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日本共産党

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赤旗

26、税制

新自由主義から転換し、「やさしく強い経済」を実現するため、消費税を減税し、大企業・富裕層の優遇税制を改めることが決定的に重要です。

消費税の緊急減税、大企業と富裕層に応分の負担を求め、格差を是正します

2022年6月

 コロナ危機と物価高騰で、暮らしと営業が脅かされています。4月の消費者物価は前年同月比2.5%と、消費税増税時を除けば30年ぶりの上昇となっています。とりわけ、食料品や水光熱費などの生活必需品が多くを占める「基礎的支出項目」の価格上昇は4.8%に達しており、生活必需品の支出割合が高い低所得者ほど、家計負担の増加率が高くなっています。

 さらに、企業物価指数は前年同月比10.0%と過去41年間で最高の上昇となり、コスト増で経営を圧迫しています。これが価格に転嫁されれば、ますます消費者物価が上昇することになります。

 家計や中小企業が苦しむ一方で、上場企業の3月期決算は、連結当期純利益が42兆円と、前期の30兆円から38%も増え、史上最高となっています。国民には物価高をもたらした円安も、海外で活動する大企業には巨額の利益をもたらしています。

 20年以上も続いてきた新自由主義の政治、とりわけ自公政権が9年間も続けてきた「アベノミクス」のもとで、賃金は上がらず、社会保障は削られ、大企業と富裕層ばかりが大儲けして、格差が拡大してきました。2度にわたる消費税増税と繰り返された大企業減税、温存された富裕層への減税が、これに拍車をかけてきました。

 いまこそ、この流れを転換し、国民のための民主的税制に切り替えるときです。

消費税を5%に緊急減税し、インボイス導入を中止します

 今の物価上昇は多くの品目に及んでおり、ガソリンへの補助金などの小手先の対策だけでは全く不十分です。消費者物価の上昇率は2.5%ですが、生活必需品の値上がりが大きいため低所得ほど値上げの打撃が大きく、消費税率を5%上げたのと同程度の負担増になっています。中小企業や商店は、原料や資材の値上がりを価格に転嫁できず、苦境に陥っています。こうした状況を打開する最も有効な対策は、消費税の減税です。

 日本共産党は、1989年の消費税創設以来、消費税に一貫して反対してきました。「応能負担・生計費非課税」という税の原則に反する消費税は、廃止すべきです。将来的には廃止することをめざしつつ、当面の緊急対策として、消費税の税率を、自公政権が二度にわたって増税する前の5%に引き下げます。

世界91か国で、消費税が減税されています

 世界では、コロナ危機以降に消費税(付加価値税)の何らかの減税を実施したか、今後実施しようとしている国が91か国にものぼっています(大門実紀史参議院議員事務所調べ)。物価高騰とコロナ危機から暮らしと営業をまもるため、日本でも消費税減税が必要です。

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小規模業者やフリーランスいじめのインボイスは中止します

 来年10月から、適格請求書の保管制度(インボイス制度)が導入されることになっています。仕入れ先から受け取ったインボイスがないと仕入れ税額控除ができず、納税額が増えてしまうため、仕入れ先の事業者は取引先からインボイスの発行を求められます。ところが、消費税を納税しない事業者はインボイスが発行できない仕組みなため、これまでは、免税業者になっていた小規模事業者(年間売上1,000万円以下)は、増税となってしまいます。

 財務省の国会答弁でも、免税業者のうち個人・法人あわせて161万者が新たに納税業者になり、平均15.4万円、合計で2480億円の増税になると試算されていますが、実際には、政府が試算の対象にした一般の自営業者だけでなく、いわゆる「フリーランス」の人なども、インボイスの対象となります。賃金・給与としてでなく、報酬・料金の形で企業などから収入を得ていれば、自営業者と同じように消費税の課税対象となるからです。

 フリーランスは、コロナ以前の政府の各種調査でも340~470万人もいると指摘されていましたが、コロナ後は食事の配達員などさらに急増しています。全国のシルバー人材センターの会員(約70万人)もインボイスの対象です。こうした人々の中には、年間売上1,000万円どころか、100万円前後にしかならないような人もたくさんいます。インボイスは、まさに、「弱い者いじめ」そのものです。政府は、フリーランスの増加をうけて「働き方に中立な税制を整備」(岸田首相の所信表明演説)といいますが、それなら、フリーランスいじめのインボイス制度は撤回するのが当然です。

 政府がインボイス制度の導入を決めた口実は、「食料品などの軽減税率」を導入したことです。仕入れの税率が複数になったので、正確な控除額の計算のためにはインボイスが必要だというのです。消費税率を5%に戻せば、軽減税率もなくなるので、インボイス導入の口実もなくなります。減税とあわせて、インボイス中止を実現します。

