各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

62、カジノ問題―カジノ導入反対。ギャンブル依存症(賭博中毒)問題

2017年10月


カジノに大義も道理もないことを反映した法案強行

 安倍自公政権は2016年12月、日本維新の会の後押しをうけ、カジノ法(特定複合観光施設区域推進法=IR推進法)を強行しました。賭博は刑法で禁止され、最高裁判決でもその違法性が認定されてきました。賭博がいたずらに射幸心をあおり、勤労意欲をそぎ、それによって経済的な基盤を掘り崩し、地域社会と個人生活を崩壊させる危険があるからにほかなりません。

 賭博行為は、いったん深みにはまれば、個人的な判断や行動だけでは制御ができなくなるからこそ、法律によって社会的なしばり(規制)がかけられてきたのです。

 ところが、維新の会をふくむ安倍政権与党は、「観光」や「地域経済の振興」などという名目で、このしばりをとき、数の力で賭博を合法化してしまいました。法案強行のやり方そのものが、大義も道理もないカジノの本質を反映しています。

 カジノ法は、内閣が提出する法律(閣法)と違って、議員による立法提案(議員立法)でした。議員立法は、本来、全会派の了解による国会運営のもとで審議や採決がおこなわれるのが慣例です。

 ところが、今回のカジノ法強行は異例づくめでした。①法律の部分修正や一部改正ではなく、単体の議員立法だったにもかかわらず、②野党の強い反対をおしきって強行された、事実上、初のケースとなったからです。

 刑法の体系を変え、禁止されてきた賭博を解禁する法律を、国民の反対の声も無視して強行したことは断じて許されません。

 一方で、法案の審議時間は、衆院は2日間で6時間20分、参院は3日間で12時間(このうち参考人質疑は3時間)と、衆参合わせても合計で18時間20分という短さでした。戦後72年にわたって禁止されてきた賭博を解禁する議論には、あまりに不十分な審議時間だったといえます。

 カジノ法強行の裏には、安倍政権の強力な指示がありました。国会会期末になって安倍首相が、与党にたいし「万全の態勢での法案成立を」「カジノ法解禁法をよろしく」と根回しし、会期を2回も延長して強行しました。

カジノは地域と人心の荒廃を招くだけ―韓国の江原ランドの実態

 カジノ推進勢力は、「カジノを導入すれば観光客が増え、地域経済が潤い、税収も増える」などと主張します。しかし、世界的にみても、IR(統合型リゾート施設)型のカジノで〝成功〟しているといえるのは、ほんの一握りの施設・地域だけ。圧倒的多数は、さまざまな問題をかかえています。

 そうしたなかでも、ここ数年、大きな注目を集めているのが、韓国の江原ランドです。ソウルから約200キロの旌善(チョンソン)郡にある炭鉱町にカジノが誕生したのは2000年でした。当時の郡の人口は約5万人。それがいまでは3万8,000人に減少しました。「施設周辺では、カジノによるギャンブル依存で破産したり、自殺したりする人が後を絶たず、客目当ての風俗店や質屋も乱立」した結果でした。(2017年4月24日付「読売」夕刊)

 江原ランドについては、かつてカジノを誘致する住民団体代表をしていた人からさえ、「カジノができてよかったことは何もない」という声が上がっています。

カジノ誘致でいっそう深刻となるギャンブル依存症

 厚生労働省の研究班は2017年9月29日、「国内のギャンブル等依存に関する疫学調査」を公表しました。全国300地点から1万人を対象に面接調査をおこなった結果です。(回答者数は53.7%の5,365人)

 それによると、 ギャンブル依存症の人の割合は成人の3.6%、約320万人と推計されます。(生涯にわたるギャンブル経験についての調査。1年以内に限れば0.8%、約70万人)

 問題は日本のギャンブル依存症の比率が他国と比較して、異常に高いことです。(表参照)

 この要因となっているのが、世界に例をみない遊技であるパチンコです(パチスロ含む)。前述の厚労省研究班の調査でも、ギャンブル依存の疑いのある320万人のうちの8割(約256万人)がパチンコ依存と指摘されています。

 ギャンブル依存の問題は、当事者や家族にとって重大な問題ですが、社会的にも大きな損失となります。しかし、往々にして「個人の問題」「自己責任」という形で矮小化されて、その解決が社会的な課題だと理解されてきませんでした。精神科医の立場からギャンブル依存の問題を告発してきた帚木蓬生氏は、「ギャンブルはひとつの産業です。ギャンブルをする人は、その消費者と言えます」としたうえで、ギャンブルの消費者が借金を背負い、会社を首になり、家庭崩壊に行き着くなどの例をあげながら、次のように指摘しています。

 「はたしてこの悲惨な結末が、ギャンブル消費者の自己責任のみと、断罪できるでしょうか。/少なくとも、ギャンブルにこのような悲劇が必然的に付随しているのであれば、ギャンブル企業側に、危険性を警告する義務があります。消費者の権利として、その警告を受ける権利は、厳として存在するはずです」(『ギャンブル依存国家・日本』)

 隣国韓国では、パチンコ依存症が社会問題化するなかで、2006年にパチンコの全廃に踏み切りました。日本でもパチンコの弊害を議論し、その存廃について国民的議論を行っていく必要があります。また、存廃の議論の以前に、少なくとも、1980年代以降に強まったパチンコの賭博性を改めることや、現行の換金システムである「三店方式」(※)を改める必要があります。

※「三店方式」とは、パチンコの景品を、①パチンコ業者(パチンコホール経営者)と②景品買い取り業者、③景品問屋――の3者の間で行き来させて、最終的に客に現金を渡す仕組みのことです。これによって、表向きはパチンコ玉を現金に交換しないことから、警察などは「パチンコは賭博ではなく遊技だ」などと主張しています。

 こうしたときに、新たな公然とした賭博であるカジノを合法化するなどというのは、とんでもない愚挙です。カジノ推進派のなかからさえ、「カジノを合法化すれば、かならずギャンブル中毒患者は増える」と指摘されています。カジノ解禁は、世界最悪の病的賭博患者の数字を、さらに悪化させる結果にしかなりません。

どの地域であれ、カジノ導入・設置に反対します

 強行されたカジノ法にもとづいて、大阪や和歌山、北海道、長崎、横浜などの自治体では、カジノの誘致を実現しようとしています。

 カジノ施設を実際に実現するためには、カジノ実施法案(導入法案)を成立させなければなりません。安倍政権は当初、2017年秋の臨時国会にも法案を提出する意向でしたが、衆院の解散で通常国会に先送りされました。カジノを断念させるのか、強行されるのかは、ひきつづき総選挙以降のたたかいにかかっています。

 日本共産党はひきつづき、「カジノ合法化反対」「日本に賭博場はいらない」という人々と固く連帯して、日本全国どの地域であれ、カジノ施設の導入・設置に反対します。

 

 (c)日本共産党中央委員会