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日本共産党

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赤旗

2014年 総選挙各分野政策

11、農林漁業 

農林漁業の再生を国づくりの柱にすえ、国民の食料と豊かな環境を守り、持続可能な社会をめざします

2014年11月  


 国民の命を支える農林漁業と農山漁村は、崩壊の危機が広がっています。基幹的農業従事者の45%以上が70代以上を占めるなど極端な高齢化が進み、食料自給率は先進国で最低水準のままであり、国土の荒廃も広がっています。 今日の危機的事態は、大企業製品の輸出を最優先し、食料は輸入すればいいという、歴代自民党政権がすすめてきたアメリカ・財界いいなり政治に根本原因があります。

安倍政権も、農業・地方の疲弊に「農業所得の倍増」というスローガンを掲げていますが、TPPの受け入れを前提に、圧倒的多数の農家を切り捨て、一部の経営に支援を集中するものです。家族経営とその共同を中心にした農政の基本を破壊する暴走です。「攻めの農林水産業」も、アジアとくに中国をあてにして輸出の拡大を図るもので、日本の農林水産業全体の底上げにはなりません。TPPが発効されれば、「6次産業化」も成り立ちません。

ことしの生産者米価大暴落は、米の再生産を危うくし、地域経済にも深刻な打撃を与えていますが、安倍内閣は、価格も需給も市場任せにする政策に固執しています。また、日豪EPA(経済連携協定)では、国会決議を踏みにじって畜産物の大幅な関税引き下げを受け入れました。TPP交渉では、妥結に前のめり姿勢を続け、密室協議で関税撤廃をもとめるアメリカの要求に大幅な譲歩を続けています。「農業改革」では、農業・農地を営利企業に開放し、農地法、農業委員会、農協の解体をたくらむなど、農業つぶし政策をいっそう露骨に推進しようとています。

こんな政治を続けては、農漁業の崩壊が一気にすすみ、地方は衰退し、食料自給の基盤を失った国になりかねません。そのことは、日本社会の持続可能性を根本から脅かす重大な問題です。

 21世紀の世界は、「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」時代ではなくなっています。世界に貧困と格差を広げ、経済危機も深刻化させた自由貿易・市場原理一辺倒の政治も、転換が求められています。地球環境の保全も人類の死活的な課題となり、各国の国土や自然条件を生かした循環型の社会への転換が求められています。   国連は、2014年を国際家族農業年に設定し、食料問題の解決と地域社会の安定に不可欠として家族農業の振興を世界に呼びかけました。 家族経営とその共同を担い手として、農漁業を再生し、食料自給率を回復することは、国民の生存の根本にかかわるまったなしの課題です。人類社会の持続的な発展にたいする日本の責任でもあります。こうした方向での農山漁村の再生は、輸出偏重で内需が冷え込み、脆弱な体質にされてきた日本経済を内需主導、持続可能な方向へ転換するうえでも不可欠です。

 わが国には、温暖多雨な自然条件、すぐれた農業技術の蓄積、世界有数の経済力、安全・安心を求める消費者のニーズなど、農漁業を多面的に発展させる条件は十分にあります。必要なのは、そうした条件を全面的に生かす政治への根本的転換です。

 日本共産党は、農林漁業つぶしの根本=アメリカ・財界いいなり政治を大もとから転換し、農林漁業の本格的な再建、食料自給率を早期に50%台に引き上げることを国づくりの柱に位置づけ、あらゆる手立てをつくします。農業再生の総合政策については2008年3月に発表した「日本共産党の農業再生プラン」をはじめ、漁業や林業の再建についても、国政選挙政策で具体的な政策を打ち出してきました。それらを踏まえながら、今日の情勢に即した農林漁業や農山漁村の再生の政策を提案します。

 

市場まかせの米政策を転換し、国の責任で米価の暴落をおさえ、生産と価格の安定をはかる

 2014年産生産者米価の大暴落は、米の再生産を危うくし、地域経済にも深刻な打撃を与えています。安倍内閣が、米の需給安定にたいする国の責任を放棄し、市場任せにしていることに大きな原因があります。

緊急な生産者米価の暴落対策を実施する――緊急に政府の責任で過剰米を買い上げ、半額に減らした米直接支払いの10a15000円の復活、全生産者を対象にした価格補てんを行います。

米価に「不足払い」制度を導入する――生産者米価が下がり続け、米作農家の多くが家族労働費どころか経営費もまかなえない状態が続いています。この事態を根本から改善し、基幹作物である米作経営を安定させることは農業再生の出発点です。

 米価に過去3年の生産コストの平均を基準として販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」を創設します。あわせて水田のもつ国土・環境保全の役割を評価し、すべての生産調整参加者に10アール15,000円の直接支払いを実施します。

米の需給や流通の安定に政府が責任をはたす――国民の主食である米の価格や流通を全面的に市場にまかせた結果、近年、米価の乱高下とともに米流通に混乱がおきています。米の需給と価格の安定に政府が責任を持ち、豊作や消費減などで余剰米が発生した場合には政府買い入れを増やすことで需給調整をはかります。備蓄米100万㌧以上を確保し、非常事態にたいする備えと同時に、需給安定にも役立てます。輸入米の主食用への流入を抑え、加工用も、国産米で対応するようにします。

 大手流通企業による買いたたき、産地・品種・品質の偽装表示など無秩序な流通を規制するルールを確立します。年間を通じて計画的に集出荷・販売する業者・団体にたいして金利・倉庫料など必要な助成をおこないます。

