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日本共産党

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赤旗

➡2021総選挙 分野別政策一覧

13、子ども・子育て

子どもの権利が守られ、安心して子育てできる、希望ある社会をつくります

2021年10月

 長引く新型コロナの感染は、子どもたちの心身に大きな影響を及ぼしています。当初、感染しにくいと言われていた子どもたちへの感染が、ウイルスの変異で急速に広がるようになり、全国の学校や学童保育所、保育所でクラスターが発生し、休校、休園、登園自粛などが相次いでいます。

 子どもの自殺が増えていることは深刻です。2020年は過去最多となり、今年は昨年を上回ると推測されています。コロナ禍で多くの親も子どもたちも在宅時間が長くなり、家庭内DVが増加し、家庭に居場所を感じられず息苦しい思いをしている子どもたちも多くいます。生活や家庭環境の変化で生きづらさを感じ、先の見えない不安がストレスとなり「死にたい」という悩みを抱えた子どもからの相談が各地の相談センターに相次いでいます。

 子ども権利条約は、すべての子どもには、生命・生存・発達の権利、最善の利益を保障される権利、意見が尊重される権利、差別されない権利の保障をうたっています。コロナ禍の中のいま、すべての子どもたちがこの権利に基づき生きる権利が保障されるよう、日本共産党は、子どもたちにかかわるあらゆる制度の土台にこの立場を位置づけ子どもの権利が守られ、安心して子育てできる希望ある社会をつくるために力をつくします。教育費など子育ての経済的負担を軽減します。人間らしい働き方とくらし実現を目指します。保育・学童保育の拡充、子どもの命と健康を守る制度を拡充します。

教育にかかわる経済的負担の軽減をはかります

 コロナ危機は、学生や子どもたちの学び、教育にも深刻な打撃となりました。日本の教育への公的支出は先進国最低水準です。憲法に定められている義務教育無償の原則にたち、教育に“お金をかけない政治”を根本から改めます。

――小学校・中学校での副教材費、給食費などのあらゆる教育費の無償化、高校教育の無償化、大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等教育の無償化をめざします。

幼児教育・保育の無償化をすすめます

 現在の無償化は、対象が3~5歳、住民税非課税世帯の0~2歳児に限られています。保育所では、3歳以上の給食費が実費徴収です。

――すべての幼児教育・保育の無償化をすすめます。

学校給食費など義務教育に残されている教育費負担をなくします

 現在、小学校・中学校で無償なのは授業料や教科書だけです。学校給食の無償化は、父母たちのねばり強い運動の中で実施する自治体が増え、1,740自治体中82自治体で無償化、424自治体で一部補助がおこなわれ(2017年度文部科学省調査)歓迎されています。

――給食費、制服、副教材費、修学旅行積立金など、義務教育期間中の教育費の無償化をすすめます。

――安全で豊かな学校給食のために、民間委託は見直し、地産地消、自校方式、直営方式などを進めます。

――学校栄養職員・栄養教諭を1校に1人配置します。

――すべての自治体で中学校給食を実施し、高校へと拡充し、夜間中学でも給食を実施することをめざします。

就学援助を拡充します

 義務教育の子どもの給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助制度は、経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱です。就学援助利用者の割合は小中学生全体の14.72%(2018年度)、6人から7人に1人の子どもが利用しています。「子どもの貧困」が深刻な問題になっているときに自公政権がおこなった国庫負担の廃止は各地の就学援助の縮小を引きおこしました。

――就学援助への国庫負担制度をもとに戻し、対象を生活保護基準×1.5倍まで広げます。支給額を増額し、利用しやすい制度にします。

高校の無償化拡大、入学金、施設整備費等も無償化に

――自公政権が行った所得制限導入をやめ、公立高校と同等に私立高校の学費無償化を引き上げます。さらに、年収910万円までは実質無料にします。

――入学金、授業料、施設整備費も無償化にします。

――オンライン授業に必要なタブレット等の機器は国が負担します。

大学・短大・専門学校授業料をすみやかに半分に値下げし、段階的に無償化をはかります。入学金を廃止します。

 国際人権規約は大学、高校の学費を段階的に無償化すると定めており、日本政府は、2012年にその条項への「留保」を撤回しています。2020年度から政府は「高等教育の無償化」とうたい高等教育の就学支援新制度を実施しましたが、所得制限など中身は不十分なものです。政府は国際公約にたって国民への責任を果たすべきです。

