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日本共産党

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赤旗

23、難病・小児慢性疾病

難病法・児童福祉法を拡充し、総合的な対策を推進します

2022年6月

 難病とは、医学的には治りにくく、研究や新薬開発の光が当たりづらい希少・難治性疾患で、国内では現在わかっているだけでも500~600の疾患があるといわれています。社会的には、生活面の制約や経済的・精神的負担が大きく、社会の理解不足や施策の不備などからくる、社会的障壁による「障害」の概念も含む俗称として使われてきました。

難病法の推進と基本方針の実行を

 難病対策は、原因不明の疾患に苦しむ患者を救うために医療費補助を行うことによって患者を病院に集めて研究を促進する対策として、1972年から「難病対策要綱」にもとづいておこなわれてきました。社会保障として総合的な対策とするためにも法律の制定が望まれ、2014年5月にようやく「難病患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が全会一致で成立しました。医療費助成の対象になる「指定難病」は、56から338疾病(21年11月~)に広がっています。

 2015年には難病法及び改正児童福祉法に基づく難病対策、小児慢性特定疾病対策の医療提供体制や療養環境整備をすすめる9項目の「基本方針」が告示されました。国は「基本方針」の具体化の進捗状況を定期的に公表し、基本方針の自治体の具体化を支援しなければなりません。

障害者として総合的な施策をすすめる

 日本の障害概念は「固定・永続」という狭いとらえ方から、疾患という状態での障害を認めておらず、難病・慢性疾患をもつ人は長い間、「福祉の谷間」におかれ、福祉サービスから除外されてきました。ようやく2011年に障害者基本法が改正され、難病のある人も障害者として法的にも位置づけられることになりました。

 そして2013年に施行された障害者総合支援法の障害の範囲に「難病等」が加わり、身体障害者手帳がない難病等患者も障害者福祉の利用に道が開かれました。難病・慢性疾患患者も「治りづらい疾患を有する障害者」として、総合的な障害者施策をすすめます。

コロナの痛苦の教訓を踏まえ医療・教育・就労の保障を

 難病や長期慢性疾患患者の多くは基礎疾患を持つ患者であり、コロナによって二重の困難がもたらされてきました。

 患者は常に感染による疾患の重症化のリスクを背負いながら生活を送っており、社会生活の制限をせざるを得ない状況が続いています。難病を抱える病児やそのきょうだいが、安心して学校に通うことができないために、学ぶ権利が保障されないこと、学校という社会とのつながりが絶たれてしまうということが起きています。

 就労の場においては、感染リスクへの不安は大きく、仕事の継続をあきらめるといったことも出てきました。

 日頃から医療とのつながりが必要な難病・慢性疾患患者にとっては、医療体制のひっ迫は、日常の医療が受けられない、手術や検査などの必要な治療が先延ばしにされてしまうといった状況が強いられました。特に、専門医療機関が集約化されてしまっているために、主治医のいる遠くの病院へかかることができずに、基礎疾患の治療継続に困難を抱えてしまうことが問題となりました。

 さらに、難病や慢性疾患のある患者がコロナに感染しても、コロナ対応の医療施設と主治医である専門医がいる専門施設との連携が充分にとれない、状態が悪化してもすぐに入院治療ができないといったことも問題になっています。

―――医療体制がひっ迫しないよう、感染対策を強化し、難病に限らずすべての患者が必要な時に医療を受けられる体制を維持します。

―――基礎疾患のある人がワクチン接種を安心して受けられるように、医療の専門家の協力を得ながら、国が自治体に指導できるようにします。

―――国内のワクチンや治療薬などの開発をすすめます。

―――安心して学校に通える感染防止対策をおこないます。その上で、コロナの感染予防のために登校ができなくなった病児・障害児へ、オンラインでの授業参加を柔軟に行えるような体制を整えます。

―――患者・障害者が感染防止のために勤務時間や通勤日数を短縮することにともなう減収に、充分な補償がおこなわれるようなしくみをつくります。

コロナ危機が浮き彫りにした脆弱な医療や公衆衛生を再生する

 コロナ危機は、これまで「小さな政府」の名で公的部門が縮小させられ、医療や保健所機能が弱体化し、医療崩壊が現実になりました。自公政権が長年とってきた弱肉強食と自己責任おしつけの新自由主義の政治がもたらした人災にほかなりません。 

