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2025年参議院選挙各分野政策

5、年金

物価高騰にふさわしい年金に引き上げ、「頼れる年金制度」への改革を進めます

2025年6月

年金削減はただちに中止を――巨額の年金積立金の活用、高額所得者への適正な負担などで年金引き上げの財源はつくれます

 自公政権の13年間に、公的年金は実質8.6%も削減され、高齢者の年金とともに、現役世代が将来受け取る年金も削り込まれてきました。自公政権が「100年安心」といって導入した「マクロ経済スライド」など、年金の改定を物価や賃金の上昇よりも低く抑える仕組みのためです。

 自民・公明と立憲民主党は先の通常国会で「年金制度改定法案」を修正し、成立させました。しかし、年金を物価や賃金の伸びより低く抑えて目減りさせる「マクロ経済スライド」などの年金実質削減制度を、今後も12年間続けることにしたために、高齢者も現役世代が将来受け取る年金も、実質10%削減されます。「月10万円の年金を1万円減らす」ことになるのです。

 高齢者も、現役世代も「減らない年金」にすることこそ、緊急に求められる年金改革です。巨額の年金積立金を計画的に活用する、高額所得者の年金保険料の“頭打ち”を見直すなどの改革を行い、現在も、将来も全世代に“物価・賃金に応じて引き上がる年金”を保障することができます。

 ――「マクロ経済スライド」など年金を実質減額させる仕組みをただちに撤廃し、物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金の引き上げを行います。

 ――現在290兆円、給付の5年分もため込んでいる年金積立金を、計画的に給付の維持・拡充に充てていきます。

 ――高額所得者の保険料負担を頭打ちにする優遇を見直し、応分の負担を求めます。

 ――現役労働者の賃金・待遇の抜本的な改善をはかるなど、年金の保険料収入と加入者を増やす対策を進めます。

低年金の底上げ、最低保障年金制度の導入で、頼れる年金にしていきます

 日本の年金制度の大きな問題は、膨大な低年金・無年金者がいることです。

 低年金の底上げを行います。現行の基礎年金の受給額の2分の1を税金で負担する仕組みをあらため、全員に定額(基礎年金満額の2分の1である3.4万円)を国庫負担で支給します。たとえば、現在月4万円の基礎年金額の場合は、国庫負担額が2分の1である2万円から3.4万円に引き上がるので、年金額は月額5.4万円となります。これは最低保障年金制度に向けた第一歩にもなります。

 さらに、「頼れる年金」へと抜本的な改革を進めます。

 日本の年金制度には、どんな人にも最低限の年金額を保障するという仕組みがありません。そのため、政府の推計でも26万人の無年金者がおり、「就職氷河期世代」など現役世代の雇用と賃金が壊されてきたなかで、将来さらに多くの無年金者が生まれかねないことが問題となっています。

 国連の社会権規約委員会からも、「最低年金を公的年金制度に導入すること」が日本政府にたびたび勧告されています。

 全額国庫負担ですべての高齢者に月5万円を保障し、その上に、払った保険料に応じた額を上乗せする年金制度に抜本的に改革します。これにより、国民年金の満額は、現在の月6.9万円から8.6万円に引き上がります。厚生年金の受給者も、月9万円、月10万円などの給付が低い人から、平均程度の人まで底上げをしていきます。

 最低保障年金の導入に足を踏みだせば、低年金・無年金の増大、年金制度の「空洞化」、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など、今日の年金制度が抱えるさまざまな矛盾を抜本的に解決する道が開けます。

 これを実現するのに必要な財源は6兆円規模となり、大企業・富裕層の優遇税制をただすだけでは確保できません。賃上げを実現しながら、所得税の累進強化など、消費税に頼らない税制改革によって確保します。

国民の年金受給権を保障する立場で、各制度の改革を進めます

 ――「消えた年金・消された年金」問題を、一人たりとも被害者を残さないよう、一日も早く、国の責任で解決します。相談・問い合わせ、記録の照会・訂正、未払い分の支払いの迅速化などに対応できるよう、体制の抜本的強化を図ります。

 ――国民の年金受給権を守ることには無関心で、保険料徴収と納入率アップを至上命令にするという年金行政のゆがみを正します。国民の受給権保障という基本原則を行政機関の上から下まで徹底します。その立場で、年金行政の点検と改革を進めます。

 ――パート、派遣、契約社員など非正規雇用で働く人たちの厚生年金加入の権利を保障します。経営が苦しい中小・零細企業の社会保険料の事業主負担分の減免など、中小企業への抜本的な支援強化を行いながら、違法・脱法行為をなくし、非正規雇用で働く人たちの社会保険加入・厚生年金加入の権利を守る施策を推進します。

 ――「積立方式」を看板にした制度改悪に反対します。日本維新の会や財界団体が主張する年金の「積立方式」化は、公的年金を民間保険会社の年金保険と基本的に同じ仕組みにし、年金給付をますます貧しくする一方、年金の保障に対する国の責任、事業主の保険料負担の責任を後退させるものです。

 ――社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の中止を求めます。

 ➡各分野の政策「63、デジタル化問題、個人情報保護、マイナンバー」「64、マイナンバーカード」もご覧ください。