日本共産党

しんぶん赤旗

政策

日本共産党のかかげる政策をご紹介します

2025年参議院選挙各分野政策

12、女性とジェンダー

男女賃金格差是正、「痴漢」ゼロ、女性の人権、女性の政治参加・「パリテ」(男女同数)推進

2025年6月

 日本共産党は、日本社会で劇的に高まるジェンダー平等を求める声、運動と力を合わせて、誰もが性別にかかわらず個人の尊厳を大切にされ、自分らしく生きられる、すべての人にとって希望に満ちたジェンダー平等の社会をつくります。

 ジェンダー平等の前進を求める声と運動は、政治を着実に動かしてきています。世論と運動、日本共産党の国会論戦の力で、男女賃金格差の公表制度が2022年7月から301人以上の企業に実現しました。2026年4月からは、101人以上の企業にも拡大され、さらに女性管理職比率も公表が義務付けられます。2023年7月にはフラワーデモなどが求め続けてきた刑法改正で「不同意性交等罪」などが創設され、痴漢対策でも政府の初の「痴漢撲滅政策パッケージ」策定、2024年4月には困難な問題を抱える女性への支援法が施行されるなど、運動と関係者の声を生かした法改正、施策もすすみつつあります。そして昨年の総選挙で自民党・公明党を少数に追い込んだことで、選択的夫婦別姓制度についても、28年ぶりに国会審議が開始されました。引きつづき参議院でも、日本共産党の躍進で政治を変え、次のような政策を、女性・国民のみなさんと協力して実現してゆきます。

男女賃金格差の是正、労働時間の短縮をはじめ、働く場でのジェンダー平等を進めます

男女の賃金格差を政治の責任で是正します

 賃金の平等はジェンダー平等社会を築くうえでの土台中の土台です。しかし日本では依然として、大きな男女の賃金格差が残されています。正社員でも、女性の賃金は男性の75.8%(厚生労働省、2024年賃金構造基本統計調査)で、非正規を含む平均給与では、男性568.5万円、女性315.8万円(国税庁、民間給与実態統計調査2023年分)と、女性は男性の55.8%です。40年勤続で計算すると、生涯賃金では1億円近い格差になります。賃金の格差は年金にも連動し、大きな男女格差になり、定年まで働いても年金で生活できない女性も少なくありません。

 しかも日本経団連の会長企業の日本生命保険で女性の賃金が男性の38.5%(「女性の活躍推進起業データベース」より)にとどまっているのをはじめとして、大企業ほど男女格差が大きく、大企業平均で73.8%、中企業が77.9%、小企業では80.4%です(厚労省04年「賃金構造基本統計調査」)。

 世界をみると、EU(欧州連合)諸国の多くが9割台で、OECD諸国の平均でも88.7%です。EUでは、2023年5月に、男女賃金格差の公表を企業に義務づけ、透明化をテコに是正させるEU指令を成立させました。正当性が示せない5%を超える格差がある場合には、労働者代表と共同で検証、是正措置をとることなどを求めています。

 日本でも運動と国会論戦の力で、2022年から賃金格差の公表制度が実現しましたが、26年4月からは対象企業が101人以上に拡大されます。また女性管理職比率の公表も義務付けられます。さらに制度を拡充、発展させ、100人以下企業への支援も含め、国の責任で賃金格差の是正をすすめます。

 ―――男女賃金格差の原因である非正規との格差を明確にするため、情報開示項目を増やし、正規雇用男性に対する、正規雇用女性、非正規男性、非正規女性の数値を開示させます。

 ――企業に、賃金格差是正の計画策定と公表を義務づけ、政府がそれを監督・奨励する仕組みをつくります。公表拒否や虚偽記載、是正計画の未策定、不履行などの企業に対する指導・監督制度、罰則を設けます。

 ――国としても、職種、時間当たり、企業規模、地域ごとに、男女賃金格差の実態を把握、分析し、国としての是正の行動計画を策定します。

女性が多く働く介護・福祉・保育などケア労働の賃金を引き上げます

 保育や介護など女性が多く働くケア労働は、高度な専門性をもつ仕事でありながら、低賃金であるのが当たり前にされてきました。この間、深刻な実態と運動を背景に、政府も処遇改善策を打ち出してきましたが、依然として、保育士の平均給与は「全産業平均」より月6万円低く、介護職員では7.5万円低い水準です(厚労省2024年「賃金構造基本統計調査」所定内給与、男女計)。国の責任で引き上げ、待遇を改善します。

 ――国が基準を定めている介護、保育などの賃金は、国の責任で「全産業平均」並みに引き上げます。雇用の正規化、長時間・過密労働の是正、配置基準の見直しなど、労働条件を改善します。

