各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

2、医療

「医療崩壊」を打開し、だれもが安全・安心の治療を受けられる医療制度を確立します

20136


安倍内閣の医療大改悪、TPPによる国民皆保険解体を許さず、国民負担の軽減、公的医療保障の充実、「医療崩壊」の打開をすすめます

 窓口負担が、「現役世代=3割、高齢者=1~3割」となり、全国の多くの自治体の国保料(税)が所得200万円(給与年収換算311万円)で年間30万円を超えるなど(4人家族)、医療の重すぎる負担に国民が悲鳴を上げています。国民負担が大幅に増えたにもかかわらず、地域の医療体制は後退・弱体化し、深刻な医師・看護師不足や地域の拠点病院の消失など、「医療崩壊」が重大な社会問題となっています。減らされ続けてきた国の医療関連予算を増やし、公的医療保険・医療体制を建て直すことは待ったなしの急務です。

 ところが、安倍内閣は、社会保障費の抜本的削減を叫び、医療の分野でも、公的給付をさらに削減・縮小し、国民に激烈な負担増を押しつける「改革」の検討を進めています。

 政府の財政制度等審議会では、▽70~74歳の窓口負担の2割への引き上げ、▽「国保広域化」による国保料(税)値上げ、▽かぜ薬・しっぷ薬など「市販品類似薬」の保険外し、▽入院患者の“追い出し”促進――などの改悪が「検討課題」にあげられています。

 「成長戦略」の策定を目的とした産業競争力会議では、▽75歳以上の窓口負担も2割に引き上げる、▽「がんは3割負担、風邪は7割負担」など病気の種類によって窓口負担を引き上げる、▽手術や長期入院などの「高額療養費」の定率負担を2倍以上に増やす――など、手当たり次第に給付を削減する案が議論されています。

 安倍内閣が6月14日に閣議決定した「規制改革実施計画」には、先進医療を「保険外併用療養費」にとどめる新しい仕組みをつくり、自費負担ができる人しか受けられなくする制度改変が盛り込まれています。「混合診療」の全面拡大に道をひらき、負担能力による「治療の格差・命の格差」を広げていく大改悪です。

 さらに、安倍政権が参加を表明したTPP(環太平洋連携協定)も、日本の公的医療保障を基盤崩壊に追いやりかねない重大問題です。TPP参加により、「非関税障壁の撤廃」の名で規制緩和が押しつけられれば、アメリカ流の薬価ルールが押しつけられ、今でも高すぎる薬価はさらに跳ね上がります。医療への株式会社の参入が解禁され、“儲け第一”の医療も拡大することも必至です。医療の費用負担に対する日本国民の不安に乗じ、保険商品を売り込もうとする、アメリカの保険大企業の攻勢もさらに強まることになります。アメリカの保険業界は、日本政府に「混合診療」の全面解禁を要求し、現物給付型の保険商品の“開発”に力を入れています。

 安倍政権がねらう公的給付の縮小とTPPへの参加が結びつけば、“お金がないとまともな治療が受けられない”事態はいっそう拡大し、「治療の格差」「命の格差」が生まれます。タガが外れたような大改悪の“提案合戦”とTPP促進――小泉「構造改革」以来の大変な危機が、日本の医療制度にせまっているのです。

 日本共産党は、公的医療保障を解体させる大改悪を許さず、全国民に必要な医療をすべて保険で給付するという「国民皆保険」の制度と理念を守ります。

 さらに、2012年2月の「社会保障充実、財政危機打開の提言」(『経済提言』)で打ち出した2段階の改革により、国民の負担軽減と公的給付の拡充、「医療崩壊」の打開を進め、だれもが安全・安心の医療を受けられる医療制度に改革します。

  「第1段階」では、「構造改革」路線で壊された社会保障を立て直す「社会保障再生計画」にもとづき、以下のような施策を実行します。

  ――医療費の窓口負担を引き下げる。子ども(就学前)は国の制度として無料に、現役世代は国保も健保も2割に、高齢者はすべて1割にする。

  ――国民健康保険料(税)を軽減する。当面、国の責任で年間1人1万円、引き下げる。国民健康保険証の取り上げをやめる。

  ――後期高齢者医療制度を廃止し、老人保健制度に戻して医療差別をなくす。

  ――診療報酬を引き上げる。高薬価や医療機器にメスを入れ、医療充実にまわす。

  ――公的病院の統廃合を中止し、計画的に医師・看護師などの養成数を増やす。

 改革の「第2段階」では、ヨーロッパ諸国など多くの諸国で当たり前となっている窓口負担ゼロの医療制度へ、抜本的拡充をはかります。

 これらの財源は、応能負担の原則に立った税制・財政の改革、国民の所得を増やす経済の民主的改革によって確保します。現役世代の雇用・賃金の立て直しと着実な所得の増加は、国保危機の打開や高齢者医療の安定した財源確保にも大きな力となります。

 

窓口負担の軽減をすすめ、先進国では当たり前の“窓口無料”をめざします

 「現役世代=3割、高齢者=1~3割」という窓口負担に国民が悲鳴をあげ、深刻な受診抑制が起こっています。東京大学医科学研究所の調査によると、糖尿病など慢性疾患の患者のうち、「医療費の支払いに負担を感じる」という人は7割、「治療の中止を考えた」という人は4割にのぼります。東北大学の研究者の推計でも、がん患者のうち、経済的理由で治療中断や治療内容の変更をしている人は、少なくとも数万人にのぼります。

 ヨーロッパ諸国やカナダでは、公的医療制度の窓口負担はゼロか、あっても少額の定額制です。日本も、1980年代までは、「健保本人は無料」、「老人医療費無料制度」でした。高すぎる窓口負担の軽減は今、日本医師会をはじめ医療界の一致した要求となっています。

 日本共産党は、「社会保障再生計画」にもとづき、窓口負担の引き下げを図ります。子ども(就学前)は国の制度として無料とし、現役世代は国保も健保も2割に引き下げます。高齢者は、今の制度で「現役並み所得者」とされている人も含め、すべて1割とします。政府・与党が計画する70~74歳の窓口負担の2割への引き上げや、あらゆる窓口負担増に反対します。

 次の段階では、安定した財源を確保し、“窓口負担ゼロ”の医療制度に前進していきます。

 

後期高齢者医療制度をすみやかに廃止し、差別の仕組みを撤廃します

 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込んで負担増と差別医療を押しつける悪法です。2008年の制度導入後、すでに2回にわたる保険料値上げが強行され、多くの高齢者が怒りと不安の声をあげています。

 民主党は、この制度のすみやかな廃止を公約して政権に就きましたが、その公約を裏切って、政権から転落しました。復活した自公政権のもと、負担増と差別というこの制度の害悪が、高齢者・国民に本格的に襲いかかろうとしています。

 日本共産党は、差別制度の温存を許さず、すみやかに後期高齢者医療制度を撤廃して、元の老人保健制度に戻します。老人保健制度は、高齢者が国保や健保に加入したまま現役世代より低い窓口負担で医療を受けられるようにする、財政調整の仕組みです。老人保健制度に戻せば、保険料の際限ない値上げや別枠の診療報酬による差別医療はなくなります。高齢者が75歳になった途端に家族の医療保険から切り離されることもなくなり、65~74歳の障害者も、国保や健保に入ったまま低負担で医療が受けられます。こうして差別制度の解消をはかったうえで、減らされ続けてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を推進します。