コロナ危機で納税困難となっている事業者に、消費税を減免します

 コロナ危機で売上が大幅に落ち込み、赤字決算になった事業者は、所得税や法人税はゼロになりますが、消費税の納税は赤字業者でも容赦なく迫られます。コロナ対策で設けられた納税猶予の特例措置の総額1兆5,176億円の60%に当たる9,059億円は消費税です。国税庁が発表した20年度の新規滞納税額6,889億円でも、その64%に当たる4,429億円は消費税です。このままでは、「消費税が払えなくて倒産」という事態が生じます。コロナ危機で納税困難となっている事業者に、その状況に応じて納税の減免の特例を講じます。

社会保障拡充などの財源は、「消費税ではない別の道」でつくります

 自公政権は、「社会保障のため」といって消費税を増税してきましたが、その一方で大企業への減税を繰り返し、所得税では、欧米に比べてもはるかに「大株主優遇」の税制を温存するなど、税収に穴をあけてきました。

 1989年の消費税創設以来の34年間で、消費税の総額は476兆円にものぼりますが、ほぼ同じ時期に、法人三税は324兆円(89年度のピーク時に比べて)、所得税・住民税も289兆円(91年度のピーク時に比べて)も減ってしまいました。消費税は、その穴埋めに消えてしまったのです。

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 いくら消費税を増税しても、それが法人税や所得税の穴埋めに消えてしまったのでは、社会保障も財政も良くなりません。自公政権の9年間で、社会保障は充実されるどころか、年金の削減や生活保護の削減など、6兆円もの改悪が行われてきました。また、国と地方の長期債務は、コロナ危機の影響も含めて、この9年間で300兆円も増えてしまいました。

 「消費税頼み」では社会保障や教育の拡充も、財政健全化の展望も開けません。いまこそ、「消費税頼み」の路線と、きっぱり決別しなければなりません。

 日本共産党は、「消費税増税にたよらない別の道」として、具体的な財源提案を発表しています。

 この、「消費税ではない別の道」を進めば、大企業・富裕層優遇を改める税制改革と歳出のムダの一掃で当面19兆円の財源を確保することができます。

 「各分野の政策「27、財源提案」
 (リンクはこちら)→https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021s-bunya-027.html"

将来的には消費税廃止をめざします

 消費税は、低所得者ほど負担の重い税金です。震災や津波で家や職を失った被災者にも、収入がなくなけなしの預貯金を取り崩しながら不安な生活を送っている人にも、多重債務に苦しんでいる人にも、生活のために消費しているかぎり、消費税の負担がのしかかります。消費税は「生計費非課税」の原則に反する税金です。

 事業者にとっては、販売する商品に消費税が転嫁できているか否かにかかわらず、消費税が課税されます。経営が赤字であっても消費税は納税しなければなりません。その一方で、輸出大企業が下請業者に消費税分の単価引下げを強要しておきながら、自らは「輸出戻し税」を受け取るという矛盾も起きています。

 このような消費税は、「能力に応じた負担」という税の原則に反する税制です。日本共産党は、このような消費税に反対し、将来的には、その廃止をめざします。消費税を廃止した段階では、ぜいたく品や環境に負荷を与える商品・サービスなど、品目を限った個別間接税を実施します。

消費税廃止にいたる以前の段階では、次のような改善をすすめます

―――食料品や水光熱費、生理用品、紙おむつなど、生活必需品の消費税を非課税(ゼロ税率)にします。生活必需品は所得の多少によって支出額があまり違わないため、所得対比でみた消費税負担率が低所得者ほど重くなる「逆進性」がとくにひどくなります。こうした品目を非課税にすれば、家計をたすけるとともに、税制のゆがみをただすことにもつながります。

 現行の「軽減税率」は、税率を10%にするときに食料品や新聞を8%に据え置いただけで、新たな「軽減」をしたわけではありません。食料品はゼロ%のイギリス、カナダ、韓国や、フランス(5.5%)、ドイツ(7%)と比べても、8%では「軽減」の名にまったく値しません。消費税全体の税率を5%に下げたうえで、食料品などは税率をゼロにするような形で、真の軽減を実施します。

―――消費税の免税点が年間売上3,000万円から1,000万円に引下げられた結果、零細な業者までが消費税の納税義務を負わされ、税が払えないために廃業を余儀なくされるなど、深刻な事態が広がっています。売上3,000万円以下の業者は課税業者の半分近くにもなりますが、消費税収全体に占める割合は3.1%にすぎません。しかし、1業者あたりの税額は40万円にもなり、零細な業者にとっては大きな金額です。消費税の延納措置を認めるとともに、免税点を引き上げます。

