困難さもあります。ですから、私たちの活動が前回なみにとどまっていては、参議院選挙での躍進を勝ち取ることはできない。これは肝に銘じてたたかいぬく必要があります。十五道府県委員長会議以降、かなりの変化がはじまっている

 二中総決定が強調したように、これまでの取り組みの延長線上ではなくて、質の面でも量の面でも、あらゆる活動で一気に飛躍をつくることが求められています。

 この点で、都議選の最中でしたけれども、六月十九日に十五の道府県委員長会議を持ちました。この内容は全県の委員長のみなさんにもお伝えしました。この会議で私たちは、実際の選挙戦の具体的課題が深刻な立ち遅れにあることを、率直に提起し、期日を決めてやるべきことをやりとげる戦闘的な取り組みで、党機関が事態を打開するイニシアチブを発揮しようではないかということを話しあいました。それからちょうど十日間たったわけですけれども、この会議を受けてかなりの変化が始まっています。諸課題の到達点はお配りした資料にもありますけれども、つぎの通りになっています。

 「しんぶん赤旗」の六・七月号外は、みなさんのところに届いてから一週間あまりですけれども、全体の配布率は一二・〇%です。このなかで、十日前の会議を受けて数日間で五〇%以上の配布をしている県もうまれています。そういう取り組みがうまれてきているということは非常に大事です。一気にビラの配布をやりぬきたい。

 日本共産党の政党ポスターについては、消費税のポスターは全国的に七〇・五%まで張り出しがすすみました。四県が完了しました。とくにこの十日間にかなり大きな変化をつくっている県がうまれています。一週間で二〇%前後張り出しを伸ばした県もうまれていますが、ここでも勢いある取り組みが広がってきています。

 対話と支持拡大については、各都道府県の過去最高の支持拡大数にたいして、到達点は、比例代表で一四%です。だいたい一週間のテンポでは、十九日の会議以降、二倍に引き上がりました。ここでも全体として、六月十九日の会議以降の十日間に、かなりの変化が始まっています。

ポスター――二百万枚を一気に張りきる体制をいまからつくっておこう

 しかし、勝利を勝ち取る、目標をやりきるという見地にたつならば、運動の規模と速度の大飛躍が、いまどうしても必要であります。

 たとえばポスターですが、消費税ポスターがあと三〇%、三十万枚残っているわけですけれども、これをそれこそ一気に張り切る必要があります。そのための作戦、段取り、体制をとって進める必要があります。

 これは二中総でも強調したことですが、新しい選挙制度のもとで、選挙が始まったら公示直後に約二百万枚のポスターを張り出す大作戦が必要となります。これはやったことのない大仕事です。しっかりした構えをつくって、公示直後に、一気にこの仕事をやりきってしまう必要がある。これは本当に大仕事です。そのためにも、消費税ポスターについて残りの三十万枚を、一気に張り切る仕事をやる。そしてポスターを一気に張り切ることのできる体制を、いまからしっかりつくっていくということが、非常に大事だということを重ねて訴えたいと思います。

対話・支持拡大――公示までに過去最高を上回り、さらに飛躍を

 対話と支持拡大については、公示までに過去最高を上回り、さらに公示後、広範な層にたいして広げに広げるという方針に、本気で挑戦する必要があります。

 あと公示まで十三日間でありますけれども、この十三日間で過去最高を上回って、選挙戦にはいったら十七日間ありますが、このたたかいでさらに広げるということに正面から挑戦しようではないかということを訴えたい。そのためには、対話・支持拡大のテンポがだいたい二倍くらいになったということを言ったんですけれども、この二倍になったテンポをさらに十倍くらいに引き上げる。掛け値なしにこれに挑戦したい。

 なぜ、公示までに過去最高を上回るという方針を確認したかという点が、大事なところです。過去最高というのは、言葉を換えて言いますと、これまで私たちが手が届いた範囲ということです。この範囲を公示までに、働きかけつくす。働きかけつくしてこそ、公示後さらに私たちがこれまで手が届かなかった、新しい広大な有権者、全有権者規模に運動を発展させることができる。「公示までに過去最高を」というのは、そういう本当の攻めの選挙戦をやるうえでは、どうしても必要な方針として確認したものであります。

 選挙戦の実際も、たいへんな激動の時代の激動の選挙戦です。ですから、最後まで有権者の動向は激動します。無党派層の投票動向を見ますと、いろいろな調査がありますけれど、どの調査でも五割前後の人々が、選挙戦のいろいろな動向を見ながら、投票日直前にどの党に投票するかを決めています。無党派層の五割程度の人は最後まで激動し、流動しているというのが、いまの選挙戦の特徴です。ですから、私たちの働きかけも、そういう激動し、模索している広大な人たちへの働きかけをやりきる必要があるわけです。そういう人たちまで、私たちの声を届ける必要があるわけです。それをやりきるうえでも、これまで手が届いた範囲の働きかけ、対話・支持拡大というのは、公示までにやりきるということがどうしても必要になってきます。

 "対話と支持拡大というのは、選挙の公示後にやればいいんだ、いままでそれでやってきたし、それで結構やれた"という傾向もあるようです。しかしそれでは、いままでと同じ水準の活動にとどまってしまう。それにとどまらないで本当に広い層に今度こそ働きかけようということになると、これではやはり足らないわけです。そういう惰性を、今度こそうち破っていくことをよびかけるものです。

どう飛躍をつくるか――ビラの感想を聞き、要求を糸口にして

 対話・支持拡大を飛躍させるうえで、全国の経験を聞きますと、むずかしくしないで取り組むことがたいへん大事です。どんどんすすんでいる例を聞きますと、だいたい二つぐらいの教訓があるようです。