主食用米以外の増産に力を入れる――米の生産調整は、水田における麦・大豆・飼料作物などの増産と一体で取り組みます。そのために、転作作物の条件を思い切って有利にし、増産できる条件を整えることを優先します。当面、麦・大豆・飼料作物などの助成金を10アールあたり平均で5万円(現行3万5千円)に増額し、地域農業の実態をふまえて配分できるようにします。米粉・飼料用米には、10アール平均8万円の助成、原料として受け入れる地場の加工企業などへの支援を強め、増産に見合って輸入を抑制するなど、安定した販路・需要先を確保します。

 

TPP交渉参加の撤回を強く求め、食料主権を回復する

 いま、わが国の農林漁業の存続を根底から脅かしているのは、例外なき「関税ゼロ」を原則とするTPPへの参加問題です。安倍首相は、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として、交渉参加を強行しました。

交渉は秘密裏にすすめられていますが、あきらかになっているだけでも日本にたいする関税撤廃の要求はつよく、安倍内閣は、国会決議の農産5品目の「聖域」扱いも、関税引き下げとセーフガード(緊急輸入制限)の組み合わせなどによる大幅譲歩が伝えられています。臨時国会で承認した日豪EPAでは、米は例外とされたものの畜産・酪農品では、関税の大幅な引き下げを認めています。しかも政府は影響試算さえ拒んでおり、国内生産に責任をもたない態度に終始しています。

政府・自民党は「攻めの農林水産業」「農業・農村の所得倍増」などを宣伝しますが、農産物を完全自由化しては、農家の所得倍増も農業の維持・再生もありえません。農林水産物の関税が全廃されれば、政府の不十分な試算でも、農林水産業の生産額は3兆円が減少し、米の生産は32%、小麦・サトウキビ・デンプンは壊滅、牛乳乳製品は45%、牛肉・豚肉は約7割が減少します。食料自給率は27%まで低下します。TPP交渉からの即時脱退を求める大学教員の会の作業チームによる試算では、関連産業や地域経済を含めた減少額は10,5兆円、就業者数の減少は190万人にのぼります。TPP参加が農林漁業に壊滅的な打撃を与えるのはあきらかです。

TPP交渉参加の撤回を求める――TPPは、農林漁業だけでなく医療や雇用、食の安全を脅かし、経済主権も奪う、国民にとって「百害あって一利なし」です。TPP反対の国民的共同と力を合わせ、交渉参加を撤回させるために力をつくします。

各国の食料主権を尊重する貿易ルールを確立する――自由化一辺倒のWTO体制のもとで、世界各国の農業が荒廃し、環境や食の安全も脅かされ、貧困と格差が拡大するなどの矛盾が広がりました。21世紀の世界に必要なのは、各国の国土資源を最大限に生かした食料の増産であり、それを可能にする貿易ルールです。各国が自国民のための食料生産を最優先し、関税など国境措置の維持強化、価格保障などの農業政策を自主的に決定する権利=「食料主権」を保障する貿易ルールの確立をめざします。

農業に打撃を与えるFTA・EPAに反対する――「成長戦略」の名で輸出や投資の拡大を最優先し、農産物を含めた輸入自由化を推進するFTAやEPAが、農業衰退に拍車をかけることは避けられません。締結した日豪EPAについては、国内への影響を検証し、悪影響が現れた場合には、輸入規制、価格補てんなど機敏な対策をとります。その他の二国間・多国間の貿易や経済連携にあたっても、各国の多様な農業の共存、食料主権を尊重するルールをめざします。

ミニマム・アクセスを廃止する――世界で米が不足している時に、輸入の必要のないわが国に77万トンもの米輸入を強要するミニマム・アクセス制度はきっぱり廃止を求めます。ミニマム・アクセスは、WTO協定上は最低輸入機会の提供にすぎず、全量輸入は義務ではありません。当面、「義務」輸入は中止します。

 

東日本大震災・原発放射能災害からの復興を急ぐ

 東日本大震災と原発・放射能災害は農林漁業と地域社会に甚大な被害をもたらしました。そこからの復旧と復興は、被災者の暮らしや地域経済の回復の柱であり、わが国の農林水産業の再生にむけても欠かせない一歩です。しかし、住宅とともに、農林水産業の復旧も遅々としています。政府の復興対策が従来の枠組みにとらわれ、被害の甚大さにあっていないことに加え、安倍内閣が景気対策ですすめる大型公共事業のばらまきが人手不足や資材高騰を加速させ、農地の復旧や漁港整備、住宅再建をおくらせる要因となっています。「創造的復興」の名のもとに企業のもうけを優先する「復興」計画も、被災者の住まいや生業の再建を遅らせてきました。消費税増税も復興に水をかけました。

 原発・放射能災害では、農地や森林、海が汚染され、住民がふるさとを追われ、農林漁業の再生どころかスタートにもつけない地域が広範囲に残されています。

選別・排除をやめ、経営再開を望むすべての農家を支援する――復興支援の対象を大規模経営や共同事業に限定する政府方針では多くの農家が営農をあきらめざるをえなくなり、地域も持続できなくなります。選別・排除をやめ、中小・兼業を含めて希望する農家すべてが営農を再開できるよう積極的に支援します。

 農漁村集落がまるごと破壊され、集落移転が必要な地域でも、住まいの再建と生業の復興を一体で進め、農業や漁業を続けられる住まいや集落をめざします。

 「先端農業の育成」が強調され、民間企業が参加した大規模野菜工場の建設などに巨額の補助金が投入されていますが、復興支援はあくまで被災農家が主体となった地域農業の再建を中心にし、施設や機械の投資も過大にならないようにします。

