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日本共産党

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60、文化

文化・芸術を人間が生きる糧として大切に守り、発展させます

2021年10月

 文化・芸術は、人々に生きる力を与え、心豊かな暮らしに欠かすことができないものです。文化・芸術を創造し享受することは、憲法や文化芸術基本法に保障された国民の権利です。日本共産党は、すべての国民がもっと自由に文化・芸術をつくり楽しむことができる社会をめざします。

新型コロナで打撃を受けている文化・芸術の「場」と「担い手」への支援を早急に行います

 昨年2月から文化・芸術の現場は、新型コロナ感染拡大防止のために、政府や地方自治体からの「自粛要請」に協力しました。そのため、相次ぐ公演の中止や延期などによって、多くの芸術家・芸術団体・技術スタッフなどが大打撃を受けました。緊急事態宣言が切れ目なく発出されるもとで、予定していた公演ができなくなったり、人数・収容率制限を受けたりして、さらに経済的打撃が広がっています。

 芸術団体の事業収入は、2019年比で50%以下になった団体が8割、フリーランスの芸術家・スタッフは、芸術活動の収入が50%以下になった人が7割で、そのうち芸術活動の収入がゼロになった人が13.2%もいます(文化芸術推進フォーラム調べ)。ぴあ総研の調査によれば、ライブ・エンターテイメントの市場規模は、2020年は前年比5189億円減(82.4%減)となりました。今年(2021年)も回復の見込みは立っていません。

 芸術団体は、コロナ禍で収入が激減するもとで、解散を余儀なくされたり、けいこ場や事務所などの拠点、職員の雇用が失われたりするような危機に瀕しています。民間劇場やミニシアターの閉鎖、ライブハウス、クラブの閉店も相次いでいます。

 政府はこの間、「継続支援事業」や「ARTS for the future!事業」など数百億円規模の支援策を行ってきました。しかし、感染が収束しないもとで、新たな事業を起こしたら助成するというやり方は、芸術団体やアーティストにさらに負担を負わせることにもなっています。

 日本共産党は、コロナ禍で被った損害への補償を国がしっかりと行うよう求めます。文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場」と「担い手」への支援を早急に行います。国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化します。

 ――フリーランスの芸術家・技術スタッフに、持続化給付金を再支給します。使途を問わない新たな給付制度の創設をはかります。

 ――文化・芸術団体や文化施設の業種別・事業規模別に、減収を根拠とした固定費などの支援制度をつくります。

 ――政府が昨年発足させた「文化芸術復興創造基金」に数千億円規模の国費を投入し、助成事業を抜本的に強化します。

 ――新型コロナの感染拡大で中止や延期になった学校の芸術鑑賞会のキャンセルによる損失に対して国としても支援します。

 ――民間劇場や映画館、ライブハウス、クラブなどの「場」や、芸術団体などの「担い手」を対象にした文化芸術への支援の仕組みをつくります。

 ――出演者やスタッフをはじめとした関係者が定期的・計画的にPCR検査等をうけられるよう国の補助を強化します。

文化予算の抜本増額を求めます

 国民が文化・芸術を鑑賞し、参加し、創造することができるような環境を整備することは国の責務です。しかし、現実には、所得や住んでいる場所によって、文化・芸術をつくり楽しむ機会に格差が生じています。

 日本の文化予算は2020年度の当初予算で1166億円。国家予算の0.11%にすぎません。国家予算に占める文化予算の割合は、フランスの9分の1、韓国の10分の1と、諸外国と比べてあまりに少なすぎます。

 日本共産党は、すべての国民の文化的に生きる権利、もっと自由に文化・芸術をつくり楽しむことを保障するために文化予算の抜本増額を求めます。

芸術家、芸術団体の活動を支えます

 芸術団体に対する助成は、自公政権の新自由主義路線の下で抑制・削減され、最高時(2002年)の半分まで落ち込んでいます。新型コロナ禍で大打撃を受けている今こそ、制度設計にも現場の声をとりいれ、芸術家や芸術団体を支えていくことが必要です。