 

国民健康保険の再建・改革をすすめます

〔高すぎる国保料(税)を緊急に引き下げる〕

 市町村が運営する国民健康保険では、所得200万円で30万円を超える負担をしいられるなど、各地の国保料(税)が住民の支払い能力をはるかに超え、住民生活を脅かす重大要因となっています。高すぎる国保料(税)を完納できない滞納は加入世帯の約2割にのぼり、ペナルティとして正規の保険証を取り上げられ、医療費の全額を負担する「資格証明書」や期限を区切った「短期保険証」に置きかえられた世帯は150万世帯を超えています。

 ところが、政府は、国保「広域化」「都道府県単位化」の名で、市町村の一般会計繰入による国保料(税)の軽減をやめさせ、さらなる「保険料の引上げ」を行うことを自治体に指示しています。市町村が住民負担を軽減すると「格差」が生まれ、「広域化」の妨げになるというのが政府・与党の言い分です。“悪い方”にあわせるのが「格差是正」という、とんでもない言い分で、値上げを押しつけるなど許されません。

 日本共産党は、国の責任による国保料(税)値下げを提言します。第1段階の改革で、国保料(税)の「応益割」(均等割・平等割)の部分を1人1万円(4人家族なら4万円)、国の支出で引き下げます。所得にかかわらず“頭割り”で課される「応益割」の引き下げは、国保料(税)の逆進性を緩和し、中・低所得者の負担を軽くするものです。そのうえで、減らされつづけた国保の国庫負担割合を抜本的に引き上げ、“だれもが払える国保料(税)”に改革していきます。

〔生活困窮者からの国保証取り上げをやめる〕

 国保料(税)滞納を理由に、保険証を取り上げられて「資格証明書」に置きかえられた世帯は約30万世帯にのぼります。自治体に「短期保険証」を「留め置き」にされ、事実上の無保険状態とされている人、「派遣切り」などで健保を追い出され、国保にも「未加入」のまま無保険となっている人も多数にのぼります。こうした「資格書・無保険」の人が、医者にかかれず、重症化・死亡する事例が全国で多発しています。政府の国保「広域化」路線のもと、資格証明書の発行を控えている自治体が、“同一県下の滞納制裁に熱心な自治体”と比較され、制裁の実施・強化をせまられる動きも加速しています。

 国民の命と健康をまもる公的医療保険が、住民の生活苦に追い打ちをかけ、医療を奪うことなどあってはなりません。保険証取り上げの制裁措置を規定した国保法第9条を改正し、保険証取り上げをきっぱりとやめさせます。

〔強権的な取り立てをやめ、住民の生活と権利まもる行政に〕

 「収納率向上」のかけ声のもと、生活苦や経営難で国保料(税)を滞納せざるを得なくなった人に対する無慈悲で強権的な差し押さえが全国で大問題となっています。

 大阪市では、苦しい生活と経営のなかでも、役所と相談して分割納付をしている人に、突然、“滞納分を全額払わないと財産を差し押さえる”という督促状が送られ、受験生の子どもを持つ自営業者に“学資保険の差し押さえ”が通告される事例が起きました。給与・年金などの生計費相当額は法律で差し押さえが禁止されているのに、銀行に振り込まれた瞬間からそれを「金融資産」と扱って差し押さえる、行政側の脱法行為も各地で横行しています。年金が振り込まれる銀行口座を“凍結”された高齢者が餓死や自殺に追い込まれ、営業用の車にタイヤロックをかけられて、商売ができなくなった業者が一家心中するなど、痛ましい事件も続発しています。

 こうした無慈悲な取り立ても、国の指導によるものです。厚生労働省は、自治体の担当者を集めた「研修会」で、預金・給与の口座凍結や家宅捜索による物品の押収、介護サービスの停止や自動車のタイヤロックなど、強権的取り立ての“模範例”をしめしています。

 総務省が出した税徴収の委託推進方針を受け、国保税・住民税などの徴収業務の民間委託が広がり、「地方税回収機構」など、広域機関が徴収を担うようになったことも、住民の実情から離れた、無慈悲で機械的な取り立てを横行させている一因です。

 こうした「収納率向上」への圧力は、「広域化・都道府県単位化」のかけ声のもとでさらに強化されています。しかし、過酷な取り立てにもかかわらず、国保料(税)の収納率は80%台に落ち込んだままです。負担が重すぎて払えないという根本問題を改善しないまま、督促や差し押さえを強化しても、住民を追い込み、苦しめるだけです。

 人権を無視した強権的な取り立てを自治体に奨励する行政指導をやめさせます。住民の生活実態をよく聞き、親身に対応する相談・収納業務に転換するべきです。延滞金に減免制度を適用し、改善をすすめます。自治体が一人ひとりの住民の実態に即した相談・収納活動ができるよう、国として支援を強めることも必要です。

 貧困打開を求める国民世論に押され、政府が、失業で国保加入となった人の国保料(税)を減額する措置などをとった結果、2011年度の国保料(税)収納率はわずかながら改善し、厚生労働省も、“負担を抑え、払える人を増やすことが、収納率改善につながる”と認めざるを得なくなりました。収納率を向上し、国保財政を立て直すためにも、国保料(税)の抜本的引き下げと“だれもが払える国保料(税)”への改革を進めます。

〔低所得者の負担減免を推進する〕

 低所得者にたいする国保料(税)の減額・免除制度を拡充します。現行制度にも、失業者で収入が激減した人への「所得割」の減額措置や、災害・盗難・事業不振など「特別な事情」で所得が減った人に自治体の判断で国保料(税)を減免する仕組みなどが法定されていますが、適用を受けられる人は限定されています。急激な収入減におちいった人はもちろん、広範な低所得者を対象とした減免制度を国の責任で整備します。

 国庫負担の増額で国保料(税)全体の水準を引き下げつつ、低・中所得者に過重な負担を強いる算定方式を見直し、“所得に応じた国保料(税)”に改革します。

 この間、各地で、住民運動と日本共産党の論戦を力に、国保料(税)の値下げや低所得者への独自減免が実現しています。住民の生活破壊をくいとめ、滞納の増加を防ぐため、一般会計の繰入や基金の取り崩しなど独自の努力を行うことが求められます。

 2012年に成立した国保法改定により、2015年度から、市町村国保の給付を事実上、都道府県単位に統合する制度改変が実施される予定です。しかし、たとえ改変が実施されても、国保の保険者は引き続き市町村であり、住民の負担軽減のために一般会計から繰り入れることは禁止・制限されません。日本共産党は、一般会計繰入の解消と住民負担増をせまる国の圧力をはねのけ、幅広い住民と共同し、自治体における国保料(税)引き下げ・低所得者減免を推進します。

 国保法第44条にもとづく窓口負担の減免措置を推進します。生活悪化で窓口負担を払えない人が急増し、医療機関の未収金も増大するもと、政府もこの間、国保法第44条の活用をいわざるを得なくなり、10年9月、自治体が減免を行った場合に半額を国が負担する措置を打ち出しました。しかし、そこで厚労省がしめした減免制度の基準は、対象者を▽災害・廃業・失業等による収入激減、▽現在の収入が生活保護基準以下、▽預貯金が生活保護基準の3カ月分以下、▽入院治療を受けている人――などに限定し、減免期間も1カ月ごとの更新制で標準期間を3カ月に設定するなど、きわめて不十分なものです。