実質的な女性差別を横行させている間接差別をなくします

 今年2025年は男女雇用機会均等法がつくられて40年です。今も深刻な女性差別を是正できるよう、実効ある法改正が必要です。

 明文上は性別差別でなくても、転勤や長時間労働に応じるかどうかでコースを分け、基本給や昇給昇格などでの差別を当然とするコース別雇用管理や雇用慣行が、実際には女性を差別し、賃金格差の要因になっています。現在の均等法にも間接差別の禁止規定がありますが、非常に限定的で、事実上野放しになっています。実際に、「勤続年数ゼロですでに月4.3万円の賃金格差がある」(2022年2月25日参院予算委での田村智子議員質問)などの格差の実態があります。2024年5月、「社宅制度」を総合職だけに適用することを女性差別だと訴えた裁判で東京地裁は、はじめて「間接差別」として違法だと認定しました。このようにさまざまな形で女性に不利益を与えている間接差別をなくします。

 ――労働基準法をはじめ、男女雇用機会均等法(均等法)、パート法などに、すべての間接差別の禁止、同一価値労働同一賃金の原則を明記し、国際基準にそった運用をはかります。結果として一方の性に不利益を与える基準、制度について、広く規制し、差別の是正を労働行政が指導できるようにします。

差別是正のための権限をもつ独立した救済機関を設置します

 労働者からの相談や差別の訴えは、都道府県におかれた国の出先機関である雇用環境・均等部(室)が受け付けています。しかし現行制度では、企業に是正指導や勧告をしても、使用者が従わなければ、それ以上、改善させることができません。是正を求めて裁判に訴えるのは非常に負担が重く、時間もかかります。

 ――労働行政を強化するとともに、気軽に相談することができ、差別があったかどうかを調査、認定し、是正につよい権限をもつ機関として、労働問題をふくめあらゆる差別や人権侵害に対応する、「パリ原則」にもとづいた独立した国内人権機関を設立します。EUのように会社側・使用者に「差別はしていない」ことの立証責任をもたせます。

非正規から正社員への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件改善と均等待遇をすすめます

 労働法制の規制緩和によって、女性の非正規雇用化が進み、女性の53%がパート、派遣、契約などの非正規雇用です。非正規の劣悪な働かされ方は、日本のジェンダー不平等の大きな要因のひとつです。非正規から正規への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件の改善、均等待遇をすすめる「非正規ワーカー待遇改善法」を提案します。

 ――不当な雇止め、解雇をなくし、非正規ワーカーの雇用の安定をはかります。労働基準法、労働者派遣法などを抜本改正して、期間の定めのない直接雇用を原則とし、有期雇用、派遣労働は臨時的・一時的なものに限定します。有期雇用契約期間は上限を1年に制限して、不安定な短期反復雇用をなくします。

 ――非正規ワーカーへの差別・格差をなくします。ILOパート条約を批准し、「同一価値労働」、「均等待遇」を客観的な基準にもとづいて評価するようにし、非正規雇用を理由とする差別を禁止します。企業に、正規・非正規の構成比と賃金格差、男女別の構成比と賃金格差を公表するよう義務付けます。国、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善をすすめます。

 ――最低賃金を時給1,500円以上にすみやかに引き上げ、平均的な労働時間で月額手取り20万円程度になるようにし、さらに時給1,700円をめざします。社会保険料の減免や賃金助成など中小企業への支援を抜本的に強化します。全国一律の最低賃金制を確立して地域格差を解消します。

 ➡詳しくは、「非正規ワーカー待遇改善法」の提案(2023年10月18日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2023/10/post-968.html)をご覧ください。

労働時間の短縮をジェンダー平等実現の柱に位置づけて推進します

 ヨーロッパ諸国に比べて年間300時間も労働時間が長く、男性中心に生活を犠牲にした働き方が当たり前とされる日本では、女性が家庭における家事、育児や介護などのケアを主に担っています。多くの女性がパートタイム労働などの非正規雇用を選ばざるをえません。仕事とケアで、自分の自由な時間どころか、睡眠時間さえ十分とれない状態もひろがっています。労働時間を短縮して、ケアを男女がともに担うとともに、ケアを社会全体で担う社会をつくり、自由な時間を拡大すること、そして労働時間を短縮しても生活できる賃金を実現することが、ジェンダー平等社会の実現には欠かせません。

 ――「1日7時間、週35時間」の実現をめざして、「自由時間拡大のための労働時間の短縮を推進する法律案」(自由時間拡大推進法案)を提案します。時間外・休日労働の上限を規制し、1日2時間を超える残業割増率を50%に引き上げるなど、残業規制の強化や違法な長時間労働をなくす措置をとります。

 ➡詳しくは、労働時間短縮についての日本共産党の提案「賃上げと一体に、労働時間の短縮を 働く人の自由な時間を拡大するために力を合わせましょう」(2024年9月20日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2024/09/post-987.html)をごらんください。

家族的責任と働くことを両立できる労働のルールをつくります

 誰もが家族的責任と仕事を両立でき、安心して働き続けられるようにすることが、ジェンダー平等の前進にとって必要です。長時間労働を是正し、「1日7時間、週35時間労働制」をめざして労働時間の短縮をすすめるとともに、子育て、介護にかかわる労働者と家族の生活をささえ、権利を守る仕組みを拡充します。

 ――子育てなど家族的責任をもつ労働者の残業は、本人同意を原則とします。単身赴任や長時間通勤を伴う転勤は、本人が希望する場合以外は原則禁止します。

 ――短時間勤務制度は、子どもが小学校入学前まで申し出により利用できるようにするなど拡充し、所得保障を充実します。時間外労働や深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。これらの措置が、昇給昇格において不利益な評価とされることを禁止します。

