2014年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

2014年2月28日  日本共産党

 


第一 編成替えを求める理由

 2014年度政府予算案は、消費税率の引上げによる史上空前の大増税を国民に押しつけるとともに、年金・医療・生活保護などの社会保障の削減をはじめ、教育・農業・地方財政など、暮らしの予算を軒並み削減している。その一方で、大企業減税や大型開発事業の大盤振る舞いを盛り込み、軍事費は2年連続で増額している。「大企業栄えて民滅ぶ」予算であり、「暮らしを犠牲にして戦争する国づくり」をすすめる予算となっている。

 円安によって大企業の利益は急増しているが、労働者の実質賃金低下をはじめ、家計消費の低迷、物価上昇により、暮らしはますます苦しくなっている。4半期実質GDPの伸びは2期連続で1%程度となり、経済の減速傾向が明らかになっている。

 消費税で8兆円、社会保障の改悪などを合わせて10兆円もの負担増を国民におしつければ、暮らしも経済も落ち込むことは必至である。「大企業がもうければ国民にも利益が滴り落ちる」という「アベノミクス」の路線では、国民の暮らしも日本経済も良くならない。経済政策の抜本的転換が求められている。

 政府は、2014年度予算案を撤回し、以下の趣旨に沿って、編成替えを行うべきである。

第二 編成替えの内容

(1)消費税増税を中止する

 政府は、「増税による景気の腰折れを防ぐ」といって、小手先の対策を並べているが、真剣に景気を心配するのであれば、消費税増税こそ中止すべきである。そもそも消費税は低所得者ほど負担の重い不公平・不平等な税金である。政府は「消費税は全額社会保障に使う」といってきたが、「社会保障の充実」に充てるのは増税による増収額の1割にすぎない。政府のごまかしは明白である。消費税増税を前提に大企業減税や大型開発事業、軍事費を増額するなど、財政再建にも逆行する。消費税増税はただちに中止する。

(2)大企業を優遇する予算を削減する

  1. 復興特別法人税の廃止は中止する。国民には消費税増税に加えて復興特別所得税を25年間にわたって課税し、14年6月からは住民税均等割の「上乗せ」が10年間にわたって実施される。その一方で、実際には減税の一部を繰り延べるにすぎない復興特別法人税まで1年前倒しで廃止するなどということは許されない。
  2. 研究開発減税や投資減税、交際費非課税などの大企業優遇税制の拡充を中止し、大企業に応分の負担を求める。
  3. 3大都市圏環状道路、国際コンテナ戦略港湾など、大型開発事業の予算は軒並み10%前後の高い伸びとなっている。こうした不要不急の大型開発事業は大幅に削減し、社会資本の老朽化対策を強める。

(3)賃金をはじめとする、国民の所得を増やす政策へ転換する

 日本経済をたてなおすカギは、賃金をはじめとする国民の所得を増やすことである。270兆円にのぼる大企業の内部留保を活用して、ベースアップを含む賃上げを実現することを求める。政府は賃金引き上げと雇用安定のための必要な対策を講じる。

  1. 最低賃金を抜本的に引き上げる。そのために、雇用の7割を支える中小企業に対して、最低賃金引上げのための財政支援の制度を抜本的に拡充する。
  2. ブラック企業規制法を制定し、「使い捨て自由」の働かせ方をやめさせる。非正規から正規雇用への転換を促進し、均等待遇を実現する。
  3. 「総非正規化、残業代ゼロ、首切り自由」につながる、労働者派遣法など労働法制の改悪を中止する。
  4. 雇用調整助成金を半分以下に大幅削減し、労働移動支援助成金を158倍に増額しているが、これらの措置は、雇用の維持を投げ捨て、リストラを推進するものであり、中止する。
  5. 政府等の発注する事業に関して一定以上の賃金水準を確保する「公契約法」を制定する。

(4)社会保障の連続改悪を中止し、拡充をはかる

  1. 年金給付は、昨年の1%削減に続き、14年4月分から0.7%削減しようとしているが、こうした年金の削減は中止する。児童扶養手当などの削減も中止する。
  2. 医療費の窓口負担を軽減する。70歳の医療費2割化を中止する。国保料(税)や後期高齢者の保険料を引き下げ、保険証の取り上げをやめる。
  3. 特別養護老人ホームの待機者をゼロにする介護施設の整備目標を策定し、計画的増設を進める。要支援者、軽度者の介護保険からの締め出し、利用料の負担増をねらう法改悪を中止する。
  4. 待機児童問題を解消するため、認可保育所を抜本的に増設する。
  5. 生活保護の給付削減をやめ、拡充をはかる。
  6. 障害者総合支援法を抜本的に見直す。障害者福祉・医療の負担を無料にする。

(5)TPP交渉から撤退し、農業、中小零細企業など地域経済の支援を抜本的に強化する

  1. 日本農業に壊滅的打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するTPP交渉からただちに撤退する。アメリカは、関税分野にとどまらず「非関税障壁」と称して広範な分野の対日要求を強めている。国民生活のさまざまな分野に弊害をもたらす規制緩和・市場開放は行わない。
  2. TPP参加を前提とした農業の大規模化一辺倒の施策をやめ、誰もが農業を続けられる予算へ転換する。稲作などへの補助金の大幅削減を中止し、食料自給率を50%に引き上げるため、価格保障・所得補償、後継者支援を強化する。公共建築物や民間住宅などへの国産材の使用促進対策を強める。魚価下落に歯止めをかけ、漁業用燃油対策を抜本的に強化する。
  3. 日本経済の「根幹」にふさわしく中小零細企業対策予算を大幅に増額する。大企業と中小零細企業の公正な取引のルールを確立する。「緊急保証」や「金融円滑化法」を復活し、資金繰り支援を強化する。生活密着型公共事業に転換し、中小企業むけ官公需を拡大する。

