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日本共産党

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赤旗

➡公約目次

希望と安心の日本を
参院選にあたっての日本共産党の公約

2019年6月21日 日本共産党

市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、希望と安心の政治を

安倍政治にサヨナラして、明日への希望が持てる政治に

 参議院議員選挙が目前に迫りました。日本の将来がかかった大事な選挙です。

 安倍政治は、あらゆる面で行き詰まり、政治への不信と将来への不安が広がっています。

 年金が「2000万円不足する」という金融庁の報告書が不安を広げ、都合の悪い報告書は「無かったことにする」という安倍政権の姿勢に怒りが高まっています。消費税の10%増税に、くらしと景気を悪化させるという批判と不安が広がり、延期論が政権内部からも出るなど矛盾が深まっています。憲法9条の改定も、安倍政権下での憲法改定に反対が多数になるなど、安倍首相の思惑通りにすすんでいません。原発にしがみつく政治は、原発輸出がすべて失敗した上に、原発コスト高騰でも行き詰まっています。「ウソと忖度(そんたく)の政治」が、さまざまな分野で噴き出し、国民の怒りを広げています。

 一方で、安倍政権の数を頼みにした暴走政治の危険性が高まっています。憲法9条改悪に執念を燃やし、日本を「戦争する国」へとつくりかえようとしています。自分の都合の悪いことは隠ぺいし、公文書改ざんや統計の偽装にまで手を染め、国会審議からも逃げまわる政治姿勢は、政治のモラルハザードを深刻にし、わが国の議会制民主主義を根底から脅かしています。今度の参議院選挙は、行き詰まった安倍政権に退場の審判を下して、希望と安心の新しい政治を切り開くことができるのか、それとも、危険な暴走政治を加速させてしまうのか、まさに日本の命運がかかった選挙です。

政治を変える力......市民と野党の共闘の勝利と日本共産党の躍進

 市民と野党の共闘の大きな前進を力に......日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」は、32の1人区で野党統一候補を擁立することで合意しました。日本共産党は、わが党が擁立した候補者が統一候補となった福井、鳥取・島根、徳島・高知の3選挙区だけでなく、どの選挙区でも、みんなが応援して勝利をめざす選挙にして、すべての1人区で野党統一候補が勝利するために全力をあげます。

 同時に、野党の党首は、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合のみなさんが原案をつくり、野党間で協議をしてきた「共通政策」でも合意しました。「だれもが自分らしく暮らせる明日へ」と題する「共通政策」には、次の内容が掲げられています。

 ①安倍政権による憲法9条改定を許さない。

 ②安保法制、共謀罪など安倍政権が成立させた立憲主義に反する法律の廃止。

 ③膨張する防衛予算を他の財源に。

 ④沖縄の米軍新基地建設の中止。普天間基地の早期返還、日米地位協定の改定。

 ⑤東アジアにおける平和と非核化の推進、拉致問題の解決。

 ⑥福島事故の検証や避難計画のない原発再稼働反対、原発ゼロをめざす。

 ⑦毎月勤労統計偽装の究明、高度プロフェッショナル制度の廃止。

 ⑧10月からの消費税増税中止。

 ⑨子どもと若者のための保育、教育、雇用予算の飛躍的拡充。

 ⑩最低賃金1500円をめざす。8時間働けば暮らせる働くルールの実現。

 ⑪LGBTsへの差別解消、女性への雇用・賃金差別の撤廃、選択的夫婦別姓、議員間男女同数化の実現。

 ⑫森友・加計疑惑究明、透明性が高く公平な行政。

 ⑬国民の知る権利、報道の自由の確保。

 1人区での野党統一候補の擁立でも、共通政策でも、3年前の参院選での合意を大きく前進させました。必ず勝利をして、希望ある政治を切り開きましょう。

 政治を変えるもう一つの決定的なカギは日本共産党の躍進です......日本共産党は、安倍政権へのもっとも厳しい対決者として、国会での論戦でも、広範な市民のみなさんとの運動でも、安倍政治を追及してきました。現状を打開する展望、明日への希望を示し、安倍政治を追い詰めるたたかいの先頭にたってきました。

 同時に、日本共産党は、共闘の力で政治を変える新しい道に踏み出し、市民と野党の共闘の成功のために、誠実に力をつくしてきました。日本共産党の共闘への努力と献身がなければ、野党共闘の前進はあり得なかったと自負しています。

 この日本共産党が、比例代表選挙でも複数選挙区でも、躍進することが、安倍政権への最大の痛打であり、安倍政治に代わる新しい政治をつくる市民と野党の共闘を強く、大きくする、もっともたしかな力です。

1、消費税増税の中止、くらしに希望を――三つの提案

(1)くらしと景気を壊す無謀な消費税10%への増税中止の審判を

 家計消費が減り、実質賃金も下がり、景気の悪化が現実になっている時に、5兆円にも上る消費税増税を家計と消費に押し付けるのは、あまりにも無謀です。「消費税増税に賛成」という人たちからも「こんな時に増税していいのか」という声が上がっています。

 それでも安倍政権は、消費税増税に突き進んでいます。このままくらしと景気をこわす大増税を座して見ているわけにはいきません。参議院選挙で「増税ストップ」の審判を下し、増税中止に追い込みましょう。

(2)くらしに希望を――三つの提案......消費税増税なしで実現できます

 家計を応援し、格差と貧困を是正する経済政策に変え、くらしに希望が持てる社会にしていきます。

①8時間働けばふつうにくらせる社会に――賃上げと長時間労働の是正を

 賃上げと長時間労働の是正をすすめ、8時間働けばふつうにくらせる社会にしていくことは、家計消費を増やし、日本経済を立て直すうえでもかなめです。

――最低賃金をただちに全国どこでも1000円に引き上げ、すみやかに1500円をめざします。全国一律の最低賃金制度を創設します。中小企業の賃上げ支援予算を1千倍の7000億円に増額し、社会保険料の事業主負担分を減免するなどして賃上げを応援します。

