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日本共産党

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赤旗

2017総選挙/各分野の政策

48、性的マイノリティ

性的マイノリティの人たちの人権と生活向上のために

2017年10月


 日本共産党は性的マイノリティの人たちの人権と生活向上のためにとりくみます。どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティ(少数者)の人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、あるいは差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とはいえません。逆に、マイノリティといわれる人たちが暮らしやすいほど、その社会のすべての構成員にとっても暮らしやすい社会であるといえます。

 とくに性的マイノリティをめぐっては、問題が、ふだんほとんど公然と語られることのない性意識・性行動にかかわる事柄であり、また、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しないために、〝最後のマイノリティ〟といわれてきました。

 しかし、性的マイノリティをめぐっては、この間、行政的にも社会的にも非常に大きな変化・発展がありました。日本共産党はこの間の性的マイノリティをめぐる施策の一定の前進や社会的認知をふまえ、さらに性的マイノリティにたいする差別の解消や偏見の除去、そして生活の向上と権利の拡大のために力をつくします。

 

<世界のなかでのLGBT、SOGI>

(※SOGIについては、末尾を参照してください)

 同性婚の承認(法制化)やLGBTパレードなどは欧米を中心に大きな広がりを見せ、日本でも当事者をはじめとする努力で広がってきました。なかでも、LGBT問題への認知度を高める上で、日本の世論に大きな影響を与えたのは、米国の動向でした。とくに、オバマ前政権が2期目の発足にあたり、就任演説で、歴代米大統領として初めて次のように同性愛者に言及したことは注目を集めました。

 「先駆者のはじめたことを引き継ぐのは、私たちの世代の仕事です。私たちの旅は、妻や母、そして娘たちが努力した結果に見合う生活ができるようになるまで、同性愛の兄弟姉妹が法のもとですべての人たちと同様にあつかわれる日が来るまで、終ることはありません」(2013年1月)

 つづいて、米連邦最高裁は2015年6月、「同性婚を認めない州法は憲法違反」とする判決をだしました。ここから、米国内での同性婚合法化の動きが加速してゆきます。また、オバマ政権は、陸軍長官や性的少数者人権担当の国務省特使に、いずれも同性愛者を指名しました。

 2017年1月に誕生した米トランプ政権も、発足当初は「性的少数者の権利を守る」との声明を発表し、オバマ前政権が出した差別禁止の大統領令の維持を表明しました。しかし2月にはトランスジェンダー(出生時の性と自身の認識する性が一致しない人)の生徒の保護を求めた前政権の通達を撤回するなどの逆流を強め、米世論の憤激を巻き起こしています。

 東京オリンピックとの関係では、IOC(国際オリンピック委員会)が、2014年12月の総会で、「オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込む」とする内容の決議を採択しました。この決議が採択されたあとの最初のオリンピックが東京で開かれるだけに、日本のLGBT、SOGI対策が問われることになります。

 

<政府・行政のLGBT、SOGI対策>

 日本でも、国会で超党派の議員連盟が2015年3月に発足し、政府や行政によるLGBT、SOGI対策も一定の前進をみせてきました。これは当事者と市民のみなさんの運動の反映です。

 経済産業省は2012年度からダイバーシティ(多様性)を重視した企業を表彰する「ダイバーシティ経営企業100選」として大臣表彰をしています。ここには、まだまだ数が少ないとはいえ、LGBTの活躍支援を明文化した企業などが表彰の対象となっています。

 本格的なLGBT、SOGI対策にのりだす企業での主な施策は、次のようなものがあります。(『職場のLGBT読本』から)

 ➣LGBTについての明文化された社内規定

 ➣社内従業員むけの研修や講演会

 ➣社として支援するLGBT当事者や支援者(=アライ)のグループの存在

 ➣LGBT対応の結婚祝い金、育児休暇などの福利厚生

 行政の段階でも、いくつかの自治体で前向きの施策が打ち出されてきました。東京・渋谷区では、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する「男女平等及び性多様性を尊重する社会を推進する条例」を制定、2015年4月から施行され、同年11月には第1号の証明書が発行されました。条例かどうかは別にして、同様の動きは東京・世田谷区、三重県伊賀市などにも拡大し、他の自治体にも広がっています。また、沖縄・那覇市のように「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言がおこなわれたような自治体もあります。

 2017年7月には「LGBT自治体議員連盟」が設立され、日本共産党の議員も参加しています。こうした団体との協力・共同をさらに広げ、LGBTの理解を促進させていきます。

 

<LGBT、SOGIをめぐる今後の課題>

 LGBT、SOGIについての施策が一定前進し、社会的な認知が広がってきたとはいえ、当事者がかかえる困難は依然として大きなものがあります。とくに、意図的な同性愛嫌悪(=ホモフォビア)も放置できませんが、性的マイノリティについて関心や知識がないことからくる差別と偏見にたいする当事者の苦痛はたいへんなものです。

 そのため、日本共産党は、民進党など当時の野党4党共同で、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」を2016年5月27日、衆議院に提出しました。同法案は、性的指向(恋愛対象)や性自認(心の性)を理由とする差別について、行政機関や事業者における「差別的取扱いの禁止」を定め、職場や学校などでの差別を解消する方策を盛り込み、実効性確保のために主務大臣が指導や勧告などをおこなうとしています。

 

法案はこちら】、【法案要綱はこちら

 

 上記の法案は、衆院解散で廃案となってしまいました。日本共産党は新しい国会で、与野党を問わず他の政党と協力し、法案提出・成立のために全力を尽くします。

また、日本共産党は、性的マイノリティの一人ひとりが、社会や地域、企業、学校のなかで自然な存在として溶け込み、そうしたなかで「ありのままの自分」を肯定できるようになるため、当面、次のような施策を推進することを求めていきます。

 ➣公的書類における不必要な性別欄を撤廃する

 ➣すべての自治体で、東京都渋谷区や三重県伊賀市などで導入したような、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を実現する

 ➣それぞれ企業が、規模に応じて、相談窓口の設置や福利厚生、社内研修など適切なSOGI、LGBT対策を実施する

 ➣国、自治体としてSOGI、LGBT対策に積極的にとりくむ企業の顕彰をおこなう

 ➣現行の「性同一性障害特例法」第3条について、未成年の子どもがいても性別の変更を可能にするとともに、性別変更の他の要件についても見直しを検討する

 ➣保険適用に性同一性障害をくわえ、治療のできるクリニックを拡充する

 

※LGBTとSOGIの用語について

 これまで性的マイノリティは、一般的にはLGBTと称されてきました。これはレズビアン(L=女性同性愛)、ゲイ(G=男性同性愛)、バイセクシャル(B=両性愛)、トランスジェンダー(T=一般的には「性別越境者」と日本語訳されることもありますが日本語訳としては確定していません)をさす用語です。

 しかし、性的マイノリティには、以上の4つの類型にあてはまらない人たちもたくさんいます。たとえば、性同一性障害は、上記Tに分類される傾向にありましたが、実際はGID(Gender Identity Disorder)と略称されます。また、染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である「性分化疾患」(インターセックス)の人たちもいます。

 そのため、最近では、LGBTという言葉のほかに、性のあり方の多様性を認める立場からSOGIという用語が使われるようになってきました。これは、Sexual Orientation(性的指向)と Gender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉で、「ソギ」または「ソジ」と読みます。

 LGBTという用語は、当事者自身が積極的に使い、社会的にも広く認知されていますが、この政策では、性的マイノリティをさす用語としてLGBTとともにSOGI(性的指向と性自認)という言葉も使っています。

 

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