(6)教育への政治支配・介入の強化を中止し、教育予算を大幅に拡充する

  1. 少子化による自然減以上の教職員定数削減をやめ、全学年にわたる35人学級の早期実現を含む教職員定数改善計画を策定する。
  2. 高校授業料「無償化」の所得制限をやめる。私立高校の負担軽減をいっそうすすめる。
  3. 全国学力テストの規模を縮小し、学力調査に必要な数パーセント程度の抽出とする。一方的内容の道徳副教材の作成・配布など上からの道徳の教科化の検討をやめる。
  4. 大学生のための給付制奨学金制度を創設する。国立・公立・私立すべての大学の入学料・授業料を年収400万円以下世帯に対して免除するため、国立大学運営費交付金の増額、地方財政措置、私学助成の拡充をはかる。また私立大学の来年度授業料値上げを抑えるための緊急助成を実施する。
  5. 「国家予算のわずか0.11%」という世界でも異常に低い文化予算を抜本的に増額する。スポーツ予算の大幅増額をはかる。

(7)被災地の生活と生業の再建、復興の取組みを抜本的に強化する

 住宅と生業、地域社会の復興に国が最後まで責任を負うことを基本原則にすえ、被災者支援を強化する。

  1. 医療・介護の減免措置を、すべての被災者に国の負担で行う仕組みとして再開・拡充する。支援金を300万円から500万円に引き上げ、宅地も含めた住宅再建支援の抜本的強化をはかる。
  2. 中小・零細企業の再建を支援し、地域復興をすすめるため、小零細事業者への個別支援制度の創設など必要な対策を強化する。地域医療の再建のための支援を抜本的に強化する。

(8)原発事故被害の全面賠償と救済を進め、「即時原発ゼロ」を決断する

  1. 東京電力、メガバンク、大株主などの利害関係者の救済を支える原子力損害賠償支援機構の予算総則9兆円を削除する。汚染者負担原則を貫き国民負担を最小化する立場から、東京電力を破綻処理し、大株主、メガバンク等の債権者に3兆円程度の債権放棄を果たさせる。その上で東京電力を一時国有化し、事故収束・汚染水対策について国が全面的な責任を持つ体制をつくる。同時に「原発即時ゼロ」の決断を踏まえた廃炉プロセス(工程)と電力供給体制の民主的改革を一体として進める。こうしてこそ原発事故被害者の全面賠償と被災地の真の復興再生を最優先することができる。
  2. エネルギー基本計画は、「重要なベースロード電源」としての原子力という位置づけを撤回し、原発再稼動と原発輸出をやめること、再生可能エネルギーを加速的に普及する体制をつくること、高速増殖原型炉「もんじゅ」や六ヶ所再処理工場など核燃料サイクル計画を中止すること、を明記する。「使用済核燃料とプルトニウム蓄積を低減するとともに世界の核兵器廃絶と真の核拡散防止の先頭に立つ日本を目指す」ことを表明する。

(9)住民の暮らしを支える地方自治体の財源を保障する

 住民の暮らしを支える地方自治体の深刻な財源不足を解決するために、地方交付税の法定率を引上げる。「歳出特別枠」は自治体にとって必要な経常経費そのものであり、削減をやめる。「地域の元気創造事業費」の導入は、職員定数・給与削減を誘導するものであり、撤回する。

(10)沖縄・辺野古への米軍新基地建設を撤回し、「海外で戦争する国」づくりを進める軍事費を大幅に削減する

  1. 名護市長選挙にも示された沖縄県民の意思を尊重し、名護市辺野古への米軍新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去、返還を求める。また嘉手納以南の基地返還は、移設条件を付けず、ただちに返還を求める。
  2. 国家安全保障戦略、新防衛計画の大綱、新中期防衛力整備計画(5年間で24兆6700億円)を撤回し、軍事費を大幅に削減する。新型ステルス戦闘機F35やオスプレイ、無人機、ミサイル防衛などの軍備拡大は、周辺諸国との軍事緊張を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行するものであり、中止する。水陸機動団の新編や敵基地攻撃能力の保有に向けた検討をやめる。
  3. 米軍オスプレイの配備撤回を求め、日本全土での低空飛行訓練を中止させる。グアムの米軍基地建設費の負担、「思いやり予算」、SACO(沖縄特別行動委員会)関係費などは全額削除する。
  4. 武器輸出三原則の全面撤廃にむけた検討をやめ、F35など兵器の国際共同開発・生産を中止する。
  5. 憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法を廃止する。同法の施行準備を直ちに中止する。

(11)政党助成金を廃止する

 約320億円もの税金を、政党が分け取りする政党助成金を廃止する。企業・団体献金をただちに禁止し、政官業の癒着を断ち切る。小選挙区制度を廃止し、民意が反映する選挙制度へ抜本的に改革する。

 

 (c)日本共産党中央委員会