 長年、"医者が増えると医療費が膨張する"と医師数の抑制を続けた結果、日本の医師数は人口1,000人当たり2.4人、OECD(経済協力開発機構)加盟国中比較可能な36カ国中32位、加盟国の平均(人口1,000人当たり3.4人)に14万人少ない水準です。

 病院数は、1990年のピーク時から1,796も減りました。感染症病床は半分程度に減らされ、ICU(集中治療室)の病床数も、日本はイタリアの半分以下、ドイツの6分の1です。

 政府は、その上高度急性期病床、急性期病床を20万床減らすことを目標に、全国の400以上もの公立・公的病院をリストアップして削減・統廃合を推進し、そのために消費税増税分を財源にした「病院削減補助金」までつくりました。

 全国の保健所は850カ所(1990年度)から472カ所(2022年度)へと半分に減らしました。

―――「地域医療構想」の名での急性期病床や公立・公的病院の統廃合リストは撤回し、病床体制は拡充に転換します。

―――感染症病床、救急・救命体制への国の予算を2倍にするとともに、ICU病床への支援を新設して、設置数を2倍にします。

―――看護師の配置基準と労働条件の改善、新感染症に対応した診療報酬体系などを抜本的に充実させます。

―――保健所予算を2倍にして、保健所数も、職員数も大きく増やします。国立感染症研究所・地方衛生研究所の予算を拡充し、研究予算を10倍にします。

―――感染症に対応する、政府から独立した科学者の専門機関(感染症科学者会議・仮称)を新たにつくります。

―――医師の削減計画を中止させ、「臨時増員措置」を継続します。

難病・小児慢性疾病対策の抜本的見直しを

 難病法の付帯決議にもとづいた、施行後5年以内の見直しは、コロナ禍の影響を受けて、大幅に遅れています。昨年の7月、ようやく難病対策委員会で付帯決議、基本方針もふまえた「見直し」の議論のまとめの「意見書」がまとまりましたが、その内容は不十分なものでます。

 日本共産党は、難病・小児慢性疾病の負担のあり方や制度を抜本的に見直すため、以下のように提案します。

最初の難病法の見直しに向けて

 今回の改正の主要なものは、〇医療費助成開始の時期を申請時点から、重症化した時期を考慮し、申請日から1ケ月前倒しできる、〇医療費助成を受けられない人(軽症者)も含めた難病患者・小児慢性疾患児のデータベース登録の法制化と、登録を条件にした地方自治体が受け付ける登録者証の発行、〇難病相談支援センターの連携先として福祉や就労支援機関を法令に明記、〇慢性疾病児童等地域支援協議会を法令上に位置づけ、難病対策地域協議会との連携も位置づける、などです。

 現在、難病患者ではあっても医療費助成を受けられない人は、「メリットが感じられない」などを理由に、データベース登録がすすんでいません。難病の研究開発にとって「軽症者」のデータが少ないことが研究の妨げになっているとも指摘されており、患者団体は疾患の研究や治療に役立つデータベースの構築を求める一方で、企業のいきすぎた利潤追求のためにデータが使われることも危惧しています。また、登録されたデータが患者の社会生活への支援、福祉の向上につながるよう、有益な活用が望まれています。

 自治体が発行することになる登録者証に福祉サービスを記載する、福祉サービス利用にあたり医師の診断書がわりに登録者証を利用することを可能にすることも打ち出されました。

―――申請日の1ケ月前に限らず、重症化したと診断された日に遡って医療費助成がおこなえるようにします。

―――登録者のデータベースがどのように活用されているのか、患者へも明瞭なものにします。また、データのセキュリティー対策とプライバシー保護に万全を期します。

―――民間へのデータ提供においては、その目的と活用についての審査を、患者団体も含めた機関によって厳格にすすめるようにします。

医療費助成は難病患者すべてを対象とするものに
利用者負担は無償に

 難病・小児慢性特定疾病の医療費助成における患者の負担上限額は、2015年の難病法制定、児童福祉法見直しの時から見直されていません。負担額が大きいことは、患者の生活を圧迫しています。治療が継続しているにもかかわらず、制度の申請をしないために治療研究がすすまないということにもつながってしまいます。また、難病患者は合併症や他臓器への影響などを引き起こすことも多く見受けられますが、それらは助成の対象になりません。患者や家族の生活実態と、その負担が継続することを考えて、早急に患者負担の軽減および無償化を行うべきです

