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日本共産党

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赤旗


党中央委員会広報部のフジテレビ報道局への申し入れ

2012年5月31日


 日本共産党中央委員会の植木俊雄広報部長が5月31日、フジテレビ報道局に申し入れた「要請」は次の通りです。


政治番組企画にかかわる要請

日本の放送事業の民主的発展を願う立場から、最近の貴局の政治番組企画の若干について率直に問題を提起し検討を要請します。
 

1、政治番組企画の問題について

 (1)「BSフジプライムニュース」の5夜連続の「憲法特集」について

さる4月30日から5月4日にかけて標記の番組が放送されました。制定65年となる「憲法」を「閉塞日本の現状から検証する」というものでした。

 放送された番組の基本は、日本の現状を憲法に照らして点検しどう是正するかを問うものではなく、現状に照らして日本国憲法にどのような問題があるかを論じたものでした。番組でも紹介されたとおり、国民のなかには「護憲」と「改憲」の両方の意見が存在します。憲法と日本の現実を論じる場合、「護憲」「改憲」の両方の立場からの論議がなされてこそ、「国民の知る権利」にこたえる放送の使命が果たせると考えますが、番組は初めから「改憲」の立場に立ったものでした。

 番組に参加したゲストの多くは、「時代の閉塞」の原因を「現憲法」に求め、その根源として、現憲法がアメリカ占領軍に押しつけられたものであり、国民の総意に反しているものであることを繰り返し強調しました。これは、極めて一方的な見解です。現憲法が、戦前の日本が引き起こしたアジア諸国などにたいする侵略戦争への厳しい反省にたったものであること、それが当時の多くの日本国民の思いに沿ったものであったことは、疑問の余地のない事実です。日本国憲法を敵視する見解こそ、戦後まもなくはじまった「冷戦」以後のアメリカ支配層に淵源があるという見解も、広く存在しているのです。

 日本がいま「閉塞」状況に直面しているということは、たしかに多くの国民が感じている重要な問題です。野田・民主党政権がすすめる「消費税増税と社会保障の一体改革」、「TPP参加」、「原発再稼動」など、どれ一つとっても、国民の暮らしと雇用・地域経済の存立基盤を根底から破壊するものであり、多くの国民が強い反対や不安を表明しています。自民・公明の旧与党も、こうした国民の気持ちにそった対案などを何一つ示すことができず、些末な揚げ足取りに終始して、国民の「閉塞」感を強めています。

しかし、「閉塞」の根源が日本国憲法であるなどというのは、まったくためにする議論です。逆に、憲法を逸脱するような政治が長くおこなわれてきたところに、その原因を求めるべきでしょう。現に、現在の政治の「閉塞」状況は、“日米同盟基軸”“大企業応援”などの基本政策で異なるところのない「二大政党」によって強められています。憲法とのかかわりで言えば、「二大政党」のこうした基本政策そのものが、憲法の平和と国民主権の原則にてらしてどうなのかが問われるものです。また「二大政党」を人為的につくりだしてきた小選挙区制度=民意の反映ではなく、民意を「集約する」と称するいちじるしくゆがんだ選挙制度(この制度そのものも憲法に照らしてどうなのか議論しうるでしょう)が生み出しているという見解も、国民のなかに広がりつつあります。

 憲法に「閉塞」の原因をもとめるという立場は、問題の根本からのすり替え、「閉塞」打開の道をもとめる国民の目から、真実を覆い隠すものとならざるをえないものです。

 番組には、与野党の多くの政党が参加していましたが、「護憲」の立場にたつ日本共産党には出演要請がありませんでした。なぜ日本共産党だけが除外されたのか――結局、日本共産党の代表が参加して発言することは、番組の内容、企画意図にそぐわないからだ、ということ以外に理由は見出せませんでした。

 (2)「新報道2001」の政党討論について

 貴局は、地上波で政党参加の討論番組「新報道2001」(毎日曜日)を放映しています。政党としては、民主、自民の2つの政党の代表を中心にしながら、そのほかの政党もテーマにそくして随時参加していますが、参議院選挙後の二年間、日本共産党だけ一度も機会がありません。

2、貴局の番組編成基準「放送倫理」にてらし、自律的検討を

 貴局は「フジテレビの倫理綱領」を明らかにし、これを「番組基準」としています。そのなかでは「電波が国民共有の財産であることを重く受け止め、放送番組を編成する」とした上、「基本的人権の尊重など民主主義の原則を貫」く、「不偏不党の立場を堅持」するとしています。また具体的基準については、民放連の「放送基準」を遵守するとしており、同「基準」には、「対立する意見や見解についても積極的に紹介していく」ことが明記されています。

 放送法にも即したこれらの諸原則を自身の「倫理綱領」で定めているのは、権力におしつけられたものでなく、放送の自由を守るため、自らを律するためでもあるでしょう。放送法に明記された放送原則「不偏不党」「公平・公正」の原則、「対立する意見の番組内での積極的紹介」などの諸原則、諸基準は、かつて「対立する意見や見解」を排除し、「大政翼賛報道」へと傾斜するなかで、無法な戦争を推進するに至ったという苦い教訓にうえに築かれたものです。

 貴局が以上のような問題につき、番組基準にてらして真摯に検討されるよう、要請します。

 

 フジテレビ報道局御中

日本共産党中央委員会広報部

  2012年5月31日

政策