各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

63、図書館政策─図書館サービスの後退、「委託」を許さず、身近に使いやすい図書館を

2017年10月


はじめに

 図書館は、皆さんの読書、知りたい、調べたい、を保障することが役割です。生活、生業、学業のためには、資料、情報は欠かせません。図書館は「生存権の文化的側面である学習権を保障する機関」です。

 そうした機能を果たすために欠かせないのが、専門職である司書です。司書には、資料・情報を自ら適切に選択できるよう利用者に協力、支援するなどの役割があります。

 日本の図書館は「無料利用原則」が60年以上にわたって続き、最も利用者の多い公共施設のひとつになっています。

 ところが自公政権は、司書を削減し、資料費も激減させる政策を続けました。その結果、利用が減ることが続くなどの前代未聞の事態を招いています。その改善を求める声が広がっていますが、安倍政権はそれに応えるどころか、図書館の廃館や民間企業への委託など、図書館をいっそう疲弊させる政策を進めようとしています。さらに、国の財政規模は拡大しているのに、地方財政を支える地方交付税を減らし続けていることも重大です。このことが、図書館の疲弊の大本にあります。

 こうした政治を転換して日本の図書館を元気にするため、日本共産党は以下の政策をかかげます。

1 図書館予算を増額し、資料費などをふやします。

 図書館の資料費が年々減り続けていることは深刻で、「新刊本がない」「使いにくくなった」などの声があがっています。図書館に関する国の地方財政措置(地方交付税交付金)を増額させ、図書館予算をふやします。

印刷部数の少ない図書や短期間で廃棄されてしまう雑誌を購入、保存し、後の利用者にも供することは出版文化の進展にもかかわる図書館の重要な役割です。こうした役割も果たせるように、各自治体で資料費増額をすすめるとともに、それを支えるため、国の地方交付税交付金の資料費措置額を明確にし、増額をすすめます。

 都道府県立図書館には、市町村の図書館が所蔵していない資料の提供ができるよう、少なくとも国内出版物のほとんどが購入収集できる規模の資料費増額を求めます。

2 安心して働きつづけられる図書館にします―非正規雇用職員の雇用安定、労働条件の抜本的改善

 「勤務して17年、東京都内図書館の正規採用はほとんどない。非常勤は好きで選んだ働き方でなく、図書館で働くための苦渋の選択なのである。正規職員に仕事を教えているのは私」――日本共産党の国会議員がとりあげた現場の声です。

 非正規雇用は図書館員の3分の2を越え、非正規で働く職員が図書館の根幹の業務を支えているのが現状です。しかしその待遇は、低賃金で、雇用継続の保証もないなど、たいへん劣悪です。このことは、図書館を担う職員の専門性の向上の点からも見過ごせません。

 ほんらい継続的な仕事は常勤職員でカバーすることが原則で、国も「常勤化などの検討が必要」と答弁せざるをえませんでした。自治体職員の総定員数を見直し、常勤化をすすめるべきです。

 当面、①自治体非常勤職員の場合、時間単価を2000円以上に引き上げ、雇止めをやめて安定雇用にする。②委託の労働者の場合、自治体が企業と委託契約する際に、雇用の安定的継続と非常勤職員かそれ以上の待遇が保障できるようにする、を求めます。

3 図書館サービスを向上させます―指定管理者制度導入反対、民間委託の見直し

 図書館は直営で、住民参加を大切にしてこそ、向上します。

 管理運営を民間企業に「丸投げ」する指定管理者制度は、国も認めるように図書館には適しません。実際、導入した図書館では、司書の専門性の蓄積、長期にわたるコレクション形成、読書の自由の保障などが危うくなっています。雑誌・文具の販売、喫茶などのスペースをかなり取り、子どものための場所を縮小させたなどの動きもあります。

 この間の市民の運動と日本共産党などの国会質問によって、国に図書館への指定管理者制度適用を推進するための「トップランナー方式」はあきらめさせました。こうした成果をふまえ、自治体での導入の反対、見直しを進めます。

 図書館の管理運営の一部を民間企業などに委託する民間委託も、利用者の声が図書館運営側に届かなくなるなどの問題が生まれています。しかし、総務省が進めている「公共施設等総合管理計画」、国土交通省の「コンパクトシティ」構想は、いずれも図書館については「民間活力活用」など、民間委託の推進を求めています。こうした国の姿勢を転換させ、