―――難病患者の医療費は無料とします。

―――当面は利用者の負担上限額を大幅に引き下げ、低所得世帯、重症患者の利用者負担を無料とします。

―――医療費助成の範囲は、当該疾患にかかわる治療費だけでなく、一般の医療にも広げます。

医療費助成の対象を日常生活や社会生活上の困難さを基準に

 難病法では、難病を、①発病の機構が明らかでなく、②治療方法が未確立、③希少疾患であって、④長期の療養を必要とするもの、と定義しています。そのうえで医療費助成の対象となる指定難病になる要件として、①患者数が人口の0.1%程度で、②客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立されていること、をあげています。

 難病患者への医療費助成制度は、障害者への医療費助成の一つと位置づけ、その対象については、社会生活上の困難さを基準に判断されるべきです。

―――患者数の多い疾病でも、治療法がなく、長期にわたり医療が必要な疾病は、すべて医療費助成の対象にします。

―――新たに発見された難病が、順次すみやかに医療費助成の対象になるしくみにします。

―――難病の医療費助成制度の重症度基準を、患者の日常生活や社会生活の困難さを基準としたものに改善します。

治療継続中・服薬中の患者は引き続き医療費助成の対象にして、申請手続きの簡素化を

 指定難病のすべてに重症度基準が導入されました。難病は「軽症」と判断することは難しく、医療費助成の必要性と医学的な重症度とは必ずしも一致しません。

―――医療費助成制度の周知をすすめるとともに、申請手続きを簡素化させます。

―――申請手続きを簡素化するとともに、大きな負担である「臨床調査個人票」の文書料を無料にします。

―――毎年更新するのではなく、病状の変化が見込まれる時期に更新手続きを行うようにします。

―――難病として診断名が確定した時点で、重症度に関わりなく無償で登録者証が発行されて、難病と障害福祉の施策の対象になるようにします。

小児期特有の問題解決のための総合的な施策の展開を

 難病法制定にあわせて、児童福祉法の一部が改定され、子どもの難病や慢性疾患の医療費助成も社会保障の義務的経費として位置づけられました。その対象は514疾病から788(21年11月~)疾病に拡大されました。医療費負担は2割ですが、上限額も所得階層別に1,250円~15,000円と引き上げられ、これまで無料だった入院給食費も半額負担になり、重症患者や低所得層にも一定の負担が課せられるようになりました。

 児童福祉法の目的である「児童の健全育成」という観点から、小児慢性特定疾病児への施策を充実させていかなければなりません。

すべての小児慢性特定疾病を難病の医療費助成の対象に

 小児慢性疾病児の多くが治療法の進歩により成人期を迎えられるようになりました。しかし20歳になると医療費助成の対象からはずれて支援が受けられなくなる疾病が多数残されています。制度上でのトランジション問題は早急に解決しなければなりません。

―――「指定難病」の要件を見直して、すべての小児慢性疾病への医療費助成が継続されるようにします。

小児期から成人期への移行期の疾患問題を緊急に解決する

 成人期に達した小児慢性疾病患者を診ることができる医療機関が限られているため、大人になっても小児科にかからざるをえない診療体制が問題となっています。移行期医療支援センターも7都府県にとどまっており、疾病ごとに課題が異なる移行期医療に対応できる体制づくりが必要です。

―――成人になった小児慢性疾病患者を診ることができる診療体制の整備をすすめます。

―――移行期医療支援センターの設置と移行期支援コーディネーターの配置をすすめます。

利用者負担は無償にして申請手続きの簡素化を

 小児慢性特定疾病患者の保護者は所得の少ない若年世帯が中心であり、その負担の重さが患者を医療から遠ざけることにつながりかねません。自治体の子どもへの医療費助成による無償化が広がっている中で、毎年高額な診断書料を負担してまで小児慢性疾病の医療費助成の利用申請をしないということも起きています。

―――小児慢性特定疾病児の医療費は無償とします。

―――当面は、利用者の負担上限額を大幅に引き下げ、低所得世帯、重症患者の利用者負担を無料とします。

―――医療費助成の範囲は、当該疾患にかかわる治療費だけでなく、一般の医療にも広げます。

―――申請手続きを簡素化するとともに、大きな負担である医師の「意見書」にかかる文書料を無料にします。

―――毎年更新するのでなく、病状の変化が見込まれる時期に更新手続きを行うようにします。

対象基準を見直して支給範囲を拡大します

 小児慢性特定疾病は年齢を経ても症状が継続する疾患ばかりではなく、遠隔期において重症化したり、合併症を発症したりすることが多々あります。しかし、症状が安定していて経過観察になった時期には医療費助成制度の対象からはずれてしまい、福祉施策の対象からもはずれ、さらに疾患データの登録も継続できません。