 全国の多くの自治体で未活用だった減免制度の推進を国が言いだし、費用の半額負担を行うようになったことは前進です。しかし、国の基準があまりに狭く、“対象者は一時的な収入源に限定”“恒常的な低所得者は対象外”という限定があるために、制度の利用率はいまだに低い水準にとどまっています。また、すでに減免制度を実施している自治体の住民からは、「国が基準を出したことで、かえって制度が縮小しかねない」という危惧の声もあがっています。

 国は基準を見直し、幅広い生活に困窮者に対応できる制度に改善・充実をはかっていくべきです。

〔国庫負担の増額で国保制度を再建する〕

 国民健康保険を安心できる医療制度とするには、根本的な制度改革が必要です。低所得者が多く加入する国保は、もともと適切な国庫負担なしには制度が成り立ちません。しかも、この間、雇用破壊で失業者や非正規労働者が国保に流入し、「構造改革」によって自営業者や農林漁業者の経営難・廃業が加速するなど、“国保加入者の貧困化”が急速に進行しています。いま、国保加入者の7割以上は、非正規労働者などの「被用者」と、年金生活者・失業者などの「無職者」です。

 ところが、歴代政権は1984年の国保法改悪を皮切りに、国保に対する国の責任を次つぎと後退させてきました。1984年度から2010年度の間に、市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は50%から25%へ半減し、それと表裏一体に、一人当たりの国保料(税)は3・9万円から8・9万円へと2倍以上に引きあがりました。

 日本共産党は、国庫負担を計画的に増額し、国保料(税)の抜本的な値下げ、“だれもが払える国保料(税)”への改革、窓口負担の当面2割への引き下げをすすめます。

〔国保の「広域化・都道府県単位化」の名による制度改悪に反対する〕

 市町村国保を「都道府県単位」に寄せ集めて市町村の一般会計繰入をなくし、都道府県や広域組織の監視のもとで収納対策や医療費削減を推進するという路線は、小泉・自公政権によって打ち出されました。それは、民主党政権にまるごと“継承”され、この間、▽都道府県による「広域化等支援方針」策定、▽国が市町村国保に行ってきたペナルティの都道府県への移譲、▽国保料(税)の所得割の算定式の「旧ただし書き方式」への統一などの措置が実施されてきました。

 2012年に成立した法改定により、15年度からは、「財政共同安定化事業」の対象を拡大し、国保の給付事業を統合する制度改変も実施される予定です。「財政共同安定化事業」は、市町村国保の拠出金を各都道府県の国保連合会にプールし、高額医療費(レセプト30万円以上)の給付費を交付する“再保険”の仕組みです。この対象が「レセプト1円以上」になれば、国保の医療給付事業は、事実上、都道府県単位となります。

 さらに、安倍・自公政権のもと、国保の運営責任を都道府県に移管することも、議論・検討されています。

 国庫負担削減と“加入者の貧困化”を放置したまま、市町村独自の負担軽減までなくしてしまったら、国保料(税)はさらに高騰し、制度の危機は加速するばかりです。保険組織の「広域化」が、問答無用の保険料徴収や住民不在の組織運営につながることは、後期高齢者医療制度や介護保険の「広域連合」の経験が、すでに実証しています。公的医療費の抑制や自治体業務の効率化をねらった「広域化・都道府県単位化」は、住民にとって何も良いことはありません。

 日本共産党は、市町村国保を解体して住民不在の機構に改編する改悪に反対し、住民の命と健康をまもる社会保障の制度として、国保の再建をはかります。

〔「医療保険の一元化」をどう考える?〕

 自民党の一部議員や民主党は「医療保険の一元化」を唱えていますが、国庫負担を削減したまま「一元化」をしても、国保の財政赤字が健保に転嫁され、現役労働者の保険料が値上げされるだけで、なんら制度の改善にはなりません。「一元化」を理由に、事業主負担が削減・廃止されれば、国民の負担はさらに増大します。

 もともと、医療制度の「抜本改革」として、「医療保険の一元化」めざす方針を打ち出したのは小泉内閣です。ねらいは、すべての国民を「都道府県単位」の地域保険に加入させ、市町村国保の保険料(税)減免や、国保組合における窓口負担の軽減など、保険者独自の負担軽減措置をなくし、「医療費削減」をはかることでした。このように、国民にさらなる負担増をせまり、公的医療保障を縮小する立場で論議を重ねても、国民の願いに応える改革案が出てくるはずはありません。「医療費削減」路線の枠内での、小手先の保険者再編ではなく、患者負担の軽減と必要な給付の保障、国庫負担の引き上げと現役世代の雇用・賃金・所得の立て直しによる安定した財源の確保など、公的医療保障を立て直す根本的改革こそ求められています。

〔国保組合の独自給付と国庫補助をまもる〕

 この間、建設国保などの国保組合が取り組む、入院費無料化などの“独自給付”を非難・攻撃する異常なキャンペーンが繰り返され、国庫補助を削減していく改悪が続いています。国保組合に対する国庫補助率は、市町村国保より低く、建設国保などに「手厚い国庫補助」が出ているという攻撃は事実を偽るものです。建設国保の“独自給付”は加入者が割高の保険料を負担しながら実施している事業であり、そこに国庫補助は入っていません。

 建設業者・家族が、お金の心配なく医療にかかれるようにする建設国保の取り組みは、公的医療保険の制度本来の主旨にかなったものです。窓口負担の軽減は、病気の早期発見・早期治療を促進し、医療費の不必要な膨張を抑えることにもつながります。

日本共産党は、事実をねじ曲げ、国民を分断することで社会保障費を削減することをねらった卑劣なキャンペーンに反対し、国保組合への国庫補助をまもり、拡充します。

 

診療報酬の大幅増額で地域医療全体を底上げします

 2002〜08年の診療報酬改定で、自公政権が削減した診療報酬は7・68%――年間2・6兆円にのぼります。これが、保険医療に従事するすべての医療機関を経営危機におとしいれ、「医療崩壊」を引き起こす大きな要因となりました。診療報酬の大幅増額による地域医療の立て直しは、医療従事者はもちろん、いまや国民的な要求です。

 「政権交代」の前後に、こうした路線の見直しが叫ばれましたが、2010年・12年の診療報酬改定は、実質的にゼロ改定・マイナス改定にとどまりました。しかも、その中身は、「早期退院の促進」「医療から介護への移行」などの名目で、高度医療を担う大規模病院に重点的に財源を投入する一方、診療所や中小病院にかかわる報酬を低く抑え、療養病床などの報酬を削減するというものでした。広範な医療従事者から、危惧と憤りの声が上がったのは当然です。

 医療は、大規模病院だけでは成り立ちません。大規模病院と中小病院、病院と診療所、医療機関と介護施設等が連携して住民の命と健康をまもっています。開業医の経営に打撃を与え、中小病院の淘汰や病床削減を誘導する報酬改定では、「医療崩壊」は加速するばかりです。

 日本共産党は、診療報酬を抜本的に増額し、地域医療全体の底上げをはかります。診療報酬の増額を患者負担に直結させないためにも、窓口負担の軽減が求められます。

 

