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日本共産党

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赤旗

加盟店の営業と権利を守り、コンビニ業界の健全な発展をはかるため、コンビニ・フランチャイズ法の制定を

日本共産党の緊急提言

2019年6月7日 党国会議員団

 

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 現在コンビニエンスストア(コンビニ)の店舗数は約5万7000店舗にのぼり、2000年から2万2000店舗増加しました。コンビニ業界の売上高も増加し、09年には百貨店を抜きました。小売業における比率でも2000年には5%だったものが今や8.3%です。その業務内容も商品を販売するだけではなく、税金や保険料の収納代行、ATM、災害時の支援拠点など多岐にわたっており、地域を支える重要な役割を担っています。人々の生活にとっても、コンビニはなくてはならない存在です。

 コンビニは一般的に24時間365日営業です。しかし、東日本大震災後の節電の取り組み、19年に時短営業を始めた東大阪のオーナーらの訴え、労働環境に対する国民の意識変化で、24時間営業を不要と考える人も多くいます。同じチェーン店が目と鼻の先にあり、過剰出店と思われる地域も少なくありません。恵方巻きなど大量の食品廃棄が毎年報道され、消費者も関心を寄せています。コンビニ本部が加盟店に相談なく新たな業務を押しつけるケースもあります。コンビニの経営スタイルの在り方が問われています。

 「20年で1日しか休みがない」「親が死んでも休めない」―日本共産党が2018年、大阪府内4000店舗に行ったアンケート調査に寄せられたオーナーの悲痛な声です。平均労働時間は1日12.8時間、毎日18時間以上働いているオーナーもおり、過酷な実態が浮き彫りとなりました。経産省の調査(18年度)でも、半数が売り上げが減少したと答え、従業員不足が全体の61%と、前回調査(14年度)の22%から大幅に増加しました。「加盟したことに満足していない」は前回17%が39%へ増加し、理由は主に長時間労働や利益の低さでした。「契約を更新したいですか?」に対し「更新したい」と答えたのは前回68%から45%に減少し、「わからない」が前回10%から37%へ増加しました。

 人手不足や人件費の高騰、高いまま変わらないロイヤルティー(上納金)、24時間営業の強制、ドミナント(特定地域への集中出店)による売り上げの低下、特異な会計方式、仕入れの強要や契約の更新拒絶など、さまざまな要因が絡み合って「コンビニ経営の危機」が起きています。その根本原因は、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンなど大手フランチャイズチェーン本部と加盟店が対等な関係にはなく、不公正なフランチャイズ契約で縛られる点にあります。その結果、本部だけが大きくもうけ続ける一方、オーナーの利益は低いままという不公平な利益配分を強いられるのです。「業務は複雑化しているのに利益が出ない」「このままではコンビニ自体が立ち行かなくなる」。あるオーナーの言葉です。こうした現状は緊急に是正されなければなりません。

 ところが、既存の法規制は不十分です。中小小売商業振興法は契約締結前の情報開示義務にとどまります。独占禁止法は主として契約締結後の個別紛争を対象とし、争うには相当な時間と労力が必要です。親事業者の下請け事業者に対する不公正取引を取り締まる下請検査官のような仕組みもありません。オーナーや加盟店団体は何度も事態を是正するための話し合いを求めてきました。その努力で前進した面もありますが、交渉力の格差から現状は変わっていません。

 したがって、直面する危機打開のためには、コンビニ本部の横暴を規制し、オーナーの待遇を、コンビニが担う社会的役割に見合ったものに改善するとともに、業界が健全に発展することを目的とした新たな法律が必要です。

 日本共産党はこれまでも、コンビニ・フランチャイズ取引適正化のための法整備を提案し、実現のために奮闘してきました。コンビニをとりまく近年の変化を踏まえると、法整備の必要性はますます高まっています。コンビニの持続可能な発展のためにも、以下の内容を含むコンビニ・フランチャイズ法の制定を提言します。業界、オーナー、コンビニ利用者による活発な議論を呼びかけます。

