2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

5、保育

「子ども・子育て支援新制度」強行による保育の公的責任の後退を許さず、安心して預けられる保育を保障します

   2014年11月


 「認可保育所に入れなかったらどうしよう」「本当に希望する施設や保育が受けられるの」「保育の質はどうなるのか」……来年4月からの認可保育所などの申し込み、入所決定待ちの時期を迎えて、父母のなかでは、不安と、入所を願う必死の思いがひろがっています。

 安倍政権は、「待機児童解消加速化プラン」を打ち出し、2013年度からの2年間で20万人分、5年で40万人分の保育の受け皿確保をかかげました。しかし1年目の2013年度に増えたのは、目標の半分に満たない4・7万人分、認可保育所数で387カ所増にとどまっています。今年4月の待機児童は、政府が発表した数字だけでも2万1371人、実態はさらに2倍以上といわれ、ひきつづき深刻な事態が続いています。

 しかも自公政権がすすめ、安倍政権が加速させてきた保育の「規制緩和」と詰め込み、株式会社など営利企業の参入促進のもとで、認可保育所でも、新たにつくられた施設のなかには、園庭やホールのない園や、高架下やビルの一室に設置された施設が増加しています。保育の質の低下、子どもの発達への影響や安全を心配する声がひろがっています。

 安倍政権が来年4月に実施を強行しようとしている「子ども・子育て支援新制度」は、これまでの国と自治体が保育に責任をもってきた公的保育制度を崩し、基準がさまざまな保育サービスの導入、さらなる営利企業参入の拡大、公立保育所の廃止や強引な幼稚園との統合など、保育に対する国・自治体の責任を後退させるものであり、父母の願いに逆行しています。

 日本共産党は「新制度」の強行に反対し、父母、保育関係者、国民のみなさんとともに公的保育を守り拡充する運動をひろげてきました。こうした運動の力で、児童福祉法24条1項に自治体の保育の実施義務の規定を残させるとともに、国会や各地の地方議会、地域で、公的責任の後退や保育水準・基準の引き下げ、国基準のおしつけを許さないたたかいをすすめています。

 「新制度」による公的保育の後退、保育条件の引き下げや保育料の負担増を許さず、「規制緩和」と「詰め込み」、営利化・産業化の流れを転換し、保育を必要とする全ての子どもに、子どもの命と健やかな成長を守り安心して預けられる公的保育を保障します。

 

1、保育要求にもとづき、国の責任で、認可保育所を軸に保育施設を増やします

●国の予算を増やし、公立保育所を含む認可保育所の建設・改修をすすめます

 保育を必要とするすべての子どもに安心・安全の保育を保障することは、国と自治体の責任です。

 自治体には、子ども・子育て支援法で定められたニーズ調査をふまえて、5年間の需給計画の策定が義務づけられています。自治体のニーズ調査の結果、認可保育所を希望する住民が多いことがあらためて明らかになっています。自治体に、保育要求にこたえ、児童福祉法24条1項にもとづく認可保育所整備を軸とした事業計画を立てさせるとともに、国が責任をもって財政的支援をおこないます。

 そのためにも、「新制度」実施にともなう保育所の施設整備補助金の廃止をとりやめ、国と自治体による建設・改修のための補助制度を維持・充実させます。

 公立保育所の建設費、改修費への国庫補助の復活、自治体の公立保育所新設、建て替え・改築、耐震化を支援します。急速にすすんでいる公立保育所の統廃合・民営化に歯止めをかけます。一時保育、夜間、24時間保育、障害児保育など、地域で必要とされている保育をどの子にも平等に保障する福祉の観点から、計画的に実施し、公立にふさわしい役割を果たします。

 父母の意向を無視した強引な公立幼稚園・保育園の統廃合、認定こども園への移行をやめ、地域の実情と父母の合意と要求を大切にします。

 認可保育所、幼稚園、認定こども園、小規模保育など、どの施設やサービスであっても、安心して預けられる保育が保障され、保育士が働きつづけられ安定的な経営が保障されるように、実情をふまえた保育単価に引き上げ、国の財政的支援をつよめます。

