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日本共産党

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赤旗

➡2021総選挙 分野別政策一覧

33、漁業・水産業

沿岸漁業者の経営安定と地域・魚種の特徴にあった資源管理をすすめ、水産物の安定供給と漁村地域の再生をはかります

2021年10月

 四方を海に囲まれ、変化に富んだ海岸線をもつ日本の漁業は、沿岸、沖合を中心に多様な形態で営まれ、豊富な漁業生産と豊かな魚食文化をはぐくんできました。世界的な水産資源の減少、海洋法条約のもとで海にたいする沿岸各国の権利が強まるなど大きな環境変化はありますが、わが国の排他的経済水域(EEZ)は世界で6番目の広さがあり、漁業・水産業を地域の基幹的な産業として発展させる条件は十分にあります。

 しかし、わが国の漁業・漁村は、漁場・資源状況の悪化や漁業従事者の減少・高齢化などにより、生産量は2011年以来、500万トンを下回り(2018年442万トン)ました。また、漁業従事者も1988年から18年の20年間に39.2万人から15,2万人に減少し、65歳以上が38.3%をしめています。また、漁港後背集落のうち、半島、離島中心に過疎化と人口の高齢化などが広がっています。地球温暖化の影響は、海水温の上昇、潮流の変化と魚貝類の生育、回遊にも大きな変化をもたらし、日本漁業の主要魚種であるイカ、サンマ、サバ、サケなどが歴史的な不漁に直面させられています。

 一方、水産物の国民一人当たりの消費量は1990年をピークに減り続け、2019年には1965年(28.1kg)以降で最低(23.8kg)になっています。消費税の10%への増税や勤労者の実質所得の減少がそれに拍車をかけ、2020年に発生した新型コロナの感染拡大は、高級魚などの消費が激減し、養殖物では獲っても売れない、生産コストがまかなえないなど、漁業・水産関係者に大打撃を与えています。

 また、政府は、東日本大震災による東電福島第一原発事故で発生した放射能汚染水の海洋放出を2年後に始めることを決定したことは、ようやく本格操業の見通しがついてきた常磐沖漁業の復興を逆行させるだけでなく、日本の漁業水産業の全体に打撃を与え、国際的信用も台無しにするものです。

 政府は、改悪漁業法の施行を強行するとともに、TPP11の拡大、日欧EPA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)などの自由貿易を促進しています。あわせて、農林水産物の輸出を現在の1兆円弱から2030年までに5兆円に増やす目標を掲げ、そのために輸入障壁の撤廃が必要と貿易の自由化を正当化しています。これは、アベノミクスが掲げた「企業が最も活躍しやすい国づくり」をさらに強めようとするものです。

 世界的にも、海水温の上昇など海洋をめぐる環境変化、途上国を中心にした水産物の需要の増大と漁獲競争の激化、利益優先の開発による漁場の環境悪化のもとで、水産資源の減少が深刻化し、水産物を輸入に頼ることは、ますます困難となっています。国連が呼びかけたSDGs(持続可能な開発目標)でも、海洋環境と水産資源の維持、漁村と沿岸漁業・漁民の維持・改善を重要課題とし、国連は2022年を「小規模伝統漁業・養殖業に関する国際年」に設定しました。小規模沿岸漁業の維持・振興は国際的な共通課題になっています。

 日本共産党は、家族経営と漁業者の共同で成り立っている沿岸漁業、沖合漁業者が、互いに尊重しあい、資源の実態にあった持続可能な漁業を展開できる政策をめざします。わが国の主権を確保しつつ国際的な資源管理を適切に進めます。沿岸漁業・漁民の操業と暮らしを守ることを柱に、国内漁業の振興と水産物の安定供給、水産物の自給率の向上をめざします。

漁業法改悪の問題点

 自公政府は、2018年、70年ぶりに漁業法の「抜本改正」を行いました。1954年制定の「漁業法」と2009年制定の「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」(通称TAC法)を合体したもので、新法といえるものです。