――残業代ゼロ制度を廃止し、すべての労働者を対象に「残業は週15時間、月45時間、年360時間まで」と上限を労働基準法で規制し、長時間労働を是正します。

――労働者派遣法の抜本改正をはじめ、非正規労働者の正社員化をすすめます。

――保育・介護・障害福祉労働者に国の責任で、ただちに月5万円賃上げし、一般労働者との格差をなくしていきます。

②くらしを支える社会保障を

 国民のくらしを支え、生存権を保障するほんらいの社会保障にしていくために、その第一歩として、緊急に次の改革をすすめます。

 「減らない年金」にする、低年金を底上げする......安心できる年金に踏み出します

 "厚生年金だけでは足りないから2000万円の老後資金を"という金融庁の報告書が衝撃を与えました。「100年安心」がウソで、「自己責任」で老後資金を準備しないと生活できないと報告書は認めたのです。「100年安心」と言いますが、その中心は、「マクロ経済スライド」という、年金給付の水準を減らし続ける仕組みです。実際、安倍政権の7年間で年金を実質6・1%も減らしました。このままだと年金給付の水準は、現在41歳の人が65歳で年金を受け取れるようになるまでどんどん減らされます。平均的な高齢夫婦世帯で月額4万3000円、30年間で受け取る年金は1600万円も減ります。

 いくら安倍政権が「報告書」を受け取らないなどと言っても、「年金が足りない」という事実を変えることはできません。自分たちの都合の悪いことは、国民に隠し、情報を操作し、無かったことにする、最悪の政治姿勢です。年金制度の改革に踏み出すのか、「100年安心」と言って年金の給付水準を減らし続けるのかが、問われています。

〇「マクロ経済スライド」を廃止し、「減らない年金」にします

 年金を減らし続ける「マクロ経済スライド」を廃止し、減らない年金にすることが、安心できる年金への第一歩です。そのために三つの改革をすすめます。

――高額所得者優遇の保険料を見直し、1兆円規模で年金財政の収入を増やします。

 いまの年金保険料は、年収で約1000万円が上限で、それ以上の年収があっても保険料は増えません。2000万円の人も、1億円の人も、保険料は年額95万5000円で、収入に対する保険料負担率は、年収約1000万円までは9・15%(本人負担分)ですが、年収1億円だと0・95%になってしまいます。

 この上限額を、健康保険と同じ、年収で約2000万円まで引き上げれば1・6兆円の保険料収入が増えます。その際、アメリカで行われているように高額所得者の年金給付の伸びを抑制する仕組みにすれば、1兆円規模で財源を確保することができます。

――巨額の年金積立金を年金給付に活用します。

 年金積立金は、約200兆円もあり、給付費の4年間分にあたります。ドイツ、イギリス、フランスなどの年金積立金は給付費の数カ月分程度で、日本の"ためこみ"は異常です。ところが、安倍政権は2050年まで積立金を増やし続ける計画です。そして、この資金を"株価つり上げ"の道具として株式市場に投入しています。国民の財産である年金資金を、「アベノミクスの成果」を演出するために利用し、リスクにさらすなど言語道断です。さらに、政府の方針では、積立金を取り崩すのは2050年代から50年間かけてとされ、2100年まで積立金を温存しようとしています。

 積立金を計画的に取り崩し、高齢化のピークとされる2050年代をめどに計画的に活用していきます。

――賃上げと正社員化をすすめて、保険料収入と加入者を増やします。

 年金の支え手である現役労働者の賃上げと、非正規雇用の正社員化で、保険料収入と加入者を増やして年金財政を安定させることは、もっとも根本的な対策です。

〇低年金者の年金を底上げします

 政府は、消費税10%増税と引き換えに、低年金者に「最大月5000円、年間6万円」の「底上げ」を行うと言っていますが、月5000円をもらえるのは年金に40年加入して、すでに月6・5万円の年金を受けとっている人だけです。年金額が低い人ほど、「底上げ」も少額になる、こんな不合理なやり方では低年金の解決になりません。

――消費税とは別の財源を確保し、基礎年金満額(月6・5万円)以下の低収入の年金生活者に、一律、月5000円・年間6万円を現在の年金額に上乗せして給付します。

国保料(税)などの引き下げ、子どもと障害者の医療費負担軽減、生活保護切り捨ての中止などで、くらしを支えます

――公費1兆円の投入で国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。

 全国知事会なども、公費投入を増やして国保料(税)を引き下げることを主張しています。公費負担を1兆円増やし、「均等割」「平等割」をなくせば、所得250万円(給与換算380万円)の4人世帯の国保料(税)は、全国平均で35・4万円から20・2万円に、給与年収180万円(所得108万円)の単身者も、12・8万円から7・0万円に下げられます。

――国が、小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化する制度をつくり、その土台のうえに自治体の助成制度を加え、小・中・高校生への無料化を推進します。

――低所得者の介護保険料を3分の2の水準に軽減します。

――安倍政権が行った生活保護の削減を中止し、支給水準を回復します。

――障害者(児)福祉・医療の無料化をすすめます。

③お金の心配なく、学び、子育てができる社会を

 子育て、教育の負担軽減は、家計を応援するとともに、貧困から子どもを守り教育の機会を保障するなど子どもの権利を守るうえでも待ったなしの課題です。安倍政権は、「大学無償化」などと言いますが、学費値上げを抑えることもせず、授業料減免の対象は学生の1割程度で、その財源は消費税増税です。学費の値下げに踏み切るべきです。

――すべての学生を対象に、大学・短大・専門学校の授業料を、すみやかに半分に値下げし、段階的に無償化をはかります。

――給付奨学金は、政府案の低所得者を対象にした制度に加えて、月額3万円(年額36万円)の給付奨学金制度をつくり、全体で70万人(現利用者の半分程度)の学生が利用できるようにします。すべての奨学金を無利子にします。

――私立高校の負担の軽減をすすめ、高校教育の無償化をすすめます。

――学校給食の無償化をはじめ、義務教育で残されている教育費負担をなくし、憲法26条にそくして完全無償化をはかります。

――「幼児教育・保育の無償化」を消費税増税に頼らず実施します。認可保育所を30万人分増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消します。