〈提言1〉
▼営業時間・日数は加盟店の独自の判断を尊重し、加盟店の意に反して本部が強制することを禁止する

 コンビニをはじめフランチャイズ事業のなかには、「24時間・年中無休」などの営業時間を実質的に強制している事例が多数あります。いっときでも時短営業や休業すれば多額の違約金を請求され、オーナーは休みたくても休めません。

 2018年2月、豪雪に見舞われた福井県のセブンイレブン加盟店が本部に一時閉店を要請したものの、本部担当者が拒否し、一緒に除雪に当たっていたオーナーの配偶者が過労により救急車で運ばれました。19年2月には、東大阪市のセブンイレブン加盟店が、人手不足とオーナーの過重労働のためにやむにやまれず時短営業に踏み切ったところ、本部から多額の違約金を提示されました。もはやオーナーと家族の人権にかかわる問題です。

 こうした、健康破壊や家庭崩壊、過労死にいたらしめるまでの長時間労働を強いる営業時間の実質的な強制は許されません。

 営業日・営業時間を加盟店の意に反して、実質的に強制することは禁止します。

〈提言2〉
▼本部が、既存加盟店の近隣・商圏内に出店することを原則として禁止する
▼やむをえない事情により既存店の商圏内に出店する場合には、事前説明及び代償措置についての協議を義務づける

 2010年に開店した東京のあるコンビニ加盟店は、店から半径200メートル内に4店舗もの同チェーン店ができたことにより売り上げが激減し、2019年3月末に閉店に追い込まれました。本部にとってみれば、ドミナントで客が増え全体の売上高が少しでも上がれば、ロイヤルティー収入が増えますが、個々の加盟店にとっては、客も人手も奪い合うことになり、死活問題です。

 一部のコンビニチェーンでは、加盟店のテリトリー権を認め、営業区域内の新規出店の際、既存オーナーとの協議を前提としているものが存在します。本部による一方的な出店により、既存加盟店の経営とオーナーの生活が脅かされる現状は正されるべきです。既存加盟店の優先権を認めて、本部による既存加盟店の近隣・商圏内への出店を原則として禁止します。

〈提言3〉
▼人件費の上昇など社会情勢の変化に応じて、ロイヤルティーを見直す機会を設ける
▼ロイヤルティーを提示する際、本部は合理的な算定根拠を示す

 2018年度末に経済産業省がコンビニオーナーを対象に行ったアンケートでは、61%のオーナーが人手不足を訴えています。全国的な労働力不足に加え、人件費の高騰、社会保険への加入義務の負担も相まって、アルバイトを雇うためのコストが増加しています。深夜勤務ならなおさらです。

 コンビニ従業員の人件費は全てオーナーが負担しています。手元資金を人件費に回すことができない最大の要因は、本部に納めるロイヤルティーが高いことにあります。ロイヤルティーが抜本的に引き下げられることもなく、オーナーの負担は増える一方です。

 ロイヤルティーを社会情勢の変化に合わせ、本部と加盟店の利益配分を共存共栄にふさわしい、合理的なものになるように適宜見直すこととします。

〈提言4〉
▼オーナーにだけ廃棄負担を押しつける特異な「コンビニ会計」をやめさせ、廃棄した商品の仕入れ金額を売上原価に組み込むようにする

 ほとんどのコンビニ各社がロイヤルティーを計算する際には「コンビニ会計」と呼ばれる特異な計算方法が用いられています。

 通常の会計では、売上金額から仕入れ金額を引いたものが粗利です。しかし「コンビニ会計」では、仕入れ金額に廃棄分(売れ残り分)を含めない仕組みになっています。結果として、実際よりも水増しされた粗利をもとにしてロイヤルティーを計算することになるため、オーナーにとって経営上の大きな負担になっています。

