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日本共産党

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赤旗

新型コロナQ&A 感染爆発・医療崩壊ストップ 暮らしといのち守る

 新型コロナから、国民の暮らしと営業、いのちを守るため、政治があらゆる手立てをつくすことが必要です。いま、感染爆発・医療崩壊を止めるには、どんな対策が必要か──しんぶん赤旗4月19日付に掲載した「Q&A」「お役立ち情報」を補強してお届けします。

お役立ち情報↓

人10万円」給付早く

Q 政府もようやく「1人10万円」の検討を始めたようですが…。

A 政府が当初の補正予算案に盛り込んでいた「1世帯30万円」の給付は、「収入が半減」とか「住民税非課税水準」とか、あれこれの条件をつけたために、対象が狭く、不公平をつくりだす内容でした。いま必要なことは、困っている人に早急に暮らしを支える資金を届けることです。あれこれの条件をつけずに、すべての人を対象にすることが、スピードという点でも不公平を生まないという点でも、有効な方法です。

 国民の声におされて、政府も1人10万円の給付案を検討し始めましたが、この給付が本当に早く届くようにすることが必要です。前回2009年の「定額給付金」では、多くの自治体で補正予算成立から給付開始まで2~3カ月以上もかかりました(グラフ)。これでは遅すぎます。今回も、「5月下旬から6月上旬」(公明党幹部)になってしまうなどと言っていますが、できる限り早める努力が必要です。

 日本共産党は、一貫してすべての日本在住者に「1人10万円」の現金給付をと主張してきました。その方法として、市役所などに出向かなくても郵送やメールでできるようにして、本人が指定した口座に振り込むなど、できるかぎり簡素な方法を提案しています。コロナの影響を受けている日本在住者は、外国人も含めて対象とし、いわゆるホームレスなど住民登録や銀行口座のない人にも、福祉窓口を通じて支給できるようにします。

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賃金・収入 8割補償を

Q 自粛で仕事がなくなり、生活できない。支援がほしいのだが…。

A コロナで仕事がなくなったり、休職や休業せざるを得なくなったりした人には、10万円の給付金だけではとても足りません。コロナの収束のめどが立っていない現在、減収がいつまで続くかもわからないという不安があります。イギリスなどで実施されているように、日本でも賃金や収入の8割を補償することが必要です。

 雇用保険制度の雇用調整助成金を活用して労働者を休業させた場合、現在は賃金の6割以上の休業手当が支払われていますが、日本共産党は「コロナ特例」として8割まで引き上げ、国の予算で財源を手当てすることを提案しています。雇用調整助成金は、休業手当が支払われてからの「後払い」となっているため、支給が遅れています(表)。「事後審査」を基本にして、相談・申請があれば迅速に支給するようにすべきです。

 雇用保険に入っていない非正規社員や個人事業主、フリーランスについても、全額国庫負担で賃金・収入の8割を補償する仕組みをつくることが必要です。

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家賃など固定費の補填で事業継続を

Q 休業要請されたが、協力金だけでは家賃も払えません。

A 休業などで売り上げが減っても、事業所の家賃や機械のリース料などの負担はなくなりません。これが補填(ほてん)されなければ安心して休業できず、コロナ対策の実効性が上がらず、コロナ終息後の経営の持続も困難になります。政府案の「持続化給付金」(表)については「人件費を除く固定費の半分程度を給付するという考え方」(経済産業省)と説明されていますが、売り上げが前年度の半分以下にまで落ち込んでいることが条件とされるなど、対象が狭すぎます。

 日本共産党は、対象を直接・間接に損失を受けた事業者全体に拡大し、給付額も固定費を払える額に引き上げ、感染防止対策のために安心して休業できるようにするべきだと提案しています。コロナの長期化に備えて、1回限りでなく3カ月単位で支給を継続します。

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イベント中止に必要経費補填を

Q 舞台上演が中止になって、このままでは劇団の存続が危ぶまれます。

A 演劇やコンサートなどのイベントが次々に中止に追い込まれました。その多くは、政府の自粛要請に協力したものです。イベントの中止によるキャンセル料、会場費などの損害は甚大です。放置すればかけがえない日本の文化や芸術・芸能が壊されてしまいます。日本共産党は、必要経費は国が責任をもって補填すべきだと主張しています。2~3月期に中止したイベントにもさかのぼって適用する必要があります。

地方創生交付金2倍に

Q 独自支援策をとっている地方もあるようですが、国からの支援はないのですか?