「構造改革」路線による改悪を中止・撤回させ、公的医療保障を拡充します

〔療養病床削減を中止し、必要なベッドをまもる〕

 自公政権は2006年の「医療改革法」で、介護型療養病床を全廃し、医療型療養病床を大幅削減することを決めました。さらに、2006・08年の診療報酬改定で、療養病床に入院する患者の「医療の必要度」を区分し、「軽度」とされた人の診療報酬を大幅に引き下げるなど、入院患者の“追い出し”を促進する改悪が続いています。

 その路線は、「政権交代」後も変わらず、2010・12年度の診療報酬改定では、療養病床や慢性期患者の長期入院の診療報酬をさらに引き下げる改悪が実行されました。2012年の法改定で、介護型療養病床の廃止期限は“延長”されましたが、廃止方針そのものは撤回されていません。

 日本共産党は、「医療難民」「介護難民」を大量に発生させ、患者と家族に多大な苦しみを負わせる病床削減・廃止計画を中止・撤回させ、必要なベッドをまもります。診療報酬や負担増による病院追い出しをやめさせ、慢性期患者の医療を保障します。

〔保険外治療の拡大・医療の営利化を許さず、保険医療を充実させる〕

 安倍政権下の産業競争力会議や規制改革会議で、高度医療や新薬を恒久的に「保険外併用療養費」にとどめる制度改変が打ち出され、政府の「規制改革実施計画」として閣議決定されました。TPP参加の動きのなかで、米国側から「混合診療」の全面解禁が叫ばれるなど、公的医療保険の原則を突き崩し、保険外診療を拡大する動きが強まっています。日本共産党は、「混合診療」の拡大・解禁にむけた策動を許さず、「保険証一枚」でだれでも平等に必要な医療が受けられる制度をまもります。

 「軽い病気」の治療を保険外にする保険免責制度、医療機関が処方するかぜ薬や胃腸薬の保険外しなど、財界が要求し、安倍政権も「検討課題」に挙げだした、公的医療保険の縮小に反対します。

安全・有効な治療技術はすみやかに保険適用とする仕組みをつくり、差額ベッド料などの自費負担をなくし、安全で質の高い治療が保険で受けられるようにします。

 「株式会社による医療経営」の解禁を許さず、非営利原則をまもります。日本の医療を日米大企業の新たな儲け口とするために、国民の命と健康を犠牲にしていく、「医療の市場化」の動きに反対します。

〔健診をゆがめる制度改悪に反対し、改善・充実をはかる〕

 2006年「医療改革法」にもとづき、40〜74歳の国民に「特定健診・保険指導」を受けさせ、加入者のメタボリックシンドロームの改善をせまる仕組みがスタートしています。加入者の“受診率”や“メタボ改善率”が低いとされた医療保険には、財政支出増のペナルティが課され、加入者の保険料値上げにつながります。政府が国民に“健康づくりを怠った”というレッテルを貼り、懲罰を課すのは本末転倒です。特定健診の検査項目が「メタボ対策」に特化されたため、従来の健診にあった、病気の早期発見に必要な項目が除外されるなどの問題も発生しています。健診が保険者負担になることで、国保や健保のなかには、住民・労働者に費用を転嫁する動きも起こっています。健診の営利化によって、医療保険財政が、健康機器業界やフィットネス産業など「メタボビジネス」の食いものになることへの懸念も広がっています。

日本共産党は、「自己責任」の名で健診をゆがめ、国民の健康保持に対する国・自治体の責任を後退させる改悪に反対します。病気の予防・早期発見という本来の主旨にたって、健診の改善・充実をはかります。

〔「医療費適正化計画」による都道府県の医療費削減競争をやめさせる〕

 2006年の「医療改革法」により、国と都道府県が5年単位の「医療費適正化計画」を策定し、経済指標を参照しながら給付費抑制を推進していく仕組みが導入されました。“医療給付費の伸び率を経済成長率以下に抑制せよ”という財界の要求にもとづく制度改編です。各都道府県は「適正化計画」に「老人医療費の抑制」「病床数の削減」「メタボ・予備軍の減少」などの数値目標をさだめ、その達成をせまられます。給付費抑制の目標を達成できない都道府県には、その県だけ診療報酬を低く設定し、医療機関に経営難をしいるなどのペナルティが国から課されます。住民の命と福祉をまもるべき地方自治体を、医療切り捨ての先兵に使う改悪など許されません。

 日本共産党は、「医療費適正化計画」をはじめ、都道府県・市町村を給付費削減競争に動員する仕組みを撤廃します。

〔協会けんぽの改悪に反対し、中小企業の労働者の医療をまもる〕

 中小企業の労働者が加入する協会けんぽでは、健保財政の悪化と保険料の引き上げが大問題となっています。

 協会けんぽ(旧政管健保)の最大の原因は、長年にわたる国庫補助削減です。自民党政府は、1992年以来、本来は「16・4%~20%」とされている政管健保への国庫補助率を13%に引き下げ、健保財政を赤字におとしいれてきました。こうした恒常的な財政難の上に、不況・賃下げによる加入者の所得減、高齢者医療への過重な支援金負担などの要因が重なり、保険料の値上げが相次ぎました。

 政府は2006年の法改定で、それまで全国単一だった政管健保を都道府県単位の協会けんぽに改編しましたが、これは、都道府県単位で医療費削減を競わせあうという「医療構造改革」路線にもとづくもので、協会けんぽの矛盾はいっそう深まりました。

 2010年度、協会けんぽ本体への国庫補助率は16・4%に戻されましたが、政府・厚労省は、高齢者医療支援金にかかわる国庫補助は削減するなど中途半端な対応に終始し、協会けんぽの財政状況はいまだ改善せず、保険料の引き上げが続いています。

 日本共産党は、協会けんぽへの国庫補助を緊急に20%まで引き上げ、協会けんぽの財政再建、労働者・中小企業の負担軽減にむけた国の支援を強化します。06年「医療改革法」で導入された、保険料引き上げ・給付費抑制の仕組みを撤廃し、中小企業の労働者やその家族に国の責任で医療を給付するという、政管健保の本来の目的・役割をまもる立場から、制度の改革をすすめます。

 協会けんぽの財政を根本的に立て直すためにも、最低賃金の引き上げ、大企業と中小企業の公正な取引ルールの確立、国の中小企業振興策の抜本的拡充など、経済の民主的改革が重要です。

 

医師不足を解決し、地域医療体制をたてなおします

 地方でも都市でも、医師不足が重大な社会問題となっています。根本原因は、「医者が増えると医療費が膨張する」といって医師の養成数を抑制し、日本を世界でも異常な「医師不足の国」にしてきた歴代政権の失政です。そこに、診療報酬削減による病院の経営悪化、国公立病院の統廃合・民営化などの「構造改革」が加わって、地域の拠点病院・診療科の消失が引き起こされています。

 医師数がOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均よりも12~14万人も少ないという日本の現状からすれば、抜本的な医師増員や医師養成への国の支援が必要です。

 また、医学部定員増で医師数が増えてくるのは10年後、20年後であり、現在の医療崩壊を打開するには、削減されつづけてきた診療報酬の抜本的増額、病床削減・病院統廃合の中止、地域医療全体を底上げする医療政策への転換が必要です。これらは多くの医療団体も一致し、共同が広がっています。