 ――芸術団体が専門性を発揮し、持続的に発展していけるよう、事業規模、法人格などを考慮した基盤整備を含めた助成制度の発展、法整備をはかります。

 ――幅広い団体・個人が活用できる助成制度を確立し、助成への応募が年に複数回できるようにするなど制度の改善をはかります。寄付税制の充実など、税制面での支援をすすめます。

 ――映画やアニメなど日本映画の製作システムを支える財政支援を増額し、制度の拡充をはかります。

 ――映画フィルムの保存を急ぐとともに、文化遺産であるフィルム作品の劣化や散逸、デジタル化に対応した映画作品の保存を進めます。フィルムアーキビストなど専門家の育成を進めます。

 ――日本の伝統文化を継承・発展させるため、伝統芸能や伝統工芸をはじめとした実演家、技術者の育成をすすめます。希少素材を使用している伝統楽器の材料についての調査・研究を支援します。

 ――次代を担う芸術家、技術スタッフの育成をすすめます。

国民が文化・芸術を創造・享受する「場」――劇場・音楽ホールなど文化施設への支援を強化します

 劇場や音楽ホール、美術館、博物館などの文化施設は、それぞれの地域の文化・芸術を支える大切な場です。しかし、文化施設は、自民党政治のもとで指定管理者制度が設けられ、予算が削減されてきました。市町村合併で文化施設が統合され、遠方になったため、住民の鑑賞や発表の機会が減っている地域もあります。施設・設備が老朽化したのに大規模改修の費用が捻出できず、休館・閉館に追い込まれている文化施設もあります。

 また、地域文化の多様性を守り、新しい芸術家を育ててきたライブハウス、ミニシアター、小劇場、イベントホールなどが、新型コロナ禍で客席の制限、時短営業を強いられて採算がとれず、閉館したところもあります。

 日本共産党は、文化・芸術を創造・享受する「場」を支えます。

 ――劇場・音楽堂に対しては、専門家を適切に配置するとともに、施設改修や舞台機能の高度化への支援措置を設けるなど、国の支援を強めます。

 ――民間の劇場やミニシアター、ライブハウスは現状では商業施設や遊興施設として扱われ、何の支援もありません。年間100日以上事業を行っている施設は劇場とみなして固定資産税の減免をはかるなど、積極的な支援を行います。

 ――美術館・博物館、図書館は「表現の自由」を土台として国民に鑑賞機会を提供するとともに、大切な社会教育の場です。コレクションの購入や修復、適切な保管場所の確保などの支援を強めます。

 ――国立美術館・博物館、国立劇場・新国立劇場、国立映画アーカイブについては、文化・芸術活動の拠点として活性化するために、国の施設にふさわしく予算の充実をはかります。

 ――文化施設の運営への芸術家と市民の参画をすすめるとともに、文化ホールや図書館、美術館・博物館の民営化、民間委託をやめさせ、公的支援を充実します。

 ――映画、アニメ、漫画、美術、デザイン、写真、音楽など、文化各ジャンルの貴重な遺産のアーカイブ(収集・保存・公開)を支援します。

文化を支える専門家―「担い手」の地位向上にとりくみます

 年収300万円未満が5割以上という劣悪な状態にある実演家、技術スタッフ、アニメーターなどフリーランスの芸術家は、一般の労働者に比べても低収入です。新型コロナ禍で苦境に立たされている専門の技能を持つ人たちが、芸術の場を去ることになれば、文化・芸術の発展を阻害することになりかねません。2020年度から芸能従事者やアニメーターなどが労災保険に特別加入できるようになりましたが、引き続き専門家の地位向上に力を尽くします。

 ――芸術家が本業で仕事ができるように、その収入を一般勤労者並みに改善することをめざします。専門家の共済制度の創設などを求めます。国保に加入するフリーランスの芸術家に対する傷病手当金の支給を求めます。

 ――舞台技術者や司書、学芸員など非正規職員となっている専門家の身分を保障し、専門家としての力量を発揮できるよう支援します。

 ――文化・芸術活動の現場で、パワハラやセクハラが問題になっています。国として芸術家・専門家に対する相談窓口の設置を求めます。

 ――演劇・舞踊や映画の国立大学の設立、国立劇場・新国立劇場での専門家育成・研修事業の充実、海外研修支援の拡充など、専門家の要請における国の責務を果たさせます。

子どもたち、若い世代が文化活動を体験できる条件整備を進めます

 新型コロナ禍で、子どもたち、若い世代の人たちが文化・芸術を創造し、享受する機会が大きく失われています。また「子どもの貧困」もさらに進んでいます。子どもたち、若い世代の人たちに文化・芸術に触れる機会をつくり、心豊かな成長を保障することが政治の役割です。