―――保険診療などの医療費は消費税非課税とされていますが、病院や診療所が仕入れる医薬品や医療機器などには消費税が課税されています。これによって、医療費の負担も増えるとともに、病院などの経営も圧迫されています。医療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税が還付されるようにします。

大企業優遇税制をあらため、中小企業なみの負担を求めます

 2020年度の国税庁データから法人企業の利益に対する実質負担率を計算すると、中小企業は19%前後なのに、大企業は10%程度しか負担していません。「アベノミクス」で空前の利益をあげている大企業の税負担率が中小企業より低いという、この不公平・不公正こそ、ただすべきです。

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大企業優遇措置を廃止・縮小します

  法人税の基本税率は大企業でも中小企業でも同じなのに、実質負担率で差が出るのは、研究開発減税などの租税特別措置、連結納税制度、受取配当益金不算入制度など、さまざまな優遇税制があるからです。これらの制度は形式的には中小企業も対象となっていますが、実際には、ほとんどが大企業によって利用されています。巨額の研究費を使ったり、国内外の子会社から多額の配当を受けたりするのは、そもそも大企業でなければできないからです。こうした大企業優遇税制を抜本的に見直します。

―――03年度に大幅拡充された研究開発減税は、研究開発費の10%程度を法人税から減額するというものです。以前は「研究費を増やした企業に減税する」というものでしたが、今では、研究費を減らしても減税になるという制度です。減税の最新実績は20年度で5,052億円、中小企業向けを除いても4,734億円にもなります。トヨタ自動車1社だけで、最近の8年間に合計7,100億円もの研究開発減税を受けています(13年度1,201億円、14年度1,084億円、15年度940億円、16年度841億円、17年度797億円、18年度710億円、19年度854億円、20年度713億円)。同社をはじめとして、多額の内部留保を抱え研究費の調達に何の困難もない大企業が、この制度を利用しています。中小企業向けの措置を除いて、研究開発減税は廃止します。

―――13年度から実施されている「賃上げ減税」は、一定の基準を超える賃上げをした企業に、法人税の税額控除を行うもので、過去8年間の実績は約2兆円ですが、うち43%は大企業です。中小企業のうち、この減税に対象になっているのは、企業数でわずか3.5%にすぎません。「税額控除」という仕組みのため、もともと赤字で法人税を払っていない企業は対象にならないのです。「賃上げ減税」は廃止して、中小企業には社会保険料の減免など、赤字企業も含めた支援策を行います。

―――租税特別措置は、一定の政策目的で税額控除や特別償却、所得控除などの措置を行うものですが、政策目的が失われた後も継続するなど、「補助金」的な性格が強く、特定企業や業界に恩恵が集中するなど、その弊害が指摘され、政府も「整理する」と言ってきました。ところが安倍政権以降は逆に拡大し、研究開発減税や賃上げ減税を含めた租税特別措置による法人税関係の減税額が、毎年2兆円近くにもなっています。中小企業向けの措置を除いて、大幅に廃止・縮減します。

―――グループ内の黒字企業と赤字企業の利益を相殺させることができる連結納税制度によって、毎年、4,000~6,000億円もの減税になっています。トヨタ、日産自動車、ホンダ、三菱UFJ、NTT、ソニーなど、名だたる大企業が連結納税制度を利用しています。こうした税金逃れをやめさせます。

―――大企業の利益の中で、グループ企業や海外子会社からの配当が年々増加しています。国内企業から受けた配当に対する「受取配当益金不算入制度」で非課税とされた配当額は年間約10兆円、「外国子会社からの配当非課税制度」(2009年度創設)で非課税とされた配当も年間4兆円となっています(いずれも20年度)。こうした優遇税制を縮減します。政府や財界は、「増税すると企業が海外に逃げていく」などといいますが、そういいながら、「海外で稼ぐほど税金が安くなる」という税制を政府自らがつくっているのです。こうした海外進出企業優遇税制こそ改めるべきです。

―――多額の為替取引に対して低率で課税する「為替取引税」を創設します。東京外為市場の取引額は年間推計94兆ドル(2019年)で、過去21年間で3倍近くに増えています。投機マネーによる取引が増加しているからです。0.01%程度の低い税率でも、いまの為替レート(1ドル=130円前後)だと、1.2兆円の税収になります。通常の貿易や金融取引には影響がない、きわめて低率の税ですが、取引を多数繰り返して行う投機マネーにとっては負担となり、投機マネーの行き過ぎた動きを抑制することができます。