「くらしに希望を―三つの提案」の概要

  財源規模 項目別の内訳  
1、8時間働けばふつうにくらせる社会を 1.7兆円 最低賃金引上げ(中小企業の社会保険料軽減) 0.7兆円
介護・保育労働者の月5万円の賃上げ 1兆円
2、くらし支える社会保障を 2.4兆円 国保料(税)の引下げ(「均等割」「平等割」廃止) 1兆円
就学前児童の医療費無料化 0.24兆円
低年金の底上げ 0.7兆円
低所得世帯の介護保険料の軽減 0.14兆円
削られた生活保護を元に戻す 0.26兆円
障害者福祉・医療の無料化 0.05兆円
3、お金の心配なく学び、子育てができる社会を 3.4兆円 大学・専門学校の授業料半減など 1.29兆円
70万人に給付奨学金を支給 0.42兆円
すべての奨学金の無利子化 0.04兆円
私立高校授業料の無償化など 0.1兆円
学校給食の無償化 0.45兆円
幼児教育・保育の無償化 0.78兆円
認可保育所の大幅増設(保育所運営費) 0.3兆円
合計 7.5兆円    

 (注)毎年必要となる経常経費のみを記載(このほかに保育所建設費などの投資的経費がある) 

消費税に頼らない財源確保の概要

  財源規模 項目別の内訳  
1、大企業優遇税制を是正し、中小企業並みの負担を求める 4.0兆円 研究開発減税の廃止 0.67兆円
「賃上げ減税」の振り替え(注) 0.38兆円
その他大企業向け特別措置の縮減 0.3兆円
受取配当益金不算入制度・外国子会社配当益金不算入制度の見直し 2兆円
連結納税制度の廃止 0.66兆円
2、富裕層優遇税制を是正する 3.1兆円 富裕層優遇の証券税制の見直し 1.2兆円
最高税率の引上げ・控除の見直し 1.9兆円
3、「思いやり」予算などの廃止 0.4兆円 米軍への「思いやり」予算など 0.22兆円
米軍再編経費(辺野古基地など) 0.17兆円
合計 7.5兆円    

 (注)賃上げ減税の財源は、最低賃金引上げのための中小企業の社会保険料軽減の財源に充てる。

 

7・5兆円の財政規模――「消費税に頼らない別の道」で財源を確保します

 「三つの提案」の財政規模は7・5兆円です。この財源は、大企業と富裕層に応分の負担を求めるなど、「消費税に頼らない別の道」で確保します。

――中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業は優遇税制があるため10%しか負担していません。大企業に中小企業並みの負担を求めれば4兆円の財源がつくれます。

――所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がります。富裕層に有利な証券税制の是正と最高税率の引き上げで3・1兆円の財源になります。

――米軍への「思いやり予算」や辺野古の新基地建設費など、国民の税金を使う必要のない予算を廃止して0・4兆円の財源をつくります。

 トランプ米大統領いいなりでF35を100機以上も購入する安倍政権の計画も大問題です。F35戦闘機1機116億円をやめただけで、保育所なら4000人分、特養ホームなら900人分、学校のエアコン設置なら4000教室が可能になります。

 消費税3%分に匹敵する経済効果......この「三つの提案」は、家計を直接応援するものばかりです。7・5兆円は、消費税3%減税に匹敵する規模です。そして、長時間労働の是正や正規雇用拡大、安心できる社会保障など、直接投入される7・5兆円を上回る経済効果があるうえに、中堅・低所得者に手厚い支援となります。

➡詳しくは、消費税増税の中止 くらしに希望を―三つの提案(2019年05月22日)ご覧ください。

2、「戦争する国」への歯止めなき暴走を止め、憲法を生かした平和外交を

(1)「安倍9条改憲サヨナラ」の審判を

 安倍首相は、憲法9条改悪に異常な執念を燃やし、自民党は「早期の憲法改正」を参議院選挙公約に掲げました。

 自民党の9条改憲案には、二つの大問題があります。

 第一は、戦力不保持と交戦権の否認を掲げた9条2項の後に、「前項の規定は、...自衛の措置をとることを妨げない」としたうえで自衛隊の保持を明記していることです。そうなれば2項の制約が自衛隊に及ばなくなります。2項は「立ち枯れ」「死文化」し、海外での無制限の武力行使が可能となってしまいます。

 第二は、憲法に明記する自衛隊の行動について、「法律で定める」としていることです。ここにも、ときの政府と多数党の一存で、これまで憲法との関係で「できない」とされてきた自衛隊の行動を無制限に拡大できる仕掛けが盛り込まれているのです。

――安倍9条改憲に反対し、断念に追い込みます。

(2)安保法制=戦争法の廃止、大軍拡から軍縮への転換を

 安倍政権が強行した憲法違反の安保法制=戦争法が施行され、「米軍防護」や日米共同訓練がエスカレートし、米国が起こす戦争に自衛隊が参戦する危険が現実に高まっています。トランプ米大統領は、安倍首相とともに海上自衛隊護衛艦で、「われわれ(日米両国)の軍隊は、世界中で一緒に訓練し、活動している」と演説しています。

 安倍政権は昨年末、新「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」を策定し、5年間で27兆4700億円もの軍事費を投入する大軍拡路線をすすめています。「いずも」型護衛艦にステルス戦闘機F35Bを搭載するための「空母化」や、長距離巡航ミサイルの導入などは、「専守防衛」の建前さえかなぐり捨てるものです。しかもこの大軍拡は、トランプ大統領いいなりにF35をはじめ米国製高額兵器を「爆買い」するものとなっています。

 総費用6000億円以上とされる「イージス・アショア」は、北朝鮮からハワイ、グアムなどに向かう弾道ミサイルを監視・迎撃する「米国防衛」のためのものです。しかも防衛省の調査報告書と住民説明で示した、データは誤りで、必要な津波対策も「不要」としていたことなどが明らかになりました。「配備ありき」で住民を無視した強引なやり方も言語道断です。

――自衛隊を海外で戦争させる安保法制を廃止します。

――F35などの米国製兵器の「爆買い」、「空母化」などの大軍拡をやめ、軍縮へ転換します。

――「イージス・アショア」の配備撤回を求めます。

(3)9条を生かした平和外交――「北東アジア平和協力構想」を推進します

 自民党は、参院選公約で「力強い外交・防衛で、国益を守る」としていますが、アメリカいいなりで自主性のない安倍外交は、「国益を守る」どころか、「八方ふさがり」に陥っています。いま求められるのは、地域と世界の平和に貢献する、憲法9条を生かした外交です。