―――経過観察中であっても対象となるように基準を見直します。

―――診断名が確定した時点で自立支援事業などの福祉施策の対象となるようにします。

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の推進を

 医療、福祉、教育、就労を支援するために制度化された、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の任意事業(利用計画の策定や慢性疾病児童地域支援協議会など)は、都道府県、指定都市、中核市合わせて125ケ所中、相互交流支援事業は37.6%、療養生活支援事業は12.0%などの実施にとどまり、一部の自治体を除いてすすんでいません。事業を推進するための自立支援員の多くは保健師が担っているという状況です。

―――小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を「児童の健全育成」という児童福祉法の目的にふさわしく、小児慢性疾病児への総合的な施策として専任の自立支援員を増やし、体制を充実させます。

―――小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の任意事業を、すべての自治体で実施できるよう、国の予算を大幅に増額します。

病児と家族に社会的支援をすすめる

―――重症な病児ほど治療できる専門医療機関は限られています。身近なところで治療が行えるように専門医療機関の整備・拡充と専門医の増員をおこないます。

―――やむを得なく遠隔地への医療機関へ通わざるを得ない病児と家族を支援するために、保護者も含めた通院費用への助成、通院・入院のための患者と家族のための滞在施設の整備と施設運営費への補助などをすすめます。

―――長期入院中の病児のきょうだいへの支援をおこないます。

―――治療による学習の遅れなどをサポートするために、オンラインでの教育をどこの地域でも充実させる体制を整えます。

―――小児慢性特定疾病児で医療費助成の対象になっていない病児も、障害者総合支援法の福祉施策の対象となるようにします。

―――小児慢性特定疾病児の親の就労保障と病児の健全育成のために、保育所への看護師配置や職員の増員がおこなえるようにします。

医療的ケアの必要な子ども

 21年6月に「医療的ケア児と家族の支援法」が成立しましたが、現行の制度や予算では、その目的を果たすには不十分です。国や自治体の責任で、保育所や学校の支援体制を拡充し、子どもの自立の観点からも医療的ケア児が家族の付き添いなしで、通園・通学できるよう、看護師を配置できるだけの予算措置をおこない、条件整備をすすめます。都道府県に設置するとしている「医療的ケア児支援センター」は医療と福祉、教育などの関係機関の連携をおこなえるようにする専門機関として、自治体の責任において設置をすすめます。

 法制化にともない、看護師等がいないことを理由に、医療的ケア児、難病・慢性疾患児など医療依存度が高い子どもたちが、希望する保育所や学校に通えなくなるといった一律の対応がおこなわれることも懸念されます。付帯決議のとおり、「看護師等が常時配置されていないことが当該児童の通園・通学の妨げとなることのないよう」に、自治体・現場への周知をおこなっていくことが重要です。

 法には子ども・障害児としての権利を保障し、合理的配慮をすすめるという条文がありません。次期法改正時、子ども・障害児としての権利保障をもりこむべきです。

―――過重な負担になっている医療的ケア児の保護者の支援をおこない、在宅・学校などにおいての教育の権利を保障します。自治体まかせになっている福祉・教育・医療の垣根を取り払った支援を国の責任で強めます。

―――学校等だけでなく、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの福祉施設においても、医療的ケア児が利用できるよう、条件整備をすすめます。

―――医療的ケア児支援センターは自治体まかせにせず、国が予算を保障して運営できるようにします。

―――学校へ看護師が配置できるよう、国からの補助率を現行の3分の1から3分の2へ引き上げて、地域格差を解消します。

―――親の付き添いがなくても医療的ケア児が通学できるよう、特別支援学校のスクールバスの整備など通学保障をすすめます。

―――医療的ケア児が必要な障害福祉、就労においても、医療と福祉、就労支援を連携しておこなえるようにします。

生存権にもとづいた医療費無料化と高すぎる薬価にメスを入れる

 疾患の別なく、医療費の患者負担を軽減するためには、医療保険制度の抜本改革を行うことが必要です。そもそも医療保険の原則3割の自己負担が患者を経済的に苦しめてきました。公的医療制度のある国では、窓口負担は無料もしくは少額の定額制が主流であり、外来でも入院でも原則3割の窓口負担という日本は、世界でも異常です。また、ヨーロッパの多くの国では、長期療養が必要な患者に、疾病の別なく、手厚い給付と負担軽減をはかる仕組みが整備されています。