●国有地の活用などで建設用地を確保します

 保育所建設のための用地不足の解消に、国有地の活用をすすめます。地代が重すぎるという声が自治体などからあがっています。国有地の自治体への貸与は原則無償とし、土地取得に対する国の助成制度をつくります。

 都市の再開発、住宅開発にともなう保育需要の急増に対応するために、条例でマンション業者などに保育所用地の確保を要請する自治体も生まれています。保育所など公共福祉施設の建設を街づくりの基本に位置づけ、一定規模の住宅・マンション開発の際に保育所を含む公共施設の用地確保を求め、大企業にふさわしい社会的責任を果たさせます。

●保育士の処遇改善をすすめ、保育士不足を解決します

 保育士不足が各地で深刻になっていますが、最大の問題は、保育士が働きつづけられず、また資格があっても保育現場を希望しない人が多いことです。保育士の平均給与は21万4000円余りで、全職種の平均を10万円余り下回り、平均年収は300万円台です。東京都の調査では、保育士の約2割が退職を考え、「給料が安い」「仕事量が多い」などをその理由にあげています。

 乳幼児期の子どもの保育・教育の専門職にふさわしく賃金等の抜本的改善をはかることをはじめ、長時間保育にみあった保育士の配置など過重労働を軽減し、労働条件の改善をすすめます。非正規化に歯止めをかけ、正規雇用化をすすめます。出産・子育てなどで退職した保育士が復帰し働き続けやすいように、研修制度の充実、復職のための情報提供等の支援をつよめます。育児休業制度などの両立支援制度が使いやすいよう、代替職員配置などに支援をすすめます。

●無認可保育所を支援し、認可をすすめます

 無認可保育所(事業所内保育所を含む)に入所する子どもは27万人近くで、施設数も利用者数もここ数年で急増しています。その多くは認可保育所に入れない、利用時間が合わないためなどで、とりわけ待機児童の多い0~2歳が利用者の半分を占めています。

 無認可保育所の4割が認可を希望しているにもかかわらず、きびしい保育条件、格差を放置し、補助を出さず自治体まかせにし、待機児童の受け皿として活用してきた国の責任は重大です。

 無認可保育所が認可保育所へ移行できるよう、どの子にも公的に保育を保障する立場から、施設整備の負担の軽減、保育士確保や資格取得などを支援し、保育条件の改善をはかりながら、認可をすすめます。

 「新制度」で小規模保育所に移行を希望する施設に対し、必要とされている連携園の確保や、子どもの3歳以降の保育が保障されるように、公立保育所がその役割を果たすなど自治体が責任をもちます。

 自治体がおこなっている無認可保育所への助成や保育料軽減制度を国として支援します。

 ベビーシッターなどの実態をつかみ、適切な指導と支援をすすめます。

 営利目的の劣悪な施設や深刻な事故を繰り返す事業者に対して、行政の実態把握と指導・監督、規制をつよめます。

●人口減少地域でも安心できる保育を保障します

 過疎地など人口減少地域では、保育所運営が困難になり、統廃合がすすみ必要な保育が保障できない事態がすすんでいます。過疎地の保育を担っている公立保育所への補助を復活させるとともに、小規模でも安定した保育を維持できるように財政的支援をつよめ、どの地域でも必要な保育を確保できるようにします。

 

2、「規制緩和」「詰め込み」をやめ、保育条件の改善にふみだします

●営利企業への保育の「丸投げ」、参入おしつけに反対します

 安倍首相は、営利企業参入を積極的にすすめるとともに、「規制改革会議」など財界の要望を受け入れて、これまで営利企業の参入を認めてこなかった自治体を名指しで攻撃し、参入のおしつけをすすめています。安倍首相がモデルとした横浜市では、2013年時点での新設認可保育所144園のうち6割近い81園が株式会社立で、日本共産党横浜市議団調査では、保育士の平均年収が200万円足らずという保育所がありました。