 ――「子ども看護等休暇」は、授業参観や学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親が各年10日以上に拡大し、所得保障を導入します。対象を中学校入学前までひろげます。

 ――だれでも安心して利用できる育児・介護休業制度へ改善をすすめます。収入減少への不安で取得できないことがないよう、育休中の休業補償は、1年間は休業前の手取りの所得を補償する水準に引き上げます。制度利用による不利益扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。非正規ワーカーが取得しにくい要件を改善します。

 ――介護休業制度を拡充し、3カ月が限度となっている休業期間の延長、介護休業中の社会保険料免除制度の創設、休業中の給付金の拡充などをすすめます。

 ➡保育・学童保育については、各分野の政策「21、保育」「22、学童保育」をごらんください。

ハラスメントを明確に禁止し、なくします

 ハラスメントは、女性が働き続けることを阻害する大きな要因の一つです。現行法は、予防措置などを事業所に義務づけているだけで、ハラスメント禁止が明文化されておらず、セクハラ、マタハラ、パワハラ、SOGI(ソジ)ハラなどが人権侵害であり犯罪であるということが徹底されていません。

セクシュアル・ハラスメントに対する刑事罰、民事救済の規定を持つ法律がない国は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本、チリ、ハンガリーの3カ国だけです(世界銀行、2024年調査)。ILO(国際労働機関)は2019年、「労働の世界における暴力とハラスメント禁止条約」(190号条約)を採択し、ハラスメント禁止規定をふくむ職場でのハラスメント防止のための実効ある施策を含む法整備を求めています。

 ――ハラスメント禁止規定をもつ実効ある法整備を進め、働く場での暴力とハラスメントを広く禁じたILO190号条約を批准します。

 ――法改正でカスタマーハラスメントや就活生・求職者へのセクハラも事業主の措置義務に含められましたが、さらにILO190号条約など国際水準にもとづいて、加害者、被害者の範囲を広くし、働く場からあらゆる暴力とハラスメントの根絶をめざします。

 ――被害の認定と被害者救済のために、独立した救済機関を設置します。当面ただちに雇用環境均等部(室)の体制を強化・拡充し、違反した企業名のすみやかな公表、罰則の強化などをはかります。

 ――お茶くみやメガネ禁止、パンプスやミニスカートの制服などが女性のみに課されている職場での慣行をなくす規定を盛り込んだ法律を制定します。

 ――マタニティハラスメント防止のために、妊娠中や出産前後の女性が安心して訴えることのできる相談窓口を増やします。

 ➡詳しくは、各分野の政策「16、ハラスメント」をごらんください。

自営業・農林漁業で働く女性の労働を正当に評価する税制改正をおこない、権利を守ります

 ――所得税法56条を廃止して、妻などの家族従業者の働き分を正当に評価し、必要経費と認められるようにします。

 ――国民健康保険に、病気や出産の時に安心して休める出産手当金、傷病手当金の制度をつくります。

選択的夫婦別姓、LGBT平等法を実現し、多様性が尊重される社会をつくります

 夫婦・家族のかたちはさまざまであり、それぞれの選択に寛容な社会、個人の尊厳が大切にされる社会をつくっていくことが急務です。自民党は党内に統一協会などの宗教右派と癒着した議員を抱え、選択的夫婦別姓も同性婚もLGBT差別解消法も、その実現を阻んできました。自民党政治を変えて、真に人権が保障される社会をつくりましょう。

選択的夫婦別姓制度を実現します

 夫婦別姓を選択できるようにしてほしいと、長年にわたって多くの人々が声をあげ、裁判に訴えることも含めて運動してきました。しかし自公政権はこの願いに背を向け続けています。2024年総選挙で自公を過半数割れに追い込んだことにより、新たな政治情勢がうまれ、国会での法案審議が28年ぶりに始まりました。要求と運動の力で実現を迫ります。

 世界では、法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけです。しかも結婚時に女性が改姓する例が95%と、明らかなジェンダー格差があります。通称使用の拡大では大本の問題が解決せず、不利益は解消しないばかりか、2つの名前を使い分ける負担も増えます。

 世論調査でも賛成が多数となっており、今年2月の朝日新聞の調査では、賛成63%、反対29%、特に18~29歳は賛成80%、反対16%と、若い世代で選択的夫婦別姓制度導入への賛成がとても高くなっています。日本経団連や経済同友会などの財界団体も、早期導入を政府に要望しています。

 ――選択的夫婦別姓制度をただちに導入します。国会で継続審議となっている、1996年の法制審議会答申をふまえた野党案の成立に力をつくします。

同性婚の実現、LGBT平等法の制定をすすめます

 同性婚を認めることは、世界の潮流となっています。2025年1月現在、39の国・地域で同性婚が可能(「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」HPより)になっています。

 日本でも同性カップルを認証するパートナーシップ制度を導入する自治体は526自治体、総人口の92.68%をカバーするまでに広がっています。(出典=「公益社団法人Marriage For All Japan-結婚の自由をすべての人に」)性的マイノリティーの権利保障をすすめます。