 「患者申出療養制度」をはじめ、保険外治療が大幅に拡大しています。医療費負担が大幅に増え、安全性が確保できない治療法をせまられるなど、難病患者の命と健康をおびやかしかねません。

 すべての国民は貧富の差にかかわりなく医療を受ける権利があり、医療の保障をする責務は国が負うというのが、憲法25条の精神です。

―――疾患・障害の区別なく、"窓口負担ゼロ"で医療を受けられる日本をめざします。当面、医療費の窓口負担を子ども〈就学前〉は国の責任で無料にし、その土台の上に自治体の助成制度を加え小・中・高校生への無料化を推進します。現役世代は2割、高齢者は1割に引き下げます。そのなかでも、難病患者や障害者の医療費は優先して、すみやかに無料にします。

―――高額な自己負担、不必要な医療費の膨脹を招く原因のひとつである、高すぎる薬価にメスを入れます。

―――保険外併用療養費は縮小の方向に転換し、必要な医療は速やかに保険適用とします。混合診療の原則禁止や国民皆保険制度を堅持します。

―――慢性疾患、重い病気、低所得者の人などに過酷な負担となっている高額療養費制度の負担上限額に対して、所得区分を増やし、負担上限額を大幅に引き下げて、応能負担を徹底します。

―――重い病気の患者ほど患者負担を自動的に引き上げる、高額療養費の「1%」の応益加算は廃止します。

―――月ごとでなく治療ごとの限度額とするなど、同一治療でも、受けた時期によって負担額が違うという患者間の不公平を是正します。

―――血友病、HIV、人工透析を受ける慢性腎不全の患者におこなわれている「長期高額疾病にかかわる特例措置」(負担上限額:1~2万円)の対象を拡充し、疾患にかかわらず療養が長期にわたる場合に対応した「長期療養給付制度(仮称)」を創設します。

―――世帯の所得区分ごとに年間を通じた負担上限額を設けるなど、安心して治療を続けられる環境整備をはかります。

障害者自立支援医療の対象の拡充と負担軽減を

―――自立支援医療は低所得世帯のすみやかな無料を実施し、低所得世帯以外についてもさらなる負担軽減をはかります。

―――障害者基本法による障害の定義が難病や慢性疾患によるものも含むものに拡充されたことも踏まえ、自立支援医療の対象拡充をすすめます。

―――育成医療制度は「児童の健全育成」の観点から本来の児童福祉法に戻し、障害のある子どもとともに、「放置すれば将来障害が残ると予想される子ども」を今後とも対象に含むようにします。

―――「経過措置」とされている育成医療の中間所得層や「重度かつ継続」の一定所得以上の層の負担軽減措置を、恒常化した制度にします。

―――遠隔地で治療を受ける場合の交通費も医療費の一環として補助をできるようにします。

―――自治体ごとにおこなわれている重度心身障害者医療費助成制度を国の制度に変えて、すべての障害者を対象にし、難病や小児慢性特定疾病患者も、当該難病の治療以外の医療に使えるようにします。

治療研究や医療体制の抜本的拡充をすすめる

 難病の治療や医薬品の研究に十分な予算を確保し、幅広い疾病の予防や解明につながる体制を拡充します。

―――「研究奨励分野」の柔軟な運用の継続を求め、予算の抜本的拡充で臨床研究、研究奨励分野ともに研究対象疾病を広げ、原因究明や治療法の確立をおこないます。

―――独立行政法人日本医療研究開発機構は、利益になりやすい医薬品開発に直接結びつく研究だけでなく、予防や疾病の解明、治療研究にも力を入れるよう求めます。

―――未承認薬や適応外薬問題の早期解決をはかるため、製薬企業に強く承認申請を促すとともに、医師主導治験の推進のための予算を抜本的に拡充するなど、医薬品の開発体制を強化します。