 民間委託を図書館サービスの向上の観点から見直します。

4 身近な生活圏域に公立図書館を整備させます

 総務省の公共施設削減を基調とする「公共施設等総合管理計画」のもとで、図書館の廃館がすすみ、新館設置は減少しています。この「計画」をやめ、図書館建設抑制の政策をあらためます。

 人口比でみると日本の図書館数は、世界の最低クラスです。伊勢志摩サミットに参加したG7各国は10万人あたり平均5.5館ありますが、日本は2.5館と最低です。いわゆる「平成の大合併」を経た今日でも、公立図書館のない市町村が4分の1も残されています。政令指定都市でも、広い行政区に図書館が一つしかないところが多数であり、まったくない行政区もあります。日常生活で利用される図書館は広い自治体に1館あればよいものではありません。身近な生活圏域にある必要があります。そのことは、とりわけ子どもや高齢者、障がいのある人たちにとって重要です。

 図書館未設置の市町村をなくすことを急ぐとともに、中学校区単位での設置を目標とするなど生活圏域に根ざした図書館設置をすすめます。そのために「公共施設等総合管理計画」による図書館削減に反対し、図書館法に基づく図書館整備の国庫補助金事業の復活、過疎地域自立促進特別措置法や離島振興法などに基づく財源措置の拡充などを求めます。

5 専任の司書、司書資格のある館長の配置を求めます

 図書館サービスは図書館職員によって支えられています。司書が図書館業務に専念できる体制、豊かな経験を蓄積できることが図書館サービス充実のカナメです。利用者の調べたい、知りたいことについて的確に捉え、資料、情報を提供するなどのお手伝いをすること、資料相談、レファレンスサービスはますます求められています。障がいをもつ人たちの読書、情報アクセス権を保障することも図書館の大事な役割です。図書館員には、こうした多様なサービスを支えるスキルが期待されます。

 しかし正規雇用の図書館員は図書館員の3分の1に過ぎず、そのうち司書有資格者は半分です。司書資格を要件としての採用は稀になり、定期的な人事異動を基本とする地方公務員の人事管理方針により、経験豊かな図書館員が極めて少なくなっている状況が続いています。図書館法の「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を、司書配置をより明確にするよう改正するとともに、その裏付けとなる財政上の措置をおこない、司書の増員・正規化をすすめます。

 図書館長は、図書館事業を長期的視野に立ってすすめる責任者であり、地域の読書環境整備に中心的役割を果たすべき職です。司書資格をもつ館長を配置することを原則とし、その業務にふさわしく、安定的継続的に業務に専念できるようにします。

6 図書館協議会の拡充を図ります

 図書館は地域の拠点であり、その運営に地域住民が参加することは図書館の活性化にもつながります。図書館法に規定されている図書館協議会の設置は6割程度に過ぎません。すべての図書館に設置するよう求めます。市町村の図書館協議会経費の地方交付税措置について16年度から実現することになりました。長年にわたる運動の成果であり、それを確実に活かすようにします。

7 読書の自由、図書館の自由を大切にします

 読書の自由は人間の精神的自由のひとつとして尊重され、守られるべきことです。

 資料収集の自由、資料提供の自由、利用者の秘密を守る、すべての検閲に反対する、図書館の自由が侵されるとき団結してあくまで自由を守る、という「図書館の自由に関する宣言」は、人々の読書の自由を守るうえでも重要なものであり、これを基調とした図書館運営を大切にします。

 特定の資料を排除したり、図書館が教育機関として自立して判断した資料選定に対して、当局や外部から干渉する動きは絶えません。どのような立場の出版物であっても提供することは図書館の重要な役割です。読書の自由、図書館の自由をおびやかすことに強く反対します。そのためにも、教育委員会を教育の自主性を守る住民自治の機関として確立し、政治的介入を許さないことを重視します。

8 図書館の連携協力を進める措置を求めます

 求められた資料を確実に提供するためには、他の図書館との連携協力が不可欠です。とりわけ都道府県立図書館の役割は重要です。市町村の図書館が所蔵しない資料を収集し、求められたとき迅速に提供する仕組みは、図書館サービスの充実に合わせて進展してきました。しかし資料費の激減などを理由として、市町村の図書館から求められた資料の「貸し渋り」が見られるようになっています。都道府県内の図書館間の資料の相互貸借については、都道府県立図書館が協力の役割を果たすよう、地方交付税などの財政措置を求めます。

 利用者が求める資料は多様です。全国の図書館が所蔵する資料を国民的な財産として利用できるような仕組みがますます求められています。都道府県を越えた流通については政府が行うべき事業として、制度化を求めます。

 

登録テーマ: 各分野政策(2017年)文化
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