自公政権がばらまいた大企業への減税をあらため、税率を元に戻します

 自公政権は、毎年のように法人税の減税を繰り返してきました。復興特別法人税の1年前倒しの打ち切り(2014年度)、法人税率の引き下げ(15・16・18年度)、研究開発減税の拡充など、実施された法人税減税は、総額で4兆円にもなります。

 この結果、安倍内閣発足前には25.5%、「復興特別法人税」を含めて約28%だった法人税率が、23.2%まで引き下げられました。地方税を含めた「法人実効税率」も、37%から34.62%(14年度)、32.11%(15年度)、29.97%(16年度)、29.74%(18年度)と、連続的に引き下げられました。これは、「法人実効税率を25%程度まで引き下げる」という経団連などの要求にこたえたものです。

 政府や財界は、大企業に減税すれば、それが賃上げにつながるかのように言ってきました。しかし、大企業の利益は大きく増えても、賃上げはわずかにとどまり、消費税増税の影響を含めた物価上昇によって、実質賃金はこの9年間で、年収ベースで20万円も減ってしまいました。

 大企業の内部留保は20年度末で467兆円にも達し、その多くは設備投資などにも生かされず、「余剰資金」となっています。空前の「カネ余り」状態にある大企業に対して、さらに何兆円もの法人税減税をしても、このカネ余りがいっそう促進されるだけです。

―――安倍政権が引き下げた法人税率を、中小企業を除いて、安倍政権以前の水準である28%に戻します。これは、バイデン政権が提案している法人税率と同じ水準です。

―――政府は、法人実効税率の財源の一部とするため、法人事業税の外形標準課税(付加価値割、資本割)の税率を引き上げてきました。これは、法人税が課税されない赤字法人や、利益が少ない法人にも重い税負担を求めるものです。一方、資本金1,000億円を超える巨大企業には負担軽減措置があるなど、大企業に有利な制度です。法人税減税の中止とあわせて、外形標準課税の税率も安倍政権以前に戻します。

―――将来的には、OECD(経済協力開発機構)でも指摘されている「有害な法人税の引下げ競争」を見直す国際的な働きかけをすすめ、下げすぎた法人税率の適切な引上げをはかります。

大企業の内部留保への課税で、賃上げと「グリーン投資」を促進します

 「アベノミクス」のもとで、大企業の内部留保は8年間で130兆円以上も増えました。そのうち、大企業減税によるものだけでも40兆円あまりになっています。内部留保のうち新たな設備投資などに充てられたのは30兆円程度にすぎず、多くは「余剰資金」となって有効に活用されず、経済発展の阻害要因となっています。こうした内部留保の有効な活用を進めるため、日本共産党は「アベノミクスで増えた大企業の内部留保に適正な課税をー大企業優遇の減税をただし、内部留保を賃上げと『グリーン投資』など国内投資へ」(2022年2月24日)を発表しました。

 「大企業の内部留保課税の提案」
(リンクはこちら)→https://www.jcp.or.jp/web_policy/2022/02/post-905.html

富裕層優遇の不公平税制をあらためます

 米誌「フォーブス」が集計している「世界のビリオネア(10億ドル以上の資産を持つ大富豪)」のリストによれば、このリストに掲載された日本の大富豪の資産は、2012年には6.1兆円でしたが、直近では19兆円と、10年間で3倍にも膨らんでいます。「アベノミクス」のもとで株価が上昇したからです。国民の暮らしを守り、格差を是正するために、こうした富裕層に応分の税負担を求めることが必要です。

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 ほんらい所得税は、所得が高い人ほど負担率が高くなる累進税制になっているはずです。ところが、国税庁の統計では、所得が1億円を超えると逆に負担率が下がってしまいます。2020年分の統計データで計算すると、所得5,000万円~1億円の層の所得税負担率は27.1%なのに、所得100億円超の超富裕層では19.6%、50~100億円の層では17.1%しかありません。こんな不公平がまかり通っていたのでは「働くのが、ばからしい」という風潮を広げてしまいます。

 岸田首相は、昨年の自民党総裁選挙の際に、「1億円の壁」といって、この所得税の不公平をただすかのように言いましたが、首相になった途端に棚上げしてしまいました。

 こうした金持ち優遇税制を改めることは、消費税にかわる必要な財源を確保するためにも、格差と貧困の是正に向けて税制による所得再分配機能を再建・強化するためにも、不可欠となっています。

