各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

10、金融

破たんしたアメリカ型の金融自由化路線を転換し、国民のくらしと営業に役立つ金融を応援します

20136


1.投機とバブルをあおり、金融市場をゆがめる日本銀行の「異次元の金融緩和」をやめさせます

 日本銀行は、今年4月から、2年で130兆円もの金融緩和を行う「異次元の金融緩和」を実施しています。2年をめどに消費者物価上昇率2%を達成するためだとしていますが、資産バブルを起こして強引に物価を上げようとするものにほかなりません。

 実体経済の改善にともなって株高などの資産価格の上昇がすすむのであれば、それは前向きな動きです。しかし、いま起きているのは、「官製バブル」による実体のない株高です。これまでも、政府の経済・金融政策の「副作用」としてバブルに陥ったことはありましたが、アベノミクスは、「副作用」どころか、はじめから投機とバブルをあおることをねらいとしています。こんな異常で危険な政策はありません。

株の乱高下、金利、為替も不安定な動き

 この間、海外投資家の投機マネーの流入ペースは異常なまでに高まっています。昨年11月半ばから5月半ばまでの半年間で、海外投資家の買い越し額(買った額と売った額の差)は、約10兆円に達しています。これは、半年間というスパンで見れば過去最高レベルの流入ペースです。この巨額の投機マネーの動きが、株式市場の不安定さを増しています。5月23日には1000円以上株価が暴落し、その後もジェットコースターのような動きが続いています。日本株の売買の6割は海外投資家が行っていますが、短期間に流入した投機マネーの量が大きいだけに、その動きが与える影響も大きくなっています。

 金利の動きも異常です。黒田日銀総裁は、「異次元の金融緩和」によって「長期金利を引き下げる」と述べていましたが、実際には、長期金利は高止まりしています。為替相場も、1日で1円も価格が変動する日があるなど、不安定な動きを続けています。

もうかったのは大金持ちと一部の輸出大企業だけ

 この半年間の「バブル」で、ユニクロの会長一家が1兆円も資産を増やすなど、ひとにぎりの大資産家には、巨額の富が転がり込んでいます。大都市の一部「優良物件」に関しては、不動産売買が過熱しています。円安の恩恵を受けて、一部の輸出大企業は大きな利益を上げています。

 一方で、賃上げの動きは広がらず、庶民の財布はきつく閉まったままです。中小企業向け貸出も伸び悩み、今年3月末の3大メガバンクの中小企業向け貸出は、3大バンク体制になって以降、最低に落ち込んでいます。

 日本の金融資産に占める株式の割合は6%程度であり、株高がすすんでも多くの庶民に恩恵は及びません。それどころか円安による原材料費や燃油の高騰は、中小企業や漁業、農業に深刻な打撃を与えています。

「異次元の金融緩和」をただちにやめよ

 政府と日銀が投機とバブルをあおった結果、日本市場は、これまで以上に、投機によって株価が形成される不安定な市場になってしまいました。「異次元の金融緩和」によって、日本の金融市場はいっそう脆弱になったのです。日銀は、今後2年間で130兆円の資金供給を行うとしていますが、現状ではまだ2ヶ月しかたっておらず、供給額も約14兆円程度と10分の1にすぎません。それでも、これだけの悪影響を与えているのです。日銀の黒田総裁は、今後も同じ路線をすすむと明言していますが、きわめて危険な道であり、ただちにやめるべきです。

 

2.中小企業と地域経済を応援する金融行政に転換します

 安倍政権は「異次元の金融緩和」と行う一方で、中小企業の資金繰りを支える制度は相次いで打ち切っています。緊急保証制度は2012年10月末、金融円滑化法は今年3月末で打ち切られました。中小企業にとっては「金融緩和」どころか「金融引き締め」が実態です。

もともと、中小企業向け貸出は減少傾向にありました。民間金融機関による中小企業向け貸出残高は、2001年3月の約293兆円から、2012年12月には221兆円へと72兆円も減少しています(『中小企業白書2013年版』)。とくに3大メガバンクは、3大メガバンク体制になった2005年以降、中小企業向け貸出を最低に減らしています。今回の金融円滑化法などの打ち切りは、この傾向に拍車をかけるものにほかなりません。

