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日本共産党

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赤旗

➡2021総選挙 分野別政策一覧

83、カジノ問題

カジノ導入反対 ギャンブル依存症(賭博中毒)問題

2021年10月

 自公両与党と日本維新の会などは、国民の反対を押し切ってカジノ解禁法(2016年)、カジノ実施法(2018年)を相次いで強行してきました。このもとで、国内のいくつかの自治体がカジノ誘致に手を挙げてきました。

 しかし、前回の国政選挙(2019年参院選)から2年余が経過した現在、カジノをめぐる状況は一変し、カジノを含むIR(統合型リゾート)導入は、いよいよ困難になろうとしています。具体的には、次の3つの点でカジノ実現の破たんが明確になってきました。

次つぎと引き延ばされた政府の計画

 第1は、この2年間、カジノを誘致する政府の方針・計画が次つぎと延期されてきたことです。当初、政府は前回参院選直後の2019年9月に、カジノ設置地域の選定基準などを定めた「基本方針」案を決定、その後、20年初頭には正式に決定する運びでした。

 ところが、方針案を公表した直後に、元IR担当内閣府副大臣の秋元司氏(自民党を離党)のカジノ汚職事件が発覚。2021年9月7日には、東京地裁が秋元被告にたいし懲役4年の実刑判決を言い渡しました。(秋元氏側は控訴)

 この事件の影響をもろに受けた結果、政府は「基本方針」に汚職対策などを盛り込む必要性に迫られました。

 同時期に大問題となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。基本方針にはその対策も盛り込まざるをえなくなりました。

 こうして、ようやく基本方針が策定されたのが、当初の予定より1年近くも遅れた2020年12月でした。

 一方、基本方針策定の遅れは、自治体による誘致申請にも大きな影響を及ぼします。政府は、自治体がカジノを申請する期間を、当初〝2021年1月から7月まで〟としていました。ところが、基本方針の策定の遅れもあって、〝2021年10月から2022年4月まで〟に9カ月も延期しました。

 カジノそのものを実現・設置する以前に、汚職とコロナ感染という事態のもとで、政府の計画に水をさされたことは、今後も同様に自体が起きかねないことを暗示しています。

カジノ企業の苦境と進出計画の断念

 第2は、コロナのパンデミック(世界的感染爆発)のもとで、名だたる世界的なカジノ企業が日本への進出を断念せざるをえなくなったことです。とくに世界に衝撃を与えたのが、世界最大のカジノ企業であり横浜への進出の最有力候補とされていたラスベガス・サンズが、2020年5月、日本への進出そのものを断念したことです。会長兼CEOのシェルドン・アデルソン氏(故人)は、「弊社の目標は達成できなくなってしまった」とのべました。

 つづいて、やはり横浜へのカジノ進出に意欲を示していた、ウィン・リゾーツのCEOマット・マドックス氏も、2020年8月、横浜事務所を閉鎖したことを明らかにしました。マドック氏市は「ビジネスがどのようなものになるのか、世界がどうなっていくのか、そしてそこでの規制は実際どのようなものになるのかがもう少し明らかになるまでは活動をほぼ停止するという決断を3月に下した」とのべました。

 これらの背景には、コロナ禍が拡大するもとで、〝大艦巨砲主義〟――ホテル・商業施設など大規模施設をつくって無数の観光客を呼び込む方針をとるIR・カジノ企業が経営難に陥ったことがありました。しかも、感染対策にまっこうから逆行する3蜜――密閉・密集・密接――の典型であるIR・カジノが敬遠され、すでに時代おくれの産業となってきたことが明らかになってきたといえます。

 かりにいまの新型コロナが収束するような事態となっても、この間の相次ぐ新型感染症の例にみられるように、次つぎと新型のウイルスの登場も懸念されており、IR・カジノに未来がないことは明白です。

誘致する自治体での住民の反対運動の高まり

 第3に、カジノに反対する住民の世論と運動が大きな高まりをみせていることです。その典型が横浜市長選挙で、カジノ中止を求める市民の声を真正面から訴えた唯一の候補、山中竹春・新市長が誕生したことでした。(2021年8月22日投開票)

 この力になったのは、カジノ誘致の是非を問う住民投票条例を請求する署名運動でした。市民団体が2020年秋に集めた直接請求署名は19万3193人分(有効投票数)となり、法定必要数の3.09倍にも達しました。