 日本共産党は、「北東アジア平和協力構想」を提唱しています。その一番のかなめは、東南アジア諸国連合(ASEAN)が結んでいるTAC(友好協力条約)のような仕組みを北東アジアでもつくり、あらゆる紛争問題を平和的な話し合いで解決することを締約国に義務づけることにあります。対話と交渉によって、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築をめざす動きが起こっており、「北東アジア平和協力構想」は現実性と重要性を増しています。

――「北東アジア平和協力構想」を推進し、地域と世界の平和に貢献します。

北東アジア平和協力構想

(1)紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する。

(2)北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる。

(3)領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ。

(4)日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台になる。

(4)核兵器禁止条約に署名する政府に

 2017年7月、核保有大国の妨害をはねのけて、核兵器禁止条約が国連加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で採択されました。国内でも、ヒバクシャ国際署名が941万を超え、核兵器禁止条約の署名、批准を求める地方議会の決議は、全自治体の2割以上の394に達するなど、「核兵器のない世界」をめざす大きな流れが起きています。

 ところが日本政府は、唯一の戦争被爆国でありながら、条約の署名・批准に背を向けています。米国の未臨界核実験には抗議もしません。核兵器禁止条約の近い将来の発効が見通せる情勢となるなか、日本政府の姿勢が厳しく問われています。

――日本政府に核兵器禁止条約に署名することを強く求めます。

(5)日ロ領土問題...戦後処理の不公正をただす立場で外交交渉を

 安倍首相は、自らの任期中に日ロ領土問題に「終止符を打つ」と宣言しましたが、歴代自民党政権の方針さえ覆し、歯舞、色丹の返還による事実上の「2島決着」の立場で臨んだ交渉は完全に行き詰まっています。

 日ロ領土問題の混迷は、日本政府が、国際的道理に立った交渉をしてこなかったことが原因です。問題の根本には、米英ソが1945年の「ヤルタ協定」で、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじってソ連への「千島列島の引き渡し」を決め、それに拘束されて1951年のサンフランシスコ平和条約で「千島列島を放棄」してしまったことがあります。この戦後処理の不公正をただし、全千島の返還を正面から求める道理ある立場に立ってこそ、領土交渉の打開がはかれます。

――日ロ領土問題を、(1)中間的な友好条約の締結による歯舞・色丹の返還、(2)千島列島の返還を内容とする日ロ平和条約の締結、によって段階的に解決します。

3、原発ゼロの日本、再生可能エネルギーへの大転換を

 安倍政権の原発再稼働を推進し、原発にしがみつく政治は、いよいよ現実性を失い、未来がないことが明らかになってきました。

(1)無謀で合理性もない原発再稼働をやめ、原発ゼロの日本に

 福島切り捨て、避難計画抜きの無謀な再稼働を許さない......避難指示が解除された地域で、戻れた住民は25%、小中学生では10%にすぎません。除染が不十分で、生活環境も整っていないためです。それにもかかわらず、「避難指示の解除」を口実に、政府は住宅などの被害者支援を、東京電力は賠償を、次々と打ち切っています。原発再稼働をすすめるために「原発事故を終わったもの」とする福島切り捨ては許せません。原発再稼働は、まともな避難計画もないまま強行するという点でも無謀なものです。

 原発は、輸出も、「低コスト論」も破たんし、経済的「合理性」も消滅した......安倍政権が推進した原発輸出は、すべて失敗しました。福島原発の事故後、各国が安全基準を強化し、原発のコストが大きく膨んだ結果、ビジネスとして成り立たなくなったためです。

 「原発は安い」という「神話」も破たんしました。資源エネルギー庁は「世界では......太陽光発電・陸上風力発電ともに、1キロワット時あたり10円未満での事業実施が可能になっている」(2019年3月発表資料)としました。これは政府の甘い見積もりの原発発電コスト(1キロワット時あたり10・1円)より安いのです。

――原発の再稼働を中止し、すべての原発で廃炉のプロセスに入ります。

――野党が共同提出している「原発ゼロ基本法案」の成立をめざします。

――核燃料サイクル(プルトニウム循環方式)からただちに撤退します。再処理工場などの関連施設を廃止します。

――被災者支援は、すべての被災者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東電の責任で行わせます。

――東電まかせにせず、国の責任で、福島原発事故の収束に全力をあげること、徹底した情報公開を求めます。放射能汚染水の海洋放出に反対します。

――放射能測定体制の縮小・廃止をやめさせ、子どもたちをはじめ、福島県民の健康をまもるため、国が責任をもって長期の健康診断を実施することを求めます。

(2)地球環境のためにも脱炭素・再生可能エネルギーへの大胆な転換を

 世界は、再生可能エネルギー・脱炭素にかじを切っています。原発は巨大企業中心のシステムですが、再生可能エネルギーは地域に根差したエネルギーです。その担い手に中小企業・農林漁業者も参加し、循環型の地域経済の推進につなげることができます。

 国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、工業化以前よりも気温上昇を1・5度にとどめるために、2050年前後に温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを提起しています。しかし、安倍政権が閣議決定した「長期戦略」は、「2050年までに80%削減」という従来目標を変えていません。これでは世界第5位の温室効果ガス排出国である日本が「リーダーシップをとる」(安倍首相)などできません。

――2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを目標にします。

――そのために、2030年までに電力の4割を再生可能エネルギーでまかなうことを目標に、省エネ・節電の徹底と再生可能エネルギー大幅導入をすすめます。

――電力会社による再生エネルギー「買い取り拒否」や「受け入れ停止」をやめさせます。家庭や市民共同のとりくみに、適正な買い取り価格を保障します。

――自然・生活環境を破壊し、防災にも反する乱開発を規制し、事業の健全な成長をうながします。

――深刻な海洋汚染をもたらしている廃プラスチック問題の解決のために、日本政府として、国内でのプラスチック製品の製造削減とリサイクルの徹底を推進するとともに、国際的な協調した取り組みをすすめます。