 民間金融機関は、短期的な利益を最優先して、「直近決算期の売上高」など、限られた数値だけをモノサシにして機械的に融資の可否を決定するようになっています。金融機関が本来発揮すべき「目利き」能力、審査能力の喪失は深刻です。

 「頼みの綱」となるべき政府系金融機関も、短期的な「効率化」を迫られて審査基準を厳格化しています。信用保証制度では、部分保証(責任共有制度)導入によって「一般保証」が激減しています。保証料率も、中小企業の経営状況に応じて格差がつけられました。

 いま必要なことは、民間金融、公的金融ともに、その本来の役割を発揮できるように金融行政をおおもとから転換することです。日本共産党は、企業の99%、雇用の7割を支える中小企業を支え、地域経済に円滑に資金が供給されるよう金融行政を転換します。

―――金融円滑化法を復活し、さらに使い勝手の良い制度につくりかえます。中小企業の機械設備のリース代の支払猶予についても、経産省の通達(2010年4月16日以来、最近では12年11月1日まで累次出されている)の趣旨をいかして活用をすすめるとともに、遅延損害金を求めないこと、遅延があってもリース物件を引きあげないこと、金融機関と同様にリース会社にも情報開示を求めることなどの改善をすすめます。

―――金融機関、とりわけメガバンクによる貸し渋り・貸しはがしをやめさせます。

―――金融の公共性と金融機関の「目利き」能力を回復し、社会的責任を果たすことのできる仕組みをつくります。「地域金融活性化法」を制定し、金融の公共性の発揮と円滑な資金供給に関する国、自治体、金融機関の責務を明らかにします。中小企業向け融資について、独自の検査マニュアルや監督行政のしくみをつくります。国による地域金融機関への合併押しつけをやめさせます。信金・信組などの協同組織性を変質させる動きを許さず、協同組織金融機関が本来の役割を発揮できるよう支援を強めます。協同組織金融機関については、BIS規制の画一的な適用を見直すことを検討すべきです。

―――商工中金の完全民営化をやめさせるなど、政策金融全体のあり方を総合的に見直します。公的金融にふさわしい融資基準をつくるとともに、予算、人材を含め、中小企業向け政策金融を抜本的に充実させます。貸し付け条件の変更や、さらなる融資相談などに対する冷たい窓口対応を改めさせます。

―――「緊急保証」制度については、復活したうえで、全業種を対象とするものにし、対象要件を緩和します。また、「一般保証」制度に導入された「部分保証」制度を廃止し、全額保証に戻します。小規模企業への保証料の差別的な引上げをやめさせます。信用保証協会への財政援助をおこなうなど、信用保証制度を抜本的に強化します。保証協会による「保証しぶり」をやめさせます。

―――不況の中で中小業者の自殺が続いています。この痛ましい事態の要因の1つが、中小企業融資における個人保証制度です。現在、金融機関が中小企業融資を行う際に、経営者自身や知人に対して保証・連帯保証を求めるケースがほとんどです。この制度のもとでは、会社だけでなく経営者自身も保証人も全財産を失うことになり、家族や保証人に迷惑をかけないようにと生命保険をあてにした自殺が多発しています。欧米では、数十年前に金融機関の個人保証制度は廃止されています。中小企業融資における個人保証制度について、家族など第三者を対象とする連帯保証は即時禁止とし、経営者自身の個人保証も原則廃止とします。また、個人保証の一律的な規制により銀行融資の貸渋・貸剥が懸念されることから、移行期間において信用保証制度の特例的拡充や政府系金融機関の融資制度の拡大を図ります。

―――病気や事故などに備える「自主共済」は、2006年施行の保険業法により、保険会社に委託するか少額短期保険業者に移行するか選択が迫られました。しかし、多くの自主共済が、準備金の積み立てや外部監査導入などの負担ができず、制度廃止に追い込まれる事態も生まれています。社会保障の改悪などで国民の不安が増しているいまこそ、自主共済を守り発展させることが必要です。助け合いのためにつくられた自主共済については、保険業法の適用除外とします。

 

3.貧困をなくすセーフティーネット貸出を抜本的に拡充します。

「貯蓄から投資へ」路線を転換し、金融被害をなくします。

 リストラや急な事故・病気など、誰の身にも起こりうる要因による生活苦や、売上不振や物価高騰などによる経営難などを理由に、高金利のサラ金に手を出す人が後をたちません。