―――先進医薬品を「保険外併用療養」に組み入れるのでなく、有効・安全な薬はすみやかに保険適用とします。

―――未承認薬の使用や医薬品の適応外使用が患者の自己責任でおこなわれており、国が実態把握をおこなうようにします。

―――国は安全管理や患者保護、医療保険による薬剤費負担を含めた負担軽減の措置、患者の医薬品へのアクセス確保などをおこないます。

―――欧州やアメリカのコンパッショネートユース(人道的な観点から未承認・適応外医薬品の使用を認める制度)の制度も参考にしながら制度化をすすめます。

―――希少疾病の研究事業の更なる充実と継続的な支援をおこない、ウルトラオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の開発を円滑にすすめます。

地域の難病治療体制の確立を

 地域の難病治療体制を支える病院、医師、保健所などを中長期にわたって立て直すために「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」(「※前出「コロナ危機が浮き彫りにした脆弱な医療や公衆衛生を再生する」を参照)を提案しています。それとともに、以下のような施策にとりくみます。

―――どこに暮らしていても早期に診断がつき適切な治療が受けられるよう分野別の医療体制を提供できるようにします。

―――在宅医療を支える専門医とかかりつけ医の連携強化をはかります。看護師などの医療従事者の体制を計画的に、抜本的に拡充します。

―――療養・介護施設が医療機関と連携できるよう、療養環境を整えます。24時間支援が必要な重篤患者の家族を支える体制を整えます。

―――保健師が地域の住民を訪問できる体制づくりを再構築し、すべての難病や慢性疾患をもつ人の窓口となるとともに、患者とその家族の支援に能動的に動けるような改革にとりくみます。

―――患者・家族を含めた難病対策地域協議会を設置し、当事者の意見が計画や実施に反映され、解決に結びつくように求めます。

―――各都道府県にある難病相談・支援センターの相談支援の専門職を拡充するとともに、患者・当事者の視点がいかされた運営にできるよう予算の増額をはかり、人員体制の強化、拡充をすすめます。

―――自治体のセンターの拠り所となる「全国難病相談センター(仮称)」を設置し、患者・家族団体の支援や難病問題の国民への周知などを推進します。

福祉サービスをさらに拡大へ

 13年4月から障害者総合支援法において、障害者手帳をもたない難病患者・慢性疾患・小児特定疾病の患者も福祉サービスの対象に加わりました。さらなる福祉サービスの対象疾病の拡大がすすめられています。

 難病法の附帯決議では、福祉サービスについて指定難病の範囲よりも幅広にとらえることとされており、必要とするすべての難病患者が受けられるようなものにします。

―――障害者総合支援法の「難病等」の「等」に着目し、「難病」の範囲に限らず、確定診断がなくとも、疾患による障害で福祉サービスが必要と医師などが判断した場合はサービスを受けられるようにします。

―――障害福祉サービスを利用するための支給決定にあたって、相談支援専門員によるサービス等利用計画(ケアプラン)の策定が義務付けられています。身体障害者手帳を持たない難病等のある人たちの対象が増えることに伴って、患者の特性を視野に入れた相談・支援が進むよう、相談支援専門員の研修や、報酬単価の増額を行うとともに、都道府県難病相談支援センターや当事者団体との連携を地域ですすめます。

―――人工呼吸器、胃ろう、在宅酸素療法などの医療的ケアの必要な障害者に対応できる施設をつくります。

雇用、年金、教育の保障を

 16年4月から、障害者への差別を禁じ、合理的配慮を求める障害者差別解消法が施行されています。昨年、初めての法改正がされ、民間事業者に合理的配慮を義務付けました。雇用・所得保障・教育など、あらゆる障害者施策に難病・慢性疾患患者も含めた対応が求められます。

雇用

 障害者雇用促進法における事業主の障害者への差別禁止と合理的配慮は法定義務です。事業主が求人・採用や賃金の決定、待遇など障害者であることを理由に不当な差別的扱いをしてはいけないという規定に、断続的、周期的に障害が出て職業生活上相当制限がある難病患者などが含まれることが明確になっています。

―――障害者手帳を持っていない難病患者を法定雇用率や雇用の義務化の対象にして、働き続けるためのさまざまな支援をすすめます。

―――企業に賃金助成をおこなう発達障害・難治性疾患雇用開発助成金制度の助成額を大幅に増額して、さらに実効性のあるものにします。難病や慢性疾患患者が使いやすいように緊急に制度を改善し、企業への周知徹底をおこないます。対象枠を広げ、助成期間の延長、柔軟な雇用形態を実施します。