富裕層の株式配当や株式譲渡所得への課税を強化します

 一般の納税者の所得は、給与や事業所得、年金などが中心です。ところが、所得が1億円を超えるような富裕層の場合は、株式の配当や、土地や株式を譲渡して得た所得が多くを占めています。こうした株取引などの所得は、他の所得と分けて税金を計算する「分離課税」とされ、しかも税率が低くなっています。所得が多い人ほど分離課税の所得の割合が高いため、所得税の負担率が下がってしまうのです。

 日本の株式配当や株式譲渡所得への課税は、欧米諸国に比べても、大資産家優遇の制度になっています。株式配当への税率は、一部の大口株主を除けば所得税15%(復興特別所得税を含めると15.315%)、住民税5%にすぎませんが、欧米の富裕層への最高税率は、アメリカ(ニューヨーク市の場合)34.8%、イギリス38.1%、ドイツ26.375%、フランス30%となっています。株式譲渡所得への最高税率も、アメリカやドイツ、フランスは配当と同じです(いずれも2022年1月現在)。アメリカのバイデン政権は、さらに5%の引上げを提案しており、日本との差は開く一方です。

―――株式配当は少額の配当や低所得者の場合を除き、勤労所得などとあわせた総合課税を義務づけ、富裕層の高額の配当には所得税・住民税の最高税率が適用されるようにします。

―――株式譲渡所得についても将来的には総合課税とすることを検討しますが、分離課税が続いている間も、欧米諸国の水準にあわせて高額所得者には30%以上の税率が適用されるようにします。

引き下げられた所得税・住民税の税率を元に戻します

―――消費税が創設されたばかりの1990年代の所得税などの最高税率は、所得税50%、住民税15%で、あわせて65%でした。自民党政権のもとで99年に37%と13%に引き下げられ、地方への税源移譲後は所得税40%、住民税10%となりました。その後、所得税は2015年に45%に引き上げられましたが、これは、もともと民主党政権で提案されたもので、自公政権が自ら言い出したものではありません。対象も課税所得4000万円超(5万人程度)に限定され、税収も600億円足らずしか増えませんでした。99年の引下げ前の税率水準に戻せば、1兆円以上の増収が見込めます。

―――所得税の人的控除や社会保険料控除などは、所得控除のため、同じ額の控除をした場合でも、適用税率が高い高所得者ほど、減税効果が大きくなります。将来的には、不平等が生じない税額控除に切り替えることも選択肢に入れつつ、当面、諸外国で実施されているような所得制限の導入や上限額の設定を行います。社会保険料控除は、社会保険料の標準報酬の上限引き上げとあわせ、控除額の上限を定めます。

相続税・贈与税の最高税率を引き上げます

 相続税・贈与税の最高税率は、2003年に70%から50%に引き下げられました。2015年から55%に戻されましたが、対象も増税額もわずかにすぎません。逆に、基礎控除を引き下げ、少額の遺産への課税を強化しています。その一方、孫などに1人1,500万円までの「教育資金一括贈与の非課税枠」を創設するなど、富裕層向けの減税措置は強化されています。中間層の負担増にならないように、基礎控除額を引き上げるなどの措置をとりつつ、最高税率を元の70%に戻し、富裕層の資産への課税を強化します。

富裕税を創設します

 富裕層の資産に対して、低率で毎年課税する新たな税として、「富裕税」を創設します。純資産が5億円を超える場合に、その超過部分に対して、0.5~3%程度の範囲で累進的な税率で課税します。課税対象資産額の算定にあたっては、相続税の課税評価額に準じた方式で、自宅用不動産の評価の軽減、自営業者などの事業資産への特例措置、営農中の農地については宅地並み基準を適用しないなどの措置を講じ、中間層に負担がかからないように配慮します。これにより、富裕税の対象は1,000人に1人程度の富裕層に限定されます。これは、相続税(被相続人の5%前後が対象)にくらべ、50分の1程度です。しかし、「アベノミクス」のもとで富裕層の金融資産が急増しているもとで、1兆円以上の税収が見込めます。

 大株主が株式を資産管理会社に移すような場合には、その会社を保有していること自体を「資産」とみなして富裕税を課税し、税逃れを許さないようにします。相続税は数十年に一度しか課税されないため、さまざまな「資産隠し」「課税逃れ」が生じる可能性がありますが、富裕税は毎年申告するため、資産隠しを防ぐためにも有効です。

社会保険料も応能負担の改革をすすめます

 現行の被用者年金では標準報酬65万円、医療・介護保険では139万円を超えると、保険料が頭打ちになってしまい、月給が何百万円になっても負担額が変わらないため、全体として逆進的な負担となっています。上場企業に開示が義務づけられている「年間報酬1億円以上」の役員は、12年度には370人で、報酬額は合計640億円でしたが、「アベノミクス」のもとで18年度に過去最高の766人、1,609億円まで増加しました。しかし、これらの役員が支払う社会保険料は推計12億円、収入の0.7%程度にすぎません。しかも、税の社会保険料控除が適用されるため、支払った保険料の半分以上の額が税の形で戻されてしまい、実際の負担率はさらに低くなります。