原発事故による農林漁業被害に全面的な賠償を求める――原発事故・放射能汚染は、依然深刻です。農林漁業者の損害のすべてを国と東電の責任で全面的に賠償することは、農漁業の経営を再生する最低の条件です。農水産物の価格低下や販売不振などの“風評被害”、事故に伴う諸経費の増加、農地や農業施設の損失、その汚染・除染に伴う精神的被害をふくめて東電に全面的な賠償を行わせます。賠償金について非課税扱いにし、賠償請求の手続きも簡素化させます。 

農用地および森林の汚染実態を把握し、除染を急ぐ――農用地について詳細な汚染マップを早急に作成するとともに関係機関の英知を結集して除染方法の開発・実証をすすめ、除染を急ぎます。森林についても除染方法について実証をすすめ可能な除染をすすめます。

汚染牧草、稲ワラ、堆肥などの処分を国の責任で早急に行う――放射能に汚染された牧草、稲ワラ、堆肥などの処理方法が決まらず、依然として農地や作業場などに滞留しています。政府の責任で早急に処理方法や処分地を決定し、あらたな生産の開始を可能にします。

 

農業の担い手の確保・育成に国をあげて取り組む

 戦後日本の農業を中心に支えてきた世代の「引退」が加速し、農家や農業就業人口の減少に拍車がかかっています。農業就業者の超高齢化もすすみ、担い手の面から農業と農村が崩壊しかねない事態です。

 わが国の食料生産をだれが担うのか、国土や環境をだれが守るのか、農村地域にとどまらず日本社会が真剣にむきあうべきまったなしの課題です。国連は、2014年を家族農業年に設定し、専業、兼業含む、家族経営にたいする援助をよびかけました。安倍内閣は、この呼びかけを無視し、「日本を企業が一番活躍しやすい国にする」として、営利企業に農業・農地を全面的に開放する規制緩和、農業改革をすすめています。これは、家族農業とその共同を基本的な担い手としてきた戦後農政のあり方を根本から覆し、農業・農村を儲け本位の場にするもので、地域農業も地域社会の維持も困難にます。国や自治体、関係団体が営農や暮らしの条件の根本的な改善と一体で、農業・農村の現在と将来の担い手の確保・育成に特別な力を注ぐことが求められています。

農家の選別をやめ、大小多様な農家経営を数多く維持する――農地集積をすすめる農地中間管理機構は、一部の大規模経営や株式会社を含む法人だけに農地や施策を集中することが目的とされています。しかし、食料自給率の向上や国土や環境の保全なども兼業・高齢者世帯を含む多くの農家が農村に定住し、営農を続けてこそ可能になります。日本型直接支払いや中間管理機構の運営においても「続けたい人やりたい人はみんな担い手」と位置づけ、現に農業に従事している農家を可能なかぎり多く維持できるようにします。中間管理機構の業務に、耕作放棄農地の復旧を位置づけ、自治体、農協、農業委員会と協力して農地の維持・利用改善に役立てるようにします。

集落営農や大規模農家も応援する――引退する高齢農家の農地や作業を引き受ける集落営農や専業の大規模経営も、地域農業を支える担い手として重要です。大規模経営や集落営農などが機械・施設を導入・更新する際、助成や低利融資を行います。地域の自主性を尊重しながら、行政や農協などが一体で支援を強め、実務や資金管理、販路確保の負担を軽減します。集落の共同が困難な地域では、当面、自治体や農協の出資する法人による農地の管理をすすめ、耕作放棄が広がらないようにします。

新規就農者を増やす特別の努力を――農業就業者が急速に減少するなか、農家子弟や都市住民を含めて新規就農者を飛躍的に増加させる思い切った対策が必要です。近年、定年退職者や若者の間で就農希望がふえ、農業への関心が高まっています。それを本格的な就農に結び付け、定着させるために、国や関係機関、地域社会が一体となった長期にわたる総合的な支援を行います。「新規就農者支援法」を制定し、就農希望者の研修・教育機関の整備、農地の確保、資金、販路や住宅の紹介など総合的な支援体制を整備します。とりわけ、中山間地や過疎集落での定住者、移住者にたいして営農や暮らしの両面からの支援に特別の力を注ぎます。

 日本共産党は新規就農青年に3年間、月15万円支給する制度を早くから提案してきましたが、政府も12年度から青年就農給付金制度(45歳未満の就農者に年150万円、最長5年支給)をスタートさせました。必要な予算を確保するとともに、親元就農の場合に5年以内に経営委譲するなどの要件を緩和して、一定期間の就農を前提として希望する青年すべてを対象にします。60歳以上の定年退職者などの就農希望者に、農業技術の研修や農地のあっせんなどの支援を行います。新規就農者の研修や技術指導を引き受ける農業生産法人や農家への支援も強化します。なりわいとしての就農とは別に、市民農園や体験農業、学校農園、グリーンツーリズム、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで国民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みも重視します。

財界主導の農協改革を中止し、農業関係団体の役割を重視する――持続可能な社会を展望しても、東日本大震災の教訓からも、相互扶助を基礎とする協同組合や地域社会の共同の役割が改めて見直されています。国連は、2012年を国際協同組合年として設定しました。農協や各種の共同組織は、集落営農や担い手への支援、農産物の販路の確保、加工施設の運営など地域農業の振興と農村社会の維持に欠かせません。財界代表の意向が強く働いた規制改革方針による、総合農協の事業から信用・共済事業を分離、連合会の株式会社化(独占禁止法適用除外はなくなる)など、協同組合事業を営利企業と同列視した農協改革の押しつけに強く反対します。農協の自主性を尊重し、組合員、役職員が力をあわせて協同組合としての役割をはたすよう、国や自治体も協力し、支援します。