――すべての学生を対象に、大学・短大・専門学校の授業料をすみやかに半分に値下げし、段階的に無償化をはかります。

――合理性のない入学金は廃止します。

給付奨学金を拡充し、すべての奨学金を無利子にします

――「自宅4万円、自宅外8万円」の給付奨学金を75万人(現在の奨学金利用者の半数)が利用できる制度をつくり、拡充していきます。

――すべての奨学金を無利子にします。

――奨学金返済が困難になった場合の減免制度をつくります。

――学生支援緊急給付金の継続的な実施、休学や卒業延期した学生の学費補助など、コロナ対応の支援を抜本的に強化します。

安心して働き、子育てできる社会にします

保育所・幼稚園・学童保育でのコロナ対策を、国・自治体の責任で徹底します

 子どもたちにも新型コロナウイルスの感染が広がりました。保育園・幼稚園・学童保育では感染対策に努力をしていますが、クラスターが発生した場合、休園や登園自粛などの対応が必要となる事態となり、保護者が働きに出られない、有給休暇がなくなる、収入が大きく減るなど厳しい事態が起きています。

感染拡大を防ぐために、迅速な行政検査と定期検査をおこないます

――保育所・幼稚園・学童保育で感染者が確認されたら、迅速にすべての子どもと職員を対象に行政検査を行います。

――保育所・幼稚園・学童保育での定期的な検査を、施設の費用負担なく実施できるようにします。

――保育所・幼稚園・学童保育を通じて家庭に検査キットを配布し、子どもの体調不良時にすぐに検査が行えるようにします。在所中の体調不良への対応として、施設にも検査キットを配ります。

保護者が安心して休めるように所得補償を確実におこないます

 子どもの中での感染を抑えるためには、子どもの体調が悪いときはもちろん、休園や登園自粛となったときに、保護者が安心して休めることが不可欠です。

――確実に休暇をとれるように、休暇申請・休暇取得をした労働者への不利益な取り扱いが行われないようにします。所得保障を国の責任で行います。

――未就学児の保護者を含め、小学校休業等対応助成金(自営業者等には支援金)制度の所得保障を従来の制度の問題点(事業所を介さない個人申請と個人給付のさらなる活用。保育所等を通じた制度の周知。自営業者、個人事業主への額の引き上げ)を改善し実施します。

――休園・登園自粛等に伴う保育料、副食費などの自己負担を返還免除します。

――保護者が感染した際、子どもを保護する体制を自治体が確保できるようにします。

――保護者がどうしても休暇取得が困難な場合、代替保育を自治体の責任で行います。

保育所・幼稚園・学童保育の感染対策を自治体や国の責任でおこないます

――衛生資材の購入、消毒など感染対策に必要な経費の補助を増額します。

――保育所は休園の場合も国からの運営費は減額されていません。保育労働者の賃金削減とならないよう指導を強め、保育士が働き続けられる環境をつくります。

――すべての保育労働者・学童保育指導員に慰労金を支給します。

――子どもの感染拡大によって、保育労働者・指導員が休まざるをえない事態も生じています。その一方で業務負担は増大しています。全ての施設を対象に、臨時に保育士を雇えるよう給付金を交付します。人員確保を施設だけの責任とせず、自治体からの人の派遣等も行い、保育が実施できる体制を保障します。