A 政府案には1兆円の「地方創生交付金」が計上されていますが、1県当たりにすればまったく不十分な金額です。東京都では、自粛要請に応じた事業者に、1店舗には50万円、2店舗以上なら100万円の「協力金」を出していますが、都が指定した業種に限られています。財政力の弱い他の県では、その程度の協力金でさえ困難です。「緊急事態」が全国に拡大されたいま、こうした自粛・休業補償や、観光など地方の重要産業への支援策などをどの地方でも実施できるよう、「交付金」の規模をせめて2倍に増やすよう、日本共産党は提案しています。

学生の苦境どうする?

Q 大学に合格しましたが、学内は閉鎖、授業もなし、なのに学費は引き落とされています。バイトもできません。どうにかなりませんか。

A 新型コロナウイルスの影響は、学生にも広がっています。バイトが激減して生活費や住居費が払えない、せっかく合格や進級したのに大学が閉校して授業をやっていないなどの不安が広がっています。しかし、政府の対策には「学生対策」が抜け落ちています。

 バイトも労働者です。労働契約法上、不当な理由で一方的な首切りはできません。同意なしの時給引き下げも違法です。

 日本共産党は、バイトの減収にたいしても8割補償する支援策を提唱しています。また、休校や構内立ち入り禁止期間については、授業料を国が全額補填して返還するなどの支援が必要です。奨学金の返済猶予など負担軽減を求めています。

休校どう見たらいいの?

Q 「緊急事態宣言」で再開を予定していた学校が休校になるなどしています。どう見たらいいですか?

A 感染拡大への対応として休校は一つの選択肢です。全国一律休校の時とは局面が違います。

 専門家会議は4月1日の提言で、休校を「拡大警戒地域」での選択肢としました。「現時点での知見では、子どもは地域において感染拡大の役割をほとんど果たしていない」ことから、地域等のまん延の状況を踏まえて休校を判断するというものです。

 16日、緊急事態宣言の対象地域が全国に広がりましたが、その趣旨は連休中の全国一丸の対策などにあり、全国一律の休校を求めたものではありません。

 現在の休校は、感染者の大幅な増加などの地域における、子どもへの感染防止策であり、保護者を家庭にとどめる施策の一つです。

 ただし、学校には子どもを守り育てる社会的機能があります。そのため学校を休校にしても、学校の機能は止めてはなりません。休校は学校の機能の代替策や保護者の休業補償と一体で行われるべきです。

 学校の機能としては(1)子どもの学び、心のケア、安全確認のため、状況に応じた分散登校、連絡、ネットの活用(2)医療従事者などの子どもの受け入れ、給食(3)受け入れのニーズが高い特別支援学校での配慮(4)福祉などと連携した困難をかかえる子どもへの対応などがあります。

 また、学校など子どもと接する公的機関は格段の感染防止対策が必要です。その優先度を行政全体で確認し、マスクや消毒液等の備品の確保、校内で症状が出た場合の隔離の設備など万全の対策が急がれます。

 一連の施策のために、政府は特別な財政支援を行うべきです。

消費税5%に踏み切る

Q 消費税増税も大きな負担でした。この際、減税したらと思いますが…。

A コロナによる景気悪化は世界的な現象ですが、日本ではコロナ発生以前から消費が落ち込み、景気が悪化していました。消費税増税の影響です。乗用車の国内販売台数やデパートの売り上げは、消費税が増税された昨年10月以来、前年比マイナスが続いていました(グラフ)。そこにコロナが追い打ちをかけたのです。

 このままでは、コロナが収束しても景気が回復するか確かではありません。消費税率5%への引き下げは、一時的ではない経済対策として大きな力を発揮します。消費税減税の財源は、コロナ終息後に、大企業や大金持ちに応分の負担を求めるなど、応能負担を原則とした税制の見直しをすすめて確保します。

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医療崩壊を止めるには?