農地法の改悪反対し、株式会社などの農地利用を厳しく監視する――この間の農地法「改悪」で農外企業の農地利用に道が開かれましたが、もうけ第一の株式会社が進出するのは優良農地で、そこで成り立っている農家や集落営農と競合し、追い出すことになりかねません。株式会社の農地所有の解禁や農業生産法人のさらなる要件緩和には厳しく反対します。戦略特区の名目で、農地法を形骸化する農業特区は中止させます。農地の利用は、農家とその共同組織を優先し、株式会社一般の農地進出に厳しい監視と規制が不可欠です。そのために、農業委員会の体制を強化し、必要な予算を増額します。

農業委員会制度の根幹を維持する――農業委員会制度は、自ら農地を利用する農業者の自主的管理を保障し、農業者の声を農政に反映させる戦後の民主的措置の1つです。委員の過半を選挙で選出する農業委員の構成と農業委員会の必置規制、行政への建議等を法律事項として堅持します。

 

安心して農業に励め、農村で暮らせる条件を抜本的に整える

 農業や農村の担い手の確保にもっとも必要なのは、安心して農業生産に取り組め、農村に暮らし続けられる条件です。その最大の柱の一つは、農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせ、生産コストをカバーする施策をしっかり行うことです。

 豊凶変動や価格の乱高下が避けられない農産物の価格保障は、再生産を保障し、農家の意欲と誇りを高めるうえで決定的であり、食料自給率を向上させる基礎的条件です。欧米諸国でも農産物の価格支持制度は維持しています。農畜産物の特性を踏まえて品目別の価格・経営安定制度を導入あるいは現行制度の充実・改善に取り組みます。加えて、国土や環境の保全など農業の多面的な機能を評価して、農地面積などを対象にした各種の所得補償を抜本的に充実します。

安倍政権は、農業のもつ多面的機能を評価する「日本型直接支払い」や新たな「経営所得安定対策」を柱とする「担い手総合支援」を導入しましたが、それが真に農業の多面的機能や農業者の経営安定に結び付くためには、前述の米はもとより、主な農産物についても努力すれば生産費がつぐなえ、他産業なみの所得が得られる条件を保障することが不可欠です。

畑作、畜産、野菜、果樹などに価格・所得対策を充実する――日本は地域の条件に応じて畑作、畜産、果樹、野菜など多様な農業が発展してきました。それぞれの品目の生産や流通、加工などの実態に即した価格保障(価格安定・支持制度)と所得補償の拡充で、農家経営が安定して持続できる条件を整えます。

 ●麦・大豆――自給率の極端に低い麦・大豆の増産は急務です。土地条件の改良や栽培技術・品種の改善、加工・流通への支援などとあわせて、麦・大豆に生産費と販売価格の差額を補てんする交付金制度を復活し、充実させます。水田での作付け増をはかるため、手厚い所得補償を実施します。国産を活用したパンや加工品の学校給食での普及・拡大を支援し、国産麦や大豆の需要拡大にとりくみます。

 ●酪農・畜産物など――日豪EPAによる関税引き下げの国内生産への影響試算を早急に行い、輸入飼料に依存して大規模化に偏重した畜産政策を見直し、日本の大地に根ざした循環型の畜産経営への支援を強めます。加工原料乳は、生産費を基準とする不足払い制度を復活し、需要増大の見込めるチーズや生クリームまで対象を拡大します。肉用子牛補給金や牛・豚肉の価格・経営安定対策は、単価や補てん水準を引き上げ、再生産が可能になるよう改善・充実します。飼料作物の増産を支援するため、水田・畑・採草地への直接支払いを拡充するとともに、飼料の広域流通体制を整備します。生乳の国内需給に影響を与えないよう乳製品のカレントアクセスの輸入を規制します。

 円安がもたらした飼料価格の高騰よる畜産経営の破たんを防ぐため、配合飼料価格安定基金からの補てんを安定的なものにするために万全な財源を確保します。

 ●野菜・果樹、甘味資源など――野菜や果樹は、作柄変動に伴う値動きが大きいうえに、増大する輸入品に圧迫され、国内生産が減少を続けています。景気悪化による消費減もあいまって物財費さえ下回る低価格が多くの品目でたびたび起きています。現行の野菜価格安定制度を、対象品目や産地を拡大し、保証基準価格を引き上げる、大規模経営の多少による産地差別を廃止する、加入や支払いの事務を簡素化するなどの改善・充実をはかります。自治体が行う特産物の価格安定対策に国が支援を強めます。ミカンやリンゴなど果実生産は、豊作時に加工に向けることで生果の需給調整が可能になるよう、輸入原料の規制とあわせて、加工向け果実価格安定対策を創設します。

 北海道や南九州・沖縄の基幹作物であり、国内で貴重な甘味資源作物であるてんさい・ばれいしょ、さとうきび・かんしょなどは、生産・製造コストと販売価格の差額を補てんする現行の経営安定対策を充実・強化し、農家の再生産が可能となるよう支援を強めます。

農業の多面的機能に着目した直接支払い(所得補償)を拡充する――農業生産の4割を担う中山間地など条件不利地域での農業を維持するためには、特別の援助が必要です。中山間地域等直接支払い制度を恒久制度として立法化し、高齢化が進む実態を踏まえて、集落協定の要件の緩和、対象地域の拡大、協定期間の弾力化、事務手続きの簡素化などを進めます。高齢者率の高い集落への支援や樹園地などには補償水準を手厚くします。

 農業のもつ国土や環境を保全するなどの多面的な機能は、農産物の価格には反映されず、農家の無償労働で国民に提供されてきたものです。これを正当に評価して、水田・畑地・樹園地など地目に応じた所得補償を実施します。