 保育のための公費が他に流用され、保育内容や保育士の労働条件を引き下げることのないよう、使途制限などの規制をおこないます。

 保育は、国と自治体の責任で設置・運営し、公立や非営利を基本としておこなうべきであり、営利企業への「丸投げ」、押し付けはやめさせます。

●子どもが思い切って遊べる園庭、ホールなどの確保をすすめます

 都市部を中心に、園庭やホールのない保育所が急増しています。東京では2013年度に新設された認可保育所(110ヵ所)の半数以上で園庭がありません。保育士が様々な努力をしていますが、いくつもの園の子どもたちが公園を遊び場として集まり、大混雑という事態も増えています。子どもたちの体力低下が懸念されるもとで、健やかな成長と健康を守るため、認可保育所の建設にあたって、園庭やホールの整備を促進します。

●保育士の配置、保育室など保育の基準を計画的に改善します

 財界や政府の「規制緩和」と「詰め込み」のおしつけを許さず、保育士の配置基準、面積や施設基準の改善を計画的にすすめます。

 政府が、保育士不足を口実に、20時間程度の研修で取得できる「子育て支援員」という新たな資格を創設し、来年4月導入を目指しています。保育士の専門性を否定し、保育の質の低下をもたらす資格要件の緩和は撤回させます。

 小規模保育(19人以下)や家庭的保育(5人以下)は、0歳から2歳を基本とする小規模な保育として、小規模ならではの良さをいかせるよう、保育士配置、施設基準を安心して預けられる基準に引き上げます。

●子どもの生命と安全が最優先の設置基準にします

 政府は、財界、規制改革会議の求めに応じて、保育施設の安全基準さえつぎつぎ緩和し、火災の際、煙にまかれず安全に避難するために4階以上にある保育所に義務付けられていた屋外避難階段の設置条件を撤廃し、屋内階段があればよいとしました。

 今年、4階以上の高層階に設置された保育所は、すでに全国で400ヵ所以上になっていることも報じられています。乳幼児の安全・安心の観点から、保育所は高層階に設置するのではなく、原則として1、2階に設置すべきです。屋外避難階段の設置をはじめ安全や避難に関する基準を元に戻します。

 

3、「新制度」実施による保育料値上げをやめさせ、軽減をはかります

 「新制度」実施にむけて保育料を値上げする自治体や、負担増になる家庭がひろがることが危惧されています。自治体がこれまで独自におこなってきた保育料の負担軽減措置を縮小したり、公立幼稚園や新制度に入る幼稚園でも保育料の仕組みが変わるために、大きく保育料が引き上げられる世帯がうまれます。「新制度」移行に伴うすべての保育料の引き上げや保護者への新たな負担増のおしつけに反対し、国の基準を改善します。

 低中所得世帯の保育料を平均で3割程度引き下げ、多子減免の充実、失業や減収の場合の緊急の保育料減免制度をつくります。

 

4、消費税増税に頼らないで財源を確保します

 自民党、公明党、民主党の3党は、子育て支援や待機児童解消とそのための財源確保を口実にして、「新制度」と消費税の10%への増税を、国民の反対をおしきって国会で強行採決しました。安倍首相は、国民の反対と景気悪化を受けて、急きょ、消費税10%の実施延期を打ち出しましたが、必ず1年半後には増税すると明言しています。国民、子育て世代の暮らしを直撃し、子どもの貧困をいっそう深刻化させる消費税の増税は許しません。

 国の予算のごく一部を組み替えるだけで、年間6000億円を消費税の増税なしに確保できます。消費税増税に頼らずに、公的保育を拡充します。

 保育を必要とするすべての子どもに公的責任で保育を保障し、どのような保育形態であっても保育に格差をつくらず、手厚い支援をおこないます。本来、国の保育・子育て支援政策は、将来をみすえて、誰もが子育てしながら安心して働き続けられる社会条件の整備をめざすべきものです。いつでも利用できる保育所の整備とともに、安心安全で子どもたちが健やかに育つ豊かな保育環境の保障が不可欠です。「子どもの最善の利益」をかかげる子どもの権利条約の見地からも当然です。

 

 (c)日本共産党中央委員会