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日本共産党

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赤旗

2022104()

 キャンパス・セクハラ全国ネット25年

大学でのセクハラ解決へ取り組み

朝岡晶子 

 大学におけるセクシュアルハラスメント問題の解決に寄与するために1997年に結成された「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク」(全国ネットワーク)が、結成25周年を迎えました。全国ネットワークは、主として大学教育の場におけるセクハラ等に関する情報交換や被害者支援、問題解決のための諸活動などを行いながら、年に1度、全国集会を開催してきました。

 今年の全国集会は、8月27日、オンラインと対面(名古屋市)で開催されました。教育現場でのセクハラについて、その根底にある女性差別と性暴力問題の現状を岡村晴美弁護士が講演し、二つの大学からハラスメント対策の取り組みが報告されました。

 全国ネットワークからは、25年の活動をふり返りながら、「何を目指そうとしてきたのか」が語られました。1990年代から大学におけるセクハラ問題(事件)が表面化していたにもかかわらず、当時は問題を告発しても、「『スキャンダル』として面白おかしく取り扱われた」り、「すさまじいセカンドレイプ」に遭っていたといいます。

 そうした中で全国ネットワークが結成され、99年の「男女雇用機会均等法」改正で事業主のセクハラ防止対策が義務化されたことなどから、大学での対策が本格化します。全国ネットワークはその際、旧来的な内部での処理ではなく、中立的な窓口や調査委員会が必要であることや、加害者処分だけではなく被害者救済が求められることなどを提言し、今日では少なくない全国の大学がそれらを参考にしながらガイドラインを作成し、相談窓口や調査委員会を設置しています。

 大学内のセクハラの多くが、指導教員からの学生・院生に対する行為であることは、大学における構造的な権力関係と無関係ではありません。そしてそれは、アカデミックハラスメント(研究教育に関わる優位な力関係のもとで行われる理不尽な行為)やパワーハラスメントとも相関関係にあり、被害者は尊厳を奪われるとともに、学習・研究の継続など学ぶ権利を奪われることにもつながりかねません。

 性暴力を許さない#MeTooの広がりやさまざまな運動により、社会的にはセクハラを許さない声が高まってきていますが、大学におけるセクハラの解決は、その権力構造や女性研究者の少なさも影響し、実態としてはいまだ立ち遅れた面もあります。

 すべての大学でハラスメント対策を強化するとともに、大学内でのジェンダー平等の実現をめざすことが重要です。同時に、政治がハラスメントの定義と罰則付きの禁止規定をもつ実効ある法整備を急ぐことも求められています。

 (あさおか・あきこ 日本共産党学術・文化委員会事務局員)

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