Q 医療崩壊が心配です。どうしたら止められるのでしょうか。

A PCR検査が遅れに遅れ、多くの国民が必要な検査を受けられない状態がつづくもと、新型コロナの市中感染が広がり、各地の病院で院内感染が多発するなど、医療崩壊はすでに始まりつつあります。これをくい止める決定的なカギは、検査体制を抜本的に強化すること、医療現場への本格的な財政支援を行うことです。

 ところが、政府の補正予算案では、医療体制への支援は、PCR検査、病床(ベッド)や軽症者向けの宿泊療養施設の確保、人工呼吸器の整備など、すべてを合わせて1500億円にすぎません。

 マスクの配布や治療薬の開発など、その他の予算を含めても8000億円程度です。こんなわずかな予算では、医療崩壊を止めることはできません。

 日本共産党は、関連予算を数兆円規模に拡大し、検査体制の強化・拡充、医療機関と地域医療体制を守るための財政投入など、医療崩壊を止めるため、あらゆる手だてをとることを政府に求めています。

PCR検査増やすには?

Q PCR検査がなかなか受けられないと聞きます。もっと増やす必要があるのでは?

A すでに、感染経路のわからない感染者が多数になっており、集団感染(クラスター)を追跡するこれまでの検査方式は限界に達しています。必要な検査を大規模に行う体制への転換が急務です。

 この間、多くの医療関係者から、検査と治療・隔離をすみやかに行うためPCR検査センターを各地で立ち上げることが提案され、医師会や自治体でも、そうしたセンターを設置する動きが起こっています。基本的に「帰国者・接触者相談センター」(保健所)を介さないと検査が受けられないという従来の仕組みをあらため、感染が疑われる人は(1)かかりつけ医や一般病院の医師にまず電話で相談する(2)医師が「検査が必要」と判断した場合は、PCR検査センターで診察と検体採取を行い、検査を実施する(3)陽性の場合は、保健所に連絡するとともに、症状に応じて治療・隔離を行う―というのが、医療関係者の提案です(図)。迅速に大量の検査を行うとともに、医療機関を感染の危険から守るうえでも合理的な提案となっています。

 日本共産党は、医師会、DMAT(災害派遣医療チーム)、大学等の協力も得ながら、公共施設なども利用して、PCR検査を各地につくることを求めています。医師会などの協力も得て発熱外来をつくり、不安がある人が「電話での相談」だけでなく、受診できるようにすることも必要です。国の責任で、PCR検査センターや発熱外来に、予算、体制、医療用マスクをはじめとする医療用機器を配置します。

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医療体制守るためには?

Q 新型コロナ患者の受け入れと受診抑制で病院経営が大変だと聞きましたが…。

A 新型コロナへの感染が急増するなか、医療体制を維持・強化していくには、国による抜本的な財政投入が不可欠です。

 病院が新型コロナ患者を受け入れるには、膨大な財政的負担がかかります。コロナ患者を入院させるためにベッドを空ければ減収となる一方、医師・看護師の体制を組み替えたり、一般患者とは別の診療室や病室を設置する費用を、病院は負担しなければなりません。隔離を徹底するために、一般の診療・入院を縮小したり、手術や健康診断を一時中止する必要も出てきます。コロナ患者に対応する病院への独自助成を決めた東京・杉並区は、病院がコロナ患者を受け入れた場合の減収を、1病院当たり月1・2億~2・8億円と試算しています。

 また、コロナの影響を受けた受診抑制で、コロナ患者に対応していない病院や開業医を含め、どこの医療機関も患者数が激減しています。政府の医療費削減路線で厳しい経営になっているところにこの打撃が加わり、このままでは病院が次々と倒産しかねない状況です。

 日本共産党は、新型コロナ対策にあたる医療機関に対し、空床の確保による減収や専属の治療体制をつくるための経費など、コロナ対策にかかる費用を全額補償することを提案しています。また、地域の医療提供体制を守るには、コロナ対策にあたる医療機関と一般医療をつづける医療機関の両方への財政支援が必要です。軽症・無症状者のための宿泊療養施設を大規模に確保することや、中等症・重症患者を治療する病棟・病室を臨時に増設することも求められます。不足している医療用マスク、防護服、人工呼吸器などは、国がメーカーに要請して増産・調達するなど、国の責任で必要数を確保すべきです。

介護や福祉を守るには?