 日本共産党は、「医師数抑制」「病院淘汰・病床削減」路線を転換し、国の責任で計画的な地域医療の確保と再建をはかります。

  ――国の予算投入で医師の養成数を抜本的に増やし、計画的にOECD加盟国平均並みの医師数にしていきます。そのために、医学部定員をただちに1・5倍化します。医学部の「地域枠」や奨学金の拡充、教育・研修内容の充実をはかります。

  ――産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化します。地域の医療体制をまもる自治体・病院・診療所・大学などの連携を国が支援します。

  ――医療の安全・質の向上、医療従事者の労働条件改善、産科・小児科・救急医療の充実などにかかわる診療報酬を抜本的に増額します。

  ――医師の公的任用、公募などで医師を確保する「プール制」「ドクターバンク」、代替要員の臨時派遣など、不足地域に医師を派遣・確保する取り組みを、国の責任で推進します。

  ――勤務医の過重労働を軽減するため、薬剤師、ケースワーカー、助産師、医療事務員、スタッフの増員をはかります。院内保育所や産休・育休保障など家庭生活との両立をめざします。女性医師の働きやすい環境づくり、産休・育休・現場復帰の保障などを国として支援します。

  ――「公立病院改革ガイドライン」の押しつけをストップします。国公立病院の乱暴な統廃合・民営化や、社会保険病院・厚生年金病院・労災病院などの売却をやめ、地域医療の拠点として支援します。

  ――2004年の新臨床研修制度の導入によって、大学病院の医師派遣機能が低下したことは医師不足が露呈するきっかけとなりましたが、新臨床研修制度自体は、研修医の臨床能力を向上させる改善です。ところが、政府はこれを「医師偏在」の原因だとし、臨床研修期間を実質的に短縮し、これまで医師を育ててきた地域の中核的医療機関が臨床研究を行うことを困難にする制度改変を行いました。日本共産党は、より良い医師を育てるという臨床研修制度の主旨をまもり、研修内容の充実、受け入れ病院への支援強化、研修医の待遇改善をすすめます。

 

看護師不足を解消し、安全でゆきとどいた医療を

 看護師の不足、超過密労働、離職者の急増は、医療の安全をおびやかす重大問題です。

 2006年、政府は看護師の配置基準を18年ぶりに改定し、「患者7人に看護師1人」(「7対1」)を配置した医療機関に報酬を加算して、手厚い看護体制を促す仕組みをつくりました。ところが、看護師が絶対的に不足しているうえに、「構造改革」で診療報酬全体が大幅に削減されたため、“看護師争奪戦”が激化し、経営難の中小・地方の病院で看護師不足がいっそう深刻化する事態が起こりました。これに対し、政府は、「7対1」基準の報酬を取得する要件として、「重症度・看護必要度」などの基準を導入しましたが、それらはきわめて厳しく、現場の負担を増やし、増員の流れに水をさすものとなっています。

 本当に手厚い看護体制を実現するには、諸外国に比べて異常に少ない看護師数を抜本的に増やすことが必要です。また、医療機関に「入院日数の短縮」をせまって看護師の過密労働を激化させるなど、給付費抑制のため看護現場に犠牲をしいる医療政策の転換が求められます。看護師の配置基準を満たせない中小・地方病院をさらなる経営悪化に追い込み、選別した病院だけを支援する路線もあらためるべきです。

 日本共産党は、地域医療をまもり、すべての患者に安全でゆきとどいた治療を保障するため、看護師不足の解決に全力をあげます。諸外国に比べて少なすぎる看護職の抜本的増員、労働条件の改善と地域医療の支援、退職した看護師の再就労支援などで、看護師200万人体制を確立します。

  ――「7対1」基準の報酬を取得できる病院を限定・選別するのをやめ、施設基準を満たす全病院が継続・取得できるようにします。「7対1」以外の配置基準を満たす、すべての病院に対しても、診療報酬を緊急に引き上げ、人員体制の確保を応援します。

  ――看護師の労働条件を改善するための公的支援、診療報酬改革をすすめ、「夜勤は複数、月8日以内」という人事院判定の早期実現、産休・育休の代替要員確保、院内保育所の設置、社会的役割にふさわしい賃金への引き上げなどをはかります。

  ――政府として「看護師確保緊急計画」を策定し、看護職員の大幅増員へ抜本的対策を講じます。「行革」の名による看護学校の切り捨てをやめ、自治体独自の看護師増員対策をすすめます。看護教育制度の抜本的充実をすすめます。

  ――退職した看護師の再就労を、国が予算を大幅に増やして支援します。

 

社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の導入に反対します

 安倍・自公政権と民主・みんな・維新の会は、国民一人ひとりに背番号をつけ、税金・保険料の負担や社会保障給付の記録を国が一元管理する、「共通番号」法案(マイナンバー法案)の可決を強行しました。

 この法律が実施されれば、すべての国民に識別番号(マイナンバー)がつけられ、各自の納税、保険料納付、医療機関での受診・治療、介護・保育サービスの利用などの情報をデータベース化して管理する仕組みがスタートします。2015年10月から、番号と氏名・住所・生年月日・性別が一体に記載されたカードを全国民に送り、16年には、顔写真やICチップの入った「個人番号カード」を導入するというのが、政府の計画です。

 もともと、国民一人ひとりの税・社会保障情報を一元管理する「共通番号」導入を要求してきたのは、財界です。日本経団連は2000年代から、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、“この人は負担に比べて給付が厚すぎる”などと決めつけて、医療や介護の給付を削減していくことを提言してきました。社会保障を、自分で納めた税・保険料に相当する“対価”を受けとるだけの仕組みに変質させる、大改悪にほかなりません。社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、「負担に見合った給付」の名のもとに徹底した給付抑制を実行して、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削っていくことが、政府・財界の最大のねらいです。

 医療の分野では、保険料の納付額と受けた医療の給付額が比較・対照され、重症患者が“負担した以上に手厚い治療を受けている”と攻撃され、給付抑制をせまられることが予想されます。

 国保料(税)の収納の現場ではすでに、広域徴税機構などによって、国保税を、住民税や固定資産税と一体に徴収させる自治体が増えています。そのなかで、無慈悲な差し押さえや過重な延滞金に住民が苦しめられるケースが急増し、自殺者や餓死者まで出てきています。「共通番号」導入にともなって税金・保険料の徴収業務が“統合”されれば、機械的な徴収や無慈悲な滞納制裁がさらに横行することも懸念されます。

 日本共産党は、社会保障を民間の保険商品と同様の仕組みに変質させ、国民に負担増・給付削減を押しつけるための「共通番号」導入に反対します。社会保障を“自己責任”にかえる策動を許さず、国民の権利としての社会保障をまもります。

 政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報をコンピューターに入力して行政一般に利用すること自体、重大な問題を持つものです。

 本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものであり、プライバシーをまもる権利は憲法によって保障された人権の一つです。

 今般、法律が可決されたマイナンバーは、既存の「住基ネット」などとは比較にならない大量の個人情報を蓄積し、税・医療・年金・福祉・介護・労働保険・災害補償などあらゆる分野で活用されるものです。役場への申請はもちろん、病院の窓口や介護サービスの申し込みに使われるなど、公務・民間にかかわらず多様な主体が、そこにアクセスをしていきます。これが導入されれば、個人情報が“芋づる式”に引き出され、プライバシーを侵害される危険性が高まることは明らかです。とくに、医療にかかわっては、病歴や治療歴、健診の結果や健康状態など、きわめて重大な個人情報が国に管理され、流出・閲覧されるリスクが高まるのです。