 ――同性婚を認める民法改正を行います。

 ――LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的マイノリティーへの差別をなくし、権利保障をすすめます。

 ➡詳しくは、各分野の政策「14、選択的夫婦別姓」「17、性的マイノリティー・LGBT/SOGI」をごらんください。

「痴漢ゼロ」の実現、女性に対するあらゆる暴力を根絶します

 コロナ禍のもとで女性への暴力が増大し、DV被害相談は2020年度にはコロナ前の2019年度の1.6倍の18万件を超え、その後も毎年の相談件数は高止まりしています。性暴力被害ワンストップ支援センターへの相談も年々増加し、2023年度は年間6万9千件超になりました。

 性暴力は取り返しのつかない「魂の殺人」であり、ジェンダー格差再生産の要因でもあります。その根絶は政治の緊急かつ根本の課題です。

 レイプやDV、セクシュアル・ハラスメントなどの女性に対する暴力は、単なる個人間の〝けんか〟や〝トラブル〟という問題ではなく、ジェンダー不平等の社会の構造に、その根があります。だからこそ、政治が女性に対する暴力の根絶を、国の政策目として明確に掲げ、真剣に取り組む必要があります。

 ➡詳しくは、各分野の政策「15、女性をはじめ、あらゆる人に対する暴力をなくす」をごらんください。

「痴漢ゼロ」を政治の重要な課題に位置づけます

 ――痴漢被害の実態を調査し、相談窓口の充実、加害根絶のための啓発や加害者更生を推進します。内閣府、警察庁や鉄道など民間事業者とも連携しながら、政府あげて取り組むことを求めます。

刑法の性犯罪規定について、被害の実態と国際水準に見合った改正を進めます

 ――性暴力を、人間の尊厳を侵害する重大な犯罪として位置付けます

 ――子どもへの性暴力は罪を加重し、時効を停止するなどの見直しを行います

 ――警察、検察、裁判で、被害者の尊厳を守ります

 ――加害者の更生プログラムを強化します

 ――公教育に人権・ジェンダー視点に立った包括的性教育を位置づけます

性暴力被害者支援法を制定し、性暴力ワンストップ支援センターの充実をはかります

 ――性暴力被害者支援法を制定します

 ――性暴力被害ワンストップ支援センターに対する予算を抜本的に拡充し、アクセスしやすい相談窓口の拡充、24時間365日の対応可能な体制の充実・強化、職員の処遇改善と専門性の向上、シェルターの拡充など、性暴力、DV・虐待被害者支援を緊急に強めます。

リベンジポルノ、SNSでの誹謗中傷などオンライン暴力への対策を強化します

 ――オンライン上の暴力について、通報と削除の仕組みを強化し、被害者のケアの体制をつくります。

AV出演被害を防止・救済する取り組みを強め、性交契約を禁止する法律の制定をめざします

 ――法律に定める契約の規制や救済の手段を広く周知・啓発するとともに、法律に盛り込まれた相談体制の整備を、支援・運動団体とも連携して進めます。

 ――対価を払って実際に性交させることは個人の尊厳を傷つけるものです。AV出演被害防止・救済法の見直しに向けて、実際の性交を伴うAVを正面から規制する法整備を進めます。

DV防止法を改正し、被害者支援と加害者更生を強めます

 ――国の予算を増やし、関係諸機関との連携協力・ネットワークづくり、配偶者暴力相談支援センターの増設、24時間相談体制の確立などをすすめます。民間への財政支援と関係機関との対等な連携をすすめ、切れ目のない支援体制を確立・強化します。

 ――民間シェルターへの委託費、運営費への財政的支援を強め、施設条件の改善をすすめます。中長期滞在できるステップハウスへの助成、公営住宅への優先入居など、被害者の自立、生活再建のための支援を強めます。

 ――DV被害者や子どもの心身のケアをふくめ専門スタッフの養成・研修の充実、警察内での教育の徹底などをすすめます。

 ――加害者更生プログラムの制度化など、加害者更生対策をすすめます。

 ――虐待や貧困、性的搾取などの困難を抱える若年女性への支援を強化します。

ストーカー対策を強化します

 ――ストーカーへの迅速な対応を強め、被害防止をめざします。実効ある法改正を検討するとともに、被害者が相談できる窓口や体制の充実、関係機関の連携強化、被害者が一時避難できる施設の拡充、民間シェルターへの助成、加害者更生プログラムの研究・実施などを急いですすめます。

女性の人権を守り、困難を抱えた女性への支援をつよめます

 女性支援予算を抜本的に増額し、困難を抱えた女性への支援をつよめます

 生活困窮、DV被害、社会的孤立、性的搾取などで苦しむ女性たちを包括的に支援する「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が、日本共産党を含む超党派の提案によって成立し、24年4月から施行されました。多様な問題を抱える女性への公的支援の根拠がこれまでは売春防止法とされていましたが、そこから転換し、当事者の人権保障を基本理念に掲げるとともに、国と自治体の責務を定めています。支援を受ける女性の声や支援員など、実際に現場で支援にあたる人々の切実な声と運動を力に実現した重要な前進です。