Q デイサービスが中止になるなど、介護施設もコロナ対策で大変なようですが…。

A 介護施設での感染を防止することが、犠牲者を最小にするうえで、きわめて重要となっています。また、介護事業所はデイサービスや訪問介護の中止・縮小を余儀なくされ、事業所は大幅な減収となっています。このままでは介護事業所の倒産・廃業、介護労働者の離職が相次ぎ、介護サービスの基盤が崩れてしまう危険に直面しています。

 日本共産党は、介護・福祉など社会保障の体制を守るため、事業所・施設の感染防止策を支援し、損失等を補償することを提案しています。

 感染の疑いがある利用者への対応など、コロナ対策を介護事業所任せにせず、国の責任で、市町村や保健所が相談に応じる体制をつくるべきです。介護労働者も利用者も、感染の疑いがある場合は、必ず検査を行い、安心して介護がつづけられるようにします。

 感染者や濃厚接触者への介護の提供を評価する介護報酬の設定、新型コロナに対応した従事者への特別手当を創設します。

 介護事業所・施設の感染症対策の必要経費を補償し、感染防止に最善をつくすことも重要です。マスク、防護服、消毒液などを、病院と同等に優先的に供給することも必要です。

 デイサービス中止などによる減収分を全額補償します。

 障害者施設も、介護事業所と同様の問題が起きています。減収分の補填が必要です。

 医療・福祉関係者の子どもなどを預かる保育所・学童保育についても、感染防止策の経費への補償、相談体制の充実、感染の不安がある職員への検査、特別手当などの支給を行います。

ジェンダーの視点で対策を

Q 外出自粛で家庭内での生活が激変し、女性への負担や影響が大きくなっていますが…。

A 感染症拡大による日常生活の激変は、女性に深刻な影響を与えています。

 非正規雇用が多く、雇い止めやシフト削減など収入減に直面しやすいこと、育児や介護など家族的責任の負担が重いこと、家庭内で暴力を受けている場合があることなどのためです。

 国連女性機関は各国政府に「コロナ対策が女性を取り残していないか」と問いかけ、ジェンダーの視点にたった対策は女性のみならず全員に良い結果をもたらすと強調し、「あらゆる意思決定の場に女性の参加の拡大を」と呼びかけています。日本でも、ジェンダーの視点で対策を見直すことが急務です。

 政府が検討中の給付金が世帯単位での振り込みとなると、DVから逃げている女性などが受け取れません。DV・虐待の被害者が福祉窓口に申し立てれば受け取れる仕組みとすること、その際、現在地が夫等に漏れることのないよう徹底を図ることを求めます。

 妊娠中の女性は、感染の不安にくわえ、かかりつけの産科がコロナの影響で閉鎖した際の代替の産院探しに苦労しています。すべての妊婦が安心して安全に出産できる体制を、国が支援し保障することを求めます。

 コロナ対策の最前線である医療現場や、休業要請中も社会機能を維持するため開所している介護・障害者施設、保育・学童保育などで働く人の中にも、女性が多くいます。その人たちのニーズを把握し即座に対応すること、過労・ストレスが極限に達していることを踏まえ、特別手当を出すことなど、この機に処遇の抜本的改善を進め、慢性的な人手不足の解消を図ることを求めます。

 外出自粛のストレスがDVや虐待を誘発していると指摘されています。被害女性や子どもがアクセスしやすい相談体制をつくり、周知することを求めます。

 


新型コロナ お役立ち情報

労働・雇用・就業対策として活用できる

■自宅待機や解雇といわれたら

 会社の指示で休業する場合、休業手当(平均賃金の6割以上)が受け取れます。緊急事態宣言でも、自宅勤務や他の業務に就かせる努力がないと支払い義務はなくなりません。
 経営不振による「整理解雇」も、4要件―(1)必要性(2)解雇回避努力(3)人選の合理性(4)説明・協議―に照らし妥当性が問われます。
 有期雇用で期間途中の解雇は、やむを得ない理由がない限り認められず、通常の解雇より厳しく判断されます。