感染症対策の観点から、直ちに最低基準の見直しに踏み出します

 現在の保育所・幼稚園・学童保育の面積基準、人員配置基準は、「密」が避けられないものとなっています。

――現在行われている保育所の面積基準緩和の検討をただちにやめます

――面積基準・人員配置基準を感染症の専門家の知見をえて、早急に改善を実行します。

規制緩和の保育から、保育拡充路線に転換し、保育の質の向上につとめます

 働きながら乳幼児を育てる父母たちは、「安心して子どもを保育園に預けたい」と願っています。この当たり前の願いを実現するために、規制緩和、公的保育の切り捨て路線を転換し、公立も含めた認可保育所を増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消します。保育の質を引き上げるために、保育予算も大きく増やし、保育基準の引き上げに踏み出します。

公立保育所を柱に30万人分の認可保育所を整備します

 認可保育園を希望しながら無認可施設や企業主導型保育所などで保育を受けている子どもを含めた待機児童を解消します。かつて認可保育所の80%を占めていた公立保育所は、35%に減少しています。

――自公政権が長年にわたり続けてきた公立保育所の廃止・民営化路線を転換し、国と自治体の責任で、公立保育所を柱に30万人分の認可保育所を増設します。自公政権がすすめる保育の規制緩和、詰め込み、企業参入促進をやめさせます。

子どもたちが安心して過ごせる保育環境を整備します

 日本の保育所の面積基準は、戦後直後に制定されてからほとんど改善がなく、欧米諸国に比べて極めて遅れたものです。職員の配置基準も低く、子ども一人ひとりに目が届かない状況など、保育士の負担が大きなものになっています。保育園での子どもの死亡事故は毎年繰り返し発生しており、死亡に至らない骨折などの重大事故が急増しています。感染対策の面からも、密を避けるためにゆとりある面積が必要です。保育の安心・安全が脅かされる事態が進んでおり、早急に解決が求められています。面積基準や人員配置基準を引き上げ、一つの園の子どもの数を減らしながらゆとりある保育環境をつくります。

――面積基準の緩和ではなく認可保育所建設をすすめ、「詰め込み」を解消します。

――人ひとりの子どもたちに目が行き届き、手厚い保育ができるよう、保育士配置基準を現行の倍化を目指して引き上げます。

 ―子どもの数が減っても安易に統廃合するのではなく、少なくなったクラスできちんとゆとりある保育環境を保障します。

――認可保育所より基準の低い小規模保育などの基準を、認可保育所並みに引き上げます。

――企業主導型保育(無認可)の自治体の関与を強め、認可保育所との格差の是正に努めます。

人口減少地域でも自治体が責任をもって保育を保障します

 人口減少地域では保育所運営が困難になり、統廃合がすすむ事態があります。身近な保育園がなくなり、遠方まで通わなければいけない状況は親にとっても子どもにとっても負担です。

――過疎地の保育を担っている公立園への補助を復活させます。

――民間の保育所も、小規模でも安定した保育を維持できるように財政支援を強め、どの地域でも必要な保育を保障します。

子どもが思い切って遊べる園庭、ホールなどの確保をすすめます

 保育園児等の園外活動の安全対策が大きな問題になっています。園庭があるところもないところも、園外へのお散歩や遊びは子ども達の日常の活動で、子どもの成長・発達のうえでも欠かすことができません。しかし、東京を中心に新設される保育園の園庭は十分に確保されているところが少ない状況です。

――園や自治体が、園庭やホールの確保を積極的に取り組むことを後押しします。

公的責任で学童保育を量的にも質的にも整備し、安心して過ごせる学童保育拡充路線へ

 子どもたちが放課後や休みの日に、生活の場として安全に安心して過ごせる学童保育の拡充は、働く父母の切実な願いです。コロナ禍でも学童保育は働く父母を支えるため、開所し続けました。学童保育が社会的に必要不可欠な施設であり、その果たしている社会的役割の重要性が浮き彫りになりました。しかし、学童保育は施設数が足りず待機児童も多くいます。大規模化や施設環境も不十分なところが多く、指導員の処遇は大変低いなど問題が山積しています。

 学童保育の社会的役割にふさわしい施設整備や職員の処遇改善が進まない最大の要因は、長年の自民党政権が公的制度として裏づけとなる基準を明確にしないなど責任を放棄してきたことにあります。わずかながらにできた基準も、すぐに後退させるなど、その姿勢は一貫して学童保育、子どもたちの安心・安全な育ちへの軽視です。

