各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

5、保育―認可保育所増設、保育士の処遇改善、安心安全の保育施設

認可保育所増設・保育士の待遇改善すすめ待機児童問題を解決し、安心して預けられる保育所をつくります

2017年10月


 保育所の待機児童の増加が社会問題になって20年近くたとうとしています。政府は、「待機児童ゼロ作戦」「子ども・子育て応援プラン」などをかかげてきましたが、待機児童の解消どころか、ますます深刻な事態になっています。

 保育所の待機児童を生み出してきたのは、民営化などの規制緩和、保育条件の基準緩和による詰め込みなど、歴代政権が保育への公的責任を投げ捨ててきたことが根本にあります。安倍自公政権が「待機児童解消」としてすすめてきたのも、多くの父母の願いである認可保育所の増設ではなく、認可保育所より基準の低い企業主導型保育(無認可)や、小規模保育を中心とし、保育者の資格の基準緩和や詰め込みなどです。安倍政権がことし6月に発表した「子育て安心プラン」も、あくまでも規制緩和と詰め込み、保育内容の切り下げを行おうというものであり、まったく反省も展望もありません。待機児童を2017年度末までゼロにするという目標も先のばしし、2020年度末に22万人分の保育の受け皿を整備し待機児童をゼロにするとしたのも、安倍政権の待機児童解消対策の破たんをしめすものです。

 政府が2015年度から実施した「子ども・子育て支援新制度」は、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業にゆだねるものです。公立保育所つぶし、園庭のないビルの一室など保育条件を引き下げた施設の急増、保育料の大幅引き上げ、保育士の資格要件の緩和など、保育環境は大きく後退しています。

 深刻な保育士不足についても、資格要件の緩和やICT化の支援などが中心で、根本的な配置基準の改善や保育士全体の賃金の底上げははかられていません。

 日本共産党は、2001年、2010年に続いて、2016年にも当面、30万人(3000か所)の認可保育所の建設、保育士の賃上げなど労働条件の改善を中心に保育緊急提言を発表し、その実現めざして奮闘してきました。

1、認可保育所の増設で、当面、30万人3000カ所の保育所を増設し、ひきつづき「保育所整備計画」をつくり、待機児童をうまない体制をつくります

公立保育所や認可保育所増設で待機児童解消をすすめます

 保育所の待機児童問題は、認可保育所を増やして解決することが原則です。深刻な待機児童問題を緊急に解決するうえで、自治体が公立保育所建設をすすめられるよう国の責任を果たします。公立保育所に対する新たな財政支援制度を創設し、保育所の建設や分園の配置・改修への補助、運営費の国庫負担分の復活などをおこないます。民間の認可保育所の建設等に対しても、助成の拡大、利子補給などの支援措置を行います。

土地確保に国庫助成制度をつくります

都市部の土地確保の問題に対しては、国有地の無償提供や、国庫助成制度の緊急創設を求めます。

 

2、保育士の賃金引き上げ、職員数の増員で処遇を改善し、保育士不足を解決します

 都市部でも地方都市でも保育士不足が深刻です。離職者もあと立たず、特に民間の離職率は8.55%と高いものになっています。東京都の調査では、現在就労している保育士で退職意向がある人が約2割で、その理由は「給料が安い」(65%)、「仕事量が多い」(52%)、「労働時間が長い」(37%)です。この問題を解決しなければ、保育士不足を解消することはできません。

保育士・職員全体の賃金を底上げし、5年で10万円ひきあげます

 保育士の賃金(残業代を除く所定内給与月額)は全労働者の平均より約9万円低く、21万3000円です。政府が、保育士の処遇改善問題がとりあげられるなか、2017年度予算で、2%相当、6000円程度の賃上げと、経験をつんだ保育士・職員については4万円の給与改善を行うなどの処遇改善の措置をとったことは一歩前進ですが、全産業労働者との差はあまりにも大きく、4万円の引き上げ対象は一部の経験者です。