 年金については医療保険なみに標準報酬上限を引き上げること、高齢者医療への拠出金相当分や介護保険料など税金的な性格の強い保険料については上限を廃止するなど、負担の公平をはかります。その際、所得税や住民税の社会保険料控除については現行の青天井方式をあらため、一定の上限を設けるようにします。

タックス・ヘイブンなどを利用した税逃れをやめさせます

 世界中の大企業や富裕層が、タックス・ヘイブン(=租税回避地。税率が低く、秘密性の高い国や地域)にペーパー企業を設立して、この企業に資産を移したり、この企業を通じた国際取引を行ったりすることで、「課税逃れ」をしている-国際ジャーナリスト団体が公表した「パナマ文書」や「パンドラ文書」で、その一端が明らかになり、怒りの世論が広がっています。パナマ文書には、日本の大企業や富裕層の名前も登場しています。

 国際収支統計によれば、タックス・ヘイブンといわれるケイマンへの投資は急増し19年末には108兆円(直接投資5兆円、証券投資103兆円)に達しています。香港、台湾、シンガポール、スイス、オランダを含めれば、公表されているだけでも166兆円前後になります。投資利回りが数%としても数兆円の利益が生ずる計算になりますが、この利益にどのように課税されているかは明らかになっていません。

―――タックス・ヘイブンに子会社をつくった場合、子会社の所得を親会社の所得に合算して法人税を課税する仕組み(特定外国子会社所得合算税制)があります。「タックス・ヘイブン税制」といわれるこの制度は、「日本からの出資が50%超」など、適用要件が狭く限定されているため、2020年度に対象となった企業は1518社、外国子会社が8644社、課税対象額は5,351億円にとどまっています。適用要件を改め、タックス・ヘイブン税制の対象を拡大します。

─―─外国子会社配当益金不算入制度によって非課税とされた配当が、毎年数兆円にもなっていますが、外国子会社の所在地別の配当金額は公表されていません。政府は、外国子会社配当益金不算入制度について、「二重課税を防ぐための措置」などと説明してきましたが、子会社がタックス・ヘイブンにあった場合は、「二重課税」どころか「二重非課税」になってしまいます。国際的な法人課税について「15%」という最低税率の合意がされたことをふまえ、無税や低税率の地域につくられた外国子会社を通じた「税逃れ」を許さないように、制度を抜本的に見直します。

―――デジタル・エコノミー、インターネットが拡大するなかで、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大IT企業は、支店などの拠点をつくらず、世界的にビジネスを展開しています。現在の国際的な課税ルールでは、物理的な拠点がないと課税できないため、G20、OECDの場でルール見直しの議論が進められ、最近になって合意がはかられました。これらの巨大IT企業は日本でも活動し、巨額の利益をあげており、本当なら日本に入るべき税収が失われていると見られます。今回の課税ルールの見直しは一歩前進ですが、課税対象企業が少数に絞り込まれるなど今後の課題も残されました。国際合意をふまえて課税をすすめるとともに、さらなる課税強化に向けて国際合意の前進をはかります。

 「29、GAFA、プラットフォーマー」もご覧下さい。

―――タックス・ヘイブンにどれだけの投資がされているのか、どういう企業が投資しているのかなど、必要な情報の収集と公開の仕組みを整備します。OECDやG20でも、タックス・ヘイブン対策の議論が進められています。国際的な税逃れに対し、国内税制の強化とともに、国際的なルールづくりへのイニシアチブの発揮を、日本政府に求めます。

―――「税逃れ」は国内でもあります。大株主の中には、保有する株式を自分が出資してつくった資産管理会社の名義にすることで、配当への課税を軽減している場合が少なくありません。たとえば、上場企業の大株主の保有株式の時価総額が1,000億円を超える富裕層が少なくとも58人(18年9月末現在)いて、その時価総額は17.6兆円にもなっていましたが、このうち9兆円は本人名義ではなく、形式的には資産管理会社などの法人名義となっていました。配当を総合課税にしても、今のままでは資産管理会社名義の株は対象外となってしまいます。こうした「合法的な課税逃れ」を防ぐ方策を検討します。

