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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

55、核兵器

――核兵器廃絶、禁止条約交渉開始、被爆者への国家補償、核密約問題

2016年6月


「核兵器のない世界」と「非核の日本」実現のため力をつくします

  「核兵器のない世界」の実現は、被爆者をはじめ日本国民の切実な願いであり、日本共産党は被爆国の政党として、核兵器全面禁止・廃絶のために力を尽くします。

オバマ大統領の広島訪問について

 オバマ大統領が五月二七日、アメリカの大統領としてはじめて被爆地・広島を訪問しました。これは、「米大統領に、被爆の実相をじかに知ってほしい」という被爆者の願いにこたえる行動であり、重要な前向きの一歩です。これを、「核兵器のない世界」の実現へとつなげるためには、アメリカ政府が、核兵器禁止条約の国際交渉開始に背を向けてきた、これまでの態度をあらためることが必要です。

 アメリカをはじめすべての核保有国が、「核抑止力」論への固執をあらため、核兵器を禁止し、廃絶する条約の交渉開始など、拘束力と実効力のある措置にふみだすこと、「核兵器のない世界」の実現にとって必要です。

 一方、日本政府の姿勢も、きびしく問われています。国際政治の舞台では、核兵器禁止条約に反対するなど態度をとっており、被爆国にあるまじきこの姿勢をあらためることが、強く求められています。

今日の核兵器の脅威

 世界には現在、約一万五千発の核弾頭が存在しているといわれます(二〇一六年三月現在、全米科学者連合)。そのごく一部(一〇〇発程度)が都市で爆発しただけでも、舞い上がった粉塵によって、地球全体の気候に変動がおき、二〇億が飢餓にひんすると予想する研究結果もあります(核戦争防止国際医師会議「核の飢饉」、二〇一三年)。

 米ロは「核抑止力」論にたって、いざとなれば核兵器を実際に使用する方針をとっており、核兵器を使用する訓練もおこなっています。両国で約一八〇〇発の核兵器が高度な警戒態勢にあり、何か異変があればすぐにでも発射できる状態になっているといわれます。些細なミスで、核ミサイルを打ち合いかねない危険な状態にあります。また、核兵器がテロ組織などの手にわたる危険もあります。

 こうした核兵器の現状もふまえて、十六人のノーベル賞受賞者を含む科学者の分析によれば、人類死滅の危険は、米ソ対立時代の一九八三年以来、最悪の状態だとされています(「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」誌、二〇一六年の「終末時計」は二〇一五年につづいて「終末」三分前とした)

 核兵器の脅威は現実のものであり、その禁止と廃絶は、人類の生存がかかった緊急の課題です。

核兵器禁止条約の交渉開始をめざします

 「核兵器のない世界」を実現するうえで、焦点となっているのは、核兵器禁止条約=核兵器を禁止し、廃絶する条約です。その交渉開始を大多数の非核保有国が強く求めています。

 国連総会では一九九六年以来、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議(マレーシア提案)が提案され、昨年の第七十回国連総会では加盟国の七割をこえる多数の賛成で採択されています。二〇一三年からは非同盟諸国によって、核兵器を禁止、廃絶するための「包括的な条約」の交渉を緊急に開始することを求める決議も提案、採択されています。

 二〇一六年の二月からは、スイスのジュネーブで「核兵器のない世界」を実現するための「法的措置」を議論する作業部会がひらかれています。これは二〇一五年の国連総会決議で、設置が決められたものです。約七十カ国が参加して、核兵器を禁止・廃絶する条約を本格的に議論する、画期的な会議となっています。二〇一七年に「核兵器のない世界」のための法的措置を交渉する会議を開催するという提案もされています。今年(二〇一六年)の八月には国連総会にまとめの報告が提出される予定です。

 また、ここ数年、核兵器の非人道性を告発し、その使用禁止と廃絶を求める流れが大きく発展していることも重要です。二〇一五年五月の核不拡散条約(NPT)再検討会議(ニューヨーク)では、国連加盟国の八割をこえる一五九カ国が連名で「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」を発表し、「いかなる状況の下でも決して再び(核兵器が)使われないことが人類の生存にとって利益」であるとし、それを「保証する唯一の道は、その全面廃絶である」と訴えました。これが、核兵器禁止条約を求める声とあいまって、「核兵器のない世界」への力強い流れを生み出しています。