災害補償制度の充実をはかる――台風、豪雨、豪雪、高温、日照不足など自然現象による農業被害が増えています。それが生産の減少や農産物価格の乱高下、農家の経営不安の原因となっています。農業災害補償制度は、その重要な制度ですが、共済組合の広域化や対象農家の限定、小規模な経営の除外などの状況があります。地域農業を支えているすべての農家を対象にするとともに、加入率の低い果樹、施設などの共済を利用できやすく改善します。今年の豪雪で崩壊した施設の復旧が、資材、労働力不足などで遅れています。助成金の早期支給とともに、期間延長など、実情に合った援助を行います。

農家の経営規模に見合った機械や施設の導入への支援――農業機械や施設の大型化の推進はコストを高め、農家の所得を減らす場合が少なくありません。農家の経営規模に見合った機械の導入、共同利用の機械更新への支援、肥料の価格安定、軽油引取税減免の恒久化などで生産コストの低下、農家所得の増大、消費者価格の安定をはかります。

品種・栽培技術の改良など試験研究を強化する――作物の増産と生産コストの削減には、品種改良・栽培技術など基礎的な研究と援助が不可欠です。効率優先で基礎研究の切り捨てでなく、食料の増産、農業経営の改善に役立てる方向で強めます。

 

農林水産予算を大幅に増額して、食料自給率50%をめざす

 日本農業を再生するには、長く続いた農業つぶし政治の傷が深いだけに、長期の見通しによる計画的な取り組みと関連予算の思い切った増額が必要です。とりわけ、 長年"猫の目農政"に苦しんできた農家が、将来にわたって農業に安心して励めると確信を持てるようにするためにも、政策の一貫性、持続性が不可欠です。

 日本共産党は、食料・農業・農村基本計画の見直しで行おうとしている自給率目標に引き下げに反対し、食料自給率50%達成を堅持することを要求し、価格保障や所得補償の充実などに必要な農林水産予算を大幅に増額することをめざします。

 一般歳出に占める農林水産予算の割合は2000年の7.1%から2014年には3.3%に低下しています。現在の国の予算規模を前提にしても、農業を「国づくり」の柱に据え、予算上の位置づけを13年前の水準に戻すだけでも約1兆円は確保できます。

 また、農林水産業の生産額と農業予算の割合を比較すると、アメリカ56.0%、フランス33.9%。ドイツ62.0%、韓国59.8%、日本27.5%であり、日本の農業予算の貧弱さが目立ちます。この割合を先進諸国なみに高めれば、農業予算の大幅増額が必要になります。

 食料の増産には、湿田の乾田化、用排水施設の維持・補修、山間地域の圃場整備などの土地改良事業が欠かせません。土地改良や施設の建設などは大型事業中心ではなく、農家や地元負担が少なく、経営改善につながる事業に予算を重点的に配分します。

 

農業者・消費者の共同を重視し、「食の安全・安心」をひろげる

輸入加工食品への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など食の安全・安心を脅かす事態が後を絶ちません。「安全な食料は日本の大地から」の実現をめざしつつ、食品の検査体制・安全基準を強めます。

BSE対策を堅持し、牛肉の安全を確保する――TPP参加の日米交渉で、BSE(牛海綿状脳症)対策がずさんなアメリカ産牛肉の輸入拡大のために月齢制限が緩和され、ほとんど野放しになりました。率が低いとはいえ、発生メカニズムもわからない非定型形BSEが存在し、定型でも48か月齢まで発症する牛が存在する以上、食の安全上も、BSE根絶という世界的な課題の達成のためにも、BSE全頭検査は維持します。特定危険部位の除去など現行のBSE対策を堅持し、牛肉の安全を確保します。

口蹄疫や鳥インフルエンザの発生防止に万全を期す――口蹄疫や鳥インフルエンザ、豚流行性下痢症など各種感染症の発生の影響を最小限にとどめるよう、監視体制を強め、感染拡大防止に国が全面的に責任をもち、獣医師など人的資源の確保をはかります。被害農家には、殺処分した家畜の評価額を再生産可能な価格とし、埋却までの間のエサ代の補償、出荷規制期間の減収保障や新たに導入する家畜が販売できるまでの期間の所得などの直接支援をおこないます。

水際での検査体制を強化する――輸入食品の水際での検査体制を抜本的に強化し、厳格な検疫・検査を実施します。食品の原料・原産地表示をすべての加工品に実施します。食品に関する表示制度を一本化し、製造年月日表示を復活させます。遺伝子組み換え食品の承認検査を厳密にし、遺伝・慢性毒性、環境への影響に関する厳格な調査・検証・表示を義務づけます。

安全な食料の生産・流通を広げる――「効率化」一辺倒で農薬や化学肥料に過度に依存した農業生産のあり方を見直し、有機農業など生態系と調和した環境保全型の農業、「地産地消」や「スローフード」への取り組み、食文化の継承・発展を支援します。食の安全や環境に配慮した有機農業に、一定の基準で所得補償を実施します。

卸売市場の公正な運営をはかる――卸売市場が公正で適正な流通に資するよう、大手産地と大手スーパー中心の相対取引に偏重しないよう、地方産地、中小業者の参加を保障する条件を強めます。相対取引や予定価格の押しつけなど、優越的地位を利用し、コストを無視した低価格での納入を強要する大手スーパーなどの横暴、大手集荷者による指値の強要などを規制し、産地、中小小売が対等な立場で交渉できるようにするための協議会設置など、公正な流通ルールを実現させます。

 