4、異常な米軍基地の特権をただし、対等・平等・友好の日米関係をめざします

(1)民意を踏みにじる沖縄の米軍新基地建設を断念させます

 安倍政権が、県知事選挙や県民投票で明確に示された沖縄県民の意思を無視して、辺野古の埋め立て工事を続けていることは絶対に許されません。超軟弱地盤の問題はきわめて深刻で、政府はいまだに地盤改良・基地建設のための費用も期間も明示できません。地盤改良のための設計変更には、玉城知事の承認が必要ですが、知事は絶対に新基地を造らせないと明言しており、やみくもに土砂投入しても、新基地を造ることは絶対にできません。政治的にも、技術的にも、新基地建設強行は完全に行き詰まっています。

 沖縄の基地問題を解決する方法は明瞭です。安倍政権を倒すことです。本土と沖縄の連帯、市民と野党の共闘で、安倍政権を倒し、辺野古新基地断念、普天間基地閉鎖・撤去を掲げた「沖縄建白書」を実行する新しい政権をつくることです。

――沖縄県民の民意を無視した辺野古新基地建設を中止します。

――普天間基地の無条件撤去を求めます。

――基地のない平和で豊かな沖縄をつくります。

(2)米軍基地の異常をただし、日米地位協定を抜本改正します

 全国各地で米軍基地による被害が深刻になっています。沖縄に配備された米海兵隊のMV22オスプレイは、くりかえし本土に飛来し、傍若無人な飛行・訓練を続けています。米空軍のCV22オスプレイが横田基地(東京都)に配備され、超低空飛行を含む訓練を各地で実施しています。岩国基地(山口県)には、米海兵隊のF35B戦闘機が米国外で初めて配備され、空母艦載機が移駐され、東アジア最大の航空基地に変貌しました。爆音被害だけでなく、墜落事故など重大事故が相次いでいます。

 日米地位協定は、全国知事会も改定を求めるなど、国政の熱い焦点になっています。沖縄県が欧州を調査し、米軍に国内法が適用されない、米軍基地への立ち入り権がない、訓練・演習の規制ができない、航空機事故の際の捜索権を行使しないなどの日本の実態は、欧州諸国にはないことが明らかになりました。横田空域や岩国空域などのような外国軍が管理する広大な空域も、欧州諸国には存在しません。このような日米地位協定が、1960年の締結いらい一度も改正されていません。主権国家とは到底いえない異常なことです。

――危険なオスプレイは、沖縄からも本土からもただちに撤去することを求めます。

――住民の安全と暮らしに深刻な被害をもたらす低空飛行やNLP(夜間離着陸訓練)を中止させます。

――海兵隊の撤退、空母打撃群の母港を返上することを求めます。

――日米地位協定を抜本改正します。

(3)安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の日米関係を築きます

 米軍基地と沖縄県民をはじめ日本国民との矛盾点はすでに限界をこえました。憲法違反の集団的自衛権行使による「海外で戦争する国づくり」など、「日米同盟」の危険な侵略的変質は、日米安保条約と日本国憲法がいよいよ両立しなくなったことを浮き彫りにしています。

 こうした危険な従属構造をこのまま続けていいのか、日米安保条約の是非を正面から議論することをよびかけます。

――国民多数の合意で、日米安保条約をなくし、対等・平等の立場にたった日米友好条約を結び、本当の独立国といえる日本をつくります。

5、憲法を生かした政治に――生存権、子どもの権利、知る権利を保障します

(1)生存権を保障する社会保障へ

 「働く貧困層」「子どもの貧困」「下流老人」など、格差と貧困が深刻になり、社会保障の役割は、ますます重要になっています。憲法25条は、国民に生存権を保障し、国による社会保障増進の義務を定めています。憲法を生かす政治が求められています。

最低保障年金制度を確立し、頼れる年金にしていきます

 「三つの提案」の「減らない年金」と低年金の底上げを第一歩として、頼れる年金へと抜本的な改革をすすめます。

 日本の年金制度には、どんな人にも最低限の年金額を保障する仕組みがありません。先進国では日本だけで、国連からも最低保障年金の導入が勧告されています。

 全額国庫負担ですべての高齢者に月額5万円を保障し、その上に、払った保険料に応じた額を上乗せする年金制度に抜本的に改革します。これにより国民年金の満額は現在の月6万5千円から8万3千円に引きあがります。厚生年金の受給者も給付が低い人から平均程度の人まで底上げしていきます。財源は、5兆~6兆円規模になり、大企業や富裕層の優遇税制をただすだけでは確保できません。賃上げを実現しながら、所得税の累進強化など消費税に頼らない税制改革で確保します。

――最低保障年金制度の導入で、無年金・低年金問題を解決し、年金を底上げします。

誰もが安心して医療を受けられる制度にします

 「三つの提案」の国保料(税)の大幅引き下げ・子どもの医療費無料制度を実施したうえに、安心して医療を受けられる制度にしていきます。

――後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引き上げをやめ、差別制度を廃止します。

――医療費の窓口負担を現役世代は国保も健保も2割に、高齢者は1割に引き下げます。

――診療報酬の抜本的増額、医師・看護師の増員で「医療崩壊」を打開します。保険外負担・混合診療の拡大をやめ、保険診療を拡充します。

「介護難民」「介護離職」をなくし、安心できる介護制度に

――特養ホームなど介護施設を増設し、待機者を解消します。

――介護サービス取り上げをやめ、保険給付を拡充して、利用料の負担軽減をすすめます。

障害者福祉の充実、貧困の打開、差別解消をすすめます

――「障害のある人とない人との平等」をかかげる障害者権利条約と、憲法の規定にもとづき、障害福祉・医療の無料化と制度の拡充すすめます。

――障害者への差別や虐待のない社会に向けて力をつくします。

――生活保護法を「生活保障法」に改正し、国民の命と人権を守る制度として改善・強化します。「水際作戦」を根絶して、捕捉率の向上をはかります。

――雇用保険の拡充、失業者への生活援助、再就職支援をすすめます。

(2)子どもの権利を尊重して、教育と子どものための施策をすすめます

 子ども期は、成長・発達するための特別の時期です。その保障のため、国連の子どもの権利条約は、子どもの保護、社会保障や教育の給付、子どもの社会参加などの見地から多くの「子どもの権利」を定め、その保障を各国に求めています。しかし日本は、7人に1人という「子どもの貧困」や「ブラック校則」など、「子どもの権利」の後進国になっています。