 この「コンビニ会計」のもとでは、本部はオーナーに必要以上の発注を強いることになります。一方でオーナーは、見切り販売(売れ残った商品を値下げして売ること)で廃棄の負担を軽減しようとしますが、そうなると「コンビニ会計」上の粗利が減少するため、本部が得るロイヤルティーも減少します。

 そのため、本部はオーナーに対し見切り販売の妨害を行ってきましたが、2009年に公正取引委員会によって排除措置命令が下され、本部の行為が断罪されました。

 この「コンビニ会計」の仕組みは大量の廃棄ロスを生む要因となっています。廃棄は一般廃棄物として処分されるため、環境への負担になるだけでなく、処分費用に少なくない税金が投入されています。

 このように加盟店の経営だけでなく、環境や地方財政にも悪影響を与える「コンビニ会計」はなくします。

〈提言5〉
▼オーナーの意思によらず、かつ正当な理由のない本部からの恣意(しい)的・一方的な更新拒絶は認めない
▼更新拒絶の際は文書で正当な理由を送付する
▼営業権買い取りなど、一定の補償を規定する

 通常、コンビニのフランチャイズ契約は10~15年のスパンで更新され、店を続けることとなります。契約の更新を本部に拒絶されれば店を続けられなくなり、オーナーは生活の糧を失ってしまいます。

 しかし本部による契約更新可否の基準は曖昧です。まともな理由を示さずに更新拒絶される例もあります。オーナーは、「本部の言うことを聞かなければ店を続けられなくなるのではないか」という不安のもと、本部からの理不尽な要求を受け入れざるを得ないのが現状です。

 見切り販売に踏み切るオーナーが少ないのも、本部が「見切り販売を推奨しない」という姿勢を打ち出している中、見切り販売をすれば契約更新に応じないのではないかというオーナーの不安があるからです。

 オーナーの意思によらず、かつ正当な理由のない本部からの恣意的・一方的な契約更新の拒絶は禁止します。

〈提言6〉
▼オーナー・加盟店団体と本部との交渉権を保障する
▼中小企業庁、公正取引委員会などの行政による監視・指導体制を確立する
▼本部と加盟店との間の第三者紛争処理機関を創設する

 提言1~5の内容を含むフランチャイズ規制の実効性をより担保するための仕組みが必要です。

 本部・加盟店間には圧倒的な交渉力の格差が存在するため、本部が真摯(しんし)に協議に応じることはまれです。フランチャイズチェーン協会をはじめ本部側に対し、オーナーや労働組合、加盟店協会等の団体が対等の立場で協議・交渉できる権利を保障します。

 中小企業庁や公正取引委員会などがフランチャイズ本部・加盟店の定期調査を行い、問題と思われる事例が発見された場合は、本部への立ち入り検査や帳簿等関係書類の提出を求めることができるようにし、行政による監視・指導体制を確立します。

 当事者が申し立てを行った場合に公正取引委員会等の第三者の立ち会いのもとで紛争を処理する機関を創設します。

海外では加盟店保護を目的とした法規制が多数存在します

 これら諸課題の解決のためには、諸外国のように本部に対し立場の弱いオーナーを保護するための法規制が必要です。例えば米国・アイオワ州法では、本部が既存の加盟店の近隣に新規出店して、既存加盟店の売り上げに悪影響を与えた場合、被害を受けた既存加盟店は、本部に対して損害賠償請求権が認められています。韓国でも、近隣出店には正当な理由が必要です。マレーシアは契約にテリトリー権が明記されており、インドネシアは店舗数の制限があります。契約更新についても、韓国、オーストラリア、米国のアイオワ州、カリフォルニア州において契約更新の拒絶に関する法規制が存在します。本部・加盟店間の個別的な紛争を、行政が仲介して処理する仕組みが導入されている国もあります。

 コンビニで働く労働者や、コンビニを生活の支えとしている消費者のためにも、不公正な契約の見直しによる加盟店の経営環境の改善が必要です。

 日本共産党は、オーナーのみなさんがよりよい環境で働けるように、加盟店の事業者としての営業と権利を守るルールの確立をめざします。

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