 また、データ管理を国から委託される企業に、国費をつうじて巨大な利権をもたらすことも問題視されています。

 日本弁護士連合会は、2007年10月に発表した「『社会保障番号』制度に関する提言」で、「米国の社会保障番号(SSN)がプライバシーに重大な脅威を与えていることは広く知られている」「あらゆる個人情報がSSNをマスターキーとして検索・名寄せ・データマッチング(プロファイリング)され、個人のプライバシーが『丸裸』にされる深刻な被害が広範に発生している」「SSNの身分証明性を悪用されて、『なりすまし』をされたりする被害も広がっている」と指摘し、日本への「社会保障番号」導入に反対を表明しています。

 実際、アメリカでは、「社会保障番号」の流出・不正使用による被害が全米で年間20万件を超えると報告されています。同様の制度がある韓国でも、06年、700万人の番号が流出して情報が売買され、大問題となりました。イギリスでは、労働党政権下の06年に導入を決めた「国民IDカード法」が、人権侵害や膨大な費用の浪費の恐れがあるとして、政権交代後の11年に廃止されました。

 日本共産党は、個人の人権を脅かす策動を許さず、国民のプライバシー権をまもるため、マイナンバー法の実施中止・撤廃を求めて全力をつくします。

 

医科でも歯科でも、国民に安全・安心の医療を保障するために

〔医療保険財政の立て直し〕

 給付費抑制を最優先に、国民に負担増を求め、公的保険を切り縮めて市場原理にゆだねる「医療改革」では、患者の重症化がすすみ、国の医療費は逆に増大するだけです。日本共産党は、減らされ続けた国庫負担を計画的に復元・拡充し、本当に持続可能な医療保険財政の確立をすすめます。その財源は、応能負担の原則に立った税・財政の改革、国民の所得を増やす経済の民主的改革によって確保します。

 この間、大企業の賃下げやリストラ、非正規雇用への置きかえで健保の収入が減り、不安定雇用の労働者が大量に国保に追いやられたことも、健保・国保財政を悪化させる原因です。1980年度と2008年度を比較すると、国民医療費に占める事業主負担の割合は4%――1兆3000億円分も減りました。医療保険財政を立て直すためにも、大企業に雇用・賃金・保険料負担にたいする社会的責任を果たさせ、中小企業の経営をまもる施策を推進します。

 同時に、不必要な医療費の膨張をただすため、高薬価や高額医療機器など医療保険財政の無駄にメスを入れます。予防・公衆衛生や福祉施策の充実に本腰を入れ、国民の健康づくりを推進します。病気の早期発見・治療を進めるためにも、窓口負担軽減が重要です。

 国民の長寿化や医療技術の進歩によって、医療費が増えることは本来、おそれるべきことではありません。日本共産党は、「医療費削減」の名で患者・国民、医療機関・医療従事者に犠牲をしいる路線を転換し、危機にひんした公的医療保障を再建・拡充します。

〔高額療養費の改善〕

 低所得者や治療が長期間にわたる患者の過重な医療費負担を軽減するため、応能負担の立場にたった、高額療養費制度の改善を緊急にすすめます。

 高額療養費制度の所得区分をふやし、負担限度額の上限を、現役世代も高齢者も、通院も入院も大幅に引き下げます。重い病気の患者ほど患者負担が自動的に高くなる、「1%」の定率部分をなくします。70歳未満の通院にも、受領委任払いを導入します。70歳未満の入院費の受領委任払いを徹底し、使いやすい制度に改善します。

 限度額の設定を“月ごと”から“治療ごと”にあらため、「治療が月をまたぐと高額療養費が適用されない」という矛盾を解決します。世帯の所得区分ごとに年間をつうじた負担上限額を設け、「同一世帯でも、保険がちがうと医療費を合算できない」問題などについても解決をはかります。

 現行では三疾患(血友病、HIV、人工透析の腎臓病)に限られている「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」を拡大し、療養が長期にわたる場合に対応した「長期療養費給付制度(仮称)」を創設します。

 対象が限定され、当事者が申請しないと適用されない、高額医療・介護合算制度を抜本に見直します。

〔無料低額診療への支援をすすめる〕

 各地に広がってきている無料低額診療への支援を強めます。現在、無料低額診療では、院外処方の薬剤費が制度の適用とならず、患者が自己負担を強いられる問題が起こっています。薬剤費への制度適用をすすめ、この問題を解決します。

〔感染症対策――インフルエンザ、ヒブワクチン、子宮頸がんなど〕

 新型インフルエンザの流行に備え、水際検疫体制の拡充、ワクチンなどの製造システムの確立、地域の医療・保健体制の抜本的強化、抗インフルエンザ薬とプレパンデミック・ワクチンの備蓄量の大幅増などを推進します。

 はしか対策をすすめます。国の責任でワクチンを備蓄し、追加接種が必要な人には公費助成をおこなうなど、感染・流行を防ぐ、あらゆる手立てをとります。

 保護者や住民の長年の運動がみのり、細菌性髄膜炎の予防のための「ヒブワクチン」、「小児用肺炎球菌ワクチン」、「子宮頸がんワクチン」の公費接種事業が実現しました。接種による副反応の検証など、安全性の確保・向上を進めながら、保護者の負担軽減・無料化など、制度のさらなる充実をめざします。

 厚生労働省の審議会が定期接種化を提言した水痘、おたふくかぜ、成人用肺炎球菌、B型肝炎の4ワクチンについて、国の予算による無料・定期接種化をすすめます。ロタウィルスワクチンの定期接種化の検討をすすめます。

 今後も予想される、さまざまな感染症の発生・流行にそなえ、政府が「採算重視」の名で閉鎖・削減してきた100施設・3400床の感染症指定医療機関を復活させ、拠点病院への専門医・看護師の配置、医療機器の整備、保健所の体制強化、ワクチンなどの研究・製造システムの確立をすすめます。

〔子どもの医療費無料化〕

 小学校就学前の子どもの医療費を、所得制限なしで無料化する、国の制度を確立します。その共通の制度の上に、全国に広がった自治体独自の助成制度をさらに前進させます。

 子どもの医療費の助成制度(現物給付)をおこなっている自治体の国保に対する、国庫負担の減額調整のペナルティをやめさせます。

〔診療報酬の改革〕

 診療報酬は、国民に平等に医療を保障し、“もうけ本位の医療”を許さないための大事な仕組みです。ところが、歴代政権は、医療にかかる国の予算を減らすために診療報酬の仕組みをゆがめ、「医療費削減」の道具にしてきました。現行の診療報酬は、医療従事者の労働を不当に低く評価し、そのことが、中小病院の経営難や医療従事者の労働条件悪化の大きな原因となっています。急性期患者の強引な早期退院を誘導する報酬改定、高齢者・長期入院の“追い出し”を促進する報酬削減、長期リハビリに対する保険給付の制限など、公的医療費の削減をねらったさまざまな報酬操作が、医療現場の矛盾を拡大し、医療従事者と患者の両方を苦しめています。