―――ハローワークに配置されている「難病患者就職サポーター」を増員するとともに、難病相談・支援センターとの連携を強めます。

―――病状や障害が進行しても働き続けられるよう、通院や病気休暇を保障します。難病や慢性疾患治療のための入院・通院に対する有償の休暇制度を創設します。

―――ジョブコーチ(職場適応援助者)制度などを充実させます。職業訓練や資格取得の支援制度を拡充します。

―――障害者、難病患者の移動支援において、通学、通勤のためのヘルパー利用をすみやかに認め、読み書きをサポートする職場介助者などを配置します。

―――重度障害者の通勤・職場支援が始まりましたが、実施自治体は少数にとどまっています。国の制度として拡充できるように、抜本的に報酬を引き上げて担い手を育成します。

年金・障害認定・手当

―――物価高騰下での障害年金の削減を中止させ、自公政権が導入してきた年金減額の仕組みを廃止して、物価に応じて増える年金にします。

―――障害年金が難病・慢性疾患患者の所得保障制度になるよう、認定基準基準と、判定方法の根本的な改善をおこないます。

―――内部障害・疾病に共通した医師の診断書にある一般状態区分の基準を早急に見直すよう、医学系の専門家を中心に構成されている疾病障害認定審査会の構成メンバーに当事者団体や社会的観点から実態を把握している専門家を一定数入れて、認定審査体制の抜本改正をすすめます。

―――障害基礎年金の支給額、認定基準、認定システムを抜本的に見直します。最低保障年金制度をすみやかに実現させて底上げをはかります。

―――障害のあるひとり親世帯は障害年金と児童扶養手当の加算部分の差額を受給できるようになりましたが、満額を受給できるようにします。

―――特別扶養児童手当は、申請しても却下される件数が2019年度までの10年間で3倍に増えています。医学的所見を中心とした審査基準と審査方法を抜本的に見直して、本人および保護者の日常生活と社会生活における障害の程度に見合ったものにしていきます。

―――障害児福祉手当、特別障害者手当の審査基準を見直して、必要な人に幅広くいきわたる制度に変えます。

教育

 2021年から5年間かけて、小学校における35人学級を実現することになりました。小・中学校に通っている難病・慢性疾患をもつ子どもたち一人ひとりに目が行き届くようにするためにも、少人数学級をさらにすすめていきます。

 子どもに適した場を求めて、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室に通う子どもたちが増えているにもかかわらず、そうしたニーズに見合った教育条件の整備がすすんでいません。

 さらに教育において過度な競争(エリート主義)・能力主義が強まる中で、障害のある子どもたちが通常学級から排除される事態も起こっています。

 長年の保護者や教職員、関係者の努力が実り、特別支援学校の設置基準が制定されました。しかし、数多く寄せられたパブリックコメントの声に応えることなく、最低限の基準にとどまっています。さらに、既設校を対象から外すなど、すべての障害のある子どもたちに行き届いた教育を保障するには不十分な内容になっています。

―――教職員の増員や施設設備のバリアフリー化、エアコン設置など、十分な教育予算をとり、子どもに最適・最善の教育がなされるよう教育環境をととのえます。

―――どの地域でも自治体が柔軟に特別支援学級による対応ができるように教職員を増員します。そのためにも、自治体まかせになっている福祉・教育・医療の垣根を取り払った支援を国の責任ですすめます。

―――病児の状態に応じた柔軟な学習プログラムや制度の運用などを求めます。

―――後期中等教育(高校・高等部)も含め、大幅に不足している病弱学級・院内学級・病弱特別支援学校の設置をすすめます。

―――重複した障害のある子どもが増えていることに対応できるよう、特別支援学校への看護師配置などの医療的ケアを充実させます。

―――通常学校における特別支援教育の充実を図るため、一学級あたりの児童生徒数を引き下げ、通級指導教室の整備計画、施設整備の充実をはかります。個別のニーズにこたえる「合理的配慮」の提供ができる財政保障を求めます。教員定員基準を新設します。

―――保護者の就労保障や負担軽減のためにも、スクールバスなど通学の支援を保障します。

―――高校、大学、専修学校などで、就学支援のための合理的配慮をすすめるために、国による補助金制度の充実を図ります。

―――学校教育法の中に、学びの継続を希望する特別支援学校高等部の生徒や障害のある高校生に開かれた、専攻科の設置を位置づけます。

―――社会教育制度による青年・成人期の余暇活動を拡充します。

政策