 新法にふさわしく国の予算を抜本的に増やして、支援員の待遇改善と専門性の担保をはじめとする支援体制の強化をすすめます。民間の支援団体との対等の立場での連携強化と自主性を尊重した運営費補助・助成制度の充実を図ります。

 若年女性がホストクラブなどで借金を背負わされ、売春を強要されるなどの事態もひろがっています。悪質なホストクラブ営業への規制を強化する風営法の改正が行われましたが、被害者の相談・支援体制の強化が不可欠です。また差別や人権侵害を受けやすい、こうした女性の実態をつかみ、教育を受ける権利の保障、安心できる居場所の確保、安定した雇用、健康支援など、実態をふまえた支援策の充実、差別の是正を図り、あらゆる立場の女性の権利を守ります。

 ――女性支援法の意義にふさわしく、国の予算を抜本的に増額し、女性相談支援員の市区への義務設置化など、支援員の適正な人員体制と雇い止めのない雇用を含めた待遇改善をすすめます。民間支援団体との連携強化をすすめるとともに、民間団体まかせにするのではなく、国・自治体の責任を明確にして公的支援を拡充します。

 ――困難を抱えた女性の実態をふまえた、柔軟で多様な施策の充実をはかり、生活保障、健康、教育、住宅、雇用など、切れ目のない支援をつよめ、差別の是正、権利保障をすすめます。

女性の性をおとしめ人格をふみにじる性の商品化、性的搾取を許さず、法規制と相談・啓発、支援の体制を強化します

 金銭を介して性を売買することは、人間の尊厳と価値、男女平等の権利を侵害するものであり、とりわけ女性の心身に危害を及ぼす危険は大きく、受けた性被害はその後の人生にわたって深刻な影響を与えかねないものです。性産業に従事する女性の健康と安全を守ると同時に、個人の尊厳を守りジェンダー平等をめざす日本共産党として、性売買・性的搾取をなくしていくことをめざします。

 本来、買売春は売春防止法によって禁止されていますが、買う側には罰則がないこと、不十分な法規制をくぐって様々な形態の「サービス」を提供する業者が存在し、組織的な売春業者が野放しにされ、違法行為が見逃されていることなどの問題があります。まず現行法のもとでも厳正な監視、対策をつよめます。

 貧困や虐待、障害などで困難な状況におかれた女性たちが、生きるために従事している実態も広く指摘されており、施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」を生かし、相談・支援体制を充実させ、生活支援や住宅保障、教育などをつうじて就労や経済的自立を支えます。

 また売防法は、売春を勧誘した者を処罰し、事実上女性にだけ厳罰を科すもの(第5条)です。女性の人権を守り、性的搾取の被害者を救済する立場にたって、性を売る女性は非処罰化し、業者と買春者を処罰する「北欧モデル」と呼ばれる立法に学び、第5条の規定の削除、買春者に罰則を科すなど、ジェンダー平等の立場にたった売防法の抜本的改正、関連法の整備を行います。これらの問題のおおもとには、社会に女性差別と蔑視、性別役割分業意識などが根深く残っていることがあります。個人の尊厳を守り、多様な生き方を保障するとともに、誰もが安心して生活できるジェンダー平等の社会をめざすなかで、解決の方向へすすめていきます。

 ――売春防止法を改正し、女性の人権を守り、ジェンダー平等の立場にたった法整備を行います。

 ――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)における児童ポルノの定義を、「児童性虐待・性的搾取記録物」(※「記録物」とはマンガやアニメなどを含むものではありません)と改め、性虐待・性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子どもを守ることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます。

 日本は国連機関などから、極端に暴力的な子どもポルノを描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等の「主要な制作国となっている」と批判されています。また近年は人工知能(AI)で作成された児童の性的画像が膨大な規模で出回り、子どもの人権・尊厳が著しく傷つけられる事態が広がっています。子ども時代に受けた性的被害は生涯にわたる苦しみと困難をもたらしており、これを無くすために社会は力を尽くさなければなりません。

 「児童ポルノ規制」の名をかりて表現の自由を侵害することは許されません。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会にしていかなければなりません。現行法での厳格な取り締まりと同時に、新たなAI技術を使った事態に対応できる規制のあり方について国民的な議論と合意づくりが必要です。

 ――メディアや公的機関等が、ジェンダー平等と女性の人権尊重の立場にたった情報発信を行うよう、政策決定機関への女性の参加の促進、理解を広げるための広報や研修、メディアの自主的な取り組みなどを促進・支援します。

 ――繰り返される米兵による暴行を許さず、日米地位協定の見直しをすすめます。米軍の特権的地位を認めた日米地位協定によって、「公務中」の犯罪の第一次裁判権は日本側になく、「公務外」でも容疑者が基地内に逃げ込めば、日本側に身柄が引き渡されない限り起訴できません。不当な日米地位協定を抜本的に改正します。根本的には米軍基地があるかぎり米兵・米軍属による犯罪・事件はなくなりません。米軍基地の撤去が必要です。元凶である米軍基地を押し付けてきた日米両政府の責任が厳しく問われています。