 「子どもたちが安心して過ごせる学童保育をつくってほしい」。保護者と指導員のみなさんとともに、安心して預けることのできる学童保育をつくり、ひろげるために、これまでの遅れた学童保育制度を抜本的に拡充します。

公的責任で学童保育を整備・増設し、安定した学童保育を増やします

 2020年7月の厚労省の調査では、学童待機児童は1万5,995人、都市部に限らず全国的な問題となっています。学童保育自体がない市町村が121あります。政府が進める「新・放課後総合プラン」は、学童保育専用施設の増設ではなく、学童保育と異なる、全児童対象の放課後事業と「一体型」で推進するというものです。自治体直営から、民間委託への流れも広がっています。3年や5年で運営者や指導員が変わるような事態や、委託に伴い経験ある指導員が雇止めにあう事態も起きています。父母が安定した学童保育を望むことは当然です。

――放課後や夏・冬などの休みの間に子どもに「生活の場」を保障する学童保育を、他の目的の事業にまとめるのではなく、それぞれの役割に見合った形での拡充をおこないます。国と自治体の責任で、実態にみあった学童保育整備計画をつくり、待機児童を解消します。

――安易な民間委託はやめ、公的責任で安定した学童保育をすすめます。

40人の適正規模への分割、大規模施設の解消をすすめ、施設環境を改善します

 厚生労働省の基準では、集団の規模は「おおむね40人以下」とされていますが、今も4割が41人以上の大規模施設です。

――感染症対策の面からも、大規模施設を一刻も早く解消します。迅速にすべての施設がまず適正規模になるようにします。施設の分割をしやすくするために、必要な代替施設の確保、補助単価を見直し改善をはかります。集団の規模は「30人以下」を目指します。

――低すぎる一人当たりの面積基準の改善と合わせて、静養室の設置など、生活の場にふさわしい施設環境への改善をすすめます。

指導員の複数配置、指導員の処遇改善をすすめ、安全・安心な学童保育をつくります

 父母や指導員たちの長年の運動によって、2014年にようやく厚生労働省が設備と運営に関する基準を示しましたが、子どもの安全を守ることが第一義的に求められている学童保育のそれを保障する「従うべき基準」とされた職員の複数配置が、人手不足を理由に「参酌化」に改悪されました。国としてまともな学童保育の基準がないまま、わずかながらの基準も後退させたことは、父母や学童関係者の願いに背くものです。

――職員の複数体制、有資格者の配置を「従うべき基準」に戻し、子どもの安全・安心を守ります。すみやかに「児童数40人以下」「児童一人につき1.65㎡以上」等の他の基準についても「従うべき基準」に位置づけ、改善を図ります。

――指導員の多くが非正規雇用で、年収は半数以上の指導員が150万円未満という状況は深刻です。指導員はその専門性が高く求められる職業です。非正規の正規化を進め、長期的に安定して働くことができるよう、抜本的な改善をはかり指導員不足の解決をはかります。

男女がともに子育てできる雇用のルールをつくります

 異常な長時間労働は、働く者の健康を奪い、女性は、男性の長時間労働を支えるために、家族的責任をより重く担うことが当然とされてきました。男性も、子育てに参加したくてもできない実態が広く存在しています。妊娠・出産、子育て中の女性が働きつづけられず、第1子の妊娠・出産で女性労働者の半数以上が仕事をやめ、子育て世代の30代の男性6人に1人が週60時間以上働いています。非正規雇用が増加し、人間を使い捨てにするような働かせ方がまん延するなかで、若い世代の平均年収は急速に低下しています。

家庭的責任と働くことを両立できる労働のルールをつくります

 異常な長時間労働を改善して、男女がともに仕事と家庭が両立できる人間らしい働き方のルールをつくります。残業時間の上限を法律で規制し、過労死を生み出す長時間過密労働をなくします。違法なサービス残業を根絶します。

