徳野衆さん「生理の貧困を解決するために」―ジェンダー平等 私たちのメッセージ

ジェンダー平等についてのインタビュー「私たちのメッセージ」。第6回は奈良県大和郡山市の市議会議員・徳野衆さんです。
 
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生理用品の無料配布

大和郡山市では5月の臨時議会で、市民への40万6,000枚(7,000パック)の生理用品の無料配布を決定しました。6月から小中学校への無償配置と、市役所や保健センターでの配布をおこなっています。
 
私は5月臨時議会で「生理の貧困」問題について質問をしました。そのきっかけとなったのは、新日本婦人の会(新婦人)のみなさんが、3月、市に生理用品の無償配布についての要望書を提出したことです。
 
このことを知った私は市議会でも取り上げる必要があると思い、4月から動き出しました。5月の臨時議会で、この問題が最初の議案に上がってきたので喜びましたが、その段階では、学校への配布は保健室に設置するということでした。
 
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学校トイレに設置を

私は臨時議会後、新婦人の方たちと一緒に〝市の対応は評価するけれども、保健室に設置するのではなく、トイレに設置をしてほしい〟という運動に取り組み、副市長や教育部長に直接申し入れをしました。
 
しかしその中で教育部長から、「実は現場の先生から〝トイレに設置するのは不衛生だ〟などの意見があった」という話を聞きました。そこでこちらから、「生理用品を巾着袋やプラスチックケースに入れるなどの工夫で解決できますよ」と提案をすると、再度、教育委員会から各学校に提案がされ、「教育委員会が費用負担をするので、アイデアを出して、トイレに設置できるように工夫をお願いします」という通知が発出されました。
 
トイレへの設置は保護者や児童・生徒からの評価も高く、生徒からは「これまでは保健室に取りに行かなくてはいけなかったけれども、トイレにあるほうが気軽に使えるし、頭も下げなくていいので楽になった」という声も寄せられています。
 
現状では、用意した生理用品がなくなればおしまいになってしまいますが、国として、自治体で実施しているところに交付金を支援するということが検討されているようなので、「国の支援があったときに、市として取り組んでほしい」と市議会で質問しましたら、「もちろん対応して、引き続き実施したい」との回答がありました。
 
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(写真)学校トイレに設置された生理用品

「生理の貧困」を解決するために

「生理の貧困」を解決するためには、理解の促進が重要だと思っています。とくに、男性の無理解を変えていきたい。私のツイッターに、中学校のトイレに生理用品が設置された写真をアップしたところ、多くの反応がありました。その中に一部ではありますが、「自分で買ったらええやん」「女性だけ優遇している」など批判的な意見があり、その多くは男性からのものでした。
 
生理は、私たちが産まれるための大切な生理現象であることから、女性だけの問題ではなく、すべての人の理解が大事だということをもっと広げていく必要があります。そのためにも、女性だけではなく、性別に関係なく誰もがしっかりと性教育をうけて、もっと生理など身体についての理解を広げていくべきだと考えています。
 
それと同時に、生理用品は女子トイレだけではなく、トランスジェンダーの生徒にも配慮して、多目的トイレ・だれでもトイレにも置いていく必要があると思っています。
 
大和郡山市は、2019年にパートナーシップ宣誓制度ができてから(20年4月実施)、市民向けと学校向けの「性的少数者パンフレット」を作成し、小中学校にもパンフレットを配布するとともに、それを教材にしてLGBTQの方がいることを学校でも扱い始めています。
 
「生理の貧困」問題と合わせて、LGBTQの方への理解も進むように、自治体から、さらにジェンダー平等社会をめざしていきたいと思っています。
 

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