 今年は日本が子どもの権利条約を批准して25年です。子どもの健やかに成長する権利が保障される社会をめざします。

過度な競争教育、「ブラック校則」など管理強化をただし、学校を「子どもの権利」が保障され、通うのが楽しい場に

 学校における過度の管理と競争は、個人の尊厳や多様性に反し、子どもの人権を脅かし、成長・発達への障害となり、不登校の要因にもなっています。

――学校・自治体間の不毛な競争をもたらし、教育荒廃の原因ともなっている全国学力テストを廃止します。

――下着の色や頭髪黒染め強要などの「ブラック校則」、学校の決まりを問答無用に強要する「ゼロトレランス(寛容ゼロ)」を、子どもの参加でなくします。

――不登校の子どもに、学校強制でない教育への権利や安心して休む権利などを保障し、そのための公的支援を拡充します。

――いじめや「指導死」、暴力から子どもの命を守ることを学校と教育行政の優先課題とし、訴えの無視や隠ぺいが繰り返されないような措置を、関係者の意見を踏まえすすめます。

――子どもに関わる施策に、子どもが自由に意見を述べ、おとなが誠実に受け止めることを重視します。

――「子どもの権利」を支えるべき教職員が多忙化で授業準備や子どもと向き合う時間がとれない状況を改善します。教職員をふやし、異常な長時間労働を是正します。国が押し付けてきた業務を減らし、専門職としての自律性を保障します。

子どもの生存と発達、最善の利益の立場で児童虐待をなくす施策をすすめます

――児童相談所がその役割を発揮できるように、専門職員の養成と相談員の増員、相談所の増設など抜本的に拡充します。

――被害を受けた子どもの心身の回復にあたる社会的養護の環境を改善・拡充します。

――民法の懲戒権を廃止し、体罰をなくします。

――親の更生や学びを支援するとともに、虐待の根本にある貧困と社会的孤立の解消に力を入れます。

障害のある子どもの教育の権利の保障を

――特別支援学校だけ学校設置基準がないという差別的扱いをやめ、深刻な教室不足と大規模化を早急に解消します。

――子どもの障害の重度・重複化や多様化に応じ、特別支援学校、小中学校の特別支援学級などの教員を増やします。

教育・家庭向け予算を抜本的に増やします

――OECD(経済協力開発機構)諸国で最低水準となっている教育や家族向けの予算を抜本的に増やし、少人数学級、保育園や学童保育の拡充、夜間中学増設、子どものための公的施設の拡充などをすすめます。

子どもの貧困をなくす取り組みをすすめます

――最低賃金の引き上げ、非正規雇用の正社員化、教育費負担軽減はじめ、格差と貧困をただし、"貧困の連鎖"を断ち切る経済政策をすすめます。

――生活保護や就学援助、児童扶養手当の拡充、ひとり親家庭への支援を強化します。

(3)民主主義と言論・報道の自由を守り、民意を正しく反映する選挙制度に改革します

 安倍政権は、特定秘密保護法、盗聴法、共謀罪など、基本的人権を踏みにじり、民主主義を破壊する憲法違反の悪法を次々と強行しました。言論・報道の自由も、官房長官記者会見で批判的な記者の質問を封殺するなど、重大な問題が起きています。「国境なき記者団」による「報道の自由度ランキング」で日本は67位、2010年の11位から大幅に後退しました。公文書改ざんや情報の隠ぺいなど、知る権利を乱暴に踏みにじっていることも深刻です。

――秘密保護法、盗聴法(通信傍受法)、共謀罪法を廃止します。

――公文書は原則公開とし、首相や大臣の面談記録などを保存するルールをつくります。

――投票した過半数の民意が切り捨てられる小選挙区制を廃止します。民意を正確に反映する比例代表中心の選挙制度に改革します。

――カネで政治をゆがめる企業・団体献金を禁止します。政党助成金を廃止します。

(4)憲法違反の天皇の政治利用に反対し、憲法原則から逸脱した「代替わり儀式」の見直しを求めます

 天皇の制度に対する日本共産党の根本姿勢は、国民主権の立場をつらぬこうというものです。戦前の日本は、天皇が絶対権力を握る体制で、戦争反対をかかげるためにも、この体制と真正面から対決することが必要であり、私たちの先輩は命がけで「天皇制打倒」を掲げてたたかいぬきました。しかし、戦後は、日本国憲法によって、天皇の制度は主権者である「国民の総意に基く」ものとされました。憲法は、国民主権が基本であり、天皇は「国政に関する権能を有しない」ことを大原則にしています。日本共産党は、この天皇の制度を含む日本国憲法の全条項を守ることを綱領で明確にしています。

 憲法に反して、天皇を政治的に利用することは、絶対にやってはならないことです。ところが安倍首相は、「令和の時代にふさわしい憲法づくり」などと公然と言い出し、憲法9条改悪に暴走しています。天皇が代替わりし、元号が変わったことと、憲法改定は何の関係もありません。最悪の政治利用です。

 日本共産党は、代替わりの儀式は、国民主権と政教分離という憲法の原則にのっとったものにすることを政府に求めてきました。しかし、安倍政権は、天皇の代替わりの儀式を、戦前の絶対主義的天皇制のもとでつくられ、現行憲法のもとで廃止・失効した旧皇室典範と登極令をそのまま踏襲した時代錯誤の儀式として強行しています。

――憲法違反の天皇の政治利用に反対します。

――憲法原則に反する代替わり儀式の抜本的な見直しを求めます。

6、日米FTA交渉の中止――食料主権、経済主権を尊重した平等互恵の経済関係を

 日本の食料自給率は38%まで低下し、先進国や1億人以上の人口を持つ国のなかでは最低レベルです。食料を輸入に頼って国内生産を縮小させることは、地球規模での食糧難が危惧されるもとで国際的にも許されません。