 第一は、これまで沿岸漁民や漁協等に優先的に配分してきた養殖・定置漁業の漁業権を地元漁業者の頭越しに企業に直接与える道を開き、地元優先のルールをなくしたことです。儲かりそうな漁場、魚種への企業参入を進め、競争力強化の名目での規模拡大をすすめるものです。

 第二は、資源管理について、漁船のトン数制限など漁獲能力の規制や湾・地域や魚種に応じた漁獲時期・漁獲量の取り決めなど漁業者主体で行ってきた資源管理ではなく、政府が主導して漁獲数量を割り当てるやり方に変えることです。政府は、TAC(魚種ごとに漁獲可能量を設定)を漁獲量の80%にまで増やし、漁船ごとに漁獲量を割り当てる仕組み(IQ)を順次拡大するとしています。

 漁業者は、この改訂で大手資本が優遇され、小・零細漁業者の配分が減らされるのではないかと危惧しています。その懸念を先取り的に示したのが、2018年夏のクロマグロにたいするTAC規制の強行実施でした。実績にもとづいたとされた割り当ては、大中巻網漁業などの企業的漁業に手厚く、沿岸漁民には極めて少量でした。中小マグロ漁民の激しい抗議うけてわずかばかり追加配分はされましたがその仕組みはほとんど変わっていません。また、IQは、譲渡が可能であり、企業など力のある漁業経営への集中が避けられません。

 第三は、沿岸漁業の漁業権の配分などに漁民の参加を保障してきた海区漁業調整委員の公選制も廃止したことです。選出過程で漁民の意見を聞くといいますが、漁業者による監視、意見の反映ができる仕組みを弱めることにならざるをえません。

 改定漁業法は、圧倒的多数の漁業者に納得できる説明もないまま強行可決され、2020年12月に施行されました。施行令、施行規則には一定漁業者の要求を考慮した部分もあり

 「従来の漁業権者が適切かつ有効に操業している」場合に優先的に免許されるという規定は入っていますが、漁業への資本参入の条件緩和などは変わりません。日本共産党は、改定法の採決に反対するともに、コロナ禍のもとでの施行の延期を要求しました。

日本共産党の漁業・水産業政策

沿岸・小型漁業、地域漁業の維持・発展を漁業政策の柱に―――現在、各国政府に農林漁業の小経営に対する支援強化を求める「国連家族農業の10年」(2019年~28年)が進行中です。加えてFAO(国連食糧農業機関)が行ったシンポジウム」では、2022年に「小規模伝統漁業・養殖業に関する国際年」を設定すること、小規模漁業に関するガイドラインの原則にもとづく援助の強化を呼びかけました。この立場での漁業政策を推進します。

新漁業法の問題点を明らかにし、漁業者の意見を反映させながら実施する―――沿岸・養殖漁業は、全体の漁獲量が減る中でも基本的に生産を維持し、資源の減少を多様な生産や技術の開発などの努力で発展させ、国内生産における比重を高めてきました。水産政策の実施にあたっては、TAⅭの全国一律的な実施ではなく地域の特性や漁業者による自主的な資源管理など、これまで築き上げてきた沿岸漁民の努力を反映させ、漁協と地域に定着して操業する漁業者を優先します。IQの導入は慎重かつ限定的に行うべきです。あわせて、都道府県が地域の実態と漁業者の意向を踏まえてつくられる条例を尊重します。

魚価の安定、燃油・資材価格の引き下げなど漁業経営安定対策を確立する―――新型コロナウイルスによる魚価の低迷、販路の喪失などにたいし、漁業経営維持のための給付金を充実させ、生産と流通機能の維持・充実をはかります。

 経営を安定させ、乱獲を防ぎ、資源の保全をはかるために、政府の責任による魚価安定対策を強化し、調整保管や下落時の補てんなどによる産地魚価の下支え対策を強めます。漁業共済・積み立てプラス制度における国負担の拡大による掛け金負担の軽減、中小漁業者が加入しやすくする要件緩和など、所得対策を充実させます。資源保全のための休漁・減船による減収補償を国の責任で充実させます。