日本が責任を負う戦時性暴力=「慰安婦」問題の解決を進めます

 日本軍「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなかに、植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などで女性たちを強制的に集め、性行為を強要した非人道的行為です。当時の国際法規からみても違法行為です。

 「慰安婦」とされたすべての被害者が人間としての尊厳を回復してこそ真の解決になります。政府は、女性の人間としての尊厳を踏みにじった歴史の真実に対して、「性奴隷制」の加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任をはたすべきです。

 国連からも、指導者や公職にある者が「慰安婦」問題に対する責任を過小評価し、被害者を再び傷つけるような発言はやめること、被害者の救済の権利を認め、十分かつ効果的な救済および賠償を提供すること、「慰安婦」問題を教科書に適切に組み込み、歴史の事実を子どもたちや社会に客観的に伝えることなどの勧告を受けています。

 ――日本政府に、日本軍「慰安婦」に対する加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任をはたさせます。「軍の関与と強制」を認め、歴史研究や歴史教育を通じて「同じ過ちを決して繰り返さない」とした「河野談話」にそい、子どもたちに歴史の事実を語り継いでいきます。

 ➡詳しくは、各分野の政策「75、歴史認識・「徴用工」・「慰安婦」・「靖国」」をごらんください。

リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点にたった政治を

 リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権です。性と生殖に関する健康や、それについての情報を最大限享受できることも、大事な権利の一環です。しかし日本では、この分野の遅れが深刻です。国連の女性差別撤廃委員会からも多くの点で指摘を受けています。リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点に立った政治への転換をすすめます。

 ➡詳しくは、各分野の政策「13、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」をごらんください。

包括的性教育の導入、権利として国際水準の避妊・中絶医療を保障します

 ――子どもの年齢・発達に即した、科学的な「包括的性教育」を公教育に導入します。

 ――避妊も中絶も、女性の大切な権利です。避妊薬と緊急避妊薬を安価で入手しやすくします。中絶薬を、適正な価格で誰もが入手・利用しやすくし、中絶医療を国際水準まで高めます。

 ――明治期から残る刑法の自己堕胎罪や、母体保護法の配偶者同意要件を廃止します。

 ――生理用品の恒久的な無償配布、学校など公的施設のトイレへの設置を進めます。非課税の対象とするなど、より安価で入手しやすくします。生理による心身への負担を軽減する医療の拡大をはかります。

 ――職場や学校などでも生理に関する知識や理解を深め、女性が過ごしやすい環境を整えます。

女性の健康を守り、安心して妊娠・出産できる体制を充実させます

 ――安全な妊娠・出産のための周産期医療体制を充実させます。産科医不足を解消するために、国の責任による産科医の育成・研修をすすめます。地域の産院・産科病院への公的支援を強化し、産科・小児科・救急医療などの診療報酬を引き上げます。国公立病院の産科切り捨てをやめ、周産期医療を守る拠点として支援します。産科医の過酷な労働条件の改善をすすめます。女性産婦人科医の妊娠中の当直免除、産休・育休中の身分保障、代替要員の確保、職場内保育所の設置、職場復帰に向けた研修など仕事と家庭の両立支援をすすめます。助産師・助産院への公的支援をすすめます。医師と助産師の連携を国の責任ですすめます。

 ――妊婦検診や出産費用の軽減、出産一時金制度の拡充、ベビー服や哺乳瓶などの育児用品を贈る制度の導入など、妊娠・出産にかかる経済的負担を軽減します。

 ――産後ケアセンターを充実させます。国の予算を増やし、すべての自治体が退院直後の母親の心身のケアや育児サポート事業を継続してすすめていけるようにします。国の事業として、母子の命を守れる安全規準をつくります。

 ――不妊治療の経済的、精神的負担の軽減をはかります。女性の不妊専門相談センターの整備・拡充、リプロダクティブ・ヘルス&ライツにもとづいて女性の自己決定権を保障する立場から、カウンセリング体制を強化し、悩みや思いに寄り添ったアドバイス、支援ができるようにします。生殖補助医療においては、生まれた子どもの「出自を知る権利」保障など人権とリプロの立場をつらぬきます。

 ――乳がん、子宮頸がんの早期発見と治癒率向上をめざし、国の予算を引き上げ、自己負担の軽減、無料化をはかります。骨粗しょう症や甲状腺障害など女性に多い疾病の予防・健診の充実をはかります。

 ――女性が健康に生涯をおくるための支援、性差を考慮した医療の充実をすすめます。

 ――働く女性の健康をまもります。男女ともに長時間労働を規制するとともに、生理休暇を気兼ねなく取得できるように、制度の充実、周知徹底、企業への指導をつよめます。働く女性の長時間労働、深夜労働の実態・健康影響調査をすすめます。