■雇用調整助成金制度

 企業が売り上げ減などで労働者を休業させて雇用を維持したときに支払う休業手当に対する助成金です。
 新型コロナ対策として、雇用保険の加入期間が6カ月未満の人やパート社員などの被保険者でない人を休ませる場合でも活用が可能。労災補償保険の適用事業主や、農業法人など雇用保険に入っていない暫定任意適用の事業主も対象となります。
 助成率も拡大され、大企業が3分の2、中小企業が5分の4。全員を雇用継続する場合は、それぞれ4分の3、10分の9に増えます。1人当たりの日額は8330円が上限です。

■休校に伴う補償制度は

 学校休校等に対応した、(1)被雇用者(アルバイト等を含む)(2)業務委託契約で仕事をする個人の休業補償制度があります。いずれも厚労省の事業です。
 対象者は、学校だけでなくフリースクールの休校、保育園や学童などからの登園自粛要請、子どもの風邪症状や濃厚接触などのために仕事を休んだ人で、祖父母なども対象です。4月からは子どもの基礎疾患のための休業も含まれます。対象期間は2月27日~6月30日です。
 被雇用者は、事業主が年休とは別の全額支給の有給休暇制度を設け、それを利用します。事業主に制度の有無を聞き、なければ要求しましょう。なお、国の助成金が1日8330円と少ないことが制度のネックとなっています。
 個人の場合、本人が申請書や添付資料(住民票、業務委託契約の証明など)を「受付センター」に郵送します。ただし、1日わずか4100円(定額)、理容業など業務委託ではない自営業者は対象外といった問題があります。
 いずれの制度も、抜本的改善が求められます。

 ※具体的相談は全労連の労働相談ホットライン(0120-378-060)へ

医療などで使える制度

■国民健康保険料(税)の免除等

 政府は「緊急経済対策」で、市区町村に国民健康保険料(税)の「免除等」を行うよう求め、その場合の保険料収入の減少分は国が全額手当てすることを決めました。「免除等」の対象は、主たる生計維持者の収入が前年比で3割以上減った世帯です(前年の合計所得が1千万円超の場合などは除外)。減収は、1~3月の実績を12カ月分に引き延ばす等の“見込み”で、各自治体が判断します。

■資格証明書でも保険証と同様の検査・治療

 国民健康保険料(税)の滞納を理由に正規の保険証を取り上げられ、医療費の全額を負担する資格証明書に置きかえられた人についても、新型コロナにかかわる検査・治療については保険証を持つ人と同じ扱いにするよう、厚労省から通達が出されました。(「保国発0228第1号・保医発0228第3号」2月28日)

■国民健康保険でも傷病手当金

 これまで、市区町村が運営する国民健康保険では傷病手当金が出されていませんでしたが、政府は3月、新型コロナ患者となった国保加入の被用者に傷病手当金を支給し、財源は国が負担することを決定。自治体の裁量で対象を自営業やフリーランスに広げることも可能である旨を政府は答弁しています(3月26日・参院厚生労働委員会、倉林明子議員の質問への答弁)。

中小・小規模事業対策への貸し付け

■日本政策金融公庫や商工中金別表

 特別貸付や利子補給制度による実質無利子化などの特例貸付や特例措置があります。新型コロナウイルスの影響を受けて、①最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少した方、②業歴3カ月以上1年1カ月未満の場合でも、過去3カ月の平均売上高が5%以上減少したなどの条件を満たせば対象になります。また、特別利子補給制度を併用することで、実質的な無利子となります(2020年第一次補正予算措置)。

■信用保証制度別表

 経営の安定に支障が生じている中小企業者への一般保証枠(2・8億円)にプラスして、セーフティネット4号、5号の特別貸付制度(2・8億円)が利用できます。さらに、別枠で危機関連保証(2・8億円)も活用できるようになりました。また、政府系金融機関、民間金融機関の信用貸付の既往債務を、実質無利子融資に借換できるようになります(2020年第一次補正予算措置)。

■税金や公共料金の猶予制度 

 2020年2月から納期限までの一定の期間(1カ月以上)で、収入が前年同月比で20%以上減少した場合、納税が猶予されます。担保は不要で、延滞税は全部または一部が免除されます。また、固定資産税などの軽減も予定されています(2020年第一次補正予算措置)。電気・ガス・水道料金など公共料金については、3月25日から支払い猶予の受付が始まっています。
※経済産業省は「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」とのパンフレットを出し、融資だけではなく、税や社会保障の問題での制度紹介などをしています(https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf)。