 しかし、米ロ英仏中の核保有五大国は、核兵器で他国を威嚇する「核抑止力」論にしがみつき、「段階的アプローチ(=段階的に、部分的措置を積み上げて廃絶をめざすというもの)こそが、核軍備撤廃へ前進する唯一の現実的な選択肢」だと主張し、直ちに核兵器の禁止・廃絶に踏み出すことに反対しています。しかし、これは、自分たちの核戦力を維持することをねらったもので、核兵器廃絶を永遠に先送りするものに他なりません。

  「核兵器のない世界」への展望をきりひらくためには、「核抑止力」論をのりこえ、核保有国に「段階的アプローチ」ではなく、核兵器禁止条約の交渉開始へと舵をきらせることが必要です。その決定な力が国際的な世論と運動の発展です。

 いま全国で、内外の被爆者が訴える「核兵器廃絶国際署名」運動がひろがりつつあります。「すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶこと」を求めるこの署名を、内外で発展させならば、それは国連や諸国政府の努力とあいまって、「段階的アプローチ」にしがみつく核保有国などの抵抗をのりこえる重要な力となるでしょう。日本共産党は、「核兵器禁止条約の交渉開始」が国際社会の合意となるよう、世界と日本の反核運動と連帯し、力を尽くします。

日本政府は被爆国にふさわしい外交を

 被爆国として、「核兵器のない世界」をめざす先頭にたつべき日本が、世界の流れに逆行する態度をとっていることは重大です。

<核保有国の代弁者という恥ずべき姿勢を改める>

 日本政府は、先にのべた核兵器禁止条約の交渉を求める国連総会決議には、これが最初に提案された一九九六年から昨年まで、二〇年間連続して棄権を続けています。

 また、前述のジュネーブでの作業部会でも、日本政府は「段階的アプローチが唯一の現実的だ」と主張して、核兵器禁止条約に反対するなど、大勢に逆行する孤立した態度をとっています。核保有国がこの会議をボイコットしているもとで、日本はまさに「核保有国の代弁者」の役割をはたしています。この姿勢を根本的にあらためることが強く求められています。

 日本共産党は、核兵器の非人道性を訴え、核兵器を禁止・廃絶する条約の交渉開始を求める世界の流れの先頭にたつなど、被爆国の政府にふさわしい行動をとることを強く求めます。

<「核の傘」から脱却、日米密約の破棄で、非核の日本を>

 日本政府の態度の根本には、日米軍事同盟のもとで、米国の「核の傘」=「核抑止力」に頼る方針があります。安倍政権は、十年間の軍事方針である「国家安全保障戦略」(二〇一三年十二月)で、「核抑止力を中心とする米国の拡大抑止(=「核の傘」)は不可欠」と明記しました。戦争法(安保法制)の土台ともなった「日米軍事協力の指針」(ガイドライン)は、「米国は、引き続き、その核戦力を含む(中略)拡大抑止を提供する」としています。

 しかも、重大なことは、日本政府はアメリカとの間で、日本に寄港・飛来する米艦船・航空機の核兵器搭載については、「条約上の権利」として認める秘密の取り決めをしていることです(「日米核密約」)。二〇〇〇年の国会審議で、日本共産党の不破哲三委員長(当時)は、一九六〇年の日米安保改定時に結ばれた「討論記録」という決定的な事実を示し、その存在を明らかにしました。

 また、沖縄に配備した核兵器を本土返還までに撤去する一方、「重大な緊急事態」には再持ち込みの権利をアメリカに認めた密約が存在します(「日米共同声明に関する合意議事録」一九六九年)。 昨年明らかになった米国防総省の文書は「危機の際に核兵器を(沖縄に)再持ち込みする権利」がいまも有効であることを示しています。この密約が、核兵器を再び持ち込む基地として、嘉手納、那覇などとともに、辺野古をあげ、「いつでも使用できる状態に維持」するとしていることも重大です。

 外務省の「有識者委員会」報告書(二〇一〇年)では密約の有効性を否定し、これを破棄していません。アメリカが必要と判断すれば、核兵器が持ち込まれ、核戦争の足場とされる危険があります。被爆国を先制核攻撃の拠点にすることは許されません。