――過労死をうむ異常な長時間労働をなくし、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」にします。いますぐ残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」にします。

――家族的責任を持つ労働者は、男女を問わず、単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止し、看護休暇や育児介護休業制度を拡充します。残業は本人同意を原則とします。これらの措置が、昇給昇格において不利益な評価とされることを禁止します。また、時間外労働の免除、短時間勤務制度は小学校入学前まで、深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。

非正規から正社員への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件改善と均等待遇を進めます

 労働法制の規制緩和によって、女性の非正規雇用化が進み、働く女性の56%がパート、派遣、契約などの非正規雇用です。

――非正規から正社員への流れをつくります。労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、常用雇用の代替を防止する、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくります。

――最低賃金を1,500円に引き上げます。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など中小企業への支援を抜本的に強化します。

だれでも利用できる育児休業制度への改善をすすめます

 育児休業制度の利用率は、女性81.6%、男性12.65%です(2020年度)。男性の取得率は海外と比べてもとても少なくなっています。女性についても、妊娠、出産での就業継続率は半数程度であり、就業していた女性全体からすると取得4割程度に過ぎません。

 日本の育児休業制度は少しずつ整備され、6月にも法改正が実施されました。しかし、現状は不十分であり、根本にある希望しても取得できない問題の解決が必要です。

――男女がともに育児休業を取得できるようにするために、当面、所得保障を父母それぞれにつき3カ月間は100%にする、分割取得を可能にするなどの改善をすすめます。根本的には男女の賃金格差、性別役割分業の考え方が男性の育児休業取得を困難にしています。男性も育児休業を取得できるようにするために、男女賃金格差の是正、”子育ては男女共同の責任”であることを徹底します。

――2021年に介護・育児休業法が改正され、来年度中に、産後休暇中に男性も4週間(2回分割可能)まで育児休業が取得可能となります。ただし、労働者が合意した場合は、休業中に就労日を設けることも可能とされ、労働団体からは反対の声が上がってきました。今後、休業を希望する男性も増加すると思われますが、取得や就労日を設けるかどうかなどは、あくまでも労働者からの申し出によるものであり、就労をめぐってパタニティハラスメントとなることは許されません。※11、ハラスメントのマタハラ、パタハラ部分参照

――昇進・昇格や賞与、退職金の算定の際、育児休業期間を“労務を提供しなかった期間”として不利益な取り扱いをしてもよいとなっています。こうした取り扱いは育児休業制度の趣旨に反するものであり、改めさせます。代替要員確保の助成金の増額や助成期間の延長など中小企業への支援を充実します。

――育児休業の取得条件が、「一年以上、継続雇用されていること」が廃止されたことは前進です。引き続き、有期雇用の父母につけられている「子どもが1歳6カ月になるまで雇用が続いていること」という厳しい条件は不平等であり、改善します。

――短時間勤務制度や時間外・深夜労働免除制度は、子どもの対象年齢の拡大などの充実をはかります。子どもの病気などで利用できる「子ども看護休暇」は、学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親が各年10日以上に拡充し、所得補償を導入します。

――制度利用による不利益扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。

――介護休業中は社会保険料免除もないなど不十分です。3カ月が限度となっている休業期間の延長と所得保障の充実をすすめます。

子どもの命と健康を守り、子育ての不安を解消します

子どもの医療費無料化を国の制度にします

 就学前の子どもの医療費助成は、国の制度はありません。すべての市区町村が助成していますが、年齢、所得制限など、助成の内容は都道府県・市区町村で異なります。医師不足による小児科病棟の休止、病院の閉院、救急医療施設の減少は、地方でも都市でも深刻です。出産できる病院・診療所も激減したままです。

――小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化します。その国の無料化制度の土台のうえに、自治体独自の助成制度をさらに前進させ、小・中・高校生への医療費助成を推進します。

――国がおこなっている、子ども(小学生以上)の窓口無料化を行う市町村にたいする予算カットのペナルティを廃止します。

――歯科矯正、眼鏡などの保険適用外の治療についても、必要な医療行為として無償化を目指します。

――小児科・救急医療体制の確立をすすめます。公的病院の産科、小児科切り捨てをやめ、産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化し、早期復活と拡充をはかります。