 ――すべての子どもが年1回以上芸術鑑賞できるよう、国の施策の充実をはかるとともに、学校と芸術団体の自主的な努力を応援します。

 ――情報提供や申請実務の簡素化などの条件整備をすすめます。義務教育の期間だけでなく、就学前の子どもや、高校生、大学生に対する芸術鑑賞などの支援を強めます。

 ――フランスの「カルチャーパス」などを参考に、若い世代が芸術に触れる多様な機会を保障します。

 ――障害者の芸術鑑賞・創造・作品発表などの機会を増やし、支援します。

地域の文化活動を応援します

 地域では、住民が主人公となって多種多様な文化活動が、多くの市民や団体で行われ、街の活性化やコミュニティーの形成につながっています。一方で地域の過疎化や文化活動の担い手の高齢化に伴い、地域の文化活動に困難もあります。

 ――現役世代や子どもたちの文化活動、NPOやサークル、鑑賞団体などの活動が発展するように、ホールや展示場所、けいこ場の利用料の低減など条件整備をすすめます。

 ――自治体の文化担当の職員を支えるために、研修機会の充実をはかります。

文化財の保存と継承をはかります

 文化財は、有形・無形を問わず、先人の生きてきた証であり、現在・未来に生きる貴重な財産です。最近の政府の方針では、文化財を観光などに「活用」し、「文化財で稼ぐ」ことに重点が置かれていますが、「活用」の名のもとに、文化財の保存があいまいにされ、破壊・毀損されることがあってはなりません。「活用」する場合も、修理・修復して保存することが欠かせません。東日本大震災や熊本地震、豪雨災害などで被災した文化財の保存・修復も道半ばです。

 ――文化財の保存・修復のために財政的な支援を強めます。文化財の保存と活用のために、普段からの調査活動を支援します。

 ――大型公共事業とその関連工事による文化財破壊を許さず、埋蔵文化財をはじめ、文化遺産、歴史的景観および文化的景観の保護をはかります。

 ――「陵墓」に指定されている古墳の学術目的での調査と保存をすすめます。

 ――文化財の防災対策を強化します。

 ――世界遺産や無形文化遺産の推薦にあたっては、透明性向上や公平性確保につとめます。

 ――食文化の継承・発展のための支援をすすめます。

著作者の権利を守り発展させます

 著作権は、表現の自由を守りながら、著作物の創造や実演に携わる人々を守る法律として、文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家も映像作品の二次利用への権利がありません。国際的には視聴覚的実演に関する北京条約(2012年)が締結され、日本も加入するなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。

 ――著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。デジタル化、ネット配信など多様化する二次利用に対しては、著作者の不利益にならないよう対策を求めます。

 ――私的録音録画補償金制度は、デジタル録音技術の普及にともない、一部の大企業が協力業務を放棄したことで、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益を守るために、私的複製に供される複製機器・機材を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担を求める、実効性のある補償制度の導入をめざします。

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術は自由であってこそ発展します。憲法は「表現の自由」を保障していますが、自公政権のもとで、各地の美術館や図書館、公民館などの施設で、創作物の発表を正当な理由なく拒否することが相次いできました。また、2019年のあいちトリエンナーレでは、政治家の介入を受けて、文化庁が「安全性」を理由に助成金をいったん不交付にしたり、日本芸術文化振興会が映画「宮本から君へ」に対して「公益性」をもちだして助成金を打ち切ったりするなど、「表現の自由」への介入・侵害が相次いでいます。

 文化庁の助成は応募要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体などの意見が十分反映されていません。諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国が持ちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。

 日本共産党は、文化芸術基本法や憲法の基本的人権の条項を守り生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。

 ――「アームズ・レングス原則」(お金は出しても口は出さない)にもとづいた助成制度を確立し、萎縮や忖度のない自由な創造活動の環境をつくります。

 ――すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

 ――「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。

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