 一つは、「しんぶん赤旗」の六・七月号外――「こんにちは日本共産党です」――これはたいへん評判のいいビラになっていますけれども、これを配布して「感想はどうですか」ということを聞くならば、どこからでも対話できる。これがいま、飛躍が起こっているところでは、共通しているようです。

 それからもう一つは、対話の内容では、「小泉政権をどう思いますか」というところから入ると、いろいろな問題がふきだしてきて、時間もかかるし、能率も悪い。そうではなく、「政治やくらしにどういう要望をもっていますか」と、要求・要望から対話の糸口を聞くと、たとえば介護の不安を訴えたり、医療の不安を訴えたり、あるいは失業の問題についてでてくると思うんです。その時に私たちの改革の提案はこうですと、小泉政権はこういう「痛み」を押しつけようとしているという話になると、これは要求・関心からの出発ですから、どんどん対話がすすむし、面白いという経験も共通しているようです。

 この二つが飛躍をつくるうえでのカギになっています。そういう対話だったら、党員や支持者のみなさんの多くの方々が取り組める、みんなが取り組める活動になると思います。むずかしくしないで大飛躍を公示にむけてかちとり、公示に入ったらさらに飛躍をかちとり、壮大な選挙戦をしていくという構えでのぞみたい。

公示までに一回の選挙をたたかい、さらにもう一回の選挙をたたかう構えで

 今日を起点として考えますと、公示まで十三日間あります。十三日間といえば総選挙が十二日間ですから、総選挙一回分くらいの仕事をするだけの時間がまだ公示まで残されています。それで公示に入ったら十七日間のたたかいがあります。ですから一回分の選挙を公示までにやるぐらいの構えでたたかいをやって、公示に入ったらもう一回さらに選挙をやる、二回選挙をやるぐらいのつもりで、それぐらいの構えで、速度と規模の本当の大飛躍をかちとりたい。複雑で困難な条件があるけれども、一方で躍進の条件もある。それを本当に実らせるたたかいをやりとげたいと思います。

 そのために最後に二点だけ強調したいんですけれども、一つは、二中総の決定の全党員への徹底をあらためて強調しておきたいと思います。選挙をたたかうために大事なことは、すべてこの中にはいっています。これはわずか五十分ぐらいの時間があれば徹底できる内容です。この徹底が支部の討議ではいま七四・〇%、党員の読了で二三・三%です。やはりこれが全体の活動の水準をどうしても左右することになりますから、たたかいつつこれを身につけ、身につけつつたたかうという精神で、すべての党員が決定をわがものとして立ち上がるということを急いで進めたい。

 もう一つの点は、「しんぶん赤旗」を選挙勝利の力にしきる取り組みを、大いにやろうではないかということです。「しんぶん赤旗」をよく読み、読者を増やし、読者とともに選挙戦をたたかうという見地を最後までつらぬく。「機関紙中心の党活動」ということをこの前の党大会で確認したわけですけども、これを選挙のなかでこそ実践しようということを強調しておきたいと思います。

 運動の規模と速度を飛躍させるために何が必要かという問題について、さまざまな積極的な教訓もあるでしょうし、悩んでいる問題点もあるでしょう。この点については率直な意見交換をこの会議でおこなうことをお願いして、報告といたします。ともにがんばりましょう。


討論のまとめ

 短い会議でしたけれども、躍進への決意がみなぎった会議になったと思います。二点だけのべておきたいと思います。

比例の得票を必ず前進させることは、全国どこでも共通の優先課題

 第一点は、私は、報告で「政党選択を土台に」と、比例選挙を重視してこれを全体の軸にすえるということを強調したわけですけれど、これをより具体的に言いますと、比例代表の得票を必ず前進させるということが、全国どこでも共通の選挙戦全体の優先課題だということです。

 すなわち、ここで選挙戦の前進、後退がはかられる。全国でも、前進、後退はここではかられるわけですし、各県、各地区すべてが、ここではかられる。全国共通で比例代表の得票を前進させること、これを選挙戦全体の、全国どこでも共通の優先課題としてこれに取り組みたいということを強調しておきたいと思います。

 そうしてこそ、選挙区で議席を守るところ、そしてめざすところ、このたたかいについても、勝利の条件をつくりだすことができるわけです。ここを、選挙戦の眼目中の眼目にすえて、最後までたたかいぬきたいということを強調しておきたいと思います。

飛躍のかぎは「支部が主役」でという大道をらぬくこと

 それからもう一点は、活動の規模と速度の飛躍をつくるという問題についてです。

 発言を聞きまして、十九日の会議を受けて、かなり飛躍の第一歩が始まっているということを心強くうかがいました。これをさらに大飛躍させるために何が必要か。

 ここにはやはり、安易な道というのはないわけです。やはり大道を進む必要があります。大道とは、「支部が主役」で、すべての支部が自覚的に立ちあがる状況をいかにつくるか。そして、すべての党員、すべての後援会員、すべての支持者のみなさんの心に灯をともすことを、どれだけのスピードでやれるか。やはりここにかかっていると思います。

 そのためには政治的栄養ということが、もちろん大事です。二中総の決定の徹底、今日の会議の二つの報告、これを含めて、大事な政治的ポイントをつかんでもらう。同時に、一つ一つの実践で、実際に仕事をやりとげて、やればできる、なせばなるということを、宣伝でも、対話でも、拡大でもやってのけて、やればできるではないかという自信をつかみ、みんなの心に灯をともしていく。この見地も大事だろうと思います。この大道をしっかり歩んで、大飛躍を勝ち取りたいと思います。

 投票日まで、ちょうどあと一カ月を残すのみになりました。歴史を動かす一カ月となるように、おたがいに悔いなく力を出しつくして、必ず立派な成果をおさめることを誓いあって、会議のまとめといたします。ともにがんばりましょう。

党紹介