――地域の医療体制をまもる自治体・病院・診療所・大学などの連携を国が支援します。

――産科・小児科・救急医療の充実などにかかわる診療報酬を抜本的に増額し、安心して医療を受けられる小児救急医療体制の確立をすすめます。

児童手当の拡充などをすすめます

――児童手当を拡充し、現在、中学卒業までの支給期間を18歳までに延長することをめざします。

――子育て世代向けの公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの支援を特別につよめます。

――妊娠・出産にかかる経済的負担の軽減をはかります。出産一時金の金額を大幅に引き上げます。

児童扶養手当の拡充など、ひとり親家庭への支援を強めます

 現在、ひとり親世帯は約142万世帯です。生活でも子育てでも、ひとり親家庭であるための困難をかかえる母子家庭、父子家庭への支援を強めます。母子家庭は、ひとり親家庭の86%を占めています。男女賃金格差が大きい日本では母子世帯のくらしは、より大きな困難を抱えざるをえません。パート・アルバイトなど不安定な働き方で生計を立てる母子世帯は44%にのぼり、コロナ禍で収入が減る仕事を失うなど、より困難な状況に陥っている家庭が増えています。父子家庭も支援の強化が必要です。長時間労働を強いられている父親の場合、子育てのために仕事を変えざるをえない人も少なくありません。就労収入は母子家庭を上回るとはいえ、300万円未満の世帯が35.2%、200万円未満も19.9%です。

――児童扶養手当を第1子から拡充します。第2子、第3子以降への加算額は、一律10,000円に引き上げます。

――年3回だった支払回数が年6回になりましたが、毎月支給へさらに改善をすすめます。

――現行18歳までの支給を20歳未満にします。

――安心して生活し、子育てをするために、長期の安定した雇用確保の就労支援、保育所への優先入所、安価で良質な公営住宅の供給などの支援をすすめます。

――父子家庭への支援をすすめます。父子家庭の実態に即した子育て支援・生活支援をつよめます。

子育ての不安を解消する相談支援体制をつくります

――初めての出産による不安や、失業、生活苦など、さまざまな問題を抱えた家族に対し、産前・産後サポート事業などきめ細かな相談体制、個別の訪問活動などの支援を拡充します。

――保育所への入所や一時保育、子育て支援事業など、子育て不安を軽減する取り組みを、病院や自治体の関係機関の連携をつよめ、地域全体ですすめます。

――専門職員の配置・増員と予算確保を国の責任でおこないます。

――児童虐待や子育ての困難の背景には、若い世代の雇用破壊と貧困の広がりがあります。安心して子育てできるように、正規雇用化と時給1,500円をめざして最低賃金の引き上げ、残業の上限規制による長時間労働の改善、教育費の負担軽減、福祉・社会保障の充実、子育てへの経済的支援など総合的な施策をつよめます。

――離婚した父や母などと子の面会交流、養育費の分担のとりきめについては、2011年の民法改正で、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と努力義務としてもりこまれています。共同親権については、子どもの権利・利益を尊重し「親権」そのものを見直す民法改正を目指します。

 詳しくはこちらをご覧ください。

【見解】「離婚後共同親権」の拙速導入ではなく、「親権」そのものを見直す民法改正を 

子どもの生存と発達、最善の利益の立場で児童虐待をなくす施策をすすめます

 昨年児相が対応した虐待相談件数は20万5,029件(5・8%増)と、集計を始めてから30年連続で最多を更新しました。子どもの命が脅かされる事態が広がっています。児童相談所がその役割を発揮できるように、専門職員の養成と相談員の増員、相談所の増設など抜本的に拡充します。

――被害を受けた子どもの心身の回復にあたる社会的養護の環境を改善・拡充します。

――民法の懲戒権を廃止し、体罰をなくします。

――親の更生や学びを支援するとともに、虐待の根本にある貧困と社会的孤立の解消に力を入れます。

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