どんな生き方でも安心して暮らせる社会へ、ジェンダーの視点で社会保障を充実します

 どんな生き方をしても、誰もが安心して生活でき、老後をおくることができる社会をめざしてジェンダーの視点で社会保障の充実をはかります。ひとり親家庭への支援の充実、女性の無年金・低年金の解決、女性の貧困の克服は急務です。税と社会保障は、「応能負担」「生計費非課税」の原則をつらぬき、無収入や低収入の人への免除・軽減制度、課税最低限の引き上げ、最低保障年金制度の確立など、総合的・段階的な制度改革をすすめます。富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただすことで財源を確保することができます。

ひとり親家庭への支援を拡充します

 ――児童扶養手当を拡充します。支給額を第1子から抜本的に拡充し、所得制限の見直し、多子加算の引き上げなどをすすめます。児童扶養手当を支給開始5年後に半減する措置をやめさせます。児童手当支給額の第1子からの拡充、就学援助の増額、教育の無償化、給付型奨学金の拡充など、総合的な支援をつよめます。

 ――物価高騰にともなう生活困難を軽減するため、緊急の支援を実現します。

 ――父子家庭への支援をすすめます。一人で仕事と子育てをする大変さは、父親も母親も変わりません。父子家庭の実態に即した子育て支援・生活支援をつよめます。

 ――長期の安定した雇用の確保、保育所への入所支援、安価で良質な公営住宅の供給など、安定した暮らしへの支援をすすめます。

 ――多くの反対と危惧の声を押し切って「離婚後共同親権」の導入が強行されましたが、父母間の合意がない「共同親権」を家庭裁判所が強制すれば、適切な親権の行使ができず、子の利益を害する重大な危険があります。国会審議での成果を生かし、DV被害者をふくめ、不本意な「共同親権」が強制されて子どもの利益が害されることのないようにしていくことが必要です。家庭裁判所の体制強化、大幅増員や子どもの意思・心情を尊重する徹底した研修、特にDV・虐待ケースでは専門家が意思の確認を行う仕組みをつくります。

 子どもの権利擁護の立場から、戦前の明治民法下で戸主が家族を支配していた時代の名残である「親権」そのものを見直します。民法の「親権」にかんする規定を抜本改正し、子どもの権利を実現する親と社会の責任・責務という位置づけを明確にします。子どもの意見表明権を明記します。面会交流や養育費の支払いについて改善をすすめます。個人の尊厳に依拠したあるべき家族法制への転換こそ求められます。

最低保障年金を確立し、女性の無年金・低年金をなくします

 ――物価高騰に見合った年金に引き上げます。

 ――最低保障年金を確立し、低年金、無年金をなくします。パート労働者の社会保険加入の権利を保障し、重い保険料負担の軽減、低すぎる給付の引き上げをすすめます。全額国庫負担の最低保障年金制度に足を踏み出せば、女性の低年金や無年金の解決とともに、第3号被保険者をめぐる制度の矛盾、働く女性、自営業者や学生との「不公平」など現行制度の問題点を解決する道がひらけます。

 ――女性の低年金の土台を引き上げるために、賃上げと男女賃金格差の是正、労働時間の短縮、パート労働者と正規労働者の均等待遇、最低賃金は時給1,500円以上へ引き上げ1,700円をめざす、業者女性などの働き分を正当に評価する税制への改善などをすすめます。高すぎる国保料の引き下げ、「均等割」廃止など保険料の引き下げと窓口負担の軽減をすすめ、誰もが安心して利用できる医療保険にします。

 ――「自助、共助」の名で福祉・年金・社会保障制度の改悪、増税・負担増を進めることに反対し、ジェンダーの視点で、どのような生き方を選んでも安心して暮らせる制度、社会保障の拡充をすすめます。低所得者の税負担を軽減するために、課税最低限の引き上げをはかります。配偶者控除は、基礎控除と同様、最低限度の生活費に相当する額は非課税にするという「生計費非課税の原則」に立ったものです。何の代替措置もなく縮小・廃止すれば、この原則に反し、税負担を重くすることになります。所得税制の検討にあたっては、ジェンダーの観点と「応能負担」「生計費非課税」の原則をつらぬくことが必要です。

若い女性、高齢女性のくらしを守ります

 ――貧困、生活苦に直面している女性、とりわけ1人暮らしの若い女性や高齢女性の生活支援をつよめます。「住宅手当」や公営住宅の保障、雇用保険適用条件の改善、失業・半失業状態にある女性の相談窓口の拡充などをすすめ、経済的に自立し、安定して生活できるように支援します。

 ――コロナ危機、それに続く急激な物価高騰のもとで、生活と営業の困難が長期に続いています。消費税の廃止をめざし、消費税5%に緊急減税をします。財源は、赤字国債にたよらず、税負担の能力が十分ある大企業・富裕層への減税・優遇をただすことを柱として恒久的に確保します。物価対策、生活に困窮する人への給付金拡大、小中学校の給食費無償化、住宅確保への支援拡大など、くらしと営業を守ります。

 ――生活保護は「生活保障制度」に名称を改め、必要な人がすべて利用できるように拡充し、物価高騰に見合った水準に抜本的に引き上げます。

 ――フードバンク、子ども食堂など民間の食料支援の取り組みに、助成や場所の提供など公的な支援を行います。

 ➡詳しくは、「年金削減、介護の危機、医療改悪をくいとめ、高齢者の人権と尊厳を守るための緊急提言」(2024年9月26日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2024/09/post-988.html)や、「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」(2025年4月16日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2025/04/post-1011.html)をごらんください。

