2016参議院議員選挙/各分野の政策
50、アイヌ
2016年6月
アイヌの生活向上と権利を擁護し、実態をふまえた新法制定を
2007年に国連総会で「先住民族の権利に関する国際宣言」が決議され、翌年に衆参の両院で「アイヌ民族を先住民族とする国会決議」が全会一致で採択されました。この国会決議を受けて日本政府も「政府として先住民族として考えている」(町村官房長官談話)と表明しました。アイヌ自身の粘り強い運動が政府の態度を変えるまでに至り、2009年には政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」からアイヌの生活向上と権利を回復するための新法制定を求める報告書も提出されています。
それから7年が経ち、ようやく政府は新法制定に着手するとしました。同時に、新法ができるより前にも、厳しい生活を強いられている実態や差別と偏見を克服する政府の取り組みが急がれます。日本共産党は、新法を含めた施策の抜本的拡充とともに、緊急の課題を国の責任で解決することを求めます。
1.新法ではアイヌが先住民族であることを明確にし、実態をふまえて権利回復の手立てを
北海道中心に居住していたアイヌが今日まで苦しめられてきた大本には、明治政府以来の強制同化政策があります。新法においてアイヌが先住民族であると明確にするとともに、国としての謝罪が必要です。
そのうえで、日本政府も賛成した「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007年)をふまえた権利回復の手立てを実効性あるものにしなければなりません。政府は新法を制定するうえで実態調査を進めたいとしていますが、これまでの蓄積があるアイヌ協会や関係団体、関係自治体とよく連携し、アイヌ本人の意思もふまえながら、ていねいな対応と調査を進めることです。そのための必要な体制も確保しなければなりません。
新法制定と並行して、教育の充実など民主的土壌の醸成につながることや、成立したヘイトスピーチ解消法を実りあるものにする努力も強めるべきです。
2.アイヌの経済的・社会的苦難を解決する緊急対策を求める
北海道がおこなった実態調査では、アイヌ世帯が厳しい生活環境に置かれていることが明らかになりました。国連女性差別撤廃委員会からは「アイヌ民族や在日外国人の女性が置かれている『複合差別』の是正勧告」が出されています。これらの経済的・社会的苦難は、これまでの差別と偏見によるものが背景にあります。
国として緊急に、文化・歴史の保護・伝承と合わせて古老・高齢者の生活保障、アイヌ女性が気軽に相談できる窓口の拡充、誰もが受けられる給付制奨学金の創設などの実施を求めます。
北海道委員会のアイヌ政策はこちらをご覧ください。(14ページの「6、アイヌの権利を守り、生活向上を進め、先住民族の新法制定を」)