 日本共産党は、医科でも歯科でも診療報酬を抜本的に増額するとともに、「国民皆保険」をまもり、拡充する立場で診療報酬の改革に取り組みます。診療報酬の総額削減、保険外診療の拡大に反対し、安全・有効な治療はすみやかに保険適用とする仕組みをつくります。“安上がり医療”をねらった「包括払い(定額制)」の導入・拡大に反対し、「出来高払い」による給付をまもります。薬・医療機器にかたよった報酬評価のあり方を見直し、医療従事者の労働を適正に評価する診療報酬に改革します。

 すべての医療機関における基本診療料である初・再診料、入院基本料を適正に評価し、引き上げます。

 2012年度の診療報酬改定では、▽長期入院・亜急性期・回復リハ・慢性期病床への報酬削減、▽DPC対象病院の再編と「効率化」の誘導、▽「7:1入院基本料」の対象選別と要件を満たさない病院への報酬削減、▽在宅支援診療所の「機能強化型」と「従来型」への線引き――などの改定が行われました。いずれも、高度医療を担う大規模病院に重点的に財源を投入し、“退院促進”“介護への移行”を誘導する一方、診療所や中小病院にかかわる報酬を低く抑えていく改変です。これまでは「平均在院日数」の算定外だった人工透析患者などの入院日数を算定対象に加え、慢性期患者を抱える病院の報酬を削減する改定も行われました。このように開業医や中小病院の経営に打撃を与え、医療機関の淘汰や病床の削減、患者の“締め出し”による入院日数短縮を誘導する報酬改定では、「医療崩壊」は加速するばかりです。「在宅医療の充実」や「医療と介護の連携強化」を求める住民・医療関係者の願いも裏切られてしまいます。

 地域医療全体を底上げする立場で、診療報酬体系の抜本的な見直しを進めます。

 高齢者や長期入院患者の給付費削減をねらった差別的な診療報酬の廃止を求めます。

 地域医療・救急をささえる病院を大幅な減収に追いこみ、病院に「保険外併用療養」の採用をせまる、「総合入院体制加算」を撤回させます。

 標準算定日数を超えたリハビリを「保険外併用療養」とする改悪を許さず、リハビリ日数制限の全面撤回と制度の再構築を求めます。

 2008年10月から実施されている、脳卒中や認知症の入院患者を多く抱える「特殊疾患病棟」、「障害者施設」に対する診療報酬減額など、脳卒中・認知症患者などの“病院追い出し”をねらった改悪を撤回させます。

 2006年改定による人工透析の「夜間・休日加算」の引き下げにより、外来の夜間透析を廃止・縮小する医療機関が各地で生まれ、患者が仕事をやめざるをえなくなるなどの事態が続いています。患者負担の軽減をすすめながら、適切な報酬への引き上げをはかります。

 2010年4月から、保険請求を電子化している医療機関には、診療明細書の患者への発行が義務化されました。医療の内容を患者自身が知ることは、患者の権利をまもり、医療の安全・安心を高めるために重要です。しかし、現行の診療明細書は、患者がもっとも知りたい医療内容の情報がすべてわかるものとなっておらず、医療機関に煩雑な負担をしいるだけとなっています。情報提供のあり方について、抜本的に見直すことが必要です。

 入院中の患者が他の医療機関で受診した場合、▽入院医療機関に支払われる入院料を減額する、▽他医療機関が算定できる報酬の範囲を制限する、▽他医療機関による投薬を当日分に限る――など、2010年度の報酬改定で導入された報酬削減・投薬規制に、医療現場からは「入院患者に必要な医療を提供できない」「医療機関の連携を阻害する」などの批判の声が上がっています。日本共産党の国会論戦などを受け、投薬規制の一部は見直されましたが、入院医療機関への報酬削減、他医療機関の算定範囲の制限、包括払い病床の患者に対する投薬規制は、今も続いています。地域医療の実態とかけ離れ、患者・医療機関の双方に困難をもたらす、不合理な報酬のあり方をあらためます。

〔出産一時金の引き上げと改善〕

 出産に要する費用は年々高騰しています。それに見合うように、出産一時金の金額を、大幅に引き上げます。

〔歯科医療の充実〕

 政府は、歯科の診療報酬を不当に低く抑え、自費診療・混合診療を拡大してきました。

 基礎的な診療行為の保険点数が長年にわたって据え置かれ、新たな歯科技術の保険収載も大幅に遅れるもと、多くの歯科医は経営難にあえぎ、少なくない開業歯科医が「ワーキングプア」となっています。患者は保険だけでは十分な治療が受けられず、高い自費負担に苦しめられています。

 歯科医療従事者のねばり強い運動や日本共産党の国会論戦を受け、今次改定では歯科報酬の1・7%引き上げが行われ、基礎的な診療行為や訪問歯科診療にかかわる報酬の是正なども進んでいますが、劣悪な水準の抜本的改善にはいたっていません。歯科診療報酬の抜本的な増額・改革が必要です。

 日本共産党は、国民の口腔の健康をまもり、「保険でよい歯科治療」を実現するため、歯科診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実にむけた支援を進めます。

 初診料・再診料の水準を抜本的に引き上げ、医科・歯科間格差を是正します。医科・歯科ともに窓口負担の抜本的軽減を進めます。

 歯周病の治療・管理や義歯に関わる包括的・成功報酬型の診療報酬を撤廃し、治療行為を適正に評価する報酬に改定します。画一的な文書提供業務の押しつけをやめさせます。

 2010年度の診療報酬改定では、訪問歯科診療料の算定要件が改悪され、点数が引き下げられました。「同一建物内で複数の患者を診察した場合の減算」「20分未満の診療に対する減算」など、不合理な報酬削減を撤回し、元に戻します。

 国民の歯科医療への需要の高まりや、治療技術の進歩に対応し、保険治療の大幅な拡大と保険外治療の解消をはかります。歯科新技術の安全・有効性を確認してすみやかに保険収載とする仕組みを確立し、金属床の部分入れ歯など、実績もあり、広く用いられている治療法は保険給付の対象としていきます。現在、保険で給付されている補綴物の保険給付外しに反対し、混合診療となっている欠損・補綴の保険移行をすすめます。

 歯科技工士や歯科衛生士の役割を、適正に評価する診療報酬にあらためます。入れ歯にかかわる診療報酬の改悪により、歯科技工所の経営難・廃業が加速し、新たに歯科技工士となる若い人を確保できないなどの事態が深刻化しています。一方で、安全や品質に規制のない安価な海外技工物が大量に輸入され、自費診療で使用されています。歯科技工士が安心して仕事を継続でき、歯科医と連携して「よい入れ歯」を保険で給付できるよう、歯科技工物にたいする診療報酬の改善をすすめます。海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準を設けて規制をおこないます。

 歯科健診の充実など、国民の口腔の健康をまもる取り組みを国の責任で推進します。

〔医療の安全、患者の権利の確立〕

 安全な医療は国民の切実な願いです。日本には医療事故を専門に取り扱う公的な機関が存在せず、もっぱら警察の捜査に責任追及がゆだねられてきました。そのために、問題の解決や被害者の救済が大幅に遅れる一方で、医療従事者は「医療の萎縮」に追いやられるという事態が続いています。