 保育士の全体の賃金の底上げをはかります。緊急に月額5万円引き上げます。さらに全産業平均に近づくよう、毎年1万円ずつ引き上げて、5年で10万円引き上げます。栄養士など保育園で働くすべての職員もその対象となるようにします。

 経験年数による賃金の上昇は11年たったら「頭打ち」となっている仕組みを、ただちに改善し、経験年数に応じた賃金の引き上げを保障します。

配置基準の引き上げなどをすすめ、保育士の労働条件を改善します

 現在の保育士配置基準は諸外国と比べてもきわだって遅れています。低すぎる保育士の配置基準の引き上げは、子どもの健全な発達、ゆきとどいた保育を保障するためにも、保育士の過重負担、長時間労働の負担を軽減し、働き続けられるようにするためにも重要です。保育士の配置基準の引き上げをおこない、保育士を増やします。完全週休2日制や有給休暇が取得できるようにします。そのために、公定価格に見直し、運営費を3割増やします。

非正規の保育士の正社員化をすすめます

 非正規の保育士が全体の42%を占めており、保育現場は非正規の保育士抜きでは成り立たない状況になっています。非正規の保育士の仕事が、正規の保育士と同じになっていることも少なくありません。それにもかかわらず、非正規保育士の賃金は依然として低く、正規保育士の4~5割です。非正規の保育士の正規化を進めるとともに、正規と非正規の均等待遇をはかります。

3、安心して預けられる施設条件、保育条件への改善をすすめます

安心して預けられる保育施設への改善をすすめます

 「子ども・子育て新制度」でよって、多様な保育形態が認められ、施設の面積や保育士資格の要件など基準も異なります。どの子にも等しく保育を保障するために、新制度に位置づけている施設・事業の基準は保育園の認可基準に合わせ等しくします。

 3歳未満児が対象の小規模保育施設は3歳になれば新たに保育所探しをしなければなりません。3歳からの保育を保障する連携園の確保も不十分です。自治体の責任で連携園の確保をすすめるとともに、安定した保育をすすめるためにも公立保育所、認可保育所をふやすことが必要です。

 無認可保育所が希望すれば認可保育所へ移行できるようにします。施設整備の負担軽減、保育士確保や資格取得などを支援し、保育条件の改善をはかりながら認可をすすめます。

 劣悪な保育を行う事業者も次々明らかになっています。自治体が責任をもって子どもの命と安全に守れるよう、実態把握、指導・監査を強化できるようにします。

保育料の無償化をすすめます

 日本の幼児教育への支出のうち公的支出の割合は46%、OECD平均82%を大きく下回り、OECD諸国の最下位です。予算を引き上げ、すべての乳幼児が豊かな保育がうけられる体制を整えるとともに、保育料、幼稚園授業料の無償化をはかります。

人口減少地域でも安心して預けられる保育施設を保障します

 過疎地など人口減少地域では、保育所運営が困難になり、統廃合がすすみ必要な保育が保障できない事態がすすんでいます。過疎地の保育を担っている公立保育所への補助を復活させるとともに、小規模でも安定した保育を維持できるように財政的支援をつよめ、どの地域でも必要な保育を確保できるようにします。

新「保育所保育指針・幼稚園教育要領」の押しつけは許しません

 2018年度から、新たな保育所保育指針・幼稚園教育要領が施行されます。今回の改定で、新たに「幼児期までに育ってほしい姿」が位置付けられ、「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」などの10の項目で示されています。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」をふまえて一人ひとりを評価するよう求め、その評価をもとに園の保育・教育を見直すことを園にもとめるものとなっていることに、「幼児期の発達を踏まえたものとはいえない」「保育の内容に対する政府の直接的な統制」などの批判やこれまで積み上げてきた保育の実践がゆがめられるなどの危機感が高まっています。現場不在、子ども不在の保育指針・幼稚園教育要領の押しつけは許されません。

 

 (c)日本共産党中央委員会