―――「富裕税」の創設は、こうした資産管理会社を使った「税逃れ」への対策の1つとしても、有効性を持っています。配当を本人が受け取らずに資産管理会社に蓄積することで所得税の課税を逃れても、資産管理会社に蓄積された巨額の資産に対して、「富裕税」を課税することができるからです。直接に株式を保有しているのは資産管理会社でも、その資産管理会社を保有していること自体を本人の「資産」とみなせば、「富裕税」は課税できるからです。

個人所得課税は「応能負担」「生計費非課税」をつらぬきます

 この間、民主党政権時代に、子ども手当の財源確保を理由にして所得税や住民税の年少扶養控除が廃止され、「高校授業料無償化のため」として、16~18歳の特定扶養控除の上乗せが廃止されました。ところが、自公政権は児童手当の所得制限を復活したため、一定所得以上の子育て世帯は「増税だけかぶって手当はもらえない」という事態になりました。今後さらに、人的控除の廃止・縮小を含めた議論が行われようとしていますが、所得税制の検討にあたっては、「応能負担」「生計費非課税」の原則をつらぬくことが必要です。

 これらの人的控除は「生活に不可欠な経費には課税しない」という「生計費非課税」の原則を具体化したものであり、憲法に定められた生存権に基礎を置くものです。一部の高所得者は別としても、多くの国民・納税者に対して、何の代替措置もないままに控除を廃止するなどということは許されません。

 「女性の社会進出を妨げているから配偶者控除を廃止すべき」という議論もありますが、女性が社会で活躍するのを妨げているのは、賃金や労働条件などの男女差別や、長時間労働で男性の家事や育児への参加が困難にされていること、保育所整備の遅れなどに大きな原因があり、税が主要な問題ではありません。「女性の活躍」を口実に庶民に増税を押しつけることは許されません。

 課税最低限が長期にわたって据え置かれてきたために、低賃金労働者の税負担が強まっています。この間、所得税の基礎控除は38万円から48万円に引き上げられましたが、給与所得控除の10万円引き下げとセットで実施されたため、給与所得者の課税最低限は変わっていません。今後、最低賃金を時給1,500円に引き上げることとあわせて、課税最低限の引上げをはかります。

―――2005年に20万円引き下げられた高齢者の公的年金等控除の最低保障額を元に戻します。所得500万円以下の高齢者について、所得税50万円、住民税48万円の老年者控除を復活します。高齢者の住民税の非課税限度額を復活します。

―――2011年から、400万円以下の年金について確定申告が不要となりましたが、申告をしないと医療費控除などが受けられず、損をする場合があるため、制度の周知など、改善をはかります。介護保険の要介護認定を受けている人などが障害者控除の認定を受けやすくするように、制度運用を改善します。

―――介護保険や医療保険など、家族の年金などから源泉徴収された社会保険料についても、それを実質的に負担している納税者の所得から社会保険料控除ができるように、改善をはかります。住民税の年金からの特別徴収(天引き)については、各人の希望で普通徴収に変更できるようにします。

―――「少額投資非課税制度(NISA)」は、小規模な投資を行う「庶民投資家」への課税を軽減する措置ですが、モデルとされたイギリスの個人貯蓄制度(ISA)が預金利子も非課税の対象となっているのと違って、日本の制度は株式投資だけに限定された歪んだものです。対象を狭めない小口投資の非課税枠をつくり、投資先は投資家の判断にゆだねるようにすべきです。

―――「住宅は福祉」の観点に立って、家賃に関する税の控除制度の創設をはかります。

―――政府は、わが党などの反対を押し切って、いわゆる「マイナンバー法」を成立させて、2016年から本格実施しはじめました。政府はマイナンバーによって役所の手続が簡略化されると宣伝していますが、実際には、確定申告の際にマイナンバーを記載すると本人確認の書類が必要になり、かえって手間が増えるなど、問題が続出しています。政府は、当面の適用対象を納税や社会保障関係の手続に限定するとしていますが、今後、民間企業の経済活動にも対象を広げることも検討しています。そうなれば、民間企業が多くの顧客等のナンバーを管理することになり、家族構成や結婚・離婚歴、病歴など、重要な個人情報が民間企業に流出する危険性が増すことになります。一方、富裕層の場合には、匿名口座などで財産を隠しているわけではなく、資産管理会社をつくって堂々と「合法的な資産逃れ」をしているのですから、いくらナンバーをつけても課税強化にはなりません。庶民への課税強化と社会保障給付の削減を狙いとした「マイナンバー」制度は廃止すべきです。