 山村地域の基幹産業として日本の林業・木材産業の再生をはかる

 国土面積の67%占める森林は、再生産可能な木材の供給とともに、中山間地域の維持と国土・環境の保全や水資源の涵養、生物多様性の保全、レクリーションの場の提供など、国民生活に不可欠な役割をはたしています。またCO2の吸収・固定による地球温暖化防止への寄与など、「低炭素社会」の実現にも欠かせない資源です。

森林の育成には、50年、100年の長期間にわたり、効率一辺倒では成り立ちません。戦後の植林が多いわが国の森林は、現在「育林の段階から利用の段階」に入り、森林の総蓄積量は、70年の2倍、49億㎥に達し、年間成長量は、国内の年間消費量に匹敵する8000万㎥にのぼり、2割台の木材自給率を引き上げる条件が生まれています。しかし、各地の林業関係者からは、「木材価格が安すぎて伐採できない」と悲鳴があがり、国民の多くも豊かな森林を切実に求めています。健全な森林の育成と持続的な林業経営のために、外材中心の加工・流通体制をあらためて、地域の実態に即した安定的な国産材の生産・加工・流通体制を構築することが求められています。

外材依存体制を転換する、TPP参加に断固反対――TPPへの参加は、農山村、地域経済に壊滅的な打撃を与えるとともに、わずかに残されている製材品や集成材の関税撤廃などは、国産材の需要拡大と森林・木材産業の再生をも不可能にします。

丸太や製材品などの林産物は、WTO(世界貿易機関)協定では、自動車や電化製品と同じ「鉱工業製品」扱いですが、環境保全や産業育成などのため、丸太の輸出入規制を行う国が広がっており、実質的に自由貿易品目ではなくなっています。森林生態系や自然環境は、人類の生存にかかわる問題であり、市場まかせにする時代ではありません。現在の輸出国主導のWTO体制を見直し、各国の主権を尊重した林産物貿易、森林・林業政策を保障することを世界に提起します。

地域の実態に即した産地づくりにとりくむ――森林所有者と境界の明確化を促進します。森林所有者と素材生産業者、製材業者、大工・工務店などが連携して、地域の実態に即した森林資源の循環システムを構築するとりくみを支援します。

地形や自然環境に配慮した林道・作業道の整備など生産基盤の整備をはかる――わが国の森林は、亜熱帯から亜寒帯まで分布し、気候条件も違い、急峻な地形が多いなど、多様な条件のもとで育成・管理されています。路網づくりでは、生態系や環境保全に配慮した技術の確立と地域の実態に即した助成制度に改善します。また、日本の森林にあった林業機械の開発を国の責任ですすめます。

公共建築物や住宅、道路施設、土木事業等への国産材の利用を広げる――2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が制定されましが公共建築物から木造建築が事実上、排除され、木造の設計・建築技術者が不足していることなどから2013年の木造化率は10%にもなりません。技術者の育成、木造建築技術の開発・普及にとりくみ、公共建築物等への木材利用を促進する体制を強めます。新築住宅とともにリフォームにおける国産材利用にたいする助成、税制上の優遇措置をもうけます。国産材の需要拡大のため、住宅以外の建築物の木造化、耐震・耐火の強化、ガードレールや高速道路騒音壁、土木事業など、新たな利用技術の開発をすすめます。

木質バイオマスなど木材資源の多面的な利用をすすめる――「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を活用した木質バイオマス利用の拡大にあたっては、大規模発電ではなく、地域の資源の実態とエネルギーの地域循環に資する発電を重視します。バイオエタノールなどの研究開発とあわせて、木材の多面的な利用拡大をすすめます。 

森林所有者に再造林できる価格を保障する――国の林業政策の目的に、「林産物の需給および価格の安定」を位置づけ、国産材価格の安定のために、全国森林組合連合会や全国素材生産業協同組合連合会などが結成している「全国国産材安定供給協議会」を拡充し、需給調整を含めた価格安定対策にとりくめるようにするなど、政府が責任をもって再造林できる原木価格を保障するとりくみをすすめます。

地域資源を活用した就労機会の確保、都市住民との交流をすすめる――山菜や薬草など地域資源を活用した特産品の生産振興や加工・販売など山村地域で仕事を増やし、自然環境を活用したレクリーション、保健・休養など都市住民との交流をすすめます。

林業労働者の計画的な育成と待遇改善をはかる――林業は、森林の多面的機能や生態系に応じた育林や伐採などの専門的知識や技術が必要です。「緑の雇用事業」の拡充と事業体への支援など国の責任で、系統的な林業労働者の育成にとりくみます。また、ILOの林業基準にもとづく安全基準の順守など、労働条件や待遇の改善をはかり、安心して働ける環境をつくります。

森林組合や林業事業体への支援を強める――森林組合員の森林所有面積は私有林面積の7割、約1100万haです。森林組合は森林所有者の協同組合として、地域の森林整備の中心的な役割を担っています。素材生産業や製材業、建設業などとも連携し、地域林業の確立のために積極的な役割がはたせるよう支援を強めます。

森林のCO2吸収力を評価した排出量取引を活用し、森林整備の財源を確保する――国内の排出量の削減を促進するために、森林の整備によるCO2の森林吸収量と、木質バイオマス(生物資源)使用による化石燃料の使用減量とCO2排出の削減量を評価して、都市部の企業や自治体の排出削減におけるカーボン・オフセット(炭素排出量の相殺)に活用する制度を本格的に導入し、植林、間伐などの森林整備や木質バイオマスの有効利用の資金を生み出します。