 しかし、市議会の過半数をしめるカジノ推進派の与党・自公などは、住民投票条例案を市議会であっさりと否決。これがカジノ反対の市民の怒りを広げ、市民の声を聴く市長を誕生させようと、今回の市長選挙につながりました。

 この運動がいかにカジノ推進派を追いつめたかは、以下の数字が雄弁に語っています。

○市長選挙の候補者は過去最多の8人が立候補。このうち、カジノ推進を正面からかかげたのは、現職市長と元衆院議員の2人のみ。あとは、形だけでも〝反対〟を表明。

○この結果、カジノ賛成派(2人)の得票数は、26万票(得票率17%)だったのにたいし、カジノ反対派(6人)の候補が獲得した票は、賛成派の実に5倍近い125万票(同82%)と圧倒したこと。

○事実上の自公両党に押された小此木八郎氏が横浜へのカジノ誘致に反対を表明したのは、それだけカジノにたいする市民の反対が強かったこと。ところが、カジノの旗振りをしてきた菅義偉首相までが、小此木氏を支援し、カジノ推進派の間に亀裂がうまれた。その結果、山中氏に18万票の大差をつけられて大敗北となった。

 横浜市長選挙は、カジノの是非とともにコロナ対策についても問われる結果となりましたが、1年前からの住民投票条例の運動の到達点としてみた場合、カジノに反対する住民の声こそ市政を動かしてきたといえます。

 その意味でも、カジノ誘致を表明している他の自治体でも、同様の結果を生み出すことは十分可能といえます。

カジノはギャンブル依存症をふやすだけ
――パチンコ、公営ギャンブルも賭博性をめぐって問題の解決を

 カジノ導入にともなうギャンブル依存症の問題は看過できません。

 厚生労働省の研究班は2017年9月29日、「国内のギャンブル等依存に関する疫学調査」を公表しました。全国300地点から1万人を対象に面接調査をおこなった結果です。(回答者数は53.7%の5,365人)

 それによると、ギャンブル依存症の人の割合は成人の3.6%、約320万人と推計されます。(生涯にわたるギャンブル経験についての調査。1年以内に限れば0.8%、約70万人)

 問題は日本のギャンブル依存症の比率が他国と比較して、異常に高いことです。(表参照)

表 ギャンブル依存症が疑われる者の割合

 この要因となっているのが、世界に例をみない遊技であるパチンコです(パチスロ含む)。前述の厚労省研究班の調査でも、ギャンブル依存の疑いのある320万人のうちの8割(約256万人)がパチンコ依存と指摘されています。

 ギャンブル依存の問題は、当事者や家族にとって重大な問題ですが、社会的にも大きな損失となります。しかし、往々にして「個人の問題」「自己責任」という形で矮小化されて、その解決が社会的な課題だと理解されてきませんでした。精神科医の立場からギャンブル依存の問題を告発してきた帚木蓬生氏は、「ギャンブルはひとつの産業です。ギャンブルをする人は、その消費者と言えます」としたうえで、ギャンブルの消費者が借金を背負い、会社を首になり、家庭崩壊に行き着くなどの例をあげながら、次のように指摘しています。

 「はたしてこの悲惨な結末が、ギャンブル消費者の自己責任のみと、断罪できるでしょうか。/少なくとも、ギャンブルにこのような悲劇が必然的に付随しているのであれば、ギャンブル企業側に、危険性を警告する義務があります。消費者の権利として、その警告を受ける権利は、厳として存在するはずです」(『ギャンブル依存国家・日本』)

 隣国韓国では、パチンコ依存症が社会問題化するなかで、2006年にパチンコの全廃に踏み切りました。日本でもパチンコの弊害を議論し、その存廃について国民的議論を行っていく必要があります。また、存廃の議論の以前に、少なくとも、1980年代以降に強まったパチンコの賭博性を改めることや、現行の換金システムである「三店方式」(※)を改める必要があります。


※「三店方式」とは、パチンコの景品を、①パチンコ業者(パチンコホール経営者)と②景品買い取り業者、③景品問屋――の3者の間で行き来させて、最終的に客に現金を渡す仕組みのことです。これによって、表向きはパチンコ玉を現金に交換しないことから、警察などは「パチンコは賭博ではなく遊技だ」などと主張しています。

 こうしたときに、新たな公然とした賭博であるカジノを誘致するなどというのは、とんでもない愚挙です。カジノ推進派のなかからさえ、「カジノを誘致すれば、かならずギャンブル中毒患者は増える」と指摘されています。カジノ解禁は、世界最悪の病的賭博患者の数字を、さらに悪化させる結果にしかなりません。

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