 高金利と過剰融資を是正した貸金業法の改正を受けて、政府も各種の対策を打ち出していますが、未だに多くの人々が多重債務と貧困問題で苦しんでいます。本当に資金を必要とする人が、安心してお金を借りることのできるセーフティーネット貸出制度を緊急に拡充・強化することが必要です。

 自民党も、民主党も、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、国民の大切な財産をマネーゲームに誘導する政策を続けています。今年1月には、個人投資家の信用取引をやりやすくする規制緩和を行いました。この結果、個人投資家の売買代金は、今年4月の段階で、前年同月比の4倍以上の約21兆円にふくれ上がっています。

 こうしたなかで、AIJ事件やMRI事件など、年金や個人の金融資産をねらった悪質な金融事件が相次いでいます。個人年金保険や外国為替証拠金取引(FX)などの金融商品で被害を受ける人も増えています。郵便局での投資信託などのリスク商品による被害も増えています。FX業者による証拠金の流用や詐欺的勧誘も相次いでいます。高齢者などをねらった「振り込め詐欺」や「振り込め恐喝」による被害も、史上最悪の件数にのぼっています。こうした金融被害もただちに根絶すべきです。

―――悪質な金融事件を取り締まるため、証券取引等監視委員会の人員、権限を抜本的に強化します。

―――貸金業法の円滑な施行をすすめるとともに、ヤミ金に対する取締りを抜本的に強化します。「振り込め詐欺」などの犯罪をなくすために、警察、金融庁、金融機関などによる総合的なとりくみをすすめます。

―――だれでも利用できる身近な金融相談窓口を整備します。低利の生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金貸付制度を抜本的に拡充するなど、個人向け、離職者向け、個人事業者向けのセーフティーネット貸出制度を拡充・強化します。その際、生活再建のためのカウンセリングと組み合わせるなど、制度の運用改善をすすめます。

―――「貯蓄から投資へ」などといって、国民の大切な財産をマネーゲームに誘導する政策を転換します。銀行、証券、保険などすべての金融商品について、「不招請勧誘」(望まない人への勧誘)の禁止と「適合性原則」(消費者の財産、知識や目的などに合わない取引の禁止)の徹底など、国民が不当な金融被害を受けないような仕組みをつくります。金融被害の温床となっている金融商品販売担当者に対する過大なノルマのおしつけをやめさせます。

―――FXや商品先物を組み合わせた投資信託など、個人の資産運用に適さないハイリスクな金融商品について、総合的・抜本的に規制を強化します。

―――裁判外の苦情・紛争解決支援制度(金融ADR)の更なる充実や、被害回復給付金支給法の改善など、金融被害を受けた方への救済制度を拡充します。

 

4.金融自由化路線を改め、「地域金融活性化法」など金融機関に社会的責任を果たさせるためのルールをつくります

 日本が"お手本"としてきたアメリカ型の金融自由化路線は、2008年秋のアメリカ発の世界金融危機で劇的な破たんを見せました。それから5年が経ちましたが、この危機は「収束」するどころか、「キプロス危機」などの形で依然として根深い影響が残っています。

 そのもとで、世界では、金融自由化路線を見直す動きが続いています。アメリカでは二期目を迎えたオバマ大統領が、商業銀行によるヘッジファンドなどへの投資や自己勘定取引の禁止、銀行の一定規模以上への拡大の規制を盛り込んだ「ボルカー・ルール」など、金融規制の強化をすすめようとしています。EUでは、あらゆる金融取引に課税する共通ルールの金融取引税を11カ国で導入することが確認されました。金融業への依存の強いイギリスは抵抗していますが、金融自由化路線の見直しは、世界の流れです。

 国際的なルールづくりの舞台が、先進国だけで構成するG7ではなく、新興国も含めたG20に移った点も前向きな変化です。今後、G20にとどまらず、G192すなわち国連を中心にして、国際的なルールづくりをすすめることが求められます。日本政府も、この間の積極的な変化をさらに促進する立場で、国際社会に貢献する必要があります。

金融規制の緩和路線に執着する日本政府

 日本では、長年にわたって、アメリカ型の金融モデルを"お手本"にした金融自由化、規制緩和路線がすすめられてきました。90年代後半の「日本版金融ビックバン」以降、自民党も民主党も一緒になって、金融自由化、規制緩和を競いあってきました。