「地球温暖化対策のための税」の使途に、CO2吸収源対策を位置づけ、森林・林業・木材産業における地球温暖化対策の実行に必要な財源を確保します。

国有林の持続的な管理・経営にとりくむ――国有林は国土面積の2割、森林面積の3割を占め、奥地山岳地帯や水源地帯に広く分布し、9割が保安林です。そのため、国有林は、①国土・環境の保全、森林レクレーションなど公益的機能の発揮②木材等林産物の計画的・持続的な供給、③農山村への寄与の三つの大きな使命をもっています。

 国有林の管理・運営は、「国民の共有財産」として、この使命を果たすため、管理経営の状態や森林情報の公開をすすめ地域自治体・住民、関係者との合意形成を広げ、専門職員の育成確保をはかるとともに、国民のための森林づくりにとりくみます。事業の発注、木材の販売にあたっては、適正価格での安定的な販売に努め、地域の林業事業体や木材産業の育成に結びつくようにします。

 

漁業者の経営安定と資源管理型漁業で水産物の安定供給をはかる

 四方を海に囲まれ、変化に富んだ海岸線をもつ日本の漁業は、沿岸、沖合を基本に多様な漁業が営まれ、豊かな魚食文化をはぐくんできました。しかし、漁業資源の減少と漁業生産量の減少傾向は依然続いています。なかでも、東日本大震災による津波被害は、沿岸漁業と水産関連施設を壊滅させ、東電福島原発事故による放射能汚染は、いまだに操業と水産物の安全を脅かしています。被災後3年以上たちましが、復旧の速度は遅く、とくに、漁業と水産業一体の復旧の遅れは深刻です。

水産物の消費減退は、消費税増税でさらにすすみ、輸入との競合や低価格競争を利用した大手量販の買い叩きなどによって生産者魚価が低落しており、アベノミクスによる円安による燃油や資材価格の上昇による経費増大などで、漁業経営の困難は深刻さを増し、担い手の減少も止まっていません。TPPによる関税の撤廃は、こうした漁業・水産業に大きな打撃を与えるものです。

世界的にも、海洋をめぐる国際環境の変化、開発優先のもとでの漁場の悪化、世界的な水産物の需要増大と発展途上国を中心にした漁獲能力の拡大によって水産資源が減少しており、資源管理を強める必要が強まっているため、水産物の供給を輸入に頼ることが困難になってきています。

 こうしたもとで、世界有数の漁場である東日本太平洋沿岸の漁業・水産業の復旧を急ぎ、適切な資源の保全・管理をすすめながら、漁業・水産業を振興し、国内生産を中心にした水産物の供給安定させることがきわめて重要になっています。

魚価の安定、燃油・資材経費の引き下げなど漁業経営安定対策を確立する――漁業経営を安定させ、乱獲を防ぎ、資源の保全をはかる資源管理型漁業をすすめ、政府の責任で魚価安定対策を強化します。調整保管や下落時の補てんなどの漁価の下支えとあわせて、共済・「積み立てプラス」制度の拡充などで、漁業者の所得対策の確立をはかります。水産資源保全のための休漁・減船による減収補償を国の責任で充実させます。

 省資源型漁船や漁法にたいする援助を強めるとともに、現在、時限立法で措置されている燃油(軽油引取税など)の免税措置を恒久化します。アベノミクスがもたらした石油価格や漁船・漁具、養殖用飼料の価格高騰による経営困難にたいする補てんなど、漁業者の経営安定と消費者価格を安定させる対策をつよめます。

 卸売市場の公正な運営につとめるとともに、相対取引でも大手量販店などが生産コストを無視して水産物価格を買い叩くなどの優越的な地位利用を規制する公平な取引のルールづくりを進めます。

TPP参加をやめ、資源管理と漁業の振興を保障する貿易ルールの確立をめざす――世界の水産物消費量が増え、漁業資源の減少があきらかなもとで、TPPがめざす関税の全面撤廃や安全基準の緩和などは、漁業生産に重大な困難をもたらすことは明らかです。TPP参加を断固阻止するとともに、輸入拡大一辺倒のWTO協定を見直し、適切な輸入規制と漁業者の所得確保など、各国の条件にあった資源管理と漁業の振興を保障する貿易ルールの確立をめざします。

 クロマグロ、クジラなど遠洋漁業について、国際的な資源管理を尊重しながら、わが国の魚食文化を守る方向での外交的努力をすすめます。

漁業と水産業を一体にした震災復旧を早急にすすめる――東日本大震災からの復旧・復興は、漁業と漁場とともに、漁港、冷蔵庫、水産加工、流通など水産業を一体に復興することが、地域経済と地域社会の維持にとっても極めて切実です。グループ補助金の適用期間の延長、共同化や効率を優先した採択条件など選別的な要件の見直し、地域・集落での計画・合意を前提に、漁業と水産業を一体で復旧できるよう復興計画、復興予算のあり方を改善します。

放射能汚染対策を強化する――東電福島原発事故による放射性物質による海洋汚染のため、福島県沖ではいまだに試験操業にとどまっています。放射能調査をきめ細かく行うとともに、国の責任で情報の提供などで魚介類の安全を保障し、漁業再開の条件をひろげます。漁業関係者にたいしては、東電による休漁の保障、施設の復旧費用の賠償とともに、国の責任で操船・漁獲・加工技術の維持・継承のための助成対策をつよめます。

新規漁業就業者支援制度を創設する――各地の自治体では、新規就業者にたいするさまざまな対策がとられています。国の新規漁業就業者総合支援事業を希望者が受けやすい内容に充実・改善するとともに、自治体などが行っている若い新規就業者に一定期間、生活費を補てんする制度を国の制度とし確立し、若い人就業と定着をはかります。