 高船齢漁船の省資源型漁船への代船や資源管理に適する漁法の開発・普及、軽油免税措置の恒久化など、漁業者の経営安定と消費者価格の安定対策に取り組みます。

資源管理に沿岸漁業者・協同組織の意見を反映させ、沿岸漁民の生業を守る―――資源管理について資源調査の精度を高めるとともに、各地で活動している漁業者による資源管理を生かすことを重視します。地域の条件に合わせてつくられる「浜の活力プラン」を尊重します。公選制を廃止した海区漁業調整委員の選出に漁業者の意見を十分反映させるとともに、委員会の運営が漁業権の独占的な支配や中小漁業者を締め出しにならないようにします。

 政策の推進にあたっては、「競争力の強化」の押しつけではなく、FAO(国連食糧農業機構)の「責任ある漁業のための行動規範」が求めている「生存漁業、小規模漁業および沿岸漁業小規模漁業者の利益を考慮し、沿岸漁業者・小規模漁業者の操業・経営を守ることに重点をおきます。釣り・定置網などの「待ちの漁法」が資源略奪でないことを評価した漁獲規制対策に重点をおきます。クロマグロなど、国際的な管理体制のもとでおこなう漁獲割り当てでは、沿岸への優先配分を行うとともに、大中巻網など大量漁獲の漁船にたいする漁獲監視などの制度化をはかります。

新規漁業就業者支援制度を充実させる―――自治体による新規就業者にたいするさまざまな支援策が実施されています。国の新規漁業就業者総合支援事業を充実・改善するとともに、若い新規就業者に一定の期間、生活費を補てんする制度を国の制度として確立し、漁業への若い人の就業と定着をはかります。

漁業・漁村を維持し、多面的機能が発揮される地域活動を支援する―――沿岸漁業の再生とともに、漁業集落、水産業集積地の再建を、地域の計画・合意を基本にすすめます。離島を含む、漁業・漁村の環境や国土保全に果たしている役割を正しく評価し、交通網の整備、「離島漁業支援再生交付金」の充実、多面的機能を維持・増進させる地域活動への支援制度をつくります。国の予算の使い方を、漁業者の所得補償や水産物・加工品の販路の確保、地産地消の推進、産地水産加工の振興などを重視する内容に組み換えます。

 密漁、違反操業にたいする国による監視体制を強めます。プレジャーボートなど遊漁業者による漁獲に対する調整・協力を広げる制度をつくります。

漁業と水産業を一体にした災害復旧を早急にすすめる―――東日本大震災から10年になりますが、漁業と漁場とともに、漁港、冷蔵庫、水産加工、流通など水産業を一体にした復興には、多くの問題が残されています。その後も、各地で台風・豪雨・海水温の上昇などの漁業・施設被害が相次いでいます。公共・共同施設以外の漁業施設の復旧援助や、グループ補助金の適用期間の延長と要件の見直し、経営の実態にあわせた返済の猶予制度の創設、漁業者や地域住民がのぞまない住宅地や巨大防潮堤の建設などを見直し、漁業活動と住民生活、景観との両立をはかる津波対策、沿岸地域づくりをすすめます。

放射能汚染対策をはじめ、水産物の安全な供給に努める―――東電福島第一原発事故が引き起こした放射性物質による海洋汚染のため、福島県沖では試験操業から本格操業に踏み出そうとするところであり、禁漁が続いている河川・湖沼も残されています。政府・東電が放射性トリチウムを含む汚染水の海洋投棄を決定、2年後に実施しようとしていることは重大です。決定を破棄し、科学的知見を総動員して処理方法を確立し、きめ細かい放射能調査、河川・湖沼の除染を国の責任ですすめ、魚介類の安全の保障、漁業再開への条件をひろげます。漁業関係者にたいする東電による休漁の保障、施設の復旧費用の賠償とともに、操船・漁獲・加工技術の維持・継承などへの助成を国の責任ですすめます。

