2017総選挙/各分野の政策
60、国際テロ対策
テロ根絶――非軍事の政治的・外交的対応こそ
2017年10月
2015年11月のパリ同時テロの後、米仏英ロなどによる対IS軍事作戦が格段に強化され、イラク・シリア両国内の「ISの拠点」とされるところへの、大規模な空爆が強化されてきました。ところがISなど過激集団によるテロ事件は収まるどころか、中東、欧州、アフリカ、アジアと、ほぼ世界中に拡散する事態となりました。
歴史的に見ても、ISの台頭は、2001年のアフガニスタン報復戦争、2003年のイラク侵略戦争がつくりだしたものでした。そのことは、当事者のブレア元英国首相、オバマ前米大統領も認めています。ISなど過激武装組織による国際テロをめぐる事態の進展が示しているのは、戦争ではテロはなくせない、テロと戦争の悪循環をつくりだすだけだということです。
日本共産党は、世界からテロをなくすために、国際社会が一致結束して次の三つの対策に取り組むことを提唱しています。
① テロ根絶の方法は、国連中心に、国連憲章、国際法、国際人道法、基本的人権と両立する方法で、“法による裁き”をくだすことを基本にすえる。テロ組織への資金・人・武器の流れを断つための国際的な協力を確実にすすめる。
② 貧困を削減し、教育を改善し、地域紛争を平和的に解決するなど、テロが生まれる根源を除去する。
③ テロを特定の宗教や文明と結びつけず、異なる諸文明間の対話と共存の関係の確立に力をつくす。
どれも困難が伴う大仕事ですが、日本政府は、憲法9条という世界に比類のない宝を生かし、こうした非軍事の政治的・外交的対応にこそ、知恵と力をつくすべきです。
安保法制=戦争法との関係で危惧されるのは、安倍内閣が対IS空爆などへの自衛隊の軍事支援について、「政策判断として考えていない」としつつ、「法律的にはありうる」と答弁していることです。そして「そういう政策判断をしている理由は何か」とただしても、理由を答えることができなかったことです。
このような姿勢では、アメリカが対テロ軍事作戦を拡大し、自衛隊に支援を要請してきた場合に拒否できず、自衛隊を参加させることになることは明らかです。この道は、テロと戦争の悪循環に日本自身が入り込み、日本国民をテロの危険にさらす道であり、認めるわけにいきません。