 ➡個別の内容については、各分野の政策「5、年金」「6、医療」「7、介護」「8、福祉・生活保護」などの各項目をごらんください。

意思決定の場に女性を増やし、あらゆる政策にジェンダーの視点を貫く「ジェンダー主流化」を進めます

 90年代以降、世界は「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきました。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野で、計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくことです。

 そのためにも、政治家や、企業の管理職はもちろん、各種団体、地域など、あらゆる場面で女性の参画を進めることが求められています。意思決定の場に女性を増やすことは、ジェンダー平等を進めるために欠かせません。

政策決定、意思決定の場で、男女半々の実現をめざします

 政治における男女の平等な参加を実現することは、ジェンダー平等、日本の民主主義の前進にとって欠かせない課題です。日本のジェンダーギャップ指数(2025年)は148カ国中118位と低い水準にありますが、なかでも政治分野では、125位とさらに低くなっています。列国議会同盟が発表している女性議員割合でも、日本は女性比率(衆議院)が185カ国中140位(2025年5月時点)と、深刻な遅れがあります。

 2018年に超党派の議員立法で実現した「政治分野における男女共同参画推進法」は、国会、地方議会選挙で男女の候補者数ができる限り均等となることを目指すことを基本原則としました。

 2024年総選挙では、日本共産党の女性候補者比率は、比例代表57.1%、小選挙区34.7%でした。しかし、各党あわせた全候補者でみると比例22.2%、小選挙区22.1%にすぎません。さらに当選者全体に占める女性比率は15.7%にとどまりました。女性候補者が16%という与党・自民党、公明党の姿勢がきびしく問われなければなりません。いっそうの取り組みが必要です。

 ――政治分野における男女共同参画推進法の立法趣旨に沿い、パリテ(男女議員同数化)に取り組みます。政党の努力義務とされている女性候補者擁立の目標設定を、国政選挙において義務づけます。さらに、候補者における一定の女性割合を政党に義務づけるクオータ制の導入をすすめます。

 多様な民意を正確に反映することができ、女性議員を増やす力にもなる比例代表中心の選挙制度に抜本改革します。高すぎる供託金を引き下げます。

 ――「2030年までに政策・意思決定の構成を男女半々に」の目標をかかげ、積極的差別是正措置を活用した実効性ある本気の取り組みを進めます。政府や自治体の行政機関、管理職、審議会などへ、男女の平等な参加をすすめます。政府と自治体が計画的に女性の採用、管理職への登用を行うようにします。民間企業に改善計画、数値目標の策定・公表を義務づけます。

 ――両立支援、セクシュアル・ハラスメント防止、議会の民主的改革などの条件整備をすすめます。

 ――男女の固定的な役割分担意識の解消をめざし、あらゆる分野での男女平等の参加をすすめるうえで、法制度や支援策の充実を図るとともに、憲法と女性差別撤廃条約にもとづいて、男女平等・ジェンダー教育、研修、周知・広報を、行政や自治体、教育機関、司法、警察をはじめとする専門機関、マスコミ、地域社会など、社会のあらゆる分野、場面で、積極的にすすめていきます。とりわけ若い世代のなかで男女平等教育を徹底していくことが、社会の各分野で男女平等教育、研修などをつよめます。

 ――防災・復興に女性の意見を反映できるしくみをつくります。中央・地方の防災会議、避難所運営への女性の参加を促進します。

あらゆる政策にジェンダーの視点を貫きます

 1985年に日本は女性差別撤廃条約を批准しましたが、今年2025年で40周年を迎えます。しかし日本の女性差別の実態、ジェンダー平等の遅れは依然として深刻です。24年10月の女性差別撤廃委員会の日本報告審議では、日本の遅れについて多くの問題が指摘され、改善措置が求める「総括所見」が出されています。これらを受けとめ、すみやかに法改正を含む改善をおこなうとともに、国際的水準のジェンダー平等実現をめざし、条約の全面実施、実効あるものにするために、「調査制度」と「個人通報制度」を定めた選択議定書を早期に批准します。

 ――女性差別撤廃条約の選択議定書を早期に批准します。

 ――選択的夫婦別姓制度の導入とともに、自己堕胎罪の廃止など、法律に残されたすべての差別的条項を改正します。女性差別撤廃条約にもとづいてあらゆる施策、法律を見直し、未批准のILO条約の早期批准をすすめ、国際水準のジェンダー平等を実現します。

 ――コロナ禍での「特別定額給付金」支給で大きな矛盾と混乱をもたらし、憲法の両性の平等の見地とも反する「世帯主規定」を廃止します。

 ➡女性差別撤廃委員会からの指摘の内容とそれについての日本共産党の見解は、「国連・女性差別撤廃委員会の総括所見を受けとめ、すみやかな国際的水準のジェンダー平等実現を―『第6次男女共同参画基本計画』策定にあたって」(2025年3月5日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2025/03/post-1009.html)をごらんください。