 日本は「核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず」の「非核三原則」を国是としてきました(一九六七年十二月の佐藤栄作首相〔当時〕の国会答弁、一九七二年十月九日の閣議決議など)。日本共産党は、「核抑止力」=「核の傘」の鎖を断ち切ること、「日米核密約」を廃棄して、「非核三原則」を厳守・法制化するなど、名実ともに「非核の日本」に進む実効ある措置をとることを強く求め、その実現のために全力をあげます。

<核兵器合憲論を許さず>

 憲法破壊の戦争法を強行した安倍政権は、核兵器についても、その使用を合憲とする危険な立場をあらわにしています。安倍内閣は「核兵器であっても、仮にそのような(自衛のために必要最小)限度にとどまるものがあるとすれば、必ずしも憲法の禁止するところではない」とする「答弁書」を発表しました(四月一日、閣議決定)。

 現在、小型といわれる核兵器ですら、広島型原爆の数倍もの威力です。広島・長崎の被爆を考えれば、「自衛のための必要最小限度」の核兵器などあり得ません。非人道的な大量殺りく兵器である核兵器が、憲法の平和原則に反する、憲法違反の兵器であることは明白です。

原爆被害への国家補償と被爆者施策の抜本的改善をすすめます

 広島と長崎の被爆者は、原爆投下の直接の被害だけでなく、放射線の影響をはじめとする様々な病や健康の不安、さらには社会的な差別や経済的な困難などをかかえてきました。戦争責任を負う国は、被爆者にたいし補償をおこなうのが当然です。ところが国は、戦争の犠牲はすべての国民が等しく耐え忍ばねばならないという「戦争被害受忍論」にたって、国としての補償をせず、被爆者援護も不十分なものにとどまっています。

 今年結成六十年をむかえる日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)をはじめ、被爆者は核兵器廃絶とともに、原爆被害への国家補償をもとめて、長年たたかいつづけてきました。二〇万人近い被爆者(被爆者健康手帳保持者)の平均年齢は八十歳をこえています。政府は一刻も早くこの願いにこたえて、被爆者施策の抜本的改善、原爆被害への国家補償に踏み切るべきです。

 政府は原爆被害を過小評価し、原爆症に認定される被爆者はきわめて限定され、被爆者援護は不十分なものにとどまっています。そのため被爆者は二〇〇三年から原爆症認定集団訴訟をたたかい、国の制度が被害の実態にあっていないことを司法の場で明らかにし、原爆症の認定基準を改善させてきました。

 しかし、その改善で認定者数は増えたとはいえ、いまだ被爆者手帳保持者の四%程度にすぎません。それは厚生労働省が依然として残留放射線の影響を軽視するなど、集団訴訟の判決をふまえた認定をしていないからです。これを是正させるために、二〇一二年からは新たな訴訟もたたかわれています。

 被爆者のたたかいによって、厚労省は、被爆者代表も参加した原爆症認定制度の「あり方検討会」を行い、新たな認定基準も定めました。しかし、被爆者の要求にもかかわらず、認定の拡大は、小幅にとどまり、司法の判断との隔たりは解消されないままです。

 被爆者団体は、被爆の実態にふさわしく、狭い「認定基準」による「足きり」をやめ、全ての被爆者に一定の手当てを支給したうえで、障害の度合いに応じて加算する、という抜本的で、合理的な提言を出しています。

 日本共産党は、被爆者の要求を支持し、原爆症認定制度を、現行法の改正を含め、被爆者の実情・要求にそったものとするために尽力します。被爆二世対策、また海外に住む被爆者が日本に住む被爆者と同等の援護措置を受けられること、被爆実態に見合った被爆者手帳交付条件の見直し(被爆地域の拡大)を進めます。原爆投下後に放射性物質を含む「黒い雨」が降り注いだ、援護の対象となる降雨指定地域の拡大を国に求めます。

 政府は原爆被害に正面から向き合い、国家補償を実現する政策の根本転換をはかるべきです。原爆被害・戦争被害の「受忍」を強いる政策をとり続けることは許されません。

 

 

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