中小企業支援税制などを強化します

 自公政権の9年間で、中小企業の倒産や休廃業・解散は約44万件にものぼっています(東京商工リサーチ調べ)。大企業の下請けいじめなどで、ただでさえ経営が大変なうえに、消費税の増税で売上が落ち込み、さらにコロナ危機と資材価格の急騰が加わって、「税金が払えず廃業に追い込まれる」という事態も生まれています。大企業ばかりを優遇する税制をあらため、中小企業や零細な事業者を支援する税制に転換します。

―――法人事業税の外形標準課税を資本金1億円以下の小規模企業にまで拡大することは、赤字企業などに過大な負担を負わせることになるので反対します。

―――家族従業者に支払った賃金を「損金」扱いすることを認めていない所得税法56条を廃止して、家族の働き分を経費に認めます。

―――法人税にも累進制を導入し、中小企業の一定範囲内の所得については、現行より税率を引き下げます。

―――事業用資産については、一定期間の事業の承継を条件に、相続税の減免制度を設けます。

―――最低賃金引上げに伴い、中小企業への支援を強めます。赤字企業には効果がない現行の「賃上げ減税」ではなく、大企業の内部留保課税を財源として、社会保険料事業主負担の軽減や、賃金助成などの支援策を実施します。

―――2011年に民主党政権が「納税者権利憲章」策定を提案しましたが、記帳義務拡大や罰則強化と抱き合わせの提案で、しかも、自民党などとの密室協議を通じて「憲章策定」の条文は削除され、納税者への義務強化だけが残るという結果となりました。納税者の権利をまもる、本当の「納税者憲章」を確立します。消費税納税にあたっての仕入税額控除否認、機械類への償却資産課税の強化、倒産に追い込む売掛金の差し押さえの乱発、滞納を理由とした住居等の生存権的財産の差し押さえなど、国と地方の過酷な徴税・税務調査をあらためます。

―――農業用機械、漁船などの燃料に係る軽油引取税等の免税措置を恒久化します。

―――市街化区域内農地への宅地並み課税の廃止をめざし、当面、生産緑地指定の要件を緩和し、追加指定を広げます。農作業場や屋敷林も対象とし、市民農園などに貸し付けた農地の相続税猶予の適用を継続します。全国の生産緑地の8割が期限を迎える2022年以降も農地が維持されるよう、新設された特定生産緑地制度を活用します。新たに創設する富裕税の対象資産額の算定については、農地は対象としません。

社会情勢の変化に対応した税制改革をすすめます

―――気候危機への対応を迫られている中で、炭素税などのカーボンプライシングは、化石燃料の使用を抑制する効果があるとして注目されています。炭素税ではすでに、スウェーデンではCO₂1トン当たり約1万7,000円、フランスでは約5,600円を課しています。日本では現在、1トン当たり289円と極めて低額にとどまっています。当面の財源にもなりますが、炭素税は脱炭素が完了するまでの一時的な財源ですから、脱炭素に必要な公的な事業、支援策の財源としても検討していきます。同時に、原油・ガスの国際価格急騰などの際には、炭素税の高負担がなくとも化石燃料の使用抑制効果が高まることを考慮し、柔軟に対応する制度を検討します。

―――地球温暖化、感染症、貧困対策など地球的課題のための財源を確保するために、各国と協力して国際連帯税を導入します。

―――集合住宅の共用部分の固定資産税を軽減します。

―――NPO法人の活動を支援するための寄附金税制について一定の改善がはかられてきましたが、まだ十分ではありません。認定NPO法人の適用を受けやすくするための改善や、寄附金控除の適用下限額の引下げ、バザーやチャリティー公演などの非課税制度の創設など、いっそうの拡充をはかります。

―――芸術・文化団体への寄付税制を充実するとともに、民間劇場や映画館の固定資産税の減免などの支援をすすめます。

―――2008年に創設された「ふるさと納税」は、15年に寄付上限額の引き上げや手続簡素化が行われたことで、寄付額が14年度の388億円から20年度の6,725億円に急増しています。この制度は、地方自治体に寄付をした場合に、所得に応じた一定額までは、寄付のほぼ全額が税の還付で戻ってくる仕組みです。郷里への応援、被災地支援など、それ自体としては積極的な意味を持っています。しかし、高額所得者に有利な仕組みであり、高価な「返礼品」を用意した自治体に寄付が集中する、寄付額の相当部分が「返礼品」の費用で消えてしまうなどの弊害も目立っています。本来の趣旨を生かせるよう、自治体の「返礼品」競争の過熱防止や、富裕層優遇とならないように仕組みを見直すなどの改善をはかります。

―――政府は、「プライバシー保護」を口実として、高額納税者や法人企業についての公示制度を廃止してしまいましたが、一定以上の金額については、復活します。とくに大企業については「プライバシー」は理由にならず、公開は当然です。

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