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64 自殺対策

自殺防止に全力を尽くし、自殺者をつくりださない社会をめざします

2019年6月

 わが国の自殺者数は、1998年以降、14年連続で3万人を超える状態が続いてきました。2012年になって15年ぶりに3万人を下回り、昨年(2018年)1年間の全国の自殺者数は1万598人(警察庁発表、速報値)で、前年より723人減り、9年連続で減少しました。

 その背景には、2006年に自殺対策基本法が制定(2006年)されて以降の、行政や社会の努力が反映していることは間違いありません。しかし、未だに1日平均で56人もの人が自殺していることは、それ自体が異常な事態であることは変わりなく、さらなる支援が求められています。

 とくに日本の自殺の現状を考えた場合、2つの点で深刻な問題があります。

 一つは、他の主要国と比較しても自殺者の数が多いことです。G7(主要7カ国)で見た場合、10万人あたりの自殺率は、日本が19.5人と最悪です。これは、フランス(15.1人)、アメリカ(13.4人)の1.3~1.4倍、ドイツ(12.6人)、カナダ(11.3人)の1.5~1.7倍、イギリス(7.5人)の2.6倍、イタリア(7.2人)の2.7倍に上ります。(WHO=世界保健機関、2015年)

 もう一つの深刻な問題は、10代から30代の、いわゆる青年層の死因のトップが自殺になっていることです(厚生労働省の前記白書)。5歳区切りの年齢階級別の死因をみると、15歳から39歳までの年齢層の死因のトップが自殺です。なかでも、社会にとってもっとも清新な活力となるはずの20歳から24歳の死者のうち、2人に1人の死因が自殺となっています(50.8%)。25歳から29歳の死亡者のうち、自殺の占める割合は49.5%と、こちらも半数に迫っています。15歳から34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのはG7の中では日本のみです。前途にもっとも希望をもてる、もつべきはずの世代が、自死を選ぶ社会は、やはり構造的な病弊をかかえているといわざるをえません。

 自殺は、「個人の問題」ではなく、「社会構造上の問題」といわれます。自殺の多くは「追い込まれた末の死」です。それだけに、「避けられる死」であり、とりわけ「多くの自殺は社会的支援があれば避けることができる死」だとされます。だからこそ、「だれも自殺に追い込まれることのない社会」をつくるために全力を挙げなければなりません。それこそが政治の責任です。

 自殺にいたる原因(動機)は、過労によるものなど明確に一つに特定できる場合もありますが、そのような例はけっして多くはありません。たとえば倒産や失業、多重債務などの経済問題にくわえて、自分や家族の病気、介護などの健康問題もからみ、一方で事故や家庭内の問題もかかえるなどのように、複合的な要因が複雑にからんでいる場合が多々あります。

 だからこそ、一人ひとりがかけがえのない命をもつ大切な個人なのだというメッセージを、政治や社会が発するとともに、そうしたメッセージにふさわしい施策を、全国民的に目に見える形で推進していくことが求められます。過労で自殺に追い込むなどということは絶対にあってはなりませんが、ブラック企業を放置したり、弱者を切り捨てたりするような経済、社会保障政策はただちに転換させなければなりません。

 そのためには、なによりも、貧困と格差を拡大してきた経済政策を根本的に転換し、社会保障や医療制度を改悪してきた政策を改め、すべての国民が、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営める」生活を送れるような施策を講じる必要があります。また、生活保護をバッシングするような風潮を一掃するとともに、対立と分断の社会から、連帯と共同の社会へと転換させることがもとめられています。

 この間、「アベノミクス」が大々的に喧伝されてきましたが、庶民のくらしはいっこうに向上しないどころか、ますます苦しくなってきました。2014年の消費税8%への引き上げをきっかけに働く人の実質賃金は年10万円も減りました。労働法制も次つぎと改悪され、非正規雇用も拡大されてきました。

 自殺の原因をとりのぞくためには、以下に上げる個々の対策も重要であり、いっそうきめ細かく対応してゆく必要があります。同時に、重要なことは、安定した雇用の確保、中小企業の経営の安定、生活保護の切り捨てをはじめ社会保障改悪の中止など、国民のくらしをささえ、健康を守る政治です。過度の競争的教育の是正や、学校でも職場でも「いじめ」をなくすなど、個人の尊厳と権利を尊重する教育と社会への転換です。

 自殺問題の解決にむけて、日本共産党は当面、以下の施策をただちに実行していくことを求めます。

――各自治体や、自殺・貧困問題にとりくむNPO(非営利法人)などを中心に自殺対策の努力が広がっており、こうした機関・組織などと連携しながら、自殺の未然防止、問題の改善と解決に向け努力する。

――警察が収集し、内閣府が保有している地域別、職種別などの詳細な自殺をめぐるデータが非公表とされています。自殺対策をすすめるために、プライバシーに配慮しつつ、データの公表を求めます。

――うつ病対策などのメンタルヘルス(心の健康)の問題にも、政府や行政が積極的に取り組み、心の病を患っている人にたいし、適切なケアを施す体制を、職場や地域に確立するよう求めます。保健や医療だけにとどまらず、福祉、教育、労働などとも連携をはかれるよう体制整備が必要です。

 

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