(1)国民をあざむき、秘密裏にすすめている日米FTA交渉の中止を

 安倍首相は、「FTA(自由貿易協定)交渉ではない」「TPP(環太平洋連携協定)より譲歩しない」ことが日米交渉の前提であるかのように国民に説明してきました。ところがトランプ大統領は、日米交渉がサービスや為替問題まで含む「FTA」であることを明言し、「米国はTPPには縛られない」と言い放つなど、安倍首相の「説明」をことごとくくつがえしました。そして、「8月によい発表ができるだろう」とのべ、参院選が終わるまで、交渉内容を国民に隠しておくシナリオがあることもわかりました。国民に隠さなければならないほど深刻な打撃となる日米交渉をすすめていることを事実上、認めたのです。

――日米FTA交渉をただちに中止することを求めます。

(2)食料主権・経済主権を尊重し合う互恵平等の経済関係の構築をめざします

 昨年発効したTPP11は、米国抜きでも国内農業・地域経済に重大な影響があります。安倍政権は、「TPP 断固反対」との総選挙公約を投げ捨て、「農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)は聖域」で譲歩しないという約束も反故(ほご)にし、農産物重要5品目を交渉から除外するよう求めた国会決議にも反して、TPPを強行しました。日欧EPA(経済連携協定)でも、乳製品やワイン、小麦粉調製品、木材でTPPを上回る譲歩をしました。これは「食料自給率を45%に引き上げる」という政府の閣議決定にも逆行しています。

――TPP協定から離脱し、食料主権・経済主権を尊重した貿易協定をすすめます。

7、中小企業と農林水産業の振興で地域経済に希望を

(1)日本経済の主役である中小企業に希望を

 日本企業全体の99・7%を占め、雇用の70%を担うなど、中小企業は日本経済の主役であり、地域経済の担い手です。

 その中小企業が大幅に減少しています。東京商工リサーチの調査では休廃業・解散と倒産した企業の合計は年間約5万5千社に達し、第2次安倍政権の発足以前から比べると27万5千社が減少しています(2012~16年)。現状を放置すると2025年ごろまでに累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDP(国内総生産)が失われる恐れがあります(中小企業庁)。

 「中小企業憲章」の理念に沿って、中小企業を日本経済の根幹に位置づけ、経営支援、人材の育成・確保、金融の円滑化、事業継承など、国の責任で中小企業とそこで働くみなさんが希望をもてる職場にします。

――消費税の10%への増税、負担と混乱をもたらす複数税率とインボイス制度の導入、ポイント還元の中止を求めます。

――著しく不利な条件を押しつけられてきた大企業との取引や、インターネット取引での中小企業の取引環境の大幅な改善を図ります。

――ゼロ金利政策で地方銀行などの経営が悪化しています。借り手に犠牲を押しつける貸し渋り・貸しはがしを止めさせ、地域金融機関の健全な金融仲介機能を守ります。

――コンビニ本部による「もうけ本位」の"搾取システム"を改め、24時間営業の見直し、ドミナント出店の規制など、コンビニオーナーの営業と健康を守ります。

(2)安心して農林水産業にとりくめる日本を

 安倍政権のもとで農家は150・4万戸から116・4万戸に、農業従事者は177・8万人から145・1万人に、いずれも2割以上も減りました。日本農業新聞のモニター調査では、安倍政権の農政を「評価しない」という回答が約7割にのぼっています。日本共産党は、農産品の輸入自由化や規模拡大・効率化一辺倒の安倍政権と対決し、食料自給率50%(2017年38%)をめざして価格保障と所得補償を充実させるなど、農林水産業をだれもが希望をもって働ける産業に転換します。

――食料自給率の回復を国づくりの中心に位置づけ、食料生産の担い手の確保・育成に国が責任をもって取り組みます。

――国連の「家族農業の10年」を推進し、安心して再生産できる農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化します。

――家族農業を切りすて、農協をつぶす「農業改革」に反対し、日本の農業の97・6%を占める家族農業とその共同組織を支えます。大規模経営、農業生産法人など地域農業を支えている多様な担い手を支援します。

――公共建築への国産材利用促進や森林のもつ多面的機能を発揮させるために再造林を支援するなど、林業振興策をすすめます。

――沿岸漁業の振興に力を注ぎ、小規模漁業者と漁協等の漁業権を保障します。魚価安定対策の強化や漁業者を主体にした資源管理などで、漁業経営を支えます。クロマグロ、スルメイカ漁にかかわって沿岸漁業を破壊する動きをただします。

8、災害から国民のいのちとくらしを守ります

 地震、土砂災害、暴風雨など、災害の被害と不安が増大しています。学校、病院、橋梁、公共住宅など公共施設の老朽化も深刻です。災害に備え、被害を抑え、国民の安全と安心を保障することは、日本の政治の大きな責任です。

(1)被災者の生活と生業の再建を支援します

――被災者生活再建支援法の支援金を300万円から500万円に引き上げるとともに、対象を半壊などに広げます。

――中小商工業者の事業の再建支援は、金融だけでなく、事業用施設・設備などに対する直接支援を抜本的に強化します。農畜産業、漁業、林業では、農地の補修、畜舎、漁港の再建をはじめ、壊された施設・設備の再建・改修の支援を強化します。

――被災者の自立に大きな障害となっている既存ローンの負担を軽減します。

――被災住宅の被害判定は、浸水被害、液状化などの宅地被害にも対応し、失われた住宅としての機能を反映した判定基準にします。

(2)災害に強い社会、防災・減災のまちづくりをすすめます

――がけ崩れや堤防決壊、液状化被害などの危険箇所の点検と対策をすすめます。

――防災を無視した乱開発をやめ、必要な防災施設の整備など災害に強いまちづくりをすすめます。

――観測体制の整備をすすめ、消防や住民を中心にした地域の防災体制を強化します。

(3)公共事業を大型開発から、防災とくらし最優先に切り替えます

――大型開発・新規事業優先から、防災と老朽化対策、生活密着・地域循環型重視の公共事業に重点を移します。

――東京外かく環状道路など三大都市圏環状道路、リニア中央新幹線、北海道新幹線・北陸新幹線や九州新幹線の延伸、国際コンテナ戦略港湾など新規大型開発事業をやめさせます。

