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日本共産党

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赤旗

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82、SDGs

市民社会がめざす未来を日本の政治に反映させる

2021年10月

 10月5日に新たに発足した岸田自公内閣は、閣僚中に女性が3人しかおらず、過去の最多人数(5人)を下回りました。比率としては15%で、G7では最低のままです。菅前首相が9月20日に国連の「SDGs(持続可能な開発目)モーメント2021」にオンライン参加して、SDGsの取り組みで「日本が国際社会をリードしていく」と決意を述べ、「ジェンダー平等の実現をはじめ、あらゆる分野でイノベーションを推進し、未来を先取りする社会変革を進めていく」と演説したばかりです。岸田内閣は自公政権の言行不一致ぶりを露呈しました。

 国連総会にあわせ2015年9月末に開かれた国連の首脳会合は、国際社会の新たな共通の行動計画となる最終文書「持続可能な開発目標」を全会一致で採択しました。豊かで公正な世界をつくることを新たにめざすために、17目標169項目を掲げました。

 持続可能な開発とは、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」であり(1987年の国連「環境と開発に関する世界委員会」最終報告)、そのためには環境保全を考慮した節度ある開発が可能であり重要であるという考え方です。

 SDGsでは、この持続可能な開発を実現するために、経済・社会・環境の3つの側面を調和させるべきだと強調しています。さらに注目すべきことは、SDGsは、発展途上国だけでなく、「すべての国に適用されるもの」であり、「世界全体の普遍的な目標とターゲット」とされています。これは前例のない画期的な点であり、前文では「我々は、人類の貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒し安全にすることを決意している。…この共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う」と述べています。

自公政権のSDGsは異質――科学技術イノベーションとスマートシティ

 政府はSDGs推進の重点施策として、経団連が掲げた「ソサエティ5.0」をそのまま持ち込んでSDGsを「科学技術イノベーション」の目標にすり替え、また「地方創生」の名でデジタル化と一体のスマートシティ構想を提唱しています。この“日本型SDGsモデル”は他のEUなどの先進国のSDGsの取り組みとは、まったく異質のものです。とくに日本のスマートシティ構想は、日本を中国のような「監視社会」に導き、個人のプライバシーと権利を侵害する重大な危険性があります。

 政府や経済界の「SDGsウォッシュ(やっているふり)」に目を奪われたり、あるいは警戒感からSDGsに取り組むのをためらう例もありますが、日本共産党は、世界・国内の市民のみなさんと連帯し、本筋のSDGsの実現を追求します。

コロナ危機が示した社会のゆがみを、SDGsにそって是正する

 SDGsの達成度や進み具合に関する国際レポート『持続可能な開発レポート』2021年版によれば、日本の評価は世界で18位とされていますが、とくに進み具合が低い分野としてジェンダー平等(目標5)、不平等の是正(目標10)、気候変動対策(目標13)、海の豊かさ(目標14)が上がっています。とくにジェンダー平等については、世界経済フォーラムが今年3月に発表したジェンダーギャップ指数で日本が156カ国中120位という深刻な状況です。

 今回のコロナ危機は、こうした到達の根底にある日本社会のさまざまな問題を浮き彫りにしています。非正規雇用で働く人たちが真っ先に仕事を奪われ、一人親世帯の貧困は深刻化し、ジェンダー平等が保障されていないもとで女性はより過酷な状況におかれています。まともな補償もせずに"自粛"を押しつける政治が、中小企業、個人事業主、文化・芸術、イベント関係者を追い詰めました。「小さな政府」の名で公的部門が縮小させられ、医療や保健所が弱体化し、医療崩壊が現実になりました。自民党・公明党の政権が長年とってきた弱肉強食と自己責任おしつけの新自由主義の政治がもたらした人災にほかなりません。

 その一方で、「規制緩和」や優遇税制で富裕層や大企業の目先の利益追求は擁護され、一部の富裕層、巨大企業は、コロナ危機でも利益を増やし、巨額の資産をため込んでいます。

 国民に冷たく、富裕層にあたたかい、中小企業に厳しく、大企業は守る――新自由主義の政治は、もう終わりにして、命と暮らしを何よりも大切にする政治に切り替えなければなりません。政府はアメリカいいなりに多額の武器を買い入れ、日本を戦争ができる国に変えようとする一方、森友事件や日本学術会議の任命拒否のように、国民への説明責任を果たそうとしません。

 SDGsは多様な達成目標を掲げていますが、もともとの出発点である「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」(目標 1)、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」(目標 5)、「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」(目標 13)、「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」(目標 8)、感染症への対処を含む「あらゆる年齢とすべての人々の健康な生活の確保」(目標3)、「公正、平和かつ包摂的な社会を推進する」(目標 16)など、SDGsが提起している重要なポイントを踏まえ、日本社会のゆがみの是正に取り組みます。

 [9月22日発表の「コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を――日本共産党の新経済提言」、10月1日発表の「ジェンダー平等の日本へ いまこそ政治の転換を」、9月1日発表の「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」をご覧ください。]

 SDGsの国内の取り組みだけでなく、グローバル・パートナーシップを活性化して途上国を支援することの重要性は、ますます切実なものとなっています。ワクチン提供、債務の救済・再編、ODAを国民総所得(GNI)の0.7%をめざす(実績は2018年0.28%)などを、協力関係を強化します(目標17)。[「81、ODA」をご覧ください。]

市民の参加を拡大し国内の独自目標・計画の導入を

 SDGsを本格的に進めていくためには、市民の目線で、日本の社会が抱える問題をチェックしていく仕組みが必要です。現在は、行政府としては外務省に背負わせ、市民団体や経済界、有識者が参加する「円卓会議」が設けられています。しかし、SDGsの広範な提起を考えれば、内閣府が責任をもって取り組む体制をつくり、市民団体をはじめ、幅広い分野の関係者からの意見を反映させる体制が必要です。

 SDGsはもともと、各分野の目標を達成するために、各国が独自の計画をたてて取り組むことができることになっています。ところが、日本では貧困問題で典型のように、毎年実施の信頼性の高い調査を実施しないまま、データがないとして実態も明らかにせず、問題がないかのようにしているのは、不当です。信頼できるデータ・統計を作成し、国民・市民、各セクターが主体的にかかわり、国政・自治体が目標・計画をもってリードしサポートするとともに、市民の目線で検証し取り組みに生かす多面的・包括的な体制をつくることが必要です。

SDGs基本法・条例の制定を

 SDGsをまだ途上国の課題として誤解している風潮も残っており、SDGsに対する認識を共有し、基本方針と目標、各主体の役割とパートナーシップ、推進の体制の構築などを明確にするためにも、SDGsに関わる基本法や自治体の条例の制定を求めます。

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