 税関の職員をふやすなど体制を強化し、輸入食品への残留農薬検査の体制強化、海のエコラベル(MSCやMELなど)の普及など持続可能な漁業の推進と安全な水産物供給に取り組みます。

内水面漁業の振興―――内水面漁業は、鮎、ウナギなどの食用水産物や錦鯉などの観賞魚を供給するとともに、河川、湖沼は釣り場の体験など自然と親しむ機会を提供する多面的機能をもち、農林業、観光業と一体で地域産業を形成している地域も少なくありません。減少が続いていた生産量も最近では横ばい状態です。産出額の過半を占めるウナギ稚魚の不漁、改修工事や災害激甚化による河川漁場の環境悪化、カワウ、外来生物による食害などもの困難もあり、漁業者の減少・高齢化が進んでいます。河川環境の保全・修復対策の、ウナギ稚魚の確保、観光と一体の振興などの振興策を強めます。

自由貿易一辺倒でなく資源管理型漁業を保障する貿易ルールの確立をめざす―――世界の水産物消費量が増え、資源の減少があきらかなもとで、自公政権が推し進める自由貿易の拡大は、輸出に特化した政策展開とともに、漁業生産と漁民くらしにも重大な影響を与えずにおきません。適切な輸入規制と漁業者の所得確保など、各国の主権を尊重した資源管理と漁業の振興を保障する貿易ルールの確立をめざします。

 日本の国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退は捕鯨そのもの否定する動きに大きな要因がありますが、国際的な捕鯨再開への努力を引き続き進めるべきです。同時にわが国EEZ内で行う商業捕鯨の再開については、資源のしっかりした把握のもと、伝統的捕鯨を中心に地域住民の食生活、漁村地域の地場産業としての支援を強めます。

大型開発、米軍の艦船や爆撃訓練などから漁場を守り、操業の安全を保障する―――沖縄県名護市辺野古崎への米軍新基地の建設を止めさせ、漁協との取り決めを破る佐賀空港へのオスプレイ配備、西之表市馬毛島への軍事基地建設など漁場を破壊する基地建設・運用を中止します。日米地位協定を抜本に改定し、米軍の潜水艦、巡洋艦による海難事故の根絶、全国各地に設定されて広域に漁船の操業を規制する米軍の爆撃訓練海域の廃止・縮小をもとめ、米軍の演習などから漁船の操業と地域住民の安全をまもります。

 漁場を破壊する沿岸域開発の中止・見直しをすすめます。諫早湾への海水導入による干潟・藻場の再生で荒廃した漁場の改善・保全を農業者とも共同してすすめ、有明海をよみがえらせます。政府は福岡高裁が提案した「和解に向けた話し合い」、非開門を前提にしない話し合いに応じ、漁業者と農民との共存をはかるべきです。

漁業専管水域(EEZ)における外国漁船の規制、日韓・日台・日中などとの漁業協定の締結などを国の責任ですすめ、資源保護と操業の安全をはかる―――政府に周辺国との資源管理で積極的な役割をはたさせなければなりません。サンマ、サバ、イワシなどの小型浮魚類の資源減少には、周辺国の公海での漁獲拡大の影響も指摘され、日本政府も協議を呼びかけています。中国なども協議の意向は示していますが、裏付けをもった交渉で国際的な資源管理を発展させる努力をつよめます。

 尖閣列島、竹島、北方領土などでは、領土問題に関連して、日本の漁民が操業自粛や縮小を余儀なくされています。政府が領土問題で道理ある主張を行い、EEZ内の好漁場である大和堆での中国・北朝鮮漁船による違法操業の排除など、政府の責任で水産をめぐる主権の擁護と漁民の権利を守る、外交政策の確立をはかります。

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