――カジノ誘致のためのIR(統合型リゾート)やMICE(会議場・展示場)計画を中止させます。

――自動車優先から歩行者優先の道路へ。人と環境にやさしい道路をつくります。

9、差別や分断をなくし、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会に

(1)ジェンダー平等社会を推進します

 男女平等のレベルを示すジェンダーギャップ指数で日本は149カ国中110位です。政治・経済の分野での大きな男女格差の是正をすすめます。

――男女雇用機会均等法など労働法に「間接差別」禁止や「同一価値労働同一賃金」を明記する抜本的改正を行い、男女賃金格差を是正します。

――育児や介護など家族的責任を男女ともに担える「働き方改革」と、"育児や介護は女性の仕事"という性別役割分担の「意識改革」をすすめます。

――男女同数をめざして女性議員を増やし、あらゆる分野の政策・意思決定への女性登用の促進を図ります。

――選択的夫婦別姓を実現する民法改正を行い、民法・戸籍法に残る差別的条項をなくします。

(2)性暴力やDVを許さない社会をつくります

 国連は、セクハラ、性暴力、DV等を「女性に対する暴力」と規定し、女性差別撤廃のために対策を抜本的に強化すべきだとしていますが、日本はこれらの法整備と被害者への支援体制がきわめて不十分です。

――性暴力被害者の6割が誰にも相談せず、苦しみを一人で抱えています。被害者がいつでも相談でき、心身のケア、証拠保全、包括的な支援を受けられるワンストップ支援センターを抜本的に充実させます。野党共同提出の「性暴力被害者支援法案」の成立をめざします。

――強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」の撤廃と同意要件の新設をはじめ、性暴力の根絶につながる刑法改正を行います。

――JKビジネス、AV出演強要などの性被害から子ども・若者を守るために、子どもや女性の性を商品化するビジネスの法規制と相談・啓発の体制を強化します。

――DV被害者の保護、自立支援を充実させます。加害者の更生対策をすすめます。

(3)ハラスメントに苦しむ人をなくします

 セクハラ、パワハラ、マタハラなどのハラスメントは、個人の尊厳・人格を傷つけ、多くの被害者が、事後の適切な対応はおろか謝罪さえ受けることなく、心身に不調をきたしたり、休職・退職に追い込まれたりしています。

――セクシュアルハラスメントを禁止する法規定がない国は、OECD加盟36カ国中、日本を含む3カ国のみです。法律にハラスメントの禁止規定を設けます。

――加害者の範囲には顧客、取引先、患者など第三者を含め、被害者の範囲には就活生やフリーランスを含めます。被害認定と被害者救済のために労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関を設置します。

――学校やスポーツ団体、大学・研究所など、社会のあらゆる分野でハラスメントをなくすために、国が実態調査を行い、それぞれの分野に対応した相談・支援体制をつくります。

(4)LGBT/SOGI(性的指向・性自認)に関する差別のない社会をつくります

 多様な性のあり方を認めあう社会ほど、社会のすべての構成員が個人の尊厳を大事にされ、暮らしやすい社会になります。

――同性婚を認める民法改正を行います。

――同性パートナーシップ条例・制度を推進します。

――野党共同提出の「LGBT差別解消法案」の成立に力をつくします。

――性別適合手術のホルモン療法への保険適用の拡充、学校教育や企業内研修、当事者である子ども・若者のケアなど、社会のあらゆる場面で権利保障と理解促進をすすめます。

(5)在日外国人の権利を守り、ヘイトスピーチを根絶します

 国籍や民族の違いを理由に、人権が制約されたり、差別されたりすることがあってはなりません。多様性を認めあいながら共生する社会をつくります。

――制度本来の目的からかけはなれ、人権侵害の温床となっている技能実習生制度は廃止します。外国人労働者を雇用の調整弁にする改定入管法を抜本改正します。

――外国人の人権、労働者としての権利を守る体制を早急に確立します。

――ヘイトスピーチ解消法(2016年成立)も力に、ヘイトスピーチを社会から根絶していく取り組みをすすめます。

(6)先住民族としてのアイヌの権利を守ります

 今年4月に、アイヌを「先住民族」と規定したアイヌ新法が成立しました。同法では、「民族の誇りを持って生活できる環境整備」や、差別や権利利益の侵害の禁止を明記していますが、生活の実態は深刻であり、貧困の連鎖も、差別も解消されていません。

――新法も力に、アイヌ民族の生活向上と権利保障をすすめます。

――同化政策をはじめ民族の権利を侵害してきたことに対して、国としての謝罪と国民への周知が必要です。

➡詳しくは、個人の尊厳とジェンダー平等のために――差別や分断をなくし、誰もが自分らしく生きられる社会へ(2019年06月05日)をご覧ください。

「財界中心」「アメリカいいなり」という自民党政治の二つのゆがみをただす立場の日本共産党が伸びてこそ、国民の願い実現の展望が開けます

 野党の13項目の共通政策や国民の願いを実現しようとすると、どうしても安倍政治の根っこにある「財界中心」「アメリカいいなり」という二つのゆがみにぶつかります。

 「くらしに希望を――三つの提案」の個々の政策内容は、政治的立場の違いをこえたみんなの共通の願いです。同時に、それを実行しようとすれば、財源の問題にぶつかります。そのときに消費税頼みの財源論では、いくら良い政策であっても台無しになってしまいます。「消費税に頼らない別の道」でこそ、暮らしをよくする道が開かれます。この道を推進しようとすれば、財界に正面からモノがいえる日本共産党が伸びることがどうしても必要ではないでしょうか。

 沖縄の新基地建設反対、日米地位協定の改正なども、政治的立場の違いをこえた共通の要求です。私たちは、日本政府に、その実現をめざして対米交渉を行うことを強く求めます。同時に、これらの課題は、日米合意がないとすすみません。米国が「ノー」といってきたらどうするか。日本国民には安保条約廃棄という「伝家の宝刀」があります。安保条約の廃棄は、条約10条にもとづく通告で実現します。日本国民の意見がまとまれば安保条約は廃棄することができるのです。本当の独立国・日本をつくることを大方針としている日本共産党が伸びることが、平和と主権のためにも必要ではないでしょうか。

 日本共産党は、綱領で「財界中心」「アメリカいいなり」の政治を大本から変え、「国民が主人公」の政治を実現することを、日本改革の大方針にしています。この日本共産党を大きく伸ばすことこそ、政治を変え、国民の切実な願いを実現する一番の道です。

 

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