日本共産党は、医療事故の検証と再発防止に取り組む第三者機関の設置を早くから提案してきました。医療事故を検証する第三者機関の設置をめぐる国の議論は、この間、暗礁に乗り上げた状態でしたが、今年5月、厚労省が「医療版事故調査制度」の案をまとめ、2015年度の設置をめざす方針を決めたことが報道され、関係者の注目が集まっています。国民の願いに応え、医療現場の苦難を軽減する、公正中立な調査機関のすみやかな設置をめざし、超党派での合意形成をつくるため全力をあげます。

 分娩時の事故で子どもが脳性まひとなった場合に補償をおこなう「産科医療補償制度」が09年1月から始まりました。補償の対象が限定される一方、見込み違いで巨額の保険料が余っており、基金の運営の透明性・公平性にも疑問がだされるなど、問題の多い制度となっています。現行制度の抜本的見直しをすすめつつ、諸外国のような幅広い医療事故に対応できる無過失補償制度の創設をめざします。

 患者の権利を明記し、医療行政全般に患者の声を反映する仕組みをつくる「基本法」の制定をすすめます。

 医療内容のすべてを反映せず、患者のための情報開示というニーズを満たさない一方、医療現場に負担をしいるだけとなっている、現行の「診療明細書の発行」を見直し、患者に医療の内容をわかりやすく知らせる、情報開示の仕組みを整備します。

〔がん対策〕

 日本国民の死因の第1位である、がんの予防・治療には、国が総合的な対策をすすめることが必要です。ところが、歴代政権は、窓口負担増、保険証とりあげなど、がんの早期治療に逆行する施策をとりつづけてきました。自民党政権が、がん検診にたいする国庫補助を廃止したために、各地で、がん検診の有料化や対象者選別、検診内容の劣悪化などの事態が起こっています。「医療崩壊」が進行するもと、がんの治療・予防の地域格差も深刻な問題となっています。

 がん対策基本法の主旨にのっとり、どこにいても必要な治療・検査を受けられる、医療体制の整備が必要です。国の責任で、専門医の配置や専門医療機関の設置をすすめ、所得や地域にかかわらず高度な治療・検査が受けられる体制を確立します。未承認抗がん剤の治験の迅速化とすみやかな保険適用、研究予算の抜本増、専門医の育成、がん検診への国の支援の復活など、総合的がん対策を推進します。

〔薬害・肝炎対策〕

 薬害(肝炎、イレッサ、MMRなど)の解決と被害者救済に全力をあげます。

 薬害C型肝炎訴訟の原告・弁護団の運動がみのり、2008年1月、薬害発生と被害拡大に対する国の責任を明記し、血液製剤によってC型肝炎に感染した被害者を救済する法律が成立しました。しかし、救済法では、カルテのない被害者の救済がきわめて困難で、対象となる血液製剤は限定され、先天性疾患の治療や集団予防接種などで感染した被害者は救済対象から外されています。日本共産党は、すべての被害者の救済をはかり、製薬企業にも謝罪・補償・再発防止をおこなわせるなど、全面解決にむけた努力をつづけます。

 B型肝炎についても、原告・弁護団の運動がみのり、昨年6月に国の責任を明記した基本合意が成立し、B型肝炎特別措置法が成立しました。しかし、国の体制の不備から個別の患者にたいする和解金の支払いが非常に遅れています。国の体制整備の遅れを解消し、すべての被害者の救済をすすめるとともに、治療費助成の創設や差別・偏見解消の取り組みなど、全面解決にむけた努力を行います。

 薬害肝炎原告・弁護団と国が結んだ「基本合意」、薬害肝炎検証委員会の『最終提言』にもとづき、薬害防止を目的として医薬品行政を監視する第三者機関の早期設置を求めます。

 350万人とも言われるウィルス性肝炎患者の治療推進と生活支援にむけ、肝炎対策基本法のさらなる充実や、「肝炎治療7カ年計画」の拡充を求めます。C型肝炎に対する肝がん予防を目的としたインターフェロン投与や、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤の使用などの有効性をすみやかに確認し、必要な検査・治療は迅速に医療費補助の対象としていきます。ウィルス性肝炎を「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」の対象に加え、患者負担を軽減します。「肝炎ウィルス無料検査」の拡充、「肝疾患診療連携拠点病院」の整備、「肝炎情報センター」の機能拡充など、肝炎の早期発見・治療、情報提供、研究体制の充実をはかります。

〔たばこによる健康被害をなくす取り組みを進める〕

 世界保健機関(WHO)の総会が「たばこ規制枠組み条約(FCTC)」を加盟国の全会一致で採択し、国会で同条約が衆参両院で承認されるなど、世界でも日本でも、たばこの害についての認識が広がっています。

 受動喫煙を防止するため、公共施設・飲食店等における禁煙を推進します。「タバコ規制法」の制定をすすめます。たばこの需要減少や年少者の喫煙防止をはかるため、たばこの価格や課税の引き上げ、税収をたばこの害から健康をまもる施策に充てる取り組みを求めます。

〔医療機関への消費税ゼロ税率適用、事業税非課税・租特法26条の存続〕

 保険診療などの医療費は消費税非課税とされていますが、病院や診療所が購入する医薬品・医療機器などには消費税が課税されています。これによって医療費の負担も増え、医療機関の経営も圧迫されています。保険診療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税が還付されるようにします。

 社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を継続します。租税特別措置法第26条等に規定された、医療機関の概算控除の特例を存続させます。

〔救急医療の拡充〕

 救急体制の確保は、人の生死を左右する課題です。この十年間で救急出動件数が65%も増加しているのに、救急隊員数は9%増にとどまるなど、政府の責任放棄が患者の命を脅かし、救急現場の矛盾を拡大しています。さらに、政府は、救急車の有料化、通報段階で患者の「緊急性」を選別して切り捨てる「トリアージ(治療の優先順位の選別)」の導入など、「命の格差」を拡大する改悪を検討しています。日本共産党は20年前から国会でドクターヘリの導入を提案するなど、救急体制の充実を一貫して要求してきました。救急車の有料化などの改悪に反対し、救急体制の拡充をすすめます。

 国の責任で、小児救急体制を整備し、新生児特定集中治療室(NICU)を現行2765床から、計画的に3000床に増やします。

〔助産師・助産院への公的支援〕

 「お産難民」が社会問題となっている今、助産師・助産院の役割はますます重要となっています。ところが、2006年の「医療改革」では、嘱託医・嘱託医療機関を確保できない助産院の開業は認めないとする法改悪が強行され、多くの助産院を廃業に追い込みかねない事態が引き起こされました。その後、政府は対応を一定あらためましたが、事態が完全に解決されたとはいえません。日本共産党は、みんなが安心してお産のできる環境を確立し、助産院ならではの、喜びと満足のある質の高いお産を普及・発展させるため、助産師の養成数を増やし、助産院に対する公的支援をすすめます。助産院を地域の周産期医療ネットワークに位置づけ、「院内助産所」の設置をすすめるなど、助産師と産科医の連携を国の責任で推進します。

〔在宅医療・介護における駐車問題の解決〕

 在宅医療、訪問看護、訪問介護の分野では、一定時間の駐車が避けられませんが、その仕事に従事している人たちは、駐車禁止で取締りを受けることに不安を感じながら仕事をしなければならないのが実態です。 駐車許可を得るには、煩雑な手続きや実態と合わない基準が障害となっている現状を改め、柔軟で実態におうじた道交法上の配慮を求めます。

 

 

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