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赤旗

2017総選挙/各分野の政策

29、公務員制度改革―内閣人事局の廃止、民主的な公務員人事制度、労働基本権の回復、独立行政法人改革、天下り禁止

「政権に服従する」公務員を許さず、国民本位の公務員制度改革をめざします

2017年10月


内閣人事局を廃止し、政権による恣意的人事をやめさせます

 安倍内閣は、「国家、国益に奉仕する国家公務員」(菅義偉内閣官房長官の訓示、2013年4月)をかかげ、「政権の方向性を常に念頭に置いて取り組む」よう求め、“政権に奉仕する公務員“への「改革」を推進してきました。2014年の国家公務員法改悪では、「幹部職員人事の一元管理」と称して、内閣官房に新たに内閣人事局をもうけて、官邸が各省庁の幹部人事に介入する仕組みをつくりました。安倍首相は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更のために内閣法制局長官の首を挿げ替えるなど恣意的人事を強行しましたが、こうした官邸による恣意的人事が全省庁に拡大していることは重大です。国家公務員に政権・官邸への服従をもとめるものであり、憲法の規定する「全体の奉仕者」たる公務員制度に重大な変質をもたらすことは必至です。内閣人事局はただちに廃止します。

住民・国民の目線で働く民主的な公務員制度の実現を目指します

 現在の公務員制度は、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことへの反省から、「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と憲法(第15条)に規定されています。しかし、歴代自民党政権のもとで、キャリアと呼ばれる特権官僚層が復活し、政権政党と癒着構造を形成してきました。安倍政権による一連の国家公務員法改悪は、政権中枢と特権官僚の新たな癒着構造の形成をもくろむものです。

 特権官僚層と政権の癒着を深める改悪ではなく、特権官僚層を生みだすキャリアシステムにメスを入れ、天下りを禁止し、幹部人事介入制度を廃止し、国家公務員が、国民と住民の目線にたって働ける公務員制度改革こそ求められています。公務員が「全体の奉仕者」として、公正中立で効率的な行政を第一とする民主的公務員制度への改革を求めていきます。

労働基本権を回復し、公務員の労働条件の向上をはかります

 安倍内閣は、公務員給与制度の「総合的見直し」と称して、地方部の手当を引下げて、都市部の地域手当などに配分する制度改悪をおこない、地域間給与格差の拡大をおしすすめました。地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことから、「官民を通じて地域間格差が拡大することになりかねない」(全国知事会)ものであり、地方経済への深刻な打撃となります。公務員の賃下げは、公務員の生活を破壊するだけでなく、民間の賃下げと相まって、日本の労働条件全体を引き下げ、デフレの一因ともなってきました。

 給与を引き下げ、労働条件を引き下げる「見直し」が、労働基本権制約の代償機関とされる人事院の勧告としてなされてきたことも重大です。ILOは、くりかえし日本の公務労働者の労働基本権回復の勧告を行っています。公務員の労働基本権を回復し、労働条件の向上に転換すべきです。

 また、国家公務員の一律2割削減などこの間の公務員削減政策によって、国、地方の様々な公務部門で必要な正規職員が配置できなくなり、国民生活の向上や安全などの職務遂行に支障が生じています。震災被災地の救援・復興にあたって、避難所の生活環境等の改善について内閣府通達がだされても、通達を受けとめ実行する「公務の力」が不足していることが指摘されています。非正規職員の正職員化を含め、国民生活の安全・安心のための必要な人員を確保することは急務です。

縮小廃止ありきの「改革」でなく、公共性・自主性を生かす独立行政法人改革を

 独立行政法人制度が2001年の中央省庁「改革」時に導入され、宇宙航空開発機構などの研究機関や国民生活センターなどの公共機関が独立行政法人として運用されてきました。この制度は、行政における企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門に運営裁量を与えることで、政策実施機能の強化をうたったものですが、実際は、多様な公共的事業や業務を一つの枠組みの中に押し込み、事業の縮小や廃止の道具として使われてきました。各独立行政法人には、整理統合や一方的な人件費削減目標などが押しつけられ、その役割の発揮どころか、事業や業務の遂行に支障すら生じている法人もあります。

  ところが安倍政権は、主務大臣の役割強化や組織の改廃規定の強化など、全体として、事業、業務の廃止、縮小を進める独立行政法人通則法の改悪を強行しました。法律には、雇用の維持、権利義務の継承などを保障する規定すら設けられておらず、職員の士気を低下させ、雇用の安定を脅かすものとなっていることも重大です。

 独立行政法人の役割の発揮を妨げている仕組みを改め、職員の雇用を保障するとともに、研究機関や行政に密着した事業などの独立行政法人制度になじまない法人は、行政自身の業務として制度の枠から除外するなど抜本的な改革が必要です。

天下りを禁止し、政官業の癒着を断ち切ります

 2007年、民間企業への天下りを原則禁止していた国家公務員法を改悪し、天下りを野放しにしたのが、第一次安倍内閣でした。この改悪により、「あっせんによる天下り」でなければ、自由に民間企業に天下りことが可能になりました。このもとで、2011年には、経産省・資源エネルギー庁長官が堂々と東京電力顧問に天下るという前代未聞の事件が起こりましたが、東日本大震災での原発事故をうけて、国民世論の厳しい批判がまき起こり、顧問辞職に追い込まれました。癒着を指摘された経済産業省は、幹部官僚の電力会社への天下り自粛に追い込まれましたが、その後も、原発輸出を狙う原発メーカーに元経産事務次官が天下っています。また、国土交通省などの官僚が建設業界などに「天下り」する一方で、「官民交流」と称してゼネコンなどから官庁に「天上がり」をするなど、人事交流による官庁と業界の癒着がすすんでいることも問題です。

 こうし政官業の癒着を断ち切るため、天下りを禁止し、厳格に実施する法改正が必要です。加えて、企業・団体献金の全面禁止も不可欠です。

 

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