生活や当面のお金に困ったときは

■生活福祉資金貸付制度(下表)

 ①休業された方向けの緊急小口資金と②失業された方向けの総合支援資金があります。両方で最大80万円まで借りることができます。アルバイトでも可能です。また、償還時に所得の減少が続き、住民税非課税世帯以下の場合、返還を免除することができます。各社会福祉協議会が相談窓口です。

 

主に休業された方向け(緊急小口資金)

 緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の費用の貸付を行います。

■対象者

 新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯
 ※従来の低所得世帯等に限定した取り扱いを拡大。
 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても、対象となります。

■貸付上限額

・学校等の休業、個人事業主等の特例の場合、20万円以内
・その他の場合、10万円以内
 ※従来の10万円以内とする取り扱いを拡大。

■据え置き期間

 1年以内
 ※従来の2月以内とする取り扱いを拡大。

■償還期限

 2年以内
 ※従来の12月以内とする取り扱いを拡大。

■貸付利子・保証人

 無利子・不要

■申込先

 市区町村社会福祉協議会

 

主に失業された方等向け(総合支援資金)
※総合支援資金のうち、生活支援費

 生活再建までの間に必要な生活費用の貸付を行います。

■対象者

 新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯
 ※従来の低所得世帯に限定した取り扱いを拡大。
 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、失業状態になくても、対象となります。

■貸付上限額

・(2人以上)月20万円以内
・(単身)月15万円以内
 貸付期間:原則3月以内

■据え置き期間

 1年以内
 ※従来の6月以内とする取り扱いを拡大。

■償還期限

 10年以内

■貸付利子・保証人

 無利子・不要
 ※従来、保証人ありの場合は無利子、なしの場合は年1.5%とする取り扱いを緩和。

■申込先

 市区町村社会福祉協議会

注 原則、自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが要件となります。
今回の特例措置では新たに、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができることとしています。

■住居確保給付金制度

 家賃の支払い額が3カ月支給されます。また、再就職先が決まらないなどの「特別な事情」がある場合、最長9カ月まで支給が延長されます。これまで、離職や廃業した日から2年以内の方が支給対象でしたが、離職や廃業をしていなくても、収入減少によって、住居を失う恐れのある人も対象になりました。各自治体の「生活困窮者自立支援制度」の主管部局が窓口になります。

■生活保護制度

 生活保護制度は、憲法25条にもとづく国民の権利です。しかし、福祉事務所の窓口で、「まだ働けるでしょう」など申請しないように誘導される(水際作戦)ことが少なくありません。これは、生活保護の申請権を侵害する行為です。厚生労働省は、4月7日に事務連絡を出し、「生活保護の要否判定に直接必要な情報のみ聴取」し、「面接時の適切な対応(保護の申請権が侵害されないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むこと等)、速やかな保護決定」を求めました。稼働能力の判断も「緊急事態措置の状況のなかで新たに就労の場を探すこと自体が困難であるなどやむを得ない場合は、緊急事態措置期間中、こうした判断を留保」するとしています。自動車保有などの弾力的運用も求めています。申請先は、各行政区の福祉事務所です。

■学費などの支援制度(下表)

 大学、短大、高専、専門学校生について、文部科学省は「新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した学生等への支援等について」の事務連絡を出しています。4人世帯で年収が380万円以下の世帯の学生に、授業料・入学金の減免と給付型奨学金を支給するとしています。2020年4月からのスタートですが、4月以降も申し込みができます。申請方法は、①申し込み案内などを学校から受け取る、②申し込み案内にもとづき必要な書類をそろえる、③学校に必要な書類を提出する――です。また、多くの学校で、学費納付猶予、延納、分納を実施しています。各学校の学生課や奨学金窓口に相談してください。

 

学費などの支援制度

【授業料等減免】

 授業料等減免の額は、授業料等減免の対象となる学生等の在学する学校の種類、設置者等の別に応じた一定額(住民税非課税世帯については下の表の額)を上限として、当該学生等に係る授業料及び入学金の額とする。また、非課税世帯に準ずる世帯の学生等に対しては、非課税世帯の学生等に対する減免額の3分の2の額又は3分の1の額を減免する。