 安倍政権は、今年1月には、個人投資家の信用取引をやりやすくする規制緩和を行いました。今まで以上に投機マネーを呼び込み、金融市場を不安定化させるものです。これは、金融規制の強化をめざし、自由化路線の見直しを進めている世界の流れに逆行するものです。日本共産党は、「金融の公共性」を投げ捨てる金融自由化路線の転換を一貫して訴えてきました。今こそ、この立場に立って転換をすすめることが求められています。

―――金融機関のもうけを最優先する金融自由化万能路線・規制緩和万能路線をきっぱり転換します。日本共産党が提案している「地域金融活性化法」をはじめとして、金融機関に社会的責任を果たさせ、中小企業の経営を支える金融のルールをつくります。「貯蓄から投資へ」などといって、国民の大切な財産をマネーゲームに誘導する政策を転換します。

―――国連やG20などですすめられている国際的なルールづくりにおいて、積極的なイニシアチブを発揮します。原油や穀物などの価格が投機でつり上げられることを許さないために、国際社会と共同して投機マネーを規制します。ヘッジファンドなどの情報開示をすすめます。国際連帯税など、投機マネーの暴走を制限するための適切な課税を本格的に検討します。

 

5.災害被害者の「二重ローン」問題の解決を急ぐ

 東日本大震災で被災した住民や事業者にとって、くらしと生業の再建のためには「二重ローン」解消は急務です。支援の具体的改善策を提案し、再生の意思あるすべての事業者を支援することが必要です。

 現在、中小企業庁の産業復興機構と復興庁の事業者再生支援機構が、事業ローンの買い取りをすすめていますが、支援決定数があまりに少ないのが実態です。再建の意欲のあるすべての中小事業者を救済するために、買い取り基準の改善、金融機関への指導を強化するように求めます。

 事業再生資金を補助する「中小企業グループ補助金」は、被災地では歓迎されており、さらなる事業の継続と拡充を求めます。同時に、「グループ」を組めない小零細事業者への対策が求められています。現在、こうした小零細事業者に対しては、県が単独で個別・直接の支援制度をつくっています。県や商工会議所からは、こうした制度に対して、国が本格的な支援を行うことが要望されています。事業継続をのぞむすべての人たちの力で地域経済の復興を図るために、予算を抜本的に増やし、小零細企業へのグループ化の促進や、直接・個別の補助を導入すべきです。復興基金を活用し県や市町村が実態にあった支援ができるようにします。

 個人事業者・個人の銀行からの負債については「私的整理ガイドライン」により、今後5年間に返済可能な見通しの金額を明らかにし、手元に500万円を上限に残して、それ以外の債務は免除とすることとなっています。この間、ガイドライン運営委員会による申請拒否などの「水際作戦」も指摘されています。被災者の生活再建のために、制度の運用と内容の改善をすすめます。

 

6.大資産家優遇の証券税制を改めます

 証券優遇税制は今年12月までで期限切れとなり、その後は税率が20%(所得税15%、住民税5%)となります。しかし、欧米の富裕層の株式配当への最高税率は、アメリカ(ニューヨークの場合)27.7%、イギリス42.5%、ドイツ26.375%、フランス36.5%(2012年7月現在)であり、日本は依然として低い状況が続きます。

 こうした金持ち優遇税制を改めることが、経済危機の中で必要な財源を確保するためにも、格差と貧困の是正に向けて税制による所得再分配機能を再建・強化するためにも、不可欠です。

――世界に例を見ない大資産家優遇の配当や株式譲渡所得の税率軽減措置を改めます。証券優遇税制の廃止で税率を20%に引き上げたうえ、将来的には、配当や譲渡所得などは、勤労所得とあわせた総合課税を原則とし、富裕層に応分の負担を求めますが、それまでの間も、欧米諸国の水準にあわせて高額所得には30%以上の税率を適用します。

――証券優遇税制の廃止にともない、500万円までの株式投資から得られる配当や譲渡所得を非課税とする「日本版ISA(個人貯蓄口座)」制度が創設されます。小規模な投資を行う「庶民投資家」への課税を富裕層より軽減するのは必要なことですが、モデルとされたイギリスのISA制度が預金利子も非課税の対象となっているのと違って、日本の制度は株式投資だけに限定された歪んだものです。対象を狭めない小口投資の非課税枠をつくり、投資先は投資家の判断にゆだねるようにすべきです。

 

 

 (c)日本共産党中央委員会