大型開発をやめさせ、漁場の保全、操業の安全をはかる――名護市辺野古沖への米軍基地の建設をはじめ干潟を破壊する大型開発をやめさせ、諫早湾への海水導入による干潟の再生など漁場の保全・改善をすすめます。潜水艦、巡洋艦による海難事故の根絶、操業を規制する米軍の爆撃訓練海域の廃止・縮小など、漁船操業の安全をはかります。

 尖閣列島、竹島、北方領土など、領土問題に関連して、操業の自粛や縮小を余儀なくされる状況をなくすため、政府に、領土問題での道理ある主張とともに、日台漁業取り決め、中国漁船のサンゴ密漁問題などについて、政府の責任で主権の擁護と漁民の権利を守る立場での交渉がすすめられるようにします。

漁業・漁村を維持する地域活動を支援する――沿岸漁業の再生につとめるとともに、漁業集落、水産業集積地の再建を、地域の計画・合意を基本に、国が責任をもってすすめます。離島を含む、漁業・漁村の環境や国土保全にはたしている役割をきちんと評価し、「離島漁業支援再生交付金」など、多面的機能を維持・増進する地域活動への支援制度をつくります。

 国の予算の使い方を、公共事業中心から、漁業者の所得補償や販路の確保、地産地消の推進、産地における水産加工の振興などを重視するように改めます。

 

農林漁業に基盤をおいた農山漁村の再生に取り組む

 農林漁業の衰退を放置し、企業誘致や公共事業、原発などの大型開発に依存した地域づくりは、企業の海外進出、公共事業の激減、原発事故などでゆきづまり、各地で破たんしています。この事態を否定できない政府・自民党は、地方創生法案を成立させましたが、農林漁業を破壊するTPPの推進は、その可能性を奪います。また、拠点都市、集落への集中では、農山村、国土の崩壊もとめられません。

一方、国民の中には、農林漁業のもつ多面的な価値を生かすため、都会から農山漁村・地方に移住する、いわゆる“田園回帰”の流れも強まっています。こうした国民の願いにこたえた農山漁村再生には、農林漁業を基盤としながら、生産者・地域住民・消費者との共同をひろげ、地域資源をフルに生かした循環型の経済で、就業や雇用の場を確保することが重要です。

地産地消を重視した地域づくりをすすめる――わが国の農林漁業は、地域ごとにきわめて多様であり、再生の取り組みは地域の自主性を尊重すべきです。「食の安全都市宣言」「地産地消宣言」などをかかげる自治体が各地に生まれています。直売所や産直がにぎわい、高齢者や女性、兼業農家などが元気に参加して、都会の消費者との交流もさかんです。地産地消や食の安全を重視した地域農林業、沿岸漁業の振興をはかります。

農林漁業の「6次産業化」はあくまで農林漁業者主体に――農林水産物の生産と販売とともに地域の資源を生かした加工や販売に力を入れることも、農林水産物の需要を拡大し、地域の雇用を増やし、農漁家の所得を増やすうえで重要です。地域資源の有効利用、農業所得の増大につながる農業者の農産物の直売、加工、観光、農家レストランなどの取り組みを積極的に支援します。民間企業と連携する農業の「6次産業化」はあくまで農業者主体を貫き、連携する企業も可能な限り地場企業を重視します。

バイオマスや小水力発電など自然エネルギー開発に力を入れる――地球温暖化対策の一環として、世界ではいま、太陽光・熱、風力、小水力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発が進んでいます。過酷な原発事故は、その本格的な普及を切実に求めています。原発ゼロを決断し、農山漁村に豊富にある再生・自然エネルギー資源の積極的な活用を、農山漁村経済や雇用の重要な柱として位置づけ、開発・普及に力を入れます。

過疎集落への支援を思い切って強化する――地域資源を生かした第一次産業の振興とともに、「山の駅」(仮称)など地域にあった生活拠点をつくり、集落を結ぶコミュニティバスの運行、高齢者集落への「集落支援員」の配置などにより、買い物や医療、福祉、教育などの生活に不可欠な最低条件の整備に努めます。こうした対策を講ずる自治体に対し、国の支援を強めます。

有害野生生物対策を抜本的に強める――増え続ける鳥獣被害は、農家の生産意欲を失わせ、集落の衰退に拍車をかけ、それが鳥獣害への対抗力も弱める、という悪循環をもたらしています。根本的には、農林業が成り立ち、農山村で元気に暮らせる条件整備が不可欠ですが、当面、該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査を国の責任で行い、増えすぎた鳥獣を適正な密度に減らす地域や自治体の取り組みを支援します。鳥獣が里山に下りずに生息できる森林環境を整備するとともに国の鳥獣被害対策交付金を大幅に増やし、防護柵・わなの設置、捕獲物の利用など農家や自治体の取り組みへの支援を強めます。

大型クラゲ、ザラホヤ、トドなどによる漁業被害をなくすため、発生メカニズムの解明、駆除方法の開発に取り組みます。

都市づくりに農業を位置づけ、農地税制を抜本的に改める――都市内の農業と農地の存続を否定する現行の都市計画制度を早急に見直し、農業を都市づくりの大事な柱に位置づけます。「都市農業振興法」(仮称)の制定、直売所、地産地消、学童農園、体験農園などの取り組みを支援します。固定資産税、相続税における課税評価を、現に農業が営まれている農地は農地評価を基本にし、作業場なども農地に準じた課税にします。当面、生産緑地の要件の緩和、相続税納税猶予制度の維持、農地評価の市民農園や屋敷林などへの適用をすすめます。

 

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