【給付型奨学金(学資支給金)】

 非課税世帯の学生等に対しては、下の表の額を、非課税世帯に準ずる世帯の学生等に対しては、その額の3分の2の額又は3分の1の額を支給する。

表

■内定取り消しへの対応

 期待に胸ふくらませて、新社会人に…。ところが、新型コロナウイルス問題のために、内定の取り消しの知らせが来た。4月10日現在、63人にのぼります。そもそも、内定とは「始期付解約権留保付労働契約」と言われ、労働契約を会社と個人が結んだことになります。それを破棄することは、解雇権の乱用に当たると最高裁も判決を出しています。
 日本共産党の宮本徹議員は3月6日、倉林明子議員は3月24日、衆参両院の厚生労働委員会でこの問題を取り上げました。加藤勝信厚生労働大臣も、「内定取り消しは、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は無効と申し上げたい」と述べています。
 新年度に入っても、内定を出したまま、入社時期を延期させられている人も344人もいます(4月10日現在)。心配な方は、ぜひ、全労連の労働相談ホットライン(前出)などに相談してください。また、厚生労働も内定取り消しの回避に向けた事業主への指導に乗り出し、全国56カ所に設置している新卒応援ハローワークに、「新卒者内定取消等特別相談窓口」を設置しています。
 

(表)中小企業資金繰りの主な制度

①日本政策金融公庫 ②商工組合中央金庫 ③信用保証制度

日本政策金融公庫(相談先=平日は0120ー154ー505、土日・祝日は0120ー112-476)
  〇新型コロナウイルス感染症特別貸付(無担保)
  融資限度額(別枠) 中小事業3億円、国民事業6000万円
  金利 3年間は基準金利マイナス0.9%、4年目以降基準金利
  使い道 運転資金、設備資金
  貸付期間 運転15年以内、設備20年以内、うち据置期間5年以内
  〇生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付(無担保)
  融資限度額(別枠) 6000万円
  金利 3年間は基準金利マイナス0.9%、4年目以降基準金利
  使い道 運転資金、設備資金
  貸付期間 運転15年以内、設備20年以内、うち据置期間5年以内
  〇新型コロナウイルス対策マル経融資特例措置(無担保、無保証)
  融資限度額(別枠) 1000万円
  金利 経営改善利率マイナス0.9%(当初3年間)
  使い道 運転資金、設備資金
  貸付期間 運転7年以内、設備10年以内、うち据置期間は運転3年以内、設備4年以内
〇特別利子補給制度を併用すると実質無利子に(※)     
〇新型コロナウイルス感染症特別貸付、生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付の場合、業歴3カ月以上、1年1カ月未満の事業者は過去3カ月の平均売上高の比較等の措置あり
     
商工組合中央金庫(相談先=0120ー542ー711)9:00~17:00
  〇危機対応融資(無担保)
  融資限度額 3億円
  金利 3年間は基準金利マイナス0.9%、4年目以降基準金利
  使い道 運転資金、設備資金
  貸付期間 運転15年以内、設備20年以内、うち据置期間5年以内
〇特別利子補給制度を併用すると実質無利子に(※)     
 
(※特別利子補給制度は補正予算の成立が前提。利子補給の申請手続きなどは、詳細が固まり次第中小企業庁などのホームページで公表予定)
信用保証制度(相談先=最寄りの信用保証協会まで)
  〇セーフティーネット4号
全都道府県を対象に一般枠(2.8億円)とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の100%保証。〈売上高が前年同月比20%以上減少の場合〉
  〇セーフティーネット7号
38業種(4月8日現在)を対象に一般枠(2.8億円)とは別枠(最大2.8億円で借入債務の80%を保証。〈売上高が前年同月比5%以上減少の場合〉
  〇危機関連保証
セーティーネット4号、5号にプラスして2.8億円を100%保証。〈売上高が前年同月比15%以上減少(一部保証対象外業種あり)〉
業歴3カ月以上、1年1カ月未満の事業者は過去3カ月の平均売上高の比較等の措置あり